画像形成装置及びその製造方法
【課題】有機EL素子に生ずる熱を良好に取り除くことが可能な画像形成装置及び画その製造方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、発光パネル21と、伝熱板24と、放熱板23と、を備える。発光パネル21は、発光画素基板31上に形成された発光画素30と、発光画素基板31と対向して設置された封止基板32と、を備える。封止基板32には、発光画素基板31と対向する面に細管として機能する溝が形成されている。細管内には作動液が封入されており、細管はヒートパイプとして機能する。細管によって発光画素30から発せられた熱は、良好に伝熱板24、放熱板23へと伝達される。
【解決手段】画像形成装置は、発光パネル21と、伝熱板24と、放熱板23と、を備える。発光パネル21は、発光画素基板31上に形成された発光画素30と、発光画素基板31と対向して設置された封止基板32と、を備える。封止基板32には、発光画素基板31と対向する面に細管として機能する溝が形成されている。細管内には作動液が封入されており、細管はヒートパイプとして機能する。細管によって発光画素30から発せられた熱は、良好に伝熱板24、放熱板23へと伝達される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)素子を用いた画像形成装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、例えばアノード電極と、カソード電極と、これらの電極間に形成された電子注入層、発光層、正孔注入層等の複数のキャリア輸送層とを備える。有機EL素子では、発光層において正孔注入層から供給された正孔と電子注入層から供給された電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。また、このような有機EL素子は、特許文献1に開示されているように、表示装置として用いられており、例えば各画素に設けられたTFT(Thin Film Transistor)等によって駆動されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−195012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、有機EL素子有する発光装置は、画像形成装置としても用いられる。有機EL素子を長寿命化させるためには、有機EL素子を駆動させた際に生ずる熱を取り除くことが重要である。更に、発光体基板内において温度ムラが発生すると、温度ムラに起因する輝度ムラが発生する可能性が高いという問題がある。
【0005】
また、温度上昇に伴って有機EL素子が劣化して発光輝度が低下すると、印刷装置の感光体、又は感光材料に必要な光量を得るためには、露光時間を長くしなければならず、結果として印刷速度が遅くなるという問題がある。
【0006】
このように、有機EL素子に生ずる熱を良好に取り除くことが可能な画像形成装置及びその製造方法が求められている。
【0007】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、有機EL素子に生ずる熱を良好に取り除くことが可能な画像形成装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る画像形成装置は、
発光画素基板と、
前記発光画素基板上に形成された発光画素と、
前記発光画素基板に対向する面に設置された封止基板と、を有する発光部を備え、
前記封止基板には溝が形成されており、該溝は前記発光画素基板と前記封止基板とが封止されることで管として機能し、該管には揮発性液体が封入されることを特徴とする。
【0009】
前記封止基板と前記発光画素基板とは、接着部材によって接着されてもよい。
【0010】
前記封止基板には前記発光画素と対向する領域に、凹部が形成されてもよい。
【0011】
前記発光画素基板に対向するように設置された金属を備え、
前記管として機能する前記溝は、前記金属板にも形成されてもよい。
【0012】
前記封止基板に形成された前記溝の表面には金属膜が形成されてもよい。
【0013】
前記発光部は、放熱板を更に備えてもよい。
【0014】
前記発光部は、前記放熱板と接するように設置され、前記発光画素から発せられた熱を伝達する伝熱板を更に備えてもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る画像形成装置の製造方法は、
発光画素基板上に発光画素を形成する工程と、
封止基板の発光画素基板と対向する面に、溝を形成する工程と、
前記発光画素基板と前記封止基板とを封止する工程と、
前記溝と前記発光画素基板とからなる溝内に揮発性溶液を封入する工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
前記封止基板には前記発光画素と対向する領域に、凹部が形成する工程を更に備えてもよい。
【0017】
前記溝を形成する工程と、前記凹部を形成する工程とは同時に行われてもよい。
【0018】
前記発光画素基板に対向するように設置される金属板に、前記管として機能する前記溝を形成する工程を更に備えてもよい。
【0019】
前記封止基板に形成された前記溝の表面には金属膜を形成する工程を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、封止基板内に冷却管として機能する溝を形成することにより、有機EL素子に生ずる熱を良好に取り除くことが可能な画像形成装置及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る画像形成装置及び画像形成装置の製造方法について図を用いて説明する。本実施形態では、発光部にボトムエミッション型の有機EL(electroluminescence)素子を用いた画像形成装置を例に挙げて説明する。
【0022】
(第1実施形態)
実施形態に係る画像形成装置及び画像形成装置の製造方法について図を用いて説明する。
【0023】
図1は実施形態に係る画像形成装置10の構成例を示す図である。また、図2は画像形成装置の露光ヘッドとして発光部20の構成例を示す図である。図3は、発光パネル21を示す平面図であり、図4は図3に示すIV−IV線断面図である。また、図5は発光パネル21の発光画素の駆動回路を示す等価回路図である。図6は発光画素の平面図であり、図7は発光画素のVII−VII線断面図である。
【0024】
画像形成装置10は、発光部20によって潜像を形成するドラム状の感光体11と、感光体を帯電させる帯電部12と、発光部20と、感光体にトナー画像を形成する現像部13と、感光体に形成されたトナー画像を転写紙に転写する転写部14と、定着器16と、クリーナー17と、除電器18と、を備える。本実施形態の画像形成装置10では、帯電、露光、現像、転写が行われ、転写紙19に所望の画像を形成する。
【0025】
帯電部12は、感光体11を帯電させる。
発光部20は、形成する画像に対応する発光パターンで発光部20中の発光画素を発光させ、感光体11を露光する。これにより、感光体11上に、静電潜像が形成される。
【0026】
現像部13は、感光体11上にトナーを供給する。感光体11上は静電潜像にしたがってトナーが感光体11に吸着することにより、この静電潜像に対応するトナー画像を形成する。
【0027】
転写部14は、感光体11上に形成されたトナー画像を転写紙19に転写する。
定着器16は、転写紙19を加熱する装置であり、熱を加えることによって転写紙19上のトナーが紙に定着する。転写紙19は、図示しない転写紙搬送部によって搬送される。
【0028】
クリーナー17は、感光体11上のトナーを転写紙19へ転写した後、感光体11上に残ったトナーを除去する。
除電器18は、次の帯電のため感光体11の表面を除電する。
【0029】
本実施形態の発光部20は、図2に示すように、発光パネル21と、発光パネルを保持するハウジング22と、放熱板23と、伝熱板24と、ロッドレンズ25と、を備える。
【0030】
ハウジング22は、遮光性を有する材料から形成されており、発光パネル21が設置される窪み部22aと、ロッドレンズ25が設置される窪み部22bと、放熱板23が設置される窪み部22cと、を備え、発光パネル21とロッドレンズ25と放熱板23とを保持する。また、ロッドレンズ25は感光体11と対向する部分に設置されており、発光部20の各発光画素から発せられた光を、感光体11へと導く。
【0031】
放熱板23は、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウム、ステンレス等から形成されており、発光パネル21の光取り出し面と対向する面側に設置されており、発光パネル21と放熱板23との間に設けられた伝熱板24を介して発光パネル21から発せされる熱を放散する。なお、伝熱板24も、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウム、ステンレス等から形成される。
【0032】
発光パネル21は、図3及び図4に示すように発光画素基板31と、発光画素30と、発光画素基板31に対向して設置された封止基板32と、細管33と、作動液注入口34と、注入口封止部35と、作動液36と、を備える。
【0033】
発光画素基板31は、透光性を有する基板、例えばガラス基板から構成される。発光画素基板31上には、有機EL素子OLEDからなる発光画素30が列状に配置された発光画素アレイが形成されている。なお、各発光画素30にはそれぞれ発光画素30に接続された配線(図示せず)が形成され、更にICチップ等からなる駆動部(図示せず)に接続されている。発光画素30から発せられた光は、発光画素基板31側から取り出され、ロッドレンズ25を介して感光体11に導かれる。
【0034】
