説明

画像形成装置及び電力制御方法

【課題】適切に低消費電力モードに移行することを課題とする。
【解決手段】画像形成装置10は、照度センサ11gで任意の時間帯における周囲の明るさを検知する。そして、画像形成装置10は、照度センサ11gによって検知された明るさを表す情報を記憶する。そして、画像形成装置10は、記憶された明るさを表す情報に応じて、低電力消費モードに移行する基準となる閾値を決定する。その後、画像形成装置10は、決定された閾値を用いて、低電力消費モードへの移行を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する配慮から省エネルギ化をより進める傾向が顕著になってきている。テレビやノートPC(Personal Computer)、携帯電話等では、照度センサで周辺の明るさを検知し、画面の輝度を調整することで、消費電力を低減する機能などが搭載されている。複写機やプリンタにおいても、照度センサで周辺の明るさを検知し、周辺の明るさが予め定められた閾値よりも暗くなったら機器を自動的に低消費電力モードに移行する技術が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、今までの照度センサで周辺の明るさを検知し、暗くなったら機器を自動的に低消費電力モードに移行する機能では、機器の周辺環境等によって明るさの状態が大きく変わってしまう。このため、省エネモードに移行するための閾値を予め決めることが難しく、適切に低消費電力モードに移行出来ないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、適切に低消費電力モードに移行できる画像形成装置及び電力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、任意の時間帯における周囲の明るさを検知する検知部と、前記検知部によって検知された明るさを表す情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された明るさを表す情報に応じて、低電力消費モードに移行する基準となる閾値を決定する閾値決定部と、前記閾値決定部によって決定された閾値を用いて、前記低電力消費モードへの移行を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、適切に低消費電力モードに移行できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、画像形成装置の操作部外観を示す図である。
【図3】図3は、画像形成装置の省エネ状態遷移について説明する図である。
【図4】図4は、画像形成装置の周辺の明るさの変化について説明する図である。
【図5】図5は、操作部のチルトについて説明する図である。
【図6】図6は、操作部のチルト角度と閾値の関係について説明する図である。
【図7】図7は、明るさ検知の閾値について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置及び電力制御方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
実施の形態1の画像形成装置10は、操作部11に設置された照度センサによる機器周辺の明るさを検知し、明るさのレベルが予め設定された閾値を下回った場合に、最も低消費電力なシャットダウンモードに移行する。また、画像形成装置10は、シャットダウンモード状態でも明るさ検知は継続して行い、明るさのレベルが予め設定された閾値を上回った場合、シャットダウンモードからスタンバイモードへ復帰する。
【0010】
最初に、図1を用いて、画像形成装置10の構成について説明する。図1は、実施形態の画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。
【0011】
画像形成装置10は、操作部11、コントローラ部12、エンジン部13、PSU(Power Supply Unit)14を有する。画像形成装置10は、シャットダウンモード状態では、エンジン部13、コントローラ部12の電源をOFFにし、操作部11もマイコン11cやRTC11f、照度センサ11g、復帰要因になるハードキー以外は電源をOFFにしている。
【0012】
操作部11は、画像形成装置10のユーザからの操作を受け付ける。操作部11は、LCD11a、操作部CPU11b、マイコン11c、操作部ROM11d、操作部RAM11e、RTC11f、照度センサ11g、ハードキー11hを有する。
