説明

画像形成装置及び画像形成システム並びに画像形成プログラム

【課題】符号パターンが印刷された原稿を、電子ペンが位置を確実に検出できるように複写する。
【解決手段】画像形成装置は、原稿画像に、電子ペンが検出可能な符号パターンが合成された元原稿をスキャンする画像入力部と、前記元原稿をスキャンして得たスキャン画像を解析して符号パターンを特定し、前記スキャン画像から符号パターンを消去する画像加工部と、符号パターンを新たに作成する画像作成部と、前記画像加工部が前記スキャン画像から符号パターンを消去した画像に、前記画像作成部が作成した符号パターンを合成する画像合成部と、前記画像合成部が合成した画像を用紙に印刷して複写原稿を出力する画像出力部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成システム並びに画像形成プログラムに関し、特に、符号パターンが合成された原稿を複写する画像形成装置及び画像形成システム並びに画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議等では、紙媒体として配布した資料に参加者が手書きでメモやコメントを書き込むことが多く、議事録を作成する時に、担当者はそれらの手書きのメモやコメントをまとめる作業を行っている。しかしながら、手書きのメモやコメントをまとめるのは煩雑であり、手間がかかることから、筆跡をデータとして出力する電子ペンが利用されるようになってきている。
【0003】
この電子ペンは、ペン先に小型カメラを搭載しており、用紙に印刷された符号パターン(例えば、アノト(登録商標)パターン)を小型カメラで読み取ることによってペン先の位置を特定し、手書きした文字や図形、絵などの筆跡を電子データとして出力するものであり、この電子ペンの利用方法に関して様々な提案がなされている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、画像形成装置で生成された座標情報と識別情報とが位置検出符号に記録されて印刷された用紙に、電子ペンで筆記された筆記情報をクライアントPCが検出し、検出された筆記情報を識別する筆記情報識別情報と用紙の識別情報を登録することにより、所望の電子文書の検索を容易にできるようにするシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−238095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、符号パターンが印刷された原稿を複数の参加者に配布する場合、画像形成装置を用いて原稿を複写することになるが、例えば、読み取り不良により符号パターンが部分的に欠落したり、Kのインクで印刷された黒のパターンがRGBとして認識されることによってYMCのインクを混合した黒に変換されたりするなど、複写の際に符号パターンの形態が変化する(すなわち、劣化する)場合があるため、複写された原稿に印刷された符号パターンを電子ペンで読み取れない虞がある。
【0007】
また、運よく符号パターンの形態を変化させずに複写できた場合であったとしても、符号パターンはドットの大きさや間隔が予め定められているため、原稿を拡大/縮小して複写した場合には、符号パターンも拡大/縮小されてしまい、電子ペンで検出できなくなってしまうという問題もあった。同様に、向きや用紙サイズを変えて複写すると、符号パターンが印刷されない領域が生じる場合があるため、その領域の位置を電子ペンで検出できなくなってしまうという問題もある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、符号パターンが印刷された原稿を、電子ペンが位置を確実に検出できるように複写することができる画像形成装置及び画像形成システム並びに画像形成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、原稿画像に、電子ペンが検出可能な符号パターンが合成された元原稿をスキャンする画像入力部と、前記元原稿をスキャンして得たスキャン画像を解析して符号パターンを特定し、前記スキャン画像から符号パターンを消去する画像加工部と、符号パターンを新たに作成する画像作成部と、前記画像加工部が前記スキャン画像から符号パターンを消去した画像に、前記画像作成部が作成した符号パターンを合成する画像合成部と、前記画像合成部が合成した画像を用紙に印刷して複写原稿を出力する画像出力部と、を備えるものである。
【0010】
また、本発明は、上記画像形成装置と、前記符号パターンを検出して手書き画像のデータを出力する電子ペンと、合成装置と、を含む画像形成システムであって、前記合成装置は、前記電子ペンから、前記元原稿及び/又は前記複写原稿上に手書きされた手書き画像のデータを取得する通信部と、前記手書き画像の座標を変換する座標変換部と、前記原稿画像と前記手書き画像とを合成した合成画像を作成するデータ合成部と、を備え、前記画像形成装置は、前記元原稿に合成された符号パターンの座標と前記複写原稿に合成した符号パターンの座標とを関連付けるテーブルを作成し、前記画像加工部が符号パターンを消去した画像若しくは当該画像の倍率及び/又は向きを変更した画像のデータと前記テーブルとを前記合成装置に送信し、前記合成装置の前記座標変換部は、前記テーブルを参照して、前記複写原稿上に手書きされた手書き画像の座標を前記元原稿上の座標に変換し、前記合成装置の前記データ合成部は、前記画像加工部が符号パターンを消去した画像若しくは当該画像の倍率及び/又は向きを変更した画像と、前記元原稿上に手書きされた手書き画像、及び/又は、前記複写原稿上に手書きされ、前記座標変換部により座標が変換された手書き画像と、を合成した合成画像を作成して前記画像形成装置に送信し、前記画像形成装置の画像出力部は、前記合成画像を用紙に印刷して合成原稿を出力するものである。
【0011】
また、本発明は、原稿画像に、電子ペンが検出可能な符号パターンが合成された元原稿を複写して複写原稿を作成する装置で動作する画像形成プログラムであって、前記装置を、前記元原稿をスキャンして得たスキャン画像を解析して符号パターンを特定し、前記スキャン画像から符号パターンを消去する画像加工部、符号パターンを新たに作成する画像作成部、前記画像加工部が前記スキャン画像から符号パターンを消去した画像に、前記画像作成部が新たに作成した符号パターンを合成する画像合成部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置及び画像形成システム並びに画像形成プログラムによれば、符号パターンが印刷された原稿を、電子ペンが位置を確実に検出できるように複写することができる。