封止基板32は、例えばガラス、金属、プラスチック等からなる基板であり、発光画素基板31と対向するように設置される。封止基板32の発光画素基板31と対向する面には、発光画素30に対応する窪み部32aと、溝32bとが形成されている。図3に示すように、溝32bは発光画素アレイに隣接する領域では蛇行するように形成され、伝熱板24近傍の領域では直線状に形成されている。発光画素基板31と封止基板32とは、例えば、紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂からなる封止剤によって封止される。封止基板32の窪み部32aと窪み部32aに対向する発光画素基板31の対向面とで形成される空間には、不活性ガス、シリコーンオイル等が充填されている。なお、封止基板32には、発光画素30に対応する窪み部32aを設けず、シート状の接着剤、高粘性接着剤等を発光画素30上にも塗布することによって封止してもよい(ベタ封止)。この場合、接着剤の厚みによって発光画素30の段差は吸収されるため、発光画素30への影響はほとんどない。
【0035】
本実施形態では、封止基板32に溝32bを形成し、窪み部32a及び溝32bを除く発光画素基板31と封止基板32とのそれぞれ対向面に、封止剤が介在することによって窪み部32a及び溝32bが封止することにより、溝32bは細管33(冷却管)として機能する。細管33は、発光画素側に配置され且つ蛇行することによって表面積が相対的に大きい細管33aと、発光パネル21の外側寄りに配置され、細管33aに繋がった細管33bと、を有している。この細管33には一部、減圧状態で気化しやすい液体(作動液)36、例えば水、アルコール等が封入されている。これにより、細管33は、ヒートパイプとして機能する。
【0036】
図3に示すように細管33aは発光画素30に隣接しており、発光画素30から発せられる熱によって、加熱される。細管33bは伝熱板24を介して放熱板23から熱が発散される。これにより、細管33bを冷却することができる。このようにして、発光画素30からの熱で発光画素側の細管33aで作動液36を一部気化させ、熱せられた気体が細管33bに移動して、気化熱を伝熱板側で放出する。このとき、気化した蒸気が放熱により低温になり、伝熱板側で液化して作動液36となって再び細管33aに移動する。この吸熱と放熱とを繰り返すことにより、熱を放熱板へと移動させることができ、発光画素から発せられる熱を放熱板へと移動させ、発光画素を冷却することができる。また、細管33によって熱が移動することにより、発光画素30の配列方向の温度ムラを低減させることができる。なお、作動液36は詳細に後述するように封止基板32と発光画素基板31とを封止した後、作動液注入口34から注入される。作動液注入口34は、それぞれ注入口封止部35によって封止される。細管33は、発光画素側の細管33aと伝熱板側の細管33bとの間で二経路あるように一繋がりに形成されている。このため、一方の経路において作動液36の蒸気が発光画素側の細管33aから伝熱板側の細管33bへ移動し、他方の経路において蒸気圧によって作動液36が伝熱板側の細管33bから発光画素側の細管33aへ移動することで、作動液36が効率よく流動することができる。
【0037】
なお、溝32bの内面には熱伝導性に優れたアルミ等の金属膜が形成されていてもよい。この金属膜は溝32bにのみ形成されていてもよく、更には、溝32bの周辺の封止基板32上に形成されていてもよい。
【0038】
発光画素30は、図4に示すように発光画素基板31上に形成されており、各発光画素30は、有機EL素子OLEDと、有機EL素子OLEDをアクティブ動作させる発光画素回路DSとを備える。
【0039】
発光画素回路DSは、図5に示すように、選択トランジスタTr11、発光駆動トランジスタTr12、キャパシタCs、有機EL素子OLEDと、を備える。選択トランジスタTr11、発光駆動トランジスタTr12は、それぞれアモルファスシリコンを有する半導体層を備える逆スタガ型のnチャネル型TFT(Thin Film Transistor)である。
【0040】
発光画素基板31上には、行方向に配列された複数の発光画素回路DSに接続されたアノードラインLaと、行方向に配列された複数の発光画素回路DSにそれぞれ接続された複数のデータラインLdと、行方向に配列された複数の発光画素回路DSのトランジスタTr11を選択するゲートラインLgと、が形成されている。
【0041】
図5に示すように選択トランジスタTr11は、ゲート端子がゲートラインLgに、ドレイン端子がデータラインLdに、ソース端子が接点N11にそれぞれ接続される。また、発光駆動トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続されており、ドレイン端子がアノードラインLaに、ソース端子が接点N12にそれぞれ接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子及びソース端子に接続されている。なお、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート−ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくはトランジスタTr12のゲート−ソース間の寄生容量と補助容量からなる容量成分である。また、有機EL素子OLEDは、アノード端子(画素電極42)が接点N12に接続され、カソード端子(対向電極46)に基準電圧Vssが印加されている。
【0042】
ゲートラインLgは、発光パネルの周縁部に配置された走査ドライバ(図示せず)に接続されており、所定タイミングで行方向に配列された複数の発光画素30を選択状態に設定するための選択電圧信号(走査信号)が印加される。また、データラインLdは、発光パネルの周縁部に配置されたデータドライバ(図示せず)に接続され、上記発光画素30の選択状態に同期するタイミングで発光データに応じたデータ電圧(階調信号)が印加される。行方向に配列された複数のトランジスタTr12が、当該トランジスタTr12に接続された有機EL素子OLEDの画素電極(例えばアノード電極)に発光データに応じた発光駆動電流を流す状態に設定するように、アノードラインLa(供給電圧ライン)は、所定の高電位電源に直接又は間接的に接続されている。つまり、アノードラインLaは、有機EL素子OLEDの対向電極46に印加される基準電圧Vssより十分電位の高い所定の高電位(供給電圧Vdd)が印加される。また、対向電極46は、例えば、所定の低電位電源に直接又は間接的に接続され、発光画素基板31上にアレイ状に配列された全ての発光画素(有機EL素子)に対して単一の電極層により形成されており、所定の低電圧(基準電圧Vss,例えば接地電位GND)が共通に印加されるように設定されている。
【0043】
絶縁膜41は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から形成され、データラインLd、ゲート電極Tr11g及びゲート電極Tr12gを覆うように発光画素基板31上に形成される。
【0044】
また、アノードラインLaとゲートラインLgとは、各トランジスタTr11,Tr12のソース電極、ドレイン電極とを形成するソース−ドレイン導電層を用いてこれらソース電極、ドレイン電極とともに形成される。データラインLdは、各トランジスタTr11,Tr12のゲート電極となるゲート導電層を用いてゲート電極とともに形成される。データラインLdとドレイン電極Tr11dとの間の絶縁膜41には、コンタクトホール61が形成され、データラインLdとドレイン電極Tr11dとはコンタクトホール61を介して導通している。ゲートラインLgとゲート電極Tr11gの両端との間の絶縁膜41には、それぞれコンタクトホール62、63が形成され、ゲートラインLgとゲート電極Tr11gとはコンタクトホール62、63を介して導通している。ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとの間の絶縁膜41には、コンタクトホール64が形成され、ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとはコンタクトホール64を介して導通している。
【0045】
次に、有機EL素子OLEDは、画素電極42と、正孔注入層43と、インターレイヤ44と、発光層45と、対向電極46と、を備える。正孔注入層43と、インターレイヤ44と、発光層45とが、電子や正孔がキャリアとなって輸送されるキャリア輸送層となる。キャリア輸送層は、列方向に配列された層間絶縁膜47、隔壁48の間に配置されている。
【0046】
各発光画素の発光画素基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなるトランジスタTr11、発光駆動トランジスタTr12のゲート電極Tr11g,Tr12gが形成されている。各発光画素に隣接した発光画素基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなり、列方向に沿って延びるデータラインLdが形成されている。
【0047】
選択トランジスタTr11、発光駆動トランジスタTr12は、それぞれnチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)である。それぞれのトランジスタは発光画素基板31上に形成される。図7に示すように、発光駆動トランジスタTr12は、絶縁膜41と、半導体層121と、保護絶縁膜122と、ドレイン電極Tr12dと、ソース電極Tr12sと、オーミックコンタクト層124,125と、ゲート電極Tr12gと、を備える。また、選択トランジスタTr11も、発光駆動トランジスタTr12と同様に、絶縁膜41と、半導体層(図示せず)と、保護絶縁膜(図示せず)と、ドレイン電極Tr11dと、ソース電極Tr11sと、オーミックコンタクト層(図示せず)と、ゲート電極Tr11gと、を備える。
【0048】
各トランジスタTr11,Tr12において、ゲート電極は、例えば、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなる不透明なゲート導電層から形成される。また、ドレイン電極、ソース電極はそれぞれ例えばアルミニウム−チタン(AlTi)/Cr、AlNdTi/CrまたはCr等のソース−ドレイン導電層から形成されている。また、ドレイン電極及びソース電極と半導体層との間にはそれぞれ低抵抗性接触のため、オーミックコンタクト層が形成される。
【0049】
