説明

画像形成装置

【課題】 トナー搬送パイプ部材の内周面の傷等を確認することができる構成とし、搬送部材がトナー搬送パイプ部材の内周面を擦過することによって生じる騒音や振動を低減したトナー搬送機構を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 トナー搬送パイプ部材21は二つの半円筒部材24,25から構成されており、一方の半円筒部材24には複数の嵌合爪26が形成されており、他方の半円筒部材25には前記嵌合爪26に対応する位置に嵌合部27が設けられており、これら嵌合爪26と嵌合部27を嵌合することによりトナー搬送パイプ部材21が組み立てられる。また、当接縁部24aと当接縁部25aの間にスポンジ等から成る緩衝材28が挟み込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを利用した複写機、プリンタ等の画像形成装置、特にクリーニング装置によって除去された感光体ドラム上の残留トナーを、トナー回収部へ搬送するトナー搬送機構を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを利用した画像形成装置では、感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナー像に現像し、このトナー像を記録紙に転写することにより画像形成を行っているが、この転写時に一部のトナーが転写部材へと転写されずに感光体ドラム上に残留してしまう。このような転写残トナーは次なる画像形成に悪影響を及ぼすため、クリーニングブレード等を備えたクリーニング装置によって、感光体ドラム上から除去及び回収されるようになっている。
【0003】
そして、上記クリーニング装置によって感光体ドラム上から回収された転写残トナーは、続いてトナー搬送機構により画像形成装置の下方位置に設けられたトナー回収容器へと搬送され、該トナー回収容器に溜められる様になっている。ここで、トナー搬送機構は一般的に細長く延在する樹脂等から形成されるトナー搬送パイプ部材と、このトナー搬送パイプ部材内部に回転自在に配設される金属製コイル等から成る搬送部材とから構成されており、モータ等によって前記搬送部材を回転駆動させることによって、転写残トナーがトナー搬送パイプ部材内を搬送される。
【0004】
上述のように構成されたトナー搬送機構では、トナー搬送パイプ部材内部に配設された搬送部材が回転駆動せしめられると、搬送部材がトナー搬送パイプ部材の内周面を擦過することとなるが、この時、トナー搬送パイプ部材の内周面に傷等があった場合には、傷等が原因で起こる振動等によって非常に大きな騒音が発生してしまう。そこで、特許文献1には上記トナー搬送パイプ部材を合成ゴムで形成することによって、このような騒音の原因となる振動等を吸収し、発生する騒音を低減する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2002−14587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の合成ゴムで成形されたトナー搬送パイプ部材では、トナー搬送パイプ部材を形成する合成ゴムの硬度が大きすぎると、騒音抑制効果が不充分になると共にトナー搬送パイプ部材を所要形状に成形することが困難になり、また、合成ゴムの硬度が小さすぎると、形状維持性が過小となり、トナー搬送パイプ部材の自重、内部の搬送部材及び転写残トナーの重量に起因して変形してしまうため、トナー搬送パイプ部材の材料として適した硬度を有する合成ゴムは非常に限られていた。また、合成ゴムは通常の合成樹脂に比べて高価であるため、トナー搬送パイプ部材が高コストになるという問題点もあった。
【0006】
本発明においては上述の事情に鑑み、トナー搬送パイプ部材を画像形成装置本体に組み込む前に、トナー搬送パイプ部材の内周面の傷等を容易に確認することができる構成とし、トナー搬送パイプ部材がどのような材料から成形されていても、内周面の傷等が原因で発生する騒音を未然に防止することができ、且つ、搬送部材がトナー搬送パイプ部材の内周面を擦過することによって生じる振動を軽減することができるトナー搬送パイプ部材を備えた画像形成装置を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、クリーニング装置とトナー回収容器を連繋するトナー搬送パイプ部材と、該トナー搬送パイプ部材内部に回転自在に配設された搬送部材とを有し、前記クリーニング装置によって感光体ドラム表面から除去された転写残トナーを、前記トナー回収容器に搬送するトナー搬送機構を備えた画像形成装置において、前記トナー搬送パイプ部材が二つの半円筒部材から構成されていることを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記画像形成装置において、 前記半円筒部材のうち、一方には複数の嵌合爪が形成され、他方には前記嵌合爪に対応する位置に嵌合部が形成されることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記画像形成装置において、前記二つの半円筒部材の間に緩衝材を挟み込んだことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の構成によれば、トナー搬送パイプ部材を二つの半円筒部材から構成することにより、トナー搬送パイプ部材を組み立てる前に内周面の傷等の有無を確認することができ、このような傷等がある場合に発生する騒音を未然に防止することができる。
