説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラム

【課題】 印刷が実行されている場合には、極力高い解像度で原稿の画像を読み取ることができる。
【解決手段】
原稿搬送手段によって搬送される原稿の画像を読み取る読取手段と、読取手段によって読み取られた原稿の画像をシートに印刷する印刷手段と、印刷手段が印刷を実行していない場合に読取手段によって原稿の画像を第1の解像度で読み取るよう制御し、印刷手段が印刷を実行している場合に読取手段によって第1の解像度より解像度が高い第2の解像度で原稿の画像を読み取るよう制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、スキャナの読み取りスピードと画質、およびプリンタの印刷スピードと画質は同一であることが一般的である。例えばスキャナが600dpiで30枚/分の読み取りが可能な場合は、プリンタも600dpiで30枚/分の印刷が可能である。
また、スキャナ単体での使用(FAX送信や読み取り画像のE−MAIL送信など)を考慮し、高い解像度で読み取りを行うことができる画像形成装置もある。
【0003】
例えば、スキャナの性能としては600dpiでの読み取りが可能である画像形成装置がある。このような画像形成装置の中には、原稿台に載置された原稿の読み取りを行う場合に600dpiで読み取りを行い、自動原稿搬送装置によって搬送された原稿の読み取りを行う場合に解像度を落として300dpiで行う画像形成装置がある。なぜならば、自動原稿搬送装置からの読み取りを600dpiで行うと、1分間に20枚の読み取りしかできず、30枚/分のプリンタの性能を活かすことができないためである。以下、自動原稿搬送装置をADF(Auto Document Feeder)と呼ぶ。
このような画像形成装置に関する技術として、特許文献1がある。特許文献1にはスキャン原稿のサイズおよび印刷用紙のサイズから動作モードを自動的に判定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−223336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像形成装置は、一律解像度を制限して(例えば、600dpiの読み取りができる画像形成装置が300dpiに解像度を落として)原稿の画像を読み取っており、読取解像度を上げるための工夫が充分にされていない。
【0006】
例えば、画像形成装置が別のジョブの印刷を実行中である場合には、読み取った原稿の画像をすぐに印刷できないため、原稿の読み取り速度が遅くても印刷速度に影響を与えない。しかしながら、従来の画像形成装置は、そのような場合であっても、解像度を落として300dpiで原稿の画像を読み取っている。
【0007】
そのため、画像形成装置の画像読取部の性能が有する本来の解像度(例えば、600dpi)を、コピーを実行する際に活かす工夫がされていなかった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、印刷が実行されている場合には、極力高い解像度で原稿の画像を読み取ることができる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は以下に示す構成を備える。
原稿搬送手段によって搬送される原稿の画像を読み取る読取手段と、読取手段によって読み取られた原稿の画像をシートに印刷する印刷手段と、印刷手段が印刷を実行していない場合に読取手段によって原稿の画像を第1の解像度で読み取るよう制御し、印刷手段が印刷を実行している場合に読取手段によって第1の解像度より解像度が高い第2の解像度で原稿の画像を読み取るよう制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷が実行されている場合には、極力高い解像度で原稿の画像を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態を示す画像形成装置の構成を説明する断面図である。
【図2】本実施形態を示す画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図4】図1に示した操作部に表示されるUI画面の一例を示す図である。
【図5】図1に示した操作部に表示されるUI画面の一例を示す図である。
【図6】画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図7】画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図8】図2に示した操作部のハードキー構成を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す画像形成装置の構成を説明する断面図である。本実施形態では、スキャン機能や、プリント機能、データ送信機能等の複数の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)を例に説明する。
