説明

画像形成装置のクリーニング装置、および、画像形成装置

【課題】簡単な構成で効率よくトナー回収を行うことができるクリーニング装置を提供する。
【解決手段】トナー像を担持する像担持体401上に残留するトナーを除去するブラシを有するブラシローラ451と、前記ブラシローラ451に対向して配置され、前記ブラシローラ451に当接して前記ブラシローラ451に付着する前記残留トナーを回収する回収ローラ452と、を有し、前記ブラシローラ451の回転方向に対して斜め方向に、前記ブラシの先端が当接するとともに前記ブラシの先端をガイドするガイドエッジを有し、前記ガイドエッジに前記ブラシが接触することによりブラシに付着したトナーを除去するブラシ制御部材454を、前記ブラシローラ451と前記回収ローラ452との対向領域に設けたことを特徴とする画像形成装置のクリーニング装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、トナー像を転写処理した後の像担持体上に残留するトナーを除去するための改良した画像形成装置のクリーニング装置、および、当該クリーニング装置を搭載した、プリンタ、複写機等の画像形成装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラム、或いは、中間転写ベルト等の像担持体上に、電子写真法を用いてトナー像を形成せしめ、しかる後、当該トナー像を用紙等の転写材上に転写するとともに、定着手段により定着処理する画像形成装置はよく知られている。
【0003】
このような画像形成装置は、トナー像を転写処理した後の像担持体上に残留する残留トナーをクリーニングし、次の画像形成の準備を行うためのクリーニング装置を備えているのが一般的である。
【0004】
クリーニング手段としては、ゴムブレードも考えられるが、トナーとして重合トナー或いは小粒径トナーを用いる場合には、ブラシローラを使用する方法も有効な方法である。
【0005】
換言すれば、像担持体上からブラシローラによりトナーを除去するとともに、除去したトナーを前記ブラシローラから回収ローラを介して回収する方法である。
【0006】
この方法は、ブラシローラのブラシによって像担持体上のトナーを撹乱させて像担持体とトナーとの付着力を低下せしめることができるので、結果として、トナーの回収性を向上させる事ができる。
【0007】
しかしながら、前記ブラシローラのブラシから回収ローラにトナーを安定的に転移せしめることは困難を伴う。
【0008】
このように、ブラシからのトナーの転移ができなくなると、像担持体に対するクリーニング性能が低下してしまう。
【0009】
斯様な問題を解決するための方法として次のような方法が提案されている。
【0010】
第1は、クリーニングブラシに食い込むようにフリッカーバーを設けるとともに、当該フリッカーバーを軸方向に往復運動させ、ブラシ間に入り込んだトナーを叩き落としたり、トナーの付着力を弱める。
【0011】
そして、ブラシと接触しているトナー回収ローラに電界により前記トナーを引きつけブレードで回収する方法である(例えば、特許文献1参照。)。
【0012】
第2は、クリーナレス機に係わるが、像担持体上からブラシローラによりトナーを除去した後、表面が凹凸を有する散らし部材に前記ブラシローラを当接させ、その後、像担持体上に前記トナーを戻す構成である(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
第3は、所定の大きさを有する板材の縦横に多数のホールを設けてトナー除去部材となし、ホールの周りのエッジをマイクロフリッカーバーとして利用するとともに、ブラシとホールとの複数の衝撃でトナーを除去する構成である(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平5−53489号公報
【特許文献2】特開2006−126466号公報
【特許文献3】特開平6−214491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記特許文献に開示されたトナー除去方法は、何れもいくらかは有用であると思われる。
【0015】
しかしながら、特許文献1に開示された構成は、複雑であり、また、フリッカーバーによる衝撃効果を上げるためには揺動速度を大きくする必要があるので機械的な負荷が大きい。
【0016】
また、特許文献2に開示された構成は、トナーの散らし効果はあると思われるが、回収ローラによるブラシローラからのトナー回収には関係しない。