【0013】
その理由は、画像形成装置は、原稿画像に符号パターンが合成された元原稿を読み取ると、スキャン画像から符号パターンを特定して消去した後、再度、同じ符号パターン若しくは異なる符号パターンを合成して複写原稿を作成する制御を行うため、符号パターンが正確に読み取れない場合や元原稿を拡大/縮小したり、向きや用紙サイズを変更する場合であっても、電子ペンは、複写原稿上の符号パターンを確実に検出することができるからである。
【0014】
また、元原稿に印刷された符号パターンの座標と、複写原稿に印刷される符号パターンの座標とを関連付けたテーブルを格納しておき、そのテーブルを参照して、複写原稿に対して電子ペンで手書きした画像を元原稿上の位置に座標変換することにより、元原稿や複写原稿に手書きした画像を確実に原稿画像に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施例に係る画像形成システムの概略動作を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る画像形成システムの画像形成装置、合成装置、電子ペンの構成を示すブロック図である。
【図3】アノト(登録商標)パターンの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の動作(複写原稿を作成する動作)を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る合成装置の動作(原稿画像に手書き画像を合成する動作)を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置のパネルに表示される画面(複写条件設定画面)の一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置のパネルに表示される画面(原稿読み取り指示画面)の一例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置のパネルに表示される画面(合成パターン設定画面)の一例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施例に係る元原稿及び複写原稿の座標を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係る元原稿の座標と複写原稿の座標とを対応付けるテーブルを示す図である。
【図11】本発明の第1の実施例に係る座標変換を説明する図である。
【図12】本発明の第2の実施例に係る画像形成システムの概略動作を模式的に示す図である。
【図13】本発明の第2の実施例に係る画像形成装置の動作(複写原稿を作成する動作)を示すフローチャート図である。
【図14】本発明の第2の実施例に係る合成装置の動作(原稿画像に手書き画像を合成する動作)を示すフローチャート図である。
【図15】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置のパネルに表示される画面(合成設定画面)の一例を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施例に係る元原稿及び複写原稿の座標を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施例に係る元原稿の座標と複写原稿の座標とを対応付けるテーブルを示す図である。
【図18】本発明の第2の実施例に係る座標変換を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
背景技術で示したように、原稿に符号パターンを印刷することにより、電子ペンで手書きした画像を電子データとして利用することができるが、符号パターンが印刷された原稿を複写する場合は、複写の際に、符号パターンの形態が変化することがあるため、複写された原稿上の符号パターンを電子ペンで検出できない場合が生じる。
【0017】
また、符号パターンの形態を変化させずに複写できたとしても、原稿を拡大/縮小すると符号パターンも拡大/縮小されてしまうため、複写原稿上の符号パターンを電子ペンで検出できなくなってしまう。また、向きや用紙サイズを変えて複写する場合には、符号パターンが印刷されない領域が生じる場合があるため、その領域では電子ペンで位置を検出することができない。
【0018】
そこで、本発明の一実施の形態では、原稿画像に符号パターンが合成された元原稿を複写する際、元原稿を読み取ったスキャン画像から符号パターンを特定して消去した後、再度、符号パターンを合成して、複写原稿を作成するようにする。
【0019】
その際、複写倍率が同じ場合は、元原稿と同じ符号パターンを合成した方が便利な場合もあれば、元原稿とは異なる符号パターンを合成した方が便利な場合もあることから、複写時に、同じ符号パターンを合成するか、異なる符号パターンを合成するかをユーザに選択させるようにする。
【0020】
また、元原稿と複写原稿とで異なる符号パターンを用いる場合、複写原稿に電子ペンで手書き入力しても、その手書き画像を元原稿の原稿画像に合成することができないことから、元原稿の符号パターンの座標と複写原稿の符号パターンの座標とを対応付けるテーブルを記憶しておき、そのテーブルを参照して、複写原稿に手書きした画像を座標変換して、元原稿の原稿画像や手書き画像と合成できるようにする。
【実施例1】
【0021】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る画像形成装置及び画像形成システム並びに画像形成プログラムについて、図1乃至図11を参照して説明する。図1は、本実施例の画像形成システムの概略動作を示す図であり、図2は、画像形成装置、合成装置、電子ペンの構成を示すブロック図、図3は、アノト(登録商標)パターンの一例を示す図である。また、図4及び図5は、本実施例の画像形成システムの動作を示すフローチャート図であり、図6乃至図8は、画像形成装置のパネルに表示される画面の一例を示す図である。また、図9は、元原稿及び複写原稿の座標を示す図、図10は、元原稿の座標と複写原稿の座標とを対応付けるテーブルを示す図であり、図11は、座標変換を説明する図である。
【0022】
