説明

画像形成装置及びその起動方法

【課題】画像形成装置の初回起動時の消費電力を低減する。
【解決手段】複数の機能と複数のハードウェアを有する画像形成装置1は、主電源に相当するAC電源111やDC電源生成部113と、前記主電源と前記複数のハードウェアの各々との間に配置され、各ハードウェアへの電力供給をオン/オフ制御するリレー115〜118と、初回起動時に立ち上げたい機能を決定する決定手段120と、決定された機能を提供するためのハードウェアにのみ、リレー115〜118を用いて電力供給をオンする制御を行うコントローラボード100と、決定された機能を記憶する不揮発性メモリ119と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びその起動方法に関し、特に、装置起動時の消費電力を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境意識への高まりから、複写機やプリンタなどのOA(Office Automation)機器での省エネルギーが求められている。こうした中で、複数の機能を有する画像形成装置において、省エネルギー状態からの復帰のときに必要な機能のみを起動させることにより、消費電力をおさえる技術が既に知られている。
【0003】
特許文献1には、省エネルギー状態からの復帰のときに、必要な機能のみを起動させることにより、消費電力をおさえる技術が開示されている。それは、機能毎に設けたコピーボタン、ドキュメントボックスボタン、ファックスボタン、プリンタボタン、スキャナボタンを選択して押下しないと省エネルギー状態から復帰しないようにし、更に、その機能で必要な部分だけの電源復帰を行うものである。
【0004】
従来であれば、ユーザが電源ボタンを押下するか、ADF(Auto Document Feeder)に原稿をセットするか、圧板を動作させると全機能に対する電源が全て起動してしまっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術においても、初回起動時には全ての機能の電源が入り、すぐに使用しない機能の電源も入ってしまうので、こうした無駄な電力を消費するという問題は解決されていなかった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、画像形成装置の初回起動時の消費電力を低減することが可能な画像形成装置及びその起動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、複数の機能と複数のハードウェアを有する画像形成装置であって、主電源と、前記主電源と前記複数のハードウェアの各々との間に配置され、各ハードウェアへの電力供給をオン/オフ制御する複数の電源供給制御手段と、初回起動時に立ち上げたい機能を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された機能を提供するためのハードウェアにのみ、前記複数の電源供給制御手段を用いて電力供給をオンする制御を行う電源制御手段と、前記決定手段により決定された機能を記憶する機能記憶手段と、を備え、前記電源制御手段は、前記主電源がオフされたあと次にオンされたとき、前記機能記憶手段に記憶されている前記決定手段により決定された機能を提供するためのハードウェアにのみ、前記複数の電源供給制御手段を用いて電力供給をオンする制御を行うことを特徴とする、画像形成装置を提供する。
【0008】
また、第2の態様として、複数の機能と、複数のハードウェアと、主電源と、前記主電源と前記複数のハードウェアの各々との間に配置され、各ハードウェアへの電力供給をオン/オフ制御する複数の電源供給制御手段と、を備える画像形成装置の起動方法であって、初回起動時に立ち上げたい機能を決定する決定ステップと、前記決定ステップにより決定された機能を提供するためのハードウェアにのみ、前記複数の電源供給制御手段を用いて電力供給をオンする制御を行う電源制御ステップと、前記決定ステップにより決定された機能を記憶する機能記憶ステップと、を含み、前記電源制御ステップでは、前記機能記憶ステップで記憶された前記決定ステップにより決定された機能を提供するためのハードウェアにのみ、前記複数の電源供給制御手段を用いて電力供給をオンする制御を行うことを特徴とする、画像形成装置の起動方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置の初回起動時の消費電力を低減することが可能な画像形成装置及びその起動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図(その1)である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図(その2)である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図4】図1の操作部106が提供する操作パネルの構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における「装置電源オン」「初回起動」などの概念を説明するための概念図である。
