説明

画像形成装置及び用紙使用可否判定方法

【課題】 用紙の使用可否判定に用いる用紙情報を検出する際、用紙の搬送を必要とせず、且つ判定に用いる用紙の情報として紙サイズ以外の情報を検出できるよう性能を高めること。
【解決手段】 使用を予定する用紙を原稿読取装置の載置台に置いた状態で用紙から用紙属性としての長さ、幅をスキャナによって、又、厚さ、材質(紙種)をメディアセンサで検出し(S102)、これらの用紙属性の検出値が適正な動作が得られる所定の範囲の値に該当するか、即ち、許容範囲内であるか否かを判定する(S103〜S106)。用紙属性の検出値が全て許容範囲内であれば、操作部を通してユーザーに使用可能表示をする(S107)。他方、用紙属性の検出値のいずれか一つでも許容範囲内でなければ、使用不可表示をする(S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用のデータを基に所定の記録媒体(以下、「記録用紙」或いは単に「用紙」という)に画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に関し、より詳しくは、多種類の記録用紙に対応して画像形成動作を行う際、使用できない用紙をチェックする機能を有した画像形成装置及び用紙使用可否判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキャナ等の画像入力装置を通して入力される画像データをもとに、印刷用のデータを生成し、このデータを用いて記録用紙に画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置が広く利用されている。
この種の画像形成装置は、A4、A3、B5、B4等の定型サイズの普通紙を使用できるよう仕様が定められていることは、周知であるが、定型外の用紙に対する取扱については、多様な種類があり、その中には使用が可能ではないものもあって、ユーザーに戸惑いがある。
【0003】
機器が対応可能な用紙については、カタログや取扱説明書には、定型サイズの普通紙を中心に記載するのが普通で、このためもあって、ユーザーから機器メーカーへの問い合わせのなかに、常に、用紙の対応状況に関し、“封筒やハガキ印刷はできるか?”、“サイズが良く分からない定形外の用紙の対応状況はどうか?”、“メーカー推奨外の紙種や光沢紙のような特殊な用紙は使えるか?”、といった、内容の問い合わせが上位を占める。
【0004】
こうした状況を解決するため、従来、使用可能なサイズの用紙であるか否かを、印刷を行う前に確認する手段を機器に装備することが提案されている。
その一つは、給紙トレイのカセットに収納する用紙の大きさを検知する機構を給紙トレイに備えて、装着するカセットの用紙サイズを検知する手段によるものである。
ただ、この手段によると、機器には給紙トレイを複数設けることが普通であるから、給紙トレイごとにサイズ検知機構が必要となるため、高価になってしまう。
【0005】
また、給紙トレイごとに検知機構を設けることにより生じる上記の問題を回避する手段として、給紙トレイからの用紙を画像形成部に搬送する搬送路上に、用紙の通過を検知するセンサを設けることにより、搬送方向の用紙の長さを検知する手段を設けること(特許文献1、参照)が提案されている。この従来技術では、印刷を行う前に、画像形成動作を行わずに使用を予定する用紙を搬送させて用紙サイズを検知させて、検知後、用紙をエスケープゾーンに逃がす動作を行わせる。
しかし、この方法では搬送路が短いとはいえ,用紙を一旦搬送させなければ検知できない。また、搬送させることにより用紙が劣化する可能性があり、また、最悪の場合、サイズ検知時にジャムが発生してしまう可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、用紙の使用可否の判定に用いる用紙の情報を検出する際に、用紙の搬送を必要とせず、かつ判定に用いる情報として用紙属性情報を検出できるようにすることで、検出性能を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、所定の記録用紙に画像を形成する画像形成装置であって、載置台に置いた状態の記録用紙から用紙属性を検出する用紙属性検出手段と、記録用紙として使用可能な用紙属性の範囲を記憶する用紙属性記憶手段と、使用予定の用紙を前記用紙属性検出手段によって検出し、検出された用紙属性が前記用紙属性記憶手段に記憶された使用可能な用紙属性の範囲に該当するか否かを判定する用紙使用可否判定手段とを有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、載置台に用紙を置いた状態で用紙属性を検出するようにしたことで、使用可否の判定に用いる用紙の情報を高性能に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機の構成を示す図である。
【図2】図1に示した複合機のデータ処理系の構成を示すブロック図である。
【図3】記録用紙の使用可否判定(用紙チェック)の処理フロー(実施形態1)を示す図である。
【図4】記録用紙の使用可否判定(用紙チェック)の処理フロー(実施形態2)を示す図である。
【図5】操作部に表示する、用紙チェックの実行指示の操作が可能な入力画面(実施形態1)の一例を示す図である。
【図6】操作部に表示する、使用可の用紙チェック結果を表示する画面(実施形態1)の一例を示す図である。
【図7】操作部に表示する、用紙チェック時に検知した用紙属性を表示する画面の一例を示す図である。
【図8】操作部に表示する、使用不可の用紙チェック結果を表示する画面(実施形態1)の一例を示す図である。
【図9】操作部に表示する、使用可否の用紙チェック結果を表示する画面(実施形態2)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