【0013】
図1に示すように、MFPは、スキャナ部350とプリンタ部450を有する。スキャナ部350は、自動原稿搬送装置(ADF)301を有し、スキャナ部350は、ADF301に積載された原稿を、その積載順に従って1枚ずつ分離して読取位置に搬送する。その後、スキャナ部350は、読取位置に搬送された原稿をスキャンし、スキャンされた原稿を排出トレイ303に排出する。
【0014】
自動原稿搬送装置301に積載された原稿は、不図示のステッピングモータによって駆動される搬送ローラ305によって、原稿流し読み位置を一定の速度で通過する。この場合、光学ユニット304は、原稿流し読み位置に移動し、等速で搬送される原稿を光源307によって照射する。原稿からの反射光は、複数のミラー308、309、310、及び、レンズ311を介して色分解フィルタを備えたCCDイメージセンサ(以下、「CCD」と称する。)312へ導かれる。これにより、走査された原稿の画像がCCD312によって読み取られる。CCD312によって色分解されて読み取ることで色ごと(R、G、B)の画像データが生成され、当該画像データは保存または印刷のためにメモリ部に転送される。
【0015】
プリンタ部450は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のトナーによって画像を形成するための4つの現像ユニットを有し、カラー画像及びモノクロ画像を形成する。
【0016】
プリンタ部450は、レーザ露光部401、回転多面鏡(ポリゴンミラー)406、感光ドラム402、作像部403、定着部404、反転パス405、フラッパ407、両面搬送パス408を有する。反転パス405は反転ローラ409を備える。また、プリンタ部450は、給紙カセット410、給紙カセット411、排紙トレイ415を有する。
【0017】
レーザ露光部401は、画像データに応じて変調されたレーザ光などの光線を等角速度で回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)406に入射させ、反射走査光として感光ドラム402に照射する。
【0018】
作像部403は、感光ドラム402を回転駆動し、帯電器によって帯電させた後、レーザ露光部401によって感光ドラム402上に形成された潜像をトナーによって現像する。そして、そのトナー像をシートに転写し、その際に転写されずに感光ドラム402上に残った微小トナーを回収するといった一連の電子写真プロセスの現像ユニット(現像ステーション)を4つ持つことで実現している。シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に並べられた4つの現像ユニットは、シアンの現像ユニットによる作像開始から所定時間経過後に、マゼンタ、イエロー、ブラックの現像ユニットによる作像を順次実行していく。このタイミング制御によって、シート上に色ずれのないカラー画像が転写される。
【0019】
定着部404は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、作像部403によってトナー像が転写されたシート上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。定着方法はオンディマンド定着プロセスを採用するものであってもよい。給紙カセット410〜411は、それぞれ、印刷に用いられるシートを保持する。
【0020】
画像形成装置100は、給紙カセット410〜411のうちのいずれかからシートを給紙し、給紙されたシートに対して、作像部403で作像された画像を転写する。そして、転写された画像を定着部404によってシートに定着させる。そして、画像形成装置100は、画像が形成された面を下に向けてシートを排紙する場合(フェイスダウン排紙をする場合)、フラッパ407によってシートを反転パス405に導き、反転させたシートを排紙トレイ415に排紙する。一方、画像が形成された面を上に向けてシートを排紙する場合(フェイスアップ排紙をする場合)、フラッパ407によってシートを反転パス405に導かずに排紙トレイ415に排紙する。
【0021】
また、シートの両面に画像を印刷する場合、フラッパ407によってシートを反転パス405に導き、シートの後端を反転ローラ409によって挟持させた後、そのシートを両面搬送パス408に導く。両面搬送パス408に導かれたシートは、再び作像部403まで搬送され、シートの裏面に作像部403によって画像が印刷される。裏面に画像が印刷されたシートは、排紙トレイ415に排紙される。このようにして、画像形成装置100は、シートに画像を印刷する印刷処理を実行する。
なお、図1において、S1〜S13は用紙検知センサで、図示される搬送路上に設けられ、その検知情報が後述するMFP制御部209へ通知される構成となっている。
なお、給紙カセットの数が2つである場合を例に説明したが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、本実施形態では、画像形成装置としてMFPを例に説明するが、画像形成装置の例はこれに限らず、複写機であってもよい。
