説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】スクイーズニップの入り口部に液だまりが生じても、スクイーズ部材からのトナーの潜像担持体への移動を抑制して画像濃度を均一にする。
【解決手段】潜像を担持する感光体2Yと、感光体2Yに潜像を形成する露光部4Yと、トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を供給するアニロクスローラーおよび中間ローラーと液体現像剤を担持する現像ローラーとを有し、感光体2Yの潜像を現像する現像部5Yと、現像後の感光体2Yの液体現像剤の光学濃度を検出する第1の濃度検出部25Yと、第1の濃度検出部25Yで検出された感光体2Yに当接するスクイーズローラー19Y,20Yを有し、感光体2Yをスクイーズするスクイーズ部6Yと、スクイーズ後の感光体2Yの液体現像剤の光学濃度を検出する第2の濃度検出部26Yとを有し、第1および第2の光学濃度に基づいて現像ローラー上の液体現像剤膜厚を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて現像を行うとともに、現像後に潜像担持体に担持される余剰現像剤を除去する電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いた画像形成装置においては、キャリアー液の粘性によって余剰な液体現像剤が潜像担持体に付着するため、潜像担持体上において余剰のキャリアー液を除去する必要がある。また、潜像担持体の非画像部に付着した余分なトナー(カブリトナー)を除去する必要がある。そこで、潜像担持体に当接しニップを形成する弾性体からなる除去部材(スクイーズ部材)であって、ニップ内では潜像担持体の表面移動方向と同方向に移動するスクイーズ部材を用いて、このような余剰のキャリアー液やカブリトナー等の余剰現像剤を除去することが提案されている(例えば、特許文献1および2)。
【0003】
また、特許文献2には、余剰現像剤除去部をトナー像が通過した後に潜像担持体のトナー像の光学濃度を濃度検出部で検出し、その検出結果に基づいて除去部材に印加するバイアスまたは潜像担持体と除去部材とのニップ幅を調節して除去力を制御することが記載されている。この除去力の制御により、作像条件が変化しても画質を維持することができることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−278303号公報
【特許文献2】特開2006−189639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1および2に記載のように除去部材が回転可能に潜像担持体に当接すると、除去部材と潜像担持体とのニップ入り口に液だまりが発生する。特に、潜像担持体の表面速度と除去部材の表面速度とが異なる場合にはこの液だまりが発生し易い。この液だまりには、潜像担持体の非画像部から移動したカブリトナーが滞留する場合がある。このトナーは、潜像担持体の画像部が前述のニップ入り口に到達すると潜像担持体側に移動して、その画像部に再付着(再現像)が発生する。この再現像が発生すると、画像部の先端側濃度が後端側濃度より高くなって濃度むらが生じ、画質の均一性が低下する。
【0006】
また、特許文献2に記載のように除去部材のバイアスを制御しても、除去部材のバイアス(例えば300V)が潜像担持体の画像部の電位(例えば50V)より高いため、除去部材側から画像部側へ向かう電界が生じる。このため、カブリトナーが画像部に再現像されてしまう。この現象に対して、特許文献2に記載のように除去部材と潜像担持体とのニップ幅を制御しても、ニップの形成により液だまりが生じることから、カブリトナーの再現像を解消することは難しい。また、画像パターンの濃度変化に応じて除去部材の除去力を制御しているが、画像パターン内で濃度変化が起こるため、除去力制御でもカブリトナーの再現像を解消することは難しい。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、スクイーズニップの入り口部に液だまりが生じても、スクイーズ部材からのトナーの潜像担持体への移動を抑制して、長期的に画像先端の濃度むらを抑え、画質均一性の高い画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体を帯電する帯電部と、前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を供給する供給部材、及び前記供給部材で供給された液体現像剤を担持する現像部材を有し、前記潜像担持体に担持される前記潜像を現像する現像部と、前記現像部材で現像された前記潜像担持体に担持された液体現像剤の光学濃度を検出する第1の濃度検出部と、前記第1の濃度検出部で検出された前記潜像担持体に当接するスクイーズ部材を有し、前記潜像担持体をスクイーズするスクイーズ部と、前記スクイーズ部材でスクイーズされた前記潜像担持体に担持された液体現像剤の光学濃度を検出する第2の濃度検出部と、前記第1の濃度検出部で検出された光学濃度及び前記第2の濃度検出部で検出された光学濃度に基づいて、前記供給部材により前記現像部材に塗布する液体現像剤の供給量を制御する制御部とを備えることを特徴としている。
また、前記現像部が、前記現像部材に担持される液体現像剤を帯電させる現像剤プリチャージバイアスを印加する現像剤プリチャージ帯電部を有し、前記制御部は、前記第1の濃度検出部で検出された光学濃度及び前記第2の濃度検出部で検出された光学濃度に基づいて、前記現像剤プリチャージバイアスを制御することを特徴としている。