以下に示す実施形態は、入力データをデジタル処理する複合機、即ち、複写、プリンタ、ファクシミリ等の各機能を備え、これらの機能により生成される画像出力用データを用いて記録用紙に電子写真方式で画像を形成する装置に実施した例を示す。
ただ、この実施形態においては、データ入力は、画像出力の処理対象となる原画像のほか、後述するように、使用を予定している記録用紙の用紙サイズ、紙質といった用紙属性を検知し、検知したデータの入力を行う。これらのデータの入力は、スキャナを共通の手段として用いる。つまり、従来から複合機に搭載されている原稿画像を読取るスキャナを記録用紙の用紙属性の検知に利用する形態を例示する。
【0011】
なお、本実施形態では、カラー及びモノクロの画像出力(印刷)ができる複合機を示すが、モノクロ画像出力だけのものでもよい。また、スキャナを有する画像形成装置であれば、複合機以外の画像形成装置を実施形態としてもよい。また、以下の説明では、電子写真プロセスにより画像を形成する装置を例示するが、所定の用紙属性(用紙サイズ、紙質)を有する用紙に画像を形成する装置であれば、どのような画像形成装置でも構わない。
【0012】
[ハードウェア構成の概要]
図1は、本発明の実施形態に係る複合機の構成を示す図である。
図1において、複合機1は、電子写真プロセスを用いたコピー機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能等の各種機能を有したカラーの複合機であり、画像読取(スキャナ)ユニット2、画像書込ユニット3、画像形成ユニット4、給紙ユニット5及び手差しユニット6を備えている。
【0013】
画像読取ユニット2は、コンタクトガラス11上にセットされた読取対象としての原稿を圧板12で押さえつけ、コンタクトガラス11の下部に配設されている第1走行体13上の露光ランプから原稿に光を照射して、当該原稿で反射された反射光を第1走行体13上のミラーで第2走行体14上のミラーに反射する。第2走行体14上のミラーで入射される反射光は、第2走行体14でレンズ15方向に反射して、レンズ15を通して3ラインCCD(Charge Coupled Device)センサ16に入射し、3ラインCCDセンサ16で光電変換し、画像信号を出力する。このように、画像読取ユニット2は、原稿を主走査しつつ副走査方向に移動して、原稿を二次元走査して、原稿面の画像を読取る。
なお、本実施形態では、画像読取ユニット2は、複写(ファクシミリ)原稿の画像読取りを行うほか、後記で詳述するように、複写(ファクシミリ)原稿に代えて記録用紙を対象に読取りを行い記録用紙の属性の検知に用いる。
【0014】
複写機能やファクシミリ機能を利用する場合、画像読取ユニット2は、3ラインCCDセンサ16で光電変換した画像信号に正規化処理等の補正を施し、デジタルの原稿画像データを、複写機能では、画像書込ユニット3に送り、ファクシミリ機能では、FAX送信部(不図示)に送る。
画像形成ユニット(画像形成部)4は、トナー像の形成及びそのトナー像の転写紙(記録用紙)への転写を行う部分であり、画像書込ユニット3により静電潜像が書き込まれる感光体21の周囲に電子写真の各プロセス部を備えている。即ち、感光体21の周囲には、帯電器22、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナーを感光体21に供給して現像する現像部23、中間転写部24、感光体21上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング部25、除電部26が順番に配置されており、さらに、転写部27及び定着部28等を備えている。
【0015】
感光体21は、図1に矢印で示す反時計方向に回転駆動され、感光面が帯電器22で一様に帯電されて、画像書込ユニット3から画像出力用データにより変調されたレーザ光の照射を受け、感光面の照射部分に静電潜像が形成される。
現像部23は、静電潜像の形成された感光体21に、トナーを供給して、トナー像として現像する。
中間転写部24は、中間転写ベルト29を備えていて、そのベルト面に感光体21上のトナー像の転写を受ける。
転写部27は、感光体21から転写を受けた中間転写ベルト29のベルト面上のトナー像を、給紙ユニット5から搬送されてきた転写紙に二次転写する。
【0016】
画像形成ユニット4は、フルカラーで画像形成する場合には、画像書込ユニット3により、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の静電潜像が感光体21に書き込まれ、現像部23は、当該各色の静電潜像を当該色のトナーで現像して、各色のトナー像を順次中間転写部24の中間転写ベルト29上に重ね合わせて転写する。
中間転写部24は、各色のトナー像が重ね合わされて転写されたフルカラーのトナー像を給紙ユニット5から搬送されてくる転写紙に転写する。
【0017】
給紙ユニット(給紙部)5は、それぞれ複数枚の転写紙を積載する3つの給紙トレイ31〜33及び搬送機構部34等を備え、搬送機構部34が、各給紙トレイ31〜33のうち、適宜選択された給紙トレイ31〜33から転写紙を1枚ずつ画像形成ユニット4の転写部27と中間転写ベルト29との間にタイミング調整を行って搬送する。
手差しユニット6は、複数枚の転写紙が手操作で載置され、載置された転写紙を1枚ずつ画像形成ユニット4の転写部27と中間転写ベルト29との間にタイミング調整を行って搬送する。
【0018】
クリーニング部25は、転写の完了した感光体21上に残留するトナーを除去し、除電部26は、クリーニング部25で残留トナーの除去された感光体21を除電する。
定着部28は、トナー像の転写された転写紙を、加熱される定着ローラと当該定着ローラに加圧されて回転する加圧ローラにより、搬送しつつ加熱・加圧して、トナー像を転写紙に定着させ、定着の完了した転写紙を複合機1の側面に取り付けられている排紙トレイ(不図示)上に排出する。
【0019】
[データ処理系]
