説明

画像形成装置及び印刷制御方法

【課題】
画像形成装置において、記録用紙からの印刷画像のはみ出し等、印刷異常の発生を防止する。
【解決手段】
印刷画像のサイズを取得する印刷サイズ取得手段642と、記録用紙を搬送経路に搬送して当該記録用紙のサイズを計測する用紙サイズ計測手段644と、搬送動作と印刷動作を制御する印刷制御手段646と、を有し、前記用紙サイズ計測手段は、記録用紙のサイズが不明のときは、当該記録用紙を搬送経路に搬送して、印刷を行うことなく当該記録用紙のサイズを計測し、前記印刷制御手段は、前記用紙サイズ計測手段が計測した記録用紙のサイズが、前記印刷サイズ取得手段が取得した印刷画像のサイズと所定の許容範囲において一致するときは、当該記録用紙に画像印刷を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置、及び画像形成装置における印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、それぞれサイズの異なる記録用紙を収納した複数の給紙トレイを備え、これらの給紙トレイに設けられたセンサにより各給紙トレイに収納されている記録用紙のサイズを検知して、印刷要求毎に、指定された用紙サイズに応じた適切な給紙トレイを選択して印刷動作を行うものがある。
【0003】
ところが、画像形成装置によっては、コスト低減等の目的から給紙トレイに用紙サイズ検出のためのセンサを設けていないものがあり、そのような画像形成装置においては、搬送された記録用紙のサイズ(給紙サイズ)と印刷画像のサイズ(印刷サイズ)との不一致により、記録用紙からの画像のはみ出し(画像切れ)などの不具合を生ずる場合がある。
【0004】
上記のサイズ不一致を回避する方法として、給紙トレイを画像形成装置に取り付ける毎に、ユーザが、当該給紙トレイに収容されている記録用紙のサイズを画像形成装置に入力する方法が知られている。この方法により、画像形成装置は画像サイズに応じて適切な給紙トレイを選択して印刷を実行することができるが、ユーザにとっては入力の煩わしさを伴い、かつ、入力誤りや入力忘れ等の人為的ミスがあった場合には、画像サイズと用紙サイズの不一致を回避することはできない。
【0005】
そこで、画像形成装置が、記録用紙の搬送経路内に設けられた用紙位置検出用のセンサにより、そのセンサ位置における記録用紙の通過時間を測定し、測定した通過時間と記録用紙の搬送速度から、記録用紙の搬送方向(以下、副走査方向)の長さ(以下、給紙長)を算出する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法では、記録用紙と印刷画像との、副走査方向と直交する方向(主走査方向)における長さの一致は不明であるものの、副走査方向における長さの一致を確認することができるため、当該長さの一致を確認した後に印刷を行うことにより、画像切れ等の印刷異常の発生確率を大幅に低減することができる。
【0006】
また、両面印刷機能を有し、搬送経路内に設けられたセンサを利用して、第1面の印刷時に給紙長を計測し、給紙長と印刷長の不一致を検出したときは、第1面印刷後の当該記録用紙の位置に応じて、当該記録用紙を直接に、又は、裏面印刷のための搬送経路を経た後に、機外へ排出する画像形成装置が知られている(特許文献2参照)。
【0007】
しかし、上記従来の方法では、給紙長の検知のためには、その記録用紙を画像形成装置内の搬送経路に沿って搬送する必要があることから、当該記録用紙を1枚使用して印刷を実行する必要がある。すなわち、上記従来の方法では、給紙長を事前に知ることはできず、給紙長を検知した結果、給紙長と印刷長とが不一致(サイズ不一致)であった場合には、少なくとも1枚の記録用紙を無駄にしてしまうという問題がある。