また、前記第1の濃度検出部が、前記露光部により前記潜像が形成されて前記現像部材で前記潜像が現像された前記潜像担持体の位置の光学濃度と、前記露光部により前記潜像が形成されていない前記潜像担持体の位置の光学濃度とを検出することを特徴としている。
また、前記第2の濃度検出部が、前記露光部により前記潜像が形成されて前記現像部材で前記潜像が現像された前記潜像担持体の位置の光学濃度と、前記露光部により前記潜像が形成されていない前記潜像担持体の位置の光学濃度とを検出することを特徴としている。
また、潜像担持体を露光して潜像を形成し、トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を供給部材で供給された現像部材で前記潜像を現像し、前記現像部材で現像された前記潜像担持体に担持された前記液体現像剤の光学濃度を第1の光学濃度検出部で検出し、前記第1の光学濃度検出部で検出された前記潜像担持体をスクイーズし、スクイーズされた前記潜像担持体に担持された前記液体現像剤の光学濃度を第2の光学濃度検出部で検出し、前記第1の光学濃度検出部で検出された光学濃度、及び前記第2の光学濃度検出部で検出された光学濃度に基づいて、前記供給部材から現像部材へ供給される液体現像剤の供給量を制御することを特徴としている。
前記第1の光学濃度検出部が、前記潜像が形成された後現像された像の光学濃度と、前記潜像が形成されていない前記潜像担持体の位置に担持された前記液体現像剤の光学濃度とを検出することを特徴としている。
前記第2の光学濃度検出部が、前記潜像が形成された後現像された像の光学濃度と、前記潜像が形成されていない前記潜像担持体の位置に担持された前記液体現像剤の光学濃度とを検出することを特徴としている。
【0009】
上記の本発明に係る画像形成装置および画像形成方法では、スクイーズニップの入り口部に液だまりが生じても、この液だまり内に存在するトナーの量を低減することができる。その結果、画像先端の濃度むらを抑えて画質の均一性を向上させることが可能となる。
【0010】
また、現像後の潜像担持体に担持されるトナーの光学濃度の均一性およびスクイーズ後の潜像担持体に担持されるトナーの光学濃度の均一性を確認することができる。その結果、画質欠陥の発生をより効果的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の画像形成装置の実施の形態の第1例の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】液だまりの発生を説明する図である。
【図3】感光体移動量と液だまり量との関係を示す図である。
【図4】液だまり内のトナーの感光体への再付着(再現像)を説明する図である。
【図5】パッチ濃度の濃度むらを説明する図である。
【図6】感光体とスクイーズローラーとのスクイーズニップ領域に存在するトナーを説明する図である。
【図7】アニロクスローラーの表面速度と現像ローラー上の液体現像剤膜厚との関係を示す図である。
【図8】第1例での感光体上における光学濃度の制御を説明する図である。
【図9】(a)は感光体上に形成された画像を示す図、(b)は制御前の光学濃度を示す図、(c)は制御後の光学濃度を示す図である。
【図10】(a)はスクイーズ前のパッチ濃度を示す図、(b)はスクイーズ後のパッチ濃度を示す図である。
【図11】パッチ濃度の変化を説明する図である。
【図12】現像後のカブリ濃度に対する最大濃度むらを示す図である。
【図13】液体現像剤膜厚に対するカブリ濃度を示す図である。
【図14】ベタ濃度およびカブリ濃度に対する液体現像剤膜厚の有効領域を示す図である。
【図15】最大濃度むらがほとんど生じない液体現像剤膜厚の領域を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態の第2例を示す、図8と同様の図である。
【図17】第2例での現像ローラーに担持される液体現像剤中のトナーへの帯電を説明する図である。
【図18】第2例での感光体とスクイーズローラーとのスクイーズニップ領域に存在するトナーを説明する図である。
【図19】液体現像剤膜厚およびプリチャージバイアスとカブリ濃度との関係を示す図である。
【図20】感光体上でのトナーの光学濃度の制御方法の一例を説明する表1である。
【図21】液体現像剤膜厚およびプリチャージバイアスの制御を説明する表2である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の第1例を模式的にかつ部分的に示す図である。
この第1例の画像形成装置1はトナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて画像形成を行う。図1に示すように、この例の画像形成装置1は、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の潜像をそれぞれ担持する潜像担持体である感光体2Y,2M,2C,2Kを備えている。ここで、各感光体2Y,2M,2C,2Kにおいて、2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンタの感光体、2Cはシアンの感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。
各感光体2Y,2M,2C,2Kは、図1に示す例ではいずれも、感光体ドラムから構成されている。なお、各感光体2Y,2M,2C,2Kは、無端ベルト状に構成することもできる。
【0013】