図2は、図1に示した複合機のデータ処理系の構成を示すブロック図である。
複合機1は、図2に示すように、システム制御ユニット41、操作部ユニット42、画像表示ユニット43、複写機機構部44、画像処理ユニット45及び画像読取ユニット2(図1、参照)と画像書込ユニット3(図1、参照)等を備えている。
【0020】
画像読取ユニット2は、スキャナで読み取った原稿等の画像データを画像処理ユニット45に送る。
原稿等の画像データを受け取る画像処理ユニット45では、複写機能が利用される際、スキャナγ補正、色変換、主走査変倍、画像分離、加工、エリア処理、階調補正処理等の画像出力(印刷)用データへの画像処理を行い、画像書込ユニット3に出力する。
画像書込ユニット3は、この画像処理ユニット45から入力される画像出力(印刷)用データを制御信号に用いて、LD(レーザーダイオード)の駆動を変調して、変調したレーザ光を感光体21に照射する。
【0021】
操作部ユニット42は、LCD(液晶表示)タッチパネル、テンキー、スタートキー、クリア/ストップキー、リセットキー、割り込みキー、省エネキー、画質調整キー、コピーモード選択キー、FAX選択キー、スキャナ選択キー及び画像コントラスト調整つまみ等を備え、ユーザーインターフェースとして機能する。
テンキー、スタートキー、クリア/ストップキー、リセットキー、割り込みキー、省エネキー、画質調整キー、コピーモード選択キー、FAX選択キー、スキャナ選択キー及び画像コントラスト調整つまみ等は、複合機1を利用してコピー(複写機能)、スキャナ、FAX等の各種モードの設定と各種モードでの動作を指示するのに使用される。
【0022】
LCDタッチパネルは、操作部ユニット42で行われた各種操作や複合機1からユーザーに通知する各種情報、例えば、紙サイズ、給紙段、倍率等を表示出力するとともに、複合機1の備えるコピー、スキャナ、FAX等の各種モードが選択キーへの操作を受けて選ばれると、選択されたモードに対応した操作ボタンを表示し、操作ボタンへのタッチ操作により、複合機1に対する各種の動作条件等の指示を可能とする。
操作部ユニット42は、システム制御ユニット41に接続されており、操作部ユニット42における操作内容をシステム制御ユニット41に通知するとともに、システム制御ユニット41の制御下で、LCDタッチパネルに操作用画面の表示を行い、また、LCDタッチパネルの操作ボタンの操作結果のシステム制御ユニット41への通知を行う。
画像表示ユニット43は、システム制御ユニット41の制御下で動作して、画像読取ユニット2の読み取った原稿等の画像のモニタ表示を操作部ユニット42のLCDタッチパネル等で行う。
【0023】
複写機機構部44は、システム制御ユニット41の制御下で動作して、原稿の搬送、転写紙(記録用紙)の搬送等の各種機構部の駆動を行う。
また、複合機1は、システム制御ユニット41が、回線(不図示)を介して接続されている相手ファクシミリ装置等の相手端末とファクシミリ制御手順を実行し、当該相手端末から送信されてくる画像データをファクシミリ受信し、また、画像読取ユニット2の読み取った原稿の画像データを相手端末にファクシミリ送信する。
また、複合機1は、システム制御ユニット41が、ネットワークインターフェース(不図示)回線を介して接続されているホスト装置から送信されてくる印刷データを受信し、受信した印刷データを解読し、画像出力(印刷)用データを生成し、出力に用いる。
【0024】
システム制御ユニット41は、機器全体を制御する機能を持ち、コンピュータをハードウェアとして構成することができる。
システム制御ユニット41を構成するコンピュータは、ソフトウェアプログラムの命令を実行するためのCPU(Central Processing Unit)と、CPUによって使用される制御プログラム、制御用データ等を格納するROM(Read Only Memory)と、前記制御プログラムによって生成される各種データなどを一時的に保存するメモリ或いはソフトウェアプログラムの動作に必要なデータを保存するワークメモリとして利用するRAM(Random Access Memory)と、機器に依存する処理条件等の設定データなどを保存しておく不揮発性メモリであるNV−RAM(Non Volatile RAM)を構成要素として有する。
後述する記録用紙の使用可否を判定する処理は、この処理を実行するための処理手順(図3、図4)を記述した制御プログラムを上記コンピュータにより駆動することにより実施することができる。
【0025】
[記録用紙の使用可否判定]
この実施形態の複合機は、使用を予定する記録用紙が使用可能であるか否かを判定する手段を有する。
記録用紙の使用可否判定は、複合機の取扱説明書を読むまでもなく、使用を予定する記録用紙が使用可能か否かを複合機側で印刷を実行する前に判定するもので、対象となる用紙を複合機に認識させる情報の入力を行うユーザー操作は必要であるが、この操作を行うだけで、ユーザーに余計な手間をかけず、複合機側で事前に用紙の使用可否のチェックを行う。
【0026】
ただ、従来提案された記録用紙の使用可否のチェックは、用紙サイズによって判定するもので、上記[背景技術]で述べたように、搬送路に用紙を通し用紙サイズを検知するために、ジャムが起きる可能性があるといった問題が生じ、また、用紙サイズだけで判定するので、用紙サイズ以外にも多様な種類の用紙が用いられ、高画質が求められる現状にあって、使用可否を適正に判定するには十分ではない。
【0027】
そこで、本発明の実施形態では、使用を予定する用紙を載置台に置き、置いた状態の用紙から用紙属性としての用紙の長さ、厚さ、材質を検出する手段を備える。
用紙属性としての用紙の長さ、厚さ、材質は、画像形成装置(ここでは複合機1)が使用可能な記録用紙として従来考慮されなかった厚さ、材質についても、使用可能な用紙に適合するか否かを確認するために検出する情報であり、これらの用紙属性の検出値が適正な動作が得られる所定範囲の値に該当するか否かが判定される。