本実施例の画像形成システム10は、図1に示すように、スキャン機能と印刷機能とを備えたMFP(Multi Function Peripheral)などの画像形成装置20と、ペン先の軌跡のデータを出力する電子ペン30と、画像形成装置20から取得した情報と電子ペン30から取得した情報とを合成するコンピュータ装置などの合成装置40と、で構成される。以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
[画像形成装置]
画像形成装置20は、原稿画像とアノト(登録商標)方式に代表される符号パターン(以下、単にパターンと呼ぶ。)とが合成されたオリジナルの原稿(元原稿50と呼ぶ。)を読み取り、読み取ったスキャン画像からパターンを消去した後、再度、パターンを合成して複製した原稿(複写原稿60と呼ぶ。)を出力すると共に、合成装置40から取得した合成画像に基づいて、原稿画像と電子ペン30で手書きした文字や図形など(手書き画像と呼ぶ。)とを合成した原稿(合成原稿70と呼ぶ。)を出力する。この画像形成装置20は、図2に示すように、制御部21、記憶部22、表示・操作部23、通信部24、画像入力部25、画像加工部26、画像作成部27、画像合成部28、画像出力部29などで構成される。
【0024】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)などで構成され、プログラムに従って画像形成装置20の各部の動作を制御する。
【0025】
記憶部22は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、各種プログラム、パターンのデータ、画像入力部25で読み取った元原稿50の原稿画像、複写に関する設定情報(倍率や用紙サイズ、向きなど)、元原稿50のパターンの座標と複写原稿60のパターンの座標とを関連付けるテーブルなどを記憶する。
【0026】
表示・操作部23は、タッチパネルなどであり、制御部21からの表示信号に従って表示部上に各種操作ボタンや装置の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。また、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として制御部21に出力する。具体的には、複写に関する設定、原稿の読み取り指示、合成パターンの設定などの操作を可能にする。
【0027】
通信部24は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、合成装置40との通信を確立する。
【0028】
画像入力部25は、原稿台上の原稿を走査する光源と、原稿により反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサやCIS(Contact Image Sensor)で構成される光電変換部と、光電変換により得られた電気信号をA/D変換するA/D変換器などで構成され、原稿台に載置された元原稿50に印刷された原稿画像及びパターンを光学的に読み取る。
【0029】
画像加工部26は、画像入力部25で読み取ったスキャン画像から原稿画像及びパターンを特定し(例えば、略一定の間隔で配置された所定の大きさのドットをパターンとして認識し、パターン以外の画像を原稿画像として特定し)、スキャン画像からパターンを消去(各ドットにその周囲と同じ色のドットを上書き)する。その際、パターンの構成(ドットの配置)に基づいて、元原稿50に印刷されているパターンを特定(パターン平面のどの領域から切り出したパターンであるかを特定)する。
【0030】
なお、本実施例では、画像加工部26がパターンを特定する構成とするが、自装置が元原稿50を印刷した場合は、元原稿50に合成したパターンは分かっているため、改めてパターンを特定する必要はない。また、他の画像形成装置が元原稿50を印刷した場合は、その画像形成装置(若しくは元原稿50に関する情報を管理するサーバなど)からパターンを特定する情報を取得してよいし、元原稿50にパターンを特定するための識別情報(例えば、パターンの座標を示す情報)が付加されている場合は、その識別情報を用いてパターンを特定してよい。
【0031】
画像作成部27は、記憶部22に記憶したパターンのデータを用いて、複写原稿60に合成するパターンを作成する。その際、ユーザの指示に従って、元原稿50と同じ座標のパターン若しくは元原稿50とは異なる座標のパターンを作成する。
【0032】
なお、画像入力部25は、元原稿50に印刷されたパターンを完全に読み取ることができない(パターンの一部が欠落する)場合もあるが、その場合は、読み取ることができたパターンを使用して元原稿50に印刷されたパターンを特定すればよい。
【0033】
画像合成部28は、画像加工部26で加工した画像(スキャン画像からパターンを除去した原稿画像)に、画像作成部27で作成したパターン(消去したパターンと同じ座標のパターン、若しくは、消去したパターンとは異なる座標のパターン)を合成する。
【0034】
画像出力部29は、電子写真方式や静電記録方式等の作像プロセスを利用した画像形成のために必要な要素、すなわち、帯電装置、感光体ドラム、露光装置、転写ローラ、転写ベルト、定着装置などで構成され、画像合成部28で合成した画像を用紙に印刷して複写原稿60を出力する。また、合成装置40から取得した合成画像(元原稿50の原稿画像と元原稿50及び/又は複写原稿60に手書きした手書き画像とを合成した画像)に基づいて、合成原稿70を出力する。
【0035】
[電子ペン]
電子ペン30は、アノト(登録商標)方式に代表されるパターンを読み取って位置情報を得る装置である。この電子ペン30は、図2に示すように、制御部31、記憶部32、操作部33、通信部34、筆記部35、画像読取部36などで構成される。
【0036】
制御部31は、CPUなどで構成され、プログラムに従って電子ペン30の各部の動作を制御する。
【0037】
記憶部32は、ROMやRAMなどで構成され、各種プログラム、パターンのデータ、筆記部35で生成した手書き画像のデータなどを記憶する。
【0038】
操作部33は、電子ペン30に設けられたスイッチやボタンなどであり、電源のON/OFF、読み取りの開始/終了、データ送信などの操作を可能にする。
【0039】
通信部34は、NICやモデムなどで構成され、Bluetooth(登録商標)に代表される短距離無線通信や有線通信により合成装置40の通信部と通信を行う。
【0040】
筆記部35は、画像読取部36で読み取ったパターンに基づいて電子ペン30の位置を特定し、電子ペン30の軌跡(位置の経時変化)を示す手書き画像のデータを生成する。
【0041】
画像読取部36は、パターンを読み取るための小型のCCDまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ビデオカメラである。
