画像形成装置の周辺機器、画像形成装置及び画像形成システム
【課題】画像形成装置に接続される周辺機器の種類や組み合わせに応じて、要求される順序や最適な準備動作を可能とし且つ自由度の高い画像形成装置の周辺機器、画像形成装置及び画像形成システムを提供する。
【解決手段】シートに画像を形成する画像形成装置110に接続して所定の処理動作を行う周辺機器121、123、125、127であって、処理開始の準備動作に必要な電力と時間との関係について複数の準備動作パターンを備えており、画像形成装置110にその周辺機器121、123、125、127が接続された場合に、接続された周辺機器に応じて各周辺機器が有する準備動作パターンを選択して準備動作を行わせる。
【解決手段】シートに画像を形成する画像形成装置110に接続して所定の処理動作を行う周辺機器121、123、125、127であって、処理開始の準備動作に必要な電力と時間との関係について複数の準備動作パターンを備えており、画像形成装置110にその周辺機器121、123、125、127が接続された場合に、接続された周辺機器に応じて各周辺機器が有する準備動作パターンを選択して準備動作を行わせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に接続されて画像形成後のシートを後処理したり、画像形成装置に原稿を自動給送する等の各種の周辺機器や、それらの周辺機器を接続可能に設けてある画像形成装置、及び画像形成装置と周辺機器とからなる画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成が行われたシートに対して複数の後処理動作を行うシート後処理装置(周辺機器)では、電源が投入された時やカバーを閉じた後に、各処理部を所定の待機位置まで移動して後処理開始の準備動作(イニシャル動作)を行っている。
【0003】
特許文献1のシート後処理装置は、各処理部の初期化動作を任意に指定した処理部から順に行う技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−148479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の従来技術は、後処理の初期化動作を任意に指定した処理部から順に行っているので、全ての処理部の準備動作が終了するまでには、一定の電力と一定の所定時間がかかる。
【0006】
一方、画像形成装置に周辺機器を接続した画像形成システムでは、接続されている周辺機器の種類と組み合わせによっては、多少時間がかかっても画像形成装置と同時に準備動作が終了していることを要求される場合や、とりあえず画像形成装置の準備動作を終了させ、その後に周辺機器の準備動作を行うようにしたいという要求もある。また、画像形成装置の準備動作によっては準備動作に要求される電力にあきがあるためその電力を周辺機器の準備動作に利用可能な場合もある。
【0007】
尚、画像形成処理における複数の処理部の準備動作や各周辺機器の準備動作を同時に行うと画像形成装置の初期化動作と後処理装置の各処理部の初期化動作に必要な消費電力のピークのタイミングが重なるという不具合がある。
【0008】
本発明は、画像形成装置に接続される周辺機器の種類や組み合わせに応じて、要求される順序や最適な準備動作を可能とし且つ自由度の高い画像形成装置の周辺機器、画像形成装置及び画像形成システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に接続して所定の処理動作を行う周辺機器であって、処理開始の準備動作に必要な電力と時間との関係について複数の準備動作パターンを備えていることを特徴とする画像形成装置の周辺機器である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、接続された周辺機器の種別を認識する種別認識手段を有する画像形成装置であって、請求項1に記載の周辺機器が接続された場合に、接続された周辺機器に応じて各周辺機器が有する準備動作パターンを選択して準備動作を行わせることを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
請求項3に記載された発明は、所定の処理動作を行う周辺機器が接続可能に設けてあり、接続された周辺機器の種別を認識する種別認識手段を有する画像形成装置であって、画像形成装置の処理開始の準備動作に必要な電力と時間との関係について、接続された周辺機器の種類と組み合わせとに応じて準備動作を行う複数の準備動作パターンを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【0012】
請求項4に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、接続される周辺機器の種類と接続される周辺機器の種類と組み合わせに応じて予め設定された複数の準備動作パターンを有し、接続された周辺機器の種類と組み合わせに応じて準備動作パターンを特定して、各周辺機器の準備動作を行わせることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載された発明は、請求項1に記載の周辺機器と、請求項2〜4の何れか一項に記載の画像形成装置とからなることを特徴とする画像形成システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置に接続された周辺機器は、例えば消費電力を大きくして所要時間を短くする場合や、消費電力を小さくして所要時間を長くする場合等の複数のパターンで準備動作を行うことができるので、例えば、画像形成装置の準備動作を行うために必要な電力に空きがある場合にその空き電力を使用して画像形成装置と同時期に準備動作をしたり、画像形成装置の準備動作が完了した後に準備動作をすることができるので、顧客に要求される順番や時間や消費電力において最適な準備動作ができ、準備動作の自由度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、添付図面を参照して、本発明の第1実施の形態を詳細に説明する。尚、図1は本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置の制御ブロック図、図2は本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置において、複数動作処理時のイニシャル動作(準備動作)を説明するフローチャート、図3は本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置において、個別動作処理時のイニシャル動作を説明するフローチャート、図4は図6に示す中折り処理部を拡大して示す図、図5は中折り処理部のイニシャル動作(準備動作)を説明するフローチャート、図6は本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置の全体概略図である。
【0016】
図6に示すように用紙後処理装置(第1後処理装置)100は、画像形成装置110の側部に取付けられており、画像形成装置110から排出された用紙(シート)に穿孔処理を施す穿孔処理部Aと、シート束に対して綴じ処理を施す綴じ処理部(ステープルトレイ)Fと、綴じ処理を施したシート束に折り処理を施す中折り処理部G、穿孔処理や綴じ処理が施された用紙を機外に排出する排紙トレイ39a、39b、39c等を備えている。この実施の形態では、画像形成装置110と用紙後処理装置100とで画像形成システムを構成している。
【0017】