判定基準となる上記所定範囲は、予め実験等を行い適正な動作が得られる範囲を経験値として求め、この値をあてる。なお、機器の仕様として定められている条件は、上記所定範囲内に含まれ、矛盾することはあり得ない。
【0028】
次に、用紙属性としての用紙の長さ、厚さ、材質を検出する手段の実施例について、説明する。
〈用紙長さの検出〉
複合機1等の画像形成装置においては、搬送手段により所定方向、即ち縦又は横を向いた搬送状態で給紙される所定サイズの記録用紙に画像を形成する構成をとり、この構成に適応して搬送手段の機構及び画像形成プロセスの各種デバイスの条件も定められるので、搬送方向を基準とする長さ、即ち、搬送方向の長さ(以下、単に「長さ」という)、搬送方向に直交する長さ(以下、「幅」という)が所定範囲にあることが必要になるので、これらの長さが検出対象となる。
【0029】
用紙属性としての用紙の長さ、幅を検出する手段は、本実施形態の複合機1では、複写、ファクシミリ機能において、原稿画像の入力を行う画像読取ユニット2のスキャナを利用する。つまり、原稿の画像読取りと同様に、使用を予定する用紙をスキャナで読取らせる。
画像読取ユニット2(以下、スキャナ)による用紙の長さ、幅の検出は、原稿読取における画像を読取る原稿に代えて使用予定の用紙を読取対象にして読取動作を行う。
即ち、コンタクトガラス11上に載せた用紙を、圧板12を閉じて押さえ付け、用紙を読取位置に定置する。圧板12の開閉状態は、圧板開閉センサ(不図示)によって常に監視しており、その開閉信号はシステム制御ユニット41に入力されている。
【0030】
圧板12が閉じられると、開から閉へ圧板開閉センサの信号が変化するので、これをトリガイベントとして、スキャナ内の露光ランプを照射し、該ランプを搭載した第1走行体13を副走査方向に移動させて、コンタクトガラス11上の用紙を二次元走査し、原稿読取時と同様に、用紙からの反射光量の変化を3ラインCCDセンサ16によって検出する。
このときの検出信号には、用紙のエッジ部分で変化する反射光量による信号の変化が現われるので、検出信号に対する閾値処理により用紙端部を判断し、用紙の矩形領域を近似し、この矩形の長さと幅を求める用紙の長さとして検出し、使用可能用紙の判定に用いる。
この用紙の長さ検出動作は、圧板12の開→閉のイベントが発生する度に実行し、検出値は、最新の情報として、これまでに保持している値を更新する。
【0031】
なお、コンタクトガラス11上に載せた用紙のサイズを検出する方法は、スキャナによる以外に例えば、APS(Auto Paper Select)センサといわれる原稿(用紙)のサイズに応じ赤外線の受光状態が変化するセンサを用いる用紙サイズ検知手段等が知られており、こうしたセンサを応用してもよい。
【0032】
また、原稿の載置台(コンタクトガラス11)のゲージ部分でユーザーによって用紙サイズを目測し得られるサイズ、或いは計測手段を用いて測るまでもなく、仕様書等の指示によって用紙サイズが既知である場合には、ユーザーインターフェースとして機能する操作部ユニット42からユーザーの操作によって用紙サイズを入力する方法を採用してもよい。
なお、後記で図3及び図4を参照して説明する、システム制御ユニット41が行う記録用紙の使用可否を判定する処理に係る実施形態においては、処理の対象となる用紙のサイズを、スキャナ等の検知動作によって取得する方法を用いているが、この用紙サイズ情報の取得方法に換えて、ユーザー操作により入力する方法を用いる場合でも、同様に使用可否の判定する処理を実施し、従来の問題点を解消することができる。
【0033】
〈用紙厚さ、材質の検出〉
複合機1等の画像形成装置においては、搬送手段の機構及び画像形成プロセスの各種デバイスは、使用する用紙の厚さや材質を予定し、適正な動作が得られる設計を行うので、予定しない厚さや材質に対しては、適正な動作が保証できない。
そこで、用紙の厚さや材質を検出の対象として、設計段階で予定した用紙の厚さや材質の範囲を外れる用紙をできるだけチェックし、チェックされた用紙を使用不可とする。
【0034】
用紙属性としての用紙の厚さや材質(以下、「紙種」ともいう)を検出する手段は、メディアセンサ(不図示)を用いる。メディアセンサは、光学式のものとして赤外透過光量、正反射光量、紙表面凹凸の各検知を行う方式による既存のセンサが利用できる。また、光学式以外には、超音波式センサ、電気抵抗検知センサなども用いることができる。
本実施形態では、光学式のメディアセンサを採用し、原稿の載置台上に置いた用紙から厚さ及び紙種を検知する構成で用いる。検知する紙種(材質)は、通常の上質紙の他に、中質紙、ざら紙、ハガキなどの厚紙、薬品などよって漂白された再生紙、繊維質が多いラグ紙、OHPフィルムなどである。
【0035】
メディアセンサによる検知動作においては、まず、コンタクトガラス11上に載せた用紙を、圧板12を閉じて押さえ付け、用紙を読取位置に定置する。圧板12の開閉状態は、圧板開閉センサ(不図示)によって常に監視しており、その開閉信号はシステム制御ユニット41に入力されている。
圧板12が閉じられると、開から閉へ圧板開閉センサの信号が変化するので、これをトリガイベントとして、光学式のメディアセンサの光源であるLEDを照射し、用紙に作用した赤外光の反射光量および透過光量を検知することで原稿の厚さや紙種を検出し、使用可能用紙の判定に用いる。
このようにして行う用紙の厚さや紙種の検出動作は、圧板12の開→閉のイベントが発生する度に実行し、検出値は、最新の情報として、これまでに保持している値を更新する。
【0036】
上記では、メディアセンサを使用して用紙の厚さや紙種を検出する方法を例としたが、使用可否の判定対象となる用紙を複合機に認識させる情報の入力を行う方法はこれに限らない。
例えば、メディアセンサで検知するまでもなく、仕様書等の指示によって用紙の厚さや紙種が既知である場合には、ユーザーインターフェースとして機能する操作部ユニット42からユーザーの操作によって用紙の厚さや紙種を入力する方法を採用してもよい。