【0042】
なお、電子ペン30は、用紙に印刷されるパターンを認識してペン先の軌跡を手書き画像のデータとして出力する機能を備えていればよく、その構成や形状、通信方法などは特に限定されない。
【0043】
[合成装置]
合成装置40は、画像形成装置20から元原稿50の原稿画像のデータを取得すると共に、電子ペン30から元原稿50及び/又は複写原稿60に手書きした手書き画像のデータを取得し、それらを合成して合成画像を生成し、画像形成装置20に送信するコンピュータ装置である。この合成装置40は、図2に示すように、制御部41、記憶部42、通信部43、座標変換部44、データ合成部45などで構成される。
【0044】
制御部41は、CPUなどで構成され、プログラムに従って合成装置40の各部の動作を制御する。
【0045】
記憶部42は、ROMやRAM、HDDなどで構成され、各種プログラム、画像形成装置20から取得した元原稿50の原稿画像のデータ、電子ペン30から取得した手書き画像のデータ、元原稿50のパターンの座標と複写原稿60のパターンの座標とを関連付けるテーブルなどを記憶する。
【0046】
通信部43は、NICやモデムなどで構成され、画像形成装置20や電子ペン30との通信を確立する。
【0047】
座標変換部44は、上記テーブルを参照して、複写原稿60上の手書き画像の座標を元原稿50上の座標に変換する。
【0048】
データ合成部45は、画像形成装置20から取得した元原稿50の原稿画像と元原稿50の手書き画像や複写原稿60の手書き画像(座標変換部44で座標変換した手書き画像)とを合成して合成画像を生成する。
【0049】
なお、図1及び図2は、本実施例の画像形成システム10の一例であり、元原稿50から複写原稿60を作成し、元原稿50の原稿画像と元原稿50及び/又は複写原稿60の手書き画像とを合成した合成原稿70を作成できる限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。例えば、図1及び図2では、画像形成装置20と合成装置40とを別々の装置としたが、合成装置40の機能を画像形成装置20に持たせてもよく、その場合は、合成装置40を省略することができる。また、図1及び図2では、画像形成装置20の記憶部22に元原稿50の原稿画像、パターンの座標を対応付けるテーブルなどを記憶する構成としたが、これらの情報はサーバなどの記憶装置に記憶してもよい。
【0050】
図3は、元原稿50や複写原稿60に印刷されるアノト(登録商標)パターンの一例である。このアノト(登録商標)パターンは、0.3mm間隔の格子状に並んだドットで構成され、一つ単位は6×6の塊で、各ドットは中心点から上下左右にずれ、4パターンの情報量を持つ。従って、一つ単位の情報量は26×6×2=272になる。つまり、アノトパターンは一つ単位で272種類存在することになる。また、ドットの直径は0.05〜0.1mmであり、ドットのずれ量はドットの半径、つまり、0.025〜0.05mmになる。1inchは0.0254mであるから、最小解像度は、(0.0254m/inch)/(0.05×10-3m/dot)=508dpi、最高解像度は、(0.0254m/inch)/(0.025×10-3m/dot)=1016dpiとなる。
【0051】
次に、上記構成の画像形成システム10の動作について説明する。まず、画像形成画像形成装置20の動作(複写原稿60を作成する動作)について、図4のフローチャート図を参照して説明する。なお、以下の説明において、原稿画像とパターンとが合成された元原稿50は予め作成されているものとする。
【0052】
まず、画像形成装置20の制御部21は、元原稿50を複写する条件をユーザに設定させるために、図6に示すような複写条件設定画面80を表示・操作部23に表示させる。この複写条件設定画面80には、複写の倍率、用紙サイズ、向きなどを設定する項目が設けられており、ユーザが、各項目を設定(ここでは、倍率は等倍、用紙サイズ及び向きは元原稿と同じに設定)して確定ボタンを押下すると、制御部21は、設定された複写条件を記憶部22に記憶する。
【0053】
次に、制御部21は、図7に示すような原稿読取指示画面81を表示・操作部23に表示させる。そして、ユーザが原稿台に元原稿50をセットして、確定ボタンを押下すると、画像入力部25は、元原稿50の読み取りを行う(S101)。
【0054】
次に、画像加工部26は、画像入力部25で読み取ったスキャン画像を解析し、スキャン画像の中に、略一定の間隔で配列された所定の大きさのドットで構成されるパターンがあるかを判定する(S102)。パターンがない場合は、画像出力部29は、複写条件設定画面80で設定されたサイズの用紙にスキャン画像を印刷して(S109)、処理を終了する。
【0055】
一方、パターンがある場合は、画像加工部26は、スキャン画像からパターンを消去する(S103)。その際、スキャン画像から抽出したドットの構成からパターンを特定(パターン平面上のどの場所を切り出したパターンであるかを特定)すると共に、スキャン画像からパターンを消去した画像(すなわち、原稿画像)を特定し、それらのデータを記憶部22に記憶する。なお、スキャン画像の一部の領域でドットが欠落していても、他の領域のドットを用いてパターンを特定することは可能である。また、ここでは、スキャン画像からドットを抽出してパターンを特定する構成とするが、前述したように、元原稿50を印刷した装置や元原稿50の情報を管理するサーバなどから取得した情報に基づいてパターンを特定してもよいし、元原稿50にパターンを特定する識別情報が付加されている場合は、その識別情報からパターンを特定してもよい。
【0056】
次に、制御部21は、図8に示すような合成パターン設定画面82を表示・操作部23に表示させ、ユーザに、元原稿50と同じパターンを合成するか、元原稿50とは異なるパターンを合成するかを選択させる。そして、元原稿50と同じパターンを合成する場合(S104のNoの場合)は、画像作成部27は、画像加工部26が特定したパターンと同じ座標のパターンを新たに作成し(S105)、元原稿50とは異なるパターンを合成する場合(S104のYesの場合)は、画像作成部27は、画像加工部26が特定したパターンとは異なる座標のパターン(パターン平面上の異なる場所を切り出したパターン)を作成する(S106)。
【0057】
