説明

画像形成装置

【課題】感光体に塗布されるトナーの流動性(離型性)を向上し、感光体表面に顕像化された静電潜像を転写する転写性能の向上、クリーニング部のクリーニング性能の向上およびクリーニングトナーの滞留防止を可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成ユニット10は、感光体11、現像ローラ12、主帯電器13、クリーニング部15を備え、クリーニング部15は、静電画像転写後(1次転写後)に感光体11の表面を清掃して、表面に残留したトナーを除去・回収する。クリーニング部15は、クリーニングローラ16、クリーニングブレード17、クリーナ清掃具18、トナーの特性を制御するトナー制御剤を供給する制御剤供給部19を備え、トナー制御剤は、制御剤供給部19により保持して供給できるようにトナー制御剤ブロック19aを構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報の静電潜像を担持する静電潜像担持体(感光体)をクリーニングするためのクリーニング部を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置に対する高速化の要求が高まり、印字処理枚数(単位時間当たり)が増加すると共に、記録用紙の搬送速度についても高速化が進んでいる。例えば、従来は60枚/分(A4横搬送)以上が高速機とされていたものが、最近では80枚/分以上のものを高速機と呼ぶようになり、また、100枚/分以上の画像形成装置の開発も推進されている。
【0003】
このような画像形成装置の静電潜像担持体には、画像情報の静電潜像を顕像化(可視化)する処理工程中で静電潜像にトナーを吸着させる吸着力(吸着性)と、逆に可視化されたトナー像を記録用紙に転写するときのトナーの離型性(転写性)とが求められている。つまり、吸着性および離型性という両方の機能が求められている。
【0004】
静電潜像へのトナーの吸着性は、静電潜像担持体(以下、感光体ともいう。)の帯電電位と像露光光量、および現像工程中での現像バイアス、トナーの帯電電位で決定されるものである。また、記録用紙上への転写性は転写電界と感光体の表面に吸着しているトナーの吸着力で概ね決定するが、記録用紙の種類(厚み、材質)によって変化するものである。
【0005】
高速化した画像形成装置では、転写性の良し悪しによって画像形成装置の性能が大幅に変化する。すなわち、転写性が悪いと、印字品位の低下を招来するだけでなく、クリーニング部の負荷増大、次の静電潜像を顕像化する処理工程での帯電特性の低下を招き、また、感光体の寿命特性の低下をもたらす。
【0006】
転写性を向上させるために、塗布ローラを介してステアリン酸亜鉛を感光体に直接塗布することにより感光体上の滑り性の向上を図る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。なお、特許文献1では、ステアリン酸亜鉛を感光体に塗布する塗布ローラとして感光体を帯電させる帯電ローラを用い、帯電ローラの表面に形成された帯電電圧印加用機能材料に潤滑性付与材料としてのステアリン酸亜鉛を分散して混入させている。
【0007】
しかし、特許文献1に記載の手法では、帯電電圧印加用機能材料(帯電ローラ)に対してステアリン酸亜鉛を分散させても均一に分布させることは困難であり、帯電電圧印加用機能材料は結果的に不均一な帯電状態となることから、感光体は不均一な帯電状態になる。
【0008】
つまり、不均一な帯電状態になった感光体の表面では、許容電界強度が異なる状態となり、異常放電を発生する恐れがあるという問題がある。また、帯電電圧印加用機能材料の中にステアリン酸亜鉛が分布することから、ステアリン酸亜鉛を使い切るということができないという問題がある。
【0009】
さらに、帯電ローラに対してステアリン酸亜鉛を適用することから、周辺の浮遊異物を引き寄せることとなり、ステアリン酸亜鉛を塗布する感光体の表面での清浄性および均一性を確保できないという問題がある。
【0010】
また、感光体の表面に残留しクリーニング部材で回収するトナー(クリーニングトナー)に対しては何ら作用しないことから、クリーニングトナーの流動性(搬送性)を向上することはできず、クリーニングトナーの滞留(トナー詰り)を解消することはできない。したがって、クリーニングトナーを十分に回収することが困難であり、また、感光体の表面に対するクリーニング性能を向上することができないという問題がある。
