説明

画像形成装置及びその制御方法

【課題】 従来の補正は、主走査ラインの全体に対する補正で、光学特性等による各領域における伸縮の差が考慮されていない。
【解決手段】 一主走査ラインを複数の領域に分割し、各領域毎に第1の画素数の第1の画像を形成し、各領域毎に第1の画素数とは異なる第2の画素数の第2の画像を形成する。こうして形成された第1の画像と第2の画像のサイズ差と、第1の画素数と第2の画素数との差分とに基づいて、各領域毎の画像の伸縮率を求める(S14)。一主走査ラインあたりの画素補正数(S15)と、求められた伸縮率とに応じて、各領域毎に追加する、或は削減する画素数を決定する(S16)。こうして決定された画素数に応じて各領域に形成される画像データを補正する(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真方式のプリンタ装置で印刷される画像データを生成する画像処理装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェットプリンタが急速にカラー化したことに続き、電子写真方式の画像形成装置(複写機、プリンタ)もモノクロ機からカラー機へとシフトしてきている。
【0003】
電子写真記録方式を大別すると1ドラム型とタンデム型の各方式に分けられる。1ドラム型は、1つの像担持体(感光ドラム)の回りに複数色の現像器を備え、それら現像器により各色のトナーを付着させて像担持体上に合成トナー像を形成し、そのトナー像を転写して記録シートにカラー画像を形成する。一方、タンデム型は、並べて設けられた複数の像担持体(感光ドラム)にそれぞれ単色のトナー画像を形成し、それらの単色トナー像を、搬送されてくる記録シートに順次転写して記録シートに合成カラー画像を形成する。
【0004】
1ドラム型とタンデム型の画像形成装置を比較すると、1ドラム型は像担持体が1つであるから、タンデム型と比べて画像形成部を小型化することができ低コストであるという利点がある。しかし、1つの像担持体を用いて複数回画像形成を繰り返してカラー画像を形成するため高速化に向いていない。これに対しタンデム型は小型化、コストの面で上記1ドラム型より劣るものの、各色独立で画像形成が行える(1パスで画像形成可能)ため高速化に適している。よって、カラー画像形成装置では画像形成速度の点からモノクロ並みのスピードが得られるタンデム型が近年非常に注目されている。
【0005】
タンデム式の画像形成装置では、複数の像担持体と複数のレーザ光で像が構成されるため、各レーザ発光源から各像担持体までの距離が等距離であることが望ましい。しかし実際は、各部の取り付け公差、レーザ波長の差等により、各レーザ発光源から各対応する像担持体までの距離は一定でなく、距離差などにより倍率差が生じている。
【0006】
この倍率差を補正するために、従来はレーザ光学系のレンズ位置の補正を行う方法や、レーザの駆動周波数を可変する方法が提案されている。更に近年は、特許文献1に示すように、補助画素を挿入したり、或は削除することにより画像を広げたり縮めたりして、その倍率差を補正する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3539283号公報
【特許文献2】特開2000−238342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のタンデム方式の画像形成装置の場合、各レーザ発光源から各対応する像担持体までの距離の差が大きいため、レーザ光学系のレンズ位置の補正を行う方法や、レーザ駆動周波数を可変する方法が用いられている。
【0009】
しかしながらこれら補正では、レーザ発光源と各対応する像担持体の間に位置するf−θレンズ等の光学素子を用いて、しかも高精度で制御しなくてはならない。このために、複雑な構成、制御が必要になり、コスト的に割高な構成になっていた。
【0010】
また周波数を変調する場合も専用のLSIなどが必要になり、この場合にもコスト的に割高になっている。
【0011】
また特許文献2にも倍率補正の別の方法が提案されている。これは1ラインの画像データ内に空白の画素を挿入することにより画像を伸張して倍率補正を行うものである。更に近年では、画素を分割し、その分割された画素(以下、補助画素)を挿入、又は削除することにより、画像の倍率を補正する画像形成装置も考えられている。
【0012】
しかし、どちらの手法で倍率補正を行った場合も、その補正は1ライン(主走査方向)全体に対する補正で、光学特性等による各領域における伸縮の差が考慮されていない。このため、1ラインの各領域における伸縮による画像劣化が生じてしまうという問題があった。
【0013】
本発明の目的は上記従来技術の問題点を解決することにある。
【0014】
本願発明の特徴は、主走査ラインの光学特性を検知し、それに基づいて画素を挿入、或は削減することにより、各主走査ラインに形成される画像のサイズが一様になるように制御する画像処理装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る画像形成装置は以下のような構成を備える。即ち、
感光体と、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された前記光ビームが前記感光体上を走査するように前記光ビームを偏向する偏向手段と、前記偏向手段によって偏向された前記光ビームを前記感光体に導くレンズとを備え、前記レンズを通過した前記光ビームで前記感光体を露光することによって、前記光ビームの主走査方向に沿って1ラインの画素列を形成する画像形成手段と、
前記1ラインを複数の領域に分割し、分割した領域ごとにトナーパターンを形成するための第1のパターン画像データに含まれる、当該複数の領域のうちの1つの領域におけるトナーパターンを形成するための画素データに対して、所定の画素数に対応するデータを追加して得られる第2のパターン画像データに基づいて、前記画像形成手段に、前記主走査方向における前記複数の領域のそれぞれにトナーパターンを形成させるパターン形成手段と、
前記パターン形成手段によって前記主走査方向に形成された複数のトナーパターン間の距離を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された距離と、前記第1のパターン画像データによって複数のトナーパターンを形成した場合の当該複数のトナーパターン間の距離に相当する基準値との差分が、前記所定の画素数に対応する距離と等しくなるように、前記1つの領域における画素列を形成するための画素データのデータ量を決定する決定手段と、
