説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】軸芯にベタ付けされたロール紙のロールエンド時に発生するロール紙と印字材料の無駄を無くすこと。
【解決手段】印字部12と、印字部12の上流と下流に配置された上流側及び下流側カッタ10、14を有し、紙管にベタ付けされたロール紙Pを用いるインクジェット記録装置1において、ロール紙Pのロールエンドが検出されると、上流側カッタ10でロール紙Pをカットする。その際、搬送路20中のロール紙Pが印字済みか否か、印字済みでなければ印字可能な長さがあるか、印字したロール紙Pを下流側カッタ14で所定長さにカットしたとき、端切れの紙が排出可能か否か、等を考慮して排紙制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙にインクを吐出して画像を形成する画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙を使用したインクジェット記録装置において、ロール紙の終端が紙管にベタ付けされているロール紙のロールエンドを検出すると、その場で全停止してユーザに通知することは既に知られている。
しかし、従来のロールエンド制御では、印字中にロールエンドを検出したとき、その場で全停止して用紙を巻き戻すと搬送路をインクで汚してしまう可能性があるため、用紙を巻き戻すことが出来ない。また、用紙のスキューを防止するなどのために、用紙にバックテンションを掛けるために印字部の下流にカッタが配置されていると、そのカッタでロール紙をカットして排紙を試みても、印字された用紙が機内に残ってしまい、ユーザによる手作業が発生する。
また、印字中や、印字終了後にカットされていない用紙は通常処理が正規に終了していないため、再度印字をし直さなければならず、用紙やインクの無駄になるという問題がある。
【0003】
この問題に対しては、例えば、特許文献1には、ラベルプリンタにおいて、ラベル用紙がなくなった時に、カットした切れ端が生じないように最後の印字時は、カットせずに排紙することが記載されている。
また、特許文献2には、インクジェット記録装置において、ロール紙のロールエンド時にロール紙とインクの無駄を無くす目的で、どこまでの印字が行われたかを記憶しておいて印字を保留状態にし、ユーザが新しいロール紙に交換したとき、印字保留状態から継続印字の設定を行うこと、つまり、ロール紙への印字途中にロールエンドが発生した場合に、継続印字では最初からではなく、ロールエンドになった部分から印字を再開する制御方法が記載されている。
【0004】
これらのプリンタは、後述する本発明とロールエンド時に発生するロール紙・インク(トナーなどの記録材料でもよい、ここでは総称してインクという)の無駄を無くすという点では類似している点があるが、ロール紙が紙管などの軸芯にベタ付けされたものである場合に、ロール紙とインクの無駄を無くすという課題は解決されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、画像形成装置において、紙管などの軸芯にベタ付けされたロール紙等のロール状に巻かれたロール紙(ここでは、ロール状の記録媒体を総称してロール紙という)のロールエンド時に発生するロール紙とインクの無駄を無くすことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、印字部の上流でロール紙をカットする上流側カット手段と、印字部の下流でロール紙をカットする下流側カット手段と、ロール紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、軸芯にベタ付けされたロール紙のロールエンドを検出するロールエンド検出手段と、前記検出手段が前記ロールエンドを検出したとき、ロール紙を前記上流側カット手段でカットする制御を行う切断制御部と、カットされたロール紙の印字が終了しているか否かを判断する印字終了判断部と、を有し、前記搬送制御部は、前記印字終了判断部が印字が終了していると判断したときロール紙を排出する制御を行う画像形成装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載された画像形成装置において、前記カットされた印字済みのロール紙を下流側カッタでカットしたとき端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さか否か判断する排出可能長判断部を有し、前記排出可能長判断部が端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さと判断したときは、印字済みのロール紙を前記下流側カッタでカットして排出し、端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さでないと判断したときは、印字済みのロール紙を前記下流側カッタでカットしないで排出する画像形成装置である。