これらの感光体2Y,2M,2C,2Kは、いずれも作動時に図1に矢印で示すように時計回りに回転する。各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、それぞれ、帯電部3Y,3M,3C,3Kが配設されている。また、各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、それぞれ、露光部4Y,4M,4C,4K、現像部5Y,5M,5C,5K、感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6K、一次転写部7Y,7M,7C,7K、および感光体クリーニング部8Y,8M,8C,8Kが、帯電部3Y,3M,3C,3Kから各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向に向かってこれらの順に配設されている。なお、各感光体2Y,2M,2C,2Kは一次転写後に、図示しない除電部によって除電される。これらの各感光体2Y,2M,2C,2K、各帯電部3Y,3M,3C,3K、各露光部4Y,4M,4C,4K、各現像部5Y,5M,5C,5K、各感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6K、各一次転写部7Y,7M,7C,7K、各感光体クリーニング部8Y,8M,8C,8K、および各除電部により、それぞれ、この第1例の画像形成装置1の各画像形成ユニットが構成される。
【0014】
また、画像形成装置1は、像担持体である無端状の中間転写ベルト9を備えている。この中間転写ベルト9は、各感光体2Y,2M,2C,2Kの鉛直方向の上方に配置されている。そして、中間転写ベルト9は各一次転写部7Y,7M,7C,7Kにおいてそれぞれ各一次転写ローラー7Y1,7M1,7C1,7K1で各感光体2Y,2M,2C,2Kに離間当接可能に圧接される。
【0015】
中間転写ベルト9は図示しないモーターの駆動力が伝達される中間転写ベルト駆動ローラー10および中間転写ベルトテンションローラー11に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト9はテンションを付与された状態で、矢印方向(図1において反時計回り)に回転するようにされている。なお、各色Y、M、C、Kに対応する感光体等の部材の配置順は、図1に示す例に限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0016】
中間転写ベルト9の中間転写ベルト駆動ローラー10側には二次転写部12が設けられている。二次転写部12は、二次転写ローラー13を有している。二次転写ローラー13は図1に矢印で示す方向(図1において時計回り)に回転する。この二次転写ローラー13は、中間転写ベルト駆動ローラー10に巻き掛けられる中間転写ベルト9に圧接されて二次転写ニップを形成する。また、中間転写ベルト9の中間転写ベルトテンションローラー11側には、中間転写ベルトクリーニング部14が設けられている。
【0017】
各現像部5Y,5M,5C,5Kは、それぞれ各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接して現像ニップを形成する現像部材である各現像ローラー15Y,15M,15C,15K、これらの現像ローラー15Y,15M,15C,15Kにそれぞれ当接する供給ローラーの1つである各中間ローラー16Y,16M,16C,16K、各中間ローラー16Y,16M,16C,16Kにそれぞれ当接する各供給ローラー(アニロクスローラ−)17Y,17M,17C,17K、および液体現像剤を収納する現像剤容器18Y,18M,18C,18Kを有する。そして、各供給ローラー17Y,17M,17C,17Kおよび各中間ローラー16Y,16M,16C,16Kがそれぞれ図1に矢印で示す方向に回転する。
【0018】
すなわち、各感光体2Y,2M,2C,2Kと各現像ローラー15Y,15M,15C,15Kとは互いにウィズ回転する。これにより、各感光体2Y,2M,2C,2Kに形成された潜像が各現像ローラー15Y,15M,15C,15Kから供給される液体現像剤により現像される。また、各現像ローラー15Y,15M,15C,15Kと各中間ローラー16Y,16M,16C,16Kとは、互いに同方向(両周速方向は逆向き)に回転する(以下、カウンター回転という)。更に、各中間ローラー16Y,16M,16C,16Kと各供給ローラー17Y,17M,17C,17Kとは、互いにウィズ回転する。これにより、各現像剤容器18Y,18M,18C,18K内に収納されている各色の液体現像剤が、それぞれ対応する各現像ローラー15Y,15M,15C,15Kに供給される。その結果、各現像ローラー15Y,15M,15C,15Kには、液体現像剤の所定の膜厚(例えば、4〜10μm)の薄膜が形成される。液体現像剤の膜厚は所望の画像濃度に合わせて調整される。また印字に用いる転写材21の種類によって表面の凹凸量が異なるために、転写材21の種類に応じて調整される。
【0019】
各感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6Kは、それぞれ各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接して第1のスクイーズニップを形成するスクイーズ部材である