【0017】
更に、特許文献3に開示された構成は、例えば、1本のブラシが複数のホールのエッジに衝突するので、1回の衝突機会しかない構成に比してトナー除去性能は向上すると思われる。
【0018】
但し、ブラシは実質的には周方向に同じ軌跡上を辿るものと思われるので、トナーの除去としては未だ不十分であり、かつ、このスクリーン式トナー除去部材を用いると、トナー除去装置の大型化を招来する危惧がある。
【0019】
本願発明は如上の如き問題点に鑑みて成されたもので、主たる目的は、簡単な構成で効率よくトナー回収を行うことができるクリーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明の目的は下記の構成要件によって達成することができる。
【0021】
(1)
トナー像を担持する像担持体上に残留するトナーを除去するブラシを有するブラシローラと、
前記ブラシローラに対向して配置され、前記ブラシローラに当接して前記ブラシローラに付着する前記残留トナーを回収する回収ローラと、を有し、
前記ブラシローラの回転方向に対して斜め方向に、前記ブラシの先端が当接するとともに前記ブラシの先端をガイドするガイドエッジを有し、前記ガイドエッジに前記ブラシが接触することによりブラシに付着したトナーを除去するブラシ制御部材を、前記ブラシローラと前記回収ローラとの対向領域に設けたことを特徴とする画像形成装置のクリーニング装置。
【0022】
(2)
前記ガイドエッジは、板状部材を穿孔することにより形成したものであることを特徴とする前記(1)に記載の画像形成装置のクリーニング装置。
【0023】
(3)
前記ガイドエッジは、前記ブラシローラの回転方向に複数形成されていることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の画像形成装置のクリーニング装置。
【0024】
(4)
前記(1)乃至前記(3)の何れか1に記載の画像形成装置のクリーニング装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0025】
本願発明は、ブラシローラと回収ローラとの対向領域に、ブラシローラの回転方向に対してブラシを斜め方向に案内するガイドエッジを有するブラシ制御部材を配設する、という簡単な構成で効率の良いトナーの回収ができる。
【0026】
また、前記ブラシ制御部材は幅が狭く、薄板状であるので、設置のために大きなスペースを必要とせず、従って、クリーニング装置を小型に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本願発明に係わる実施の形態を図面を基に説明する。
【0028】
図1は、デジタルカラー複写機からなる画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0029】
図に示す画像形成装置は、装置本体上部に自動原稿送り装置1を有するとともに、内部に画像読み取り部2、画像形成部3、ベルトユニット4のためのベルト設置部、給紙部5、定着装置T、反転排紙・再給紙部6、および、反転搬送手段であるADU7を有している。
【0030】
前記自動原稿送り装置1は、原稿を1枚ずつ送り出して画像読み取り位置へと搬送し、画像読み取りが終わった原稿を所定の場所に排出する装置である。
【0031】
前記自動原稿送り装置1は、原稿載置台101、原稿分離手段103、原稿搬送部105、原稿排紙手段107、原稿排紙台109、および、両面コピーモードにおいて、原稿の表裏面を反転させるためのローラ対からなる原稿反転手段111を有している。
【0032】
処理プロセスがらみで述べるに、前記原稿載置台101上に載置された複数枚の原稿(不図示)は、原稿分離手段103によって1枚づつ分離され、前記原稿搬送部105を介して画像読み取り位置に向けて搬送される。
【0033】
前記原稿読み取り位置は、前記原稿搬送部105の下方部に設けられており、そこで、画像読み取り装置2を構成するスリット201を介して、原稿の画像が読み取られ、読み取られた原稿は原稿排紙手段107によって原稿排紙台109上に排出される。
【0034】
なお、両面コピーモードにおいては、片面が読み取られて搬送されてくる原稿は前記原稿反転手段111により二点鎖線の矢印で示す方向に搬送される。
【0035】
そして、進行方向における後端を咬んでいる状態で当該原稿反転手段111の駆動が停止された後の逆方向回転により前記原稿搬送部105を介して、再び画像読み取り位置に導かれ、しかる後、前記原稿排紙手段107によって原稿排紙台109上に排出される。