画素電極(アノード電極)42は、透光性を備える導電材料、例えばITO(Indium Tin Oxide)、ZnO等から構成される。各発光画素電極42は隣接する他の発光画素30の画素電極42と層間絶縁膜47によって絶縁されている。
【0050】
層間絶縁膜47は、絶縁性材料、例えばシリコン窒化膜から形成され、画素電極42間に形成され、トランジスタTr11,Tr12やゲートラインLg、アノードラインLaを絶縁保護する。層間絶縁膜47には略方形の開口部47aが形成されており、この開口部47aによって発光画素30の発光領域が画される。更に層間絶縁膜47上には隔壁48には列方向(図6の上下方向)に延びる溝状の開口部48aが複数の発光画素30にわたって形成されている。
【0051】
隔壁48は、絶縁材料、例えばポリイミド等の感光性樹脂を硬化してなり、層間絶縁膜47上に形成される。隔壁48は、図6に示すように列方向に沿った複数の発光画素の発光画素電極42をまとめて開口するようにストライプ状に形成されている。なお、隔壁48の平面形状は、これに限られず各発光画素電極42毎に開口部をもった格子状であってもよい。
【0052】
正孔注入層43は、画素電極34上に形成され、発光層45に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層43は正孔(ホール)注入、輸送が可能な有機高分子系の材料から構成される。また、有機高分子系のホール注入・輸送材料を含む有機化合物含有液としては、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を水系溶媒に分散させた分散液であるPEDOT/PSS水溶液を用いる。
【0053】
インターレイヤ44は正孔注入層43上に形成される。インターレイヤ44は、正孔注入層43の正孔注入性を抑制して発光層45内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層45の発光効率を高めるために設けられている。
【0054】
発光層45は、インターレイヤ44上に形成されている。発光層45は、アノード電極とカソード電極との間に電圧を印加することにより光を発生する機能を有する。発光層45は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)をノズルコート法やインクジェット法等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0055】
また、対向電極(カソード電極)46は、ボトムエミッション型の場合、発光層45側に設けられ、導電材料、例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる電子注入性の下層と、Al等の光反射性導電金属からなる上層を有する積層構造であり、トップエミッション型の場合、発光層45側に設けられ、5nm〜10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造である。本実施形態では、対向電極46は複数の発光画素30に跨って形成される単一の電極層から構成され、例えば接地電位である共通電圧Vssが印加されている。
【0056】
上述したように、本実施形態の画像形成装置10は、発光部20の発光パネル21にヒートパイプとして機能する細管33を形成することにより、発光画素30から発せられる熱を良好に伝熱板24へと移動させることができ、発光画素30で生じた熱を取り除き、発光画素30の温度ムラの発生を抑制することができる。これにより、発光画素30の有機EL素子の長寿命化、温度ムラに帰因する、輝度ムラの発生を抑制することが可能である。
【0057】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の製造方法について図8〜10を用いて説明する。ここでは、トランジスタTr11はトランジスタTr12と同一工程によって形成されるので、トランジスタTr11の形成の説明を一部省略する。
【0058】
まず、図8(a)に示すように、例えばガラス基板からなる封止基板32の発光画素基板31と対向する面に、サンドブラスト法、フォトリソグラフィ、エッチング等の物理研磨或いは化学研磨により、窪み部32aと、溝32bと、を形成する。この際、作動液注入口34も同時に形成する。なお、本実施形態では、発光画素30を封止するための窪み部32aと、細管33のための溝32bとを同時に形成することにより、製造工程を簡略化させることが可能である。
【0059】
次に、ガラス基板等からなる発光画素基板31を用意する。次に、この発光画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなるゲート導電膜を形成し、これを図8(b)に示すようにトランジスタTr11,Tr12のゲート電極、及びデータラインLdの形状にパターニングする。続いて、図8(c)に示すようにCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極Tr12g及びデータラインLd上に絶縁膜41を形成する。
【0060】
次に絶縁膜41上に、CVD法等によりアモルファスシリコン層、窒化シリコン層を堆積し、窒化シリコン層をフォトリソグラフィによりパターニングして保護絶縁膜122を形成する。ついで、n型不純物が含まれたアモルファスシリコン層を堆積後、フォトリソグラフィによって下層のアモルファスシリコン層とともにエッチングしてオーミックコンタクト層124,125及び半導体層121を形成する。
【0061】
次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜41上に、ITO等の透明導電膜、或いは光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして発光画素電極42を形成する。
【0062】
続いて、絶縁膜41に貫通孔であるコンタクトホール61〜64を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなるソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングして図6及び図8(c)に示すようにドレイン電極Tr12d及びソース電極Tr12s、アノードラインLaを形成する。このとき、発光駆動トランジスタTr12のソース電極Tr12sはそれぞれ発光画素電極42の一部と重なるように形成される。
【0063】
続いて、図8(c)に示すようにトランジスタTr12等を覆うようにシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜47をCVD法等により形成後、フォトリソグラフィにより、開口部47aを形成する。次に、感光性ポリイミドを層間絶縁膜47を覆うように塗布し、隔壁48の形状に対応するマスクを介して露光、現像することによってパターニングし、図9(a)に示すように開口部48aを有する隔壁48を形成する。
【0064】
続いて、正孔注入材料を含む有機化合物含有液を、連続して流すノズルプリンティング装置あるいは個々に独立した複数の液滴として吐出するインクジェット装置によって開口部47aで囲まれた発光画素電極42上に選択的に塗布する。続いて、発光画素基板31を大気雰囲気下で加熱し有機化合物含有液の溶媒を揮発させて、正孔注入層43を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0065】
続いて、ノズルプリンティング装置またはインクジェット装置を用いてインターレイヤ44となる材料を含有する有機化合物含有液を正孔注入層43上に塗布する。窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行ってインターレイヤ44を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0066】
次に、発光ポリマー材料(R,G,B)を含有する有機化合物含有液を、同様にノズルプリンティング装置またはインクジェット装置により塗布して窒素雰囲気中で加熱して残留溶媒の除去を行い、発光層45を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0067】
発光層45まで形成した発光画素基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる層と、Al等の光反射性導電層からなる2層構造の対向電極46を形成する。
【0068】
次に、複数の発光画素30が形成された発光領域の外側において、発光画素基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂からなる封止樹脂を塗布し、図10(a)に示すように発光画素基板31と封止基板32とを貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて、図10(b)に示すように発光画素基板31と封止基板32とを接合する。
【0069】
次に、接合された発光画素基板31及び封止基板32を1〜100Paの減圧雰囲気下の炉内に配置して、作動液注入口34、34の一方から、作動液36を注入する。本実施形態では、注入口は2箇所に設けられているため、一方の注入口から細管33内の気体を排気し、他方の注入口34から、作動液36を細管33内に注入する。このとき、細管33内には作動液36が気化できる空間を残すため、細管33の空間全域に作動液36を充填するのではなく、一部作動液36のない空間があるように注入する。なお、注入口は1箇所にのみ設けられてもよく、2箇所より多く設けられていてもよい。注入口が1箇所に設けられる場合は、例えば発光画素基板31及び封止基板32を1〜100Paの減圧雰囲気下の炉内に配置し、注入口を塞ぐように作動液36に浸してから、炉内を大気圧に戻し、細管33の内外の圧力差によって細管33内に作動液36を注入させる。
【0070】
作動液を注入後、注入口封止部35によって注入口34、34を封止する。
以上の工程から、発光パネル21が製造される。
【0071】
このように、製造した発光パネル21を、ハウジング22の窪み部22aに設置し、更に伝熱板24を発光パネル21の封止基板32上に設置する。次に、伝熱板24に接するように、放熱板23をハウジング22の窪み部22cに設置する。更に、ロッドレンズ25をハウジング22の窪み部22bに設置する。