また、サイズ不一致のため画像切れ等を生じた記録用紙(異常用紙)は、他の正常に印刷された記録用紙(正常用紙)と区別されずに排出されるため、異常用紙と正常用紙とを仕分ける手間がかかってしまうという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、画像形成装置において、記録用紙を無駄にすることなく、印刷画像のはみ出し等の印刷異常の発生確率を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、印刷画像のサイズを取得する印刷サイズ取得手段と、記録用紙を搬送経路に搬送して当該記録用紙のサイズを計測する用紙搬送計測手段と、搬送動作と印刷動作を制御する印刷制御手段と、を有し、前記用紙搬送計測手段は、記録用紙のサイズが不明のときは、当該記録用紙を搬送経路に搬送して、印刷を行うことなく当該記録用紙のサイズを計測し、前記印刷制御手段は、前記用紙搬送計測手段が計測した記録用紙のサイズが、前記印刷サイズ取得手段が取得した印刷画像のサイズと所定の許容範囲において一致するときは、当該記録用紙に画像印刷を行なう画像形成装置である。
また、本発明は、印刷画像の副走査方向長さを取得する印刷サイズ取得手段と、記録用紙を搬送経路に搬送して当該記録用紙の副走査方向長さを計測する用紙搬送計測手段と、搬送動作と印刷動作を制御する印刷制御手段と、を有し、前記用紙搬送計測手段は、記録用紙の副走査方向長さが不明のときは、当該記録用紙を搬送経路に搬送して、印刷を行うことなく当該記録用紙の副走査方向長さを計測し、前記印刷制御手段は、前記用紙搬送計測手段が計測した記録用紙の副走査方向長さが、前記印刷サイズ取得手段が取得した印刷画像の副走査方向長さと所定の許容範囲において一致するときは、当該記録用紙に画像印刷を行なう画像形成装置である。
また、本発明は、画像形成装置における印刷制御方法であって、印刷画像のサイズを取得するサイズ取得工程と、記録用紙を搬送経路に搬送して当該記録用紙のサイズを計測する搬送・計測工程と、搬送動作と印刷動作を制御する制御工程と、を有し、前記搬送・計測工程では、記録用紙のサイズが不明のときは、当該記録用紙を搬送経路に搬送して、印刷を行うことなく当該記録用紙のサイズを計測し、前記制御工程では、前記搬送・計測工程において計測した記録用紙のサイズが、前記サイズ取得工程において取得した印刷画像のサイズと所定の許容範囲において一致するときは、当該記録用紙に画像印刷を行なう印刷制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、給紙トレイに用紙サイズ検出機能を有していない画像形成装置において、記録用紙を無駄にすることなく記録用紙の副走査方向の長さを検出して、印刷画像のはみ出し等の印刷異常を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す画像印刷部の構成を示す構成図である。
【図3】図1に示す制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の、動作手順を示すフロー図である。
【図5】図4に示す給紙サイズ計測処理の手順を示すフロー図である。
【図6】図4及び図5に示す異常処理の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
本画像処理装置1は、記録用紙に画像を印刷する画像印刷部2と、ネットワーク等を介してクライアントPC(Personal Computer)等から印刷要求を受信し、印刷要求に含まれた画像データに基づいて画像印刷部2に印刷動作を行わせる制御部60と、ユーザが画像形成装置1に対して指示やデータを入力するための操作手段であり、かつ、制御部60がユーザに対してデータや操作ボタン等を表示する表示手段でもある、タッチパネル等による操作表示部4と、を有している。
【0013】
図2は、画像印刷部2の構成図である。
画像印刷部2は、記録用紙を収納した複数の給紙トレイ6と、給紙トレイ6ごとに設けられ、給紙トレイ6から、図2に太い実線で示す印刷経路Xへ記録用紙を繰り出す給紙ローラ8と、レジストローラ10、12と、レジストローラ10、12に侵入する記録用紙を検知するための用紙位置センサ14と、を有している。ここで、レジストローラ10、12は、後述する中間転写ベルト44からの記録用紙への画像転写のため記録用紙の搬送タイミングを決定する機能を有すると共に、レジストローラ10、12を一時停止させて記録用紙を突き当てることにより記録用紙の傾きを修正する機能も有している。
【0014】
