説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】液体現像剤の滞留が発生しても、液体現像剤のオーバーフローおよび液体現像剤の濃度調整不能を防止する。
【解決手段】回収液排出管31を流れて濃度調整タンク27内に回収される回収液の滞留が検出されないときは、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tのトナー濃度が濃度センサー39で測定されたトナー濃度に基づいて予め定められた第1のトナー濃度に調整され、液量センサー40で測定された濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量が、液量下限値と滞留なし時に対応して予め定められた第1の液量の範囲に制御される。また、液体現像剤の滞留が検出されたときは、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量が第1の液量の範囲より狭い予め定められた第2の液量の範囲に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて、潜像担持体である感光体に形成された潜像を現像して画像を形成する電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて、潜像担持体である感光体に形成された潜像を現像して画像を形成する画像形成装置が多々知られている。この種の画像形成装置として、現像等に使用されなく回収された液体現像剤を再利用する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の画像形成装置では、濃度調整タンクから液体現像剤が現像部の液体現像剤貯留部へ送給されるとともに、液体現像剤貯留部からあふれた液体現像剤および現像後に残留する液体現像剤、つまり現像等に使用されなかった液体現像剤とが濃度調整タンクに回収液として戻され、この回収液は液体現像剤として再利用される。その場合、画質を安定させるとともに連続印字を可能にするために、濃度調整タンク内の液体現像剤は濃度調整されるとともに液量制御される。
【0003】
また、濃度調整タンク内の液体現像剤の濃度調整および液量制御のために、濃度調整タンク内に濃度センサーおよび液量センサーが配設された画像形成装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の画像形成装置では、濃度センサーおよび液量センサーの各出力に応じてトナーおよびキャリアー液の濃度調整タンク内への各供給量が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−075552号公報。
【特許文献2】特開2009−075558号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2に記載の画像形成装置では、液体現像剤が高粘度であるため、連続印字動作を行う際、現像部から濃度調整タンクへ流れる回収液の回収経路である回収液排出配管内で回収液が連続的に滑らかに流れず、一時的に回収液の滞留が発生することがある。特に、画線率の小さな印字データの連続印字を行った場合、回収液の濃度が濃くなるため滞留が発生し易い。
【0006】
このように滞留が発生して回収液が濃度調整タンクへ連続的に流れないと、濃度調整タンク内の液体現像剤の濃度や液量が大きく変化する。そこで、濃度調整タンク内で前述の濃度調整および液量制御が行われ、新たなトナーやキャリアー液が濃度調整タンク内に供給される。この状態で、回収液排出配管内に滞留した回収液の液量が多くなると、滞留した回収液はその自重で落下して濃度調整タンク内に流入する。これにより、回収液の滞留が解消する。しかし、滞留していた分の回収液が短時間で濃度調整タンク内に流れ込むため、濃度調整タンク内の液位が上昇し、濃度調整タンクの液体現像剤がオーバーフローしたり、液体現像剤の濃度が調整不能になったりする可能性がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は液体現像剤の滞留が発生しても、液体現像剤のオーバーフローおよび液体現像剤の濃度調整不能を防止する
ことのできる画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置および画像形成方法では、回収液の滞留が発生していない通常時は、液体現像剤濃度調整部で通常の濃度・液量制御によりトナー及びキャリアー液を含む液体現像剤のトナー濃度が予め定められた第1のトナー濃度に調整されるとともに液体現像剤の液量が制御される。その場合、通常の濃度・液量制御では、液体現像剤濃度調整部内の液体現像剤の液量は、予め定められた第1の液量の範囲に制御される。一方、現像剤担持体クリーニング部材でクリーニングされて回収された液体現像剤は回収液貯留部に貯留されるとともに、回収液貯留部に貯留された液体現像剤は回収経路を移動して(流れて)液体現像剤濃度調整部内に流入する。そして、回収液滞留検出部により回収経路での液体現像剤の滞留が検出されないときは、液体現像剤濃度調整部に貯留される液体現像剤の液量が第1の液量の範囲で制御される。また、回収液滞留検出部により回収経路での液体現像剤の滞留が検出されたときは、液体現像剤濃度調整部に貯留される液体現像剤の液量が第1の液量の範囲よりも狭い第2の液量の範囲で制御される。すなわち、液体現像剤の滞留が検出されたときは、液体現像剤濃度調整部内の液体現像剤の液量が制御される第2の液量の範囲に狭められる。これにより、液体現像剤濃度調整部内の液体現像剤の液量は狭められた第2の液量の範囲に基づいて制御されるので、この第2の液量の範囲を超えることがない。その後、滞留した液体現像剤が自重で落下して液体現像剤濃度調整部内に流入すると、液体現像剤濃度調整部内の液位が上昇する。しかし、液体現像剤濃度調整部に貯留される液体現像剤の液量が第2の液量の範囲に制御されるので、液体現像剤濃度調整部内の液位が上昇した状態で、前述の濃度・液量制御が行われて第1のトナー濃度より高い第2のトナー濃度の新たなトナーや新たなキャリアー液が供給されても、液体現像剤濃度調整部内の液体現像剤Tの液量はこの第2の液量の範囲を超えることがない。これにより、液体現像剤濃度調整部内の液体現像剤が濃度調整タンクからオーバーフローするのを防止することができる。したがって、液体現像剤濃度調整部内の液体現像剤の液量を一定の範囲内に保持することが可能となる。また、液体現像剤のオーバーフローが防止されることから、液体現像剤の濃度を容易にかつ確実に調整することが可能となる。
【0009】
このようにして、高粘度の液体現像剤を用いても、液体現像剤濃度調整部内の液体現像剤の濃度を所定の濃度に保持するとともに液体現像剤濃度調整部内の液体現像剤の液量を一定の範囲内に保持した状態で、連続印字動作を行うことができる。これにより、連続印字動作を途中停止させることなく、高画質での連続印字を安定的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示す例の感光体、現像部、感光体スクイーズ部、現像剤回収補給部、および濃度・液量制御システムを模式的に示す部分拡大図である。
