説明

画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】帯電ロールに直流電圧のみを印加して感光体を帯電させる接触帯電方式の画像形成装置によりトナー画像を形成したときに、画像に感光体の軸方向のスジが発生することが抑制される画像形成装置を提供する。
【解決手段】電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上である電荷輸送層を有する電子写真感光体31と、感光体の表面に接触しながら回転し、表面粗さが8μm以上20μm以下である帯電ロール32を有し、該帯電ロールに直流電圧のみが印加されて感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した感光体の表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段26と、感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段33と、感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段40と、を備えた画像形成装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる電子写真感光体(適宜、感光体という)は、現在有機光導電材料を用いた感光体が主流となっている。中でも露光により電荷を発生する電荷発生層と電荷を輸送する電荷輸送層とを積層させた機能分離型の有機感光体は電子写真特性が優れており、数多く実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、フタロシアニン化合物を含有する電荷発生層と、膜厚が20μm以下である電荷輸送層とを有し、十点平均表面粗さRzjisが2〜50μmである帯電部材を組み合わせることによって、微小で短い白や黒の横スジが改善することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3897726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、帯電ロールに直流電圧のみを印加して感光体を帯電させる接触帯電方式の画像形成装置によりトナー画像を形成したときに、後述する感光体と帯電手段を備えていない場合に比べ、画像に感光体の軸方向のスジが発生することが抑制される画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1の発明は、電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上である電荷輸送層を有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面に接触しながら回転し、表面粗さが8μm以上20μm以下である帯電ロールを有し、該帯電ロールに直流電圧のみが印加されて前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置。
請求項2の発明は、プロセススピードが250mm/sec以上である請求項1に記載の画像形成装置。
請求項3の発明は、前記電子写真感光体の径が30mm以下である請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
請求項4の発明は、電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上である電荷輸送層を有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面に接触しながら回転し、表面粗さが8μm以上20μm以下である帯電ロールを有し、該帯電ロールに直流電圧のみが印加されて前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
請求項5の発明は、前記電子写真感光体の径が30mm以下である請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、帯電ロールに直流電圧のみを印加して感光体を帯電させる接触帯電方式の画像形成装置によりトナー画像を形成したときに、前記の感光体と帯電手段を備えていない場合に比べ、画像に感光体の軸方向のスジが発生することが抑制される画像形成装置が提供される。
請求項2の発明によれば、プロセススピードが250mm/sec以上でも、前記の感光体と帯電手段を備えていない場合に比べ、画像に感光体の軸方向のスジが発生することが抑制される画像形成装置が提供される。
請求項3の発明によれば、電子写真感光体の径が30mm以下でも、前記の感光体と帯電手段を備えていない場合に比べ、画像に感光体の軸方向のスジが発生することが抑制される画像形成装置が提供される。
請求項4の発明によれば、帯電ロールに直流電圧のみを印加して感光体を帯電させる接触帯電方式の画像形成装置によりトナー画像を形成したときに、前記の感光体と帯電手段を備えていない場合に比べ、画像に感光体の軸方向のスジが発生することが抑制されるプロセスカートリッジが提供される。
請求項5の発明によれば、電子写真感光体の径が30mm以下でも、前記の感光体と帯電手段を備えていない場合に比べ、画像に感光体の軸方向のスジが発生することが抑制されるプロセスカートリッジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略断面図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置の構成の他の例を示す概略図である。
【図4】本実施形態に係るプロセスカートリッジの構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を適宜参照しながら、実施形態について説明する。各図面中、同一の部分又は相当する部分には同一の符号を付することとし、重複する説明は適宜省略する。
【0010】
本実施形態に係る画像形成装置は、電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上である電荷輸送層を有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面に接触しながら回転し、表面粗さが8μm以上20μm以下である帯電ロールを有し、該帯電ロールに直流電圧のみが印加されて前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えている。
【0011】
本発明者らの研究によれば、一般的に、感光体の電荷輸送層内での電荷移動度は小さいため、感光体の電荷輸送層の厚みが20μm以上である場合、ゴースト現象が生じやすく、また、帯電の不均一に起因する画像欠陥が生じ易い。一方、感光体の電荷輸送層の膜厚が20μm以下にすると、摩耗により感光体の長寿命化が困難となる。
また、30mm以下の小径の感光体を用いてプロセススピードを速めたときにも同様にゴーストが発生しやすく、帯電の不均一による画像欠陥が生じ易い。
