画像形成装置
【課題】 左右側板の間隔を出来るだけ小さくすることによって画像形成装置本体を小型化してスペース効率の良い画像形成装置をユーザーに提供する。また、トナーカートリッジの感光体ドラムを本体装着時まで保護する開閉式シャッター部材の動作機構によって、画像形成装置の左右側板が傷付くのを防止し、トナーカートリッジ装着時に引っ掛かり感なく、円滑に装着できるようにして、ユーザービリティーに優れた画像形成装置をユーザーに提供する。更に、画像形成装置本体の剛性低下を防止し騒音、振動を低減させた高画質の画像形成装置をユーザーに提供する。
【解決手段】 画像形成装置にトナーカートリッジを装着する構成において、トナーカートリッジのシャッター部材動作機構が左右側板と摺擦する部分を摺擦面として構成し、摺擦面と左右側板内面の高さが略同じになるように摺擦面を配置する部分の左右側板に絞り曲げ加工を施す。
【解決手段】 画像形成装置にトナーカートリッジを装着する構成において、トナーカートリッジのシャッター部材動作機構が左右側板と摺擦する部分を摺擦面として構成し、摺擦面と左右側板内面の高さが略同じになるように摺擦面を配置する部分の左右側板に絞り曲げ加工を施す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交換式トナーカートリッジを有する、複写機、ファクシミリ、プリンタおよびこれらの複合機器等画像形成装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置を図4および図5で説明する。
【0003】
ここでは画像形成装置本体AにトナーカートリッジBを装着するまでの動作および構成を説明する。
【0004】
図4、5はトナーカートリッジBを装着する前の画像形成装置本体Aの斜視図および装着後の詳細断面図である。本体枠体は薄板金製の左側板1と右側板2で樹脂製の本体フレーム3を挟んで構成している。左側板1にはトナーカートリッジB案内用の上ガイドレール4と下ガイドレール5が取り付けられており、下ガイドレール5で本体基準位置10に構成される凹部がトナーカートリッジB装着時の位置決め部である。
【0005】
一方、図6、図7は画像形成装置Aに着脱可能に装着するトナーカートリッジBの斜視図である。トナーカートリッジBの側面には本体Aとの位置決め軸12と回転止め軸13を有する。また、反対側面も同様の軸を有する。さらに、開閉可能なドラムシャッター14がシャッターバネ15によって常時閉まる方向に付勢されながら回動可能に支持され、シャッターバネ15はトナーカートリッジB側面に回動可能に支持されている。図7はドラムシャッター14が開放された状態を説明する図であり、実際の動作は図8に示す作動断面図で説明する。
【0006】
トナーカートリッジBを画像形成装置Aに装着すると、トナーカートリッジBの位置決め軸12は下ガイドレール5の上面を通り本体内に案内装着される。このとき、左右の位置決め軸12と略同じ幅で構成されるシャッターバネ凸部16は下ガイドレール5の正面に当接する(図8(a))。トナーカートリッジBをそのまま装着すると、シャッターバネ15が回動してドラムシャッター14が感光体ドラム17を開放する(図8(b))。更にシャッターバネ15が回動すると、シャッターバネ凸部16は下ガイドレール5の正面から上面に乗り上げる位置となる(図8(c))。そのままトナーカートリッジBが本体側位置決め部10に装着されると、ドラムシャッター凸部16は位置決め軸12と同じく下ガイドレール5の上面を通るように案内される(図8(d))。このとき、シャッターバネ凸部16が左右側板と摺擦して傷を付けないように、シャッターバネ凸部16と左右側板の当接面には摺擦部材7が取り付けられている。
【0007】
以上の動作によって、ドラムシャッター14は開放されて退避し、トナーカートリッジBの感光体ドラム17が転写ローラ11に当接可能となり、画像形成装置Aは動作可能となる。
【0008】
従来例としては、例えば、特許文献1がある。
【特許文献1】特開平07−020762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の画像形成装置は以下に挙げる課題があった。
【0010】
第一の課題として、下ガイドレール部材を利用してトナーカートリッジのシャッターバネを回動させてドラムシャッターを開閉させる構成であるため、トナーカートリッジ端面の左右位置決め軸で決定する全幅と、シャッターバネ凸部の左右端面長さで決定する幅は略等しく構成しないと下ガイドレールからの脱落等が発生する可能性がある。
【0011】