穿孔処理部Aは、画像形成装置110から受け入れる用紙を検出する入口センサ20a、その下流に設けた入口ローラ21、パンチユニット31、ホッパ32、搬送ローラ22、分岐爪15および分岐爪16が順次配置されている。ソレノイドをONすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方に各々回動する。用紙を上トレイ39aへ導く搬送路B、シフトトレイ39bへ導く搬送路C、綴じ処理部Fへ導く搬送路Dへ、それぞれ分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるようになっている。
【0018】
搬送路Bの経路上には搬送ローラ23、排紙ローラ24及び排紙センサ20bが設けられており、搬送路B上の用紙を上トレイ39aへ導いている。また、搬送路C上には搬送ローラ25、排紙ローラ13、26及び排紙センサ20cが設けられており、穿孔処理や綴じ処理を施した用紙をシフトトレイ39bへ導いている。搬送路Dの経路上には各搬送ローラ27、29、30、用紙検知センサ20d、20eが設けられており、用紙を綴じ処理部Fへ導いている。また、搬送路D内には分岐爪17が配置されており、搬送ローラ28によって用紙収容部Eへ用紙を導いて、用紙収容部Eに用紙を滞留させ、次の用紙と重ね合せて搬送できるようになっている。
【0019】
次に綴じ処理部Fについて説明する。綴じ処理部Fは用紙を綴じ処理トレイ内に導くステープル排紙ローラ11と、トレイ内に導かれた用紙が突き当てられる後端フェンス51と、トレイ上の用紙を検知する検知センサ20fと、用紙の縦方向(搬送方向)の整合を行う叩きコロ12と、用紙の幅方向の整合を行うジョガーフェンス53と、用紙束の端部に綴じ処理を行う端部綴じ処理ステープラS1と、用紙束の中央部に綴じ処理を行う中央部綴じ処理ステープラS2と、綴じ処理の終了したシート束を放出する放出爪31と、放出爪31を駆動する放出ベルト32と、放出ベルト32を駆動する放出ローラ33と、シート束偏向手段としての分岐ガイド板34及び可動ガイド35とを備えている。分岐ガイド板34は支点を中心として回動自在である。また可動ガイド35は放出ローラ33に対して回動自在に取付けられている。
【0020】
次に中折り処理部Gについて説明する。中折り処理部Gは、用紙束を搬送路に沿って案内する搬送ガイド41と、搬送ガイド41に沿って用紙束を搬送する搬送ローラ42、43と、突設自在に設けた折りブレード45と、折りブレード45に押された用紙束をニップに挟み込んで用紙束を折る折りローラ対46とを備えている。また、中折り処理部Gの下端部には中折り処理部Gに搬送された用紙束の後端を突き当てる後端フェンス47と、後端フェンス47を上下に移動させる駆動モータ48と、後端フェンス47の初期位置(ホームポジション)を検知するHP検知センサ49とを備えている。また折りローラ対46で折り処理が施された用紙束は搬送路Hの用紙検知センサ20h及び排紙ローラ38を通過して、下トレイ39cに排紙される。
【0021】
次に本実施形態に係る用紙後処理装置の制御ブロック図について説明する。図1に示すように、用紙後処理装置100には穿孔処理部A、綴じ処理部F、中折り処理部Gの各駆動部を制御する後処理装置制御部60が設けられており、画像形成装置110側の本体制御部50と通信手段56によって接続されている。また、画像形成装置110には用紙に対して画像形成処理を行う画像形成部55、画像形成に関する各種設定を行う操作表示部52、用紙後処理装置の種別を認識する種別認識手段57が設けられている。操作表示部52には複数動作処理と個別動作処理との設定の切替(選択)ができる準備動作切替手段54が設けられている。
【0022】
次に、本実施の形態に係る用紙後処理装置の作用及び効果を説明する。用紙後処理装置100の電源が投入されると、用紙後処理装置100内の各処理部においてイニシャル動作(準備動作)が行われる。ここでイニシャル動作の一例として、中折り処理部(第1ユニット)Gのイニシャル動作について図4及び図5を用いて説明する。図5に示すように、中折り処理部Gのイニシャル動作のステップが開始されると(S31)、次のステップでは後端フェンス47がHP検知センサ49の位置にあるか否か判断される(S32)。ステップS32においてHP検知センサ49がONと判断された場合、駆動モータをCW方向に回転させて後端フェンス47をY方向に移動させる(S33)。次いでステップS34でHP検知センサ49がOFFか否か判断され、HP検知センサ49がOFFと判断された場合には、次のステップS35において駆動モータを停止すると共にモータをCCW方向に回転させて後端フェンス47をZ方向に移動させる。尚、ステップS32においてHP検知センサ49がOFFと判断された場合、駆動モータをCCW方向に回転させて後端フェンス47をZ方向に移動させる(S39)。そして後端フェンス47の移動が終了すると次のステップS36に進む。次のステップS36においてHP検知センサ49がONと判断された場合、駆動モータを停止して中折り処理部Gのイニシャル動作を終了する。
【0023】
イニシャル動作は画像形成装置110の操作表示部52で設定された準備動作処理に基づいて制御される。すなわち、操作表示部52で複数動作処理が選択された場合は、図2に示すフローチャートに基づいてイニシャル動作が行われる。操作表示部52で個別動作処理が選択された場合は図3に示すフローチャートに基づいてイニシャル動作が行われる。
【0024】
図2に示す複数動作処理(時間優先処理)の場合、イニシャル動作のステップが開始されると、次のステップでイニシャル開始の準備ができているか否か判断され、準備ができていると判断された場合は次のステップに進む(S11〜S13)。ステップS13では、中折り処理部(第1ユニット)G、穿孔処理部(第2ユニット)A、綴じ処理部(第3ユニット)F、の各処理部のイニシャル動作が同時に行われる。次のステップS14において各処理部のイニシャル動作が終了したか否か判断され(ステップS14)、全てのイニシャル動作が終了すると、複数動作処理のステップは終了する(ステップS15)。
【0025】
図3に示す個別動作処理(消費電力優先処理)の場合、イニシャル動作のステップが開始されると(S21)、次のステップで中折り処理部(第1ユニット)Gのイニシャル動作開始の準備ができているか否か判断され、準備ができていると判断された場合は次のステップに進み、中折り処理部Gのイニシャル動作が開始される(S21〜S23)。次のステップS24では、中折り処理部Gのイニシャル動作が終了したか否か判断され、イニシャル動作が終了した場合は次のステップに進み、イニシャル動作が終了しない場合はステップS24の動作が繰り返される。
【0026】
ステップS25では穿孔処理部(第2ユニット)Aのイニシャル動作が開始され、次のステップS26では、穿孔処理部Aのイニシャル動作が終了したか否か判断され、イニシャル動作が終了した場合は次のステップに進み、イニシャル動作が終了しない場合はステップS26の動作が繰り返される。ステップS27では綴じ処理部(第3ユニット)Fのイニシャル動作が開始され、次のステップS28では、綴じ処理部Fのイニシャル動作が終了したか否か判断され、イニシャル動作が終了した場合は次のステップに進み、イニシャル動作が終了しない場合はステップS28の動作が繰り返される。綴じ処理部Fのイニシャル動作が終了すると、個別動作処理のステップは終了する(ステップS29)。
【0027】