【0022】
図2は、本実施形態を示す画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
図2において、MFP制御部209は、ROM218に記憶されたプログラムを、RAM217に読み出して実行することによってMFPを統括的に制御する。ROM218は、MFP制御部209によって読みだされる各種プログラムを記憶する。RAM217は、MFP制御部209のワークメモリとして機能する。
201はスキャナ処理部で、図1に示したスキャナ部350で読み取られる紙原稿などの画像に対して、シェーディング補正処理等の所定の画像処理を行う。202はFAX部で、ファクシミリなどに代表される電話回線を利用した画像の送受信を行なう。203はNIC(Network Interface Card)部で、ネットワークを利用して外部装置と画像データや装置情報を送受信する。
【0023】
204は専用I/F部で、外部装置と画像データなどの情報交換を行なう。205はUSB(Universal Serial Bus)I/F部で、USBメモリ(リムーバブルメディアの一種)に代表されるUSB機器と画像データなどを送受する。206は操作部で、タッチパネルを備え、後述するユーザインタフェース画面(UI画面)を表示する。
【0024】
213は不揮発性記憶装置で、複数の画像データを格納可能なハードディスク等のメモリで構成される。MFP制御部209は、スキャナ処理部201からの画像データや、NIC部203を介して入力されたコンピュータ等の外部装置からの画像データ等の複数種類の画像データを該ハードディスクに格納する。
【0025】
MFP制御部209は、不揮発性記憶装置213に格納された画像データを適宜読み出して、出力画像処理部208に転送し、出力画像処理部208によるプリント用の画像処理を実行する。また、MFP制御部209は、オペレータからの指示により、不揮発性記憶装置213から読み出した画像データを、コンピュータや他の画像形成装置等の外部装置に転送することができる。
【0026】
MFP制御部209は、画像データを不揮発性記憶装置213に記憶する際には、必要に応じて、画像データを圧縮伸張部212によって圧縮して格納する。逆に圧縮して格納された画像データを読み出す際に圧縮伸張部212によって元の画像データに伸張して戻したりする。
【0027】
特に、ネットワークを経由して受信するデータには、圧縮されているものがある。このように圧縮されたデータは、この圧縮伸張部212によって伸張(解凍)される。
【0028】
また、214はリソース管理部で、フォント、カラープロファイル、ガンマテーブルなどMFPで共通に扱われる各種パラメータテーブルなどが格納されており、必要に応じて呼び出すことができる。さらに、リソース管理部214は、新しいパラメータテーブルを格納したり、修正して更新したりすることができる。
【0029】
MFP制御部209は、PDLデータを受信した場合に、PDLデータに対してRIP部207でRIP(Raster Image Processor)処理を施す。また、MFP制御部209は、RIPされた画像に対して、必要に応じて出力画像処理部208でプリントのための画像処理を行う。更に、MFP制御部209は、その際に作られる画像データの中間データやプリントレディデータ(プリントのためのビットマップデータやそれを圧縮したデータ)を必要に応じて、不揮発記憶装置213で格納しておくこともできる。そして、MFP制御部209は、処理された画像データを、画像形成を行なうプリンタ部210に送る。プリンタ部210は、送られてきた画像データに基づいて印刷を実行し、印刷されたシートを後処理部211に搬送するよう制御する。後処理部211は、プリンタ部210で印刷され、搬送されるシートを直接受け取り、受け取ったシートに対してソート処理等の仕分け処理や、ステイプル等の仕上げ処理を行う。
図3は、本実施形態を示すMFPの制御方法を説明するフローチャートである。本例は、スキャナ部350で読み取った原稿の画像をプリンタ部450で印刷するコピージョブを実行する場合に、図1に示したスキャナ部350の読み取りモードを自動的に決定する処理例である。より具体的には、MFPが印刷を実行中でない場合に第1の解像度で原稿の画像を読み取り、画像形成装置が印刷を実行中である場合に第1の解像度より解像度が高い第2の解像度(高画質読取モード)で原稿の画像を読み取る処理例である。第1の解像度は、例えば300dpiであり、第1の解像度で原稿の画像を読み取るモードを高速動作モードと呼ぶ。第2の解像度は、例えば、600dpiであり、第2の解像度で原稿の画像を読み取るモードを高画質動作モードと呼ぶ。なお、各ステップは、MFP制御部209がROM218等より読み出すプログラムをRAM217にロードして実行することで実現される。本フローチャートに示す処理は、操作部206を介してコピージョブの開始指示(もしくは原稿の読取開始指示)を受けたことに応じて開始される。