【0012】
そして、本発明者らが研究を重ねたところ、帯電ロールに直流電圧のみが印加されて感光体の表面を帯電する接触帯電方式の画像形成装置において、特に、250mm/sec以上のプロセススピードでトナー画像を形成する場合や径が30mm以下の小径の感光体を用いてトナー画像を形成する場合、画像に感光体の軸方向の短いスジ(適宜「横スジ」と称する)が発生し易いが、帯電ロールの表面粗さと感光体の電荷輸送層の電荷移動度をそれぞれ制御することにより、上記のような横スジの発生が効果的に抑えられることを見出した。
そのメカニズムは必ずしも定かでないが、上記のような感光体と帯電ロールを組み合わせることで、帯電不良が抑制されることでトナー画像における横スジの発生が抑制されると考えられる。
【0013】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を概略的に示している。この画像形成装置100は、電子写真感光体31、帯電器32、レーザ露光装置26、現像器33、クリーニング装置36、一次転写ロール40、及び定着器(不図示)を備えている。感光体31は、矢印Aの方向に回転しながら表面に静電潜像が形成され、さらにトナー像が形成される。帯電器32は、帯電ロールが感光体の表面に接触して回転し、直流電圧のみが印加されて感光体の表面を帯電する。
【0014】
レーザ露光装置26は、帯電した感光体31の表面を露光して静電潜像を形成する。現像器33は、感光体31の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像する。一次転写ロール40は、感光体31上に形成されたトナー像を一次転写部T1にて記録媒体となる記録紙500に転写させる。クリーニング装置はドラムクリーナ36を備え、転写後の感光体31表面に残留したトナー等を清掃する。定着器(不図示)は用紙500上に転写されたトナー像を定着させる。
【0015】
プリント時には、不図示の制御部による制御の下で画像形成動作が実行される。具体的には、PC(パーソナルコンピュータ)や画像読取装置から入力された画像データは、画像処理部によって画像処理が施された後、レーザ露光装置26に供給される。そして、画像データに基づき、レーザ露光装置26は感光体31の表面を走査露光する。それにより、感光体31の表面に静電潜像が形成される。感光体31の表面に形成された静電潜像は現像器33により現像され、感光体31の表面にトナー像が形成される。ここで、本実施の形態の現像器33に用いられるトナーは、マイナス極性を有するものである。
【0016】
感光体31に形成されたトナー像が一次転写部T1に搬送されると、用紙500が一次転写部T1に供給される。一次転写部T1では、一次転写ロール40と感光体31との間に形成された転写電界の作用により、トナー像は用紙500上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が転写された用紙500は、定着器(不図示)まで搬送される。定着器に搬送された用紙500上の未定着トナー像は、定着器(不図示)によって熱及び圧力による定着処理を受けることで用紙500上に定着される。そして定着画像が形成された用紙500は、画像形成装置の排出部に設けられた排紙積載部(不図示)に搬送される。
【0017】
一次転写部での転写処理が行なわれた後の感光体31の表面では、感光体31の表面に残留したトナーや一次転写ロール40から再転写されたトナー等は感光体クリーナ36によって除去される。本実施の形態の画像形成装置では、このような画像形成サイクルが繰り返されることとなる。
【0018】
<電子写真感光体>
本実施形態に用いられる電子写真感光体31は、導電性支持体2上に電荷発生層と電荷輸送層とが別個に設けられた機能分離型の感光層を備えるものであり、電荷輸送層は、電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上となるように構成されている。
図2は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を概略的に示している。図2に示した電子写真感光体31は、導電性支持体2の表面に下引層4が形成され、下引層4上に感光層3として電荷発生層5、電荷輸送層6がこの順序で積層された構造を有している。
なお、下引層4は必ずしも設ける必要はなく、電荷輸送層6の表面には架橋構造を持つ樹脂を含む表面保護層が設けられていてもよい。表面保護層を設ける場合、架橋構造を持つ樹脂は電荷輸送性を有していることが望ましい。また、導電性支持体2(又は下引層4)と電荷発生層5との間、あるいは、電荷輸送層6と表面保護層との間に必要に応じて中間層を設けてもよい。
以下の説明においては、図2に示す層構成を有する電子写真感光体について主に説明するが、本実施形態に用いられる電子写真感光体の層構成は以下の説明に限定されるものではない。
【0019】
−導電性支持体−
導電性支持体2としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケル等の金属ドラム;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基材上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基材に蒸着したもの;金属箔を上記基材にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記基材に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。なお、本明細書中において「導電性」とは、体積抵抗率が1013Ω・cm未満である性質を指す。
【0020】
導電性支持体2の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。例えば、導電性支持体として金属製パイプを用いる場合、当該金属製パイプの支持体の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により支持体の表面を粗面化してもよい。かかる粗面化により、露光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体の内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度ムラが防止される。表面処理の方法としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング等が挙げられる。
特に、感光層の密着性向上や成膜性向上の点では、例えば、アルミニウムの表面に陽極酸化処理を施したものを導電性支持体として用いることが望ましい。
【0021】
−下引層−