第1の感光体スクイーズローラー19Y,19M,19C,19Kと、各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接して第2のスクイーズニップを形成するスクイーズ部材である第2の感光体スクイーズローラー20Y,20M,20C,20Kとを有している。各感光体2Y,2M,2C,2Kと、各第1の感光体スクイーズローラー19Y,19M,19C,19Kおよび各第2の感光体スクイーズローラー20Y,20M,20C,20Kとは互いに等速でウィズ回転する。これにより、各現像部5Y,5M,5C,5Kで各感光体2Y,2M,2C,2Kに現像されたトナー像が各第1の感光体スクイーズローラー19Y,19M,19C,19Kおよび各第2の感光体スクイーズローラー20Y,20M,20C,20Kによって乱されない。
【0020】
この第1例の画像形成装置1の基本的な画像形成動作について説明する。
画像指令が入力されると、各画像形成ユニットが作動する。イエローの感光体2Yが帯電部3Yにより一様帯電されるとともに、露光部4Yによって感光体2Yにイエローの潜像が書き込まれる(形成される)。感光体2Yのイエローの潜像は現像部5Yの現像ローラー15Yによって供給されるイエローのトナーによって現像される。このとき、現像ローラー15Yには現像バイアスが印加される。現像されたイエローのトナー像が感光体2Yの回転によりイエローの一次転写部7Yの方へ搬送される。この間、感光体スクイーズ部6Yにより、所定量のキャリアー液および感光体2Yの潜像が形成されない非画像部のカブリトナーが除去される。このとき、感光体スクイーズ部6Yの第1および第2スクイーズローラー19Y,20Yにはスクイーズバイアスが印加される。同様にして、マゼンタ、シアン、およびブラックのトナー像がそれぞれ各感光体2M,2C,2Kに形成されて各一次転写部7M,7C,7K方へ搬送される。
【0021】
そして、イエローの一次転写部7Yに搬送されてきたイエローのトナー像は一次転写部7Yで中間転写ベルト9に一次転写される。次いで、マゼンタの一次転写部7Mに搬送されてきたマゼンタのトナー像が一次転写部7Mで中間転写ベルト9にイエローのトナー像に色重ねされて一次転写される。同様にして、シアン およびブラックの各一次転写部7C,7Kに搬送されてきたトナー像がそれぞれ一次転写部7C,7Kで中間転写ベルト9に順次色重ねされて一次転写される。こうして、中間転写ベルト9にフルカラーのトナー像が形成される。
【0022】
中間転写ベルト9に担持されたトナー像は二次転写部12で、搬送されてきた紙等の転写材21に二次転写される。転写材21に転写されたトナー像は、図示しない定着部で定着される。こうして、転写材21にフルカラーの画像が形成される。この第1例の画像形成装置1の基本的な他の構成および基本的な他の画像形成動作は、液体現像剤を用いた従来の同種の画像形成装置と同様であるので、その説明は省略する。
【0023】
そして、第1例の画像形成装置1では、各現像ローラー5Y,5M,5C,5Kに担持される液体現像剤量を各現像ローラー15Y,15M,15C,15K、各中間ローラー16Y,16M,16C,16K、および各供給ローラー17Y,17M,17C,17Kの表面速度を制御することで、各感光体2Y,2M,2C,2K上におけるトナーの光学濃度が制御される。
【0024】
ところで、図2に示すように、例えば感光体2Yと第1の感光体スクイーズローラー19Yとのスクイーズニップのニップ入口部22Yに液体現像剤の液だまり23Yが生じる。この液だまり23Yの量は、図3に示すように感光体2Yおよび第1の感光体スクイーズローラー19Yの回転開始から、感光体2Yの表面の移動量が多くなるに連れて大きく増大し、感光体2Y表面の移動量がある程度の量になると、その増大が緩やかになる。これは、感光体2Yの非画像部にカブリとして存在するトナー24Yがニップ入口部22Yで図2に矢印で示すように第1の感光体スクイーズローラー19Y側に移動する。このとき、トナー24Yの移動に引きずられてキャリアー液も感光体2Y側から第1の感光体スクイーズローラー19Y側に移動するため、液だまり23Yが生じるとともに感光体2Yの回転につれて液だまり量が増大する。そして、この液だまり23Yに、現像ローラー15Yから感光体2Yへ余分に現像されたトナー24Yが滞留する。
【0025】
第1の感光体スクイーズローラー19Yに印加されるスクイーズバイアスは、感光体2Yの潜像が現像された画像部の電位と潜像が形成されない非画像部の電位(感光体帯電電位)との間に設定される。また、図4に示すように感光体2Yの画像部の表面電位(例えば、50V)、非画像部の表面電位(例えば、600V)、および第1の感光体スクイーズローラー19Yの表面電位(例えば、400V)が互いに異なる。このため、液だまり23Yに滞留しているトナー24Yが感光体2Yの画像部側に移動して感光体2Yの画像部に再付着(再現像)される。その結果、図5に示すように画像の先端の濃度が大きくなり、画像に濃度差が生じる。なお、図5に示す画像の濃度は、ベタ画像の場合である。
【0026】
このような第1の感光体スクイーズローラー19Yから感光体2Yの画像部へのトナーの再現像を防ぐには、トナー24Yが液だまり23Yに溜まらないようにすることである。このためには、現像後の感光体2Yの非画像部におけるカブリを低減して、カブリトナーの第1の感光体スクイーズローラー19Yへの移動を低減することが有効である。図6に示すように、感光体2Yと第1の感光体スクイーズローラー19Yとのスクイーズニップ領域に存在するトナーは、感光体2Yの非画像部から第1の感光体スクイーズローラー19Yの方へ移動するトナーA、液だまり23Y内の渦により対流するトナーB、および第1の感光体スクイーズローラー19Yによって回収されるトナーCに分けられる。液だまり23Yに存在するトナーの流入および流出を考えると、液だまり23Y内にトナーが極力滞留させないようにするためには、トナーAの量をできるだけ低減させるか、あるいはトナーCの量をできるだけ多くするか、あるいはそれらの両方を達成することが必要である。