【特許文献1】特開2001−318475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、感光体をクリーニングするクリーニング部にトナーの特性を制御するトナー制御剤を供給する制御剤供給部を備えることにより、感光体に塗布されるトナーの流動性(離型性)を向上し、ひいては、感光体表面に顕像化された静電潜像を転写する転写性能の向上、感光体の表面の清浄度および均一性の向上を可能とし、また、感光体に残留したトナーをクリーニングして分離除去するクリーニング部のクリーニング性能の向上およびクリーニングトナーの滞留防止を可能とする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、トナーにより顕像化される静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体の表面を清掃するクリーニング部とを備える画像形成装置であって、前記クリーニング部は、前記静電潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニングローラと前記トナーの特性を制御するトナー制御剤を供給する制御剤供給部とを備え、前記クリーニングローラにより前記静電潜像担持体の表面に前記トナー制御剤を塗布する構成としてあることを特徴とする。
【0013】
この構成により、静電潜像担持体にトナー制御剤を容易かつ確実に塗布することが可能となることから、静電潜像担持体の表面に付着したトナーの離型性を向上することが可能となり転写性能および静電潜像担持体表面の清浄度、均一性を向上することができる。また、静電潜像担持体から分離除去したクリーニングトナーの流動性を向上することが可能となりクリーニングトナーの滞留を防止することからトナーに対するクリーニング性能を大きく向上させることができる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置では、前記クリーニングローラは、ブラシローラまたは弾性ローラであることを特徴とする。
【0015】
この構成により、静電潜像担持体の表面を傷つけることなく、トナー制御剤を静電潜像担持体の表面に均一に塗布することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置では、前記制御剤供給部は、前記クリーニングローラを清浄化するクリーナ清掃具が配置された位置に対して前記静電潜像担持体の回転方向の上流側に配置してあることを特徴とする。
【0017】
この構成により、静電潜像担持体に接触する前の清浄な状態のクリーニングローラにトナー制御剤を供給することが可能となり、トナー制御剤を静電潜像担持体に塗布するときの静電潜像担持体への汚れの巻き込みを防止することができる。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置では、前記クリーニングローラは、前記静電潜像担持体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードに対して前記静電潜像担持体の回転方向の上流側に配置してあることを特徴とする。
【0019】
この構成により、クリーニングブレードで除去され回収されるクリーニングトナーの流動性を向上することが可能となるので、クリーニング部のクリーニング性能を向上させ、クリーニングトナーの滞留を防止することによりクリーニングトナーを確実に回収することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置では、前記トナー制御剤は、板状に成形され前記クリーニングローラと接触する位置に配置してあることを特徴とする。
【0021】
この構成により、クリーニングローラの全幅領域に対応させてトナー制御剤を均一に供給することが可能となる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置では、前記トナー制御剤は、ステアリン酸化合物であることを特徴とする。
【0023】
この構成により、トナーの特性を容易かつ確実に安定して制御できるトナー制御剤とすることが可能となる。
【0024】
また、本発明に係る画像形成装置では、前記ステアリン酸化合物は、官能基としての金属元素を有することを特徴とする。
【0025】
この構成により、亜鉛、アルミニウム、チタンなどを適用して安定したトナー制御剤とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る画像形成装置によれば、クリーニング部にトナーの特性を制御するトナー制御剤を供給する制御剤供給部を備えることから、感光体の表面にトナー制御剤を塗布してトナーの特性を制御することが可能となり、ひいては感光体でのトナーの転写性能の向上、クリーニング部でのクリーニング性能の向上およびクリーニングトナーの滞留防止が可能となり、転写特性に優れ、安定した信頼性の高い転写が可能な画像形成装置を提供することが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図1および図2に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成の側面視概略を透視的に示す説明図である。