以上から、発光部20が製造される。
【0072】
このようにして製造した発光部20を、感光体11と、帯電部12と、現像部13と、転写部14と、定着器16と、クリーナー17と、除電器18と、組み合わせることにより、画像形成装置が製造される。
【0073】
上述したように、本実施形態の画像形成装置10の製造方法では、発光画素30を封止するための封止基板32に溝32bを形成し、発光画素基板31と封止基板32とを封止することにより、ヒートパイプとして機能する細管33を形成することができる。この細管33によって、発光画素30から発せられる熱を良好に伝熱板24へと移動させることができ、発光画素30から発せられる熱を取り除き、発光画素30の温度ムラの発生を抑制することができる。これにより、発光画素30の有機EL素子の長寿命化、温度ムラに帰因する、輝度ムラの発生を抑制することが可能である。特に本実施形態では、発光画素30を封止するための窪み部32aを形成する際、同時に溝32bを形成する。これにより、製造工程を増加させることなく、細管33を形成することが可能である。
【0074】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る画像形成装置を以下、図を用いて説明する。本実施形態の画像形成装置が第1実施形態の画像形成装置と異なるのは、本実施形態では発光部の伝熱板が発光画素基板に接着されており、伝熱板にも溝が形成される点にある。第1実施形態と共通する部分には同一の引用番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0075】
図11に本実施形態の画像形成装置に用いられる発光部81を示す。また、図12に本実施形態の発光パネル82の平面図を示し、図13は図12に示すXIII−XIII線断面図である。
【0076】
本実施形態の発光部20は、図11に示すように、発光パネル82と、発光パネル82を保持するハウジング22と、放熱板23と、伝熱板84と、ロッドレンズ25と、を備える。
【0077】
発光パネル82は、図12及び13に示すように発光画素基板31と、発光画素30と、発光画素基板31に対向して設置された封止基板32と、細管83と、作動液注入口34と、注入口封止部35と、を備える。
【0078】
封止基板32は、第1実施形態と同様に、透光性を有する基板、例えばガラス基板から構成される。封止基板32の発光画素基板31と対向する面には、第1実施形態と同様に、発光画素30を封止する窪み部32aと、細管83として機能する溝32cとが形成される。溝32cは発光画素アレイに隣接する領域では蛇行するように形成されている。
【0079】
伝熱板84は、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウム、ステンレス等から形成されており、発光画素基板31と対向する面に、細管83として機能する溝84aが形成される。封止基板32に形成された溝32cと、金属板84に形成された溝84aとが、細管83として機能する。溝84aは、溝32cと異なり直線状に形成されている。また、封止基板32と伝熱板84とが接する面は、封入した作動液が漏れることがないよう接着されている。
【0080】
本実施形態では、封止基板32と伝熱板84とに溝32c,84aを形成し、発光画素基板31と、封止基板32及び伝熱板84と、を封止剤によって封止することにより、溝32c,84aをそれぞれ細管83a、83b(冷却管)として機能させる。この細管83には減圧状態で気化しやすい液体(作動液)、例えば水、アルコール等が封入されている。これにより、細管83は、ヒートパイプとして機能する。図12に示すように細管83の一方は発光画素30に隣接しており、発光画素30から発せられる熱によって、加熱される。細管の他方は伝熱板24を介して放熱板23から熱が発散される。これにより、細管33の他方を冷却することができる。このようにして、発光画素側の細管83aで作動液36を気化させ、熱を吸収し、伝熱板側の細管83bで作動液36を液化させ、熱を放出させる。この吸熱と放熱とを繰り返すことにより、熱を放熱板へと移動させることができ、発光画素から発せられる熱を放熱板へと移動させ、発光画素を冷却することができる。本実施形態では、特に熱を放出させる領域の細管を金属からなる伝熱板84に形成することにより、より効率的に熱を放出させることができるため、発光画素から放熱板23への熱の移動を良好に行うことができる。
【0081】
上述したように、本実施形態の画像形成装置は、発光部80の発光パネル81にヒートパイプとして機能する細管83を形成することにより、発光画素30から発せられる熱を良好に伝熱板24へと移動させることができ、発光画素30の有機EL素子の長寿命化、温度ムラに帰因する、輝度ムラの発生を抑制することが可能である。特に本実施形態では、封止基板32と伝熱板84とに、溝32c,84aを形成することにより、より良好に伝熱板24へ熱を放出することができ、良好に発光画素30を冷却することができる。
【0082】
本発明は上述した実施形態に限られず様々な変形及び応用が可能である。
上述した実施形態では、ヒートパイプとして機能する溝は封止基板にのみ形成される構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、封止基板と発光画素基板とに、それぞれ形成されていてもよい。なお、上述したように、封止基板にのみ溝を形成すると、封止基板に発光画素用の窪み部を形成する際に同時に溝も形成することができるため、工程の増加を避けることができ、好ましい。
【0083】
上述した第2実施形態では、伝熱板84に直接溝を形成する構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、溝を形成するための金属板を用い、この金属板を発光画素基板に接着させ、金属板に伝熱板を設けても良い。
【0084】
更に、溝32bの表面に金属等の熱伝導性の高い材料を被覆させることにより、細管33の熱伝導性を高めることも可能である。
【0085】
上述した各実施形態では、発光画素回路DSは選択トランジスタTr11、発光駆動トランジスタTr12の合計2つのトランジスタを備える例を挙げて説明したが、これに限られず、3つ以上のトランジスタを備えるものであってもよい。
上述した各実施形態では、発光部を露光ヘッドとして用いたが、これに限らず、発光パネルを動画や静止画を表示する画像表示パネルにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す平面図である。
【図2】第1実施形態に係る発光部を模式的に示す図である。
【図3】第1実施形態に係る発光パネルを模式的に示す平面図である。
【図4】図3に示すIV−IV線断面図である。
【図5】発光画素駆動回路の等価回路図である。
【図6】発光画素を示す平面図である。
【図7】図6に示すVII−VII線断面図である。
【図8】第1実施形態に係る画像形成装置の製造方法を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る画像形成装置の製造方法を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る画像形成装置の製造方法を示す図である。
【図11】第2実施形態に係る画像形成装置の発光部を示す図である。
【図12】第2実施形態に係る発光パネルを模式的に示す平面図である。
【図13】図12に示すXIII−XIII線断面図である。
【符号の説明】
【0087】
10・・・画像形成装置、11・・・感光体、13・・・現像部、14・・・転写部、16・・・定着器、17・・・クリーナー、18・・・除電器、19・・・転写紙、20・・・発光部、21・・・発光パネル、22・・・ハウジング、23・・・放熱板、24,84・・・伝熱板、25・・・ロッドレンズ、30・・・発光画素、31・・・発光画素基板、32・・・封止基板、32a・・・窪み部、32b,32c,84a・・・溝、33・・・細管、34・・・作動液注入口、35・・・注入口封止部、41・・・絶縁膜、42・・・画素電極、43・・・正孔注入層、44・・・インターレイヤ、45・・・発光層、46・・・対向電極、47・・・層間絶縁膜、48・・・隔壁、61,62,63,64・・・コンタクトホール、Cs・・・キャパシタ、La・・・アノードライン、Ld・・・データライン、Lg・・・ゲートライン、Tr11・・・選択トランジスタ、Tr12・・・発光駆動トランジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)素子を用いた画像形成装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、例えばアノード電極と、カソード電極と、これらの電極間に形成された電子注入層、発光層、正孔注入層等の複数のキャリア輸送層とを備える。有機EL素子では、発光層において正孔注入層から供給された正孔と電子注入層から供給された電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。また、このような有機EL素子は、特許文献1に開示されているように、表示装置として用いられており、例えば各画素に設けられたTFT(Thin Film Transistor)等によって駆動されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−195012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、有機EL素子有する発光装置は、画像形成装置としても用いられる。有機EL素子を長寿命化させるためには、有機EL素子を駆動させた際に生ずる熱を取り除くことが重要である。更に、発光体基板内において温度ムラが発生すると、温度ムラに起因する輝度ムラが発生する可能性が高いという問題がある。
【0005】
また、温度上昇に伴って有機EL素子が劣化して発光輝度が低下すると、印刷装置の感光体、又は感光材料に必要な光量を得るためには、露光時間を長くしなければならず、結果として印刷速度が遅くなるという問題がある。