しかしながら、従来例の様に、左右側板に各摺擦部材が取り付けられる場合、左右側板間距離はトナーカートリッジ全幅と摺擦部材の幅で決まってしまう。これによって、画像形成装置本体を小型化できず、外装等の部品も大きくなってしまうため、材料費も掛かってしまい、結果的に製品コストがアップしてしまう問題があった。
【0012】
第二の課題として、従来例の様に、左右側板に各ガイドレールと各摺擦部材が取り付けられると、ガイドレールと摺擦部材は近接させて設けなければならないが、隙間や段差が発生するため、トナーカートリッジの位置決め軸や、シャッターバネ凸部が引っ掛かったり、装着しづらかったりする問題があった。
【0013】
第三の課題として、摺擦部材を左右側板に取り付けると左右側板間距離が大きくなってしまうため、左右のトナーカートリッジ着脱部のみを樹脂成型した側壁部品で別部材として構成し、左右側板部をカットして取り付けることにより、側壁部品で構成した摺擦部材内面高さと左右側板内面高さを略同一に構成して、左右側板間距離がトナーカートリッジ幅に対して大きくならないように構成した例もある。
【0014】
しかしながら、この場合、左右側板と樹脂成型の左右側壁が別部品となるため、本体剛性が低下し、本体稼動時の振動に伴う騒音や画質の悪化が懸念されるという問題があった。
【0015】
本発明は上記問題を鑑みてなされたもので、その目的とするところは、第一に、トナーカートリッジに対する画像形成装置本体の幅が小さく、小型で安価画像形成装置を提供することにある。
【0016】
第二に、トナーカートリッジを画像形成装置本体に装着する際に、シャッターバネによって左右側板にキズが付くことなく、またトナーカートリッジが引っ掛かることなく滑らかに本体装着できる、ユーザービリティーに優れた画像形成装置を提供することにある。
【0017】
第三に、剛性に優れ、左右側板の変形や枠体のゆがみが発生しにくいことによって、振動や騒音を抑制した低騒音、高画質に優れた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本出願に係る第1の発明は、画像形成装置本体に着脱可能な交換式トナーカートリッジを装着し、前記トナーカートリッジの感光体ドラムを保護するシャッター部材が開閉可能であり、前記トナーカートリッジを前記画像形成装置本体に着脱することにより、前記シャッター部材が開閉する画像形成装置において、前記画像形成装置に前記トナーカートリッジを案内するガイド部材と、前記ガイド部材が取り付けられる本体側板と、前記トナーカートリッジに設けられた前記シャッター部材と、前記シャッター部材を付勢しながら前記トナーカートリッジと連結させるアーム部材と、前記アーム部材が幅方向に摺擦する摺擦部材を有し、前記摺擦部材の幅方向内面高さが前記本体側板内面と略同一となるように、前記本体側板の前記摺擦部材が取り付けられる部分に絞り曲げ加工が施されていることを特徴とする。
【0019】
上記構成において、画像形成装置の左右側板に摺擦部材を取り付ける部分を絞り曲げ加工することによって、摺擦部材の本体幅方向内面高さは左右側板の内面高さと略同じになるように作用する。
【0020】
次に、上記目的を達成するため、本出願に係る第2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記摺擦部材と前記ガイド部材が一体で構成されたことを特徴とする。
【0021】
上記構成において、摺擦部材とガイド部材はトナーカートリッジを装着する際に、トナーカートリッジの位置決め軸およびアーム部材が両部材の継ぎ目や隙間に引っ掛かったり、脱落したりしないように作用する。
【0022】
次に、上記目的を達成するため、本出願に係る第3の発明は、請求項1から2に記載の画像形成装置において、前記摺擦部材と前記ガイド部材が摺動性のある成型樹脂部品で構成されたことを特徴とする。
【0023】
上記構成において、摺擦部材とガイド部材はトナーカートリッジを装着する際に、トナーカートリッジの位置決め軸およびアーム部材を引っ掛かり無く、円滑に本体に装着させるように作用する。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本出願に係る第1の発明によれば、画像形成装置本体にトナーカートリッジを装着する際に、トナーカートリッジのドラムシャッター部材を動作させるアーム部材の端面が左右側板と摺擦する摺擦部材の内面高さが左右側板内面高さと略同じになるように左右側板の一部に絞り曲げ加工を施すことによって、トナーカートリッジの全幅に対して、左右側板間距離が最小になるように構成できる。
【0025】
これによって、画像形成装置本体全幅を小型化することができ、使用する部品のサイズも小型化できるので、材料費も削減でき、ユーザーに小型で安価な画像形成装置を提供することができる。
【0026】