【0029】
画像形成装置1は、画像入力装置としてのスキャナ2を備える。スキャナ2で取得した画像データを色の三原色(YMC:イエロー、マゼンタ、シアン)および黒(K:クロ)について色分解し、各色に対応する色画像データを求める。求めたそれぞれの色画像データを露光ユニット3へ送信する。なお、色画像データは、スキャナ2に限らず、例えばLAN(Local Area Netowork)などを介して外部から取得することも可能である。
【0030】
露光ユニット3は、レーザ発光部4および反射ミラー5を備えたレーザスキャニングユニット(LSU:Laser Scanning Unit)であり、レーザ発光部4から色画像データに対応したレーザ光LLを発光する。レーザ光LLは、反射ミラー5により対応する画像形成ユニット10(YMCKの各色に対応する10Y、10M、10C、10K。以下、イエロー画像形成ユニット10Y、マゼンタ画像形成ユニット10M、シアン画像形成ユニット10C、黒画像形成ユニット10Kを区別する必要が無い場合は、単に画像形成ユニット10とする。)に照射され、静電潜像担持体としての感光体11(YMCKの各色に対応する11Y、11M、11C、11K。以下、イエロー感光体11Y、マゼンタ感光体11M、シアン感光体11C、黒感光体11Kを区別する必要が無い場合は、単に感光体11とする。また、イエロー感光体11Y、マゼンタ感光体11M、シアン感光体11Cがカラー用感光体を構成し、黒感光体11Kが黒用感光体を構成することとなる。)に静電潜像を形成する。
【0031】
本実施の形態では、さらに高速の画像形成処理を行なうために、複数のレーザ光LLを利用して照射タイミングの制御を高速化する手法を採用すべく2ビーム手法を採用している。
【0032】
なお、LSUに代えて、露光ユニット3として発光素子をアレイ状に並べたLEDアレイ、あるいはLED書込みヘッドなどを用いることも可能である。
【0033】
画像形成ユニット10で感光体11に形成された静電潜像は、現像ローラ12(YMCKの各色に対応する12Y、12M、12C、12K。以下、イエロー現像ローラ12Y、マゼンタ現像ローラ12M、シアン現像ローラ12C、黒現像ローラ12Kを区別する必要が無い場合は、単に現像ローラ12とする。)において、各色に対応して供給されたトナー(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、黒トナーで構成される色成分トナー。以下、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、黒トナーを区別する必要が無い場合は、単にトナーとする。)により顕像化される。
【0034】
なお、現像ローラ12に対応させて、現像ローラ12へ供給するトナーを保管するトナーボックス21(YMCKの各色に対応する21Y、21M、21C、21K。以下、イエロートナーボックス21Y、マゼンタトナーボックス21M、シアントナーボックス21C、黒トナーボックス21Kを区別する必要が無い場合は、単にトナーボックス21とする。)が、適宜の位置に配置してある。
【0035】
また、画像形成ユニット10については、図2でさらに詳細を説明する。
【0036】
感光体11で顕像化された静電画像(静電画像データ)は、1次転写ローラ22(YMCKの各色に対応する22Y、22M、22C、22K。以下、イエロー転写ローラ22Y、マゼンタ転写ローラ22M、シアン転写ローラ22C、黒転写ローラ22Kを区別する必要が無い場合は、単に1次転写ローラ22とする。)により無端状の転写ベルト23へ順次積層して転写され多色画像(YMCK画像)を形成する。
【0037】
つまり、イエロー転写ローラ22Y、マゼンタ転写ローラ22M、シアン転写ローラ22C、黒転写ローラ22Kは、移動方向Drで移動(回転)する転写ベルト23をそれぞれイエロー感光体11Y、マゼンタ感光体11M、シアン感光体11C、黒感光体11Kに押圧して感光体11上の静電画像が有する電荷と逆極性の電界を転写ベルト23から静電画像へ印加することにより、静電画像を感光体11から転写ベルト23に転写する。
【0038】