請求項3の発明は、請求項1に記載された画像形成装置において、前記印字終了判断部が、印字が終了していないと判断したとき、前記カットされたロール紙に印字が可能か否かを判断する印字可能長判断部と、前記印字可能長判断部が印字が可能と判断したとき、前記カットされた印字済みロール紙を前記下流側カッタでカットしたときの端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さか否か判断する前記排出可能長判断部とを有し、前記排出可能長判断部が端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さと判断したときは、前記下流側カッタでカットして排紙し、端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さでないと判断したときは、カットせずに排紙する画像形成装置である。
請求項4の発明は、請求項3に記載された画像形成装置において、前記排出可能長判断部が端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さでないと判断したとき、さらに、ロール紙を下流側カッタでカットするか否かの選択を行う手段を有する画像形成装置である。
請求項5の発明は、請求項4に記載された画像形成装置において、ロール紙を下流側カッタでカットするが選択されたとき、機内に残った端切れの紙を取り除くようにユーザに通知する通知手段を備えた画像形成装置である。
請求項6の発明は、請求項3に記載された画像形成装置において、前記印字可能長判断部が印字が可能でないと判断したときは、印字を行わずに前記ロール紙を機外に排出する画像形成装置である。
請求項7の発明は、印字部の上流でロール紙をカットする上流側カット手段と、印字部の下流でロール紙をカットする下流側カット手段と、ロール紙を搬送する搬送手段と、軸芯にベタ付けされたロール紙のロールエンドを検出するロールエンド検出手段と、を備えた画像形成装置のコンピュータを、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、前記検出手段が前記ロールエンドを検出したとき、ロール紙を前記上流側カット手段でカットする制御を行う切断制御部と、カットされたロール紙の印字が終了しているか否かを判断する印字終了判断部として機能させ、前記搬送制御部が前記印字終了判断部が印字が終了していると判断したときロール紙を排出する処理を実行するプログラムである。

【発明の効果】
【0007】
画像形成装置において、軸芯にベタ付けのロール紙のロールエンド時に、ユーザはジャム処理の手間を要することなく排紙することができ、同時にロール紙とインクの無駄を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置、典型的にはインクジェット記録装置の要部構成を模式的に示した図である。
【図2】ロール紙のロールエンド検出手段の一例を示す斜視図である。
【図3】ロール紙がロールエンドになったときロール紙をカットする上流側及び下流側カッタの切断制御及びそのときのロール紙の搬送制御を行う制御部の構成を説明するブロック図である。
【図4】紙管などにベタ付けされたロール紙のロールエンド検出時の処理の手順を示すフロー図である。
【図5】ロール紙のロールエンドを検出した時点における、ロール紙の搬送路上での位置に基づき行う異なる処理を説明する図である。
【図6】上流側カッタと下流側カッタでカットする紙管にベタ付けされたロール紙のカット位置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について説明する。
本実施形態は、ロール紙を使用する画像形成装置、例えばインクジェット記録装置において、紙管などの軸芯にベタ付けされたロール紙のロールエンドが発生した時の処理に関するものである。
即ち、紙管などの軸芯に糊などでベタ付けされたロール紙のロールエンドが発生したときは、搬送路上で印字部より上流にあるカッタ(上流側カッタ)でロール紙をカットして機外への排紙ができるようにし、その後、搬送路上で印字部より下流にあるカッタ(下流側カッタ)で所定の長さにカットすることで、印字(なお、ここでは文字通りの印字にかぎらず記録一般を指す)済みロール紙を正規印字紙として扱うことができるようにしている。
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に解説する。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の要部構成を模式的に示した図である。