【図3】濃度・液量制御システムのブロック図である。
【図4】図3に示す濃度・液量制御システムのメイン制御部のブロック図である。
【図5】濃度および液量に応じた状態を示す図である。
【図6】回収液の滞留による回収液の流量変化を説明する図である。
【図7】画線率10%の画像データを連続印字中に滞留状態が変化した場合の、液量上限値、液量下限値、および目標値と液量の変化の一例を示す図である。
【図8】液体現像剤の液量が液量目標値を超えた多い状態で回収液の滞留が発生したときに、濃度調整の停止を説明する図である。
【図9】図1に示す例の画像形成装置における回収液の滞留検出および濃度・液量制御のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
【0012】
図1に示すように、この例の画像形成装置1は、水平またはほぼ水平にタンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の潜像担持体である感光体2Y,2M,2C,2Kを備えている。これらの感光体2Y,2M,2C,2Kには、それぞれ、対応する色Y,M,C,Kの静電潜像が形成されて担持される。各感光体
2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、図示しない駆動部により駆動されて図1において矢
印方向(図1において時計回り)に回転する。ここで、各感光体2Y,2M,2C,2Kに
おいて、2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンタの感光体、2Cはシアンの感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。
【0013】
各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、それぞれ、帯電部3Y,3M,3C,3Kが配設されている。更に、各帯電部3Y,3M,3C,3Kから、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向に向かって、順に、露光部4Y,4M,4C,4K、現像部5Y,5M,5C,5K、感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6K、および一次転写部7Y,7M,7
C,7Kが配設されている。なお、図示しないが、一次転写部7Y,7M,7C,7Kから、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向に向かって,順に、一次転写後に各
感光体2Y,2M,2C,2Kを除電する除電部および各感光体2Y,2M,2C,2Kをクリーニングする感光体クリーニング部が配設されている。
【0014】
更に、各現像部5Y,5M,5C,5Kに対応して現像剤回収補給部8Y,8M,8C,8Kが配設されているとともに、濃度・液量制御システム9Y,9M,9C,9Kが配設されて
いる。なお、図1には、濃度・液量制御システム9Y,9M,9C,9Kの一部が記載され
ている。
【0015】
更に、画像形成装置1は、無端状の中間転写ベルト10を備えている。この中間転写ベルト10は、各感光体2Y,2M,2C,2Kの上方に配置されている。そして、中間転写
ベルト10は各一次転写部7Y,7M,7C,7Kでそれぞれ各一次転写ローラー7Y1,7
1,7C1,7K1で各感光体2Y,2M,2C,2Kに離間当接可能に圧接される。
【0016】
図示しないが、中間転写ベルト10は、例えば樹脂等の可撓性の基材と、この基材の表面に形成されたゴム等の弾性層と、この弾性層の表面に形成された表層とを有する3層構造の比較的柔らかい弾性ベルトに形成されている。もちろん、これに限定されることはない。中間転写ベルト10は図示しないモーターの駆動力が伝達される中間転写ベルト駆動ローラー11および中間転写ベルトテンションローラー12に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト10はテンションを付与された状態で、矢印方向(図1において反時計回り)に回転するようにされている。なお、各色Y、M、C、Kに対応する感光体等の部材の配置順は、図1に示す例に限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0017】
中間転写ベルト10の中間転写ベルト駆動ローラー11側には二次転写部13が設けられている。二次転写部13は、二次転写ローラー14を有している。二次転写ローラー14は矢印方向(図1において時計回り)に回転する。この二次転写ローラー14は、中間転写ベルト駆動ローラー11に巻き掛けられる中間転写ベルト10に圧接されて二次転写ニップを形成する。また、中間転写ベルト10の中間転写ベルトテンションローラー12
側には、中間転写ベルトクリーニング部15が設けられている。
【0018】
そして、各感光体2Y,2M,2C,2K、各帯電部3Y,3M,3C,3K、各露光部4Y,4M,4C,4K、各現像部5Y,5M,5C,5K、各感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6K、各一次転写部7Y,7M,7C,7K、各感光体クリーニング部、および各除電部により、それぞれ、この例の画像形成装置1の各色の画像形成ユニットが構成される。
【0019】
このように構成されたこの例の画像形成装置1においては、従来と同様に各画像形成ユニットで形成された各色のトナー像が各一次転写部7Y,7M,7C,7Kで、中間転写ベ
ルト10に転写される。このとき、この例の画像形成装置1では各色Y,M,C,Kのトナ
ー像はこれらの順に中間転写ベルト10に色重ねされて転写され、中間転写ベルト10にフルカラーのトナー像が形成される。更に、中間転写ベルト10に転写されたトナー像は二次転写部13のニップにおいて、二次転写ローラー14によって中間転写ベルト10に圧接された転写紙等の転写材16に転写される。そして、転写材に転写されたトナー像が図示しない定着部で定着されることで、転写材16に画像が形成される。
【0020】
次に、この例の各現像部5Y,5M,5C,5K、各感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6K、各現像剤回収補給部8Y,8M,8C,8K、および各濃度・液量制御システム9Y,9M,9C,9Kについてより詳細に説明する。
【0021】
図2は、図1に示す例の感光体、現像部、感光体スクイーズ部、現像剤回収補給部、および濃度・液量制御システムを模式的に示す部分拡大図である。なお、各現像部5Y,5
M,5C,5K、各感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6K、各現像剤回収補給部8Y,8M,8C,8K、および各濃度・液量制御システム9Y,9M,9C,9Kは、いずれも各色