【図6】図1の不揮発性メモリ119に記憶されるデータの一例を示す図である。
【図7】図1の画像形成装置1の「初回起動」処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図7のステップS106の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図1の画像形成装置1の初回起動後の追加機能選択処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について説明を行う。下記実施形態は、複数の機能を有する画像形成装置の省エネルギー制御方法に際して、以下の特徴を有する。
【0012】
即ち、複数の機能を有する画像形成装置において、初回起動時に全ての電源を立ち上げるのではなく、必要な部分のみに電源を入れることができる点が特徴になっている。ここで「複数の機能」とは例を挙げると「コピー機能」「プリンタ機能」「スキャナ機能」「ファクシミリ機能」などがあり、多機能を複合して備える画像形成装置が提供する各種機能を指すものとする。また、「初回起動時」とは画像形成装置の主電源をオンしたときを指す(図5を参照して後述する)。
上記本実施形態の特徴について、以下に図面を用いて詳細に解説する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図(その1)である。図1に示す画像形成装置1は、コントローラボード100と、電源ユニット110と、HDD(Hard Disk Drive)105と、操作部106と、画像読取部であるスキャナ107と、画像形成部であるプロッタ108と、ネットワークデバイス109とを備えている。
【0014】
コントローラボード100は、CPU(Central Processing Unit)101、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)102、RAM(Random Access Memory)103、ROM(Read Only Memory)104などで構成されている。本実施形態においては、コントローラボード100はさらに、不揮発性メモリ119を備える(図6を参照して後述)。不揮発性メモリ119は、電源を切っても記憶した内容が揮発しない記憶装置であって、記憶内容の書き換えも可能なものである。
【0015】
スキャナ107は読み取りの画像処理部、プロッタ108は書き込み画像処理の機能を有している。ネットワークデバイス109は、ネットワークを介してPC(Personal Computer)などと接続することができる。電源ユニット110は、図2に示すような構成を備えている。
【0016】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図(その2)である。この図2は、図1の電源ユニット110を詳細に説明しており、これを用いて、具体的な省エネルギー制御方法について説明を行う。
【0017】
図2に示す電源ユニット110は、コントローラボード100から制御されるリレードライブ114と、スキャナ107に繋がったリレー117と、プロッタ108に繋がったリレー118と、操作部106に繋がったリレー116と、HDD105に繋がったリレー115と、AC電源111に繋がったロッカースイッチ112と、画像形成装置1を構成する各ハードウェアに電源を供給するDC電源生成部113とを備えている。
【0018】
ロッカースイッチ112が入ると、コントローラボード100に電源が供給され、コントローラボード100が立ち上がる。その後、ユーザの選択、または、設定されたモードに従い、コントローラボード100からリレードライブ114が制御され、必要な部分のみのリレーが入り電源が供給される。これにより、不必要な電源は入らないので、電力が削減され省エネルギーに貢献できる。
【0019】
このコントローラボード100は、画像形成装置1の初回起動時に立ち上げたい機能を選択する(より詳細には図3に示す決定手段120が初回起動時に立ち上げたい機能を決定する。)。また、電源ユニット110は、コントローラボード100の選択に基づき、選択された機能だけに電源を入力する。
【0020】
なお、上記の設定されたモードは、ユーザの選択がない場合に初回起動時に立ち上げたい機能に決定される。設定されたモードは、コントローラボード100を構成する不揮発性メモリ119によって記憶されている。このように、初回起動時に立ち上げたい機能を記憶する不揮発性メモリ119は、機能記憶手段の一例である。また、初回起動時に立ち上げたい機能を機能記憶手段に記憶させる手段としては、様々な方式があるが、その一例としては、操作パネル(図4参照)によるものがある。その詳細については、後述する。