次に、本出願に係る第2の発明によれば、第1の発明に加えて、摺擦部材とガイド部材を同一部材として形成することによって、摺擦部材とガイド部材の継ぎ目や隙間が無いように構成できるので、トナーカートリッジを画像形成装置本体に装着する際に、トナーカートリッジの位置決め軸やアーム部材が引っ掛かることなく円滑に装着できる。
【0027】
これによって、トナーカートリッジの本体への装着性が向上し、ユーザービリティーに優れた画像形成装置を提供することが出来る。
【0028】
また、摺擦部材とガイド部材を同一部材として形成することによって、部品加工コストや取り付け時間を削減できるため、ユーザーに安価な画像形成装置を提供することができる。
【0029】
次に、本出願に係る第3の発明によれば、第1から第2の発明に加えて、摺擦部材とガイド部材を摺動性に優れた樹脂材料で構成することによって、トナーカートリッジを画像形成装置本体に装着する際に、トナーカートリッジの位置決め軸やアーム部材が引っ掛かることなく円滑に装着できる。
【0030】
これによって、トナーカートリッジの本体への装着性が向上し、ユーザービリティーに優れた画像形成装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(実施例1)
図1から図3および図9から図11は本発明の第一の実施例に係る画像形成装置であるレーザービームプリンタAとトナーカートリッジBを説明する断面図、および斜視図である。
【0032】
図1から図3のレーザービームプリンタAにおいて、1は左側板、2は右側板、3は本体フレーム、4は上ガイドレール、5は下ガイドレール、6はクランプバネ、7は摺擦面、8は側板絞り部、9は外装ドア、10は本体基準位置、11は転写ローラである。
【0033】
次に、図9から図11のトナーカートリッジBにおいて、12は位置決め軸、13は回転止め軸、14はドラムシャッター、15はシャッターバネ、16はシャッターバネ凸部、17は感光体ドラムである。
【0034】
ここで、レーザービームプリンタAは外周に曲げ加工を施して剛性をアップさせた薄板金製の左側板1と右側板2で樹脂成型部品である本体フレーム3を挟み込んで枠体を構成している。着脱可能なトナーカートリッジBを装着する場合は図2に示すように外装ドア9を本体前方向に回動して開放する。
【0035】
左側板1には摺動樹脂製の上ガイドレール4と下ガイドレール5が取り付けられ、下ガイドレール5には凹部で形成した本体基準位置10が設けられる。本体基準位置10の上方にはクランプバネ6が取り付けられ、クランプバネ6が本体基準位置10に対して常に押圧する方向に付勢している。
【0036】
また、本発明において最も特徴的である側板絞り部8は左右側板1、2に絞り曲げ加工を施して一体で形成しており、側板絞り部8によって形成された凹部に下ガイドレール5で形成された摺擦面7を配置することによって、摺動面高さと左右側板内面高さは略同一に構成される。
【0037】
次に、トナーカートリッジBにおいては、左側面に本体との位置決めとなる位置決め軸12と回転止め軸13がある。また、右側面にも同様の回転止め軸があり、位置決め軸12の対向側には同軸の駆動伝達軸(不図示)があり、本体と連結することによって位置決め且つ駆動伝達が成される。
【0038】
また、位置決め軸12と同軸に設けられる感光体ドラム17を保護するためのドラムシャッター14が開閉可能に設けられ、ドラムシャッター14はシャッターバネ15によって常に閉まる方向に付勢されながらトナーカートリッジBの側面に連結されている。シャッターバネ15には左右に位置決め軸12と略同じ幅寸法を持つシャッターバネ凸部16が一体で構成されている。
【0039】
上記構成において、本体AにトナーカートリッジBを装着するまでの動作と作用について説明する。
【0040】
レーザービームプリンタAにトナーカートリッジBを装着すると、図11に示すように、位置決め軸12は上ガイドレール4と下ガイドレール5の間を通り、回転止め軸13は上ガイドレール4の上面に案内されて装着される。このとき、左右の位置決め軸12と略同じ幅寸法で構成されるシャッターバネ凸部16は下ガイドレール5の前面に当接する(図11(a))。トナーカートリッジBをそのまま装着すると、ドラムシャッターバネ15が回動してドラムシャッター14が感光体ドラム17を開放する(図11(b))。更にドラムシャッターバネ15が回動すると、ドラムシャッターバネ凸部16は下ガイドレール5の前面から上面に乗り上げる位置となり、位置決め軸12がクランプバネ6に当接して押圧負荷がトナーカートリッジBに挿入抵抗感として伝達する。(図11(c))。
【0041】