なお、後記で図3及び図4を参照して説明する、システム制御ユニット41が行う記録用紙の使用可否を判定する処理に係る実施形態においては、処理の対象となる用紙の厚さや材質を、メディアセンサ等の検知動作によって取得する方法を用いているが、この用紙の厚さや材質情報の取得方法に換えて、ユーザー操作により入力する方法を用いる場合でも、同様に使用可否の判定する処理を実施し、従来の問題点を解消することができる。
【0037】
「判定処理フロー」
システム制御ユニット41が行う記録用紙の使用可否を判定する処理の手順について説明する。
本実施形態の複合機1では、用紙属性としての用紙の長さ、厚さ、材質(紙種)の検出を、上述のように、スキャナのコンタクトガラス11上に定置された用紙をスキャナ読取りやメディアセンサにより検知することにより実施する。
【0038】
このため、用紙をコンタクトガラス11上に定置する操作をユーザーが行うことが前提となる。なお、複写機能を利用する場合、複写原稿と同じサイズの用紙を出力に用いるのであれば、複写原稿のスキャナ読み取りにおけると同様の手順でコンタクトガラス11上に複写原稿をセットすればよい。
コンタクトガラス11上への用紙のセット後、記録用紙の使用可否の判定(以下「用紙チェック」という)の実行がユーザーによって指示されたことを条件に用紙チェックを行う。このユーザー指示は、圧板12の開→閉のイベントが発生したときに、原稿読み取りを行うか、又は用紙チェックを行うかを判断し、いずれかの処理手順に移行することを必要とするからである。
【0039】
用紙チェックの処理フローの実施形態として、以下には、二様の形態を例示する。
〈実施形態1〉は、使用予定の用紙から用紙属性としての用紙の長さ、厚さ、材質(紙種)を検出し、得られた検出結果が予め定められた使用可能範囲の用紙属性に該当するか否かを判定するチェックを掛ける用紙チェックの基本動作に係るものである。
また、〈実施形態2〉は、〈実施形態1〉を基本に、複合機1の給紙トレイに既にセットされている用紙の用紙属性を使用可能範囲の用紙属性として、使用予定の用紙が給紙トレイから給紙できるか否かをチェックする動作に係るものである。
以下、〈実施形態1〉及び〈実施形態2〉について、処理フローを参照しつつ、詳細に説明する。
【0040】
〈実施形態1〉
図3は、本実施形態における用紙チェックの処理フローを示す図である。
システム制御ユニット41は、例えば、圧板12の閉→開のイベント等、画像読取ユニット2の使用開始につながる何らかのイベントが生じたことを検知したときに図3の処理フローを起動する。
図3の処理フローが起動されると、先ず、用紙チェックの実行が指示されたか否かを確認する。
【0041】
この実施形態では、用紙チェックの実行指示は、操作部ユニット42と協働する画像表示ユニット43に表示する入力画面に対するユーザーの操作によって与えられるので、この操作が行われたことを検知することで、実行指示を受け取る。
図5は、本実施形態において、操作部に表示する、用紙チェックの実行指示の操作が可能な入力画面の一例を示す図である。図5の入力画面431には、「用紙使用可否チェックモード」と題して、用紙チェックに必要なユーザーの操作手順についてのメッセージを表示するとともに、「実行する」ボタン431aと「戻る」ボタン431bを設けている。
【0042】
ユーザーは、入力画面のメッセージに従い、コンタクトガラス11上へチェック対象の用紙又は原稿をセットして、圧板12を閉じて用紙をコンタクトガラス11に押し付ける。この後、ユーザーは、用紙チェックを実行するか否かを決め、入力画面に設けたボタンの操作によってその指示を与える。
ユーザーの指示を受け取るシステム制御ユニット41は、「実行する」ボタン431aが押下されたか否かを確認する(ステップS101)。
ここで、「戻る」ボタン431bが押下され、ユーザーの指示が用紙チェックの実行指示ではないことを確認した場合(ステップS101-NO)、用紙チェックを求めていないので、直ちにこの処理フローを終了する。
【0043】
他方、「実行する」ボタン431aが押下され、ユーザーの指示が用紙チェックの実行指示であることを確認した場合(ステップS101-YES)、用紙チェックを求めているので、用紙チェックを開始し、最初の手順として、用紙の属性情報の検出を行う(ステップS102)。
この実施形態では、スキャナで用紙を読み取ることで用紙の幅、長さを検出し、また、メディアセンサで用紙を検知することで用紙の厚さ、材質(紙種)を用紙属性情報として検出する。
次いで、検出した各用紙属性が予め定められた使用可能範囲の用紙属性に該当するか否か、即ち各用紙属性が許容範囲内であるか否かを判定する。判定方法は、検出した用紙属性のいずれか一つでも許容範囲を外れた場合に、用紙の使用を不可と判定するので、各用紙属性について使用可否を順にチェックする。
【0044】
先ず、検出した用紙の幅が許容範囲として予め定められた上下限内に収まっているか否かを判定する(ステップS103)。
ここで、検出した用紙の幅が許容範囲に収まっていれば(ステップS103-YES)、次の検出した用紙の長さについて、用紙の幅におけると同様に、許容範囲内に収まっているか否かの判定をする(ステップS104)。
ここで、検出した用紙の長さが許容範囲に収まっていれば(ステップS104-YES)、さらに、検出した用紙の厚さが許容範囲内に収まっているか否かの判定をする(ステップS105)。
【0045】
ここで、検出した用紙の厚さが許容範囲に収まっていれば(ステップS105-YES)、さらに、検出した用紙の材質(紙種)が許容範囲内に収まっているか否かの判定をする(ステップS106)。用紙の材質(紙種)の場合、採用するメディアセンサが、赤外線による光学式であれば、赤外透過光量、正反射光量、紙表面凹凸の各検知結果によって材質(紙種)を判別できることを前提に、許容範囲の材質(紙種)と検知結果とを関係付けておくことにより上記の判定ができる。