【0030】
まず、S301で、MFP制御部209は、ADF301に載置された原稿の画像を読み取るべきかどうかを判断する。これは、ADF301の原稿台上に備えられた原稿載置検知スイッチの状態をMFP制御部209が確認することにより行う。ここで、原稿がADF301の原稿台に載置されていないとMFP制御部209が判断した場合、S308へ進み、MFP制御部209は、原稿台(プラテンガラス302)を介して原稿を1枚ずつ読み取るよう制御する。このとき、操作部206を介して受け付ける1回の読取開始指示で読み取られる原稿の枚数が1枚であり、高画質モードでスキャンを行ったとしても速度低下の影響が少ない。そのため、MFP制御部209は、実行指示を受けたコピージョブで読み取られる1枚の原稿の画像を第2の解像度でスキャンして(高画質モードでスキャンして)、本処理を終了する。
【0031】
一方、S301で、原稿がADF301の原稿台に載置されていると判断した場合、MFP制御部209は、S302へ処理を進める。この場合、操作部206を介して受け付ける1回の読取開始指示で読み取られる原稿の枚数が複数枚の可能性がある。そのため、高画質動作モードでスキャンを行った場合、原稿の画像の読取処理に時間がかかり、MFPの印刷速度を満たせなくなる可能性が有る。例えば、600dpiで原稿の画像を読取可能なスキャナ部350を備えるMFPで、MFPの印刷速度が30枚/分であり、ADFを用いて600dpiで原稿を読み取る速度が20枚/分、300dpiで原稿の画像を読み取る速度が30枚/分であるとする。その場合、ADFを用いて600dpiで原稿を読み取ると、MFPが有する性能(印刷速度)を充分に活かすことができない。しかしながら、ADFを用いる場合に一律300dpiで原稿の画像を読み取ると、ADFを用いる場合には常に600dpiで原稿の画質を読み取ることができない。そこで、本実施形態では、MFPが、他のジョブの印刷を実行中でない場合には、300dpiで原稿の画像を読み取り、他のジョブの印刷を実行中である場合には、600dpiで原稿の画像を読み取るように制御する。このように制御する理由は、他のジョブの印刷を実行中である場合にはすぐにコピーを開始せずに、読み取った原稿の画像が一旦不揮発性記憶装置213に複数ページ分蓄積される。そのため、読取速度が遅いことが原因で印刷が遅くなる可能性が低いためである。それによって、MFPが有する性能(印刷速度)を活かしつつ、可能な限り、高い画質で原稿の画像を読み取ることができる。S301からS302に処理を進めると、MFP制御部209は、ユーザによって予め操作部206を介して強制高画質モードが設定されているかを判断する。ここで、強制高画質モードは、ユーザが必ず高画質の出力物を得たい場合に選択するモードである。
【0032】
図4、図5は、コピー開始指示を受け付ける前に、図1に示した操作部206に表示されるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。強制高画質モードは、ユーザが操作部206に表示する図4に示すコピー設定画面600において、モード選択ボタン601を押下して設定を行う。ここで、ユーザがモード選択ボタン601を押下すると、MFP制御部209は、操作部206に図7に示すモード選択ダイアログ700を開く。強制高画質モード選択チェックボックスのデフォルト値はオフボックス702が選択された状態となっている。そして、ユーザがチェックボックスのオンボックス703をチェックし、OKボタンを押下すると、MFP制御部209は、強制高画質モードを設定して不揮発性記憶装置213上のステータステーブルに保持し、モード選択ダイアログ700を閉じる。一方、キャンセルボタンを押下すると、MFP制御部209は、モード選択ダイアログ700を介して設定された内容を不揮発性記憶装置213に記憶せずに、モード選択ダイアログ700を閉じる。なお、部数閾値設定部704については、後述する。
S302において、不揮発性記憶装置213に保持されたステータステーブルを参照し、強制高画質モードが設定されていると判断した場合、MFP制御部209は、S308に処理を進める。そして、MFP制御部209は、実行指示を受けたコピージョブを実行することによって、ADFによって搬送された1枚または複数枚の原稿の画像を第2の解像度でスキャンスキャナ部350に実行させて(高画質モードでスキャンさせて)、本処理を終了する。
【0033】