本実施の形態によれば、用紙後処理装置100は個別動作処理と、複数動作処理との2つの動作処理を有するので、複数動作処理を行っても不具合が生じない用紙後処理装置に対してのみ複数動作処理を行うことで、イニシャル動作時間を短縮できる。また、複数動作処理で不具合が生じるおそれがある用紙後処理装置に対しては個別動作処理を行うことで、消費電力を分散させることができ、画像形成装置110内のユニット動作(例えば定着装置の加熱)時間を短くできる。このように用紙後処理装置の種別に応じて最適な動作処理を行うことができ、使い勝手が良い。
【0028】
操作表示部52には複数動作処理と個別動作処理との設定切替ができる準備動作切替手段54が設けられているので、操作表示部52上で簡単に設定を変えることができる。
【0029】
次に、他の実施の形態を説明するが、以下の説明において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することにより、その部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では上述の第1実施の形態と異なる点を主に説明する。
【0030】
第2実施の形態では、画像形成装置110が用紙後処理装置100を認識し、用紙後処理装置100の種別に応じたイニシャル動作制御を行っている。そして、用紙後処理装置100の種別に応じて異なるイニシャル動作処理(以下、単にシステム1ともいう)にしたり、用紙後処理装置100の種別に拘らず同一のイニシャル動作処理(以下、単にシステム2ともいう)にしたりしている。尚、システム1及びシステム2は操作表示部52で切替ができるようになっている。
【0031】
図7(a)はシステム1の場合のフローチャートである。図7(a)に示すように、システム1の選択によりステップが開始すると(S41)、次のステップでは画像形成装置110の種別認識手段57により後処理装置の種別を判別する(S42)。係るステップにおいて例えば各処理部におけるイニシャル動作の消費電力が大きいタイプAの後処理装置を画像形成装置110が認識した場合、次のステップで後処理装置に消費電力優先の個別動作処理を行う指示が出される(S43)。一方、ステップS42において例えば各処理部におけるイニシャル動作の消費電力が小さいタイプBの後処理装置を画像形成装置110が認識した場合、次のステップで後処理装置に時間優先の複数動作処理を行う指示が出される(S44)。そして、次のステップで指示された動作処理に基づいてイニシャル動作が開始する(S45)。
【0032】
図7(b)はシステム2の場合のフローチャートである。図7(b)に示すように、システム2の選択によりステップが開始すると(S51)、次のステップで後処理装置の種別を判別する(S52)。係るステップにおいて、例えばタイプAの後処理装置を画像形成装置110が認識した場合、次のステップで後処理装置に消費電力優先の個別動作処理を行う指示が出される(S53)。一方、ステップS52において例えばタイプBの後処理装置を画像形成装置110が認識した場合、この場合も次のステップで後処理装置に消費電力優先の個別動作処理を行う指示が出される(S54)。そして、次のステップで指示された動作処理に基づいてイニシャル動作が開始する(S55)。
【0033】
第2実施の形態では、用紙後処理装置100が画像形成装置110に接続されると後処理装置100の種別を認識して、後処理装置100の種別に応じた後処理装置のイニシャル動作を行うことができるので、更に使い勝手の良いシステムを得ることができる。
【0034】
次に、図8〜図11を参照して、本発明の第3実施の形態を説明する。図8に示すように、第3実施の形態は、画像形成装置110に第1後処装置121及び第2後処理装置123と、自動原稿送り装置(ADF)125と、別付けの給紙装置127とを接続した画像形成システムである。第1後処理装置121は、例えば穿孔処理をする後処理装置であり、第2後処理装置121は例えば綴じ処理を行う綴じ処理装置である。
【0035】
画像形成装置110は本実施の形態では3つの準備動作パターンを有している。第1準備動作パターンは、図9に示すように、画像形成装置内の各部の準備動作、即ち、画像読み取り部の位置設定、熱定着部の加熱等を所定の電流A1(例えば6アンペア)で時間T1(例えば8秒)行う準備動作パターンである。
【0036】
画像形成装置の第2準備動作パターンは、図10に示すように、電流A1で時間T2(例えば4秒)行った後、電流A2(例えば3アンペア)で時間T3(例えば4秒)を行う準備動作パターンである。
【0037】
画像形成装置の第3準備動作パターンは、図11に示すように、電流A1を時間T4(例えば、2秒)行った後、電流A2を時間T5(例えば、8秒)行う準備動作パターンである。
【0038】
一方、各周辺機器121、123、125、127は、各々2つの準備動作パターンを有している。図9に示すように、電流A1でT6(例えば1秒)時間行う第1準備動作パターンと、図11に示すように電流A2でT6(例えば2秒)行う第2準備動作パターンである。
【0039】
この第3実施の形態では、画像形成装置110の準備動作パターンと各周辺機器121、123、125、127の準備動作パターンとの種々の組み合わせにより、画像形成システム全体における準備動作を、顧客の要求に応じて最適な準備動作で行うことができる。
【0040】
例えば、図9に示す準備動作パターンは、画像形成装置が電流A1でT1時間準備動作を行って画像形成装置110の準備動作が終了した後、給紙装置127と、自動原稿送り装置(ADF)125と、第1後処装置121と、第2後処理装置123とをこの順序で各々電流A1、時間T6で準備動作する。即ち、画像形成装置110の準備動作を優先して、画像形成システム全体の準備動作を行うものである。
【0041】
図10に示す準備動作パターンは、画像形成装置110の準備動作が終了したときには、給紙装置127とADF129の準備動作も終了し、第1及び第2後処理装置の準備動作をするものであり、画像形成装置110の準備動作が終了したときにはとりあえず通常の複写処理ができるようにしたものである。
【0042】
図11に示す準備動作パターンは、画像形成装置110の準備動作が終了したときには、全ての周辺機器127、125、121、123も準備動作を終了するようにしたものである。
【0043】
第3実施の形態によれば、画像形成装置110の準備動作パターンと周辺機器121、123、125、127の各準備動作パターンの組み合わせにより、画像形成システム全体として自由度の高い準備動作を行うことができる。
【0044】
第1〜第3準備動作は、画像形成装置110に各周辺装置を127、125、121、123を接続した後、何れの準備動作パターンで準備動作を行うか予め登録されている3つのパターンから選択して設定する。このような設定は、例えば、画像形成システムの設定時にサービスマンが行う。
【0045】
図12〜図14を参照して第4実施の形態について説明する。この第4実施の形態では、画像形成装置110は接続される周辺機器127、125、121、123の種類に応じて、各周辺機器に組み込まれて準備動作パターンを画像形成装置110からの作動信号を受けて実行するものである。図12に示すように、画像形成装置110が上述の第2準備動作パターンを実行する場合に、図13に示すように、画像形成装置110の電流のあき容量を利用してADF125については周辺機器の第2準備動作パターンで行い、給紙装置127については周辺機器の第1準備動作パターンを行うものである。
【0046】
また、画像形成装置110の消費電流に充分な空き容量がある場合には、その空き容量を利用して、図14に示すように給紙装置127及びADF125共に周辺機器の第3準備動作パターンを行うようにしたものである。この周辺機器の第3準備動作パターンは、電流A3(例えば1.5アンペア)で時間T2(例えば4秒)おこなう。