【0011】
また本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、二つの半円筒部材の一方に嵌合爪を形成し、他方に嵌合部を形成することにより、トナー搬送パイプ部材を容易に組み立てることができ、また、組み立て後にも容易に分解し、メンテナンスを行うことができる。
【0012】
また本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像形成装置において、二つの半円筒部材の間に緩衝材を挟み込むことにより、搬送部材がトナー搬送パイプ部材の内周面を擦過することにより生じる振動を吸収し、騒音を低減することができる。また、二つの半円筒部材の隙間からのトナー漏れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の内部構造を説明するための正面断面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、内部に後述する画像形成用の各種の機器が装着された直方体状の装置本体1と、この装置本体1の上部に付設された原稿搬送装置2とを備えている。
【0015】
装置本体1内には、下部に配設された給紙部3と、この給紙部3の側方および上方に配設された用紙搬送部4と、給紙部3の上方に配設された画像形成部5と、この画像形成部5の排出側に配設された定着装置6と、これら画像形成部5および定着装置6の上方に配設された画像読取部7とが設けられている。画像形成部5および定着装置6は、装置本体1の内部で用紙搬送方向と直交する幅方向(図1の紙面に直交する方向)に細長く配設され、装置本体1内の上部において図1における右側から画像形成部5、定着装置6の順に記録紙Pの搬送方向(右から左方向)に沿って並設されている。
【0016】
前記給紙部3は、給紙カセット3aに積層載置された記録紙Pの束を、給紙ローラの回転動作によって最上位の記録紙Pから1枚ずつ用紙搬送部4に給紙するものである。かかる用紙搬送部4は、給紙部3から給紙された記録紙Pを、各種搬送ローラ対4aによって画像形成部5へ搬送し、さらに画像形成部5および定着装置6において画像形成及び定着がなされた記録紙Pを定着装置6の下流側に設けられた搬送ローラ対4aを介して用紙排出トレイ8へ排出されるようになっている。
【0017】
前記画像読取部7は、原稿の画像情報を読み取るものであり、1枚ずつの原稿を手置きで読み取らせる場合には、原稿搬送装置2を開いて装置本体1の上面に設けられたコンタクトガラス7a上に当該原稿を載置する一方、原稿束から1枚ずつを自動的に読み取らせる場合には、当該原稿束を、閉じた状態の原稿搬送装置2の給紙トレイ上に載置するようになっている。原稿束が給紙トレイ上に載置された場合は、当該原稿束から1枚ずつの原稿が自動的に順次コンタクトガラス7a上に送り込まれるようになっている。いずれの場合でもコンタクトガラス7a上に位置した原稿に、露光ランプから光が照射され、その反射光は反射鏡を介してCCDセンサ等からなる光電変換部へ導かれるようになされている。
【0018】
前記画像形成部5は、前記画像読取部7の下方に配設され、電子写真プロセスによって、記録紙P上に所定のトナー像を形成するものであり、回転可能に軸支された光導電性を有する感光体ドラム9と、この感光体ドラム9の周囲にその回転方向に沿って配設された帯電装置10、露光装置11、現像装置12、転写装置13、クリーニング装置14及び除電装置15を備えている。
【0019】
前記定着装置6は、上記画像形成部5の用紙搬送方向の下流側に配置され、画像形成部5においてトナー像の転写された記録紙Pを、加熱ローラ16と加圧ローラ17とからなる一対の定着ローラに挟持させて加熱し、記録紙P上のトナー像を当該記録紙Pに定着させるものである。
【0020】
以下、このように構成された装置本体1の基本的な動作を説明する。まず、図1で時計方向に回転する感光体ドラム9の表面が帯電装置10によって一様に帯電され、引き続き前記画像読取部7で読み取られた画像情報に基づいて露光装置11(レーザー装置等)からのレーザービームが感光体ドラム9の表面に照射され、これによって感光体ドラム9の周面に静電潜像が形成される。この静電潜像に現像装置12から現像剤としてのトナーが供給されることによりトナー像が形成される。