一方、S302で強制高画質モードが設定されていないとMFP制御部209が判断した場合、MFP制御部209は、S303に処理を進める。そして、S303で、MFP制御部209は、MFPで実行中のジョブの実行状況を示す情報を取得する。ジョブの実行状況を示す情報は、MFP制御部209によって、RAM217上でジョブ種ごとにジョブ管理リストとして保持されている。MFP制御部209は、ジョブの実行指示を受け付けたときに、ジョブの情報をジョブ管理リストに登録し、登録されたジョブを、優先度の高いものから順番に実行する。また、MFP制御部209は、各ジョブのステータス(実行待ち、実行中等)をジョブ管理リストで管理する。なお、ジョブ管理リストに登録されるジョブ種には、プリントジョブ、FAX受信ジョブ、コピージョブ、データ送信ジョブ等がある。プリントジョブとは、外部装置からNIC部203を介して受け付けた印刷データに従ってプリンタ部210によって印刷を行うジョブである。FAX受信ジョブとは、FAX部202を介して受信した画像データに従ってプリンタ部210によって印刷を行うジョブである。コピージョブとは、スキャナ部350によって読み取られた原稿の画像をプリンタ部210によってシートに印刷するジョブである。データ送信ジョブとは、スキャナ部350によって読み取られた原稿の画像を、ネットワークを介して外部装置に送信するジョブである。
【0034】
S304で、MFP制御部209、RAM217に保持される全てのジョブ種のジョブ管理リストを検索し、印刷を実行しているジョブが存在し、現在印刷が行われているかどうかを判定する。ここで、現在印刷が行われていないと判断した場合、MFP制御部209は、S307に処理を進め、第2の解像度よりも解像度の低い第1の解像度で原稿の画像をスキャンするようにスキャナ部350を制御する。これは、印刷が実行されていない場合には、1ページ目の画像が不揮発性記憶装置213に蓄積されたことに応じて印刷が始まるため、読取速度が遅いことが原因で印刷が遅くなる可能性が高いためである。
【0035】
一方、S304で、現在印刷が行われていると判断した場合、MFP制御部209は、S305に処理を進め、現在行われている印刷に必要な時間を計算する。S305はサブルーチンになっており、印刷所要時間を計算するための処理の詳細は図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0036】
図6は、本実施形態を示すMFPの制御方法を説明するフローチャートである。本例は、画像形成装置内に存在する印刷を伴うジョブが印刷に要する総時間(処理時間)を算出する処理例であって、図3に示したS305の詳細手順である。なお、各ステップは、MFP制御部209がROM218等より読み出す制御プログラムをRAM217にロードして実行することで実現される。
【0037】
S401で、MFP制御部209は不揮発記憶装置213上で管理される印刷待ち画像データの情報を収集する。印刷用の画像データはRIP部207でRIP展開された後の画像データであり、不揮発記憶装置213に展開されており、印刷終了後に削除される。ここでは、MFP制御部209が画像データのページ数およびそれぞれのサイズ、カラー/モノクロ、解像度などの情報を収集する。
【0038】
次に、S402では、MFP制御部209は、RIP待ち画像データの情報を収集する。ここで、RIP待ち画像データとはRIP部207でRIP展開される前のPDLデータであり、不揮発記憶装置213に保存されている。
S402では、MFP制御部209がS401と同様に、画像データのページ枚数およびそれぞれのサイズ、カラー/モノクロ、解像度などの情報を収集する。なお、PDLデータは種類によっては、RIP展開前には詳細情報の収集が出来ないものがある。その場合は、PDLデータのサイズを元に一般的な1ページ毎のサイズから総ページ数を計算する。これは印刷予測時間を計算するためのデータであり、多少の誤差が出ることは問題にならない。
【0039】
S403で、MFP制御部209は、S401およびS402で収集した情報に従って、印刷所要時間の計算を行う。具体的には、不揮発性記憶装置213に、予め、画像のサイズや、カラー/モノクロ、解像度別に、1枚の印刷を実行するために要する印刷所要時間を登録しておくことによって、MFP制御部209は、印刷所要時間の計算を行うことができる。
続いて、図3に示す処理の説明に戻り、S306で、MFP制御部209は、S305で計算した所要時間と、システムに設定されたしきい値との比較を行い、所要時間がシステムに設定されたしきい値以上であるかどうかを判断する。
【0040】
ここで、比較の結果、印刷所要時間がしきい値時間よりも大きいと判断した場合、MFP制御部209は、S308に処理を進める。そして、MFP制御部209は、実行指示を受けたコピージョブで読み取られる1枚または複数枚の原稿の画像を第2の解像度でスキャンするようにスキャナ部350を制御して(高画質動作モードでスキャンするように制御して)、本処理を終了する。
一方、S306で、比較の結果印刷所要時間がしきい値時間よりも小さいと判断した場合、MFP制御部209は、S307に処理を進める。そして、MFP制御部209は、実行指示を受けたコピージョブで読み取られる1枚または複数枚の原稿の画像を第1の解像度でスキャンするようにスキャナ部305を制御して(高速動作モードでスキャンして)、本処理を終了する。
以上のようにして、S308またはS309で読み取られた原稿の画像は不揮発性記憶装置213に記憶される。また、コピージョブの情報が、ジョブ管理リストに登録され、ジョブの実行順序がきたときに、MFP制御部209は、不揮発性記憶装置213に記憶された画像に基づく印刷をプリンタ部210によって実行する。