そのままトナーカートリッジBが本体基準位置10に装着されると、ドラムシャッターバネ凸部16は位置決め軸12と同じく下ガイドレール5の上面を通るように案内される(図11(d))。
【0042】
このとき、シャッターバネ凸部16が左右側板と摺擦して傷を付けないように、シャッターバネ凸部16と左右側板の当接面には摺擦面7が配置されるように構成されている。
【0043】
トナーカートリッジBをそのまま押し込むと図5で示す位置の本体基準位置10に位置決め軸10が落ち込み、ドラムシャッターバネ凸部16は位置決め軸12と同じく下ガイドレール5の上面を通るように案内される(図11(d))。このとき、トナーカートリッジBにはクランプバネ6からの押圧負荷抵抗と本体基準位置10への落ち込み感覚が適度なクリック感として伝達し、本体AにトナーカートリッジBが正常に装着されたことをユーザーに認識させる。
【0044】
この位置において、トナーカートリッジBの感光体ドラム17は転写ローラ11と当接し、画像形成装置本体Aは動作可能となる。
【0045】
以上のように、左右側板に絞り曲げ加工を施し、トナーカートリッジのシャッターバネ凸部が摺擦する摺擦面を絞り加工部に配置することによって、シャッターバネが左右側板を傷付けることが防止でき、トナーカートリッジの着脱が円滑に行うことができユーザービリティーに優れた本体を提供できる。
【0046】
また、シャッターバネ凸部が摺擦する摺擦面を左右側板内面と略同一高さにすることによって、本体の左右側板間隔をトナーカートリッジに対して最小に設定できるので本体全幅が最小にでき、小型で安価に本体構成できる。
【0047】
更に、左右側板を切り欠くことなく摺擦面およびガイドレールを配置することができるので、本体フレーム剛性の低下が無く、低騒音、高画質の本体が提供できる。
【0048】
尚、本実施例では摺擦面とガイドレールを一体部材として構成しているが、摺擦面を有する部材とガイドレールは別部材で構成しても同様の効果である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の左側板内側部を説明する斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置を説明する斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置とトナーカートリッジを説明する詳細断面図である。
【図4】従来例の画像形成装置を説明する斜視図である。
【図5】従来例の画像形成装置とトナーカートリッジを説明する詳細断面図である。
【図6】従来例のトナーカートリッジの装着前を説明する斜視図である。
【図7】従来例のトナーカートリッジの装着後を説明する斜視図である。
【図8】従来例のトナーカートリッジを画像形成装置に装着する動作を説明する詳細断面図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係るトナーカートリッジの装着前を説明する斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施例に係るトナーカートリッジの装着後を説明する斜視図である。
【図11】本発明の第1の実施例に係るトナーカートリッジを画像形成装置に装着する動作を説明する詳細断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 左側板
2 右側板
3 本体フレーム
4 上ガイドレール
5 下ガイドレール
6 クランプバネ
7 摺擦面(摺擦部材)
8 側板絞り部
9 外装ドア
10 本体基準位置
11 転写ローラ
12 位置決め軸
13 回転止め軸
14 ドラムシャッター
15 シャッターバネ
16 シャッターバネ凸部
17 感光体ドラム
A レーザービームプリンタ本体
B トナーカートリッジ
【技術分野】
【0001】
本発明は交換式トナーカートリッジを有する、複写機、ファクシミリ、プリンタおよびこれらの複合機器等画像形成装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置を図4および図5で説明する。
【0003】
ここでは画像形成装置本体AにトナーカートリッジBを装着するまでの動作および構成を説明する。
【0004】
図4、5はトナーカートリッジBを装着する前の画像形成装置本体Aの斜視図および装着後の詳細断面図である。本体枠体は薄板金製の左側板1と右側板2で樹脂製の本体フレーム3を挟んで構成している。左側板1にはトナーカートリッジB案内用の上ガイドレール4と下ガイドレール5が取り付けられており、下ガイドレール5で本体基準位置10に構成される凹部がトナーカートリッジB装着時の位置決め部である。
【0005】