前記1つの領域における画素列を形成するための入力画像信号から、前記決定手段によって決定されたデータ量の画素データを生成し、前記画像形成手段に、生成した当該画素データに基づいて前記1つの領域における画素列を形成させる制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る画像形成装置の制御方法は以下のような工程を備える。即ち、
感光体と、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された前記光ビームが前記感光体上を走査するように前記光ビームを偏向する偏向手段と、前記偏向手段によって偏向された前記光ビームを前記感光体に導くレンズとを備え、前記レンズを通過した前記光ビームで前記感光体を露光することによって、前記光ビームの主走査方向に沿って1ラインの画素列を形成する画像形成手段を備える画像形成装置の制御方法であって、
パターン形成手段が、前記1ラインを複数の領域に分割し、分割した領域ごとにトナーパターンを形成するための第1のパターン画像データに含まれる、当該複数の領域のうちの1つの領域におけるトナーパターンを形成するための画素データに対して、所定の画素数に対応するデータを追加して得られる第2のパターン画像データに基づいて、前記画像形成手段に、前記主走査方向における前記複数の領域のそれぞれにトナーパターンを形成させるパターン形成工程と、
検知手段が、前記パターン形成工程において前記主走査方向に形成された複数のトナーパターン間の距離を検知する検知工程と、
決定手段が、前記検知工程において検知された距離と、前記第1のパターン画像データによって複数のトナーパターンを形成した場合の当該複数のトナーパターン間の距離に相当する基準値との差分が、前記所定の画素数に対応する距離と等しくなるように、前記1つの領域における画素列を形成するための画素データのデータ量を決定する決定工程と、
制御手段が、前記1つの領域における画素列を形成するための入力画像信号から、前記決定工程において決定されたデータ量の画素データを生成し、前記画像形成手段に、生成した当該画素データに基づいて前記1つの領域における画素列を形成させる制御工程と
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、各主走査ラインに形成される画像のサイズを一様にして光学特性による画像劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置(カラープリンタ)の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】本実施の形態に係るレーザ露光装置と感光ドラム等を有する画像形成部を説明する概念図である。
【図4】ポリゴンミラーと各種レンズとの関係を説明する図である。
【図5】本実施の形態に係るレーザ露光装置の基本平面図である。
【図6】本実施の形態に係るレーザ露光装置の上視図である。
【図7】本実施の形態に係るレーザ露光装置のレーザ駆動回路を説明するブロック図である。
【図8】本実施の形態に係る画像変調部で補助画素を追加して倍率を変更する処理を説明する図である。
【図9】主走査方向の光学特性とドラムの関係を説明する図(A)と、図9(A)の各領域毎に測定された伸縮量を示す図(B)である。
【図10】本実施の形態に係る画素片挿入量テーブル検知用テストパターンの形成例を示す図である。
【図11】このテーブル作成時の処理を示すフローチャートである。
【図12】本実施の形態に係るカラー画像形成装置の色ずれ補正処理と印刷処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置(カラープリンタ)の一例を示す概略構成図である。このカラープリンタは、電子写真方式により画像を形成するもので、タンデム型の中間転写ベルト(中間転写手段)を有している。尚、この実施の形態ではカラー画像形成装置として説明するが、本実施の形態に係る処理を実行する画像処理装置にも適用可能である。
【0021】
カラープリンタは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部1Yと、マゼンタ(M)の画像を形成する画像形成部1Mと、シアン(C)の画像を形成する画像形成部1Cと、黒(Bk)の画像を形成する画像形成部1Bkの4つの画像形成部を備える。これら4つの画像形成部1Y,1M,1C,1Bkは、一定の間隔において一列に配置されている。更に、その下方に給紙ユニット17,20を配置し、記録媒体である記録シートPの搬送パス18,19を縦に配置し、その上方に定着器16を備えている。
【0022】
次に各部について詳しく説明する。
【0023】
各画像形成部1Y,1M,1C,1Bkには、それぞれ像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラム)2a,2b,2c,2dが設置されている。各感光ドラム2a,2b,2c,2dの周囲には、一次帯電器3a,3b,3c,3d、現像装置4a,4b,4c,4d、転写手段としての転写ローラ5a,5b,5c,5d、ドラムクリーナ装置6a,6b,6c,6dがそれぞれ配置されている。一次帯電器3a,3b,3c,3dと現像装置4a,4b,4c,4dとの間の下方には、レーザ露光装置7が設置されている。各感光ドラム2a,2b,2c,2dは、負帯電のOPC感光体でアルミニウム製のドラム基体上に光導電層を有しており、駆動装置(不図示)によって矢印方向(時計回り方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。一次帯電器3a,3b,3c,3dは、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって各感光ドラム2a,2b,2c,2dの表面を負極性の所定電位に均一に帯電する。
【0024】