また、画像印刷部2は、レジストローラ10、12を通過した記録用紙に、後述する中間転写ベルト44上に形成された画像を転写する転写ローラ16と、記録用紙を加熱して画像を定着させる定着ローラ18、20と、画像定着後の記録用紙を図2に点線で示す排出経路Y又は図2に一点鎖線で示す循環経路Zへ導くガイドローラ22、24、26、28と、排出経路Yにおいて記録用紙を搬送するガイドローラ30と、排出経路Yを経て搬送された記録用紙を収容する複数の排紙トレイ32と、排紙トレイ32ごとに設けられ、排出経路Yに導かれた記録用紙を各排紙トレイ32へ導くための排紙ローラ34と、を有している。
【0015】
ここで、ガイドローラ22〜28は、両面印刷の際に、印刷経路Xから排出経路Yに入った記録用紙の搬送方向を反転して循環経路Zへ導くことができる。この循環経路Z内には、記録用紙を案内するガイドローラ36、38、40が配置されており、循環経路Z内に進入した記録用紙は裏面印刷待機位置Wに運ばれて、裏面印刷の開始を待機する。また、循環経路Z内には、裏面印刷待機位置Wにある記録用紙を印刷経路Xへ送り出す給紙ローラ42も有している。
【0016】
本画像印刷部2は、さらに、中間転写ベルト44と、中間転写ベルト44を回転駆動させるベルトローラ46、48と、中間転写ベルト44上に、それぞれ、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、及びK(ブラック)の画像を形成する4つの感光体ユニット50と、光源52とを有している。また、感光体ユニット50は、光源52から照射される光ビームによりその表面上に静電潜像が形成される感光体ドラム502と、感光体ドラム502の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部504を備えている。
【0017】
中間転写ベルト44上には、4つの感光体ユニット50の感光体ドラム502表面に形成された各色のトナー像が順次転写されて一つのカラー画像が形成され、このカラー画像は、記録用紙が中間転写ベルト44と転写ローラ16との間を通過する際に、その記録用紙上に転写される。
【0018】
図3は、制御部60の構成を示すブロック図である。
制御部60は、ネットワーク等を介してクライアントPC等から印刷要求を受信する通信インタフェース62と、通信インタフェース62により受信した印刷要求を処理して画像印刷部2に印刷動作を行わせる処理部64と、後述する用紙サイズ計測手段644が計測した、各給紙トレイ6が収容する記録用紙の副走査方向の長さ(給紙長)に関する情報(サイズ情報)を記憶する記憶部66と、を有している。
【0019】
また、処理部64は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータであり、ネットワーク等を介してクライアントPC等から受信した印刷要求に含まれる画像データから、印刷画像の副走査方向の長さ(印刷長)を取得する印刷サイズ取得手段642と、用紙位置センサ14により測定した記録用紙の通過時間tと、記録用紙の搬送速度v(より厳密には、用紙位置センサ14の位置における、印刷経路Xに沿う記録用紙の線速度の平均値)から、記録用紙の給紙長を、例えば(v×t)により計測する、用紙搬送計測手段である用紙サイズ計測手段644と、画像印刷部2における記録用紙の搬送動作及び印刷動作を制御する印刷制御手段646と、を有している。
【0020】
ここで、印刷サイズ取得手段642は、画像データから印刷画像の印刷長を取得する代わりに、受信した印刷要求における印刷用紙の指定から、その印刷用紙の副走査方向の長さを印刷長として取得するものとしてもよい。
また、用紙サイズ計測手段644が給紙長算出の際に用いる記録用紙の搬送速度vは、画像形成装置1において予め測定し、用紙サイズ計測手段644に与えておくことができる。
【0021】
さらに、用紙サイズ計測手段644が記録用紙の通過時間測定に用いるセンサは、用紙位置センサ14のように、必ずしも印刷経路Xのレジストローラ10、12より上流側に設けられているセンサである必要はなく、印刷経路に沿う位置に設けられたセンサであればよい。
【0022】