【0027】
そこで、第1例の画像形成装置1では、各感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6Kにより各感光体2Y,2M,2C,2Kに担持される液体現像剤がスクイーズされる前の各感光体2Y,2M,2C,2K上の光学濃度と液体現像剤がスクイーズされた後の各感光体2Y,2M,2C,2K上の光学濃度とに基づいて、各アニロクスローラー17Y,17M,17C,17Kの表面速度が制御(調整)される。各アニロクスローラー17Y,17M,17C,17Kの表面速度と各現像ローラー15Y,15M,15C,15Kの表面速度の比(Rv)に対する各現像ローラー15Y,15M,15C,15K上の液体現像剤膜厚の関係は図7に示す関係がある。速度比Rvを大きくすることで各アニロクスローラー17Y,17M,17C,17Kから各現像ローラー15Y,15M,15C,15Kに供給される液体現像剤量が増加するため、各現像ローラー15Y,15M,15C,15K上での液体現像剤膜厚を増加させることができる。これにより、各現像ローラー15Y,15M,15C,15Kから各感光体2Y,2M,2C,2Kに供給されるトナーの供給量が制御される。したがって、トナーAの量が制御されて各感光体2Y,2M,2C,2Kへ供給されるトナーの光学濃度が制御される。
【0028】
図8は、イエローの液体現像剤における光学濃度の制御を説明する図である。なお、他の色の光学濃度の制御も、イエローの光学濃度の制御と同じである。したがって、以下、イエローの光学濃度の制御について説明し、他の色についてはそれらの説明を省略する。また、説明の便宜上、図示しないが、イエロー以外の色の各構成部材においてイエローの構成部材に対応するものについては、それぞれYに代えてM,C,Kを用いることもある。
【0029】
図8に示すように、第1例の画像形成装置1は、現像ローラー15Yと第1の感光体スクイーズローラー19Yとの間の感光体2Yに担持されるトナーの第1の光学濃度を測定(検出)する光学センサーからなる第1の濃度検出部(第1のセンサー)25Yと、第2の感光体スクイーズローラー20Yと一次転写部7Yとの間の感光体2Yに担持されるトナーの第2の光学濃度を測定(検出)する光学センサーからなる第2の濃度検出部(第2のセンサー)26Yとを有する。これらの第1および第2のセンサー25Y,26Yは、画像形成装置1の制御部27に接続されている。また、アニロクスローラー17Yも制御部27に接続されていて、現像時に制御部27により図示しない駆動源を通してアニロクスローラー17Yが所定の回転速度で駆動される。なお、図8には、第1および第2のセンサー25Y,26Yとアニロクスローラー17Yの駆動部とが制御部27に接続されることは示されているが、制御部27により制御される画像形成装置1の他の構成部材が制御部27に接続されることは図示省略されている。更に、第1例の画像形成装置1は、現像部5Yの現像ローラー15Yに担持される液体現像剤中のトナーを現像前に帯電・圧縮させる現像剤プリチャージ用帯電部28Yを有している。
【0030】
そして、この第1例の画像形成装置1では、第1および第2のセンサー25Y,26Yで検出された感光体2Yの光学濃度に基づいて、アニロクスローラー17Yの表面速度が制御される。具体的には、図9(a)に示すような画像を印字する場合、図9(a)の破線に沿って光学濃度を検出する。図9(b)は図7におけるRv=1.6であり、現像ローラー15Y上の現像剤膜厚は10.0μmの場合の第1の光学濃度(現像後の光学濃度)と第2の光学濃度(スクイーズ後の光学濃度)を示している。現像剤膜厚10.0μmの条件ではスクイーズローラーからの再現像により潜像が現像された領域のスクイーズ後の光学濃度が高くなってしまっている。そこでRv=1.4とし、現像ローラー15Y上の現像剤膜厚を8.0μmに低下させると、スクイーズローラーからの再現像を防止することができ、図9(c)のようにスクイーズ後の光学濃度が高くなる現象を抑制することができる。以下、この第1例の感光体2Y上のトナーの光学濃度をパッチパターンを用いて制御する方法について説明する。
【0031】
第1例の画像形成装置1における感光体2Y上のトナーの光学濃度の制御方法では、まず、感光体2Yに図10(a)に示すパッチパターン(ここではベタ画像である)が形成される。パッチパターンの光学濃度をパッチ濃度と呼ぶ。ここでパッチ濃度とはパッチパターン内の濃度を連続的に検出した値である。またベタ濃度はパッチ濃度の平均値である。このパッチパターンは、転写材21と次の転写材21との間に対応する感光体2Yの位置に形成される。または感光体2Yの軸方向長さが転写材21の幅より長くなっているため、転写材21の幅よりも幅方向外側にパッチパターンを形成することもできる。そして、現像部5Yで感光体2Yに形成された後感光体スクイーズ部6でスクイーズされる前のパッチパターンは、図10(a)に示すように光学濃度がパッチパターンの全域にわたって均一またはほぼ均一となっている(図示例では、光学濃度はOD値1.5である)。第1例の光学濃度の制御が行われないと、このパッチパターンが感光体スクイーズ部6Yでスクイーズされた後は、図10(b)および図10に示すようにパッチ濃度はパッチパターンの先端側(図10(b)において上端側)が大きく、パッチパターンの後端側(図10(b)において下端側)に向かって次第に小さくなる。すなわち、図11に示すようにパッチパターンの先端側と後端側との間で、濃度むらが生じる(図示例では、パッチ濃度はパッチパターンの先端でODA値1.7であり、パッチパターンの中央部でODB値1.6、およびパッチパターンの後端でODC値1.5である。すなわち、パッチパターンの先端側と後端側との間で、OD値で0.2の最大濃度むらが生じる)。