下引層4は、支持体2表面における光反射の防止、支持体2から感光層3への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。下引層4の材料としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散し、支持体上に塗布したものが挙げられる。また、導電性金属酸化物は2種以上混合して用いてもよい。さらに、導電性金属酸化物へカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体抵抗を制御して用いてもよい。
【0022】
下引層4に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが用いられる。
下引層4中の導電性金属酸化物と結着樹脂との比率は特に制限されず、任意に設定し得る。
【0023】
下引層4の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた塗布液が使用される。かかる溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独または2種以上混合して用いられる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶解し得るものであれば、いかなるものも使用される。
【0024】
また、下引層4を形成するための塗布液中に導電性金属酸化物を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機等が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0025】
下引層4を形成するための塗布液を支持体2上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。下引層4の厚さは15μm以上が望ましく、20μm以上50μm以下がより望ましい。下引層4には、表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子を添加してもよい。該樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等が用いられる。
【0026】
また、表面粗さ調整のために下引層4の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。
【0027】
−中間層−
下引層4上に中間層(不図示)をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物または重縮合物として用いられる。
【0028】
中間層の形成に使用される溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いられる。尚、混合する際使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かし得るものであればいかなるものでも使用される。
【0029】
中間層を形成する際の塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層を形成する場合の厚さは、0.1μm以上3μm以下の範囲であることが望ましい。
【0030】
−電荷発生層−
電荷発生層5は、電荷発生材料を真空蒸着法により蒸着させて形成するか、有機溶剤及び結着樹脂を含む溶液を塗布することにより形成される。
電荷発生材料としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物;セレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体;又はこれらを色素増感したもの、無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,銅フタロシアニン,錫フタロシアニン,ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン化合物;スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料;又は染料が用いられる。
【0031】
また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン化合物ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型を用いてもよい。
なお、上述した電荷発生材料の中でも、フタロシアニン化合物が望ましい。この場合、感光層に光が照射されると、感光層に含まれるフタロシアニン化合物がフォトンを吸収してキャリアを発生させる。このとき、フタロシアニン化合物は、高い量子効率を有するため、吸収したフォトンを効率よく吸収してキャリアが発生する。
【0032】
電荷発生層5に用いられる結着樹脂としては、以下のものが例示される。即ちビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂およびその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
これらの結着樹脂は、単独であるいは2種以上混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(電荷発生材料:結着樹脂)は、質量比で、10:1から1:10の範囲が望ましい。
電荷発生層5の厚みは、一般には0.01μm以上5μm以下の範囲内であることが望ましく、0.05μm以上2.0μm以下の範囲内であることがより望ましい。
【0033】
電荷発生層5は、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有してもよい。電荷発生層5に用いられる電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などが挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に望ましい。
電荷発生材料を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法が用いられる。
【0034】
電荷発生層5を形成するための塗布液の溶媒として公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
【0035】
−電荷輸送層−
電荷輸送層6は、電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上となるように構成される。
電荷輸送層6の電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上であれば、後述する表面粗さを有する帯電ロールとの組み合わせることで250mm/sec以上の高いプロセススピードであっても帯電不良が抑制され、帯電不良に起因すると考えられる感光体の軸方向のスジの発生が抑制される。なお、電荷輸送層6の電荷移動度が電界強度30V/μmにおける電荷移動度は、大きすぎると残留電位が小さくなりすぎ、逆に帯電ロール表面の粗さの影響を受けて画質の悪化を招くの観点から、8.0×10−4cm/Vs以下であることが望ましい。