これら感光ドラムの下方に配置されるレーザ露光装置7は、与えられる画像情報のデジタル画素信号に対応した発光を行うレーザ発光部、ポリゴンレンズ、反射ミラー等で構成される。このレーザ発光部からのレーザ光で各感光ドラム2a,2b,2c,2dを露光することによって、各一次帯電器で帯電された各感光ドラム2a,2b,2c,2dの表面に画像情報に応じた各色の画像に対応する静電潜像を形成する。このレーザ露光装置7の詳細構成に関しては後述する。
【0025】
現像装置4a,4b,4c,4dは、それぞれイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーを収納しており、各対応する感光ドラム上に形成される各静電潜像に各色のトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。一次転写手段としての転写ローラ5a,5b,5c,5dは、各一次転写部32a〜32dにて中間転写ベルト8を介して各感光ドラム2a,2b,2c,2dに当接可能に配置されている。そして、各感光ドラム上のトナー像を順次中間転写ベルト8上に転写して、この中間転写ベルト8上でトナー像を重ね合わせていく。
【0026】
ドラムクリーナ装置6a,6b,6c,6dはクリーニングブレード等で構成され、感光ドラム上の一次転写時の残留したトナーを、感光ドラムから掻き落としてドラムの表面を清掃する。中間転写ベルト8は、二次転写対向ローラ10とテンションローラ11間に張架されて、各感光ドラム2a,2b,2c,2dの上面側に配置されている。二次転写対向ローラ10は、二次転写部34において、中間転写ベルト8を介して二次転写ローラ12と当接可能に配置されている。この中間転写ベルト8は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等のような誘電体樹脂によって構成されている。各感光ドラムから中間転写ベルト8に転写された画像は、二次転写部34において、給紙ユニット17から搬送された記録シートPに二次転写される。また中間転写ベルト8の外側で、テンションローラ11の近傍には、中間転写ベルト8の表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング装置(不図示)が設置されている。以上に示したプロセスにより各トナーによる画像形成が行われる。
【0027】
給紙ユニットは、記録シートPを収納するカセット17、手差しトレイ20、カセットもしくは手差しトレイから記録シートPを一枚ずつ送り出すためのピックアップローラ(不図示)を有している。また、ピックアップローラから送り出された記録シートPをレジストローラ19の位置まで搬送する給紙ローラ、給紙ガイド18を有している。レジストローラ19は、画像形成部の画像形成タイミングに合わせて記録シートPを二次転写部34へ送り出すためのローラである。
【0028】
定着器16は、内部にセラミックヒータ基板等の熱源を備えた定着フィルム16aと、セラミックヒータ基板にフィルムを挟んで加圧される加圧ローラ16b(このローラに熱源を備える場合もある)を有している。また、この定着器16の前後にはローラ対のニップ部31へ記録シートPを導くためのガイド34、定着器16から排出された記録シートPを装置の外部に導き出すための外排紙ローラ21が配設される。制御部(図2の150)は、上記各部の機構の動作を制御するための制御基板やモータドライバ基板(不図示)などを有している。
【0029】
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【0030】
制御部150のCPU201は、ROM203に記憶されたプログラムに従って、このカラープリンタ全体の動作を制御している。CPU201のアドレスバスおよびデータバスは、バスドライバ、アドレスデコーダ回路202をへて各負荷に接続されている。またRAM204は、入力データの記憶や作業用記憶領域等として用いられる主記憶装置である。I/Oインターフェース206は、後述する各部とCPU201との間のインターフェースを制御している。またこの制御部150は、画像データに応じたパルス幅の信号を発生するパルス幅変調(PWM)回路215を含んでいる。220はシリアルインターフェースで、USBなどにより外部機器と接続する。
【0031】
操作パネル151は、操作者により操作される各種キーや、装置の状態等を表示する液晶、LED等の表示部を有している。モータ類207、クラッチ類208及びソレノイド類209は、給紙系、搬送系、光学系の駆動を行うためのものである。検知センサ類210は、搬送される記録媒体(記録シート)を検知する。現像装置には、その現像装置内のトナー量を検知するトナー残検センサ211が配置されており、その出力信号がI/Oポート206に入力される。更に、各負荷のホームポジション、ドアの開閉状態等を検知するためのスイッチ類212からの信号もI/Oポート206に入力される。213は高電圧ユニットで、CPU201の指示に従って一次帯電器、現像装置、転写前帯電器、転写帯電器、分離帯電器へ高電圧を供給する。
【0032】
画像処理部300は、接続されたPC106等から出力された画像信号を入力して画像処理を行い、生成した印刷用の画像データに従ってレーザ露光装置7の制御信号を出力する。レーザ露光装置7から出力されるレーザ光は感光ドラムを照射して露光するとともに非画像領域において受光センサであるビーム検知(BD)センサ214によって発光状態が検知され、その出力信号がI/Oポート206に入力される。
【0033】
次に図3〜図6を参照して、本実施の形態に係るレーザ露光装置7の構成について説明する。
【0034】
図3は、本実施の形態に係るレーザ露光装置と感光ドラム等を有する画像形成部を説明する概念図で、前述の図1と共通する部分は同じ記号で示している。
【0035】
感光ドラム2a〜2dの下部にレーザ露光装置7を配置しており、1つのポリゴンミラー50に対して両側にそれぞれ2本のレーザ光が入射し、各感光ドラムをレーザ光E1〜E4で露光する。53はレーザ光をドラム上でスポット結像させるfθレンズである。52a〜52dは、レーザ光を所定の方向へ反射する折り返しミラーである。また54は結像レンズである。
【0036】
このレーザ露光装置7では、中央にポリゴンミラー50を配置しており、各感光ドラムへの光学パスは左右対称としているため、レーザ光E1,E2の各グループについて説明する。このレーザ露光装置7は、走査式光学装置の小型化を達成するために薄型ポリゴンミラーを使用した斜入射光学系である。