【0036】
上記の工程は、原稿載置台101上に載置された原稿の枚数分繰り返される。
【0037】
画像読み取り装置2は、前記スリット201、原稿照射用のランプ213と原稿の反射光を反射させる第1ミラー215とを一体化した第1ミラーユニット205、第2ミラー217と第3ミラー219とを一体化した第2ミラーユニット207を有する。
【0038】
また、前記第3ミラー219からの反射光を撮像素子上に結像させる結像レンズ209、および、結像レンズ209によって結像された光像を光電変換して画像情報を得るライン状の撮像素子(以下、CCDという)211を有している。
【0039】
前記画像情報は、適宜の画像処理を施された後、一旦、後記する制御手段S内のメモリに蓄積されるようになっている。
【0040】
前記自動原稿送り装置1によって送られている原稿を、画像読み取り装置2で読み取る態様においては、第1ミラーユニット205及び第2ミラーユニット207は、図示の如き位置に固定されている。
【0041】
前記画像読み取り装置2によって読み取られた各色毎の画像情報は、前記メモリより順次取り出され、静電荷潜像形成手段である各色毎の露光光学系にそれぞれ電気信号として入力される。
【0042】
前記画像形成部3は色分解画像に応じたトナー像を形成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の4組の画像形成手段(以下、画像形成ユニットという)30を含む。
【0043】
各々の画像形成ユニット30は、感光層をドラム状の金属基体上に設けた第1の像担持体としての感光体ドラム310、帯電器320、画像書き込み手段である露光光学系330、現像装置8、転写手段340、クリーニング装置350を主要構成要素とする。
【0044】
前記現像装置8は、磁性キャリア(以下、単にキャリアという)と非磁性トナー(以下、単にトナーという)とを含む二成分現像剤を収納する。
【0045】
また、前記現像装置8は、周方向に沿って複数の磁石(磁極)を位置固定で内蔵した、可回転、かつ、非磁性の円筒形状からなる現像剤担持体(以下、現像スリーブあるいは単にスリーブと呼称する場合がある)と、トナー濃度検知手段(不図示)を有している。
【0046】
前記複数の磁石は、前記現像剤を前記スリーブ上に磁気的に吸着して担持せしめ、当該スリーブの回転によって現像領域に搬送させ、次いで、現像処理後の前記現像剤を前記スリーブ上から反発磁界を利用して自動的に除去しうるように配列されている。
【0047】
また、前記現像装置8における前記現像スリーブには、画像形成動作に所定極性(ここではマイナス極性の直流電圧と交流電圧の重畳)のバイアス電圧が印加されるようになっているが、これらの構成自体はよく知られているので、詳細な説明は割愛する。
【0048】
なお、前記露光光学系330はレーザ光学系で構成される露光ユニットである。
【0049】
また、前記転写手段340は、後述する回転ベルト401を介して前記感光体ドラム310の周面一部に対向しているローラからなるが、放電ワイヤからなる電極を含む通常の転写電極と呼称される態様の構成とすることもできる。
【0050】
上述した4組の前記画像形成ユニットの機械的構成は基本的に同じであるので、参照符号は1組みのユニットについてのみ付し、他のユニットについては省略してある。
【0051】
各々の画像形成ユニット30は、縦方向に長く配設された、ベルトユニット4を構成するループ状の第2の像担持体である中間転写ベルト401の一平面(張設面)Aに沿って、上から、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の順に配列されている。
【0052】
前記中間転写ベルト401と、当該中間転写ベルトを回転可能に懸架する支持ローラ405、406、407、および、バックアップローラ410等がベルトユニット4を構成する。
【0053】
また、前記バックアップローラ410は、中間転写ベルト401を挟んで当該バックアップローラと押圧しながら回転するように対向配置した転写ローラ510とで二次転写手段を構成している。
【0054】
上記の画像形成ユニット30とベルトユニット4の構成とによる画像形成は次のようになされる。
【0055】
画像形成プロセスの開始に伴って、反時計方向に回転する感光体ドラム310の表面は帯電器320により所定の極性(ここではマイナス極性)に帯電される。