【0006】
このように、有機EL素子に生ずる熱を良好に取り除くことが可能な画像形成装置及びその製造方法が求められている。
【0007】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、有機EL素子に生ずる熱を良好に取り除くことが可能な画像形成装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る画像形成装置は、
発光画素基板と、
前記発光画素基板上に形成された発光画素と、
前記発光画素基板に対向する面に設置された封止基板と、を有する発光部を備え、
前記封止基板には溝が形成されており、該溝は前記発光画素基板と前記封止基板とが封止されることで管として機能し、該管には揮発性液体が封入されることを特徴とする。
【0009】
前記封止基板と前記発光画素基板とは、接着部材によって接着されてもよい。
【0010】
前記封止基板には前記発光画素と対向する領域に、凹部が形成されてもよい。
【0011】
前記発光画素基板に対向するように設置された金属を備え、
前記管として機能する前記溝は、前記金属板にも形成されてもよい。
【0012】
前記封止基板に形成された前記溝の表面には金属膜が形成されてもよい。
【0013】
前記発光部は、放熱板を更に備えてもよい。
【0014】
前記発光部は、前記放熱板と接するように設置され、前記発光画素から発せられた熱を伝達する伝熱板を更に備えてもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る画像形成装置の製造方法は、
発光画素基板上に発光画素を形成する工程と、
封止基板の発光画素基板と対向する面に、溝を形成する工程と、
前記発光画素基板と前記封止基板とを封止する工程と、
前記溝と前記発光画素基板とからなる溝内に揮発性溶液を封入する工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
前記封止基板には前記発光画素と対向する領域に、凹部が形成する工程を更に備えてもよい。
【0017】
前記溝を形成する工程と、前記凹部を形成する工程とは同時に行われてもよい。
【0018】
前記発光画素基板に対向するように設置される金属板に、前記管として機能する前記溝を形成する工程を更に備えてもよい。
【0019】
前記封止基板に形成された前記溝の表面には金属膜を形成する工程を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、封止基板内に冷却管として機能する溝を形成することにより、有機EL素子に生ずる熱を良好に取り除くことが可能な画像形成装置及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る画像形成装置及び画像形成装置の製造方法について図を用いて説明する。本実施形態では、発光部にボトムエミッション型の有機EL(electroluminescence)素子を用いた画像形成装置を例に挙げて説明する。
【0022】
(第1実施形態)
実施形態に係る画像形成装置及び画像形成装置の製造方法について図を用いて説明する。
【0023】
図1は実施形態に係る画像形成装置10の構成例を示す図である。また、図2は画像形成装置の露光ヘッドとして発光部20の構成例を示す図である。図3は、発光パネル21を示す平面図であり、図4は図3に示すIV−IV線断面図である。また、図5は発光パネル21の発光画素の駆動回路を示す等価回路図である。図6は発光画素の平面図であり、図7は発光画素のVII−VII線断面図である。
【0024】
画像形成装置10は、発光部20によって潜像を形成するドラム状の感光体11と、感光体を帯電させる帯電部12と、発光部20と、感光体にトナー画像を形成する現像部13と、感光体に形成されたトナー画像を転写紙に転写する転写部14と、定着器16と、クリーナー17と、除電器18と、を備える。本実施形態の画像形成装置10では、帯電、露光、現像、転写が行われ、転写紙19に所望の画像を形成する。
【0025】
帯電部12は、感光体11を帯電させる。
発光部20は、形成する画像に対応する発光パターンで発光部20中の発光画素を発光させ、感光体11を露光する。これにより、感光体11上に、静電潜像が形成される。
【0026】
現像部13は、感光体11上にトナーを供給する。感光体11上は静電潜像にしたがってトナーが感光体11に吸着することにより、この静電潜像に対応するトナー画像を形成する。
【0027】
転写部14は、感光体11上に形成されたトナー画像を転写紙19に転写する。
定着器16は、転写紙19を加熱する装置であり、熱を加えることによって転写紙19上のトナーが紙に定着する。転写紙19は、図示しない転写紙搬送部によって搬送される。
【0028】
クリーナー17は、感光体11上のトナーを転写紙19へ転写した後、感光体11上に残ったトナーを除去する。
除電器18は、次の帯電のため感光体11の表面を除電する。
【0029】
本実施形態の発光部20は、図2に示すように、発光パネル21と、発光パネルを保持するハウジング22と、放熱板23と、伝熱板24と、ロッドレンズ25と、を備える。
【0030】
ハウジング22は、遮光性を有する材料から形成されており、発光パネル21が設置される窪み部22aと、ロッドレンズ25が設置される窪み部22bと、放熱板23が設置される窪み部22cと、を備え、発光パネル21とロッドレンズ25と放熱板23とを保持する。また、ロッドレンズ25は感光体11と対向する部分に設置されており、発光部20の各発光画素から発せられた光を、感光体11へと導く。
【0031】
放熱板23は、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウム、ステンレス等から形成されており、発光パネル21の光取り出し面と対向する面側に設置されており、発光パネル21と放熱板23との間に設けられた伝熱板24を介して発光パネル21から発せされる熱を放散する。なお、伝熱板24も、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウム、ステンレス等から形成される。
【0032】
発光パネル21は、図3及び図4に示すように発光画素基板31と、発光画素30と、発光画素基板31に対向して設置された封止基板32と、細管33と、作動液注入口34と、注入口封止部35と、作動液36と、を備える。
【0033】
発光画素基板31は、透光性を有する基板、例えばガラス基板から構成される。発光画素基板31上には、有機EL素子OLEDからなる発光画素30が列状に配置された発光画素アレイが形成されている。なお、各発光画素30にはそれぞれ発光画素30に接続された配線(図示せず)が形成され、更にICチップ等からなる駆動部(図示せず)に接続されている。発光画素30から発せられた光は、発光画素基板31側から取り出され、ロッドレンズ25を介して感光体11に導かれる。
【0034】
封止基板32は、例えばガラス、金属、プラスチック等からなる基板であり、発光画素基板31と対向するように設置される。封止基板32の発光画素基板31と対向する面には、発光画素30に対応する窪み部32aと、溝32bとが形成されている。図3に示すように、溝32bは発光画素アレイに隣接する領域では蛇行するように形成され、伝熱板24近傍の領域では直線状に形成されている。発光画素基板31と封止基板32とは、例えば、紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂からなる封止剤によって封止される。封止基板32の窪み部32aと窪み部32aに対向する発光画素基板31の対向面とで形成される空間には、不活性ガス、シリコーンオイル等が充填されている。なお、封止基板32には、発光画素30に対応する窪み部32aを設けず、シート状の接着剤、高粘性接着剤等を発光画素30上にも塗布することによって封止してもよい(ベタ封止)。この場合、接着剤の厚みによって発光画素30の段差は吸収されるため、発光画素30への影響はほとんどない。
【0035】
本実施形態では、封止基板32に溝32bを形成し、窪み部32a及び溝32bを除く発光画素基板31と封止基板32とのそれぞれ対向面に、封止剤が介在することによって窪み部32a及び溝32bが封止することにより、溝32bは細管33(冷却管)として機能する。細管33は、発光画素側に配置され且つ蛇行することによって表面積が相対的に大きい細管33aと、発光パネル21の外側寄りに配置され、細管33aに繋がった細管33bと、を有している。この細管33には一部、減圧状態で気化しやすい液体(作動液)36、例えば水、アルコール等が封入されている。これにより、細管33は、ヒートパイプとして機能する。
【0036】
図3に示すように細管33aは発光画素30に隣接しており、発光画素30から発せられる熱によって、加熱される。細管33bは伝熱板24を介して放熱板23から熱が発散される。これにより、細管33bを冷却することができる。このようにして、発光画素30からの熱で発光画素側の細管33aで作動液36を一部気化させ、熱せられた気体が細管33bに移動して、気化熱を伝熱板側で放出する。このとき、気化した蒸気が放熱により低温になり、伝熱板側で液化して作動液36となって再び細管33aに移動する。この吸熱と放熱とを繰り返すことにより、熱を放熱板へと移動させることができ、発光画素から発せられる熱を放熱板へと移動させ、発光画素を冷却することができる。また、細管33によって熱が移動することにより、発光画素30の配列方向の温度ムラを低減させることができる。なお、作動液36は詳細に後述するように封止基板32と発光画素基板31とを封止した後、作動液注入口34から注入される。作動液注入口34は、それぞれ注入口封止部35によって封止される。細管33は、発光画素側の細管33aと伝熱板側の細管33bとの間で二経路あるように一繋がりに形成されている。このため、一方の経路において作動液36の蒸気が発光画素側の細管33aから伝熱板側の細管33bへ移動し、他方の経路において蒸気圧によって作動液36が伝熱板側の細管33bから発光画素側の細管33aへ移動することで、作動液36が効率よく流動することができる。
【0037】