【0047】
即ち、第4実施の形態では、周辺機器127、125、121、123は、各々図14で示すような第3の準備動作パターンを有している。
【0048】
画像形成システム全体を何れの準備動作パターンで準備動作を行うかは、接続される周辺機器の種類の組み合わせごとに予め設定した準備動作パターンが画像形成装置110内に記録されており、画像形成装置110が接続された周辺機器127、125、121、123を認識すると、画像形成装置110は接続された周辺機器の種類の組み合わせから特定された準備動作パターンで自己の準備動作を行うと共に、周辺機器に対しても周辺機器に用意されている準備動作パターンを選択して実行指令を出すようになっている。
【0049】
尚、画像形成システム全体の準備動作の終了は、図14に示す準備動作パターンのほうが図3に示す準備動作パターンよりも早くできる。
【0050】
図15〜図17を参照して第5実施の形態について説明する。この第5実施の形態では、画像形成装置110は上述の第2準備動作パターン(図16参照)と、第1準備動作パターン(図17参照)との2つの準備動作パターンを有し、周辺機器121、123は一つの準備動作パターンのみを有する例である。
【0051】
この第5実施の形態では、画像形成装置110が有する2つの準備動作パターンから、一つの準備動作パターンを予め選択して設定しておくことにより、画像形成システム全体として、図16に示す準備動作パターンや図17に示す準備動作パターンを実行することができる。図16に示す準備動作パターンでは画像形成装置110の準備動作終了と同時に第1及び第2後処理装置121、125の準備動作が終了するものである。図17に示す準備動作パターンでは、まず画像形成装置110の準備動作を終了させて通常の複写を可能とした後に、周辺機器121、123を同時に準備動作するものである。
【0052】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。
【0053】
上述の第1実施形態において、中折り処理部G、穿孔処理部A、綴じ処理部Fの3つのユニットのイニシャル動作について説明したが、これに限定されず、中折り処理部G、穿孔処理部A、綴じ処理部F以外のユニット(例えば排紙トレイ)のイニシャル動作についても同様の動作処理を行っても良い。
【0054】
上述の第1実施形態において、複数動作処理の場合、中折り処理部G、穿孔処理部A、綴じ処理部F、の3つのイニシャル動作を同時に行うようにしたが、これに限定されず、2つのイニシャル動作(例えば、中折り処理部G及び穿孔処理部Aのイニシャル動作)を同時に行い、この2つのイニシャル動作の前後に他のイニシャル動作(例えば綴じ処理部Fのイニシャル動作)を行っても良い。
【0055】
上述の第1実施形態において、各処理部にイニシャル動作を行う部品が複数ある場合、それぞれの部品についてイニシャル動作の動作処理を選択できるようにしても良い。例えば中折り処理部Gの場合、折りブレード45及び後端フェンス47のイニシャル動作について、複数動作処理と個別動作処理との選択ができるようにしても良い。
【0056】
上述の第1実施形態において、用紙後処理装置100の電源が投入されると、用紙後処理装置の各処理部においてイニシャル動作を行うようにしたが、ドアの閉時やジョブの終了時にイニシャル動作を行っても良い。
【0057】
上述の第1実施形態において、個別動作処理の場合、中折り処理部G、穿孔処理部A、綴じ処理部Fの順にイニシャル動作を行っているが、その順番は如何なる順序であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置において、複数動作処理時のイニシャル動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置において、個別動作処理時のイニシャル動作を説明するフローチャートである。
【図4】図6に示す中折り処理部を拡大して示す図である。
【図5】中折り処理部のイニシャル動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の全体概略図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る用紙後処理装置のイニシャル動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第3実施形態に係る画像形成システムにおける周辺機器の種類と配置を示す概略構成図である。
【図9】第3実施形態における第1準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図10】第3実施形態における第2準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図11】第3実施形態における第3準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図12】本発明の第4実施形態に係る画像形成システムにおける周辺機器の種類と配置を示す概略構成図である。
【図13】第4実施形態に係る準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図14】第4実施形態に係る準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図15】本発明の第5実施形態に係る画像形成システムにおける周辺機器の種類と配置を示す概略構成図である。
【図16】第5実施形態に係る準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図17】第5実施形態に係る準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0059】
A 穿孔処理部(処理部)
F 綴じ処理部(処理部)
G 中折り処理部(処理部)
54 準備動作切替手段
57 種別認識手段
100 シート後処理装置
110 画像形成装置
121 第1後処理装置(周辺機器)
123 第2後処理装置(周辺機器)
125 自動原稿送り装置(周辺機器)
127 給紙装置(周辺機器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に接続されて画像形成後のシートを後処理したり、画像形成装置に原稿を自動給送する等の各種の周辺機器や、それらの周辺機器を接続可能に設けてある画像形成装置、及び画像形成装置と周辺機器とからなる画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成が行われたシートに対して複数の後処理動作を行うシート後処理装置(周辺機器)では、電源が投入された時やカバーを閉じた後に、各処理部を所定の待機位置まで移動して後処理開始の準備動作(イニシャル動作)を行っている。
【0003】
特許文献1のシート後処理装置は、各処理部の初期化動作を任意に指定した処理部から順に行う技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−148479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の従来技術は、後処理の初期化動作を任意に指定した処理部から順に行っているので、全ての処理部の準備動作が終了するまでには、一定の電力と一定の所定時間がかかる。
【0006】