【0056】
次いで、露光光学系330による第1の色信号、即ち、イエロー(Y)の画像信号に対応する露光が施され、当該(Y)の画像に対応する潜像が前記感光体ドラム310上に形成される。
【0057】
前記潜像は、現像装置8の現像剤による接触または非接触現像処理により、反転現像されて(Y)のトナー像に変換された後、転写手段340の作用によって中間転写ベルト401上に転写される。
【0058】
この現像処理時、前記スリーブには、トナーの帯電極性と同じマイナス極性の直流電圧と交流とを重畳させたバイアス電圧が印加されている。
【0059】
第1の色信号による画像形成開始から所定の時間後に順次開始される他の色信号による画像形成は、上記と同様のプロセスにより、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の各画像形成ユニットによってなされる。
【0060】
それぞれの画像形成ユニットで形成された感光体ドラム上の各トナー像は、前記(Y)のトナー像のある画像領域と重畳するように順次転写され、前記中間転写ベルト401上に重ね合わせのカラートナー像が形成される。
【0061】
一方、転写処理終了後の前記感光体ドラム310の表面はクリーニング手段350で清掃され、新たな画像形成のための準備が整えられる。
【0062】
なお、前記感光体ドラム310、あるいは、中間転写ベルト401に対する個々の画像形成プロセスの開始タイミングは次のように行う。
【0063】
即ち、前記中間転写ベルト401の外側であって、前記中間転写ベルトの回転方向に見て、前記転写ローラ510のある位置から1組目(イエロー)の画像形成ユニットが設けてある位置までの区間にレジストセンサ413を付設しておく。
【0064】
そして、前記中間転写ベルト401に設けた基準マークを前記レジストセンサ413が検知した時を起点として計時を行い、所定時間経過毎に、順次、(Y)、(M)、(C)、(BK)プロセスを開始させるように構成してある。
【0065】
なお、参照符号Sはコンピュータを含む制御手段(以下、制御部ともいう)で、機械作動のプログラムを内蔵し、一連の画像形成プロセスに係わる制御、シート材の給紙・搬送制御、自動原稿送り装置の駆動制御、現像剤の濃度検知に伴うトナー補給制御等、全ての制御を行う。
【0066】
次に、中間転写ベルト401上に形成されたカラートナー画像が転写材であるシート材(一般的には普通紙等の、所定サイズに裁断された矩形の用紙である)上に転写され、装置外に排紙されるまでの工程に絡めて、装置のその他の構成につき簡単に述べる。
【0067】
前記中間転写ベルト401上における画像形成に対応した適宜のタイミングで、シート材Pが給紙部5の送り出し部501(511、521)に位置する給紙ローラ503(513、523)によって給紙される。
【0068】
次いで、分離ローラ506、および給紙経路上に設けた複数の搬送ローラ対R1〜R7、搬送ローラ550を介して、転写部(転写領域)の手前位置に設けられているレジストローラ551に向けて搬送される。
【0069】
給紙されるシート材Pは、記録枚数、記録開始釦、或いは、記録倍率や画像濃度等を設定することができる操作盤150上で指定され、選択されたサイズのシート材である。
【0070】
前記シート材Pは、前記レジストローラ551にその先端が当接された後、当該レジストローラ551の回転再開により、前記中間転写ベルト401上のカラートナー像領域と重畳するタイミングで再給紙される。
【0071】
前記レジストローラ551の下流位置近傍には検知手段が備えられており、前記シート材Pの搬送路上における横位置(シート材Pの搬送方向と直交する方向における位置)が、基準の搬送路上の位置に対してずれているか否かを監視するようになっている。
【0072】
ずれが検知された場合、前記レジストローラ551がシート材搬送路と直交する所定方向に摺動され、搬送中のシート材は移動位置が補正される。
【0073】
前記シート材Pは二次転写部において前記バックアップローラ410と前記転写ローラ510とにより前記中間転写ベルトとともに押圧挟持され、この間に、前記中間転写ベルト401上のカラートナー画像が前記シート材P上に転写される。
【0074】
転写の際、前記転写ローラ510に適宜の転写バイアス電圧を印加するように構成することが望ましい。
【0075】
トナー像が転写された前記シート材Pは前記中間転写ベルト401から分離され、搬送ベルト(不図示)により定着装置Tに向けて搬送される。