なお、溝32bの内面には熱伝導性に優れたアルミ等の金属膜が形成されていてもよい。この金属膜は溝32bにのみ形成されていてもよく、更には、溝32bの周辺の封止基板32上に形成されていてもよい。
【0038】
発光画素30は、図4に示すように発光画素基板31上に形成されており、各発光画素30は、有機EL素子OLEDと、有機EL素子OLEDをアクティブ動作させる発光画素回路DSとを備える。
【0039】
発光画素回路DSは、図5に示すように、選択トランジスタTr11、発光駆動トランジスタTr12、キャパシタCs、有機EL素子OLEDと、を備える。選択トランジスタTr11、発光駆動トランジスタTr12は、それぞれアモルファスシリコンを有する半導体層を備える逆スタガ型のnチャネル型TFT(Thin Film Transistor)である。
【0040】
発光画素基板31上には、行方向に配列された複数の発光画素回路DSに接続されたアノードラインLaと、行方向に配列された複数の発光画素回路DSにそれぞれ接続された複数のデータラインLdと、行方向に配列された複数の発光画素回路DSのトランジスタTr11を選択するゲートラインLgと、が形成されている。
【0041】
図5に示すように選択トランジスタTr11は、ゲート端子がゲートラインLgに、ドレイン端子がデータラインLdに、ソース端子が接点N11にそれぞれ接続される。また、発光駆動トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続されており、ドレイン端子がアノードラインLaに、ソース端子が接点N12にそれぞれ接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子及びソース端子に接続されている。なお、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート−ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくはトランジスタTr12のゲート−ソース間の寄生容量と補助容量からなる容量成分である。また、有機EL素子OLEDは、アノード端子(画素電極42)が接点N12に接続され、カソード端子(対向電極46)に基準電圧Vssが印加されている。
【0042】
ゲートラインLgは、発光パネルの周縁部に配置された走査ドライバ(図示せず)に接続されており、所定タイミングで行方向に配列された複数の発光画素30を選択状態に設定するための選択電圧信号(走査信号)が印加される。また、データラインLdは、発光パネルの周縁部に配置されたデータドライバ(図示せず)に接続され、上記発光画素30の選択状態に同期するタイミングで発光データに応じたデータ電圧(階調信号)が印加される。行方向に配列された複数のトランジスタTr12が、当該トランジスタTr12に接続された有機EL素子OLEDの画素電極(例えばアノード電極)に発光データに応じた発光駆動電流を流す状態に設定するように、アノードラインLa(供給電圧ライン)は、所定の高電位電源に直接又は間接的に接続されている。つまり、アノードラインLaは、有機EL素子OLEDの対向電極46に印加される基準電圧Vssより十分電位の高い所定の高電位(供給電圧Vdd)が印加される。また、対向電極46は、例えば、所定の低電位電源に直接又は間接的に接続され、発光画素基板31上にアレイ状に配列された全ての発光画素(有機EL素子)に対して単一の電極層により形成されており、所定の低電圧(基準電圧Vss,例えば接地電位GND)が共通に印加されるように設定されている。
【0043】
絶縁膜41は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から形成され、データラインLd、ゲート電極Tr11g及びゲート電極Tr12gを覆うように発光画素基板31上に形成される。
【0044】
また、アノードラインLaとゲートラインLgとは、各トランジスタTr11,Tr12のソース電極、ドレイン電極とを形成するソース−ドレイン導電層を用いてこれらソース電極、ドレイン電極とともに形成される。データラインLdは、各トランジスタTr11,Tr12のゲート電極となるゲート導電層を用いてゲート電極とともに形成される。データラインLdとドレイン電極Tr11dとの間の絶縁膜41には、コンタクトホール61が形成され、データラインLdとドレイン電極Tr11dとはコンタクトホール61を介して導通している。ゲートラインLgとゲート電極Tr11gの両端との間の絶縁膜41には、それぞれコンタクトホール62、63が形成され、ゲートラインLgとゲート電極Tr11gとはコンタクトホール62、63を介して導通している。ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとの間の絶縁膜41には、コンタクトホール64が形成され、ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとはコンタクトホール64を介して導通している。
【0045】
次に、有機EL素子OLEDは、画素電極42と、正孔注入層43と、インターレイヤ44と、発光層45と、対向電極46と、を備える。正孔注入層43と、インターレイヤ44と、発光層45とが、電子や正孔がキャリアとなって輸送されるキャリア輸送層となる。キャリア輸送層は、列方向に配列された層間絶縁膜47、隔壁48の間に配置されている。
【0046】
各発光画素の発光画素基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなるトランジスタTr11、発光駆動トランジスタTr12のゲート電極Tr11g,Tr12gが形成されている。各発光画素に隣接した発光画素基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなり、列方向に沿って延びるデータラインLdが形成されている。
【0047】
選択トランジスタTr11、発光駆動トランジスタTr12は、それぞれnチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)である。それぞれのトランジスタは発光画素基板31上に形成される。図7に示すように、発光駆動トランジスタTr12は、絶縁膜41と、半導体層121と、保護絶縁膜122と、ドレイン電極Tr12dと、ソース電極Tr12sと、オーミックコンタクト層124,125と、ゲート電極Tr12gと、を備える。また、選択トランジスタTr11も、発光駆動トランジスタTr12と同様に、絶縁膜41と、半導体層(図示せず)と、保護絶縁膜(図示せず)と、ドレイン電極Tr11dと、ソース電極Tr11sと、オーミックコンタクト層(図示せず)と、ゲート電極Tr11gと、を備える。
【0048】
各トランジスタTr11,Tr12において、ゲート電極は、例えば、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなる不透明なゲート導電層から形成される。また、ドレイン電極、ソース電極はそれぞれ例えばアルミニウム−チタン(AlTi)/Cr、AlNdTi/CrまたはCr等のソース−ドレイン導電層から形成されている。また、ドレイン電極及びソース電極と半導体層との間にはそれぞれ低抵抗性接触のため、オーミックコンタクト層が形成される。
【0049】
画素電極(アノード電極)42は、透光性を備える導電材料、例えばITO(Indium Tin Oxide)、ZnO等から構成される。各発光画素電極42は隣接する他の発光画素30の画素電極42と層間絶縁膜47によって絶縁されている。
【0050】
層間絶縁膜47は、絶縁性材料、例えばシリコン窒化膜から形成され、画素電極42間に形成され、トランジスタTr11,Tr12やゲートラインLg、アノードラインLaを絶縁保護する。層間絶縁膜47には略方形の開口部47aが形成されており、この開口部47aによって発光画素30の発光領域が画される。更に層間絶縁膜47上には隔壁48には列方向(図6の上下方向)に延びる溝状の開口部48aが複数の発光画素30にわたって形成されている。
【0051】
隔壁48は、絶縁材料、例えばポリイミド等の感光性樹脂を硬化してなり、層間絶縁膜47上に形成される。隔壁48は、図6に示すように列方向に沿った複数の発光画素の発光画素電極42をまとめて開口するようにストライプ状に形成されている。なお、隔壁48の平面形状は、これに限られず各発光画素電極42毎に開口部をもった格子状であってもよい。
【0052】
正孔注入層43は、画素電極34上に形成され、発光層45に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層43は正孔(ホール)注入、輸送が可能な有機高分子系の材料から構成される。また、有機高分子系のホール注入・輸送材料を含む有機化合物含有液としては、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を水系溶媒に分散させた分散液であるPEDOT/PSS水溶液を用いる。
【0053】
インターレイヤ44は正孔注入層43上に形成される。インターレイヤ44は、正孔注入層43の正孔注入性を抑制して発光層45内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層45の発光効率を高めるために設けられている。
【0054】
発光層45は、インターレイヤ44上に形成されている。発光層45は、アノード電極とカソード電極との間に電圧を印加することにより光を発生する機能を有する。発光層45は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)をノズルコート法やインクジェット法等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0055】
また、対向電極(カソード電極)46は、ボトムエミッション型の場合、発光層45側に設けられ、導電材料、例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる電子注入性の下層と、Al等の光反射性導電金属からなる上層を有する積層構造であり、トップエミッション型の場合、発光層45側に設けられ、5nm〜10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造である。本実施形態では、対向電極46は複数の発光画素30に跨って形成される単一の電極層から構成され、例えば接地電位である共通電圧Vssが印加されている。