本インクジェット記録装置1では、紙管などの軸芯にロール紙のエンド部分が糊でベタ付けされているものが用いられている。
本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、上流側カッタ10と、インクジェットヘッドを備えた印字部(キャリッジ)12と、下流側カッタ14が、ロール紙Pの搬送路20で搬送方向に沿って順に配置されている。
【0011】
また、搬送路20に沿って、ローラ21、一対の搬送ローラ(ピンチローラ及び搬送ローラ:ここでは総称して搬送ローラという、以下同様である)22、印字部12の前後の一対の搬送ローラ23、24と、下流側カッタ14で所定の長さにカットしたロール紙Pを機外に搬送する一対の排紙ローラ(排紙用搬送ローラ)25が配置されている。これらのローラ21又は搬送ローラ22〜25は、後述する制御部のモータ制御部で制御される図示しない駆動モータ(例えば、ステッピングモータ)によって回転駆動され、ロール紙Pを搬送する。
【0012】
なお、本インクジェット記録装置1では、印字及び搬送時にロール紙Pがスキューしないように搬送中のロール紙Pに、図示しないそれ自体公知のバックテンション付与機構(例えば、ロール紙の端部を嵌合させた回転自在なフランジの外周部に、バックテンションを掛けるためのブレーキシューを設け、加圧スプリングでフランジに押し付け、バックテンションを発生させる機構(特開2002−187646号公報参照))によりバックテンションを掛けている。
本実施形態は、ロール紙のバックテンションを維持するために、印字部12の下流側にカッタ(下流側カッタ)14を設け、ロール紙Pのカットを、印字を終了した後に、ロール紙後端位置に合わせて行うようにしている。
【0013】
以上の構成において、ロール紙Pはローラ21により繰り出され、印字部12の印字タイミングに合わせて搬送路20に送出される。
送出されたロール紙Pは、一対の搬送ローラ23で搬送されて印字部12に至る。ここで、印字部12は公知のものであり、例えば、キャリッジに搭載され主走査方向に移動するインクジェットヘッドから噴射されるインク液滴により印字が行われる。印字を終了したロール紙Pは一対の搬送ローラ24と排紙ローラ25により機外の排紙トレー(図示せず)に向けて搬送され、その先端が一対の排紙ローラ25を通過した後、切断位置が所定の紙サイズになったところで、下流側カッタ14により切断される。
このようにして、印字部12で所定の印字が行われる毎に下流側カッタ14が所定の紙サイズに切断を行いながら排紙トレーに排紙する。
【0014】
ところで、本実施形態のようにロール紙Pの終端が例えば紙管などにベタに糊付けされている場合は、ロール紙Pを巻き戻していってそのロールエンドに達すると、それ以上ロール紙Pを繰り出すことはできない。
そこで、本実施形態では、ロール紙Pのロールエンドが検出されると、直ちにロール紙Pの搬送を停止して上流側カッタ10を作動させてロール紙Pを切断し、既に搬送路20に送り込んだロール紙Pを紙管から切り離す。
紙管から切り離したロール紙Pのその後の取り扱いは通常の処理と基本的には同じであるが、本来連続紙であるロール紙Pが途中で切断されるため、ロール紙Pを下流側カッタ14で所定の長さで切断すると、その端切れ部分の長さが短く機外に排出できない場合が生じる。そこで、この点を考慮しないとロール紙が機内にとどまってジャムになることがある。
本実施形態は、このようにロール紙がロールエンドになったときにも、意図しないジャムを生じることがなく、通常の印字処理ができるよう、ロール紙の切断及び搬送を制御するものである。
【0015】
ここで、ロール紙Pのロールエンド検出は公知の任意のロールエンド検出手段を用いることができる。
図2は、ロール紙Pのロールエンド検出手段の一例を示す斜視図である。
ロールエンド検出手段30は、給紙従動ローラ36の軸38に同軸状に設けたディスク32(パルスプレート)に所定の周方向ピッチで設けたスリット32aを検出して、回転速度の変化を検出する。ディスク32には円周方向に沿って放射状のスリット32aが設けてあり、このスリット32aを透過型センサ34で読み取り、透過型センサ34のON/OFF時間の間隔の変化により給紙従動ローラ36の回転速度を検出している。透過型センサ34のON/OFF時間の間隔が変動、停止することにより制御部はロールエンドと判断する(特開2004−136514号公報参照)。或いは、ロールエンド検出手段30は、ロール紙Pの終端部に記入された終了マークを検出する終了マーク検出手段であってもよい(例えば特開平5−252338号公報参照)。
【0016】
図3は、ロール紙Pがロールエンドになったとき、ロール紙Pをカットする上流側及び下流側カッタ10、14の切断制御及びそのときのロール紙Pの搬送制御を行う制御部50の構成を説明するブロック図である。