Y,M,C,Kについて同じ構成を有している。そこで、各色に共通して説明するため、図
2には各色の符号Y,M,C,Kを省略して示す。しかし、図1には、図2に示す構成要素
の一部に対応して符号に各色の符号Y,M,C,Kを付して示す。
【0022】
図2に示すように、現像部5は、液体現像剤貯留部17、アニロックスローラー18、中間ローラー19、現像剤担持体である現像ローラー20、中間ローラークリーニング部材である中間ローラークリーニングブレード21、および現像剤担持体クリーニング部材である現像ローラークリーニングブレード22を有している。液体現像剤貯留部17は液体現像剤Tを貯留する。アニロックスローラー18は、その一部が液体現像剤貯留部17に貯留された液体現像剤T内に浸漬されていて、図2において時計回りに回転することでこの液体現像剤Tを汲み上げる。中間ローラー19は図2において反時計回りに回転することで、アニロックスローラー18から所定量の液体現像剤Tを供給される。現像ローラー20は図2において反時計回りに回転することで、中間ローラー19から液体現像剤Tを供給されて担持するとともに、担持した液体現像剤Tのトナーで感光体2の静電潜像を現像して感光体2にトナー像を形成する。中間ローラークリーニングブレード21は現像ローラー20とのニップを通過した中間ローラー19をクリーニングして、この中間ローラー19に残留する余剰分の液体現像剤Tを除去する。現像ローラークリーニングブレード22は感光体2の静電潜像を現像した後の現像ローラー20をクリーニングして、この現像ローラー20に残留する余剰分の液体現像剤Tを除去する。
【0023】
感光体スクイーズ部6は、第1の感光体スクイーズローラー23、第2の感光体スクイーズローラー24、第1のスクイーズローラークリーニングブレード25、および第2のスクイーズローラークリーニングブレード26を有している。第1および第2の感光体スクイーズローラー23,24はいずれも図2において反時計回りに回転して現像部5によ
る現像後の感光体2をスクイーズすることにより、この感光体2上の所定量のキャリアー液を除去する。第1のスクイーズローラークリーニングブレード25は感光体2をスクイ
ーズした後の第1の感光体スクイーズローラー23をクリーニングして、この第1の感光体スクイーズローラー23上の液体現像剤(主に、キャリアー液)を除去する。第2のスクイーズローラークリーニングブレード26は感光体2をスクイーズした後の第2の感光体スクイーズローラー24をクリーニングして、この第2の感光体スクイーズローラー24上の液体現像剤(主に、キャリアー液)を除去する。
【0024】
現像剤回収補給部8は、液体現像剤濃度調整部である濃度調整タンク27、液体現像剤供給ポンプ(P)28、液体現像剤供給経路である液体現像剤供給配管29、回収液貯留部30、および回収液排出配管31を有する。濃度調整タンク27はコンクトナーT1
キャリアー液T2とを混合して液体現像剤Tを作製するとともにこの液体現像剤Tのトナ
ー濃度を所定の第1のトナー濃度(例えば、25重量%)に調整するためのタンクである。コンクトナーT1の濃度は、濃度調整タンク27で調整される第1のトナー濃度より高
い第2のトナー濃度に定められている。液体現像剤供給ポンプ28は濃度調整タンク27内の所定濃度の液体現像剤Tを液体現像剤供給配管29を通して現像部5の液体現像剤貯留部17に送給する。
【0025】
回収液貯留部30は液体現像剤貯留部17と1つの容器で構成される。その場合、液体現像剤貯留部17と回収液貯留部30とは仕切板32で仕切られている。図示しないが、この仕切板32の上端縁には切り欠きが設けられている。そして、現像剤貯留部17内の液体現像剤Tの上面(液面)が仕切板32の切り欠きの最下位置より高くなると、現像剤貯留部17内の液体現像剤Tは仕切板32の切り欠きを通して(乗り越えて)回収液貯留部30にあふれ出る(流出する)ようになっている。その場合、印字動作中は、液体現像剤供給ポンプ28により現像に必要な量以上の液体現像剤Tが液体現像剤貯留部17へ送給されて、常時液体現像剤貯留部17から回収液貯留部30へ仕切板32の切り欠きを通してあふれ出るようにしている。このように液体現像剤Tが液体現像剤貯留部17から回収液貯留部30へ常時あふれ出ることで、液体現像剤貯留部17内の液体現像剤Tの液量を常に一定に保ち、液体現像剤Tがアニロックスローラー18に安定して供給されるようにしている。
【0026】
また、回収液貯留部30には、中間ローラークリーニングブレード21によって中間ローラー19から除去された液体現像剤T、現像ローラークリーニングブレード22によって現像ローラー20から除去された液体現像剤T、および、第1および第2のスクイーズローラークリーニングブレード25,26によって、それぞれ、第1および第2の感光体
スクイーズローラー23,24から除去された液体現像剤T(主にキャリアー液)が回収
される。回収液貯留部30に回収された液体現像剤Tは、回収液排出配管31を移動して(流れて)濃度調整タンク27内に回収(排出)される。したがって、回収液排出配管31は回収経路を構成している。
【0027】
濃度・液量制御システム9は、コンクトナー供給タンク33、コンクトナー供給ポンプ(P)34(本発明のトナー供給部に相当)、コンクトナー供給配管35、キャリアー液供給タンク36、キャリアー液供給ポンプ(P)37(本発明のキャリアー液供給部に相当)、キャリアー液供給配管38、濃度センサー39(本発明の濃度測定部に相当)、液量センサー40(本発明の液量測定部および液位測定部材に相当)、および流量センサー(S)41(本発明の液量測定部に相当)を有している。
【0028】
コンクトナー供給タンク33は、濃度調整タンク27に供給するコンクトナーT1を貯
留する。コンクトナー供給ポンプ34は、コンクトナー供給配管35を通してコンクトナー供給タンク33内のコンクトナーT1を濃度調整タンク27に送給する。キャリアー液
供給タンク36は、濃度調整タンク27に供給するキャリアー液T2を貯留する。キャリ
アー液供給ポンプ37は、キャリアー液供給配管38を通してキャリアー液供給タンク3
6内のキャリアー液T2を濃度調整タンク27に送給する。
【0029】
図3に示すように、濃度・液量制御システム9は、更に、メイン制御部42、第1のメモリー43、第1の演算器44、第1のルックアップテーブル(LUT)45、第2のメモリー46、第2の演算器47,第2のルックアップテーブル(LUT)48、ランダムアクセスメモリ(RAM)51、コンクトナーモーター制御部55、およびキャリアー液モーター制御部56を有する。また、図4に示すように、メイン制御部42は、第1の比較器57、第2の比較器58、滞留演算部59、滞留判定部60、選択器61,演算部62、およびタイミング生成部63を有する。
【0030】
メイン制御部42は、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tのトナー濃度を測定するにあたって濃度センサー39に濃度測定信号を出力する。すると、濃度センサー39から測定された濃度測定信号が電圧として出力される。この濃度測定信号の電圧は第1のメモリー43に格納される。そして、第1の演算器44が第1のメモリー43に格納された電圧を、電圧とトナー濃度との関係を表す第1のLUT45に基づいて濃度Dに変換してメイン制御部42に出力する。