【0013】
LCD11aは、画面表示を行なう。操作部CPU11bは、操作部11の全体制御を行う。マイコン11cは、照度センサ11g、ハードキー11h、RTC11f等の監視による省エネ移行、復帰の制御やLEDのPWM制御などを行う。また、マイコン11cには、ROM11i、RAM11jが内蔵されている。RAM11jは、照度センサ11gによって検知された明るさを表す情報を記憶する。
【0014】
マイコン11cは、RAM11jに記憶された明るさを表す情報に応じて、低電力消費モードに移行する基準となる閾値を決定する。例えば、マイコン11cは、夜間帰宅後の明るさを表す情報と日中の明るさを表す情報とをRAM11jから取得する。そして、マイコン11cは、夜間帰宅後の明るさと日中の明るさとを平均した値をシャットダウンモードへ移行する際の閾値として決定する。
【0015】
また、例えば、マイコン11cは、夜間帰宅後の明るさを表す情報と始業後の明るさを表す情報とをRAM11jから取得する。そして、マイコン11cは、夜間帰宅後の明るさと始業後の明るさとを平均した値をシャットダウンモードから復帰する際の閾値として決定する。なお、マイコン11cは、周囲の明るさを表す情報に応じて決定された閾値を、操作部11に備えられた照度センサ11gの傾いている角度に応じて、調整してもよい。
【0016】
また、マイコン11cは、決定された閾値を用いて、低電力消費モードへの移行を制御する。具体的には、マイコン11cは、照度センサ11gの出力を一定時間毎に監視し、閾値との比較を行ない、低電力消費モード(省エネモード)移行のための信号を制御する。マイコン11cは一定時間間隔で、照度センサ11gの出力をポーリングし、閾値判定を行なう。また、マイコン11cは、閾値判定学習のため照度変化状況を内蔵のRAM11jに記録していく。
【0017】
一般的にマイコン11cに内蔵されているRAM11jは容量も限られるため、スタンバイモードに復帰したタイミングで、コントローラにHDDに記録した照度データを引き渡す。シャットダウンモードが長く続き、マイコンのRAM11jの容量では照度データを記録出来なくなった場合は、マイコン11cがシャットダウンモードからの復帰要因を出して、コントローラ部12を起こすことや、コントローラ部12は起こさずに照度データの時間変化が少ない部分を間引いて記録していくなどの対応を行なう。
【0018】
操作部ROM11dは、操作部CPU11b用のROMである。操作部RAM11eは、操作部CPU11b用のRAMである。RTC11fは、時刻のカウントを行う。
【0019】
照度センサ11gは、任意の時間帯における周囲の明るさを検知する。照度センサ11gの出力は、マイコン11cのAD変換器(図示せず)に入力される。ハードキー11hは、ユーザが機器の操作を行なうためのキーである。なお、照度センサ11gは、任意の時間帯における周囲の明るさを毎日検知してもよいし、任意の時間帯における周囲の明るさを複数回検知してもよい。
【0020】
ここで、図2を用いて、操作部11の外観について説明する。図2は、画像形成装置の操作部外観を示す図である。図2に示すように、操作部11には、LCD110、各種ハードキー111、主電源LED112、照度センサ113が設けられている。
【0021】
LCD110は、操作画面の表示を行なう。また、LCD110は、タッチパネルによるソフトキー操作も可能である。各種ハードキー111は、ユーザが機器の操作を行なうためのハードキーである。
【0022】
主電源LED112は、機器の動作状態をユーザに通知するためのLEDである。照度センサ113は、明るさの検知を行うセンサであり、フォトダイオードなどが用いられる。照度センサ113は、常時明るさの監視を行なうため、常時給電されている必要がある。
【0023】
そのため、省エネ中であってもキー入力の監視やLED表示等で電源が供給されている操作部11に照度センサ113を配置すると設計上都合が良い場合が多い。また、画像形成装置10上部に照度センサ113を配置した場合には、ユーザが印刷原稿等を機器上部に置いてしまい、照度センサ113が遮られる恐れもあるため、照度センサ113は上に紙などを置かれる可能性が低い操作部11付近に配置する。
【0024】
図1の説明に戻って、コントローラ部12は、画像形成装置10全体の制御を行う。コントローラ部12は、コントローラCPU12a、コントローラASIC12b、HDD12c、コントローラRAM12d、コントローラROM12e、サブSoC12f、USB12g、Ethernet(登録商標)12hを有する。