次に、制御部21は、元原稿50の原稿画像のデータと元原稿50及び複写原稿60のパターンの座標を関連付けるテーブルとを合成装置40に送信する(S107)。図9は、元原稿及び複写原稿のパターンの座標を示す図であり、元原稿50に印刷されたパターンは、左上の始点座標が(x_org、y_org)であり、複写原稿60に印刷されるパターンは、左上の始点座標が(x_st、y_st)であり、これらの座標を関連付けるテーブルは図10のようになる。
【0058】
次に、画像合成部28は、画像加工部26が抽出した原稿画像と、画像作成部27が作成したパターンとを合成し(S108)、画像出力部29は、合成した画像を指定された用紙に印刷して複写原稿60を作成する(S109)。
【0059】
次に、合成装置40の動作について、図5のフローチャート図を参照して説明する。なお、以下の説明において、元原稿50の原稿画像のデータ、元原稿50及び複写原稿60のパターンの座標を対応付けるテーブルは、画像形成装置20から取得して記憶部42に予め記憶されているものとする。
【0060】
ユーザが、元原稿50及び/又は複写原稿60上で、電子ペン30を用いて手書きし、手書き画像のデータの送信を指示すると、電子ペン30から通信要求を受けた合成装置40の制御部41は、通信部43を用いて、電子ペン30から手書き画像のデータ(画像読取部36で読み取ったパターンによって特定される座標が時刻に関連付けて記述されたデータ)を取得する(S201)。
【0061】
次に、制御部41は、手書き画像を1つ取り出し、その手書き画像の座標と記憶部42に記憶されている元原稿50及び複写原稿60のパターンの座標とを比較し、手書き画像が複写原稿60に記入された手書き画像であるかを判断する(S202)。複写原稿60に記入された手書き画像である場合は、予め記憶したテーブルを参照して、複写原稿60に印刷されたパターンと元原稿50に印刷されたパターンとが異なるか否かを判断する(S203)。
【0062】
複写原稿60に記入された手書き画像でない場合(S202のNoの場合)、若しくは、複写原稿60に印刷されたパターンと元原稿50に印刷されたパターンとが同じ場合(S203のNoの場合)は、データ合成部45は、元原稿50の原稿画像に、データに記述された座標に従って手書き画像を合成する(S205)。一方、複写原稿60に記入された手書き画像であり(S202のYes)、複写原稿60に印刷されたパターンと元原稿50に印刷されたパターンとが異なる場合(S203のYesの場合)は、座標変換部44は、予め記憶したテーブルを参照して、複写原稿60に記入された手書き画像の座標を元原稿50上の座標に変換し(S204)、データ合成部45は、元原稿50の原稿画像に、変換した座標に従って手書き画像を合成する(S205)。
【0063】
図11は、複写原稿60上の手書き画像の座標(x、y)と元原稿50上の座標(x'、y')との関係を示しており、合成装置40は、図10のテーブルを参照して、次式に従って複写原稿60の手書き画像の座標を元原稿50の座標に変換する。
【0064】
x'=(x-x_st)+x_org
y'=(y-y_st)+y_org
【0065】
その後、制御部41は、全ての手書き画像の処理が終了したかを判断し(S206)、未処理の手書き画像があれば、S202に戻って同様の処理を繰り返す。そして、全ての手書き画像の処理が終了したら、制御部41は、元原稿50の原稿画像に、元原稿50及び/又は複写原稿60の手書き画像を合成した合成画像のデータを、画像形成装置20に送信する(S207)。
【0066】
一方、画像形成装置20は、合成装置40から合成画像のデータを取得すると、画像出力部29は、合成画像を用紙に印刷して、元原稿50の原稿画像と、元原稿50及び/又は複写原稿60の手書き画像と、が合成された合成原稿70を作成する。
【0067】
このように、本実施例によれば、原稿画像にパターンが合成された元原稿50を複写する際に、元原稿50を読み取ったスキャン画像から一旦パターンを消去し、その後、ユーザの指示に従って、同じ座標のパターン若しくは異なる座標のパターンを合成して複写原稿60を作成するため、電子ペン30を用いて複写原稿60のパターンを確実に検出することができる。
【0068】
また、元原稿50とは異なるパターンを複写原稿60に合成することにより、電子ペン30で記入した手書き画像を容易に識別することができ、複数の原稿に記入した手書き画像を確実に合成することができる。
【実施例2】
【0069】
次に、本発明の第2の実施例に係る画像形成装置及び画像形成システム並びに画像形成プログラムについて、図12乃至図18を参照して説明する。図12は、本実施例の画像形成システムの概略動作を示す図である。また、図13及び図14は、本実施例の画像形成システムの動作を示すフローチャート図であり、図15は、画像形成装置のパネルに表示される画面の一例を示す図である。また、図16は、元原稿及び複写原稿の座標を示す図、図17は、元原稿の座標と複写原稿の座標とを対応付けるテーブルを示す図であり、図18は、座標変換を説明する図である。
【0070】
前記した第1の実施例では、元原稿50と同じものを複製する場合について記載したが、元原稿を拡大/縮小して複写原稿を作成する場合もあり、その場合は、元原稿のパターンも拡大/縮小されるため、画像形成装置20の画像入力部25でパターンを正確に読み取れたとしても、複写原稿上のパターンを電子ペン30で検出できなくなってしまう。また、元原稿の向きを変えて複写原稿を作成したり、用紙サイズを変えて複写原稿を作成したりする場合は、パターンが印刷されない領域が生じる場合があり、その領域の位置を電子ペン30で検出できなくなってしまう。
【0071】
そこで、本実施例では、元原稿を拡大/縮小したり、元原稿の向きや用紙サイズを変えた場合であっても、複写原稿上のパターンを電子ペン30で確実に検出できるようにする。具体的には、図12に示すように、画像形成装置20は、元原稿50を読み取ったスキャン画像からパターンを消去した後、原稿画像を変倍したり向きを変えたりし、その後、パターンを合成する処理を行う。若しくは、画像形成装置20は、元原稿50を読み取ったスキャン画像を変倍したり向きを変えたりしてからパターンを消去し、その後、パターンを合成する処理を行う。
【0072】
この場合、画像形成装置20の基本構成は前記した第1の実施例と同様であるが、画像加工部26は、スキャン画像からパターンを消去してから、原稿画像を変倍したり向きを変えたりする処理、若しくは、スキャン画像を変倍したり向きを変えたりしてから、パターンを消去する処理を行い、画像合成部28は、変倍したり向きを変えたりした原稿画像に画像作成部27で作成したパターンを合成する処理を行う。
【0073】