この制御部50は、例えば本インクジェット記録装置1全体を制御するものであるが、ロール紙の搬送及び切断に必要な制御を行う専用のものであってもよい。
【0017】
制御部50はコンピュータであって、内部バス55で接続されたCPU(Central Processing Unit)52と出力部(出力インタフェース)51と、入力部(入力インタフェース)53、RAM(Random Access Memory)54、ROM(Read Only Memory)56から成り、出力部51には前記各ローラを駆動するモータ44と、設定などを確認する例えば液晶表示などによる表示手段46と、ロール紙を切断するカッタ(上流側カッタ10、下流側カッタ14)などが接続されており、入力部53には、設定などのための例えばキー入力可能な入力手段40と、ロール紙Pのロールエンドを検出するロールエンド検出手段30などが接続されている。
【0018】
ここで、RAM54は、CPU52のワークエリアを提供し、CPU52の処理に必要なプログラムやデータを一時的に記憶しておく記憶手段であり、また、ROM56はプログラムなどを記憶しておく記憶手段である。
【0019】
また、CPU52は、プログラムによる機能実現手段として、ロールエンド判断部521、印字終了判断部522、搬送制御部523、切断制御部524、紙長判断部525を有している。また、CPU52は、プログラムに基づいてこれらの各機能部全体の例えば動作シーケンスの制御を行う。
ここで、ロールエンド判断部521は、ロールエンド検出手段30によるロールエンド検出信号に基づきロール紙Pのロールエンドを判断する。
印字終了判断部522は、ロールエンド判断部521がロールエンドと判断した時点で、印字部12における印字が終了しているか否かを判断する。
搬送制御部523は、ロールエンド判断部521、印字終了判断部522、紙長判断部525などの判断に基づき、インクジェットヘッドによる印字タイミング、下流側カッタ14の切断タイミングなどに合わせてロール紙Pの搬送制御を行う。
切断制御部524は、ロールエンド判断部521、紙長判断部525の判断結果、後述する設定などに基づきカッタ(上流側カッタ10、下流側カッタ14)の切断制御を行う。
紙長判断部525は、さらに、上流側カッタ10でロール紙Pをカットしたときのロール紙Pの長さが、例えば印字(本来印字すべき全印字)が可能か否かを判断する印字可能長判断部と、前記ロール紙Pの長さが、印字後に下流側カッタ14でカットしたときに生じる端切れ紙が排出可能か等を判断する排出可能長判断部からなる。なお、印字可能長判断部と排出可能長判断部はそれぞれ独立した機能実現手段であってもよいことは勿論である。
【0020】
図4は、紙管などにベタ付けされたロール紙のロールエンド検出時の処理の手順を示すフロー図である。
本実施形態によれば、紙管などにベタ付けされたロール紙Pのロールエンドをロールエンド検出手段30で検出したときは、搬送制御部523はロール紙Pの搬送を停止して、切断制御部524は上流側カッタ10を作動してロール紙Pをカットする(S101)。次に、印字終了判断部522は、搬送中のロール紙Pの印字が終了しているか否かを判断する(S102)。
【0021】
ここで、印字終了判断部522により、搬送路20中のロール紙の印字(記録)が終了していないと判断されたときは(S102、NO)、紙長判断部525は残りの印字及び搬送長と、上流側カッタ10でカットされ現在印字部12にあるロール紙の印字及び搬送可能なロール紙長を比較し、上流側カッタ10でカットされたロール紙で、印字と機外への搬送が可能か否かを判断する(S107)。ここで、印字と機外に搬送することまでは不可能と判断したときは(S107、NO)、ロール紙後端に余白がついたまま、機外に排紙する(S113)。
紙長判断部525がロール紙の長さが印字と機外への搬送が可能な長さと判断したときは(S107、YES)、「印字及び搬送」を継続し(S108)、ステップS103へ移行する。
【0022】
ステップ102において、印字終了判断部522が既に印字が終了していると判断したときは(S102、YES)、紙長判断部525は、下流側カッタ14で狙い(即ち所定)のロール紙長でカットした場合に、機内に残る端切れの紙が機外に排出可能か否かを判断する(S103)。ここで、端切れの紙でも機外への排出が可能な長さが確保される場合は(S103、YES)、切断制御部524の制御により用紙を狙った位置が下流側カッタ14の位置になるようロール紙Pを搬送制御し、その位置でロール紙Pをカットし(S104)、搬送制御部523の制御により印字済み用紙と端切れの紙を順番に機外に排紙する(S105、S106)。
【0023】