【0037】
図4(A)は、ポリゴンミラーと各種レンズとの関係を説明する図である。
【0038】
図4(A)では、斜入射光学系のレーザ光は、ポリゴンミラー50の面の法線とポリゴンの回転方向で定義される平面(基本平面(図5のX−Y平面))に対して互いに反対の角度で入射している。これによりレーザ光は、ポリゴンミラー50を出射した後方で上下の各光路が分離されている。
【0039】
図5は、本実施の形態に係るレーザ露光装置の基本平面図である。
【0040】
一般的に、この基本平面と偏向走査光との相対角度は、3°以下が良いとされている。本実施の形態では、光学的な特性を揃えるため、斜入射角を互いに反対で、且つ同一の角度としている。ここで、ポリゴンミラー50の反射位置は、図4(A)(B)に示すように、同一であっても良く、或はミラー面の高さ方向にずれていても良い。ここで例えば、ポリゴンミラー50の反射位置を図4(B)のようにずらすことで、分離用折り返しミラーの位置をより手前に配置することが可能である。
【0041】
図3において、ポリゴンミラー50で反射された2本のレーザ光はf−θレンズ53を透過する。このとき、感光ドラム側(上側)を通過するレーザ光は、分離用折り返しミラー52bで下方向に反射される。ここでf−θレンズ53は、レーザ光が互いに異なる角度で入射するためシリンダーレンズで構成しており、副走査方向へはそれぞれの光路に対して配置した結像レンズ54で結像させる。こうして分離されたレーザ光は、他方のレーザ光と交差して下方に向かい、途中に設けられた結像レンズ54を透過した後、このレーザ露光装置7の下面に配置された折り返しミラー52cによって再反射され、結像レンズ横を通過して感光ドラム上に照射される。
【0042】
ここで、両端の感光ドラム2a,2dを照射するレーザ光は、分離用折り返しミラー52bの直下を通過し、結像レンズ54を透過した後に折り返しミラー52aで感光ドラムへ照射される。ここで、分離用折り返しミラー52bは、2本のレーザ光が各部品公差やポリゴンモータの面倒れ等によって光束のケラレが発生しない位置に配置されている。また光路長が本実施の形態よりも長い光学系の場合は、両端部の感光ドラム2a,2dを照射する光路に対しても中央側の感光ドラムを露光する場合と同様に2枚の折り返しミラーを配置する。そしてレーザ光E1がポリゴンミラー50で偏向走査された自身のレーザ光と交差する構成であってもよい。その場合、ポリゴンミラー50から第一のミラーまでの光路ではなく第一のミラーから第二のミラーまでの光路に結像レンズ54を配置してもよい。この結像レンズ54の配置位置は、折り返しミラー52cの後に配置してもよい。しかし、折り返しミラー52cで感光ドラム上でのレーザ光の照射位置を調整することを考えると、結像レンズ54に入射するレーザ光の位置が変わり、光学性能も変化してしまう可能性がある。そこで本実施の形態では、結像レンズ54を分離用折り返しミラー52bと折り返しミラー52cの間に配置して、光学的な変化が無く、且つ光路の隙間に配置することでコンパクト化を達成している。
【0043】
また感光ドラム側のレーザ光を下側、つまり感光ドラムから遠ざかる方向に反射させ、且つ第二折り返しミラー52cでポリゴンミラーから反射された後の全てのビームを横切るようにすることで、光学系をコンパクト化している。
【0044】
一方、反射ミラー間に第二の結像レンズ54を配置することで、ミラーの長手方向の長さを短くすることができるとともに、レンズを配置する上で空間を有効に利用でき、レーザ露光装置7を薄型化することができる。
【0045】
尚、この構成は、一つのレーザダイオードチップから複数のレーザ光が発光する場合においても上記実施の形態における構成は変わらず、やはり同様の効果が得られることは明らかである。
【0046】
図6は、本実施の形態に係るレーザ露光装置7の上視図である。
【0047】
図において、BDセンサ214はレーザドライバ基板117上に実装されており黒用の感光ドラム2dの走査開始側に取り付けられている。感光ドラム2d以外へのレーザ露光走査も、BDセンサ214でのビーム検知信号を基に行われる。図示のように、レーザ光を同じ方向から照射した場合は、Y用、M用感光ドラム2a,2bへのレーザ露光走査は、主走査の後端側から行なわれることになり、C用、Bk用感光ドラム2c,2dへの露光とは逆方向となる。この場合はY用、M用ビデオデータの1ライン分をLIFO(Last In First Out)メモリ等に入れ画像の順番を入れ替える。
【0048】
図7は、本実施の形態に係るレーザ露光装置7のレーザ駆動回路を説明するブロック図である。
【0049】
73は1ビームを出力するレーザチップであり、レーザダイオード73Aと光量センサとしてのフォトダイオード(以下、PD)73Bを有している。バイアス電流源71Aとパルス電流源72Aをレーザ73Aに適用することによって、レーザ73Aの発光特性の改善を図っている。また、レーザ73Aの発光を安定化させるために、PD73Bからの出力信号をパルス電流源72Aに帰還させて、レーザ点灯時のパルス電流量の自動制御を行っている。即ち、感光ドラムへの画像ラインの照射の間欠期間において、以下のように、レーザの発光量を調整している。
【0050】
レーザダイオード73Aのパルス電流を制御する場合には、シーケンスコントローラ77は、FBラインをアクティブにするために、スイッチ81をONしてフィードバックループを形成する。そしてFULL_Aラインをアクティブにするために、論理素子70AからON信号をスイッチ79Aへ出力する。この状態で、バイアス電流源71Aとパルス電流源72Aからの電流の和がレーザダイオード73Aへ流れる。そして、その時のPD73Bからの出力信号は、電流電圧変換器74に入力されて発光輝度に対応する電圧信号が得られる。その電圧信号は増幅器75で増幅されてAPC回路76Aに入力される。このAPC回路76Aは、その発光輝度に応じてパルス電流源71Aに制御信号を供給し、レーザダイオード73Aを目標光量で発光するようにパルス電流を設定する。この回路方式はAPC(Auto Power Control)回路と呼ばれ、レーザ駆動回路として一般に用いられている。
【0051】