【0056】
上述したように、本実施形態の画像形成装置10は、発光部20の発光パネル21にヒートパイプとして機能する細管33を形成することにより、発光画素30から発せられる熱を良好に伝熱板24へと移動させることができ、発光画素30で生じた熱を取り除き、発光画素30の温度ムラの発生を抑制することができる。これにより、発光画素30の有機EL素子の長寿命化、温度ムラに帰因する、輝度ムラの発生を抑制することが可能である。
【0057】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の製造方法について図8〜10を用いて説明する。ここでは、トランジスタTr11はトランジスタTr12と同一工程によって形成されるので、トランジスタTr11の形成の説明を一部省略する。
【0058】
まず、図8(a)に示すように、例えばガラス基板からなる封止基板32の発光画素基板31と対向する面に、サンドブラスト法、フォトリソグラフィ、エッチング等の物理研磨或いは化学研磨により、窪み部32aと、溝32bと、を形成する。この際、作動液注入口34も同時に形成する。なお、本実施形態では、発光画素30を封止するための窪み部32aと、細管33のための溝32bとを同時に形成することにより、製造工程を簡略化させることが可能である。
【0059】
次に、ガラス基板等からなる発光画素基板31を用意する。次に、この発光画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなるゲート導電膜を形成し、これを図8(b)に示すようにトランジスタTr11,Tr12のゲート電極、及びデータラインLdの形状にパターニングする。続いて、図8(c)に示すようにCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極Tr12g及びデータラインLd上に絶縁膜41を形成する。
【0060】
次に絶縁膜41上に、CVD法等によりアモルファスシリコン層、窒化シリコン層を堆積し、窒化シリコン層をフォトリソグラフィによりパターニングして保護絶縁膜122を形成する。ついで、n型不純物が含まれたアモルファスシリコン層を堆積後、フォトリソグラフィによって下層のアモルファスシリコン層とともにエッチングしてオーミックコンタクト層124,125及び半導体層121を形成する。
【0061】
次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜41上に、ITO等の透明導電膜、或いは光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして発光画素電極42を形成する。
【0062】
続いて、絶縁膜41に貫通孔であるコンタクトホール61〜64を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなるソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングして図6及び図8(c)に示すようにドレイン電極Tr12d及びソース電極Tr12s、アノードラインLaを形成する。このとき、発光駆動トランジスタTr12のソース電極Tr12sはそれぞれ発光画素電極42の一部と重なるように形成される。
【0063】
続いて、図8(c)に示すようにトランジスタTr12等を覆うようにシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜47をCVD法等により形成後、フォトリソグラフィにより、開口部47aを形成する。次に、感光性ポリイミドを層間絶縁膜47を覆うように塗布し、隔壁48の形状に対応するマスクを介して露光、現像することによってパターニングし、図9(a)に示すように開口部48aを有する隔壁48を形成する。
【0064】
続いて、正孔注入材料を含む有機化合物含有液を、連続して流すノズルプリンティング装置あるいは個々に独立した複数の液滴として吐出するインクジェット装置によって開口部47aで囲まれた発光画素電極42上に選択的に塗布する。続いて、発光画素基板31を大気雰囲気下で加熱し有機化合物含有液の溶媒を揮発させて、正孔注入層43を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0065】
続いて、ノズルプリンティング装置またはインクジェット装置を用いてインターレイヤ44となる材料を含有する有機化合物含有液を正孔注入層43上に塗布する。窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行ってインターレイヤ44を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0066】
次に、発光ポリマー材料(R,G,B)を含有する有機化合物含有液を、同様にノズルプリンティング装置またはインクジェット装置により塗布して窒素雰囲気中で加熱して残留溶媒の除去を行い、発光層45を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0067】
発光層45まで形成した発光画素基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる層と、Al等の光反射性導電層からなる2層構造の対向電極46を形成する。
【0068】
次に、複数の発光画素30が形成された発光領域の外側において、発光画素基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂からなる封止樹脂を塗布し、図10(a)に示すように発光画素基板31と封止基板32とを貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて、図10(b)に示すように発光画素基板31と封止基板32とを接合する。
【0069】
次に、接合された発光画素基板31及び封止基板32を1〜100Paの減圧雰囲気下の炉内に配置して、作動液注入口34、34の一方から、作動液36を注入する。本実施形態では、注入口は2箇所に設けられているため、一方の注入口から細管33内の気体を排気し、他方の注入口34から、作動液36を細管33内に注入する。このとき、細管33内には作動液36が気化できる空間を残すため、細管33の空間全域に作動液36を充填するのではなく、一部作動液36のない空間があるように注入する。なお、注入口は1箇所にのみ設けられてもよく、2箇所より多く設けられていてもよい。注入口が1箇所に設けられる場合は、例えば発光画素基板31及び封止基板32を1〜100Paの減圧雰囲気下の炉内に配置し、注入口を塞ぐように作動液36に浸してから、炉内を大気圧に戻し、細管33の内外の圧力差によって細管33内に作動液36を注入させる。
【0070】
作動液を注入後、注入口封止部35によって注入口34、34を封止する。
以上の工程から、発光パネル21が製造される。
【0071】
このように、製造した発光パネル21を、ハウジング22の窪み部22aに設置し、更に伝熱板24を発光パネル21の封止基板32上に設置する。次に、伝熱板24に接するように、放熱板23をハウジング22の窪み部22cに設置する。更に、ロッドレンズ25をハウジング22の窪み部22bに設置する。
以上から、発光部20が製造される。
【0072】
このようにして製造した発光部20を、感光体11と、帯電部12と、現像部13と、転写部14と、定着器16と、クリーナー17と、除電器18と、組み合わせることにより、画像形成装置が製造される。
【0073】
上述したように、本実施形態の画像形成装置10の製造方法では、発光画素30を封止するための封止基板32に溝32bを形成し、発光画素基板31と封止基板32とを封止することにより、ヒートパイプとして機能する細管33を形成することができる。この細管33によって、発光画素30から発せられる熱を良好に伝熱板24へと移動させることができ、発光画素30から発せられる熱を取り除き、発光画素30の温度ムラの発生を抑制することができる。これにより、発光画素30の有機EL素子の長寿命化、温度ムラに帰因する、輝度ムラの発生を抑制することが可能である。特に本実施形態では、発光画素30を封止するための窪み部32aを形成する際、同時に溝32bを形成する。これにより、製造工程を増加させることなく、細管33を形成することが可能である。
【0074】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る画像形成装置を以下、図を用いて説明する。本実施形態の画像形成装置が第1実施形態の画像形成装置と異なるのは、本実施形態では発光部の伝熱板が発光画素基板に接着されており、伝熱板にも溝が形成される点にある。第1実施形態と共通する部分には同一の引用番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0075】
図11に本実施形態の画像形成装置に用いられる発光部81を示す。また、図12に本実施形態の発光パネル82の平面図を示し、図13は図12に示すXIII−XIII線断面図である。
【0076】
本実施形態の発光部20は、図11に示すように、発光パネル82と、発光パネル82を保持するハウジング22と、放熱板23と、伝熱板84と、ロッドレンズ25と、を備える。
【0077】
発光パネル82は、図12及び13に示すように発光画素基板31と、発光画素30と、発光画素基板31に対向して設置された封止基板32と、細管83と、作動液注入口34と、注入口封止部35と、を備える。
【0078】
封止基板32は、第1実施形態と同様に、透光性を有する基板、例えばガラス基板から構成される。封止基板32の発光画素基板31と対向する面には、第1実施形態と同様に、発光画素30を封止する窪み部32aと、細管83として機能する溝32cとが形成される。溝32cは発光画素アレイに隣接する領域では蛇行するように形成されている。
【0079】