ステップS103で、紙長判断部525により端切れの紙については排出可能な長さが確保されないと判断されたときは(つまり、端切れの紙は排出できないときは)(S103、NO)、切断制御部524はそれでも(つまり、排出可能な長さが確保されていなくとも)カットをする設定になっているかどうかを確認する(S109)。ここで、それでもカットする設定になっている場合は(S109、YES)、下流側カッタ14の位置まで狙いのロール紙後端部を搬送してカットし(S110)、印字済み用紙を機外に排紙し(S111)、機内に残った端切れの紙は、そのまま機内に残す。したがって、この場合は手作業で除去する(S112)。なお、この場合は、機内に残った端切れを取り除くようにユーザに通知するため、光、音、音声等の報知手段で報知する。
ステップS109で、カットしない設定であれば(S109、NO)、搬送制御部523は排紙ローラ25を作動して、ロール紙Pをその後端に余白がついたままの状態で機外に排紙する(S113)。
なお、以上の説明で、前記紙長判断部525が、前記端切れの長さが機外に排出が可能な長さでないと判断したときは、設定に応じて、切断制御部524が下流側カッタ14による切断を行うか否かの設定を行っているが、その設定はユーザが行うものであるから、これを設定する手段は前記切断を行うか否かの選択手段でもある。
【0024】
図5A、B、Cは、ロール紙Pのロールエンドを検出した時点におけるロール紙Pの搬送路20上での位置に基づき行う異なる処理を説明する図である。
図5A(ロール紙Pの下流側カッタ14でカットしたい位置が既に印字部12を越えている状態を示す)は、図4のステップS102「今、搬送中のロール紙は印字終了している?」で、YESの状態を示している。
この場合は、狙いのロール紙長を確保するためのカット位置(ロール紙Pの後端)が印字部12を既に通過している(印字が終了している)ので、下流側カッタ14まで搬送してカットする。つまり、カットされた印字済みの用紙は正規のものとして扱うことができる。
【0025】
図5B(印字途中の状態を示す)は、図4のステップS107「カットされたロール紙に全て印字が出来る?」で、YESの状態を示している。
この場合は、狙いのロール紙長を確保するためのカット位置が印字部12よりも上流ではあるが、上流側カッタ10でカットしたロール紙長内で「印字及び搬送」が可能であれば、印字を行い、その後、下流側カッタ14まで搬送して狙いのロール紙長にカットすることで、カットされた印字済み用紙は正規のものとして扱うことが出来る。
【0026】
図5C(狙いの印字領域、ロール紙長が確保できない場合を示す)は、図4のステップS107「カットされたロール紙に全て印字が出来る?」でNOの状態を示す図である。
この場合は、狙いのロール紙長を確保するためのカット位置が、上流側カッタ10でカットしたロール紙長内に納まっておらず、この場合は、正規印字済み用紙として扱うことが出来ないので、そのまま排紙する。
【0027】
図6は、上流側カッタ10と下流側カッタ14でカットする紙管にベタ付けされたロール紙Pのカット位置を説明する図である(なお、この場合は、上流側カッタ10でカットしたロール紙Pに印字可能な場合の例である)。
紙管にベタ付けされたロール紙Pのロールエンドがロールエンド検出手段30で検出されると、まず、上流側カッタ10で、「ベタ付けロール紙」とその他のロール紙(「正常印字したロール紙+端切れ」)にカットされる。次に、下流側カッタ14で、「正常印字したロール紙」と「端切れ」にカットされる。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、紙管などにベタ付けされたロール紙Pのロールエンドが検出されたときは、搬送路20上で印字部12より上流にある上流側カッタ10でロール紙Pをカットし、その後、搬送路20上で印字部12より下流にある下流側カッタ14で正規の長さにカットすることができる。
そのため、ロール紙Pを正規印字紙として扱うことができる。ロール紙Pのカット位置を定めることにより、搬送路20上で印字部12の上流側と下流側にカッタ10、14があるインクジェット記録装置1において、これ以上は搬送できないと云う状態でベタ付けのロールエンドを検出した際にも、ジャムが発生してユーザに手間をかけること無く、ロール紙Pを機外に排紙させることができる。また、少なくとも印字終了後にカットされていないロール紙Pについては必ず排紙することで、ロール紙Pとインクの無駄をなくすことができる。
【符号の説明】
【0029】
1・・・インクジェット記録装置、10・・・上流側カッタ、12・・・印字部、14・・・下流側カッタ、20・・・搬送路、21・・・ローラ、22〜24・・・搬送ローラ、25・・・排紙ローラ、30・・・ロールエンド検出手段、40・・・入力手段、44・・・モータ、46・・・表示手段、50・・・制御部、51・・・出力部、52・・・CPU、53・・・入力部、54・・・RAM、56・・・ROM、521・・・ロールエンド判断部、522・・・印字終了判断部、523・・・搬送制御部、524・・・切断制御部、525・・・紙長判断部、P・・・ロール紙。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開平4−329168号公報