レーザダイオード73Aは温度特性を持っており、温度が高くなるほど一定の光量を得るための電流量は増加する。また、レーザダイオード73Aは自己発熱するため、一定の電流を供給するだけでは一定の光量を得ることができず、これらは画像形成に重大な影響を及ぼす。これを解決する手段として、1走査毎に前述したAPC回路76Aを用いて、各走査の発光特性が一定になるように電流量を制御している。こうして一定の光量となるように制御されたレーザ光を、画素変調部78Aで変調されたデータでスイッチ79AをOFF/ONすることで画像を形成している。
【0052】
図8は、本実施の形態に係る画像変調部78Aで補助画素を追加して倍率を変更する(拡大する)画像補正処理を説明する図である。
【0053】
いま、1画素はxビットのデータ列で構成されているとする。即ち、1画素はxビットの多値データである。図8において、画像データは同一の1ラインに存在しているとする。
【0054】
いま(l-1)番目画素と(l)番目画素との間でデータ補正をした場合、800で示すように、(l-1)番目画素の最終ビット(x番目のビット)を、(l)番目画素の先頭ビットに付加する。これにより(l)番目画素では、先頭ビットに(l-1)番目の画素の最終ビット(x番目のビット)が付加される。こうして1つ前の画素((l)番目の画素)の最終ビットが(l+1)番目画素の先頭ビットに移される。ここでは、(l-1)番目画素の任意のビット位置に、追加する少なくとも1つのビットが挿入され、その追加されたビット分、その(l-1)番目画素の画素が後続の画素にシフトアウトされる。
【0055】
次に(m-1)番目画素と(m)番目画素との間でデータ補正を行う場合、(m-1)番目画素の先頭ビットには、前画素{(m-2)番目画素}の最終ビット801が付加されている。また(m-1)番目画素の最終ビット802は、この(m-1)番目画素の(x-1)番目のビットで、これが(m)番目画素の先頭ビットに付加される。(m)番目の画素では、先頭ビットに(m-1)番目画素の最終ビット(x番目のビット)が付加されている。このため、更に(m)番目画素の先頭ビットに(m-1)番目画素の(x-1)番目のビット802が付加されることにより、(m)番目画素は2ビットシフトされる。これにより(m)番目画素のx番目、(x-1)番目のビット803は、(m+1)番目の画素の先頭ビット及び次のビットにシフトされる。
【0056】
次に(n-1)番目画素と(n)番目画素との間でデータ補正を行う場合、(n-1)番目画素の先頭から(x-2)番目までのビットには、前画素{(n-2)番目画素}の最終から(x-2)番目までのビットが付加されている。(n-1)番目画素の最終ビットは、本来(n-1)番目画素の先頭ビットであり、これを(n)番目画素の先頭ビットに付加する。(n)番目画素では先頭ビットに(n-1)番目の画素の最終ビットが付加されているため、(n)番目画素の内容は(n-1)番目画素と同じデータとなる。
【0057】
このようにして順次、後続の画素データの最終ビットを、次の(n+1)番目画素の先頭ビットにシフトすることにより、(n+1)番目画素と(n)番目画素とが同一になる。いま1ラインの画素数を(n)個とすると、上記処理により(n+1)個の画素数に変換できたことになる。
【0058】
以上の説明では、1ラインの画素数を、予め設定していた画素数よりも1だけ多くする場合で説明したが、更に多くの画素を追加して画像の倍率を変更する場合も同様の制御を行うことができる。この場合は、前述の説明において、前の画素から後続の画素にシフトするビットの量を多くする。これにより、追加(挿入)する画素の数をより多くすることができる。
【0059】
また逆に、図8と逆の操作を行うことにより、1ラインの画素数をより少なくする(縮小する)こともできる。即ち、前述と同じ条件で、(l-1)番目画素と(l)番目画素との間でデータ補正をした場合、(l)番目画素の先頭ビットを(l-1)番目画素の(x番目のビット)に移動する。これにより(l-1)番目画素では、最終ビットに(l)番目の画素の先頭ビットが付加される。また(l)番目画素と(l+1)番目画素との間でも同様にして、(l+1)番目画素の先頭ビットを(l)番目画素の(x番目のビット)に移動する。以下、同様にして、図8の逆にビットを左方向にシフトしていくことにより、1ラインの画素数を(n)個とすると、(n-1)個の画素数に変換できる。
【0060】
次に図9〜図11を参照して、主走査方向の各位置における画素片(ビット)の挿入或は削減量を決定するための伸縮率補正テーブルの作成法に関して説明する。
【0061】
図9(A)は、主走査方向の光学特性とドラム上に形成された画像との関係を説明する図である。この図では、主走査方向を5分割した場合を想定しているが主走査方向の長さ、光学特性などに応じて分割数は決定される。図では、本来水平であるべき主走査方向のラインが、レーザ光経路のずれや取り付け交差などにより、900で示すようにずれている状態を示している。このずれにより、各領域で同じ数の画素を形成しても、その形成された画素の主走査方向の長さが異なってくる。本実施の形態は、そのような主走査方向の長さの違いによる各色のパターンのずれを補正することを目的としている。
【0062】
図10は、この位置ずれを検知するための検知用テストパターンの一例を示す図である。
【0063】
図において、水平方向は主走査方向を示し、縦方向は副走査方向(記録シートの送り方向)を示している。910は補助画素が挿入されていない(第1の画素数の)第1の画像データによるテストパターン(第1の画像)の形成例を示す。また911は、補助画素が挿入された(第2の画素数)場合の第2の画像データによるテストパターン(第2の画像)の形成例を示す。尚、このパターンは、これに限定されるものでなく、主走査方向の画素数の差分(位置ずれ、サイズ差)が検知できるパターンであればどのようなパターンを用いても良い。
【0064】
図10のように「く」の字を各色で生成する場合は、図に示すMa,Mb(マゼンタの場合)の間隔を検知することで伸縮率を検知することができる。ここでは図9(A)に示す各領域毎に画素を追加し、その追加した画素の数に対する、実際に形成されたパターンの長さの割合を求めている。
【0065】
図9(B)は、図9(A)の各領域毎に測定された伸縮量を示す図である。
【0066】
ここでは、各領域毎に32画素を追加したとき、その画素の追加により実際に伸長して形成されたパターンの長さと、その伸縮率を示している。
【0067】