【0021】
図3は、画像形成装置1の機能構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、コントローラボード100は、前回の初回起動時に立ち上げた機能を記憶する不揮発性メモリ119を有している。また、コントローラボード100は、初回起動時に立ち上げたい機能を決定する決定手段120を有する。図3に示すように、「主電源」の一例として、AC電源111とロッカースイッチ112とDC電源生成部で構成される電源ユニット110の一部が相当する。また、「電源供給制御手段」の一例として、各リレー115〜118が相当する。また、「決定手段」の一例として、決定手段120が相当する。また、「電源制御手段」の一例として、コントローラボード100が相当する。また、「機能記憶手段」の一例として、不揮発性メモリ119が相当する。
【0022】
なお、前回の初回起動時とは、ある時点での初回起動より以前の初回起動時を意味する(図5参照)。更に、コントローラボード100は、次回の初回起動時に、前回の初回起動時に立ち上げた機能を立ち上げることができる再機能立ち上げ手段としても機能する。なお、次回の初回起動時とは、ある時点での初回起動の次の初回起動時を意味する(図5参照)。
【0023】
上記の前回の決定された機能を記憶する機能記憶手段(不揮発性メモリ119)、及び、再機能立ち上げ手段を用いると、前回の初回起動時に立ち上げた機能を、再度設定し直すことなく、次回の初回起動時に立ち上げることができるという効果を奏する。これらを実行するためには、様々な方式があるが、その一例としては、操作パネル(図4)によるものがある。その詳細については、後述する。
【0024】
図4は、操作部106が提供する操作パネルの構成例を示す図である。図4に示すように、操作部106の操作パネルは、LCD(Liquid Crystal Display)表示部301と、テンキー部306と、クリア/ストップボタン307と、試しコピーボタン309と、スタートボタン308と、電源ボタン310とを備えている。
【0025】
電源ボタン310は、AC電源を切るものではなく、画像形成装置の電源を切るためのものであり、AC電源111を切るロッカースイッチ112は別の所に備えてある。また、操作パネルは、図2に示したコントローラボード100と接続しており、操作パネル上の各種ボタンを操作することで、電源ユニット110を制御することができる。
【0026】
図5に、本実施形態における「装置電源オン」「初回起動」などの概念を説明するための概念図を示す。
【0027】
本実施形態において「装置電源オン」とは、画像形成装置1の主電源をオンにすることであって、具体的にはAC電源111をオン/オフするロッカースイッチ112をオンにすることによって行われる。装置電源をオンにすることを、「初回起動」と呼ぶ。
【0028】
装置電源がいったんオンになった状態で、各種機能の利用がなく所定の時間が経過すると「省エネモード」と呼ばれる低消費電力状態で装置を稼働させるモードに移行する場合がある。また、省エネモードへの移行を所定の時間の経過を待たずに、ユーザが手動でする場合は、電源ボタン310を押下することによって行う。
【0029】
省エネモードからの復帰を、本実施形態では、「n回目の起動(nは2以上の自然数)」と呼ぶ。「n回目の起動」は電源ボタン310を押下することで行われる。「n回目の起動」は「装置電源オン」期間中は何回でもできる。
【0030】
例えば、オフィスにおける利用で朝に装置電源オンし、夕方に装置電源オフすれば、それで1回の装置利用サイクルが完結する。装置電源オフされたあと次にオンされたときは、何回目であっても「初回起動」と呼ぶ。
【0031】
再び図4を参照する。図4に示すように、操作パネルには、コピーボタン302、ドキュメントボックスボタン303、プリンタボタン304、スキャナボタン305が備え付けてある。ロッカースイッチ112がONされると、コントローラボード100が立ち上がり、操作パネル上のコピーボタン302、ドキュメントボックスボタン303、プリンタボタン304、スキャナボタン305をユーザが押下することによって、その機能だけ電源を入れることができる。
【0032】
また、操作パネルに備え付けられた各種ボタン(入力手段)を操作することで、画像形成装置1の次回の初回起動時に立ち上げたい機能を不揮発性メモリ119(機能記憶手段)に記憶させることができる。また、これらのボタンを操作することで、前回の初回起動時に立ち上げた機能を不揮発性メモリ119(前回機能記憶手段)に記憶させることができる。そして、これらのボタンを操作することで、次回の初回起動時に、上記の機能を立ち上げること(再機能立ち上げ手段の実行)ができる。
【0033】