なお、上述した各手段は、プログラムにより実現される処理部(コンピュータ)64の機能実現手段である。また、コンピュータ・プログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。
【0023】
上記の構成を備える画像形成装置1は、ネットワーク等を介してクライアントPC等から印刷要求を受信すると、記憶部66のサイズ情報を参照し、そのサイズ情報に給紙トレイ6が収容する記録用紙の給紙長の情報がないとき、すなわち給紙長が不明のときは、給紙トレイ6から記録用紙を印刷経路Xに給紙し、当該記録用紙への画像印刷を行うことなく、用紙サイズ計測手段644により用紙位置センサ14の位置における当該記録用紙の通過時間を測定して、当該記録用紙の給紙長を算出した後、当該記録用紙を循環経路Zへ導いて裏面印刷待機位置へ搬送する。そして、印刷サイズ取得手段642が取得した印刷長と、上記において算出した給紙長とを比較し、その比較結果に応じて、裏面印刷待機位置に搬送した記録用紙の処理を決定して、当該記録用紙の排出や印刷を行う。
【0024】
すなわち、給紙長の計測に使用した記録用紙は印刷が行われず白紙のまま裏面印刷待機位置に搬送され、その後に行なう給紙長と印刷長との比較結果に応じて、当該記録用紙に対し所望の処理(排出や印刷)を実行することができる。このため、記録用紙のサイズが不明のまま印刷が行われるのを防止して、給紙サイズと印刷サイズの不一致による画像切れ等の印刷異常の発生を防止することができる。
【0025】
また、当該記録用紙は白紙のまま裏面待機位置に保持されるため、当該記録用紙を排出した場合には、排出された記録用紙を他の印刷動作の際に使用することができ、記録用紙を無駄なく利用することができる。
【0026】
次に、本画像形成装置1の動作手順について、図4のフロー図にしたがって説明する。
まず、ユーザが本画像形成装置1の電源を投入すると(S101)、制御部60の処理部64は、記憶部66が記憶するサイズ情報をサイズ不明の状態に初期化する(S102)。この初期化は、例えば、サイズ不明を示すコードを記憶部66に書き込むことにより行なうことができる。
【0027】
次に、処理部64は、通信インタフェース62によりネットワーク等を介したクライアントPC等からの印刷要求の受信を確認し(S103)、印刷サイズ取得手段642により、当該印刷要求に含まれる印刷画像の画像データから、当該印刷画像の副走査方向の長さ(印刷長)を取得した後(S104)、記憶部66が記憶するサイズ情報を参照して(S105)、その印刷長に適合する記録用紙を収容した給紙トレイ6があるか否かを判断する(S106)。
【0028】
ここで、ステップS104において、印刷サイズ取得手段642は、印刷画像の印刷長を取得する代わりに、受信した印刷要求における印刷用紙の指定から、その印刷用紙の副走査方向長さを、印刷長として取得することもできる。
【0029】
また、ステップS106における、印刷長に適合する記録用紙を収容した給紙トレイ6があるか否かの判断は、例えば、記憶部66が記憶するサイズ情報に示された、各給紙トレイ6が収容する記録用紙の副走査方向長さ(給紙長)と印刷長とを比較し、給紙長の値が印刷長に対し所定の許容誤差範囲内であれば、当該印刷長に適合する記録用紙を収容した給紙トレイ6があると判断することができる。なお、上記所定の許容誤差範囲は、例えば、予め印刷長毎に定めて、コンピュータである処理部64が実行するプログラムに記述しておくことができる。
【0030】
次に、処理部64は、印刷長に適合する記録用紙を収容した給紙トレイ6があるときは(S106、Yes)、その印刷長に適合する給紙トレイ6から記録用紙を給紙して印刷を行い(S107)、ステップS103に戻って処理を繰り返す。
【0031】
一方、印刷長に適合する記録用紙を収容した給紙トレイ6がないときは(S106、No)、収容している記録用紙の給紙長が不明な給紙トレイ6があるか否かを判断し(S108)、不明なトレイがあるときは(S108、Yes)、給紙サイズ計測処理を行い(S109)、不明なトレイがないときは、現在の給紙トレイ6には印刷長に適合する記録用紙は収容されていない状態であるので、異常処理を行う(S110)。
【0032】