一方、図6、図7は画像形成装置Aに着脱可能に装着するトナーカートリッジBの斜視図である。トナーカートリッジBの側面には本体Aとの位置決め軸12と回転止め軸13を有する。また、反対側面も同様の軸を有する。さらに、開閉可能なドラムシャッター14がシャッターバネ15によって常時閉まる方向に付勢されながら回動可能に支持され、シャッターバネ15はトナーカートリッジB側面に回動可能に支持されている。図7はドラムシャッター14が開放された状態を説明する図であり、実際の動作は図8に示す作動断面図で説明する。
【0006】
トナーカートリッジBを画像形成装置Aに装着すると、トナーカートリッジBの位置決め軸12は下ガイドレール5の上面を通り本体内に案内装着される。このとき、左右の位置決め軸12と略同じ幅で構成されるシャッターバネ凸部16は下ガイドレール5の正面に当接する(図8(a))。トナーカートリッジBをそのまま装着すると、シャッターバネ15が回動してドラムシャッター14が感光体ドラム17を開放する(図8(b))。更にシャッターバネ15が回動すると、シャッターバネ凸部16は下ガイドレール5の正面から上面に乗り上げる位置となる(図8(c))。そのままトナーカートリッジBが本体側位置決め部10に装着されると、ドラムシャッター凸部16は位置決め軸12と同じく下ガイドレール5の上面を通るように案内される(図8(d))。このとき、シャッターバネ凸部16が左右側板と摺擦して傷を付けないように、シャッターバネ凸部16と左右側板の当接面には摺擦部材7が取り付けられている。
【0007】
以上の動作によって、ドラムシャッター14は開放されて退避し、トナーカートリッジBの感光体ドラム17が転写ローラ11に当接可能となり、画像形成装置Aは動作可能となる。
【0008】
従来例としては、例えば、特許文献1がある。
【特許文献1】特開平07−020762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の画像形成装置は以下に挙げる課題があった。
【0010】
第一の課題として、下ガイドレール部材を利用してトナーカートリッジのシャッターバネを回動させてドラムシャッターを開閉させる構成であるため、トナーカートリッジ端面の左右位置決め軸で決定する全幅と、シャッターバネ凸部の左右端面長さで決定する幅は略等しく構成しないと下ガイドレールからの脱落等が発生する可能性がある。
【0011】
しかしながら、従来例の様に、左右側板に各摺擦部材が取り付けられる場合、左右側板間距離はトナーカートリッジ全幅と摺擦部材の幅で決まってしまう。これによって、画像形成装置本体を小型化できず、外装等の部品も大きくなってしまうため、材料費も掛かってしまい、結果的に製品コストがアップしてしまう問題があった。
【0012】
第二の課題として、従来例の様に、左右側板に各ガイドレールと各摺擦部材が取り付けられると、ガイドレールと摺擦部材は近接させて設けなければならないが、隙間や段差が発生するため、トナーカートリッジの位置決め軸や、シャッターバネ凸部が引っ掛かったり、装着しづらかったりする問題があった。
【0013】
第三の課題として、摺擦部材を左右側板に取り付けると左右側板間距離が大きくなってしまうため、左右のトナーカートリッジ着脱部のみを樹脂成型した側壁部品で別部材として構成し、左右側板部をカットして取り付けることにより、側壁部品で構成した摺擦部材内面高さと左右側板内面高さを略同一に構成して、左右側板間距離がトナーカートリッジ幅に対して大きくならないように構成した例もある。
【0014】
しかしながら、この場合、左右側板と樹脂成型の左右側壁が別部品となるため、本体剛性が低下し、本体稼動時の振動に伴う騒音や画質の悪化が懸念されるという問題があった。
【0015】
本発明は上記問題を鑑みてなされたもので、その目的とするところは、第一に、トナーカートリッジに対する画像形成装置本体の幅が小さく、小型で安価画像形成装置を提供することにある。
【0016】
第二に、トナーカートリッジを画像形成装置本体に装着する際に、シャッターバネによって左右側板にキズが付くことなく、またトナーカートリッジが引っ掛かることなく滑らかに本体装着できる、ユーザービリティーに優れた画像形成装置を提供することにある。
【0017】