一方、画像形成装置に周辺機器を接続した画像形成システムでは、接続されている周辺機器の種類と組み合わせによっては、多少時間がかかっても画像形成装置と同時に準備動作が終了していることを要求される場合や、とりあえず画像形成装置の準備動作を終了させ、その後に周辺機器の準備動作を行うようにしたいという要求もある。また、画像形成装置の準備動作によっては準備動作に要求される電力にあきがあるためその電力を周辺機器の準備動作に利用可能な場合もある。
【0007】
尚、画像形成処理における複数の処理部の準備動作や各周辺機器の準備動作を同時に行うと画像形成装置の初期化動作と後処理装置の各処理部の初期化動作に必要な消費電力のピークのタイミングが重なるという不具合がある。
【0008】
本発明は、画像形成装置に接続される周辺機器の種類や組み合わせに応じて、要求される順序や最適な準備動作を可能とし且つ自由度の高い画像形成装置の周辺機器、画像形成装置及び画像形成システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に接続して所定の処理動作を行う周辺機器であって、処理開始の準備動作に必要な電力と時間との関係について複数の準備動作パターンを備えていることを特徴とする画像形成装置の周辺機器である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、接続された周辺機器の種別を認識する種別認識手段を有する画像形成装置であって、請求項1に記載の周辺機器が接続された場合に、接続された周辺機器に応じて各周辺機器が有する準備動作パターンを選択して準備動作を行わせることを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
請求項3に記載された発明は、所定の処理動作を行う周辺機器が接続可能に設けてあり、接続された周辺機器の種別を認識する種別認識手段を有する画像形成装置であって、画像形成装置の処理開始の準備動作に必要な電力と時間との関係について、接続された周辺機器の種類と組み合わせとに応じて準備動作を行う複数の準備動作パターンを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【0012】
請求項4に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、接続される周辺機器の種類と接続される周辺機器の種類と組み合わせに応じて予め設定された複数の準備動作パターンを有し、接続された周辺機器の種類と組み合わせに応じて準備動作パターンを特定して、各周辺機器の準備動作を行わせることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載された発明は、請求項1に記載の周辺機器と、請求項2〜4の何れか一項に記載の画像形成装置とからなることを特徴とする画像形成システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置に接続された周辺機器は、例えば消費電力を大きくして所要時間を短くする場合や、消費電力を小さくして所要時間を長くする場合等の複数のパターンで準備動作を行うことができるので、例えば、画像形成装置の準備動作を行うために必要な電力に空きがある場合にその空き電力を使用して画像形成装置と同時期に準備動作をしたり、画像形成装置の準備動作が完了した後に準備動作をすることができるので、顧客に要求される順番や時間や消費電力において最適な準備動作ができ、準備動作の自由度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、添付図面を参照して、本発明の第1実施の形態を詳細に説明する。尚、図1は本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置の制御ブロック図、図2は本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置において、複数動作処理時のイニシャル動作(準備動作)を説明するフローチャート、図3は本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置において、個別動作処理時のイニシャル動作を説明するフローチャート、図4は図6に示す中折り処理部を拡大して示す図、図5は中折り処理部のイニシャル動作(準備動作)を説明するフローチャート、図6は本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置の全体概略図である。
【0016】
図6に示すように用紙後処理装置(第1後処理装置)100は、画像形成装置110の側部に取付けられており、画像形成装置110から排出された用紙(シート)に穿孔処理を施す穿孔処理部Aと、シート束に対して綴じ処理を施す綴じ処理部(ステープルトレイ)Fと、綴じ処理を施したシート束に折り処理を施す中折り処理部G、穿孔処理や綴じ処理が施された用紙を機外に排出する排紙トレイ39a、39b、39c等を備えている。この実施の形態では、画像形成装置110と用紙後処理装置100とで画像形成システムを構成している。
【0017】
穿孔処理部Aは、画像形成装置110から受け入れる用紙を検出する入口センサ20a、その下流に設けた入口ローラ21、パンチユニット31、ホッパ32、搬送ローラ22、分岐爪15および分岐爪16が順次配置されている。ソレノイドをONすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方に各々回動する。用紙を上トレイ39aへ導く搬送路B、シフトトレイ39bへ導く搬送路C、綴じ処理部Fへ導く搬送路Dへ、それぞれ分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるようになっている。
【0018】
搬送路Bの経路上には搬送ローラ23、排紙ローラ24及び排紙センサ20bが設けられており、搬送路B上の用紙を上トレイ39aへ導いている。また、搬送路C上には搬送ローラ25、排紙ローラ13、26及び排紙センサ20cが設けられており、穿孔処理や綴じ処理を施した用紙をシフトトレイ39bへ導いている。搬送路Dの経路上には各搬送ローラ27、29、30、用紙検知センサ20d、20eが設けられており、用紙を綴じ処理部Fへ導いている。また、搬送路D内には分岐爪17が配置されており、搬送ローラ28によって用紙収容部Eへ用紙を導いて、用紙収容部Eに用紙を滞留させ、次の用紙と重ね合せて搬送できるようになっている。
【0019】
次に綴じ処理部Fについて説明する。綴じ処理部Fは用紙を綴じ処理トレイ内に導くステープル排紙ローラ11と、トレイ内に導かれた用紙が突き当てられる後端フェンス51と、トレイ上の用紙を検知する検知センサ20fと、用紙の縦方向(搬送方向)の整合を行う叩きコロ12と、用紙の幅方向の整合を行うジョガーフェンス53と、用紙束の端部に綴じ処理を行う端部綴じ処理ステープラS1と、用紙束の中央部に綴じ処理を行う中央部綴じ処理ステープラS2と、綴じ処理の終了したシート束を放出する放出爪31と、放出爪31を駆動する放出ベルト32と、放出ベルト32を駆動する放出ローラ33と、シート束偏向手段としての分岐ガイド板34及び可動ガイド35とを備えている。分岐ガイド板34は支点を中心として回動自在である。また可動ガイド35は放出ローラ33に対して回動自在に取付けられている。
【0020】