【特許文献2】特開2010−012660号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字部の上流でロール紙をカットする上流側カット手段と、
印字部の下流でロール紙をカットする下流側カット手段と、
ロール紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段を制御する搬送制御部と、
軸芯にベタ付けされたロール紙のロールエンドを検出するロールエンド検出手段と、
前記検出手段が前記ロールエンドを検出したとき、ロール紙を前記上流側カット手段でカットする制御を行う切断制御部と、
カットされたロール紙の印字が終了しているか否かを判断する印字終了判断部と、を有し、
前記搬送制御部は、前記印字終了判断部が印字が終了していると判断したときロール紙を排出する制御を行う画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記カットされた印字済みのロール紙を下流側カッタでカットしたとき端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さか否か判断する排出可能長判断部を有し、
前記排出可能長判断部が端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さと判断したときは、印字済みのロール紙を前記下流側カッタでカットして排出し、端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さでないと判断したときは、印字済みのロール紙を前記下流側カッタでカットしないで排出する画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記印字終了判断部が、印字が終了していないと判断したとき、前記カットされたロール紙に印字が可能か否かを判断する印字可能長判断部と、
前記印字可能長判断部が印字が可能と判断したとき、前記カットされた印字済みロール紙を前記下流側カッタでカットしたときの端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さか否か判断する前記排出可能長判断部とを有し、
前記排出可能長判断部が端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さと判断したときは、前記下流側カッタでカットして排紙し、端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さでないと判断したときは、カットせずに排紙する画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載された画像形成装置において、
前記排出可能長判断部が端切れの紙の長さが機外に排出可能な長さでないと判断したとき、さらに、ロール紙を下流側カッタでカットするか否かの選択を行う手段を有する画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載された画像形成装置において、
ロール紙を下流側カッタでカットするが選択されたとき、機内に残った端切れの紙を取り除くようにユーザに通知する通知手段を備えた画像形成装置。
【請求項6】
請求項3に記載された画像形成装置において、
前記印字可能長判断部が印字が可能でないと判断したときは、印字を行わずに前記ロール紙を機外に排出する画像形成装置。
【請求項7】
印字部の上流でロール紙をカットする上流側カット手段と、印字部の下流でロール紙をカットする下流側カット手段と、ロール紙を搬送する搬送手段と、軸芯にベタ付けされたロール紙のロールエンドを検出するロールエンド検出手段と、を備えた画像形成装置のコンピュータを、
前記搬送手段を制御する搬送制御部と、
前記検出手段が前記ロールエンドを検出したとき、ロール紙を前記上流側カット手段でカットする制御を行う切断制御部と、
カットされたロール紙の印字が終了しているか否かを判断する印字終了判断部として機能させ、
前記搬送制御部が前記印字終了判断部が印字が終了していると判断したときロール紙を排出する処理を実行するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−218308(P2012−218308A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86833(P2011−86833)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】