特に、軸方向のスジの発生を効果的に抑制するため、電荷輸送層の電界強度30V/μmにおける電荷移動度は1.0×10−5cm/Vs以上5.0×10−4cm/Vs以下であることが望ましい。
なお、本実施形態において、電荷輸送層6の電荷移動度は、XTOF(Xerographic Time of Flight)法に準拠して測定される値である。
【0036】
本実施形態では、例えば、外径が30mm以下の小径の感光体でも、250mm/sec以上のプロセススピードが実現され、直流電圧の印加による帯電方式では従来は適用が困難であった300mm/secのプロセススピードも実現される。
なお、感光体の径が小さすぎると、感光体の摩耗が大きくなるため、感光体の径は18mm以上であることが望ましい。
【0037】
電荷輸送層は、少なくとも結着樹脂と電荷輸送性材料とから構成される。電荷輸送層の電荷移動度は、電荷輸送性材料の種類や配合量を選択することで調整すればよい。
【0038】
電荷輸送層6に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材など高分子電荷輸送材を用いてもよい。より望ましくはポリカーボネート系樹脂であり、複数のポリカーボネート構造を含む共重合体を用いてもよい。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いられる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は10:1から1:5が望ましい。
【0039】
電荷輸送層6に用い、電界強度30V/μmにおける8.0×10−6cm/Vs以上の電荷移動度を達成するための電荷輸送性材料としては、例えば、以下の構造式を有する化合物(A)乃至(C)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
【化1】

【0041】
また、高分子電荷輸送材を併用してもよい。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に望ましいものである。
【0042】
電荷輸送層を形成するための塗布液の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の公知の方法が用いられる。
電荷輸送層6を設けるときに用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が単独あるいは2種以上混合して用いられる。
電荷輸送層6の厚みは一般的には、5μm以上50μm以下が望ましく、9μm以上28μm以下がより望ましい。
【0043】
また、画像形成装置内で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加してもよい。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。
【0044】
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質が含有される。本実施形態に用いる感光体に使用される電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl、CN、NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に望ましい。
【0045】
更に、感光体の表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、各種粒子を添加してもよい。それらは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。粒子の一例として、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系粒子や「第8回ポリマー材料フォ−ラム講演要旨集 p89-90」に示される様な、前記フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子が挙げられる。
【0046】
また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。シリコーンオイルとしては、たとえば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノ−ル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0047】
<帯電手段>
画像形成装置における帯電手段として、一般的に、帯電部材に印加する方式としては、直流電圧のみを印加する直流方式と、直流電圧に交流電圧を重畳して印加する交流重畳方式とがあるが、本実施形態では、電子写真感光体31の表面に接触しながら回転し、表面粗さRzjisが8μm以上20μm以下である帯電ロール32を有し、該帯電ロール32に直流電圧のみが印加されて電子写真感光体31の表面を帯電する、接触帯電方式を利用した帯電手段が使用される。
帯電ロール32は、感光体31に対して250mgf以上600mgf以下の圧力で接触することが望ましい。
【0048】
本実施形態では、表面粗さRzjisが8μm以上20μm以下である帯電ロール32を用いる。なお、本実施形態において、帯電ロールの表面粗さRzjisは、JIS B0601(2001)の附属書1に記載の十点平均粗さ(Rzjis)に準じており、東京精密 サーフコム1400D によって測定される値である。
【0049】
本実施形態における帯電ロール32は、帯電部材として有効な電気抵抗(10Ω以上10Ω以下)に調整された材料から構成されていれば、単層又は複数の層から構成されていても構わない。
帯電部材を構成する材質としては、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムやポリオレフィン、ポリスチレン、塩化ビニル等からなるエラストマーを主材料とし、導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の任意の導電性付与剤を適量配合したものが用いられる。これらの材料は、帯電部材として有効な電気抵抗を発現させることが容易である。
さらにナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン等の樹脂を塗料化し、そこに導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の任意の導電性付与剤を適量配合し、得られた塗料を浸漬塗布、スプレー塗布、ロール塗布等の任意の手法により、積層して用いられる。
【0050】
帯電ロール32の表面粗さを調整する手段としては、例えば、下地ゴム層を研磨して調整する方法や、表面層にフィラーを配合する方法が挙げられる。
下地ゴム層を研磨する方法として、具体的には、砥石研磨することで、下地ゴム層の表面粗さが表面層の表面粗さに反映され、上記範囲内の表面粗さを有する帯電ロールが得られる。
また、表面層に配合するフィラーとしては、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、シリカ等が挙げられる。表面層を形成する材料として、フィラーの配合量を調整することで上記範囲内の表面粗さを有する帯電ロールが得られる。