【0032】
この最大濃度むらは、図12に示すように現像後でスクイーズ前のカブリ濃度(カブリトナー光学濃度の平均値)に応じて変化する。すなわち、最大濃度むらは現像後のカブリ濃度が所定の濃度(図示例では、OD値0.3)以下の小さい領域ではほとんど0であり、濃度むらはほとんど発生しない。そして、現像後のカブリ濃度が所定の濃度を超えると、最大濃度むらは次第に増大する。
【0033】
そこで、第1例の画像形成装置1における感光体上でのトナーの光学濃度の制御方法では、第1の感光体スクイーズローラー19Yでスクイーズされる前の感光体2Yのカブリ濃度とパッチ濃度が、第1のセンサー25Yで測定される。また、第2の感光体スクイーズローラー20Yでスクイーズされた後の感光体2Yのカブリ濃度とパッチ濃度が、第2のセンサー26Yで測定される。そして、これらの第1および第2のセンサー25Y,26Yで測定された光学濃度に基づいて、制御部27によりアニロクスローラー17Yの表面速度が制御される。
【0034】
図13に示すように、液体現像剤膜厚を変化させたときのプロセス特性は、液体現像剤膜厚が厚いほどカブリ濃度が大きくなる。そこで、通常画像形成でのカブリ濃度が増えたときは、制御部27はアニロクスローラー17Yの表面速度を小さくし、液体現像剤膜厚が低下するように制御する。
ここで液体現像剤内のトナー帯電量および分散性は常に一定ではなく径時劣化することが分かっている。トナー帯電量が低下すると現像時の駆動力が小さくなり、移動性が低下する。これに加えてトナー帯電量が低下すると、トナー粒子間の斥力が小さくなるためトナー同士の凝集が進行し、さらに移動性が低下する。例えば、イエローの液体現像剤製造直後の帯電量が16.4μC/gであるのに対し、1ヶ月経過後の帯電量は13.3μC/gであった。また他の色のトナーにおいても同様の現象が発生する。このような液体現像剤の径時劣化によりトナー移動性の低下により現像特性が悪くなることで、現像後の光学濃度は図14のように変化する。したがってトナーの移動性が低下しても所望の光学濃度を満たすことが必要となる。
【0035】
具体的な制御を説明する。図14に示すように画像部の光学濃度は1.5以上が望ましく、カブリ濃度は0.3以下にすることが望ましい。現像特性が良好な場合(a)の感光体上でのベタ濃度とカブリ濃度がともに基準値を満たす液体現像剤膜厚の有効範囲が4.0μm〜10.0μmである。しかし現像特性が悪化した場合(b)では、ベタ濃度は低下しカブリ濃度は高くなるため、感光体上でのベタ濃度およびカブリ濃度がともに基準値を満たす液体現像剤膜厚の有効範囲は6.0〜8.0μmと印字初期より狭くなる。したがって図15に示すように(b)の場合には液体現像剤膜厚が8.0μm以下に設定されることで、カブリODを0.3以下にすることができるため画像先端の濃度むらの発生が抑制される。つまり、液体現像剤膜厚が前述の液体現像剤膜厚の有効範囲内で制御されることで、画像先端の濃度むらの発生が抑制可能となる。
【0036】
また、図20に示す(表1)のように、液体現像剤膜厚最小値で印字する場合にはアニロクスローラーと現像ローラーの速度比Rvを0.9→1.2と大きくすることで(b)の場合の液体現像剤膜厚最小値6μmに制御する。印字初期状態の膜厚有効範囲中間程度の膜厚(例えば6μm)で印字を行う場合、(b)の場合でも膜厚有効範囲内に含まれるため、Rvは1.2から変化させる必要はない。液体現像剤膜厚最大値で印字する場合にはRvを1.6→1.4と小さくすることで(b)の場合の液体現像剤膜厚最大値8.0μmに制御する。この制御により画像先端の濃度むらが発生しない液体現像剤の膜厚有効範囲内で、ベタ濃度調整が可能となる。
【0037】
この第1例の画像形成装置1によれば、各第1の感光体スクイーズローラー19Y,19M,19C,19Kでスクイーズされる前の各感光体2Y,2M,2C,2Kのカブリ濃度およびパッチ濃度と、各第2の感光体スクイーズローラー20Y,20M,20C,20Kでスクイーズされた後の各感光体2Y,2M,2C,2Kのカブリ濃度およびパッチ濃度とに基づいて、制御部27により各アニロクスローラー17Y,17M,17C,17Kの表面速度が制御される。すなわち、各現像ローラー15Y,15M,15C,15K上の液体現像剤膜厚が変化し、各現像ローラー15Y,15M,15C,15Kから各感光体2Y,2M,2C,2Kへ供給されるトナーの供給量が制御される。したがって、従来のようにスクイーズによる液体現像剤の除去力を変化させることなく、スクイーズ後の各感光体2Y,2M,2C,2Kの画像部および非画像部における光学濃度を、所望の目標濃度に制御することができる。これにより、各感光体2Y,2M,2C,2Kから各第1の感光体スクイーズローラー19Y,19M,19C,19Kおよび各第2の感光体スクイーズローラー20Y,20M,20C,20Kへのトナーの移動を抑制することができる。したがって、スクイーズニップの入り口部に液だまりが生じても、この液だまり内に存在するトナーの量を低減することができる。よって、第1の感光体スクイーズローラー19Y,19M,19C,19Kおよび第2の感光体スクイーズローラー20Y,20M,20C,20Kからのトナーの感光体への再現像を防止し、転写材21に形成された画像先端の濃度むらを抑制することができる。その結果、長期的に画質の均一性を向上させることが可能となる。