【0021】
ついで、給紙部3内に収納された記録紙Pが、用紙搬送部4を通って感光体ドラム9のトナー像形成タイミングに合わせて搬送され、ここで転写ローラ等からなる転写装置13により感光体ドラム9の表面のトナー像が記録紙Pに転写される。そして、トナー像が転写された記録紙Pは感光体ドラム9から分離され、定着装置6に向けて搬送され、加熱ローラ16および加圧ローラ17間を通過することによる加熱処理でトナー像が定着される。定着装置6を通過した記録紙Pは、搬送ローラ対4aを経て用紙排出トレイ8へ排出される。
【0022】
そして、トナー像の記録紙Pへの転写処理が完了した感光体ドラム9は、次の画像形成に備えてクリーニング装置14で表面に残留している転写残トナーが取り除かれた後、除電装置15で残留電荷を除去する除電処理が施され、その後、帯電装置10により再び周面に帯電処理が施される。
【0023】
次に図2〜図4を参照して、転写残トナーの搬送機構について説明する。図2はクリーニング装置14の断面図(図1の矢視A−A線断面図)である。図3は上記装置本体1において、前記クリーニング装置14からトナー搬送パイプ部材21を経てトナー回収容器22に至るまでの構成を示した透視図であり、(a)は装置本体1の正面透視図、(b)は図1に矢印Bで示す方向からの側面透視図である。図4はトナー搬送パイプ部材21を分解した状態を示す斜視図である。
【0024】
図2に示すように、クリーニング装置14はハウジング14a内に、感光体ドラム9表面の長手方向に線接触するように配設されたクリーニングブレード18と、ハウジング14a内に回転可能に支持されたスパイラル19を備えており、該スパイラル19は支軸19aと、その周りに設けられた螺旋羽19bとから構成され、該スパイラル19の支軸19aの手前側端部はハウジング14aを貫通して突出しており、突出端部は図示しない駆動手段と接続されている。そして、ハウジング14aの奥端面には、スパイラル19の奥側端部と対応する位置に排出孔14bが形成されている。
【0025】
クリーニング装置14の奥方向には、隣接するように直方体状の連結部材20が配置されている。連結部材20のハウジング14aとの当接面には、前記排出孔14bと対応する位置に導入孔20aが設けられている。また、連結部材20の下面は全面が開口となっており、下流端部にトナー搬送パイプ部材21の上流側端部21aが嵌合されることにより、該連結部材20を介して、クリーニング装置14にトナー搬送パイプ部材21が連繋されている。
【0026】
ここで、連結部材20とトナー搬送パイプ部材21の嵌合部には図示しないシャッター部材が配設されており、該シャッター部材は、連結部材20の下流端部にトナー搬送パイプ部材21が嵌合されていない場合には閉じられ、トナー搬送パイプ部材21を嵌合すると開くようになっており、トナー搬送パイプ部材21が嵌合されていない場合に、転写残トナーが装置本体1内に飛散しないように構成されている。
【0027】
トナー搬送パイプ部材21は円筒状部材を略L字状に湾曲させたものであり、その上流側端部21aは断面が長方形状となるように成形されており、前述したように前記連結部材20の下流端部に嵌合されている。そして、トナー搬送パイプ部材21の下流側端部21bは、装置本体1の背面側下方位置に設けられたトナー回収容器22の上面付近に設けられた開口部へと挿入されている。また、トナー搬送パイプ部材21の内部には金属製コイル等から成る搬送部材23が回転自在に配設されており、該搬送部材23の上流端部23aは前記連結部材20の上面を貫通して突出しており、該上流端部23aには図示しない駆動手段が接続されている。
【0028】
更に、図4を参照してトナー搬送パイプ部材21について詳しく説明する。トナー搬送パイプ部材21は図4に示すような二つの半円筒部材24,25から構成されており、これらの半円筒部材24,25のそれぞれの両側端部には、当接縁部24a,25aが一体成形されている。一方の半円筒部材24には複数の嵌合爪26が形成されており、他方の半円筒部材25には前記嵌合爪26に対応する位置に嵌合部27が設けられており、これら嵌合爪26と嵌合部27を嵌合することにより、トナー搬送パイプ部材21を組み立てることができるようになっており、また、組み立て時には、当接縁部24aと当接縁部25aの間にスポンジ等から成る緩衝材28が挟み込まれている。
【0029】
以上のように構成されたトナー搬送機構の動作について説明する。クリーニングブレード18によって、感光体ドラム9の表面から掻き落とされた転写残トナーは、クリーニング装置14のハウジング14a内に堆積する。そして、スパイラル19が回転駆動することによって、転写残トナーはハウジング14aの奥端側へと搬送され、ハウジング14aに設けられた排出孔14bから排出され、導入孔20aを通り連結部材20内へと搬送される。