ステップS106で検出した材質(紙種)が許容範囲に収まっていれば(ステップS106-YES)、チェック項目の全てが許容できると判定されたことになるので、用紙チェックの結果が使用可能であることをユーザーインターフェースとしての操作部の画像表示ユニット43でその旨の表示を行う(ステップS107)。
【0046】
図6は、ステップS107において操作部に表示する、使用可の用紙チェック結果を表示する画面の一例を示す図である。図6の表示画面432には、「用紙使用可否チェックモード」と題して、チェック結果であることを表示するとともに、「OK」ボタン432aを設けている。
図6の画面を表示した後、この画面に表示された用紙チェック結果を確認したユーザーが「OK」ボタン432aを押すと、用紙チェックの条件とした用紙属性について、その検知結果を表示する画面に切替える(ステップS109)。
【0047】
図7は、このとき、操作部に表示する、用紙チェック時に検知した用紙属性を表示する画面の一例を示す図である。図7の表示画面433には、「用紙使用可否チェックモード」と題して、検知した用紙属性を表示するとともに、「OK」ボタン433aを設けている。
図7の画面を表示した後、この画面に表示された用紙属性の検知結果を確認したユーザーによって「OK」ボタン433aが押された場合、この処理フローを終了する。
【0048】
他方、用紙の幅、長さ、厚さ、材質(紙種)の各用紙属性について、許容範囲に収まっているか否かをステップS103〜S106で判定した結果、許容範囲に収まっていない場合(ステップS103〜S106-NO)、直ちに用紙チェックの結果が使用不可であることをユーザーインターフェースとしての操作部の画像表示ユニット43でその旨の表示を行う(ステップS108)。
【0049】
図8は、ステップS108において操作部に表示する、使用不可の用紙チェック結果を表示する画面の一例を示す図である。図8の表示画面434には、「用紙使用可否チェックモード」と題して、チェック結果であることを表示するとともに、「OK」ボタン434aを設けている。
図8の画面を表示した後、この画面に表示された用紙チェック結果を確認したユーザーが「OK」ボタン434aを押すと、用紙チェックの条件とした用紙属性について、その検知結果を表示する画面に切替える。ここで切替える、検知結果を表示する画面は、上記ステップS107で使用可と判定した後の検知結果の表示におけると同様に、図7の画面433を表示する(ステップS109)。
また、図7の画面を表示した後、図7の画面に表示された用紙属性の検知結果を確認したユーザーによって「OK」ボタン433aが押された場合、この処理フローを終了する。
【0050】
上記のように、本実施形態によれば、載置台としてのコンタクトガラスに用紙を置いた状態で用紙の幅、長さ、厚さ、材質(紙種)といった用紙属性を検出するようにしたことで、用紙サイズを検出するために用紙を搬送することを条件とし、また、厚さ、材質の検出を行わずに使用可否の判定を行っていた従来の用紙属性の検出手段よりも性能を高めることができ、用紙の使用可否の判定を適正に行うとともに、この判定を行う際に搬送部で用紙がジャムを起こすことなく安定した動作が補償できる。
【0051】
〈実施形態2〉
この実施形態は、用紙の幅、長さ、厚さ、材質(紙種)といった用紙属性を検出し、検出結果が予め定められた使用可能範囲内であるか否かによって使用可否を判定する点で、上記〈実施形態1〉におけると同じである。ただ、本実施形態では、複合機1の給紙トレイに既にセットされている用紙を使用可能範囲の用紙に限定して使用可否を判定する。従って、給紙トレイにセットされた用紙の用紙属性が使用可能範囲の用紙属性となり、使用予定の用紙が給紙トレイにセットされた中にあれば使用可能であり、なければ使用不可と判定する。また、使用可能であるときには、どのトレイにセットされた用紙であるかを、トレイID(例えば、トレイ番号)によって示す形で判定結果を表すようにする。
【0052】
図4は、本実施形態における用紙チェックの処理フローを示す図である。
システム制御ユニット41は、例えば、圧板12の閉→開のイベント等、画像読取ユニット2の使用開始につながる何らかのイベントが生じたことを検知したときに図4の処理フローを起動する。
図4の処理フローが起動されると、先ず、用紙チェックの実行が指示されたか否かを確認する。
【0053】
この実施形態では、用紙チェックの実行指示は、操作部ユニット42と協働する画像表示ユニット43に表示する入力画面に対するユーザーの操作によって与えられるので、この操作が行われたことを検知することで、実行指示を受け取る。
図5は、本実施形態において、操作部に表示する、用紙チェックの実行指示の操作が可能な入力画面の一例を示す図である。図5の入力画面431には、「用紙使用可否チェックモード」と題して、用紙チェックに必要なユーザーの操作手順についてのメッセージを表示するとともに、「実行する」ボタン431aと「戻る」ボタン431bを設けている。
【0054】
ユーザーは、入力画面のメッセージに従い、コンタクトガラス11上へチェック対象の用紙又は原稿をセットして、圧板12を閉じて用紙をコンタクトガラス11に押し付ける。この後、ユーザーは、用紙チェックを実行するか否かを決め、入力画面に設けたボタンの操作によってその指示を与える。
ユーザーの指示を受け取るシステム制御ユニット41は、「実行する」ボタン431aが押下されたか否かを確認する(ステップS201)。
ここで、「戻る」ボタン431bが押下され、ユーザーの指示が用紙チェックの実行指示ではないことを確認した場合(ステップS201-NO)、用紙チェックを求めていないので、直ちにこの処理フローを終了する。
【0055】
他方、「実行する」ボタン431aが押下され、ユーザーの指示が用紙チェックの実行指示であることを確認した場合(ステップS201-YES)、用紙チェックを求めているので、用紙チェックを開始し、最初の手順として、用紙の属性情報の検出を行う(ステップS202)。