【0038】
また、現像後でスクイーズされる前の各感光体2Y,2M,2C,2Kの光学濃度を測定する各第1のセンサー25Y,25M,25C,25Kと、スクイーズされた後の各感光体2Y,2M,2C,2Kの光学濃度を測定する各第2のセンサー26Y,26M,26C,26Kとが配設される。これにより、現像後の各感光体2Y,2M,2C,2Kの光学濃度の均一性およびスクイーズ後の各感光体2Y,2M,2C,2Kの光学濃度の均一性を確認し、制御することができるため画質欠陥の発生をより効果的に抑制することが可能となる。
【0039】
図16は、本発明の実施の形態の第2例を示す、図8と同様の図である。なお、この第2例においても、第1例と同様に他の色の光学濃度の制御も、イエローの光学濃度の制御と同じである。
【0040】
前述の第1例では、アニロクスローラー17Yの表面速度が制御されることにより、現像ローラー15Y上の液体現像剤膜厚が変化し、感光体2Yへ供給されるトナーの光学濃度が制御される。これに加えて、図16に示すようにこの第2例の画像形成装置1では、感光体スクイーズ部6Yにより感光体2Yに担持される液体現像剤がスクイーズされる前の感光体2Y上の光学濃度と液体現像剤がスクイーズされた後の感光体2Y上の光学濃度とに基づいて、現像剤プリチャージ用帯電部28Yのワイヤーにバイアスが印加されることで現像ローラー15Yに担持される液体現像剤に電荷が付与されることにより、現像ローラー15Yに担持される液体現像剤中のトナーがプリチャージ(帯電)されて圧縮される。この場合、図17に示すように現像ローラー15Y上の液体現像剤膜に電界がかかり、トナー24Yが現像ローラー15Y側に押しつけられる。これにより、現像ローラー15Yから感光体2Yへ付着するトナーの量が制御される。したがって、液体現像剤が感光体2Yと現像ローラー15Yとの間のニップ出口で界面分裂する際、カブリが発生し難い。その結果、図18に示すように感光体2Yの非画像部から第1の感光体スクイーズローラー19Yの方へ移動するトナーAが減少するので、液だまり23Y内に滞留するトナーBも減少する。このようにして、感光体2Yに供給されるトナーの供給量が制御されて感光体2Yに担持されるトナーの光学濃度が制御される。また現像ローラー15Yに担持されるトナーがプリチャージされることで移動性が向上するため、画像部に移動するトナーの量は増加する。
【0041】
そして、この第2例の画像形成装置1では、第1および第2のセンサー25Y,26Yで検出された感光体2Yの光学濃度に基づいて、制御部27によりアニロクスローラー17Yの表面速度および現像剤プリチャージ用帯電部28Yのワイヤー印加電圧(現像剤プリチャージ用帯電部28Yのプリチャージバイアスと呼ぶ:V)が制御される。これにより、感光体2Yに担持されるトナーの光学濃度が制御される。以下、この第2例の感光体2Y上のトナーの光学濃度を制御する方法について説明する。
【0042】
第2例の画像形成装置1における感光体2Y上のトナーの光学濃度の制御方法でも、まず、第1例と同様に感光体2Yに図10(a)に示すパッチパターン(ここではベタ画像)が形成される。そして、第1例の場合と同様に第1の感光体スクイーズローラー19Yでスクイーズされる前の感光体2Yのカブリ濃度とパッチ濃度が、第1のセンサー25Yで測定される。また、第2の感光体スクイーズローラー26Yでスクイーズされた後の感光体2Yのカブリ濃度とパッチ濃度が、第2のセンサー26Yで測定される。そして、これらの第1および第2のセンサー25Y,26Yで測定された光学濃度に基づいて、アニロクスローラー17Yの表面速度および現像剤プリチャージ用帯電部28Yのプリチャージバイアスが制御される。
【0043】
図19には現像特性が劣化した状態(b)で、現像剤プリチャージ用帯電部28Yによるプリチャージバイアスを0、3.0、4.0kVと変化させたときのプロセス特性を示している。プリチャージが多いほどカブリ濃度は小さくなることから、カブリトナーが減少していることが分かる。一方、ベタ濃度に関してはプリチャージが多いほど光学濃度が大きくなるわけではない。例えば、図21に示す(表2)のように液体現像剤膜厚6.0μmの場合では、プリチャージバイアス0、3.0、4.0kVそれぞれに対してベタ濃度は1.5、1.7、1.45である。したがって液体現像剤膜厚6.0μmの場合は3.0kVが最適なプリチャージバイアスとなり、液体現像剤膜厚に対してプリチャージバイアスの最適値が異なっていることが分かる。液体現像剤膜厚6.0μmから8.0μmにするときにはプリチャージバイアスを3.0kVから4.0kVにする。このように液体現像剤膜厚が多いほどプリチャージバイアスを大きくする必要がある。すなわちRvの値が大きいほどプリチャージバイアスを高く制御する。したがって液体現像剤膜厚に最適なプリチャージをすることでカブリトナーが減少し、カブリODを0.3以下に制御することで画像先端の濃度むらの発生を効果的に抑制できる。さらに液体現像剤膜厚に応じてプリチャージバイアスを制御することでベタ濃度を所望の値に制御することができる。
【0044】
また実施例1の(b)の状態におけるベタ濃度およびカブリ濃度を両立できる液体現像剤膜厚範囲は6.0〜8.0μmであったのに対し、プリチャージバイアス3.0kVを印加することで液体現像剤膜厚の下限値は5.0μmとなる。またプリチャージバイアス4.0kVを印加することで液体現像剤膜厚の上限値は9.5μmとなる。したがって液体現像剤膜厚に応じた適切なプリチャージバイアスを印加することで画像先端の濃度むらが発生しない液体現像剤膜厚の制御有効範囲を広げることができ、ベタ濃度制御が容易となる。また凹凸の異なる転写材21の種類への対応性が向上する。