他方、給紙トレイ29から給紙された記録用紙は、用紙搬送路Rpを通って2次転写ユニット25へ搬送される。転写ベルト23に転写(形成)された多色画像は、2次転写ユニット25で記録用紙に2次転写(一括転写)され、記録用紙への画像形成(印刷、複写)がなされる。したがって、画像形成装置1は、記録用紙に対してモノクロ画像またはカラー画像を形成することが可能である。
【0039】
画像形成された記録用紙は、形成された画像の定着処理を対向する2個の定着ローラを備える定着ユニット27で施される。つまり、2次転写ユニット25で記録用紙に転写された未定着トナーは、定着ユニット27で加熱溶融されて記録用紙に定着される。定着処理された後、記録用紙は排紙トレイ30へ排紙される。
【0040】
上述したとおり、本実施の形態に係る画像形成装置1は、複数の画像形成ユニット10を縦続させて備えるタンデム型であり、感光体11から転写ベルト23へ静電画像の1次転写を行なって転写ベルト23に多色画像を形成し、多色画像を2次転写ユニット25で転写ベルト23から記録用紙に転写する中間転写型であるがこれに限るものではない。また、感光体11に形成された静電潜像を現像ローラ12により電子式に現像して顕像化する電子写真方式であるがこれに限るものではない。
【0041】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を構成する画像形成ユニットの詳細構成の側面視概略を透視的に示す説明図である。
【0042】
画像形成ユニット10は、感光体11、現像ローラ12、主帯電器13、クリーニング部15を主要部として備える。なお、画像形成ユニット10の構成は、YMCKの色に拠らず同様の構成とすることが可能である。特に処理量の多い黒については、本発明の構成による効果が大きい。
【0043】
主帯電器13は、感光体ドラムで構成される感光体11の表面を所定の電位に均一に帯電する。通常、主帯電器13は、チャージャ型で構成されるが、接触して帯電するローラ型またはブラシ型とすることも可能である。
【0044】
感光体11は感光体回転方向Reに回転することから、均一に帯電された感光体11の表面が露光ユニット3から照射されたレーザ光LLにより露光されると画像データに対応した静電潜像が形成される。
【0045】
次に、感光体11の表面に形成された静電潜像は現像部を構成する現像ローラ12により現像されることから、静電潜像は顕像化される。つまり、トナーボックス21から現像部に供給されたトナーが現像ローラ12により感光体11の表面に移され静電潜像はトナーにより顕像化される。
【0046】
感光体11上に顕像化された静電画像は、感光体回転方向Reにしたがって移動することから転写ベルト23に接触することとなる。このとき、例えば静電画像がマイナスの電荷を有している場合には、転写ベルト23への印加極性をプラスとすることにより、転写ベルト23に接触する顕像化された静電画像は、1次転写ローラ22および転写ベルト23の静電力作用(転写電界)により転写ベルト23へ転写される。
【0047】
転写ベルト23は、所定の抵抗値(1×109〜1×1013Ω・cm程度)を有し、また、1次転写ローラ22は、転写電界を印加することが可能な弾性導電体で構成してある。1次転写ローラ22に弾性を持たせることにより、感光体11と転写ベルト23とは、線接触でなく、転写ニップと呼ばれる所定の幅を有する帯状の面接触させることが可能となり、転写ベルト23への転写効率を向上することが可能となる。
【0048】
クリーニング部15は、現像後または静電画像転写後(1次転写後)に感光体11の表面を清掃して、表面に残留したトナーを除去・回収する。クリーニング部15は、クリーニングローラ16、クリーニングブレード17、クリーナ清掃具18を備える。
【0049】
クリーニングローラ16は、例えばブラシローラまたは弾性ローラで構成してあり、感光体11の表面を傷つけずに残留トナーを除去するように感光体11の表面を接触しつつ清拭する構成としてある。
【0050】
なお、クリーニングローラ16の回転方向(クリーニングローラ回転方向Rc)は、感光体11の回転方向(感光体回転方向Re)に対して接触時に同方向となるように共通回転(ウイズ回転)としてあることから、感光体11の表面への傷の発生を抑制することが可能となる。
【0051】
クリーニングブレード17は、クリーニングローラ16で除去できずに感光体11の表面に残留したトナーをさらに除去するためにクリーニングローラ16に対して感光体回転方向Reの下流側に配置してある。クリーニングブレード17は、感光体11の表面に所定の圧力で当接され、感光体11の表面を擦る形態とすることにより感光体11の表面に残留したトナーを確実に除去回収することが可能となる。
【0052】