【0030】
連結部材20へと搬送された転写残トナーは重力によって、連結部材20の下部へと落下する。そして、前述したようにトナー搬送パイプ部材21が嵌合されている場合には、図示しないシャッター部材が開いており、転写残トナーはトナー搬送パイプ部材21へと落下する。トナー搬送パイプ部材21内へと落下した転写残トナーは、搬送部材23が回転駆動することによって、下流方向へと搬送され、下流部21bから排出されトナー回収容器22に溜められる。
【0031】
この時、搬送部材23がトナー搬送パイプ部材21の内周面を擦過し、トナー搬送パイプ部材21の内周面に傷等があると、この傷等が原因で起こる振動等によって非常に大きな騒音が生成されてしまうが、前述したようにトナー搬送パイプ部材21は二つの半円筒部材24,25から構成されているため、トナー搬送パイプ部材21の組み立て前に内周面を確認することができ、傷等があれば傷等のないものへと交換することにより、内周面の傷等が原因で生じる騒音を未然に防止することができる。
【0032】
また、傷等がなくとも搬送部材23がトナー搬送パイプ部材21の内周面を擦過することにより若干の振動及び騒音を生じるが、二つの半円筒部材24,25の間に挟みこまれた緩衝材28による緩衝作用によって、この振動を吸収することにより発生する騒音を低減することができる。更に、緩衝材28によって二つの半円筒部材24,25の隙間からの転写残トナー漏れを防止することができる。
【0033】
以上のようにトナー搬送パイプ部材を二つの半円筒部材から組み立てる構成としたことにより、組み立て前に内周面の傷等を確認することができ、このような傷等が原因となる騒音を未然に防止することができ、また、容易に分解できる構成としたことにより、装置本体に組み込んだ後にも、トナー搬送パイプ部材を分解し、メンテナンスすることができる。
【0034】
なお、トナー搬送パイプ部材21の大きさ及び形状は、クリーニング装置14及びトナー回収容器22の位置、大きさ及び形状に合わせ適宜変更することができ、また、材料としては樹脂、合成ゴム等を使用することができる。また、緩衝材28にはスポンジ及び合成ゴム等の緩衝作用を有する材料を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、電子写真プロセスを利用した複写機、プリンタ等の画像形成装置、特にクリーニング装置によって除去された感光体ドラム上の残留トナーを、トナー回収部へ搬送するトナー搬送機構を備えた画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】は、本発明に係る画像形成装置の内部構造を示す正面断面図である。
【図2】は、クリーニング装置の断面図(図1の矢視A−A線断面図)である。
【図3】は、トナー搬送機構を示した透視図であり、(a)は装置本体の正面透視図、(b)は図1に矢印Bで示す方向からの側面透視図である。
【図4】は、トナー搬送パイプ部材を分解した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
14 クリーニング装置
14a ハウジング
14b 排出孔
15 除電装置
18 クリーニングブレード
19 スパイラル
19a 支軸
19b 螺旋羽
20 連結部材
20a 導入孔
21 トナー搬送パイプ部材
21a 上流側端部
21b 下流側端部
22 トナー回収容器
23 搬送部材
23a 上流端部
24,25 半円筒部材
24a,25a 当接縁部
26 嵌合爪
27 嵌合部
28 緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニング装置とトナー回収容器を連繋するトナー搬送パイプ部材と、該トナー搬送パイプ部材内部に回転自在に配設された搬送部材とを有し、前記クリーニング装置によって感光体ドラム表面から除去された転写残トナーを、前記トナー回収容器に搬送するトナー搬送機構を備えた画像形成装置において、
前記トナー搬送パイプ部材が二つの半円筒部材から構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記半円筒部材のうち、一方には複数の嵌合爪が形成され、他方には前記嵌合爪に対応する位置に嵌合部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記二つの半円筒部材の間に緩衝材を挟み込んだことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−140245(P2007−140245A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335416(P2005−335416)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】