【0025】
コントローラCPU12aは、コントローラ部12全体の制御やホストPC20から送信されたプリントデータの描画処理等を行う。コントローラASIC12bは、スキャナ部13aから送信された画像に対して、圧縮伸張、回転、編集等の処理や、コントローラRAM12dやHDD12cの制御を行う。
【0026】
HDD12cは、画像データの蓄積やジャム用バックアップ、その他機器データの蓄積を行なう。コントローラRAM12dは、コントローラCPU12a、コントローラASIC12bのワークメモリである。コントローラROM12eは、コントローラCPU12a用のROMである。
【0027】
サブSoC12fは、USBやEthernet(登録商標)といった機器のデータ入出力制御を行う。省エネ時には、コントローラASIC12bやコントローラCPU12aの電源をOFFし、サブSoC12fでネットワーク監視を行い、Ethernet(登録商標)のパケット応答などを行なう。
【0028】
USB12gは、USB用のインターフェースであり、ホストPC20と接続される。Ethernet12hは、Ethernet(登録商標)用のインターフェースであり、ホストPC20と接続される。
【0029】
エンジン部13は、原稿の読み取りや印字等を行なう。エンジン部13は、スキャナ部13aおよびプロッタ部13bを有する。スキャナ部13aは、CCDにより原稿をRGBのデジタル画像データとして読み込み、シェーディング補正や、地肌除去、固定長符号化などの画像処理を行う。プロッタ部13bは、スキャナ部13aやコントローラ部12で処理された画像の印字を行う。
【0030】
PSU14は、操作部11、コントローラ部12、及び、エンジン部13に電源供給を行う。また、画像形成装置10と接続されたホストPC20は、画像形成装置10へのプリント指示やスキャン指示などを行なう。
【0031】
次に、図3を用いて、画像形成装置の省エネ状態遷移について説明する。図3は、画像形成装置の省エネ状態遷移について説明する図である。図3に示すように、画像形成装置10は、操作部11に設置された照度センサ11gにより機器周辺の明るさを検知し、明るさのレベルが予め設定された閾値を下回った場合、最も低消費電力なシャットダウンモードに移行する。また、画像形成装置10は、シャットダウンモード状態でも明るさ検知は継続して行い、明るさのレベルが予め設定された閾値を上回った場合、シャットダウンモードからスタンバイモードへ復帰する。
【0032】
明るさ判定の閾値は、ユーザによる初期設定による設定値(マニュアル設定)や、時間連動による自動学習によって設定(自動設定)される。また、シャットダウンモードへの移行、復帰は明るさ以外にもユーザのキー操作や予めユーザが操作部から設定した時刻によっても行なわれる。
【0033】
図3に例示する各状態について説明する。「スタンバイモード」は、全ての電源系統がONで機器がすぐに使用可能な状態である。また、「エンジンOFFモード」は、エンジン部13の電源をOFFした状態である。スタンバイモードよりも低消費電力な状態になる。「コントローラOFFモード」は、コントローラCPU12aやコントローラASIC12bの電源をOFFにした状態である。ネットワーク応答のため、サブSoC12fには給電され、ホストPC20からの印刷ジョブには対応できる。
【0034】
「シャットダウンモード」は、操作部11のマイコン11c、照度センサ11g、復帰要因となるハードキー11h、主電源LED112等以外の電源を遮断した状態である。シャットダウンモードは、コントローラ部12のサブSoC12fもOFF状態となるため、ホストPC20からの印刷ジョブには対応出来ず、ネットワーク上からも機器をみることが出来ないが、もっとも低消費電力な状態となる。夜間など機器が使用されない状態はシャットダウンモードにすることで機器の消費電力を下げることが出来る。このため、各モードにおける消費電力の関係は、「スタンバイモード>エンジンOFFモード>コントローラOFFモード>シャットダウンモード」となる。
【0035】
また、各モード間の遷移条件について、図3に示す(1)〜(8)を用いて説明する。図3の(1)に示すように、ユーザによるキー操作(スリープモード移行)、タイマによる自動遷移、等により、スタンバイモードからエンジンOFFモードに移行する。
【0036】