これにより、読取に時間がかかることによって、印刷が遅くなってしまうことを防ぐことができる。また、印刷が実行されている場合には、極力高い解像度で原稿の画像を読み取ることができる。
なお、本実施形態では、S304で現在印刷が実行されていると判断した場合に、MFP制御部209が、S305に処理を進める場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限らない。例えば、S304で現在印刷が実行されていると判断した場合に、MFP制御部209は、S305とS306の処理を実行せずにS308に処理を進め、S304で現在印刷が実行されていないと判断した場合にS307に処理を進めてもよい。
【0041】
<第2の実施形態>
本実施形態では、高画質動作モードでスキャンを実行するか、高速動作モードでスキャンを実行するかを、第1の実施形態とは別の方法で決定する例を説明する。
図7は、本実施形態を示す画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。本実施形態は、実行しようとするコピージョブの設定値から、高画質動作モードでスキャンを実行するか、高速動作モードでスキャンを実行するかを決定する処理例である。なお、各ステップは、MFP制御部209が、ROM218より読み出す制御プログラムをRAM217にロードして実行することで実現される。なお、第1の実施形態と同様である箇所については、詳しい説明を省略する。第1の実施形態と異なるのは、S503〜S505である。
【0042】
S502で、強制高画質モードが設定されていないと判断した場合、MFP制御部209は、S503に処理を進める。そして、S503で、MFP制御部209は、操作部206に表示する図4に示す表示画面において、複数部数の設定が行われているかを判断する。
【0043】
ここで、部数設定は、図4に示す表示画面を表示した状態において、ユーザが図8に示す操作部206のハードキー800のテンキー801で行うと、コピー設定画面600の部数表示603に表示される。
ここで、複数部印刷するように設定されていないと判断した場合、MFP制御部209は、S506に処理を進め、原稿の画像を第1の解像度でスキャンするようスキャナ部350を制御して(高速モードでスキャンさせて)、本処理を終了する。
一方、S503で、複数部印刷するように設定されていると判断した場合、MFP制御部209は、S504に処理を進める。S504で、MFP制御部209は、読み取った原稿の画像を電子ソートするよう設定されているかどうかを判断する。電子ソートが設定されている場合、MFPは、複数枚の原稿を読取り、読み取った原稿の画像を不揮発性記憶部213に一旦蓄積する。そして、MFPは、蓄積された原稿の画像をページ順に1部印刷し、1部の印刷が完了したら、次の1部を印刷するという順番で、指定された部数分の印刷を行う。
【0044】
ここで、ソートモードの設定は、図4に示したコピー設定画面600において、ユーザがソートモード選択ボタン602で押下して行う。ここで、電子ソートの設定が行われていないと判断した場合、ノンソートモードで印刷が実行されるため、MFP制御部209は、S507に処理を進める。そして、MFP制御部209は、実行指示を受けたコピージョブで読み取られる1枚または複数枚の原稿の画像を第2の解像度でスキャナ部350にスキャンさせて(高画質モードでスキャンして)、本処理を終了する。ノンソートモードとは、1枚の原稿の画像をスキャンし、スキャンされた原稿の画像を指定された部数分、連続して印刷するモードである。この場合、1枚のスキャンに対して複数枚の印刷が実行されるためスキャンが遅いことによって印刷速度が遅くなる可能性が低い。そのため、第1の解像度より解像度が高い第2の解像度で原稿の画像を読み取るのである。
【0045】
一方、S504で、電子ソートモードが設定されていると判断した場合、MFP制御部209は、S505に処理を進める。そして、S505で、MFP制御部209は、判定用部数が閾値以上であるかどうかの判断を行う。ここで、判定用部数の閾値の設定は、MFP制御部209が操作部206に表示するコピー設定画面600のモード選択ボタン601を押下した時に立ち上がるモード選択ダイアログ700を介して行う。
【0046】
ここで、ユーザは部数閾値設定部704に図8に示したテンキー801から数値を入力する。MFP制御部209は、入力された値を判定用部数として、不揮発性記憶装置213に記憶しておく。
S505で、電子ソートの設定部数が閾値よりも大きいと判断した場合、MFP制御部209は、S507に処理を進める。そして、MFP制御部209は、実行指示を受けたコピージョブで読み取られる1枚または複数枚の原稿の画像を第2の解像度でスキャナ部350にスキャンさせて(高画質モードでスキャンして)、本処理を終了する。電子ソートモードである一定以上の部数の印刷を行う場合、1部目のスキャンが遅くても2部目以降は不揮発記憶装置213に画像が蓄積されているため、高速な印刷が可能になる。そのため、ユーザは、ある部数以上の印刷を行う場合には、1部目のスキャンが遅くなっても、高い解像度で読み取られ、高い解像度で印刷された印刷物を手に入れることができる。