図11は、この伸縮率補正テーブル作成時の処理を示すフローチャートである。
【0068】
まずステップS1で、このシーケンスを開始するトリガが入力されたかをみる。これは例えば、工場出荷時もしくは電源投入時、一定時間毎、一定枚数毎、ユーザ操作などにより開始の指示がされることに相当する。検知開始のトリガが入力されるとステップS2に進み、補助画素が追加されていない状態でパターンを形成し(第1の画像形成)、その形成されたパターンの間隔(長さ)を求める。ここでは例えば、補助画素が挿入されていない図10に示すようなYa,Ma,Ca,Kaの各パターンを形成して、その主走査方向の長さを検知することにより、それぞれのデフォルトの値を検知する。次にステップS3に進み、図9(A)に示すような、分割された各エリア毎にそれぞれ一定数の画素を追加し、それに基づいてパターンを形成し(第2の画像形成)、その形成されたパターンの間隔(長さ)を求める。そしてその求めた長さと、追加した画素数に基づいて伸縮率を求める。
【0069】
具体的には、エリア1に対して32個の補助画素を挿入し、再度、図10に示すパターンYb,Mb,Cb,Kbを形成して検知する。この場合、光学特性の影響によって32個の画素を追加したにも拘わらず、その形成されたパターンが、その画素分長くならない場合がある。そこで、32個の補助画素が挿入されたパターンMbが、ステップS2で求めた、補助画素が挿入されていないパターンMaに対してどれだけ長くなっているかを求める。この検知動作を図9(A)の各エリアに対して行い、かつ全ての色に対して実行する。
【0070】
図9(B)は、その検知結果例を示す図である。但し、ここでは一色の場合で示している。
【0071】
これは各エリアの光学特性に応じて、その形成されたパターンの伸縮率が異なることを示している。こうして全てのパターンによる検知動作が終了するとステップS4に進み、伸縮率補正テーブルを作成する。
【0072】
これは図9(B)に示すように、各エリアごとに伸縮率を示す値をもつ(各エリア毎の伸縮量を示すテーブル)。こうして伸縮率補正テーブルが作成できると、この補正テーブルの作成シーケンスを終了する。
【0073】
次に図12のフローチャートを用いて、色ずれ補正、画像形成が行われるまでのフローを説明する。
【0074】
図12は、本実施の形態に係るカラー画像形成装置の色ずれ補正処理と印刷処理を説明するフローチャートである。
【0075】
ステップS11で電源が投入されるとステップS12に進み、画像形成のための初期動作を実行する。次にステップS13に進み、伸縮率補正テーブルの作成が指示されているかを判断し、指示されている場合はステップS14に進み、図11のフローチャートと同様にして伸縮率補正テーブルを作成する。このタイミングで行うかは機械の性能等で決まり、必ずしもこのタイミングで行う必要はなく、工場出荷時、ユーザ操作によって行えるようにしてもよい。
【0076】
一方ステップS13で、既に伸縮率補正テーブルが作成されている場合はステップS15に進み、色ずれ量の検知シーケンスを行う。これは本実施の形態に係るカラー画像形成装置の場合は、各色(Y,M,C,Bk)の色ずれ量を検知する動作を行う。これは色ずれ用パターン(不図示)を用いて、副走査方向、主走査方向の色ずれ量(書き出しタイミングのズレ量)、更には、主走査方向の倍率のズレ量を検知する。こうして色ずれ量の検知動作で検知した色ずれ量(倍率のずれ量)と、伸縮率補正テーブルから、追加或は削減する画素数を主走査の各エリア毎にCPU201により算出して補正を行う。
【0077】
以下に具体的な例を挙げて説明する。
【0078】
例えば、画素片挿入量テーブルがマゼンタ(M)に対して図9(B)に示すように作成され、基準色イエロー(Y)に対して補正する場合に関して説明する。
【0079】
更に条件として、総画素数が4000画素の画像データで、イエローの画像を基準に、マゼンタの画像が300画素分縮んでいると検知された場合(追加画素は1/16画素)とする。この場合の画素補正数は300である。これはステップS15の動作で検知される。まず、300補助画素を図9(A)の(1)〜(6)で示す領域に均等に配分した場合の補助画素の追加数を求める(300/6=50:補助画素の追加数)。
【0080】
この値はあくまでも理論値であるため、伸縮率補正テーブルの伸縮率に基づいて、各領域における追加或は削減する画素数を演算する。例えば、図9(B)の例の場合は、各領域に割り当てられた数を、各領域における伸縮率で除算する。
【0081】
領域(1)では、50/1.4 =35(画素)
領域(2)では、50/1.25=40(画素)
領域(3)では、50/0.78=64(画素)
領域(4)では、50/0.71=70(画素)
領域(5)では、50/0.84=59(画素)
領域(6)では、50/1.47=34(画素)
がそれぞれ追加される。
【0082】
以上のようにして求めた数の画素を各領域に追加することにより、各領域毎に倍率補正を行う。上記例では、マゼンタに対してのみを示したが他の色に対しても同様に制御を行う。
【0083】
こうして倍率補正と書き出し位置とを補正し、これらの設定が終了するとステップS17に進み、プリントスタートが指示されるとのを待つ。このプリントスタートがPC106或は操作パネル151等から入力されると、後述する画像形成動作を行う。
【0084】
この際に前述したエリア毎の補助画素の追加動作を行って倍率を調整する。これにより、光学特性を考慮した各色の倍率調整を行って画像を形成することができる。こうして画像形成動作が終了すると、このシーケンスを終了する。また画像形成動作の間に色ずれ補正動作が行われた場合は再度ステップS16から同様のシーケンスを実行する。
【0085】
尚、上述した例では、一主走査ラインあたり300画素を追加する場合で説明したが、この追加する数はこれに限定されるものでない。
【0086】
また、前述の実施の形態では、画素を追加する場合で説明したが、一主走査ラインあたり、例えば300画素を削減する場合にも適用できる。その場合には、上記計算で求めた各領域当りの画素数が、それぞれ各対応する領域から削減されることになる。
【0087】
次に以上説明したカラー画像形成装置における画像形成動作について説明する。
【0088】