図6に、不揮発性メモリ119に記憶されるデータの一例を示し、以下、不揮発性メモリ119について説明する。なお、図6に示したハードウェアの種類や、機能の種類は一例であり、本願の技術的思想を限定するものではない。
【0034】
図6に示すように、多機能複合機である画像形成装置1が提供する機能ごとに、それぞれの機能を提供するために動作が必要なハードウェアデバイスが関連づけられている。動作が必要なハードウェアデバイスとは、つまり、電源を供給すべきハードウェアである。
【0035】
図6に示す不揮発性メモリ119の記憶内容について1例を挙げて説明すると、図6の「プリンタ機能」は操作部106とプロッタ108への電源供給は必要だが、HDD105とスキャナ106への電源供給は不要であるということを示している。また、「プリンタ機能」には、次回の初回起動時に立ち上げる機能のデフォルトである旨を示すフラグが立っている。
【0036】
これまでの説明で「ある機能に電源を入れる」と言った場合、当該機能を提供するために電源を供給すべきハードウェアすべてに電源を供給することを指す。「ある機能だけ電源を入れる」と言った場合、当該機能を提供するために電源を供給すべきハードウェアすべてに電源を供給する一方、電源供給が不要なハードウェアへの電源供給をしないことを指す。
【0037】
図6に示すように、不揮発性メモリ119は、初回起動時に立ち上げたい機能にフラグを立てて記憶している。コントローラボード100と決定手段120は、このフラグを初回起動時に参照してどの機能を立ち上げるかを決定すると同時に、決定した機能を提供するために電源を供給すべきハードウェアを把握する。そして、コントローラボード100は、把握したハードウェアへの電源供給をリレードライブ114の制御を介したリレー115〜118の制御により選択的に行う。
【0038】
もっとも、上述したように、ユーザにより初回起動時に立ち上げたい機能が選択された場合(ユーザが「コピーボタン302、ドキュメントボックスボタン303、プリンタボタン304、スキャナボタン305」を押下した場合)は、コントローラボード100は、フラグの参照をせずに初回起動処理を実行する。
【0039】
フラグの参照をした場合又はしなかった場合のいずれの場合であっても、今回の初回起動時に参照又は選択された機能にフラグをセットして、不揮発性メモリ119が記憶する。
【0040】
以上に説明した構成を備える画像形成装置1の動作について、以下、フローチャートを参照しながら説明する。図7と図8を参照して初回起動処理について、図9を参照して初回起動後に利用する機能を追加する処理について説明する。
【0041】
図7に、画像形成装置1の「初回起動」処理の手順を示す。ユーザがロッカースイッチ112を入れるなどして画像形成装置1のAC電源111が入ると(ステップS101)、コントローラボード100に押下信号が入力されることによってコントローラボード100が立ち上がる(ステップS102)。立ち上がったコントローラボード100と決定手段120により、「初回起動時に立ち上げたい機能」の決定処理が実行される(ステップS103〜S105)。
【0042】
初回起動時に立ち上げたい機能の決定処理は、まず、決定手段120が操作部106に配置された機能選択ボタン(コピーボタン302、ドキュメントボックスボタン303、プリンタボタン304、スキャナボタン305を指す)の押下があるか否かを検知する(ステップS103)。ある場合は、選択された機能の押下信号に基づいて、コントローラボード100が立ち上げる機能を決定する(ステップS105)。
【0043】
他方、ない場合は、決定手段120は、不揮発性メモリ119に記憶されている、前回の初回起動時に立ち上げが決定された機能を参照する(ステップS104)。図6に示したように、本実施形態においては前回の初回起動時に立ち上げが決定された機能はフラグがセットされている。フラグを参照した結果に基づいて、決定手段120が立ち上げる機能を決定する(ステップS105)。
【0044】
次に、コントローラボード100は、決定した機能を提供するためのハードウェアにのみ電源供給する制御を実行する(ステップS106)。この処理の詳細については、図8を参照して説明する。
【0045】
電源供給制御の次に、コントローラボード100は、ステップS105で決定した今回の初回起動時に立ち上げたい機能を、不揮発性メモリ119に記憶させる(ステップS107)。具体的には、いずれかの機能にフラグをセットする。
【0046】
図8に、ステップS106の処理の詳細な処理手順を示す。
あらかじめ、コントローラボード100は、不揮発性メモリ119を参照しておき(ステップS201)、前段のステップS105で決定した機能がコピー機能であるか(ステップS202のYes)、プリンタ機能であるか(ステップS204のYes)、スキャナ機能であるか(ステップS206のYes)、を判定する。
【0047】