【0031】
また、メイン制御部42は、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量を測定するにあたって液量センサー40に液量測定信号を出力する。すると、液量センサー40から測定された液量測定信号が電圧として出力される。この液量測定信号の電圧は第2のメモリー46に格納される。そして、第2の演算器47が第2のメモリー46に格納された電圧を、電圧と液量との関係を表す第2のLUT48に基づいて液量Vに変換してメイン制御部42に出力する。更に、流量センサー41が回収液排出管31内の回収液流量R0を測
定してメイン制御部42に出力する。
【0032】
更に、RAM51に格納されている濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの濃度目標値、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量上限値および液量下限値がメイン制御部42に出力される。その場合、RAM51に格納されている液量上限値は、回収液の滞留が発生していない状態の通常の液量制御に対して設定された基本液量上限値である。
【0033】
メイン制御部42において、演算器62は濃度センサー39で測定された濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの濃度DをRAM51からの濃度目標値と比較する。また、演算器62は液量センサー40で測定された濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量VをRAM51からの液量上限値と液量下限値との間に決められた液量目標値と比較する。そして、回収液の滞留が発生していない通常の濃度・液量制御時に、これらのトナー濃度および液量の各比較結果に基づいてコンクトナーT1の供給量およびキャリアー液T2の供給量を算出し、算出した各供給量をそれぞれコンクトナーモーター制御部55およびキャリアー液モーター制御部56に出力する。
【0034】
更に、第1の比較器57は、液量センサー40からの液量VとRAM51からの基本液量上限値と比較して、液量Vが基本液量上限値を超えたときは、コンクトナーモーター制御部55およびキャリアー液モーター制御部56にそれぞれ供給停止信号を出力して、コンクトナーT1およびキャリアー液T2の各供給を停止する。また、第2の比較器58は、液量センサー40からの液量VとRAM51からの液量下限値と比較して、液量Vが液量下限値を下回ったときは画像形成ユニット等に印字停止信号を出力して印字動作を停止する。すなわち、これらの基本液量上限値と液量下限値とで第1の液量の範囲が決定される。
【0035】
更に、滞留量演算部59は、流量センサー41で測定された回収液排出配管31内の回収液の単位時間あたりの回収液流量R0 ml/sec の値を時間積分することで滞留している
回収液の液量(滞留量)を算出する。また、滞留判定部60は、流量センサー41からの回収液流量R0 ml/sec の値に基づいて滞留の有無を判定する。したがって、流量センサ
ー41と滞留判定部60とにより、本発明の回収液滞留検出部が構成される。更に、選択器61は、滞留判定部60からの滞留ありの判定信号に基づいて、RAM51に格納されている基本液量上限値から滞留量分(滞留分)を差し引いて基本液量上限値を補正液量上限値に補正し、この補正液量上限値を演算部62に出力する。そして、演算部62は、濃度D、液量V、液量下限値、および補正液量上限値に基づいて、回収液の滞留発生時でのコンクトナーT1の供給量およびキャリアー液の供給量を算出する。すなわち、これらの
補正液量上限値と液量下限値とで前述の第1の液量の範囲より狭い第2の液量の範囲が決定される。更に、前述の回収液の滞留なしの場合と同様に、算出した各供給量をそれぞれコンクトナーモーター制御部55およびキャリアー液モーター制御部56に出力する。
【0036】
更に、演算器62は、濃度センサー39、液量センサー40、および流量センサー41のセンシングタイミング信号をタイミング生成部63に出力するとともに、コンクトナー供給ポンプ34およびキャリアー液供給ポンプ37にポンプ駆動タイミング信号をタイミング生成部63に出力する。タイミング生成部63はこれらのタイミング信号が入力されると、濃度センサー39、液量センサー40、および流量センサー41にセンシングの開始信号を出力するとともに、コンクトナーモーター制御部55およびキャリアー液モーター制御部56にそれぞれコンクトナーポンプモーターの駆動開始信号およびキャリアー液ポンプモーターの駆動開始信号を出力する。
【0037】
そして、メイン制御部42は、算出した各供給量をコンクトナーモーター制御部55およびキャリアー液モーター制御部56に出力する。コンクトナーモーター制御部55およびキャリアー液モーター制御部56は、それぞれ、コンクトナーポンプモーター(不図示)およびキャリアー液ポンプモーター(不図示)に、入力された各供給量に応じて周期およびデューティ比を変えたパルス信号を出力する。これにより、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tが所定の濃度目標範囲および所定の液量目標範囲(液量目標値)となるように、コンクトナー供給ポンプ34およびキャリアー液供給ポンプ37が運転制御される。こうして、濃度・液量制御システム9による濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの濃度・液量制御が行われる。
【0038】
以下、この例の濃度・液量制御システム9による濃度・液量制御方法について説明する。
この例の濃度・液量制御方法では、濃度調整タンク27内にキャリアー液と濃度35%のコンクトナーを適正量補給することにより、濃度調整タンク27内の濃度と液量とがそれぞれ一定範囲内に保持される。
【0039】
例えば、トナー濃度が良好な画質を維持するために濃度目標値25%を中心にその許容範囲±1%の濃度目標範囲に決定される。また、液量が濃度調整タンク27からオーバーフローすることなく現像に必要十分な液量の液体現像剤を供給するために液量下限値(300ml)と液量上限値(600ml)との間の液量目標範囲の液量目標値に決定される。
そして、濃度センサー39および液量センサー40によって測定された濃度調整タンク27内の現在の液体現像剤Tの濃度および液量と、これらの濃度目標範囲および液量目標範囲とを比較し、この比較の結果コンクトナーT1およびキャリアー液T2の各供給量が決定される。
【0040】
ただし、液量が液量目標範囲より大きい場合、液量は液量目標範囲に合わせることができない。また、コンクトナーT1の濃度が35%と濃度目標値(25%)との差が小さい
と、トナー濃度が濃度目標範囲より高い場合、トナー濃度と液体現像剤の液量とをともに濃度目標範囲および液量目標範囲に合わせることができない場合がある。この場合には、