第三に、剛性に優れ、左右側板の変形や枠体のゆがみが発生しにくいことによって、振動や騒音を抑制した低騒音、高画質に優れた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本出願に係る第1の発明は、画像形成装置本体に着脱可能な交換式トナーカートリッジを装着し、前記トナーカートリッジの感光体ドラムを保護するシャッター部材が開閉可能であり、前記トナーカートリッジを前記画像形成装置本体に着脱することにより、前記シャッター部材が開閉する画像形成装置において、前記画像形成装置に前記トナーカートリッジを案内するガイド部材と、前記ガイド部材が取り付けられる本体側板と、前記トナーカートリッジに設けられた前記シャッター部材と、前記シャッター部材を付勢しながら前記トナーカートリッジと連結させるアーム部材と、前記アーム部材が幅方向に摺擦する摺擦部材を有し、前記摺擦部材の幅方向内面高さが前記本体側板内面と略同一となるように、前記本体側板の前記摺擦部材が取り付けられる部分に絞り曲げ加工が施されていることを特徴とする。
【0019】
上記構成において、画像形成装置の左右側板に摺擦部材を取り付ける部分を絞り曲げ加工することによって、摺擦部材の本体幅方向内面高さは左右側板の内面高さと略同じになるように作用する。
【0020】
次に、上記目的を達成するため、本出願に係る第2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記摺擦部材と前記ガイド部材が一体で構成されたことを特徴とする。
【0021】
上記構成において、摺擦部材とガイド部材はトナーカートリッジを装着する際に、トナーカートリッジの位置決め軸およびアーム部材が両部材の継ぎ目や隙間に引っ掛かったり、脱落したりしないように作用する。
【0022】
次に、上記目的を達成するため、本出願に係る第3の発明は、請求項1から2に記載の画像形成装置において、前記摺擦部材と前記ガイド部材が摺動性のある成型樹脂部品で構成されたことを特徴とする。
【0023】
上記構成において、摺擦部材とガイド部材はトナーカートリッジを装着する際に、トナーカートリッジの位置決め軸およびアーム部材を引っ掛かり無く、円滑に本体に装着させるように作用する。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本出願に係る第1の発明によれば、画像形成装置本体にトナーカートリッジを装着する際に、トナーカートリッジのドラムシャッター部材を動作させるアーム部材の端面が左右側板と摺擦する摺擦部材の内面高さが左右側板内面高さと略同じになるように左右側板の一部に絞り曲げ加工を施すことによって、トナーカートリッジの全幅に対して、左右側板間距離が最小になるように構成できる。
【0025】
これによって、画像形成装置本体全幅を小型化することができ、使用する部品のサイズも小型化できるので、材料費も削減でき、ユーザーに小型で安価な画像形成装置を提供することができる。
【0026】
次に、本出願に係る第2の発明によれば、第1の発明に加えて、摺擦部材とガイド部材を同一部材として形成することによって、摺擦部材とガイド部材の継ぎ目や隙間が無いように構成できるので、トナーカートリッジを画像形成装置本体に装着する際に、トナーカートリッジの位置決め軸やアーム部材が引っ掛かることなく円滑に装着できる。
【0027】
これによって、トナーカートリッジの本体への装着性が向上し、ユーザービリティーに優れた画像形成装置を提供することが出来る。
【0028】
また、摺擦部材とガイド部材を同一部材として形成することによって、部品加工コストや取り付け時間を削減できるため、ユーザーに安価な画像形成装置を提供することができる。
【0029】
次に、本出願に係る第3の発明によれば、第1から第2の発明に加えて、摺擦部材とガイド部材を摺動性に優れた樹脂材料で構成することによって、トナーカートリッジを画像形成装置本体に装着する際に、トナーカートリッジの位置決め軸やアーム部材が引っ掛かることなく円滑に装着できる。
【0030】
これによって、トナーカートリッジの本体への装着性が向上し、ユーザービリティーに優れた画像形成装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(実施例1)
図1から図3および図9から図11は本発明の第一の実施例に係る画像形成装置であるレーザービームプリンタAとトナーカートリッジBを説明する断面図、および斜視図である。
【0032】
図1から図3のレーザービームプリンタAにおいて、1は左側板、2は右側板、3は本体フレーム、4は上ガイドレール、5は下ガイドレール、6はクランプバネ、7は摺擦面、8は側板絞り部、9は外装ドア、10は本体基準位置、11は転写ローラである。
【0033】
次に、図9から図11のトナーカートリッジBにおいて、12は位置決め軸、13は回転止め軸、14はドラムシャッター、15はシャッターバネ、16はシャッターバネ凸部、17は感光体ドラムである。
【0034】
ここで、レーザービームプリンタAは外周に曲げ加工を施して剛性をアップさせた薄板金製の左側板1と右側板2で樹脂成型部品である本体フレーム3を挟み込んで枠体を構成している。着脱可能なトナーカートリッジBを装着する場合は図2に示すように外装ドア9を本体前方向に回動して開放する。