次に中折り処理部Gについて説明する。中折り処理部Gは、用紙束を搬送路に沿って案内する搬送ガイド41と、搬送ガイド41に沿って用紙束を搬送する搬送ローラ42、43と、突設自在に設けた折りブレード45と、折りブレード45に押された用紙束をニップに挟み込んで用紙束を折る折りローラ対46とを備えている。また、中折り処理部Gの下端部には中折り処理部Gに搬送された用紙束の後端を突き当てる後端フェンス47と、後端フェンス47を上下に移動させる駆動モータ48と、後端フェンス47の初期位置(ホームポジション)を検知するHP検知センサ49とを備えている。また折りローラ対46で折り処理が施された用紙束は搬送路Hの用紙検知センサ20h及び排紙ローラ38を通過して、下トレイ39cに排紙される。
【0021】
次に本実施形態に係る用紙後処理装置の制御ブロック図について説明する。図1に示すように、用紙後処理装置100には穿孔処理部A、綴じ処理部F、中折り処理部Gの各駆動部を制御する後処理装置制御部60が設けられており、画像形成装置110側の本体制御部50と通信手段56によって接続されている。また、画像形成装置110には用紙に対して画像形成処理を行う画像形成部55、画像形成に関する各種設定を行う操作表示部52、用紙後処理装置の種別を認識する種別認識手段57が設けられている。操作表示部52には複数動作処理と個別動作処理との設定の切替(選択)ができる準備動作切替手段54が設けられている。
【0022】
次に、本実施の形態に係る用紙後処理装置の作用及び効果を説明する。用紙後処理装置100の電源が投入されると、用紙後処理装置100内の各処理部においてイニシャル動作(準備動作)が行われる。ここでイニシャル動作の一例として、中折り処理部(第1ユニット)Gのイニシャル動作について図4及び図5を用いて説明する。図5に示すように、中折り処理部Gのイニシャル動作のステップが開始されると(S31)、次のステップでは後端フェンス47がHP検知センサ49の位置にあるか否か判断される(S32)。ステップS32においてHP検知センサ49がONと判断された場合、駆動モータをCW方向に回転させて後端フェンス47をY方向に移動させる(S33)。次いでステップS34でHP検知センサ49がOFFか否か判断され、HP検知センサ49がOFFと判断された場合には、次のステップS35において駆動モータを停止すると共にモータをCCW方向に回転させて後端フェンス47をZ方向に移動させる。尚、ステップS32においてHP検知センサ49がOFFと判断された場合、駆動モータをCCW方向に回転させて後端フェンス47をZ方向に移動させる(S39)。そして後端フェンス47の移動が終了すると次のステップS36に進む。次のステップS36においてHP検知センサ49がONと判断された場合、駆動モータを停止して中折り処理部Gのイニシャル動作を終了する。
【0023】
イニシャル動作は画像形成装置110の操作表示部52で設定された準備動作処理に基づいて制御される。すなわち、操作表示部52で複数動作処理が選択された場合は、図2に示すフローチャートに基づいてイニシャル動作が行われる。操作表示部52で個別動作処理が選択された場合は図3に示すフローチャートに基づいてイニシャル動作が行われる。
【0024】
図2に示す複数動作処理(時間優先処理)の場合、イニシャル動作のステップが開始されると、次のステップでイニシャル開始の準備ができているか否か判断され、準備ができていると判断された場合は次のステップに進む(S11〜S13)。ステップS13では、中折り処理部(第1ユニット)G、穿孔処理部(第2ユニット)A、綴じ処理部(第3ユニット)F、の各処理部のイニシャル動作が同時に行われる。次のステップS14において各処理部のイニシャル動作が終了したか否か判断され(ステップS14)、全てのイニシャル動作が終了すると、複数動作処理のステップは終了する(ステップS15)。
【0025】
図3に示す個別動作処理(消費電力優先処理)の場合、イニシャル動作のステップが開始されると(S21)、次のステップで中折り処理部(第1ユニット)Gのイニシャル動作開始の準備ができているか否か判断され、準備ができていると判断された場合は次のステップに進み、中折り処理部Gのイニシャル動作が開始される(S21〜S23)。次のステップS24では、中折り処理部Gのイニシャル動作が終了したか否か判断され、イニシャル動作が終了した場合は次のステップに進み、イニシャル動作が終了しない場合はステップS24の動作が繰り返される。
【0026】
ステップS25では穿孔処理部(第2ユニット)Aのイニシャル動作が開始され、次のステップS26では、穿孔処理部Aのイニシャル動作が終了したか否か判断され、イニシャル動作が終了した場合は次のステップに進み、イニシャル動作が終了しない場合はステップS26の動作が繰り返される。ステップS27では綴じ処理部(第3ユニット)Fのイニシャル動作が開始され、次のステップS28では、綴じ処理部Fのイニシャル動作が終了したか否か判断され、イニシャル動作が終了した場合は次のステップに進み、イニシャル動作が終了しない場合はステップS28の動作が繰り返される。綴じ処理部Fのイニシャル動作が終了すると、個別動作処理のステップは終了する(ステップS29)。
【0027】
本実施の形態によれば、用紙後処理装置100は個別動作処理と、複数動作処理との2つの動作処理を有するので、複数動作処理を行っても不具合が生じない用紙後処理装置に対してのみ複数動作処理を行うことで、イニシャル動作時間を短縮できる。また、複数動作処理で不具合が生じるおそれがある用紙後処理装置に対しては個別動作処理を行うことで、消費電力を分散させることができ、画像形成装置110内のユニット動作(例えば定着装置の加熱)時間を短くできる。このように用紙後処理装置の種別に応じて最適な動作処理を行うことができ、使い勝手が良い。
【0028】
操作表示部52には複数動作処理と個別動作処理との設定切替ができる準備動作切替手段54が設けられているので、操作表示部52上で簡単に設定を変えることができる。
【0029】
次に、他の実施の形態を説明するが、以下の説明において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することにより、その部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では上述の第1実施の形態と異なる点を主に説明する。
【0030】
第2実施の形態では、画像形成装置110が用紙後処理装置100を認識し、用紙後処理装置100の種別に応じたイニシャル動作制御を行っている。そして、用紙後処理装置100の種別に応じて異なるイニシャル動作処理(以下、単にシステム1ともいう)にしたり、用紙後処理装置100の種別に拘らず同一のイニシャル動作処理(以下、単にシステム2ともいう)にしたりしている。尚、システム1及びシステム2は操作表示部52で切替ができるようになっている。
【0031】
図7(a)はシステム1の場合のフローチャートである。図7(a)に示すように、システム1の選択によりステップが開始すると(S41)、次のステップでは画像形成装置110の種別認識手段57により後処理装置の種別を判別する(S42)。係るステップにおいて例えば各処理部におけるイニシャル動作の消費電力が大きいタイプAの後処理装置を画像形成装置110が認識した場合、次のステップで後処理装置に消費電力優先の個別動作処理を行う指示が出される(S43)。一方、ステップS42において例えば各処理部におけるイニシャル動作の消費電力が小さいタイプBの後処理装置を画像形成装置110が認識した場合、次のステップで後処理装置に時間優先の複数動作処理を行う指示が出される(S44)。そして、次のステップで指示された動作処理に基づいてイニシャル動作が開始する(S45)。
【0032】