以下、本実施例の画像形成システム10の動作について説明する。まず、画像形成装置20の動作(複写原稿60を作成する動作)について、図13のフローチャート図を参照して説明する。なお、以下の説明において、原稿画像とパターンとが合成された元原稿50は予め作成されているものとする。
【0074】
まず、画像形成装置20の制御部21は、元原稿50を複写する条件をユーザに設定させるために、図6に示すような複写条件設定画面80を表示・操作部23に表示させる。そして、ユーザが、各項目を設定(本実施例では、倍率を変倍にするか、用紙サイズを変えるか、向きを変えるように設定)して確定ボタンを押下すると、制御部21は、設定された複写条件を記憶部22に記憶する。
【0075】
次に、制御部21は、図7に示すような原稿読取指示画面81を表示・操作部23に表示させる。そして、ユーザが原稿台に元原稿50をセットして、確定ボタンを押下すると、画像入力部25は、元原稿50の読み取りを行う(S301)。
【0076】
次に、画像加工部26は、画像入力部25で読み取ったスキャン画像を解析し、スキャン画像の中に、略一定の間隔で配列された所定の大きさのドットで構成されるパターンがあるかを判定する(S302)。パターンがない場合は、制御部21は、複写条件設定画面80で設定された複写条件を判別し(S303)、倍率を変更したり、向きを変えたりしない場合は、画像出力部29は、複写条件設定画面80で設定されたサイズの用紙にスキャン画像を印刷し(S317)、倍率を変更したり、向きを変えたりする場合は、画像加工部26は、スキャン画像を拡大/縮小したり、回転させたりした後(S304)、画像出力部29は、複写条件設定画面80で設定されたサイズの用紙に拡大/縮小したり、回転させたりしたスキャン画像を印刷する(S317)。
【0077】
一方、パターンがある場合は、画像加工部26は、スキャン画像からパターンを消去する(S305)。その際、スキャン画像から抽出したドットの構成からパターンを特定(パターン平面上のどの場所を切り出したパターンであるかを特定)すると共に、スキャン画像からパターンを消去した画像(すなわち、原稿画像)を特定し、それらのデータを記憶部22に記憶する。なお、スキャン画像の一部の領域でドットが欠落していても、他の領域のドットを用いてパターンを特定することは可能である。また、ここでは、スキャン画像からドットを抽出してパターンを特定する構成とするが、前述したように、元原稿50を印刷した装置や元原稿50の情報を管理するサーバなどから取得した情報に基づいてパターンを特定してもよいし、元原稿50にパターンを特定する識別情報が付加されている場合は、その識別情報からパターンを特定してもよい。
【0078】
次に、制御部21は、複写条件設定画面80で設定された倍率が等倍であるかを判断し(S306)、等倍の場合は、複写条件設定画面80で設定された向きが元原稿50を同一であるかを判断する(S307)。倍率が等倍であり、向きが元原稿50と同一の場合は、画像作成部27は、画像加工部26が特定したパターンとは異なるパターン(パターン平面上の異なる場所を切り出したパターン)を作成する(S312)。なお、倍率が等倍であり、向きが元原稿50と同一の場合に、元原稿50と同じパターンを合成してもよく、その場合は、S311で、画像加工部26が特定したパターンと同じ座標のパターンを作成すればよい。
【0079】
S306で倍率が変倍であるか、若しくは、S307で向きが元原稿50と同一でない場合は、画像加工部26は、倍率に応じてスキャン画像を拡大/縮小したり、向きに応じてスキャン画像を回転させたりする(S308)。そして、複写条件設定画面80で設定された用紙サイズが元原稿50と同一であるかを判断し(S309)、用紙サイズが同一でない場合は、元原稿50と同じパターンを使用することができないため、画像作成部27は、画像加工部26が特定したパターンとは異なる座標のパターンを作成する(S312)。
【0080】
一方、用紙サイズが同一の場合は、元原稿50と同じパターンを使用することもできるため、制御部21は、図8に示すような合成パターン設定画面82を表示・操作部23に表示させ、元原稿50と同じパターンを合成するか否かをユーザに選択させる。そして、元原稿50と同じパターンを合成する場合(S310のNoの場合)は、画像作成部27は、画像加工部26が特定したパターンと同じ座標のパターンを作成し(S311)、元原稿50とは異なるパターンを合成する場合(S310のYesの場合)は、画像作成部27は、画像加工部26が特定したパターンとは異なる座標のパターンを作成する(S312)。
【0081】
ここで、スキャン画像を拡大/縮小したり、向きを変えたりした場合は、元原稿50に印刷された原稿画像と複写原稿60に印刷される原稿画像とが異なることになり、どちらの原稿画像に手書き画像を合成することもできるため、制御部21は、図15に示すような合成設定画面83を表示・操作部23に表示させ、ユーザに、元原稿50の原稿画像に手書き画像を合成するか、複写原稿60の原稿画像に手書き画像を合成するかを選択させる。そして、複写原稿60の原稿画像に手書き画像を合成する場合(S313のNoの場合)は、複写原稿60の原稿画像のデータと元原稿50及び複写原稿60のパターンの座標を関連付けるテーブルとを合成装置40に送信し(S314)、元原稿50の原稿画像に手書き画像を合成する場合(S313のYesの場合)は、元原稿50の原稿画像のデータと元原稿50及び複写原稿60のパターンの座標を関連付けるテーブルとを合成装置40に送信する(S315)。
【0082】
図16は、元原稿及び複写原稿のパターンの座標を示す図であり、元原稿50に印刷されたパターンは、左上の始点座標が(x_org、y_org)であり、複写原稿60に印刷されるパターンは、左上の始点座標が(x_st、y_st)、右下の終点座標(x_end、y_end)であり、これらの座標と、変倍率や回転角などの複写条件とを関連付けるテーブルは図17のようになる。
【0083】
次に、画像合成部28は、画像加工部26が抽出した原稿画像と、画像作成部27が作成したパターンとを合成し(S316)、画像出力部29は、合成した画像を指定された用紙に印刷して複写原稿60を作成する(S317)。
【0084】
なお、上記フローでは、スキャン画像からパターンを消去した後、原稿画像を拡大/縮小したり、向きを変えたりしたが、この順番を逆にして、スキャン画像を拡大/縮小したり、向きを変えたりした後、パターンを消去してもよい。
【0085】