【0076】
前記定着装置Tは定着ヒータを内蔵する定着ローラT1と、当該定着ローラと圧接しながら回転する圧着ローラT2とを有し、画像を形成しているカラートナーは、両ローラによる加熱・加圧により溶融され、シート材P上に定着される。
【0077】
定着装置Tによる定着処理終了後のシート材Pは、その下流に設けてある排紙ローラ603により搬送され、装置本体外に設けてある排紙トレイ上に排出される。
【0078】
一方、二次転写終了後の前記中間転写ベルト401の表面は、ブラシローラを含むクリーニング装置40(詳細は後記)によってクリーニングされ、新たなトナー像を担持する準備がなされる。
【0079】
また、図において、通路切替部材601の実線位置は定着処理後にシート材Pの上下面を反転させて排出する場合に保持される位置であり、破線位置は、上述の如く、定着装置から送り出されたシート材をそのまま排出する際に保持される位置である。
【0080】
例えば、シート材Pの反転排出においては、前記定着装置Tから送り出されたシート材Pは前記通路切替部材601の右辺に沿って下方に案内され、ローラ602によって後端が挟持された状態とされた後の当該ローラ対602の逆回転により上昇される。
【0081】
次いで、前記切替部材601の左側の辺を通って前記排紙ローラ603に達し、かつ、当該排紙ローラで排出されるように規制される。
【0082】
更に、前記ADU7を用いる両面コピーモードの場合、片面に画像が形成された定着処理後のシート材Pを前記切替部材601の右側の辺に沿って下方に導き、シート材Pの後端をローラ対605により挟持した状態で搬送停止せしめる。
【0083】
次いで、当該ローラ対605を逆回転せしめ、ガイド板Gに沿って上昇させ、複数のローラ対701、703、705を有するADU7に導いてシート材Pの反転を達成する。
【0084】
シート材Pの第2面に対する画像形成プロセスは前述と基本的に同じであり、前記定着装置Tから送り出された後の排出路については前述した何れかが選択される。
【0085】
尚、図中P1,P2,P3は所定量のシート材Pを収納することができる用紙収納装置であり、図の手前側に引き出し可能に構成してある。
【0086】
また、参照符号9は開閉扉であり、反転排紙・再給紙部6の近傍において生じたジャム紙の排除(ジャム処理)をするときに操作される。
【0087】
次に、本願発明に係わるクリーニング装置の構成について説明する。
【0088】
図2は、図1におけるクリーニング装置と中間転写ベルトの一部を拡大して示す要部拡大図である。
【0089】
クリーニング装置40は、ボックス450、ブラシローラ451、回収ローラ452、スクレーパ453、ブラシ制御部材454、および、前記ボックスの下側空間部に設けたスクリュー455を備えている。
【0090】
前記ブラシローラ451は、中間転写ベルト401を指示するとともに、接地された支持ローラ405に対向して配置され、当該支持ローラ405の対向領域における中間転写ベルトに対してブラシが接触するようになっている。
【0091】
また、前記ブラシローラ451と前記中間転写ベルト401とは、その対向領域において同方向(順方向)に回転するように構成してある。
【0092】
前記ブラシローラ451は、導電性の繊維が植設された帯状の生地を、金属からなる支持軸上にスパイラル状に巻き回して構成したものである。
【0093】
なお、本実施の形態におけるブラシを構成するブラシ繊維は、線径が約2デニール、原糸抵抗が約10-9Ωの導電性ナイロンで形成し、ブラシ繊維の長さ(毛長)は5mmとした。
【0094】
また、ブラシローラの外径は18mmとし、線速度は中間転写ベルトの1.2倍の264mm/秒となるように回転数を設定した。
【0095】
前記回収ローラ452は金属からなり、実施においては、ステンレス鋼で構成した。
【0096】
また、ブラシローラ451の回転時において、前記回収ローラ452の食い込み量(ブラシ繊維が回収ローラに最近接点で接触できる長さと同義)が1.5mmとなるように両ローラを関係づけた。
【0097】
前記スクレーパ453はステンレス製であり、前記回収ローラ452の回転方向に対してカウンタ方向に設置してある。
【0098】
前記ブラシローラ451と前記回収ローラ452との対向領域に設けてあるブラシ制御部材454は、前記ブラシローラ451の回転時、ブラシの回転方向に対して斜め方向に当該ブラシを案内するガイドエッジを有する。
【0099】
換言すれば、ブラシ制御部材は、ブラシの先端の移動方向をブラシローラの支持軸方向に移動させる機能を構造的に有している。