液量が液量上限値(600ml )を超えない範囲で、トナー濃度を濃度目標範囲に合わせ
、かつ液量と液量目標値との差が最も小さくなるように、コンクトナーT1およびキャリ
アー液T2の各供給量が決定される。更に、現在の液量が液量目標範囲より大きく、トナ
ー濃度を濃度目標範囲に合わせようとすると液量が液量上限値を超えてしまう場合には、液量が液量上限値(600ml )を超えずかつトナー濃度と濃度目標範囲との差が小さく
なるように、コンクトナーT1およびキャリアー液T2の各供給量が決定される。以上のようにして、この例の濃度・液量制御システム9による濃度・液量制御方法では、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの濃度Dと液量Vとが一定範囲に保つ制御が行われる。
【0041】
しかし、印字条件や画像データによっては、トナー濃度や液量がそれぞれ濃度目標範囲や液量目標範囲から出てしまうことがあり得る。これにより、画質要求を満たさない印字や濃度調整タンク27のオーバーフローが発生する可能性がある。そこで、トナー濃度と液量の値とによって、濃度調整や印字の可否が切り替えられることにより、画質要求を満たさない印字や濃度調整タンク27のオーバーフローが防止される。その場合、濃度調整や印字の可否の切り替えは、図5に示すように濃度・液量の値に応じて次の4つの状態(A),(B),(C),(D)に分類され、対応する分類に応じて表1に示すように動作が切り替えられ
る。すなわち、
【0042】
【表1】

【0043】
(A) トナー濃度が濃度目標範囲内にあるとともに液量が液量目標範囲内にある状態
この状態では、表1に示すように濃度・液量制御システム9による通常の濃度・液量制御が継続して行われる。
(B) 液量が液量下限値を下回った状態、およびトナー濃度が濃度目標範囲外にあるとともに液量が上限値まで達していない状態
この状態では、表1に示すように印字を停止した状態で、濃度・液量制御のみが継続して行われる。そして、トナー濃度が濃度目標範囲内に戻りかつ液量が液量目標範囲内に戻ったとき、印字が再開される。
(C) トナー濃度は濃度目標範囲内にあるが、液量が液量上限値を超えた状態
この状態では、表1に示すように濃度調整が中止(停止)されてトナー濃度が濃度目標範囲内にある限り、印字のみが継続して行われる。
(D) トナー濃度が濃度目標範囲から外れ、液量が液量上限値を超えた状態
この状態では、表1に示すように濃度調整タンク27内の液体現像剤のトナー濃度が濃度目標範囲内に戻すことが不可能であるので、印字および濃度調整を含めた全体の動作が中止(停止)される。なお、この状態ではエラー通知がされる。
【0044】
ところで、連続印字動作中において、回収液が回収液排出配管31内に滞留しなくこの回収液排出配管31内を滑らかに移動している(流れている)場合、回収液排出配管31内の回収液の回収液流量R0 ml/sec は印字データによって変動するものの、予め設定さ
れた流量上限値と流量下限値との間の一定の範囲内の値を取る。一方、回収液が回収液排
出配管31内に滞留した場合、および回収液の滞留が解消中である場合には、回収液排出配管31内の回収液流量R0 ml/sec は大きく変動して前述の一定の範囲外の値を取る。
【0045】
そこで、この例の画像形成装置1では、流量センサー41によって回収液排出配管31内の回収液の回収液流量R0 ml/sec が測定され、測定された回収液流量R0 ml/sec が前述の一定の範囲と比較され、比較の結果に基づいて回収液の滞留の有無を検出(判断)する。すなわち、回収液流量R0 ml/sec が一定の範囲内にある場合は、回収液の滞留なし
を検出(判断)する。また、回収液流量R0 ml/sec が前述の流量下限値以下である場合
は、回収液の滞留ありを検出(判断)する。更に、回収液流量R0 ml/sec が前述の流量
上限値以上である場合は、回収液の滞留解消中を検出(判断)する。
【0046】
この滞留発生の有無の判断について具体的な一実施例を説明する。
図2に示すように、濃度調整タンク27から現像部5の液体現像剤貯留部17へ送給される液体現像剤Tの送給液量S0 ml/sec は、アニロックスローラー18によって汲み上
げられる液体現像剤Tの汲み上げ液量Saxr ml/sec と、液体現像剤貯留部17から回収
液貯留部30へあふれ出る液体現像剤Tのあふれ液量Rof ml/sec とに分かれる。したがって、アニロックスローラー18へ現像に必要な一定量の液体現像剤Tを安定して供給するためには、液体現像剤貯留部17への送給液量S0 ml/sec は、アニロックスローラー
18の汲み上げ液量Saxr ml/sec の最適値に比較して大きく設定する必要がある。
【0047】
そこで、この実施例では、アニロックスローラー18の汲み上げ液量Saxr ml/sec を
0.6ml/sec、液体現像剤貯留部17への送給液量S0を2.0ml/sec、回収液貯留部30
へのあふれ液量Rof ml/sec を1.4ml/sec となるようにしている。また、この実施例では、印字動作中に、中間ローラー19、現像ローラー20、感光体2から回収される単位時間あたりの液体現像剤Tの回収液量RCL ml/sec は印字する画像データにより異なるが、0ml/sec より大きく、0.6ml/sec 未満の値を取る。そして、図6に示すように、回
収液排出配管31内に回収液の滞留がなく、回収液が回収液貯留部30から濃度調整タンク27に連続的に滑らかに流れている場合、その回収液流量R0 ml/sec は、あふれ液量
of ml/sec と回収液量RCL ml/sec との和(R0=Rof+RCL)に一致する。したがっ
て、回収液流量R0 ml/sec は、図6に(i)で示す1.4ml/sec より大きく、2.0ml/sec 未満の値(1.4ml/sec 〜2.0ml/sec)を取る。
【0048】
回収液排出配管31内に回収液の滞留が発生すると、回収液の回収液流量R0 ml/sec
が大きく変化する。すなわち、回収液量R0 ml/sec は、図6に(ii)で示す0ml/sec、あ
るいは(Rof+RCL)ml/sec に比較して小さな値を取る。また、回収液の滞留が比較的
速い速度で解消中のときは、滞留していた回収液が濃度調整タンク27内に短時間で流れ込むため、回収液流量R0 ml/sec は、図6に(iii)で示すように大きく増加する。そして、滞留していた回収液が全て濃度調整タンク27内に流れ終わると、排出液量R0 ml/sec
は、図6に(i′)で示すように再び(i)と同様に1.4ml/sec 〜2.0ml/sec の範囲の値
を取る。
【0049】
そこで、この例の画像形成装置1は、回収液の滞留の有無により、回収液の排出状態を次の3つの状態に分けるとともに、回収液流量R0 ml/sec の値により、回収液の排出状
態がこれらのいずれの排出状態であるかを判定している。すなわち、
(i) 滞留なし (1.4ml/sec < R0 ml/sec < 2.0ml/sec )
(ii) 滞留あり (R0 ml/sec ≦ 1.4ml/sec )
(iii) 滞留解消中 (R0 ml/sec ≧ 2.0ml/sec )。