また、図3の(3)に示すように、タイマによる自動遷移でエンジンOFFモードからコントローラOFFモードに移行する。また、図3の(2)、(4)に示すように、復帰要因(圧版開閉、DF原稿セット、ホストPCからの印刷ジョブ受信など)を検知すると、コントローラOFFモードからエンジンOFFモード、エンジンOFFモードからスタンバイモードへ移行する。
【0037】
また、図3の(5)に示すように、照度センサ(暗くなった場合)、ユーザによるキー操作(シャットダウンモード移行)、時刻により、スタンバイモードからシャットダウンモードへ移行する。但し、機器印刷動作中やユーザ操作中はシャットダウンモードへは移行しない。また、図3(6)に示すように、照度センサ(明るくなった場合)、ユーザによるキー操作、時刻により、シャットダウンモードからスタンバイモードへ移行する。また、図3の(7)、(8)に示すように、照度センサ(暗くなった場合)、時刻により、エンジンOFFモードまたはコントローラOFFモードからシャットダウンモードへ移行する。
【0038】
明るさレベルの閾値の設定については、マニュアル設定と自動設定が存在する。マニュアル設定については、ユーザが操作部11上で、閾値設定を行なう。その際、照度センサ11gで現在の明るさを操作部11上のLCD11aで表示する。また、現時点の明るさだけでなく、1日の明るさ変化を記録し、操作部11上のLCD11aに1日の明るさ変化の状態をグラフとして表示する。これらの情報はユーザが閾値を決める際の参考データとして使うことが出来る。
【0039】
一方、明るさレベルの閾値を自動設定するために、画像形成装置10は、周囲の明るさを検知し、設定された時間帯の明るさを記録する。そして、画像形成装置10は、記録された明るさ情報から明るさレベルの閾値を設定する。
【0040】
ここで、図4を用いて、画像形成装置10の周辺の明るさの変化について説明する。図4は、画像形成装置の周辺の明るさの変化について説明する図である。図4では、画像形成装置が多く設置されるオフィス環境における一日の明るさの変化についての1例を示している。一般的には、日の出前後の6時頃から明るくなり、始業時刻の9時頃に照明が点けられ更に明るくなる。昼休み時間は節電のため照明を消すため、若干暗くなる。その後日没頃から徐々に暗くなり、終業後全員が帰宅しオフィスの照明が消されると一気に暗くなる。
【0041】
一般的にオフィスに置かれる画像形成装置は始業時刻〜帰宅の時刻までの間に使用出来る状態にあれば良いため、シャットダウンモードへ移行する際の閾値は、夜間帰宅後の明るさ(図4の(1)参照)と日中(図4の(5)参照)又は日没後(図4の(6)参照)の明るさの間に閾値を設ければよい。
【0042】
また、シャットダウンモードから復帰のための閾値は、夜間帰宅後の明るさ(図4の(1)参照)又は日の出後の明るさ(図4の(2)参照)と始業後の明るさ(図4の(3)参照)の間に閾値を設定すれば良い。
【0043】
操作部11のマイコン11cは、RTC11fの時刻を元に、照度を計測し、記録しておく。あるタイミング(例えば、図4の(1)〜(6))での情報について毎日の情報を蓄積することでユーザの設置環境による明るさの変化の特性を知ることが出来る。この記録情報を元にシャットダウンモードへの移行、復帰の閾値を自動的に決定する。
【0044】
また、図4の(1)〜(6)のタイミングは、時刻であってもよいし、一定の幅を持たせた時間帯でも良い。その時間帯の間に何回か計測を行い、統計を取ることで突発的な明るさの変化による影響を減らすことが出来る。
【0045】
ここで、図4に示す(1)〜(6)の時間帯について説明する。図4の(1)に示す時間帯は、深夜、オフィスにまったく人がいないと予想される時間である。図4の(2)に示す時間帯は、日の出から始業(働いている人が出勤)までの時間である。この時間の周辺の明るさは、太陽光はあるがブラインドが閉じていたり、照明が消えたりしている。図4の(3)に示す時間帯は、業務中(午前)である。ブラインドが開き、照明も点いている。図4の(4)に示す時間帯は、昼休みの時間である。節電のため照明を消している企業も多い。図4の(5)に示す時間帯は、業務中(午後)である。図4の(6)に示す時間帯は、業務中(夜間)。この時間の周辺の明るさは、太陽光はなく、照明のみの明かりである。なお、図4に示す(1)〜(6)のタイミングは一例であり、更に細かいタイミングでデータを取ることや、ユーザ設定による追加なども可能である。
【0046】