この画像形成装置に接続されたPC106、或は操作パネル151等から画像形成開始信号が発せられると、選択されたカセットもしくは手差しトレイから給紙動作を開始する。例えば、カセットから記録シートが給紙された場合について説明すると、まずピックアップローラにより、カセットから記録シートPが一枚ずつ送り出される。そして、この記録シートPが給紙ガイド18の間を案内されてレジストローラ19の位置まで搬送される。その時レジストローラ19の回転は停止されており、記録シートPの先端はニップ部に突き当たる。その後、画像形成部が画像の形成を開始するタイミング信号に基づいてレジストローラ19が回転を始める。この回転時期は、記録シートPと画像形成部より中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー画像とが二次転写領域においてちょうど一致するようにそのタイミングが設定されている。
【0089】
一方、画像形成部では画像形成動作の開始信号が発せられると、各色の感光ドラム上に静電潜像が形成される。副走査方向の画像形成タイミングは、中間転写ベルト8の回転方向において一番上流にある感光ドラム2aから順に各画像形成部間の距離に応じて決定され制御される。また各感光ドラムの主走査方向の書き出しタイミングは、1つのBDセンサ信号(本実施の形態ではBkに配置されている)を用いて、擬似BDセンサ信号を生成し制御する。この際に、色ずれ補正用テーブルと色ずれ量のデータから主走査方向の分割された各位置に基いて画素を追加する或は削減するように制御する。これにより、主走査の倍率を調整して、各色の画像形成される倍率を調整する。こうして形成された静電潜像は、前述したプロセスにより現像される。そして一番上流にある感光ドラム2a上に形成されたトナー画像が、高電圧が印加された一次転写用帯電器によって一次転写領域において中間転写ベルト8に一次転写される。この一次転写されたトナー像は、次の一次転写領域5bまで搬送される。そこでは前記したタイミング信号により、各画像形成部間をトナー像が搬送される時間だけ遅延して画像形成が行われており、Y画像の上にレジストを合わせて次の色のトナー像(M)が転写される。以下同様にして、最終的に4色のトナー像が中間転写ベルト8上において重畳して一次転写される。
【0090】
その後、その記録シートPが二次転写領域(二次転写ローラ12)に進入し、中間転写ベルト8に接触すると、記録シートPの通過タイミングに合わせて二次転写ローラ12に高電圧を印加する。これにより中間転写ベルト8上に形成されている4色のトナー画像が記録シートPの表面に転写(二次転写)される。この二次転写後、記録シートPは搬送ガイド34によって定着ローラのニップ部まで正確に案内される。そして定着フィルム16a,加圧ローラ16bの熱及びニップの圧力によって、トナー画像が記録シートPに定着される。その後、外排紙ローラ21により搬送され、記録シートPは機外に排出されて一連の画像形成動作を終了する。
【0091】
尚、本実施の形態では、上流側からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に像形成を配置したが、これは装置の特性で決定されるものでこの限りではない。また4色のカラー画像形成装置に関して説明したが、さらに多くの色が追加された場合においても同様の動作で制御することができる。
【0092】
尚、前述の実施の形態では、図9(B)に示した伸縮量テーブルを図11のフローチャートに基づいて作成している。しかし、レーザスキャナユニット単品で図9(A)に示しているような光学特性を測定を行い、その特性から算出することも。その特性から算出されたテーブルをメモリ内に格納し画像形成時に使用することで、同等の制御を行うことができる。
【0093】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0094】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムを読み出して実行することによっても達成され得る。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0095】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0096】
プログラムを供給するための記録媒体としては、様々なものが使用できる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0097】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページからハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。その場合、ダウンロードされるのは、本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0098】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布する形態としても良い。その場合、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムが実行可能な形式でコンピュータにインストールされるようにする。
【0099】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される形態以外の形態でも実現可能である。例えば、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0100】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれるようにしてもよい。この場合、その後で、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された前記光ビームが前記感光体上を走査するように前記光ビームを偏向する偏向手段と、前記偏向手段によって偏向された前記光ビームを前記感光体に導くレンズとを備え、前記レンズを通過した前記光ビームで前記感光体を露光することによって、前記光ビームの主走査方向に沿って1ラインの画素列を形成する画像形成手段と、