【0035】
左側板1には摺動樹脂製の上ガイドレール4と下ガイドレール5が取り付けられ、下ガイドレール5には凹部で形成した本体基準位置10が設けられる。本体基準位置10の上方にはクランプバネ6が取り付けられ、クランプバネ6が本体基準位置10に対して常に押圧する方向に付勢している。
【0036】
また、本発明において最も特徴的である側板絞り部8は左右側板1、2に絞り曲げ加工を施して一体で形成しており、側板絞り部8によって形成された凹部に下ガイドレール5で形成された摺擦面7を配置することによって、摺動面高さと左右側板内面高さは略同一に構成される。
【0037】
次に、トナーカートリッジBにおいては、左側面に本体との位置決めとなる位置決め軸12と回転止め軸13がある。また、右側面にも同様の回転止め軸があり、位置決め軸12の対向側には同軸の駆動伝達軸(不図示)があり、本体と連結することによって位置決め且つ駆動伝達が成される。
【0038】
また、位置決め軸12と同軸に設けられる感光体ドラム17を保護するためのドラムシャッター14が開閉可能に設けられ、ドラムシャッター14はシャッターバネ15によって常に閉まる方向に付勢されながらトナーカートリッジBの側面に連結されている。シャッターバネ15には左右に位置決め軸12と略同じ幅寸法を持つシャッターバネ凸部16が一体で構成されている。
【0039】
上記構成において、本体AにトナーカートリッジBを装着するまでの動作と作用について説明する。
【0040】
レーザービームプリンタAにトナーカートリッジBを装着すると、図11に示すように、位置決め軸12は上ガイドレール4と下ガイドレール5の間を通り、回転止め軸13は上ガイドレール4の上面に案内されて装着される。このとき、左右の位置決め軸12と略同じ幅寸法で構成されるシャッターバネ凸部16は下ガイドレール5の前面に当接する(図11(a))。トナーカートリッジBをそのまま装着すると、ドラムシャッターバネ15が回動してドラムシャッター14が感光体ドラム17を開放する(図11(b))。更にドラムシャッターバネ15が回動すると、ドラムシャッターバネ凸部16は下ガイドレール5の前面から上面に乗り上げる位置となり、位置決め軸12がクランプバネ6に当接して押圧負荷がトナーカートリッジBに挿入抵抗感として伝達する。(図11(c))。
【0041】
そのままトナーカートリッジBが本体基準位置10に装着されると、ドラムシャッターバネ凸部16は位置決め軸12と同じく下ガイドレール5の上面を通るように案内される(図11(d))。
【0042】
このとき、シャッターバネ凸部16が左右側板と摺擦して傷を付けないように、シャッターバネ凸部16と左右側板の当接面には摺擦面7が配置されるように構成されている。
【0043】
トナーカートリッジBをそのまま押し込むと図5で示す位置の本体基準位置10に位置決め軸10が落ち込み、ドラムシャッターバネ凸部16は位置決め軸12と同じく下ガイドレール5の上面を通るように案内される(図11(d))。このとき、トナーカートリッジBにはクランプバネ6からの押圧負荷抵抗と本体基準位置10への落ち込み感覚が適度なクリック感として伝達し、本体AにトナーカートリッジBが正常に装着されたことをユーザーに認識させる。
【0044】
この位置において、トナーカートリッジBの感光体ドラム17は転写ローラ11と当接し、画像形成装置本体Aは動作可能となる。
【0045】
以上のように、左右側板に絞り曲げ加工を施し、トナーカートリッジのシャッターバネ凸部が摺擦する摺擦面を絞り加工部に配置することによって、シャッターバネが左右側板を傷付けることが防止でき、トナーカートリッジの着脱が円滑に行うことができユーザービリティーに優れた本体を提供できる。
【0046】
また、シャッターバネ凸部が摺擦する摺擦面を左右側板内面と略同一高さにすることによって、本体の左右側板間隔をトナーカートリッジに対して最小に設定できるので本体全幅が最小にでき、小型で安価に本体構成できる。
【0047】
更に、左右側板を切り欠くことなく摺擦面およびガイドレールを配置することができるので、本体フレーム剛性の低下が無く、低騒音、高画質の本体が提供できる。
【0048】
尚、本実施例では摺擦面とガイドレールを一体部材として構成しているが、摺擦面を有する部材とガイドレールは別部材で構成しても同様の効果である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の左側板内側部を説明する斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置を説明する斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置とトナーカートリッジを説明する詳細断面図である。