次に、合成装置40の動作について、図14のフローチャート図を参照して説明する。なお、以下の説明において、元原稿50若しくは複写原稿60の原稿画像のデータ、元原稿50及び複写原稿60のパターンの座標を対応付けるテーブルは、画像形成装置20から取得して記憶部42に予め記憶されているものとする。
【0086】
ユーザが、元原稿50及び/又は複写原稿60上で、電子ペン30を用いて手書きし、手書き画像のデータの送信を指示すると、合成装置40の制御部41は、通信部43を用いて、電子ペン30から手書き画像のデータ(画像読取部36で読み取ったパターンによって特定される座標が時刻に関連付けて記述されたデータ)を取得する(S401)。
【0087】
次に、制御部41は、手書き画像を1つ取り出し、その手書き画像の座標と記憶部42に記憶されている元原稿50及び複写原稿60のパターンの座標とを比較し、手書き画像が複写原稿60に記入された手書き画像であるかを判断する(S402)。複写原稿60に記入された手書き画像である場合は、予め記憶したテーブルを参照して、複写原稿60に印刷されたパターンと元原稿50に印刷されたパターンとが異なるか否かを判断する(S403)。
【0088】
複写原稿60に記入された手書き画像でない場合(S402のNoの場合)、若しくは、複写原稿60に印刷されたパターンと元原稿50に印刷されたパターンとが同じ場合(S403のNoの場合)は、データ合成部45は、元原稿50若しくは複写原稿60の原稿画像に、データに記述された座標に従って手書き画像を合成する(S405)。一方、複写原稿60に記入された手書き画像であり(S402のYes)、複写原稿60に印刷されたパターンと元原稿50に印刷されたパターンとが異なる場合(S403のYesの場合)は、座標変換部44は、複写原稿60に記入された手書き画像の座標を元原稿50上の座標に変換し(S404)、データ合成部45は、元原稿50若しくは複写原稿60の原稿画像に、変換した座標に従って手書き画像を合成する(S405)。
【0089】
図18は、複写原稿60上の手書き画像の座標(x、y)と元原稿50上の座標(x'、y')との関係を示しており、合成装置40は、図17のテーブルを参照して、次式に従って複写原稿60の手書き画像の座標を元原稿50の座標に変換する。
【0090】
[回転角=0]
x'=(x-x_st)/変倍率+x_org
y'=(y-y_st)/変倍率+y_org
[回転角=90]
x'=(y_end-y)/変倍率+x_org
y'=(x-x_st)/変倍率+y_org
[回転角=180]
x'=(x_end-x)/変倍率+x_org
y'=(y_end-y)/変倍率+y_org
[回転角=270]
x'=(y-y_st)/変倍率+x_org
y'=(x_end-x)/変倍率+y_org
【0091】
その後、制御部41は、全ての手書き画像の処理が終了したかを判断し(S406)、未処理の手書き画像があれば、S402に戻って同様の処理を繰り返す。そして、全ての手書き画像の処理が終了したら、制御部41は、元原稿50若しくは複写原稿60の原稿画像に、元原稿50及び/又は複写原稿60の手書き画像を合成した合成画像のデータを、画像形成装置20に送信する(S407)。
【0092】
一方、画像形成装置20は、合成装置40から合成画像のデータを取得すると、画像出力部29は、合成画像を用紙に印刷して、元原稿50若しくは複写原稿60の原稿画像と、元原稿50及び/又は複写原稿60の手書き画像と、が合成された合成原稿70を作成する。
【0093】
このように、本実施例によれば、原稿画像にパターンが合成された元原稿50を複写する際に、元原稿50を読み取ったスキャン画像から一旦パターンを消去し、原稿画像を変倍したり回転させたりした後、ユーザの指示に従って、同じ座標のパターン若しくは異なる座標のパターンを合成して複写原稿60を作成するため、電子ペン30を用いて複写原稿60のパターンを確実に検出することができる。
【0094】
また、元原稿50とは異なるパターンを複写原稿60に合成することにより、電子ペン30で記入した手書き画像を容易に識別することができ、複数の原稿に記入した手書き画像を確実に合成することができる。
【0095】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0096】
例えば、第2の実施例では、倍率、用紙サイズ、向きを変更する場合について記載したが、例えば、縦横の倍率を変えて変形する場合、複数枚の原稿を集約して複写する場合などに対しても、パターンを一旦消去して、再度、合成することにより、複写原稿60上の位置を電子ペン30で確実に検出することができる。
【0097】
また、上記実施例では、原稿画像と手書き画像を合成する処理を合成装置40で実行する場合について記載したが、画像形成装置20が電子ペン30から手書き画像のデータを取得し、原稿画像と手書き画像を合成して合成原稿70を出力する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、スキャン機能と印刷機能とを備えた画像形成装置及び当該画像形成装置を含む画像形成システム並びに当該画像形成装置で動作する画像形成プログラムに利用可能である。
【符号の説明】
【0099】
10 画像形成システム
20 画像形成装置
21 制御部
22 記憶部
23 表示・操作部
24 通信部
25 画像入力部
26 画像加工部
27 画像作成部
28 画像合成部
29 画像出力部
30 電子ペン
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 通信部
35 筆記部
36 画像読取部
40 合成装置
41 制御部
42 記憶部
43 通信部
44 座標変換部
45 データ合成部
50 元原稿
60 複写原稿
70 合成原稿
80 複写条件設定画面
81 原稿読み取り指示画面
82 合成パターン設定画面
83 合成設定画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像に、電子ペンが検出可能な符号パターンが合成された元原稿をスキャンする画像入力部と、
前記元原稿をスキャンして得たスキャン画像を解析して符号パターンを特定し、前記スキャン画像から符号パターンを消去する画像加工部と、
符号パターンを新たに作成する画像作成部と、
前記画像加工部が前記スキャン画像から符号パターンを消去した画像に、前記画像作成部が新たに作成した符号パターンを合成する画像合成部と、