前記1ラインを複数の領域に分割し、分割した領域ごとにトナーパターンを形成するための第1のパターン画像データに含まれる、当該複数の領域のうちの1つの領域におけるトナーパターンを形成するための画素データに対して、所定の画素数に対応するデータを追加して得られる第2のパターン画像データに基づいて、前記画像形成手段に、前記主走査方向における前記複数の領域のそれぞれにトナーパターンを形成させるパターン形成手段と、
前記パターン形成手段によって前記主走査方向に形成された複数のトナーパターン間の距離を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された距離と、前記第1のパターン画像データによって複数のトナーパターンを形成した場合の当該複数のトナーパターン間の距離に相当する基準値との差分が、前記所定の画素数に対応する距離と等しくなるように、前記1つの領域における画素列を形成するための画素データのデータ量を決定する決定手段と、
前記1つの領域における画素列を形成するための入力画像信号から、前記決定手段によって決定されたデータ量の画素データを生成し、前記画像形成手段に、生成した当該画素データに基づいて前記1つの領域における画素列を形成させる制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記パターン形成手段は、前記複数の領域のそれぞれにおけるトナーパターンを形成するための画素データに対して、前記所定の画素数に対応するデータをそれぞれ追加して前記第2のパターン画像データを生成し、
前記決定手段は、前記検知手段による検知結果に基づいて、前記複数の領域のそれぞれにおける画素列を形成するための画素データのデータ量をそれぞれ決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記パターン形成手段は、更に、前記第1のパターン画像データに基づいて、前記画像形成手段に、前記主走査方向における前記複数の領域のそれぞれにトナーパターンを形成させ、
前記決定手段は、前記検知手段によって検知される、前記第1のパターン画像データに基づいて形成された前記複数のトナーパターン間の距離を、前記基準値として用いる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、前記1ラインの画素列における各画素を、複数の画素データによって形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記決定手段は、
前記検知手段によって検知された距離と前記基準値との差分を、前記所定の画素数に対応する距離で除算することで、前記1つの領域における画素列の伸縮率を算出し、
前記入力画像信号に基づいて形成される前記1つの領域における画素列の前記主走査方向のサイズを補正するための画素数を前記算出した伸縮率で除算し、得られた値を当該1つの領域における画素データに追加すべきデータのデータ量として決定する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
感光体と、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された前記光ビームが前記感光体上を走査するように前記光ビームを偏向する偏向手段と、前記偏向手段によって偏向された前記光ビームを前記感光体に導くレンズとを備え、前記レンズを通過した前記光ビームで前記感光体を露光することによって、前記光ビームの主走査方向に沿って1ラインの画素列を形成する画像形成手段を備える画像形成装置の制御方法であって、
パターン形成手段が、前記1ラインを複数の領域に分割し、分割した領域ごとにトナーパターンを形成するための第1のパターン画像データに含まれる、当該複数の領域のうちの1つの領域におけるトナーパターンを形成するための画素データに対して、所定の画素数に対応するデータを追加して得られる第2のパターン画像データに基づいて、前記画像形成手段に、前記主走査方向における前記複数の領域のそれぞれにトナーパターンを形成させるパターン形成工程と、
検知手段が、前記パターン形成工程において前記主走査方向に形成された複数のトナーパターン間の距離を検知する検知工程と、
決定手段が、前記検知工程において検知された距離と、前記第1のパターン画像データによって複数のトナーパターンを形成した場合の当該複数のトナーパターン間の距離に相当する基準値との差分が、前記所定の画素数に対応する距離と等しくなるように、前記1つの領域における画素列を形成するための画素データのデータ量を決定する決定工程と、
制御手段が、前記1つの領域における画素列を形成するための入力画像信号から、前記決定工程において決定されたデータ量の画素データを生成し、前記画像形成手段に、生成した当該画素データに基づいて前記1つの領域における画素列を形成させる制御工程と
を含むことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
前記パターン形成工程では、前記複数の領域のそれぞれにおけるトナーパターンを形成するための画素データに対して、前記所定の画素数に対応するデータをそれぞれ追加して前記第2のパターン画像データを生成し、
前記決定工程では、前記検知工程における検知結果に基づいて、前記複数の領域のそれぞれにおける画素列を形成するための画素データのデータ量をそれぞれ決定する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項8】
前記パターン形成工程では、更に、前記第1のパターン画像データに基づいて、前記画像形成手段に、前記主走査方向における前記複数の領域のそれぞれにトナーパターンを形成させ、
前記決定工程では、前記検知工程において検知される、前記第1のパターン画像データに基づいて形成された前記複数のトナーパターン間の距離を、前記基準値として用いる
ことを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−135035(P2012−135035A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−47299(P2012−47299)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【分割の表示】特願2007−178806(P2007−178806)の分割
【原出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】