クリーナ清掃具18は、感光体11の表面を清掃したクリーニングローラ16を清掃して清浄化する治具であり、感光体11とクリーニングローラ16の接触部に対して感光体回転方向Reの下流側に配置してある。したがって、クリーニングローラ16が感光体11から除去したトナーをクリーナ清掃具18により除去することにより清浄な状態としたクリーニングローラ16により感光体11の表面を清掃することが可能となる。
【0053】
クリーニング部15は、トナーの特性を制御するトナー制御剤を供給する制御剤供給部19を備える。トナー制御剤は、制御剤供給部19により保持して供給できるように固形状にされ、トナー制御剤ブロック19aを構成している。
【0054】
トナー制御剤は、例えばステアリン酸亜鉛などのステアリン酸化合物で構成することが可能である。つまり、ステアリン酸化合物はトナーの表面摩擦係数を低減できるという物性を有して取り扱いも容易であることから、トナー制御剤をステアリン酸化合物で構成することにより、トナーの特性を容易かつ確実に安定して制御することができる。
【0055】
また、ステアリン酸化合物は、官能基として金属元素を有するものとすることができ、亜鉛以外に例えばアルミニウム、チタンなどを適用することにより安定したトナー制御剤とすることが可能となる。
【0056】
固形状のトナー制御剤ブロック19aは平面を有する板状に成形され、制御剤供給部19によりクリーニングローラ16と均一に接触する位置に配置、保持される。制御剤供給部19は、トナー制御剤ブロック19aをクリーニングローラ16の幅領域に対応させて接触させることによりトナー制御剤ブロック19aから粉末状トナー制御剤(以下、単にトナー制御剤ともいう。)をクリーニングローラ16に均一に付着させて供給し、クリーニングローラ16を介してトナー制御剤を感光体11の表面に均一に塗布する形態としてある。
【0057】
つまり、クリーニングローラ16を介して感光体11へトナー制御剤を供給することから、感光体11へのトナー制御剤の塗布を容易かつ確実に行なうことが可能となり、トナーの特性を確実に制御することができる。また、クリーニングローラ16をトナー制御剤塗布手段として用いることから、クリーニング部15の構成を簡略化することが可能となる。
【0058】
クリーニングローラ16をブラシローラとすることにより、トナー制御剤をより多く感光体11に塗布することが可能となり、また、クリーニングローラ16を弾性ローラとすることにより、トナー制御剤をばらつきなくより均一に塗布することが可能となる。なお、ブラシローラについては適宜植毛密度を調整することによりさらに効果的な塗布が可能となる。また、弾性ローラについては適宜の発泡性を有する合成樹脂を用いることにより適宜の接触面積での塗布が可能となる。
【0059】
トナー制御剤を供給する制御剤供給部19を備えることにより、トナーの特性を制御するトナー制御剤を感光体11に供給(塗布)することが極めて容易となることから、感光体11の表面に付着したトナーの離型性を向上することが可能となり、転写性能および感光体11の表面の清浄度、均一性を向上することができる。
【0060】
また、感光体11から分離除去したクリーニングトナーの流動性を向上することが可能となり、回収対象としてのクリーニングトナーの滞留を防止できることから、クリーニングトナーが固まって発生するブロッキング現象を抑制することができ、トナーに対するクリーニング部15のクリーニング性能を大きく向上することが可能となる。
【0061】
制御剤供給部19は、クリーニングローラ16を清浄化するクリーナ清掃具18が配置された位置に対して感光体回転方向Reの上流側に配置してある。なお、感光体回転方向Reの上流側とは、クリーニングローラ16が感光体11に当接して感光体11の表面を清浄化した位置に対して、クリーニングローラ16の回転方向(クリーニングローラ回転方向Rc)でクリーナ清掃具18により清浄化された位置から感光体11に当接するまでの経路と同義である。
【0062】
この構成により、クリーナ清掃具18により清浄化され感光体11に接触する前の清浄な状態のクリーニングローラ16に対してトナー制御剤ブロック19aを直接接触させてトナー制御剤をクリーニングローラ16に直接供給することが可能となることから、トナー制御剤をクリーニングローラ16に塗布するときおよび感光体11に塗布するときに周囲の汚れの巻き込みを防止することができる。
【0063】
したがって、例えば電界による周囲の汚れを吸着することがないことから、感光体11に対してトナー制御剤をムラなく均一に塗布することができる。また、クリーニングローラ16の回転に応じてクリーニングローラ16を常に清浄化した状態でトナー制御剤を塗布することからより清浄でムラなく均一な塗布が可能となる。