【0100】
例えば、図3に示すように、ブラシ制御部材454は、多数の六角形の孔SCが縦横に形成された、厚さ0.1mmのステンレスメッシュとして構成することができる。
【0101】
斯様なステンレスメッシュをステンレス枠等を介して、ブラシローラ451と回収ローラ452との中心線上であって、当該中心線上の回収ローラ周面から1mm離したボックス450内の位置に固定させてある。
【0102】
前記六角形の孔SCを形成するガイドエッジEDが、前記ブラシに横方向の移動を行わしめることになる。本実施の形態における前記ガイドエッジEDは水平に対して45度の角度を有している。
【0103】
また、ブラシローラの回転方向におけるブラシ制御部材の孔寸法は最短の部分で1.5mmとした。
【0104】
換言すれば、前記ブラシ制御部材454のブラシ進行方向上流側には、少なくともブラシの毛先とガイドエッジEDの干渉量(食い込み量)以上の寸法を有する空間或いは孔が準備されている。
【0105】
例えば、図3の構成のブラシ制御部材454が図4の模式図に示すようにブラシローラ451と回収ローラ452との対向領域に配置されているとすると、作動時のブラシの挙動は次のようになる。
【0106】
ブラシローラ451の反時計方向の回転に伴って周方向に移動されるブラシBSの先端は、先ず、上流側の孔SCに落ち込み、直後に、支持軸に対して斜めに位置付けられたガイドエッジEDに当接し、当該ガイドエッジEDに沿って横方向にガイドされる(図5参照)。前記ガイドエッジEDと、例えば、1本のブラシBSとの当接は、前述した対向領域において複数回行われ、上流側におけるほどブラシ制御部材454の大土エッジとブラシとの干渉量は浅く、前記ブラシローラ451と回収ローラ452との最近接位置ではブラシとガイドエッジとの干渉量が最も大きくなる。
【0107】
即ち、ガイドエッジEDとブラシとの干渉量(食い込み量)は不均一であって、当初の小から大に干渉量が変化する。
【0108】
ブラシ制御部材のガイドエッジEDとブラシBSとの干渉量を上述の如く不均一にすることによって、ブラシの当接位置が部分毎に変わり、違った毛先の動きをすることにより毛同士の接触の機械を増やすことができる。
【0109】
上記のブラシBSの挙動は、ガイドエッジとの当接による撥ねや、隣接するブラシBSとの接触機会が増大する事を意味し、結果的に、ブラシとトナーとの付着力が弱まり、回収ローラ452への転移を容易にする。
【0110】
図2に戻って、前記ブラシローラ451、および、前記ブラシ制御部材454には、電源DGから所定のバイアス電圧が印加されるようになっている。
【0111】
実施の形態においては、トナーの極性とは逆極性(プラス)の直流電圧が印加される。
【0112】
また、前記ブラシ制御部材454に対するバイアス電圧は、ブラシローラ451に生じる電位以上であって、前記回収ローラ452に印加される電位以下としてある。
【0113】
これは、ブラシローラの電位よりも低いと、ブラシローラから回収ローラにトナーが転移する電界を妨げ、また、回収ローラからブラシローラへの電流の流れ以外に回収ローラからブラシ制御部材への流れも発生するので、トナーの回収効率が低下してしまう。
【0114】
一方、ブラシ制御部材454へのバイアス電圧が前記回収ローラ452に対する電位以上であると、ブラシローラ451を離れたトナーが回収ローラよりもブラシ制御部材に引きつけられてトナー回収を阻害してしまう。
【0115】
前記スクリュー455は、前記スクレーパ453により前記回収ローラ452表面から書き落とされたトナーを所定位置に向けて搬送し、トナーボックス(図示せず)に送り込む機能を有する。
【0116】
上記において、残留トナーには転写処理等によって逆極性となったトナー粒子が混在する事があり、斯様なトナーは前述の電界によって効率よく回収することができない危惧がある。
【0117】
そのような場合、前記クリーニング装置40の手前側において、中間転写ベルト表面にマイナスの帯電を行うことが有効である。
【0118】
次に、図2に示す構成の作動について構成の補足をしながら説明する。
【0119】
画像形成プロセスにおいて、中間転写ベルト401上に重ね合わされたトナー像のシート材に対する二次転写が行われ、当該転写処理後の中間転写ベルト上の画像形成領域がクリーニング装置40に近接する。
【0120】
すると、前記中間転写ベルト401の移動にタイミングをあわせてブラシローラ451と回収ローラ452が反時計方向に回転開始する。