【0050】
したがって、この実施例では、流量下限値が1.4ml/sec とし、また基本流量上限値が2.0ml/sec とすることができる。
【0051】
更に、この例の画像形成装置1では、この回収液の滞留が発生したとき(つまり、(ii)の状態のとき)にも、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの濃度・液量制御が行われる。その場合、滞留発生時の濃度・液量制御が前述の滞留発生なしのときの濃度・液量制御と同じ制御が行われると、滞留解消時に大量の滞留分回収液が短時間で濃度調整タンク27内に流入することになる。このため、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tがオーバーフローを引き起こす可能性がある。
【0052】
そこで、滞留発生時の濃度・液量制御では、滞留している回収液の液量が回収液流量R0 ml/sec を用いて計算により求められる。そして、通常の液量制御における基本液量上
限値が、求められた液量分(回収液の滞留分)だけ下げられた補正液量上限値とされる。したがって、濃度調整タンク27内の液量制御が液量下限値と補正液量上限値との間の狭められた一定の範囲内で行われる。
【0053】
滞留した回収液の液量の計算は、次のようにして行われる。すなわち、回収液貯留部30内に回収される最大回収液量VR ml は、液体現像剤Tの現像剤貯留部17への供給量
0 ml/sec と回収液排出配管31を流れる回収液流量R0 ml/sec との差を次の式(1)
R = ∫(S0 − R0)dt (1)
により時間積分して求めることができる。回収液貯留部30内に回収される回収液量は、印字データにより変動するので正確に求めることはできないが、回収液の最大値を想定して計算することにより、濃度調整タンク27のオーバーフローを防ぐことができる。
【0054】
また、この例の濃度・液量制御では、回収液の滞留解消中(つまり、(iii)の状態のと
き)では、濃度調整タンク27に回収された回収分だけ、補正液量上限値を基本液量上限値の方へ戻した(上げた)新たな補正液量上限値で制御が行われる。回収された滞留分を含めた液量VR ml/sec は滞留発生時と同様に、回収液流量R0 ml/sec と供給量S0 ml/sec との差を次の式(2)
R = ∫(S0 − R0)dt (2)
により時間積分して求めることができる。式(1)および(2)を合わせて考えると、状態(ii)および(iii)のいずれの状態でも、滞留発生からの積分∫(S0 − R0)dtによ
って現在の回収液量が算出できる。したがって、濃度・液量制御における基本液量上限値は、
(基本液量上限値)−∫(S0 − R0)dt (3)
で与えられる補正液量上限値に変更される。排出状態が(i)の状態に戻るか、あるいは∫
(S0 − R0)dt=0になったとき、補正液量上限値は滞留なしのときの基本液量上限値に戻される。
【0055】
このように、回収液の滞留発生時には液量上限値を下げることにより、液量上限値と液量下限値との中間点に設定される液量目標値も滞留分に応じた分だけ下がることになる。すなわち、前述の3つの状態(i)、(ii)、および(iii)における液量下限値、液量上限値、および制御時の目標値は、表2に示すようになる。
【0056】
【表2】

【0057】
図7は画線率10%の画像データを連続印字中に滞留状態が変化した場合の、液量上限値、液量下限値、および目標値と液量の変化の一例を示す図である。
図7に示すように、回収液排出配管31に滞留が発生していない状態では、通常の濃度・液量制御が行われて、キャリアー液およびコンクトナーとが、印字に消費された分だけ補給される。これにより、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量Vはほぼ目標値に保たれる。
【0058】
滞留が発生すると、濃度調整タンク27内の液量の減少量が増加する。この状態で、滞留が発生していない状態での通常の濃度・液量制御が行われると、前述のようにキャリアー液およびコンクトナーとが補給されるため、濃度調整タンク27内には目標値の液量が保たれる。その後に、滞留が解消状態となって滞留分の回収液が濃度調整タンク27内へ短時間に流入すると、濃度調整タンク27内の液量は大幅に増加する。このとき、濃度調整タンク27内の液量が液量目標値に保たれているので、濃度調整タンク27内の液量は滞留分の回収液が流入することで液量上限値を超えたり、オーバーフローを引き起こしたりしてしまう。これに対して、この例の濃度・液量制御では、図7に点線で示すように液量上限値が下げられることで液量目標値も下げられる。これにより、滞留発生中は濃度調整タンク27の液量は下げられた液量目標値に基づいて制御されて回収液の滞留分通常より少ない状態に保たれる。したがって、滞留解消中および滞留解消後には濃度調整タンク27内の液体現像剤の液量は液量上限値を超えることがない。
【0059】
仮に、図8に示すように濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量が液量目標値を超えた多い状態で回収液の滞留が発生したときは、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量が図8に点線で示す滞留分下げられた液量上限値に達した段階で、キャリアー液およびコンクトナーの各補給が停止される。したがって、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量は、下げられた液量上限値を超えることがなく、オーバーフローが防止される。
【0060】
図9は、この例の画像形成装置における回収液の滞留検出および濃度・液量制御のフローを示す図である。
図9に示すように、まずステップS1で濃度調整タンク27内の液体現像剤Tのトナー濃度が濃度センサー39で測定されるとともに、ステップS2で濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量が液量センサー40で測定される。更に、ステップS3で回収液排出配管31を流れる回収液の流量R0 ml/sec が流量センサー41により測定されて取得さ
れる。次いで、ステップS4で回収液の流量R0 ml/sec が予め設定された流量下限値よ
り大きくかつ基本流量上限値より小さいか否かが判断される。この場合、流量下限値は、例えば前述の実施例の(ii)で示される滞留ありの状態を判定する1.4ml/sec に設定することができる。また、基本流量上限値は、例えば前述の実施例の(iii)で示される滞留解
消中の状態を判定する2.0ml/sec に設定することができる。
【0061】
回収液の回収液流量R0 ml/sec が流量下限値より大きくかつ基本流量上限値より小さ
いと判断されると、ステップS5で濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量が予め設