伝熱板84は、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウム、ステンレス等から形成されており、発光画素基板31と対向する面に、細管83として機能する溝84aが形成される。封止基板32に形成された溝32cと、金属板84に形成された溝84aとが、細管83として機能する。溝84aは、溝32cと異なり直線状に形成されている。また、封止基板32と伝熱板84とが接する面は、封入した作動液が漏れることがないよう接着されている。
【0080】
本実施形態では、封止基板32と伝熱板84とに溝32c,84aを形成し、発光画素基板31と、封止基板32及び伝熱板84と、を封止剤によって封止することにより、溝32c,84aをそれぞれ細管83a、83b(冷却管)として機能させる。この細管83には減圧状態で気化しやすい液体(作動液)、例えば水、アルコール等が封入されている。これにより、細管83は、ヒートパイプとして機能する。図12に示すように細管83の一方は発光画素30に隣接しており、発光画素30から発せられる熱によって、加熱される。細管の他方は伝熱板24を介して放熱板23から熱が発散される。これにより、細管33の他方を冷却することができる。このようにして、発光画素側の細管83aで作動液36を気化させ、熱を吸収し、伝熱板側の細管83bで作動液36を液化させ、熱を放出させる。この吸熱と放熱とを繰り返すことにより、熱を放熱板へと移動させることができ、発光画素から発せられる熱を放熱板へと移動させ、発光画素を冷却することができる。本実施形態では、特に熱を放出させる領域の細管を金属からなる伝熱板84に形成することにより、より効率的に熱を放出させることができるため、発光画素から放熱板23への熱の移動を良好に行うことができる。
【0081】
上述したように、本実施形態の画像形成装置は、発光部80の発光パネル81にヒートパイプとして機能する細管83を形成することにより、発光画素30から発せられる熱を良好に伝熱板24へと移動させることができ、発光画素30の有機EL素子の長寿命化、温度ムラに帰因する、輝度ムラの発生を抑制することが可能である。特に本実施形態では、封止基板32と伝熱板84とに、溝32c,84aを形成することにより、より良好に伝熱板24へ熱を放出することができ、良好に発光画素30を冷却することができる。
【0082】
本発明は上述した実施形態に限られず様々な変形及び応用が可能である。
上述した実施形態では、ヒートパイプとして機能する溝は封止基板にのみ形成される構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、封止基板と発光画素基板とに、それぞれ形成されていてもよい。なお、上述したように、封止基板にのみ溝を形成すると、封止基板に発光画素用の窪み部を形成する際に同時に溝も形成することができるため、工程の増加を避けることができ、好ましい。
【0083】
上述した第2実施形態では、伝熱板84に直接溝を形成する構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、溝を形成するための金属板を用い、この金属板を発光画素基板に接着させ、金属板に伝熱板を設けても良い。
【0084】
更に、溝32bの表面に金属等の熱伝導性の高い材料を被覆させることにより、細管33の熱伝導性を高めることも可能である。
【0085】
上述した各実施形態では、発光画素回路DSは選択トランジスタTr11、発光駆動トランジスタTr12の合計2つのトランジスタを備える例を挙げて説明したが、これに限られず、3つ以上のトランジスタを備えるものであってもよい。
上述した各実施形態では、発光部を露光ヘッドとして用いたが、これに限らず、発光パネルを動画や静止画を表示する画像表示パネルにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す平面図である。
【図2】第1実施形態に係る発光部を模式的に示す図である。
【図3】第1実施形態に係る発光パネルを模式的に示す平面図である。
【図4】図3に示すIV−IV線断面図である。
【図5】発光画素駆動回路の等価回路図である。
【図6】発光画素を示す平面図である。
【図7】図6に示すVII−VII線断面図である。
【図8】第1実施形態に係る画像形成装置の製造方法を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る画像形成装置の製造方法を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る画像形成装置の製造方法を示す図である。
【図11】第2実施形態に係る画像形成装置の発光部を示す図である。
【図12】第2実施形態に係る発光パネルを模式的に示す平面図である。
【図13】図12に示すXIII−XIII線断面図である。
【符号の説明】
【0087】
10・・・画像形成装置、11・・・感光体、13・・・現像部、14・・・転写部、16・・・定着器、17・・・クリーナー、18・・・除電器、19・・・転写紙、20・・・発光部、21・・・発光パネル、22・・・ハウジング、23・・・放熱板、24,84・・・伝熱板、25・・・ロッドレンズ、30・・・発光画素、31・・・発光画素基板、32・・・封止基板、32a・・・窪み部、32b,32c,84a・・・溝、33・・・細管、34・・・作動液注入口、35・・・注入口封止部、41・・・絶縁膜、42・・・画素電極、43・・・正孔注入層、44・・・インターレイヤ、45・・・発光層、46・・・対向電極、47・・・層間絶縁膜、48・・・隔壁、61,62,63,64・・・コンタクトホール、Cs・・・キャパシタ、La・・・アノードライン、Ld・・・データライン、Lg・・・ゲートライン、Tr11・・・選択トランジスタ、Tr12・・・発光駆動トランジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光画素基板と、
前記発光画素基板上に形成された発光画素と、
前記発光画素基板に対向する面に設置された封止基板と、を有する発光部を備え、
前記封止基板には溝が形成されており、該溝は前記発光画素基板と前記封止基板とが封止されることで管として機能し、該管には揮発性液体が封入されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記封止基板と前記発光画素基板とは、接着部材によって接着されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記封止基板には前記発光画素と対向する領域に、凹部が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記発光画素基板に対向するように設置された金属板を備え、
前記管として機能する前記溝は、前記金属板にも形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記封止基板に形成された前記溝の表面には金属膜が形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記発光部は、放熱板を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記発光部は、前記放熱板と接するように設置され、前記発光画素から発せられた熱を伝達する伝熱板を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
発光画素基板上に発光画素を形成する工程と、
封止基板の発光画素基板と対向する面に、溝を形成する工程と、
前記発光画素基板と前記封止基板とを封止する工程と、
前記溝と前記発光画素基板とからなる溝内に揮発性液体を封入する工程と、を備えることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
【請求項1】
発光画素基板と、
前記発光画素基板上に形成された発光画素と、
前記発光画素基板に対向する面に設置された封止基板と、を有する発光部を備え、
前記封止基板には溝が形成されており、該溝は前記発光画素基板と前記封止基板とが封止されることで管として機能し、該管には揮発性液体が封入されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記封止基板と前記発光画素基板とは、接着部材によって接着されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記封止基板には前記発光画素と対向する領域に、凹部が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記発光画素基板に対向するように設置された金属板を備え、
前記管として機能する前記溝は、前記金属板にも形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記封止基板に形成された前記溝の表面には金属膜が形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記発光部は、放熱板を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記発光部は、前記放熱板と接するように設置され、前記発光画素から発せられた熱を伝達する伝熱板を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
発光画素基板上に発光画素を形成する工程と、
封止基板の発光画素基板と対向する面に、溝を形成する工程と、
前記発光画素基板と前記封止基板とを封止する工程と、
前記溝と前記発光画素基板とからなる溝内に揮発性液体を封入する工程と、を備えることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−86659(P2010−86659A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251002(P2008−251002)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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