【0121】
また、電源DGから、前記回収ローラ452とトナー制御部材454にバイアス電圧が印加される。
【0122】
前記ブラシローラ451の回転はブラシBSを起毛させ、当該ブラシBSによって中間転写ベルト401の表面が叩かれる。
【0123】
前記ブラシローラ451は前記中間転写ベルト401よりも大きな線速度を有するので、前記中間転写ベルト上に残留していたトナーは当該ブラシローラのブラシにより順次除去され、ブラシBSに付着して回収ローラ側に運ばれる。
【0124】
途上、ブラシBSの先端(自由端)はブラシ制御部材454と当接する。
【0125】
即ち、ブラシBSの先端はブラシ制御部材454に設けた孔SCに落ち込んだ後、ガイドエッジEDに衝突し、水平方向(軸方向)に対して角度を有する前記ガイドエッジEDに沿って横方向にガイドされる。
【0126】
斯様なブラシ制御部材454によるブラシ制御が複数回繰り返され、その間に起こる衝撃や、隣接するブラシ同士の接触によって、ブラシ繊維BSに対するトナーの付着力は弱められ、順次、回収ローラ452に回収される。
【0127】
換言すれば、回収ローラ452との対向領域に近接した回転方向上流位置から始まるブラシ制御部材454により付着力が弱められたトナーは、最終的には、ブラシローラ451と回収ローラ452との最近接点における両ローラの当接を介して回収される。
【0128】
この間、バイアス電圧が印加されているブラシ制御部材454に付着しようとするトナーは、後続するブラシにより叩き落とされ、やはりバイアス電圧が印加されている回収ローラ452に回収される。
【0129】
回収ローラ452上に回収されたトナーはスクレーパ453により当該回収ローラから除去され、ボックス内を落下する。
【0130】
落下回収されたトナーは、適宜のタイミングで駆動されるスクリュー455により所定位置に搬送され、トナーボックスに回収される。
【0131】
本実施の形態において、前記ブラシローラと回収ローラとの対向領域は8mmである。
【0132】
また、ブラシ制御部材454は、前記ブラシローラと回収ローラとの中心を結んでできる仮想線に対して、図3に示す如く、上下あるいは前後が等量となるように配置した。
【0133】
但し、ブラシローラ451、回収ローラ452、および、ブラシ制御部材454の構成上の関係は適宜に設定できるものであり、例えば、前記ブラシ制御部材454は前記仮想線に対して90度で交わる態様でなくとも良い。
【0134】
また、ブラシ制御部材454は、前記仮想線上の位置を最終位置として、それよりもブラシローラの回転方向上流近傍だけとすることもでき、設計の自由度は広い。
【0135】
更に、ブラシ制御部材454は前述の六角形パターンでなくても良く、例えば、図6、7に示されるパターンを有するものでも良い。
【0136】
図6は、いわば、斜め線パターンと総称できるもので、(イ)はガイドエッジである線状部が、支持軸方向に対して所定角度を持って交差しているパターンからなり、ガイドエッジ間に形成された孔は菱形である。
【0137】
(ロ)、(ハ)、(ニ)はガイドエッジである線状部が、軸方向に対して所定角度を持って互いに平行に延びたパターンからなり、ガイドエッジ間に形成された孔は略平行四辺形である。
【0138】
前記(ロ)は適宜の間隔で縦方向の補強部HKを有し、(ハ)は上下の中央部付近を通る横方向の補強部HKを有する。
【0139】
これらパターンから理解されるように、ブラシローラの支持軸方向に植設されたブラシ繊維BSができる限り均一に、また、ガイドエッジに複数回当接するように構成することが望まれる。
【0140】
図7は、前記とは異なるパターン、或いは、異なる構成からなるブラシ制御部材を示す。
【0141】
図7の(イ)は斜めのコの字状の連続パターン、(ロ)は一方側(上方側)の基部から斜めにガイドエッジを突出せしめた態様のパターン、(ハ)は矩形の板材に斜めの孔を列状に形成してガイドエッジを作製したパターン、(ニ)は波形パターンを有する。
【0142】
ガイドエッジの水平面に対する傾斜角は20〜60度の範囲が好ましく、40乃至50度の範囲がより好ましい。
【0143】
上述の六角形パターンを有するブラシ制御部材、および、図6の斜め線パターンを有するブラシ制御部材を用い、かつ、回収ローラ、ブラシ制御部材、ブラシローラに所定のバイアス電圧を付与した状態でトナーの回収効率を実験で確認した。
【0144】