【0051】
<静電潜像形成手段>
本実施形態に係る静電潜像形成手段26としては、公知の露光手段が用いられる。例えば、露光光源として、微小スポット径を形成する単一の発光レーザ素子や、複数の半導体レーザ(発光点)が平面内に二次元配列された面発光レーザ素子により発光されたレーザをポリゴンミラーにより屈折させるもの、複数のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)素子を直線又は千鳥状に配置したものなどがある。該光源は画像処理装置からの書込用画像データに応じた光を感光体に照射することで画像の書き込みが行われる。書き込み時の光量は、感光体の表面上で0.5mJ/m以上5.0mJ/m以下であることが望ましい。
【0052】
<現像手段>
本実施形態に用いられる現像手段33としては、公知のものであれば特に限定されないが、例えば、キャリアとトナーとからなる現像ブラシを感光体に接触させて現像させる二成分現像方式の現像手段や、導電ゴム弾性体搬送ロール(現像ロール)上にトナーを付着させ感光体にトナーを現像する接触式一成分現像方式の現像手段などが利用される。
【0053】
二成分現像方式の場合、現像ロールの回転方向は感光体31の回転方向(図1中の矢印Aの方向)と同方向でも逆方向でも良く、感光体31と逆方向に周速差をつけると、感光体31上の残留トナーの回収性が上がる。なお、現像ロールに印加する電界は直流でも直流に交流を重畳させても良い。
また、トナーの回収性および放電生成物の掻き取り性を向上させるために、現像ロール表面に形成される磁気ブラシは、感光体に面する磁気ブラシ密度が常に一定になるように層規制部材により層規制されることによって、磁気ブラシ密度が適正な範囲内に調整されることが望ましい。
現像ロールに印加するバイアスは、トナーの正規の極性が負極性である場合、−50Vから−600Vの範囲が望ましく、さらに望ましくは−100Vから−350Vの範囲である。
【0054】
−トナー−
本実施形態に用いられるトナーとしては、公知のトナーであれば特に限定されない。また、トナーには、結着樹脂や着色剤が含まれ、必要に応じて離型剤が含まれていてもよい。さらに、必要に応じて上述した以外の外添剤が添加されていてもよい。
また、トナーには、さまざまな特性を制御するために、種々の成分を含有してもよい。例えば、磁性トナーとして用いる場合、磁性粉(例えばフェライトやマグネタイト)、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金又はこれら金属を含む化合物などを含有してもよい。さらに必要に応じて、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物やトリフェニルメタン系顔料等の通常使用される帯電制御剤を選択して含有させてもよい。
さらに、トナーには、無機粒子からなる研磨剤に加えて、必要に応じて潤滑剤、転写助剤等の公知の外添剤が外添される。
本実施形態に用いられるトナーを製造する方法は、特に制約されるものではないが、例えば、通常の粉砕法や、分散媒中で作製する湿式溶融球形化法や、懸濁重合、分散重合、乳化重合凝集法等の既知の重合法によるトナー製造法などが用いられる。
【0055】
−キャリア−
本実施形態に用いられる現像剤がトナーとキャリアとからなる二成分現像剤である場合、使用するキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば、酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物などの芯材のみからなるキャリア(ノンコートキャリア)や、これら芯材の表面に樹脂層を設けた樹脂コートキャリア等が用いられる。
以上に説明したキャリアを用いた二成分現像剤ではトナーとキャリアとの混合比(質量比)が、トナー:キャリア=1:100から30:100程度の範囲であり、3:100から20:100程度の範囲がより望ましい。
【0056】
<転写手段>
本実施形態に係る転写手段40としては公知の転写方式を利用したものが用いられる。例えば、転写コロトロンや転写ロール等を用いた直接転写方式、中間転写ベルトや中間転写ドラム等の中間転写体を用いた中間転写方式、記録媒体を静電的に吸着して搬送し、感光体上のトナー像を転写する転写ベルト方式を利用した転写手段などが挙げられる。
【0057】
<クリーニング手段>
本実施形態に係るクリーニング手段36としては公知のクリーニング方式が利用される。例えば、クリーニングブレードを用いる場合、クリーニングブレードは感光体の表面に接触する部分が弾性部材からなり、当該弾性部材の100%モジュラスが6.5MPa以上であることが必要であり、7.0Mpa以上であることがより望ましく、9.0MPa以上であることがさらに望ましい。弾性部材の100%モジュラスが6.5MPa未満では、硬度が低下してクリーニングブレードの動的なたわみが大きくなるため、感光体の偏磨耗が抑制されなくなる。一方、弾性部材の100%モジュラスが大きすぎる場合は、クリーニングブレードの感光体に対する追従性が悪化し、十分なクリーニング性が得られなくなる場合がある。それゆえ、弾性部材の100%モジュラスは19.6MPa以下であることが望ましく、15.0MPa以下であることがより望ましい。
【0058】
また、弾性部材は、その破断伸びが250%以上であることが望ましく、300%以上であることがより望ましく、350%以上であることがさらに望ましい。
クリーニングブレードを構成する材料としては、公知のゴム弾性体が用いられ、必要に応じてその他の材料を添加してもよい。ゴム弾性体としては、特に限定されないが、ゴムウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ゴムあるいはこれらの複合材が用いられる。また、基材の形状としては望ましくは板状が用いられ、遠心成形、押し出し成形、型成形等を利用して形成される。
【0059】
図3は本実施形態に係る画像形成装置の他の例を概略的に示している。図3に示す画像形成装置200は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの感光体401aから401d(例えば感光体401aがイエロー、感光体401bがマゼンタ、感光体401cがシアン、感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成する態様である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
【0060】
ここで、画像形成装置200に搭載されている感光体401aから401dは、それぞれ前述の本実施形態に係る感光体と同様、電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上である電荷輸送層を備えている。