そして、ステップS109の給紙サイズ計測処理を行った後、又はステップS110の異常処理を行った後は、ステップS103に戻って処理を繰り返す。
なお、図4に示す処理は、画像形成装置1の電源を断にすることにより終了する。
【0033】
次に、図4のフロー図に示した給紙サイズ計測処理(ステップS109)の手順を、図5に示すフロー図にしたがって説明する。
給紙サイズ計測処理を開始すると、まず、処理部64の用紙サイズ計測手段644は、収容する記録用紙の給紙長が不明な給紙トレイ6を一つ選択し(S201)、印刷制御手段646により、選択した給紙トレイ6から記録用紙を給紙して、印刷を行うことなく、すなわち、感光体ユニット50による中間転写ベルト44への画像形成を行なうことなく、当該記録用紙を印刷経路Xに沿って搬送し(S202)、用紙サイズ計測手段644により当該記録用紙の副走査方向の長さ(給紙長)を計測する(S203)。
【0034】
ここで、ステップS202における記録用紙の搬送の際には、記録用紙への画像の転写は行わないため、記録用紙に対する転写画像の定着も不要となる。このため、定着ローラ18、20に対しては、加熱制御を行なわないか、又は、目標温度を定着時温度よりも低温に設定しておくことが望ましい。これにより、消費電力を低減することができ、かつ、不要な加熱により記録用紙に反り(カール)が発生するのを防止することができる。
【0035】
次に、用紙サイズ計測手段644は、ステップS203で計測した給紙長とその記録用紙の給紙元である給紙トレイ6の識別コードとを、サイズ情報として記憶部66に記憶し(S204)、当該記録用紙を循環経路Zへ導いて裏面印刷待機位置Wへ搬送する(S205)。
【0036】
続いて、処理部64の印刷制御手段646は、計測した給紙長が上記印刷長に適合するか否かを判断し(S206)、適合するときは(S206、Yes)、裏面印刷待機位置Wに配置した記録用紙を印刷経路Xへ給紙し(S207)、当該記録用紙に画像を印刷して、いずれかの排紙トレイ32に排紙し(S208)、給紙サイズ計測処理を終了する。
【0037】
ここで、給紙長が印刷長に適合するか否かは、上述した図4のステップS106における方法と同様に、給紙長が印刷長に対し所定の許容誤差範囲内にあるときに、給紙長が印刷長に適合するものと判断することができる。
【0038】
一方、ステップS206において、給紙長が印刷長に適合しないときは(S206、No)、印刷制御手段646は、ユーザが処理部64に記録用紙の処理方法を指示するための指示入力画面を操作表示部4に表示する(S209)。ここで、ユーザは、給紙長の計測に使用した記録用紙を排出するか(用紙排出指示)、当該計測に使用した記録用紙の給紙長に合わせて画像のサイズを変更して印刷を行うか(印刷サイズ変更指示)を、指示入力画面に入力することができる。
【0039】
次に、印刷制御手段646は、印刷サイズ変更指示が入力されたか否かを判断し(S210)、印刷サイズ変更指示が入力されたときは(S210、Yes)、印刷長が給紙長と一致するように、画像データを画像処理(回転、拡大、縮小等)して印刷画像のサイズを変更した後(S211)、ステップS207に処理を移し、裏面印刷待機位置Wに搬送した記録用紙を印刷経路Xへ繰り出して(S207)、当該記録用紙に印刷を行って(S208)、給紙サイズ計測処理を終了する。
【0040】
ここで、ステップS210において印刷サイズ変更指示が入力された後、当該給紙トレイ6から継続的に給紙して当該印刷要求についての印刷を行う場合には、後続する記録用紙についても、給紙長に合わせてサイズを変更した印刷画像を印刷するものとすることができる。
【0041】
一方、ステップS210において印刷サイズ変更指示が入力されていないときは(S210、No)、用紙排出指示が入力されたということであるので、裏面印刷待機位置Wに搬送した記録用紙を、印刷経路Xを介して排紙経路Yから排出した後(S212)、他に記録用紙の給紙長が不明な給紙トレイ6があるか否かを判断し(S213)、不明な給紙トレイ6があるときは(S213、Yes)、ステップS201に戻って処理を繰り返す。
【0042】