なお、判定用部数として「0」が入力された場合、MFP制御部209は、S505の判定を行わず、S504で電子ソートモードが設定されていると判断した場合に、必ず506に処理を進めるようにすればよい。
【0047】
一方、S505で、設定部数が閾値以下または閾値が0であると判断した場合、MFP制御部209は、S506に処理を進め、原稿の画像を第1の解像度でスキャナ部350にスキャンさせて(高速モードでスキャンして)、本処理を終了する。
以上のようにして、S506またはS507で読み取られた原稿の画像は不揮発性記憶装置213に記憶される。また、コピージョブの情報が、ジョブ管理リストに登録され、ジョブの実行順序がきたときに、MFP制御部209は、不揮発性記憶装置213に記憶された画像に基づく印刷をプリンタ部210によって実行する。
以上のように制御することによって、コピージョブの設定値から動作モードを自動的に決定することができる。
【0048】
なお、上述の機器内に存在する印刷の状況に応じてコピージョブ実行時のスキャン動作モードを切り替える方法とコピージョブの設定値から動作モードを自動的に決定する方法はそれぞれ別のフローチャートとして説明したが、同時に実施されてもよい。
【0049】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【0050】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0051】
206 操作部
215 CPU
218 ROM
217 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿搬送手段によって搬送される原稿の画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた原稿の画像をシートに印刷する印刷手段と、
前記印刷手段が印刷を実行していない場合に前記読取手段によって前記原稿の画像を第1の解像度で読み取るよう制御し、前記印刷手段が印刷を実行している場合に前記読取手段によって前記第1の解像度より解像度が高い第2の解像度で前記原稿の画像を読み取るよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記読取手段は、原稿搬送手段によって搬送される原稿の画像、または、原稿台に載置された原稿の画像を読取可能であり、
前記制御手段は、前記原稿台に載置された原稿の画像を読み取る場合に、前記印刷手段が印刷を実行しているか否かに関わらず、前記原稿台に載置された原稿の画像を前記第1の解像度で読み取るよう制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷手段による印刷に要する処理時間を算出する算出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記印刷手段が印刷を実行している場合で、且つ、前記算出手段によって算出された処理時間が所定の時間を超える場合に、前記読取手段によって前記第1の解像度より解像度が高い第2の解像度で前記原稿の画像を読み取るよう制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷手段によって印刷されたシートに対してソートモードが設定されているかどうかを判断する判断手段と、
前記印刷手段によって印刷されたシートを複数部印刷するよう設定されているかどうかを判定する判定手段と、を備え、
前記制御手段は、前記判断手段によって前記ソートモードが設定されていないと判断し、且つ、前記判定手段によって前記印刷手段によって印刷されたシートを複数部印刷するよう設定されていると判定した場合、前記読取手段によって前記第1の解像度より解像度が高い第2の解像度で前記原稿の画像を読み取るよう制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿搬送手段によって搬送される原稿の画像を読取手段によって読み取る読取工程と、
前記読取工程によって読み取られた原稿の画像を印刷手段によってシートに印刷する印刷工程と、
前記印刷手段が印刷を実行していない場合に前記読取手段によって前記原稿の画像を第1の解像度で読み取るよう制御し、前記印刷手段が印刷を実行している場合に前記読取手段によって前記第1の解像度より解像度が高い第2の解像度で前記原稿の画像を読み取るよう制御する制御工程と、
を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−235408(P2012−235408A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104053(P2011−104053)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】