【図4】従来例の画像形成装置を説明する斜視図である。
【図5】従来例の画像形成装置とトナーカートリッジを説明する詳細断面図である。
【図6】従来例のトナーカートリッジの装着前を説明する斜視図である。
【図7】従来例のトナーカートリッジの装着後を説明する斜視図である。
【図8】従来例のトナーカートリッジを画像形成装置に装着する動作を説明する詳細断面図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係るトナーカートリッジの装着前を説明する斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施例に係るトナーカートリッジの装着後を説明する斜視図である。
【図11】本発明の第1の実施例に係るトナーカートリッジを画像形成装置に装着する動作を説明する詳細断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 左側板
2 右側板
3 本体フレーム
4 上ガイドレール
5 下ガイドレール
6 クランプバネ
7 摺擦面(摺擦部材)
8 側板絞り部
9 外装ドア
10 本体基準位置
11 転写ローラ
12 位置決め軸
13 回転止め軸
14 ドラムシャッター
15 シャッターバネ
16 シャッターバネ凸部
17 感光体ドラム
A レーザービームプリンタ本体
B トナーカートリッジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能な交換式トナーカートリッジを装着し、前記トナーカートリッジの感光体ドラムを保護するシャッター部材が開閉可能であり、前記トナーカートリッジを前記画像形成装置本体に着脱することにより、前記シャッター部材が開閉する画像形成装置において、
前記画像形成装置に前記トナーカートリッジを案内するガイド部材と、前記ガイド部材が取り付けられる本体側板と、前記トナーカートリッジに設けられた前記シャッター部材と、前記シャッター部材を付勢しながら前記トナーカートリッジと連結させるアーム部材と、前記アーム部材が幅方向に摺擦する摺擦部材を有し、前記摺擦部材の幅方向内面高さが前記本体側板の内面高さと略同一面となるように、前記本体側板の前記摺擦部材が取り付けられる部分に絞り曲げ加工が施されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記摺擦部材と前記ガイド部材が一体で構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記摺擦部材と前記ガイド部材が摺動性のある成型樹脂部品で構成されたことを特徴とする、請求項1から2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能な交換式トナーカートリッジを装着し、前記トナーカートリッジの感光体ドラムを保護するシャッター部材が開閉可能であり、前記トナーカートリッジを前記画像形成装置本体に着脱することにより、前記シャッター部材が開閉する画像形成装置において、
前記画像形成装置に前記トナーカートリッジを案内するガイド部材と、前記ガイド部材が取り付けられる本体側板と、前記トナーカートリッジに設けられた前記シャッター部材と、前記シャッター部材を付勢しながら前記トナーカートリッジと連結させるアーム部材と、前記アーム部材が幅方向に摺擦する摺擦部材を有し、前記摺擦部材の幅方向内面高さが前記本体側板の内面高さと略同一面となるように、前記本体側板の前記摺擦部材が取り付けられる部分に絞り曲げ加工が施されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記摺擦部材と前記ガイド部材が一体で構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記摺擦部材と前記ガイド部材が摺動性のある成型樹脂部品で構成されたことを特徴とする、請求項1から2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−113114(P2006−113114A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297583(P2004−297583)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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