また、帯電ロール402aから402dは、それぞれ表面粗さが8μm以上20μm以下であって、感光体401aから401dの表面に接触しながら回転し、直流電圧のみが印加されて感光体401aから401dの表面を帯電する。
【0061】
感光体401aから401dのそれぞれは、定められた方向(図面上は反時計回り)に回転し、その回転方向に沿って、帯電ロール402aから402d、現像装置404aから404d、1次転写ロール410aから410d、クリーニングブレード415aから415dが配置されている。現像装置404aから404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405aから405dに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを供給し得る態様であり、また、1次転写ロール410aから410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して感光体401aから401dに接触している。
【0062】
さらに、ハウジング400内の定められた位置には露光装置の一例としてのレーザ光源403が配置されており、レーザ光源403から出射されたレーザ光が帯電後の感光体401aから401dの表面に照射される。これにより、感光体401aから401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。中間転写ベルト409は駆動ロール406、対向ロール408および張力ロール407により定められた張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転し得るものとなっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介して対向ロール408と接触するよう配置されている。対向ロール408と2次転写ロール413とで挟まれる領域を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406に対向して配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
【0063】
また、ハウジング400内の定められた位置には記録媒体収容部411が設けられており、記録媒体収容部411内の紙などの記録媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413とで挟まれる領域、さらには相互に接触する2個の定着ロール414で挟まれる領域に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0064】
尚、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂が用いられる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料およびこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いてもよい。
【0065】
次いで、本実施形態に係るプロセスカートリッジについて一例を挙げて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上である電荷輸送層を有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面に接触しながら回転し、表面粗さが8μm以上20μm以下である帯電ロールを有し、該帯電ロールに直流電圧のみが印加されて前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、を備える。
【0066】
図4は、本実施形態に係るプロセスカートリッジの基本構成の一例を概略的に示している。このプロセスカートリッジ300は、感光体307と共に、帯電ロール308、現像装置311、クリーニング装置313、露光のための開口部318、および除電露光のための開口部317を、取り付けレール316を用いて組み合わせ、一体化したものである。なお、除電露光を行わない場合は、開口部317は不要である。
このプロセスカートリッジ300は、転写装置312と、定着装置315と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置の本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジ300は、帯電ロール308に直流電圧のみを印加する画像形成装置に適用されることで、感光体307の軸方向のスジの発生が効果的に抑制されることになる。
【0067】
尚、本実施形態に用いられる記録媒体500とは、感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、感光体から直接、紙等の記録媒体に転写する場合は、紙等が記録媒体である。また、中間転写体を用いる場合には、中間転写体が記録媒体である。
【実施例】
【0068】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
(電子写真感光体Aの作製)
酸化亜鉛(平均一次粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛微粒子を得た。
【0070】
前記表面処理を施した酸化亜鉛微粒子60質量部と、アリザリン0.6質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)4.0質量部とを添加し、下引層形成用塗布液を得た。
この塗布液を、浸漬塗布法にて直径24mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分の乾燥硬化を行い、厚さ25μmの下引層を形成した。
【0071】
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10重量部及びn−ブチルアルコール300重量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層形成用の塗布液を得た。
この塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
【0072】
次に、4フッ化エチレン樹脂粒子(平均粒径:0.2μm)0.6質量部と、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量:30,000)0.015質量部とを、テトラヒドロフラン4質量部、トルエン1質量部とともに20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
次に、結着樹脂として下記の繰り返し単位及び組成からなるポリカーボネート重合体(ガラス転移温度130℃、粘度平均分子量55,000、式中0.2,0.8はモル比を示す)6質量部、
【0073】
【化2】

【0074】
電荷輸送物質として前記化合物(A)を2質量部と、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.1質量部とを混合してテトラヒドロフラン24質量部及びトルエン11質量部に混合溶解した。