定された液量下限値および基本液量上限値との大小が比較判断される。この液量が液量下限値以上でかつ基本液量上限値以下であると判断されると、ステップS6で濃度調整タンク27内の液体現像剤Tのトナー濃度が予め設定された濃度下限値以上でかつ基本濃度上限値以下であるか否かが判断される。このトナー濃度が濃度下限値以上でかつ基本濃度上限値以下であると判断されると、ステップS7でメイン制御部42が測定された濃度および液量に基づいてコンクトナー供給量を算出するとともに、ステップS8でコンクトナーモーター制御部55が算出されたコンクトナー供給量に基づいてパルス信号を出力してコンクトナーポンプモーター(不図示)を駆動する。また、ステップS9でメイン制御部42が測定されたトナー濃度および液量に基づいてキャリアー液供給量を算出するとともに、ステップS10でキャリアー液モーター制御部56が算出されたキャリアー液供給量に基づいてパルス信号を出力してキャリアー液ポンプモーター(不図示)を駆動する。これにより、コンクトナー供給ポンプ34およびキャリアー液供給ポンプ37が運転されて濃度・液量制御システム9による濃度調整および液量制御が行われ、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tが所定のトナー濃度に調整されるとともに、基本液量上限値と液量下限値とで決まる所定範囲内の目標値の液量に制御される。その後、液体現像剤Tのトナー濃度が所定の濃度に調整されるとともに液体現像剤Tの液量が所定範囲の液量に制御されると、コンクトナー供給ポンプ34およびキャリアー液供給ポンプ37が停止され、濃度・液量制御システム9による濃度調整および液量制御が終了する。
【0062】
ステップS6で液体現像剤Tのトナー濃度が濃度下限値以上でかつ基本濃度上限値以下でないと判断されると、ステップS11でメイン制御部42は現像部5を停止し、印字が停止される。その後、ステップ7に移行し、ステップ7以降の処理が行われる。
【0063】
ステップS5で液体現像剤Tの液量が液量下限値より小さいと判断されると、ステップS12でメイン制御部42は現像部5を停止し、印字が停止される。その後、ステップ7に移行し、ステップ7以降の処理が行われる。また、ステップS5で液体現像剤Tの液量が基本液量上限値より大きいと判断されると、ステップS13で濃度調整タンク27内の液体現像剤Tのトナー濃度が濃度下限値以上でかつ基本濃度上限値以下であるか否かが判断される。このトナー濃度が濃度下限値以上でかつ基本濃度上限値以下であると判断されると、ステップS14でコンクトナーポンプモーターが停止されるとともに、ステップS15でキャリアー液ポンプモーターが停止される。すなわち、メイン制御部42はコンクトナーモーター制御部55にコンクトナー供給ポンプ34の停止信号を出力するとともにキャリアー液モーター制御部56にキャリアー液供給ポンプ37の停止信号出力する。これにより、コンクトナーモーター制御部55はパルス信号を出力してコンクトナーポンプモーターを停止するとともに、キャリアー液モーター制御部56はパルス信号を出力してキャリアー液ポンプモーターを停止する。したがって、コンクトナー供給ポンプ34によるコンクトナーの供給およびキャリアー液供給ポンプ37によるキャリアー液の供給が停止される。こうして、濃度・液量制御が終了する。
【0064】
ステップS13で濃度調整タンク27内の液体現像剤Tのトナー濃度が濃度下限値以上でかつ基本濃度上限値以下でないと判断されると、ステップS16で印字が停止される。また、ステップS17およびS18で、ステップS14およびS15の処理と同様にコンクトナーポンプモーターおよびキャリアー液ポンプモーターが停止される。そして、ステップS19でエラーがメイン制御部42に通知される。
【0065】
ステップS4で回収液の流量R0 ml/sec が流量下限値より大きくなくかつ基本流量上
限値より小さくないと判断されると、回収液の滞留が発生したと判断されて、ステップS20で回収液の滞留量が算出される。そして、ステップS21で濃度・液量制御における液体上限値が基本液量上限値から、算出された滞留量(滞留分)を差し引いた補正液量上限値に下げられる。その後、ステップS5に移行し、ステップS5以降の各処理が行われ
る。
【0066】
この例の画像形成装置1によれば、流量センサー41によって測定された回収液流量R0 ml/sec が予め設定された流量下限値と基本流量上限値との間の一定の範囲内にあると
きは、回収液が回収液排出配管31を連続して滑らかに流れていることになるので、回収液排出配管31に回収液の滞留は発生していないと判断する。したがって、回収液の滞留なしと判断したときは、濃度センサー39で測定された濃度調整タンク27内の液体現像剤Tのトナー濃度および液量センサー40で測定された液量調整タンク27内の液体現像剤Tの液量に応じて、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tのトナー濃度がほぼ濃度目標値に調整されるとともに液体現像剤濃度調整部の液体現像剤の液量が液量下限値と基本液量上限値との間の一定の範囲内に制御される。これらの液体現像剤の濃度調整および液体現像剤の液量制御により、コンクトナー供給タンク33のコンクトナーT1、およびキャ
リアー液供給タンク36のキャリアー液T2が濃度調整タンク27に供給される。また、
回収液流量R0 ml/sec が前述の流量下限値以下のときは、回収液排出配管31を流れる
回収液の流れが滞ることになるので、回収液排出配管31に回収液の滞留が発生していると判断する。したがって、回収液の滞留ありと判断したときは、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量上限値を基本液量上限値から回収液の滞留分だけ下げた補正液量上限値とする。これにより、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量は補正液量上限値に基づいて制御されるので、この補正液量上限値を超えることがない。その後、滞留した回収液が自重で落下して濃度調整タンク27内に流入すると、濃度調整タンク27内の液位が上昇する。しかし、濃度調整タンク27の液量上限値が基本液量上限値から補正液量上限値に下げられているので、濃度調整タンク27内の液位が上昇した状態で、前述の濃度・液量制御が行われて新たなコンクトナーT1や新たなキャリアー液T2が供給されても、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量はこの補正液量上限値を超えることがない。これにより、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tが濃度調整タンク27からオーバーフローするのを防止することができる。したがって、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量を一定の範囲内に保持することが可能となる。
【0067】
また、液体現像剤Tのオーバーフローが防止されることから、コンクトナーT1の供給
自由度およびキャリアー液T2の供給自由度が高くなるので、液体現像剤Tのトナー濃度
を容易にかつ確実に調整することが可能となる。