ここで、ステップS212において排出された記録用紙は、印刷が行われていない白紙の記録用紙であるので、当該記録用紙をその給紙元である給紙トレイ6に戻せば、印刷用紙として無駄なく使用することができる。また、当該記録用紙の排出に際し、その排出先として、いずれかの排紙トレイ32を予め設定しておくものとすることもできる。これにより、給紙長の計測に使用された記録用紙(計測用紙)を、正常に印刷が行われた記録用紙(正常用紙)とは異なる排紙トレイ32に排紙して、計測用紙と正常用紙との仕分け作業を不要とすることができる。なお、使用する排紙トレイ32の指定は、例えば、ユーザが操作表示部4を用いて、予め制御部60の記憶部66等に記憶させておくことができる。
【0043】
一方、ステップS213において、記録用紙の給紙長が不明な給紙トレイ6がないときは(S213、No)、印刷長に適合する給紙トレイ6はないということになるので、異常処理を行った後(S214)、給紙サイズ計測処理を終了する。
【0044】
次に、図4のフロー図及び図5のフロー図に示した異常処理(図4のステップS110及び図5のステップS214)の手順を、図6に示すフロー図にしたがって説明する。
【0045】
異常処理を開始すると、処理部64は、現在取り付けられているどの給紙トレイ6にも印刷長に適合する記録用紙が収納されていない旨のエラーメッセージと共に、指示入力画面を操作表示部4に表示する(S301)。これに対し、ユーザは、印刷を中止する指示(印刷中止指示)を入力するか、又は、給紙トレイ6の一つを、印刷長に適合する記録用紙を収容した給紙トレイ6に交換した後、印刷を続行する旨の指示(トレイ交換続行指示)を入力することができる。
【0046】
次に、処理部64は、印刷中止指示が入力されたか否かを判断し(S302)、印刷中止指示が入力されたときは(S302、Yes)、裏面印刷待機位置Wに搬送した記録用紙を、印刷経路Xを介して排紙経路Yから排出し(S303)、異常処理を終了する。
【0047】
一方、ステップS302において印刷中止指示が入力されていないときは(S302、No)、ユーザにより、印刷長に適合する記録用紙を収容した給紙トレイ6が取り付けられ、トレイ交換続行指示が入力されたということであるので、そのまま異常処理を終了する。これにより、図4のステップS103から、処理が繰り返される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、給紙長の計測に使用された記録用紙は、印刷が行われず白紙のまま裏面印刷待機位置Wに留められた後、操作表示部4から入力された指示にしたがって、給紙長に適合するサイズの印刷画像が印刷されるか、又は、排出されて再利用される。このため、記録用紙からの画像のはみ出し等の印刷異常の発生を防止することができ、かつ、給紙長の計測のために使用した記録用紙は、無駄にすることなく再び記録用紙として利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1・・・画像形成装置、2・・・画像印刷部、4・・・操作表示部、6・・・給紙トレイ、8、42・・・給紙ローラ、10、12・・・レジストローラ、14・・・用紙位置センサ、16・・・転写ローラ、18・・・定着ローラ、22、24、26、28、30、36、38、40・・・ガイドローラ、32・・・排紙トレイ、34・・・排紙ローラ、44・・・中間転写ベルト、46、48・・・ベルトローラ、50・・・感光体ユニット、52・・・光源、60・・・制御部、62・・・通信インタフェース、64・・・処理部、66・・・記憶部、502・・・感光体ドラム、504・・・現像部、642・・・印刷サイズ取得手段、644・・・用紙サイズ計測手段、646・・・印刷制御手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開平8−179577号公報
【特許文献2】特開2007−065411号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷画像のサイズを取得する印刷サイズ取得手段と、
記録用紙を搬送経路に搬送して当該記録用紙のサイズを計測する用紙搬送計測手段と、
搬送動作と印刷動作を制御する印刷制御手段と、
を有し、
前記用紙搬送計測手段は、記録用紙のサイズが不明のときは、当該記録用紙を搬送経路に搬送して、印刷を行うことなく当該記録用紙のサイズを計測し、