この実施形態では、スキャナで用紙を読み取ることで用紙の幅、長さを検出し、また、メディアセンサで用紙を検知することで用紙の厚さ、材質(紙種)を用紙属性情報として検出する。
次いで、検出した各用紙属性が、給紙トレイに既にセットされている用紙が使用可能な範囲の用紙属性であるか否か、即ち、各給紙トレイの用紙各々に定められた使用が許容される用紙属性の範囲内であるか否かを判定する。
【0056】
判定方法は、検出した用紙属性のいずれか一つでも許容範囲を外れた場合に、用紙の使用を不可と判定するので、各用紙属性について使用可否を順にチェックする。
また、本実施形態では、判定結果を示すとき、使用可能な用紙がセットされた給紙トレイを指定することが求められるので、各用紙属性について使用可否を順にチェックする際に、用紙のセットされた各給紙トレイについて使用可否の判定結果を管理する。この判定結果の管理により、判定処理のフローにおいて、使用不可と判定された段階で判定処理の対象外とする手順で処理を行うことが可能になり、また、給紙トレイごとに判定結果を示すことができる。
【0057】
先ず、検出した用紙の幅が各給紙トレイにセットされた用紙に対して許容範囲として予め定められた上下限内に収まっているか否か、即ち、使用可能な用紙をセットした給紙トレイがあるか否かを判定する(ステップS203)。
ここで、検出した幅を有する用紙に使用可能な用紙のセットされた給紙トレイがあれば(ステップS203-YES)、次の検出した用紙の長さについて、用紙の幅におけると同様に、使用可能な用紙のセットされた給紙トレイがあるか否かの判定をする(ステップS204)。なお、このとき、ステップS203における判定で、判定対象の一部が、使用可能な用紙のセットされた給紙トレイではないと判定された給紙トレイに対しては、後段のステップS204〜S206におけるチェックの対象から除外する。
【0058】
ステップS204で、用紙の長さについて使用可能な用紙のセットされた給紙トレイがあれば(ステップS204-YES)、さらに、検出した用紙の厚さについて、使用可能な用紙のセットされた給紙トレイがあるか否かの判定をする(ステップS205)。なお、このとき、ステップS204における判定で、判定対象の一部が、使用可能な用紙のセットされた給紙トレイではないと判定された給紙トレイに対しては、後段のステップS205,S206におけるチェックの対象から除外する。
【0059】
ステップS205で、用紙の厚さについて使用可能な用紙のセットされた給紙トレイがあれば(ステップS205-YES)、さらに、検出した用紙の材質(紙種)について、使用可能な用紙のセットされた給紙トレイがあるか否かの判定をする(ステップS206)。なお、このとき、ステップS205における判定で、判定対象の一部が、使用可能な用紙のセットされた給紙トレイではないと判定された給紙トレイに対しては、後段のステップS206におけるチェックの対象から除外する。
用紙の材質(紙種)の場合、採用するメディアセンサが、赤外線による光学式であれば、赤外透過光量、正反射光量、紙表面凹凸の各検知結果によって材質(紙種)を判別できることを前提に、許容範囲の材質(紙種)と検知結果とを関係付けておくことにより上記の判定ができる。
【0060】
ステップS206で検出した材質(紙種)について、使用可能な用紙のセットされた給紙トレイがあれば(ステップS206-YES)、チェック項目の全てが許容できると判定されたことになるので、用紙チェックの結果として、どのトレイが使用可能な用紙のセットされた給紙トレイであるかを指定して、ユーザーインターフェースとしての操作部の画像表示ユニット43を介して使用可能であることを表示する(ステップS207)。
【0061】
図9は、ステップS207において操作部に表示する、使用可否の用紙チェック結果を表示する画面の一例を示す図である。図9の表示画面435には、「用紙使用可否チェックモード」と題して、チェック結果を表示するとともに、「OK」ボタン435aを設けている。図9の例では、チェック結果の表示は、「トレイ番号1,2,3」及び「手差しトレイ」と給紙トレイを表示し、給紙トレイごとに「使用可能」又は「使用不可」を示す。ここでは、各給紙トレイのチェック結果を「使用可能」又は「使用不可」という語句で表しているが、この表示に代えてグラフィカルな表示を採用してもよい。
図9の画面を表示した後、この画面に表示された用紙チェック結果を確認したユーザーが「OK」ボタン435aを押すと、用紙チェックの条件とした用紙属性について、その検知結果を表示する画面に切替える(ステップS209)。
【0062】
図7は、このとき、操作部に表示する、用紙チェック時に検知した用紙属性を表示する画面の一例を示す図である。図7の表示画面433には、「用紙使用可否チェックモード」と題して、検知した用紙属性を表示するとともに、「OK」ボタン433aを設けている。
図7の画面を表示した後、この画面に表示された用紙属性の検知結果を確認したユーザーによって「OK」ボタン433aが押された場合、この処理フローを終了する。
【0063】
一方、幅、長さ、厚さ、材質(紙種)の各用紙属性の用紙について、使用可能な用紙のセットされた給紙トレイがあるか否かをステップS203〜S206で判定した結果、判定対象の給紙トレイ全部が使用可能な用紙のセットされた給紙トレイではない場合(ステップS203〜S206-NO)、直ちに用紙チェックの結果が使用不可であることをユーザーインターフェースとしての操作部の画像表示ユニット43でその旨の表示を行う(ステップS208)。本実施形態では、上記ステップS207において、図9によって説明した使用可否の用紙チェック結果の表示画面435と共通の画面によって使用不可の表示を行う。なお、図9の表示画面435については、先の記載を参照することとし、ここでは、説明を省略する。
【0064】