【0068】
したがって、高粘度の液体現像剤を用いても、濃度調整タンク27内の液体現像剤Tのトナー濃度を所定の濃度に保持するとともにトナー濃度調整タンク27内の液体現像剤Tの液量を所定の範囲内に保持した状態で、連続印字動作を行うことができる。これにより、連続印字動作を途中停止させることなく、高画質での連続印字を安定的に行うことが可能となる。
【0069】
なお、本発明の画像形成装置および画像形成方法は、前述の実施の形態の例に限定されることはない。例えば、前述の実施の形態の例では、回収液流量R0 ml/sec は流量セン
サー41で測定しているが、計算によって求めることもできる。その場合、回収液流量R0 ml/sec は、濃度調整タンク27の液量センサー40で測定された液体現像剤Tの液量
、液体現像剤Tの送給液量S0 ml/sec 、液体現像剤Tの汲み上げ液量Saxr ml/sec 、液体現像剤Tのあふれ液量Rof ml/sec 、液体現像剤Tの回収液量RCL ml/sec 等に基づいて計算される。要は、本発明は特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…画像形成装置、2,2Y,2M,2C,2K…感光体、3Y,3M,3C,3K…帯電部、
4Y,4M,4C,4K…露光部、5,5Y,5M,5C,5K…現像部、6,6Y,6M,6C,
6K…感光体スクイーズ部、8,8Y,8M,8C,8K…現像剤回収補給部、9,9Y,9M,9C,9K…濃度・液量制御システム、10…中間転写ベルト、13は二次転写部、17は液体現像剤貯留部、18…アニロックスローラー、19…中間ローラー、20…現像ローラー、21…中間ローラークリーニングブレード、22…現像ローラークリーニングブレード、23…第1の感光体スクイーズローラー、24…第2の感光体スクイーズローラー、25…第1のスクイーズローラークリーニングブレード、26…第2のスクイーズローラークリーニングブレード、27…濃度調整タンク、28…液体現像剤供給ポンプ(P)、29…液体現像剤供給配管、30…回収液貯留部、31…回収液排出配管、32…仕切板、33…コンクトナー供給タンク、34…コンクトナー供給ポンプ(P)、35…コンクトナー供給配管、36…キャリアー液供給タンク、37…キャリアー液供給ポンプ(P)、38…キャリアー液供給配管、39…濃度センサー、40…液量センサー、41…液量センサー、42…メイン制御部、44…第1の演算器、47…第2の演算器、55…コンクトナーモーター制御部、56…キャリアー液モーター制御部、57…第1の比較器、58…第2の比較器、59…滞留演算部、60…滞留判定部、61…選択器、62…演算部、63…タイミング生成部、T…液体現像剤、T1…コンクトナー、T2…キャリアー液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像が形成される潜像担持体と、
トナー及びキャリアー液を含む液体現像剤を貯留する液体現像剤貯留部、前記液体現像剤貯留部の液体現像剤を担持するとともに担持した液体現像剤で前記潜像担持体の前記潜像を現像する現像剤担持体、及び前記潜像担持体の前記潜像を現像した前記現像剤担持体をクリーニングする現像剤担持体クリーニング部材を有する現像部と、
貯留した液体現像剤のトナー濃度を測定する濃度測定部、及び貯留した液体現像剤の液量を測定する液量測定部を有し、前記液体現像剤貯留部に供給する液体現像剤のトナー濃度を第1のトナー濃度に液体現像剤濃度調整部と、
前記液体現像剤濃度調整部に貯留された液体現像剤を前記液体現像剤貯留部に供給する液体現像剤供給経路と、
前記第1のトナー濃度よりも高い第2のトナー濃度の液体現像剤を前記液体現像剤濃度調整部に供給するトナー供給部と、
前記キャリアー液を前記液体現像剤濃度調整部に供給するキャリアー液供給部と、
前記現像剤担持体クリーニング部材でクリーニングされて回収された液体現像剤を貯留する回収液貯留部と、
前記濃度測定部で測定された液体現像剤のトナー濃度および前記液量測定部で測定された液体現像剤の液量に基づいて前記トナー供給部から供給される液体現像剤の供給量及び前記キャリアー液供給部から供給されるキャリアー液の供給量を制御して前記液体現像剤濃度調整部の液体現像剤のトナー濃度を調整するとともに、前記液体現像剤濃度調整部に貯留された液体現像剤の液量を予め定められた第1の液量の範囲に制御する制御部と、
前記回収液貯留部に貯留された液体現像剤が前記液体現像剤濃度調整部に移動させる回収経路と、
前記回収経路に移動する液体現像剤の滞留を検出する回収液滞留検出部と、を備え、
前記制御部は、前記回収液滞留検出部が前記回収経路での液体現像剤の滞留を検出したときは、前記液体現像剤濃度調整部に貯留される液体現像剤の液量を前記第1の液量の範囲よりも狭い第2の液量の範囲で制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記液量測定部は、前記液体現像剤濃度調整部に貯留された液体現像剤の液位を測定する液位測定部材であり、
前記制御部は、前記液体現像剤濃度調整部に貯留された液体現像剤の液位を予め定められた上限値及び下限値の範囲で制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記液体現像剤濃度調整部に貯留される液体現像剤の液量を前記第2の液量の範囲で制御する時、前記上限値を下げる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記液体現像剤濃度調整部に貯留される液体現像剤の液量を前記第2の液量の範囲で制禦する時、前記第2の液量の範囲は、前記回収液滞留検出部で検出される液体現像剤の滞留量に基づいて調整される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
液体現像剤濃度調整部に貯留されたトナー及びキャリアー液を含む液体現像剤を第1のトナー濃度に調整し、
前記第1のトナー濃度に調整された液体現像剤を現像剤担持体に担持させて潜像を現像し、
潜像を現像した現像剤担持体をクリーニングして液体現像剤を回収し、
回収された液体現像剤を前記液体現像剤濃度調整部へ移動させるとともに移動する液体現像剤が滞留しているか否かを検出し、
滞留が検出されないときには、前記液体現像剤濃度調整部に貯留された液体現像剤を前記第1のトナー濃度に調整するとともに予め定められた第1の液量の範囲に制御し、
滞留が検出されたときには、前記液体現像剤濃度調整部に貯留された液体現像剤を前記第1のトナー濃度に調整するとともに予め定められた第1の液量の範囲よりも狭い第2の液量の範囲に液体現像剤の液量を制御することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113022(P2012−113022A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259841(P2010−259841)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】