また、操作部11の傾き角度に応じて、明るさレベルの閾値を調整するようにしてもよい。図5は、操作部のチルトについて説明する図である。近年、ユニバーサルデザインの広がりにより車椅子の人でも操作しやすいように操作部角度を操作しやすい角度に調整出来る操作部も多く存在する。図5のAが操作部11のヒンジ115を回動させ、照明センサ設置面114を上側に向けた場合で、立ったまま操作するのに適した角度になる。一方、図5のBは操作部11のヒンジ115を回動させ、照明センサ設置面114を下に向けた場合で、車椅子などに座ったままの状態で操作するのに適した角度となる。
【0047】
一般的にプリンタや複写機といった画像形成装置10が設置されるオフィスでは、照明は天井にあるので上方向からの光が多い。そのため、図5のAの状態と図5のBの状態では、オフィスの照明は同じ明るさであったとしても、図5のBの方が照度センサ11gで受光する光が少なくなってしまう。従って、図5のAの状態を基準にして、省エネ状態へ移行する閾値を決定すると、図5のBの状態にした場合に意図せずに省エネ状態に移行してしまう恐れがある。
【0048】
ここで、図6を用いて、操作部11の傾き角度に応じて、明るさレベルの閾値を調整する例について説明する。図6は、操作部のチルト角度と閾値の関係について説明する図である。操作部11に備えられた照度センサ11gの傾き角度による照度センサ11gの受光量が変わってしまう問題を解決するため、操作部11の角度を検知し、その角度に応じてスタンバイモードへ移行する閾値を変化させる。
【0049】
一般的には照明は上方向にあるため操作部11の角度が小さい状態を閾値のベースをして、角度が大きくなるにつれて元となる閾値と比べて小さな値にしていく。図6の操作部11の角度の分け方(段階)とそれに対応する比率は一例であり、実験等によってさらに適切な値を決定することもできる。例えば、図6に例示するように、操作部11の角度が「31〜60度」である場合には、元となる閾値に対して「0.9」を乗算する。
【0050】
また、操作部11の角度に対する受光量の比は、実際に機器を設置した時にその場所の環境を計測して決定することも出来る。具体的には、機器の初期設定メニューに明るさ環境設定のメニューを持つ。操作部11のGUI(LCD)でユーザに操作部11をNo1〜No7の角度で順番に傾けていくことを指示し、その際の照度を順次計測していき、測定した照度から傾きによる閾値の比を決定する。これによりユーザ設置環境に適した閾値を決めることが出来る。例えば、窓の近くに設置されている場合、横方向からの光も多くなり、操作部11の傾き角度を大きくしてもあまり受光量が減らないことも考えられるが、上記のようにその環境での明るさを測定して、閾値を決めることで操作部11の傾きによる影響を最小限に抑えることが出来る。
【0051】
このように、操作部11がチルト可能である場合には、照度に加えて傾き角度も合せて計測し、傾き角度に応じた補正を行い、操作部傾きによる影響を低減させる。
【0052】
次に、図7を用いて、明るさ検知の閾値について説明する。図7は、明るさ検知の閾値について説明する図である。図7に示すように、画像形成装置10は、照度センサ11gで検知している明るさが、シャットダウンモードへの移行閾値Aを下回った場合、シャットダウンモードへ移行する。また、照度センサ11gで検知している明るさが、シャットダウンモードからの復帰閾値Bを上回った場合は、スタンバイモードへ移行する。
【0053】
画像形成装置10は、明るさの検知処理を、ある一定時間間隔で行なう。シャットダウンモードへの移行閾値Aとシャットダウンモードからの復帰閾値Bは異なる値を設定出来る。画像形成装置10は、閾値判定では、一定間隔毎にサンプリングした結果から、数回分のサンプリングデータに対し、最小値、最大値を除いて平均値を取るなどして、ノイズ等の影響を減らすための処理を行う。
【0054】
画像形成装置10は、閾値A、Bについて、操作部11の傾きによる閾値の変動幅を持ち、現在の傾き角度に応じてその変動幅の中で最適な閾値を用いて判定を行なう。また図4で説明した通り、閾値は毎日の明るさの測定結果をフィードバックして補正を行なうため、操作部11の傾きによる変動幅を持った状態で、上下に変動する。
【0055】
上述したように、第1の実施形態における画像形成装置10によれば、任意の時間帯における周囲の明るさを検知し、検知された明るさを表す情報を記憶し、記憶された明るさを表す情報に応じて、低電力消費モードに移行する基準となる閾値を決定する。そして、画像形成装置10は、決定された閾値を用いて、低電力消費モードへの移行を適切に制御する。
【0056】
また、画像形成装置10は、周囲の明るさを表す情報に応じて決定された閾値を、照度センサ11gの傾いている角度に応じて、調整する。このため、照度センサ11gの傾きによる影響を最小限にして、低電力消費モードへの移行を適切に制御することができる。