図7(b)はシステム2の場合のフローチャートである。図7(b)に示すように、システム2の選択によりステップが開始すると(S51)、次のステップで後処理装置の種別を判別する(S52)。係るステップにおいて、例えばタイプAの後処理装置を画像形成装置110が認識した場合、次のステップで後処理装置に消費電力優先の個別動作処理を行う指示が出される(S53)。一方、ステップS52において例えばタイプBの後処理装置を画像形成装置110が認識した場合、この場合も次のステップで後処理装置に消費電力優先の個別動作処理を行う指示が出される(S54)。そして、次のステップで指示された動作処理に基づいてイニシャル動作が開始する(S55)。
【0033】
第2実施の形態では、用紙後処理装置100が画像形成装置110に接続されると後処理装置100の種別を認識して、後処理装置100の種別に応じた後処理装置のイニシャル動作を行うことができるので、更に使い勝手の良いシステムを得ることができる。
【0034】
次に、図8〜図11を参照して、本発明の第3実施の形態を説明する。図8に示すように、第3実施の形態は、画像形成装置110に第1後処装置121及び第2後処理装置123と、自動原稿送り装置(ADF)125と、別付けの給紙装置127とを接続した画像形成システムである。第1後処理装置121は、例えば穿孔処理をする後処理装置であり、第2後処理装置121は例えば綴じ処理を行う綴じ処理装置である。
【0035】
画像形成装置110は本実施の形態では3つの準備動作パターンを有している。第1準備動作パターンは、図9に示すように、画像形成装置内の各部の準備動作、即ち、画像読み取り部の位置設定、熱定着部の加熱等を所定の電流A1(例えば6アンペア)で時間T1(例えば8秒)行う準備動作パターンである。
【0036】
画像形成装置の第2準備動作パターンは、図10に示すように、電流A1で時間T2(例えば4秒)行った後、電流A2(例えば3アンペア)で時間T3(例えば4秒)を行う準備動作パターンである。
【0037】
画像形成装置の第3準備動作パターンは、図11に示すように、電流A1を時間T4(例えば、2秒)行った後、電流A2を時間T5(例えば、8秒)行う準備動作パターンである。
【0038】
一方、各周辺機器121、123、125、127は、各々2つの準備動作パターンを有している。図9に示すように、電流A1でT6(例えば1秒)時間行う第1準備動作パターンと、図11に示すように電流A2でT6(例えば2秒)行う第2準備動作パターンである。
【0039】
この第3実施の形態では、画像形成装置110の準備動作パターンと各周辺機器121、123、125、127の準備動作パターンとの種々の組み合わせにより、画像形成システム全体における準備動作を、顧客の要求に応じて最適な準備動作で行うことができる。
【0040】
例えば、図9に示す準備動作パターンは、画像形成装置が電流A1でT1時間準備動作を行って画像形成装置110の準備動作が終了した後、給紙装置127と、自動原稿送り装置(ADF)125と、第1後処装置121と、第2後処理装置123とをこの順序で各々電流A1、時間T6で準備動作する。即ち、画像形成装置110の準備動作を優先して、画像形成システム全体の準備動作を行うものである。
【0041】
図10に示す準備動作パターンは、画像形成装置110の準備動作が終了したときには、給紙装置127とADF129の準備動作も終了し、第1及び第2後処理装置の準備動作をするものであり、画像形成装置110の準備動作が終了したときにはとりあえず通常の複写処理ができるようにしたものである。
【0042】
図11に示す準備動作パターンは、画像形成装置110の準備動作が終了したときには、全ての周辺機器127、125、121、123も準備動作を終了するようにしたものである。
【0043】
第3実施の形態によれば、画像形成装置110の準備動作パターンと周辺機器121、123、125、127の各準備動作パターンの組み合わせにより、画像形成システム全体として自由度の高い準備動作を行うことができる。
【0044】
第1〜第3準備動作は、画像形成装置110に各周辺装置を127、125、121、123を接続した後、何れの準備動作パターンで準備動作を行うか予め登録されている3つのパターンから選択して設定する。このような設定は、例えば、画像形成システムの設定時にサービスマンが行う。
【0045】
図12〜図14を参照して第4実施の形態について説明する。この第4実施の形態では、画像形成装置110は接続される周辺機器127、125、121、123の種類に応じて、各周辺機器に組み込まれて準備動作パターンを画像形成装置110からの作動信号を受けて実行するものである。図12に示すように、画像形成装置110が上述の第2準備動作パターンを実行する場合に、図13に示すように、画像形成装置110の電流のあき容量を利用してADF125については周辺機器の第2準備動作パターンで行い、給紙装置127については周辺機器の第1準備動作パターンを行うものである。
【0046】
また、画像形成装置110の消費電流に充分な空き容量がある場合には、その空き容量を利用して、図14に示すように給紙装置127及びADF125共に周辺機器の第3準備動作パターンを行うようにしたものである。この周辺機器の第3準備動作パターンは、電流A3(例えば1.5アンペア)で時間T2(例えば4秒)おこなう。
【0047】
即ち、第4実施の形態では、周辺機器127、125、121、123は、各々図14で示すような第3の準備動作パターンを有している。
【0048】
画像形成システム全体を何れの準備動作パターンで準備動作を行うかは、接続される周辺機器の種類の組み合わせごとに予め設定した準備動作パターンが画像形成装置110内に記録されており、画像形成装置110が接続された周辺機器127、125、121、123を認識すると、画像形成装置110は接続された周辺機器の種類の組み合わせから特定された準備動作パターンで自己の準備動作を行うと共に、周辺機器に対しても周辺機器に用意されている準備動作パターンを選択して実行指令を出すようになっている。
【0049】
尚、画像形成システム全体の準備動作の終了は、図14に示す準備動作パターンのほうが図3に示す準備動作パターンよりも早くできる。
【0050】
図15〜図17を参照して第5実施の形態について説明する。この第5実施の形態では、画像形成装置110は上述の第2準備動作パターン(図16参照)と、第1準備動作パターン(図17参照)との2つの準備動作パターンを有し、周辺機器121、123は一つの準備動作パターンのみを有する例である。
【0051】
この第5実施の形態では、画像形成装置110が有する2つの準備動作パターンから、一つの準備動作パターンを予め選択して設定しておくことにより、画像形成システム全体として、図16に示す準備動作パターンや図17に示す準備動作パターンを実行することができる。図16に示す準備動作パターンでは画像形成装置110の準備動作終了と同時に第1及び第2後処理装置121、125の準備動作が終了するものである。図17に示す準備動作パターンでは、まず画像形成装置110の準備動作を終了させて通常の複写を可能とした後に、周辺機器121、123を同時に準備動作するものである。
【0052】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。
【0053】
上述の第1実施形態において、中折り処理部G、穿孔処理部A、綴じ処理部Fの3つのユニットのイニシャル動作について説明したが、これに限定されず、中折り処理部G、穿孔処理部A、綴じ処理部F以外のユニット(例えば排紙トレイ)のイニシャル動作についても同様の動作処理を行っても良い。
【0054】