【0075】
これに前記4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて攪拌混合した縣濁液を、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cmまで昇圧しての分散処理を6回繰り返した液に、フッ素変性シリコーンオイル(商品名:FL−100 信越シリコーン社製)を5ppm添加し、十分に撹拌して電荷輸送層形成用塗布液Aを得た。
この塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で30分間乾燥し、膜厚が25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体Aを得た。
【0076】
電荷輸送層の電荷移動度を、XTOF法により測定した。アルミニウム基板上に、上記と同様に電荷発生層と、電荷輸送層とを積層して設け、24℃、40%RHの条件下で、この電荷輸送層を30V/μmとなるようにスコロトロンにて帯電し、キセノンフラッシュランプで光パルス光を露光し、表面電位計にて表面電位の変化を測定し、時間変化と表面電位の時間微分との関係を対数変換し、得られた波形の折れ曲がり点から移動度を求めた。その結果、電界強度30V/μmにおける電荷輸送層の移動度は3.4×10−5cm/Vsであった。
【0077】
(電子写真感光体Bの作製)
電子写真感光体Aにおける直径24mmのアルミニウム基材を直径30mmのアルミニウム基材に変更した以外は、電子写真感光体Aと同様に厚さ25μmの下引層、厚みが0.2μmの電荷発生層、膜厚が25μmの電荷輸送層を形成して電子写真感光体Bを得た。
電子写真感光体Bにおける電荷輸送層の電荷移動度は、電子写真感光体Aと同様にして測定した結果、3.4×10−5cm/Vsであった。
【0078】
(電子写真感光体Cの作製)
電子写真感光体Aと同様にして直径24mmのアルミニウム基材上に、厚さ25μmの下引層、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
次いで、4フッ化エチレン樹脂粒子(平均粒径:0.2μm)0.6質量部と、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量:30,000)0.015質量部とを、テトラヒドロフラン4質量部、トルエン1質量部とともに20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
次に、結着樹脂として下記の繰り返し単位及び組成からなるポリカーボネート重合体(ガラス転移温度130℃、粘度平均分子量55,000、式中0.2,0.8はモル比を示す)6質量部、
【0079】
【化3】

【0080】
電荷輸送物質として前記化合物(B)を2質量部と、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.1質量部とを混合してテトラヒドロフラン24質量部及びトルエン11質量部に混合溶解した。
【0081】
これに前記4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて攪拌混合した縣濁液を、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cmまで昇圧しての分散処理を6回繰り返した液に、フッ素変性シリコーンオイル(商品名:FL−100 信越シリコーン社製)を5ppm添加し、十分に撹拌して電荷輸送層形成用塗布液Bを得た。
この塗布液Bを電荷発生層上に塗布して135℃で30分間乾燥し、膜厚が25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体Cを得た。
電子写真感光体Cにおける電荷輸送層の電荷移動度は、電子写真感光体Aと同様にして測定した結果、2.4×10−5cm/Vsであった。
【0082】
(電子写真感光体Dの作製)
電子写真感光体Cにおける直径24mmのアルミニウム基材を直径30mmのアルミニウム基材に変更した以外は、電子写真感光体Cと同様に厚さ25μmの下引層、厚みが0.2μmの電荷発生層、膜厚が25μmの電荷輸送層を形成し電子写真感光体Dを得た。
電子写真感光体Dにおける電荷輸送層の電荷移動度は、電子写真感光体Aと同様にして測定した結果、2.4×10−5cm/Vsであった。
【0083】
(電子写真感光体Eの作製)
電子写真感光体Aと同様にして直径24mmのアルミニウム基材上に、厚さ25μmの下引層、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
次いで、4フッ化エチレン樹脂粒子(平均粒径:0.2μm)0.6質量部と、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量:30,000)0.015質量部とを、テトラヒドロフラン4質量部、トルエン1質量部とともに20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
次に、結着樹脂として下記の繰り返し単位及び組成からなるポリカーボネート重合体(ガラス転移温度130℃、粘度平均分子量55,000、式中0.2,0.8はモル比を示す)6質量部、
【0084】
【化4】

【0085】
電荷輸送物質として前記化合物(C)を2質量部と、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.1質量部とを混合してテトラヒドロフラン24質量部及びトルエン11質量部に混合溶解した。
【0086】
これに前記4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて攪拌混合した縣濁液を、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cmまで昇圧しての分散処理を6回繰り返した液に、フッ素変性シリコーンオイル(商品名:FL−100 信越シリコーン社製)を5ppm添加し、十分に撹拌して電荷輸送層形成用塗布液Cを得た。
この塗布液Cを電荷発生層上に塗布して135℃で30分間乾燥し、膜厚が25μmの 電荷輸送層を形成し、電子写真感光体Eを得た。
電子写真感光体Eにおける電荷輸送層の電荷移動度は、電子写真感光体Aと同様にして測定した結果、4.3×10−5cm/Vsであった。
【0087】
(電子写真感光体Fの作製)
電子写真感光体Eにおける直径24mmのアルミニウム基材を直径30mmのアルミニウム基材に変更した以外は、電子写真感光体Eと同様に厚さ25μmの下引層、厚みが0.2μmの電荷発生層、膜厚が25μmの電荷輸送層を形成し電子写真感光体Fを得た。
電子写真感光体Fにおける電荷輸送層の電荷移動度は、電子写真感光体Aと同様にして測定した結果、4.3×10−5cm/Vsであった。
【0088】
(帯電ロールAの作製)