【0057】
また、画像形成装置10は、任意の時間帯における周囲の明るさを毎日検知し、検知された毎日の明るさを表す情報を記憶し、記憶された毎日の明るさを表す情報に応じて、閾値を一日ごとに更新する。このため、常に最適な閾値を用いて、低電力消費モードへの移行を適切に制御することができる。
【0058】
また、任意の時間帯における周囲の明るさを複数回検知し、検知された複数の明るさを表す情報を記憶し、記憶された明るさを表す情報を用いて、時間帯ごとの明るさの平均を算出し、算出した各時間帯の明るさの平均に応じて、閾値を決定する。このため、突発的な明るさの変化による影響を減らすことができ、常に最適な閾値を用いて、低電力消費モードへの移行を適切に制御することができる。
【0059】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 画像形成装置
11 操作部
11a LCD
11b 操作CPU
11c マイコン
11d 操作部ROM
11e 操作部RAM
11f RTC
11g 照度センサ
11h ハードキー
11i ROM
11j RAM
12 コントローラ部
12a コントローラCPU
12b コントローラASIC
12c HDD
12d コントローラRAM
12e コントローラROM
12f サブSoC
12g USB
12h Ethernet(登録商標)
13 エンジン部
13a スキャナ部
13b プロッタ部
14 PSU
20 ホストPC
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2004−170457号公報
【特許文献2】特開2002−169446号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の時間帯における周囲の明るさを検知する検知部と、
前記検知部によって検知された明るさを表す情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された明るさを表す情報に応じて、低電力消費モードに移行する基準となる閾値を決定する閾値決定部と、
前記閾値決定部によって決定された閾値を用いて、前記低電力消費モードへの移行を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記閾値決定部は、前記周囲の明るさを表す情報に応じて決定された閾値を、検知部の傾いている角度に応じて、調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知部は、任意の時間帯における周囲の明るさを毎日検知し、
前記記憶部は、前記検知部によって検知された毎日の明るさを表す情報を記憶し、
閾値決定部は、前記記憶部に記憶された毎日の明るさを表す情報に応じて、前記閾値を一日ごとに更新することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記任意の時間帯における周囲の明るさを複数回検知し、
前記記憶部は、前記検知部によって検知された複数の明るさを表す情報を記憶し、
前記閾値決定部は、前記記憶部に記憶された明るさを表す情報を用いて、時間帯ごとの明るさの平均を算出し、算出した各時間帯の明るさの平均に応じて、前記閾値を決定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置で実行される電力制御方法であって、
前記画像形成装置は、周囲の明るさを表す情報を記憶する記憶部を備え、
任意の時間帯における周囲の明るさを検知する検知工程と、
前記記憶部に記憶された明るさを表す情報に応じて、低電力消費モードに移行する基準となる閾値を決定する閾値決定工程と、
前記閾値決定工程によって決定された閾値を用いて、前記低電力消費モードへの移行を制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする電力制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−59963(P2013−59963A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201178(P2011−201178)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】