その結果、ブラシ繊維制御部材を用いない従来構成のクリーニング装置によるトナー回収率に比して、本願発明に係わるクリーニング装置のトナー回収率は30%高いことが証明された。
【0145】
回収率の測定方法は、下記のように行った。
【0146】
コニカミノルタ社製のbizhub PRO C500を用い、図2のクリーニング装置の回収ローラを外した状態を作る。
【0147】
次に、シアントナーを用いてテストチャート画像を中間転写ベルト上に作製し、トナー画像をシート材に転写をすることなく当該ベルトを搬送し、本願発明に係わるクリーニング装置のブラシローラで除去する。ブラシローラには支持軸にプラス500ボルトの電圧を印加した。
【0148】
このときのブラシローラの重量を測定する。
【0149】
次いで、回収ローラを取り付けてブラシローラに付着しているトナーを回収ローラで回収する(本発明使用に際しては、回収ローラ取り付けと一緒にブラシ制御部材を取り付ける)。
【0150】
回収動作時には、クリーナ単体の実験であるため、ブラシ支持軸を設置するとともに回収ローラに200ボルト、ブラシ制御部材を設置する場合は50ボルトの電圧を印加した。回収ローラによるトナー回収後のブラシローラの重量を測定する。
【0151】
回収ローラによる回収前のブラシローラに付着したトナー重量と、回収後のブラシローラに付着しているトナー量とから回収率を求める。
【0152】
いずれにせよ、本願発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することのない応用・変形を含むものであり、例えば、像担持体が感光体ドラムであっても良く、画像形成装置がモノクロの画像形成装置であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】デジタルカラー複写機からなる画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】クリーニング装置と中間転写ベルトの一部を拡大して示す要部拡大図である。
【図3】ブラシ制御部材の一例を示す図である。
【図4】ブラシ制御部材、ブラシローラ、および、回収ローラの関係を示す説明用の概念図である。
【図5】ガイドエッジによるブラシの軸方向への移動を示す概念図である。
【図6】ブラシ制御部材の他の構成を示す図である。
【図7】ブラシ制御部材の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0154】
1 自動原稿送り装置
2 画像読み取り部
3 画像形成部
4 ベルトユニット
5 給紙部
6 反転排紙・再給紙部
40 クリーニング装置
451 ブラシローラ
452 回収ローラ
453 スクレーパ
454 ブラシ制御部材
BS ブラシ
ED ガイドエッジ
SC 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体上に残留するトナーを除去するブラシを有するブラシローラと、
前記ブラシローラに対向して配置され、前記ブラシローラに当接して前記ブラシローラに付着する前記残留トナーを回収する回収ローラと、を有し、
前記ブラシローラの回転方向に対して斜め方向に、前記ブラシの先端が当接するとともに前記ブラシの先端をガイドするガイドエッジを有し、前記ガイドエッジに前記ブラシが接触することによりブラシに付着したトナーを除去するブラシ制御部材を、前記ブラシローラと前記回収ローラとの対向領域に設けたことを特徴とする画像形成装置のクリーニング装置。
【請求項2】
前記ガイドエッジは、板状部材を穿孔することにより形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置のクリーニング装置。
【請求項3】
前記ガイドエッジは、前記ブラシローラの回転方向に複数形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置のクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1に記載の画像形成装置のクリーニング装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−20398(P2009−20398A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184158(P2007−184158)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】