下記組成の混合物をオープンロールで混練りし、SUS303からなる直径8mmの導電性支持体の表面に接着層を介してプレス成形機を用いて直径13mmのロールを形成した。その後研磨により直径12mmの導電性弾性ロールAを得た。
・ゴム材(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム Gechron3106:日本ゼオン社製):100質量部
・導電剤(カーボンブラック アサヒサーマル:旭カーボン社製):15質量部
・導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製):5質量部
・イオン導電剤(過塩素酸リチウム):1質量部
・加硫剤(硫黄 200メッシュ:鶴見化学工業社製):1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製):2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製):0.5質量部
・加硫促進助剤(酸化亜鉛 酸化亜鉛1種:正同化学工業社製):3質量部
・ステアリン酸:1.5質量部
【0089】
次に、下記組成の混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液をメチルエチルケトンで希釈し、前記導電性弾性ロールAの表面に浸漬塗布した後、180℃で30分間加熱乾燥し、厚さ7μmの表面層を形成し、評価用帯電ロールAを得た。
・高分子材料(飽和共重合ポリエステル樹脂溶液 バイロン30SS:東洋紡績社製):100質量部
・硬化剤(アミノ樹脂溶液 スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業社製):26.3質量部
・導電剤(カーボンブラック MONARCH1000:キャボット社製、比表面積:343m/g、DBP吸油量:105ml/100g、pH:2.5):10質量部
・フィラー(ポリアミド樹脂粒子 2001UDNAT1:アルケマ社製)30質量部
【0090】
(帯電ロールBの作製)
帯電ロールAの表面層中に含まれるフィラーの量を40質量部に変更した以外は、帯電ロールAと同様にして帯電ロールBを得た。
【0091】
(帯電ロールCの作製)
帯電ロールAの表面層中に含まれるフィラーの量を50質量部に変更した以外は、帯電ロールAと同様にして帯電ロールCを得た。
【0092】
(帯電ロールDの作製)
帯電ロールAの表面層中に含まれるフィラーの量を0質量部に変更した以外は、帯電ロールAと同様にして帯電ロールDを得た。
【0093】
(帯電ロールEの作製)
帯電ロールAの表面層中に含まれるフィラーの量を60質量部に変更した以外は、帯電ロールAと同様にして帯電ロールEを得た。
【0094】
<実施例1>
上記のようにして得た感光体と帯電ロールを、電子写真方式の画像形成装置「DocuCentreIII C5500」(富士ゼロックス株式会社製)に組み込み電子写真方式の画像形成装置を作製した。
【0095】
<評価>
上記のようにして得た帯電ロール表面の十点平均表面粗さ(Rzjis)を、JIS B0601(2001)の附属書1に記載の十点平均粗さ(Rzjis)に準じて測定した。具体的には、23℃・55RH%の環境下において、接触式表面粗さ測定装置(サーフコム1400D、東京精密社製)を用いて測定した。表面粗さの測定に際しては、測定距離を2.5mmとし、接触針としてはその先端がダイヤモンド(5μmR、90°円錐)のものを用い、場所を変えて3回繰り返し測定した際の平均値を十点平均粗さ(Rzjis)として求めた。
【0096】
上記のようにして得た感光体と帯電ロールを、電子写真方式の画像形成装置「DocuCentreIII C5500」(富士ゼロックス株式会社製)に組み込み、帯電ロールに直流電圧−600Vを印加して感光体を帯電する構成とした。そして、100mm/sec又は350mm/secのプロセススピードで、25%ハーフトーン画像を普通紙(富士ゼロックス製、C2紙)に出力する3枚の連続プリントを行い横スジ評価を、さらに白紙を出力し、かぶり評価を行った。
【0097】
−横スジ−
画像上の中央部50mm×50mmの領域について点欠陥(直径0.2mm以下の点)と横スジ(感光体の軸方向の長さ2mmを超えるスジ)を数えることにより評価した。
○:点欠陥・スジ欠陥の発生なし
△:点欠陥・スジ欠陥が合わせて10個以下発生
×:点欠陥・スジ欠陥が合わせて11個以上発生
【0098】
−かぶり−
かぶりは、白紙上の全面について微小黒点数を数えてして評価した。
○:微小黒点発生なし
△:微小黒点が1個以上10個以下発生
×:微小黒点が11個以上発生
【0099】
<実施例2乃至8及び比較例1乃至4>
実施例2乃至8及び比較例1乃至4においては、表1に示すように感光体と帯電ロールを組み合わせ、実施例1と同様にして評価を行った。
表1に、横スジ及びかぶりの発生具合の評価結果を示す。
【0100】
【表1】

【符号の説明】
【0101】
2 導電性支持体、3 感光層、4 下引層、5 電荷発生層、6 電荷輸送層、26 レーザ露光装置(静電潜像形成手段の一例)、31 電子写真感光体、32 帯電ロール、33 現像器(現像手段の一例)、36 クリーニング手段、40 一次転写ロール(転写手段の一例)、40 転写手段、100,200 画像形成装置、300 プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上である電荷輸送層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面に接触しながら回転し、表面粗さが8μm以上20μm以下である帯電ロールを有し、該帯電ロールに直流電圧のみが印加されて前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
プロセススピードが250mm/sec以上である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電子写真感光体の径が30mm以下である請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
電界強度30V/μmにおける電荷移動度が8.0×10−6cm/Vs以上である電荷輸送層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面に接触しながら回転し、表面粗さが8μm以上20μm以下である帯電ロールを有し、該帯電ロールに直流電圧のみが印加されて前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記電子写真感光体の径が30mm以下である請求項4に記載のプロセスカートリッジ。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−163863(P2012−163863A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25451(P2011−25451)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】