【0045】
この第2例の画像形成装置1の他の構成は、前述の第1例と同じである。
なお、前述のプリチャージによるトナーの現像ローラー15Y側への押し付けに代えて、図17に示すように、感光体2Yの非画像部の電界を強くすることで、トナーを現像ローラー15Y側へ押し付けることもできる。
【符号の説明】
【0046】
1…画像形成装置、2Y,2M,2C,2K…感光体、3Y,3M,3C,3K…帯電部、4Y,4M,4C,4K…露光部、5Y,5M,5C,5K…現像部、6Y,6M,6C,6K…感光体スクイーズ部、7Y,7M,7C,7K…一次転写部、9…中間転写ベルト、12…二次転写部、15Y,15M,15C,15K…現像ローラー、16Y,16M,16C,16K…中間ローラー、17Y,17M,17C,17K…各供給ローラー(アニロクスローラ−)、19Y,19M,19C,19K…第1の感光体スクイーズローラー、20Y,20M,20C,20K…第2の感光体スクイーズローラー、21…転写材、22Y…ニップ入口部、23Y…液だまり、24Y…トナー、25Y,25M,25C,25K…第1の濃度検出部、26Y,26M,26C,26K…第2の濃度検出部、27…制御部、28Y…現像剤プリチャージ用帯電部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体と、
前記潜像担持体を帯電する帯電部と、
前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、
トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を供給する供給部材、及び前記供給部材で供給される液体現像剤を担持する現像部材を有し、前記潜像担持体に担持される前記潜像を現像する現像部と、
前記現像部材で現像された前記潜像担持体に担持された液体現像剤の光学濃度を検出する第1の濃度検出部と、
前記第1の濃度検出部で検出された前記潜像担持体に当接するスクイーズ部材を有し、前記潜像担持体をスクイーズするスクイーズ部と、
前記スクイーズ部材でスクイーズされた前記潜像担持体に担持された液体現像剤の光学濃度を検出する第2の濃度検出部と、
前記第1の濃度検出部で検出された光学濃度及び前記第2の濃度検出部で検出された光学濃度に基づいて、前記供給部材により前記現像部材に塗布する液体現像剤の供給量を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像部は、前記現像部材に担持される液体現像剤を帯電させる現像剤プリチャージバイアスを印加する現像剤プリチャージ帯電部を有し、
前記制御部は、前記第1の濃度検出部で検出された光学濃度及び前記第2の濃度検出部で検出された光学濃度に基づいて、前記現像剤プリチャージバイアスを制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の濃度検出部は、前記露光部により前記潜像が形成されて前記現像部材で前記潜像が現像された前記潜像担持体の位置の光学濃度と、前記露光部により前記潜像が形成されていない前記潜像担持体の位置の光学濃度と、を検出する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の濃度検出部は、前記露光部により前記潜像が形成されて前記現像部材で前記潜像が現像された前記潜像担持体の位置の光学濃度と、前記露光部により前記潜像が形成されていない前記潜像担持体の位置の光学濃度と、を検出する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
潜像担持体を露光して潜像を形成し、
トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を供給部材で供給された現像部材で前記潜像を現像し、
前記現像部材で現像された前記潜像担持体に担持された前記液体現像剤の光学濃度を第1の光学濃度検出部で検出し、
前記第1の光学濃度検出部で検出された前記潜像担持体をスクイーズし、
スクイーズされた前記潜像担持体に担持された前記液体現像剤の光学濃度を第2の光学濃度検出部で検出し、
前記第1の光学濃度検出部で検出された光学濃度、及び前記第2の光学濃度検出部で検出された光学濃度に基づいて、前記供給部材から現像部材へ供給される液体現像剤の供給量を制御することを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
前記第1の光学濃度検出部は、前記潜像が形成された後現像された像の光学濃度と、前記潜像が形成されていない前記潜像担持体の位置に担持された前記液体現像剤の光学濃度と、を検出する請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記第2の光学濃度検出部は、前記潜像が形成された後現像された像の光学濃度と、前記潜像が形成されていない前記潜像担持体の位置に担持された前記液体現像剤の光学濃度と、を検出する請求項6に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−220509(P2012−220509A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82513(P2011−82513)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】