コピー機能の場合、あらかじめ参照しておいた情報にしたがって、スキャナ電源入り(オン)且つプロッタ電源入り(オン)にする制御を行う(ステップS203)。あらかじめ参照しておいた情報とは、図6に示したような、コピー機能の場合はいずれのハードウェアの電源供給をオン又はオフにするかという情報である。同様にして、プリンタ機能の場合も、スキャナ機能の場合も、ハードウェアの電源供給のオン/オフ制御をする(ステップS205又はS207)。
【0048】
何も使用しない場合は、スキャナ電源切り(OFF)、プロッター電源切り(OFF)となる(ステップS208)。初回起動時にこのようなフローで立ち上げることで、必要のない機能の電源を立ち上げることなく無駄な消費電力を削減できる。すなわち、初回起動時の消費電力を低減することが可能になる。
【0049】
なお、ステップS203、205、207、208の電源供給のオン/オフ制御は、図2を参照して説明したように、コントローラボード100がリレードライブ114の制御を介して、各ハードウェアへの電源供給をオン/オフ制御するリレー115〜118を制御することによって実行する。
【0050】
上述したように、本実施形態は、画像形成装置1の初回起動時に立ち上げたい機能を決定し、決定した機能を提供するためのハードウェアにのみ電源供給する。したがって、必要のないハードウェアへの電源供給をせずに済むため、初回起動時の消費電力の低減が可能となる。
【0051】
機能の決定に際しては、ユーザが選択可能な機能選択ボタン(コピーボタン302、ドキュメントボックスボタン303、プリンタボタン304、スキャナボタン305を指す)を入力手段として配置する。その他に、前回の初回起動時の決定を記憶する機能記憶手段として不揮発性メモリ119を備え、次回の初回起動時に記憶している決定を参照する構成である。そのため、初回起動時の消費電力の低減が具体的に実現する。
【0052】
本実施形態においては、画像形成装置1が提供する複数の機能として、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を例示したが、これは好ましい態様の一例である。
【0053】
上述した実施形態においては、初回起動時にすべての機能の提供に必要なハードウェアへの電源供給をするのではなく、初回起動時に使いたい機能を決定し、使いたい機能を提供するために必要なハードウェアのみに電源供給することで、初回起動時の消費電力の低減を実現する。そうすると、初回起動後にユーザが別の機能の利用を所望した際に、当該別の機能を提供するために必要なハードウェアの一部又は全部の電源供給がなされていない可能性が生じる。この課題を解決するために、本実施形態は下記の構成及び動作を行う。
【0054】
まず、コントローラボード100が、ユーザが追加で立ち上げたい機能を決定する追加機能決定手段として機能する。決定のプロセスの典型は、ユーザが操作部106の操作パネル上にある機能選択ボタン(コピーボタン302、ドキュメントボックスボタン303、プリンタボタン304、スキャナボタン305を指す)を押下し、コントローラボード100に入力される押下信号に対応した機能を追加で立ち上げたい機能として決定するものである。他の態様としては、例えば、時間の経過にしたがって自動的に追加機能を決定するものがある。オフィスで昼過ぎにコピー利用が始まることがあらかじめ分かっていれば正午に「コピー機能」を追加機能として決定するプログラムを組むとよい。なお、以下では、ユーザによる機能選択ボタン押下により決定する構成に基づいて説明する。
【0055】
図9に、初回起動後の追加機能選択処理の流れを示す。
なお、コントローラボード100は、この追加機能選択処理を開始する時点で画像形成装置1の各ハードウェアブロックのいずれに電源供給がなされていて、いずれに電源供給がなされていないという情報を持っている。
【0056】
コントローラボード100は、機能選択ボタン押下を検知したら(ステップS301のYes)、不揮発性メモリ119を参照し、押下信号に対応する機能を提供するために必要なハードウェアの情報を把握する(ステップS302)。次に、把握したハードウェアの情報と、現在電源供給がなされているハードウェアの情報とから、未だ電源オンになっていない追加の機能を提供するために必要なハードウェアを抽出する(ステップS303)。そして、抽出したハードウェアに電源供給をするように、リレードライブ114の制御を介して各リレーを制御する(ステップS304)。
【0057】
例えば、初回起動時プリンタ機能が立ち上がっていて初めての追加機能選択処理を行うとき、追加機能としてスキャナ機能を選択した場合、ステップS303では、HDD105とスキャナ107が抽出される。ステップS304ではHDD105とスキャナ107に電源供給がなされるよう制御が行われる。なお、プロッタ108の電源供給をオフする制御は行わない。なお、追加機能の決定のプロセスは、ステップS301までである。