前記画像合成部が合成した画像を用紙に印刷して複写原稿を出力する画像出力部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像作成部は、ユーザの選択操作に従って、前記画像加工部が特定した符号パターンと同じ符号パターン、若しくは、前記画像加工部が特定した符号パターンとは異なる符号パターンを作成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像加工部は、ユーザが設定した複写条件に従って、前記スキャン画像から符号パターンを消去した画像の倍率及び/又は向きを変更し、
前記画像作成部は、前記複写条件が用紙サイズを変更しない設定の場合は、ユーザの選択操作に従って、前記画像加工部が特定した符号パターンと同じ符号パターン、若しくは、前記画像加工部が特定した符号パターンとは異なる符号パターンを作成し、前記複写条件が用紙サイズを変更する設定の場合は、前記画像加工部が特定した符号パターンとは異なる符号パターンを作成し、
前記画像合成部は、前記画像加工部が符号パターンを消去した後に倍率及び/又は向きを変更した画像に、前記画像作成部が作成した符号パターンを合成し、
前記画像出力部は、前記画像合成部が合成した画像を、前記複写条件で設定された用紙サイズの用紙に印刷する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像加工部は、ユーザが設定した複写条件に従って、前記スキャン画像の倍率及び/又は向きを変更した後に符号パターンを消去し、
前記画像作成部は、前記複写条件が用紙サイズを変更しない設定の場合は、ユーザの選択操作に従って、前記画像加工部が特定した符号パターンと同じ符号パターン、若しくは、前記画像加工部が特定した符号パターンとは異なる符号パターンを作成し、前記複写条件が用紙サイズを変更する設定の場合は、前記画像加工部が特定した符号パターンとは異なる符号パターンを作成し、
前記画像合成部は、前記画像加工部が倍率及び/又は向きを変更した後に符号パターンを消去した画像に、前記画像作成部が作成した符号パターンを合成し、
前記画像出力部は、前記画像合成部が合成した画像を、前記複写条件で設定された用紙サイズの用紙に印刷する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の前記画像形成装置と、前記符号パターンを検出して手書き画像のデータを出力する電子ペンと、合成装置と、を含む画像形成システムであって、
前記合成装置は、
前記電子ペンから、前記元原稿及び/又は前記複写原稿上に手書きされた手書き画像のデータを取得する通信部と、
前記手書き画像の座標を変換する座標変換部と、
前記原稿画像と前記手書き画像とを合成した合成画像を作成するデータ合成部と、
を備え、
前記画像形成装置は、前記元原稿に合成された符号パターンの座標と前記複写原稿に合成した符号パターンの座標とを関連付けるテーブルを作成し、前記画像加工部が符号パターンを消去した画像若しくは当該画像の倍率及び/又は向きを変更した画像のデータと前記テーブルとを前記合成装置に送信し、
前記合成装置の前記座標変換部は、前記テーブルを参照して、前記複写原稿上に手書きされた手書き画像の座標を前記元原稿上の座標に変換し、
前記合成装置の前記データ合成部は、前記画像加工部が符号パターンを消去した画像若しくは当該画像の倍率及び/又は向きを変更した画像と、前記元原稿上に手書きされた手書き画像、及び/又は、前記複写原稿上に手書きされ、前記座標変換部により座標が変換された手書き画像と、を合成した合成画像を作成して前記画像形成装置に送信し、
前記画像形成装置の画像出力部は、前記合成画像を用紙に印刷して合成原稿を出力する、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
原稿画像に、電子ペンが検出可能な符号パターンが合成された元原稿を複写して複写原稿を作成する装置で動作する画像形成プログラムであって、
前記装置を、
前記元原稿をスキャンして得たスキャン画像を解析して符号パターンを特定し、前記スキャン画像から符号パターンを消去する画像加工部、
符号パターンを新たに作成する画像作成部、
前記画像加工部が前記スキャン画像から符号パターンを消去した画像に、前記画像作成部が新たに作成した符号パターンを合成する画像合成部、として機能させる、
ことを特徴とする画像形成プログラム。
【請求項7】
前記画像作成部は、ユーザの選択操作に従って、前記画像加工部が特定した符号パターンと同じ符号パターン、若しくは、前記画像加工部が特定した符号パターンとは異なる符号パターンを作成する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成プログラム。
【請求項8】
前記画像加工部は、ユーザが設定した複写条件に従って、前記スキャン画像から符号パターンを消去した画像の倍率及び/又は向きを変更し、
前記画像作成部は、前記複写条件が用紙サイズを変更しない設定の場合は、ユーザの選択操作に従って、前記画像加工部が特定した符号パターンと同じ符号パターン、若しくは、前記画像加工部が特定した符号パターンとは異なる符号パターンを作成し、前記複写条件が用紙サイズを変更する設定の場合は、前記画像加工部が特定した符号パターンとは異なる符号パターンを作成し、
前記画像合成部は、前記画像加工部が符号パターンを消去した後に倍率及び/又は向きを変更した画像に、前記画像作成部が作成した符号パターンを合成する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成プログラム。
【請求項9】
前記画像加工部は、ユーザが設定した複写条件に従って、前記スキャン画像の倍率及び/又は向きを変更した後に符号パターンを消去し、
前記画像作成部は、前記複写条件が用紙サイズを変更しない設定の場合は、ユーザの選択操作に従って、前記画像加工部が特定した符号パターンと同じ符号パターン、若しくは、前記画像加工部が特定した符号パターンとは異なる符号パターンを作成し、前記複写条件が用紙サイズを変更する設定の場合は、前記画像加工部が特定した符号パターンとは異なる符号パターンを作成し、
前記画像合成部は、前記画像加工部が倍率及び/又は向きを変更した後に符号パターンを消去した画像に、前記画像作成部が作成した符号パターンを合成する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−199738(P2012−199738A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62027(P2011−62027)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】