図9の画面を表示した後、この画面に表示された用紙チェック結果を確認したユーザーが「OK」ボタン435aを押すと、用紙チェックの条件とした用紙属性について、その検知結果を表示する画面に切替える。ここで切替える、検知結果を表示する画面は、上記ステップS207で使用可能と判定した後の検知結果の表示におけると同様に、図7の画面433を表示する(ステップS209)。
また、図7の画面を表示した後、図7の画面に表示された用紙属性の検知結果を確認したユーザーによって「OK」ボタン433aが押された場合、この処理フローを終了する。
【0065】
上記のように、本実施形態によれば、載置台としてのコンタクトガラスに用紙を置いた状態で用紙の幅、長さ、厚さ、材質(紙種)といった用紙属性を検出するようにしたことで、上記実施形態1と同様に、用紙の使用可否の判定を適正に行うとともに、この判定を行う際に搬送部で用紙がジャムを起こすことなく安定した動作が補償できる。
さらに、ユーザーが使用可能と判定された用紙を用いて印刷を操作部から指示するときに、どの給紙トレイを用いるかを示すことにより、確実に所望の出力を得ることができる。例えば、本体内の給紙トレイの用紙を用いることができないが、手差しトレイからであれば使用可能な用紙であるといったケースにおいて有用である。
【符号の説明】
【0066】
1・・複合機、2・・画像読取ユニット、3・・画像書込ユニット、4・・画像形成ユニット、5・・給紙ユニット、6・・手差しユニット、41・・システム制御ユニット、42・・操作部ユニット、43・・画像表示ユニット、44・・複写機機構部、45・・画像処理ユニット。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2008−214036号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の記録用紙に画像を形成する画像形成装置であって、
載置台に置いた状態の記録用紙から用紙属性を検出する用紙属性検出手段と、
記録用紙として使用可能な用紙属性の範囲を記憶する用紙属性記憶手段と、
使用予定の用紙を前記用紙属性検出手段によって検出し、検出された用紙属性が前記用紙属性記憶手段に記憶された使用可能な用紙属性の範囲に該当するか否かを判定する用紙使用可否判定手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
所定の記録用紙に画像を形成する画像形成装置であって、
ユーザーインターフェースを介して入力された記録用紙の用紙属性を取得する用紙属性取得手段と、
記録用紙として使用可能な用紙属性の範囲を記憶する用紙属性記憶手段と、
使用予定の記録用紙について入力された用紙属性を前記用紙属性取得手段によって取得し、取得された用紙属性が前記用紙属性記憶手段に記憶された使用可能な用紙属性の範囲に該当するか否かを判定する用紙使用可否判定手段と
を有する画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記用紙使用可否判定手段の判定結果を報知する手段
を有する画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、
搬送手段により所定方向を向いた搬送状態で給紙される記録用紙に画像を形成する手段を有し、
前記記録用紙の用紙属性が前記搬送手段による搬送方向の長さである
画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、
搬送手段により所定方向を向いた搬送状態で給紙される記録用紙に画像を形成する手段を有し、
前記記録用紙の用紙属性が前記搬送手段による搬送方向に直交する長さである
画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記記録用紙の用紙属性が紙厚である
画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記記録用紙の用紙属性が材質である
画像形成装置。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれかに記載された画像形成装置において、
複数の記録用紙の種類それぞれに対応する給紙部を設けるとともに、各給紙部と記録用紙の種類との関係を管理する給紙管理手段を有し、
前記用紙使用可否判定手段が可能と判定した記録用紙の種類に対応する給紙部が前記給紙管理手段によって管理された中にあるときに、該当する給紙部を指示することにより判定結果を報知する
画像形成装置。
【請求項9】
所定の記録用紙に画像を形成する画像形成装置における用紙使用可否判定方法であって、
記録用紙として使用可能な用紙属性の範囲を記憶する判定基準記憶工程と、
載置台に置いた状態の使用予定の記録用紙から用紙属性を検出する用紙属性検出工程と、
前記用紙属性検出工程で検出された用紙属性が前記判定基準記憶工程で記憶された使用可能な用紙属性の範囲に該当するか否かを判定する用紙使用可否判定工程と
を有する用紙使用可否判定方法。
【請求項10】
所定の記録用紙に画像を形成する画像形成装置における用紙使用可否判定方法であって、
記録用紙として使用可能な用紙属性の範囲を記憶する判定基準記憶工程と、
ユーザーインターフェースを介して入力された使用予定の記録用紙の用紙属性を取得する用紙属性取得工程と、
前記用紙属性取得工程で検出された用紙属性が前記判定基準記憶工程で記憶された使用可能な用紙属性の範囲に該当するか否かを判定する用紙使用可否判定工程と
を有する用紙使用可否判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−64925(P2013−64925A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204393(P2011−204393)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】