【0058】
上述した構成及び動作によれば、初回起動時に電源オンとならなかったハードウェアデバイスを利用する機能についてもスムーズに利用可能になるという効果が奏せられる。
【0059】
なお、本実施形態においては、「主電源」の一例として、AC電源111とロッカースイッチ112とDC電源生成部で構成される電源ユニット110の一部が相当する。また、「電源供給制御手段」の一例として、各リレー115〜118が相当する。また、「決定手段」の一例として、決定手段120が相当する。また、「電源制御手段」の一例として、コントローラボード100が相当する。また、「機能記憶手段」の一例として、不揮発性メモリ119が相当する。しかしながら、これらは説明のための一例である。
【0060】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明は、趣旨、及び、その範囲から逸脱することなく、これらの実施形態や具体例に様々な修正、及び、変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 画像形成装置
100 コントローラボード
101 CPU
102 ASIC
103 RAM
104 ROM
105 HDD
106 操作部
107 スキャナ
108 プロッタ
109 ネットワークデバイス
110 電源ユニット
111 AC電源
112 ロッカースイッチ
113 DC電源生成部
114 リレードライブ
115〜118 リレー
119 不揮発性メモリ
120 決定手段
301 LCD表示部
302 コピーボタン
303 ドキュメントボックスボタン
304 プリンタボタン
305 スキャナボタン
306 テンキー部
307 クリア/ストップボタン
308 スタートボタン
309 試しコピーボタン
310 電源ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2004−222234号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能と複数のハードウェアを有する画像形成装置であって、
主電源と、
前記主電源と前記複数のハードウェアの各々との間に配置され、各ハードウェアへの電力供給をオン/オフ制御する複数の電源供給制御手段と、
初回起動時に立ち上げたい機能を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された機能を提供するためのハードウェアにのみ、前記複数の電源供給制御手段を用いて電力供給をオンする制御を行う電源制御手段と、
前記決定手段により決定された機能を記憶する機能記憶手段と、を備え、
前記電源制御手段は、
前記主電源がオフされたあと次にオンされたとき、
前記機能記憶手段に記憶されている前記決定手段により決定された機能を提供するためのハードウェアにのみ、前記複数の電源供給制御手段を用いて電力供給をオンする制御を行うことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
初回起動後に追加で立ち上げたい機能を決定する追加機能決定手段を備え、
前記電源制御手段は、
前記追加機能決定手段により決定された機能を提供するためのハードウェアへの電力供給をオンする制御を、前記複数の電源供給制御手段を用いて行う
ことを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の機能は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の機能と、
複数のハードウェアと、
主電源と、
前記主電源と前記複数のハードウェアの各々との間に配置され、各ハードウェアへの電力供給をオン/オフ制御する複数の電源供給制御手段と、
を備える画像形成装置の起動方法であって、
初回起動時に立ち上げたい機能を決定する決定ステップと、
前記決定ステップにより決定された機能を提供するためのハードウェアにのみ、前記複数の電源供給制御手段を用いて電力供給をオンする制御を行う電源制御ステップと、
前記決定ステップにより決定された機能を記憶する機能記憶ステップと、を含み、
前記電源制御ステップでは、
前記機能記憶ステップで記憶された前記決定ステップにより決定された機能を提供するためのハードウェアにのみ、前記複数の電源供給制御手段を用いて電力供給をオンする制御を行うことを特徴とする、画像形成装置の起動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−21663(P2013−21663A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155951(P2011−155951)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】