【0064】
クリーニングローラ16は、クリーニングブレード17の位置に対して感光体回転方向Reの上流側に配置してある。この構成により、クリーニングブレード17により感光体11から除去され、回収されるクリーニングトナーの流動性を向上させることが可能となり、クリーニング部15のクリーニング性能を向上し、クリーニングトナーの滞留を防止することによりクリーニングトナーを確実に回収し、また、ブロッキング現象の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成の側面視概略を透視的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を構成する画像形成ユニットの詳細構成の側面視概略を透視的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1 画像形成装置
2 スキャナ
3 露光ユニット
4 レーザ発光部
5 反射ミラー
10 画像形成ユニット
10Y イエロー画像形成ユニット
10M マゼンタ画像形成ユニット
10C シアン画像形成ユニット
10K 黒画像形成ユニット
11 感光体(静電潜像担持体)
11Y イエロー感光体
11M マゼンタ感光体
11C シアン感光体
11K 黒感光体
12 現像ローラ
12Y イエロー現像ローラ
12M マゼンタ現像ローラ
12C シアン現像ローラ
12K 黒現像ローラ
13 主帯電器
15 クリーニング部
16 クリーニングローラ
17 クリーニングブレード
18 クリーナ清掃具
19 制御剤供給部
19a トナー制御剤ブロック
21 トナーボックス
21Y イエロートナーボックス
21M マゼンタトナーボックス
21C シアントナーボックス
21K 黒トナーボックス
22 1次転写ローラ
22Y イエロー転写ローラ
22M マゼンタ転写ローラ
22C シアン転写ローラ
22K 黒転写ローラ
23 転写ベルト
25 2次転写ユニット
27 定着ユニット
29 給紙トレイ
30 排紙トレイ
Dr ベルト移動方向
LL レーザ光
Rc クリーニングローラ回転方向
Re 感光体回転方向
Rp 用紙搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーにより顕像化される静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体の表面を清掃するクリーニング部とを備える画像形成装置であって、
前記クリーニング部は、前記静電潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニングローラと前記トナーの特性を制御するトナー制御剤を供給する制御剤供給部とを備え、前記クリーニングローラにより前記静電潜像担持体の表面に前記トナー制御剤を塗布する構成としてあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニングローラは、ブラシローラまたは弾性ローラであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御剤供給部は、前記クリーニングローラを清浄化するクリーナ清掃具が配置された位置に対して前記静電潜像担持体の回転方向の上流側に配置してあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニングローラは、前記静電潜像担持体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードに対して前記静電潜像担持体の回転方向の上流側に配置してあることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー制御剤は、板状に成形され前記クリーニングローラと接触する位置に配置してあることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー制御剤は、ステアリン酸化合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ステアリン酸化合物は、官能基としての金属元素を有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−248633(P2007−248633A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−69518(P2006−69518)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】