上述の第1実施形態において、複数動作処理の場合、中折り処理部G、穿孔処理部A、綴じ処理部F、の3つのイニシャル動作を同時に行うようにしたが、これに限定されず、2つのイニシャル動作(例えば、中折り処理部G及び穿孔処理部Aのイニシャル動作)を同時に行い、この2つのイニシャル動作の前後に他のイニシャル動作(例えば綴じ処理部Fのイニシャル動作)を行っても良い。
【0055】
上述の第1実施形態において、各処理部にイニシャル動作を行う部品が複数ある場合、それぞれの部品についてイニシャル動作の動作処理を選択できるようにしても良い。例えば中折り処理部Gの場合、折りブレード45及び後端フェンス47のイニシャル動作について、複数動作処理と個別動作処理との選択ができるようにしても良い。
【0056】
上述の第1実施形態において、用紙後処理装置100の電源が投入されると、用紙後処理装置の各処理部においてイニシャル動作を行うようにしたが、ドアの閉時やジョブの終了時にイニシャル動作を行っても良い。
【0057】
上述の第1実施形態において、個別動作処理の場合、中折り処理部G、穿孔処理部A、綴じ処理部Fの順にイニシャル動作を行っているが、その順番は如何なる順序であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置において、複数動作処理時のイニシャル動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置において、個別動作処理時のイニシャル動作を説明するフローチャートである。
【図4】図6に示す中折り処理部を拡大して示す図である。
【図5】中折り処理部のイニシャル動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の全体概略図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る用紙後処理装置のイニシャル動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第3実施形態に係る画像形成システムにおける周辺機器の種類と配置を示す概略構成図である。
【図9】第3実施形態における第1準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図10】第3実施形態における第2準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図11】第3実施形態における第3準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図12】本発明の第4実施形態に係る画像形成システムにおける周辺機器の種類と配置を示す概略構成図である。
【図13】第4実施形態に係る準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図14】第4実施形態に係る準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図15】本発明の第5実施形態に係る画像形成システムにおける周辺機器の種類と配置を示す概略構成図である。
【図16】第5実施形態に係る準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【図17】第5実施形態に係る準備動作パターンを示す図であり、消費電力と時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0059】
A 穿孔処理部(処理部)
F 綴じ処理部(処理部)
G 中折り処理部(処理部)
54 準備動作切替手段
57 種別認識手段
100 シート後処理装置
110 画像形成装置
121 第1後処理装置(周辺機器)
123 第2後処理装置(周辺機器)
125 自動原稿送り装置(周辺機器)
127 給紙装置(周辺機器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置に接続して所定の処理動作を行う周辺機器であって、処理開始の準備動作に必要な電力と時間との関係について複数の準備動作パターンを備えていることを特徴とする画像形成装置の周辺機器。
【請求項2】
接続された周辺機器の種別を認識する種別認識手段を有する画像形成装置であって、請求項1に記載の周辺機器が接続された場合に、接続された周辺機器に応じて各周辺機器が有する準備動作パターンを選択して準備動作を行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
所定の処理動作を行う周辺機器が接続可能に設けてあり、接続された周辺機器の種別を認識する種別認識手段を有する画像形成装置であって、画像形成装置の処理開始の準備動作に必要な電力と時間との関係について、接続された周辺機器の種類と組み合わせとに応じて準備動作を行う複数の準備動作パターンを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
接続される周辺機器の種類と接続される周辺機器の種類と組み合わせに応じて予め設定された複数の準備動作パターンを有し、接続された周辺機器の種類と組み合わせに応じて準備動作パターンを特定して、各周辺機器の準備動作を行わせることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の周辺機器と、請求項2〜4の何れか一項に記載の画像形成装置とからなることを特徴とする画像形成システム。
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置に接続して所定の処理動作を行う周辺機器であって、処理開始の準備動作に必要な電力と時間との関係について複数の準備動作パターンを備えていることを特徴とする画像形成装置の周辺機器。
【請求項2】
接続された周辺機器の種別を認識する種別認識手段を有する画像形成装置であって、請求項1に記載の周辺機器が接続された場合に、接続された周辺機器に応じて各周辺機器が有する準備動作パターンを選択して準備動作を行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
所定の処理動作を行う周辺機器が接続可能に設けてあり、接続された周辺機器の種別を認識する種別認識手段を有する画像形成装置であって、画像形成装置の処理開始の準備動作に必要な電力と時間との関係について、接続された周辺機器の種類と組み合わせとに応じて準備動作を行う複数の準備動作パターンを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
接続される周辺機器の種類と接続される周辺機器の種類と組み合わせに応じて予め設定された複数の準備動作パターンを有し、接続された周辺機器の種類と組み合わせに応じて準備動作パターンを特定して、各周辺機器の準備動作を行わせることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の周辺機器と、請求項2〜4の何れか一項に記載の画像形成装置とからなることを特徴とする画像形成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−37088(P2008−37088A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42565(P2007−42565)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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