前記印刷制御手段は、前記用紙搬送計測手段が計測した記録用紙のサイズが、前記印刷サイズ取得手段が取得した印刷画像のサイズと所定の許容範囲において一致するときは、当該記録用紙に画像印刷を行なう画像形成装置。
【請求項2】
印刷画像の副走査方向長さを取得する印刷サイズ取得手段と、
記録用紙を搬送経路に搬送して当該記録用紙の副走査方向長さを計測する用紙搬送計測手段と、
搬送動作と印刷動作を制御する印刷制御手段と、
を有し、
前記用紙搬送計測手段は、記録用紙の副走査方向長さが不明のときは、当該記録用紙を搬送経路に搬送して、印刷を行うことなく当該記録用紙の副走査方向長さを計測し、
前記印刷制御手段は、前記用紙搬送計測手段が計測した記録用紙の副走査方向長さが、前記印刷サイズ取得手段が取得した印刷画像の副走査方向長さと所定の許容範囲において一致するときは、当該記録用紙に画像印刷を行なう画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載された画像形成装置において、
搬送経路を通過した記録用紙を再度搬送経路へ導く循環経路を有し、
前記用紙搬送計測手段は、副走査方向長さを計測した記録用紙を前記循環経路へ搬送し、
前記印刷制御手段は、前記循環経路に搬送された記録用紙に画像印刷を行う画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載された画像形成装置において、
前記印刷制御手段は、前記用紙搬送計測手段が計測した記録用紙の副走査方向長さが、前記印刷サイズ取得手段が取得した印刷画像の副走査方向長さと所定の許容範囲において一致しないときは、印刷画像の副走査方向長さが前記計測された記録用紙の副走査方向長さと一致するように、印刷画像のサイズを変更して、前記循環経路に搬送された記録用紙に印刷を行う画像形成装置。
【請求項5】
請求項3に記載された画像形成装置において、
前記印刷制御手段は、前記用紙搬送計測手段が計測した記録用紙の副走査方向長さが、前記印刷サイズ取得手段が取得した印刷画像の副走査方向長さと所定の許容範囲において一致しないときは、前記循環経路に搬送された記録用紙を排出する画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載された画像形成装置において、
前記印刷制御手段は、前記循環経路に搬送した前記記録用紙を排出するときは、画像の印刷が行われた他の記録用紙の排出場所とは異なる排出場所に排出する画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記搬送経路に沿う所定の位置に設けられ、当該所定の位置への記録用紙の到達を検知する用紙位置検出手段を有し、
前記用紙搬送計測手段は、前記用紙位置検出手段により前記所定の位置を通過する記録用紙の通過時間を測定し、当該通過時間と前記所定の位置における記録用紙の搬送速度から、当該記録用紙の副走査方向長さを計測する画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置における印刷制御方法であって、
印刷画像のサイズを取得するサイズ取得工程と、
記録用紙を搬送経路に搬送して当該記録用紙のサイズを計測する搬送・計測工程と、
搬送動作と印刷動作を制御する制御工程と、
を有し、
前記搬送・計測工程では、記録用紙のサイズが不明のときは、当該記録用紙を搬送経路に搬送して、印刷を行うことなく当該記録用紙のサイズを計測し、
前記制御工程では、前記搬送・計測工程において計測した記録用紙のサイズが、前記サイズ取得工程において取得した印刷画像のサイズと所定の許容範囲において一致するときは、当該記録用紙に画像印刷を行なう印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−133077(P2012−133077A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284251(P2010−284251)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】