説明

画像形成装置

【課題】ジョブの実行中に新たなジョブを割り込ませるかどうかの判断を正確に行う。
【解決手段】本発明は、実行を要求されたジョブ順に画像形成処理を実行する画像形成装置であって、実行中のジョブの処理量を計測するジョブ処理量計測手段と、前記ジョブの実行中に要求された新たなジョブの、前記実行中のジョブへの割り込みを許可するかどうかを判断する制御手段とを備え、制御手段は、ジョブ処理量計測手段により計測された前記実行中のジョブの実行量が所定量以下の場合に、前記実行中のジョブへの前記新たなジョブの割り込みを許可することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成処理を実行する画像形成装置に関し、特に、ジョブの実行中に新たなジョブを割り込ませて実行させる機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置において、ジョブの実行中に、該ジョブの処理を一時的に中断し、新たなジョブを割り込ませて画像形成処理を実行させるための割り込み機能を備えた画像形成装置が実用化されている。
【0003】
この種の従来の画像形成装置としては、例えば、格納されている印字データが複数ある場合に、ページ数が所定枚数以下の印字データを優先的に印刷処理するものや(例えば、特許文献1参照)、或いは、実行中のジョブの未処理枚数が所定枚数以上の場合や実行中のジョブの印刷処理完了までの残り時間が所定時間以上の場合に、新たなジョブの割り込みを許可し、未処理回数が所定枚数未満の場合や残り時間が所定時間未満の場合に、新たなジョブの割り込みを許可しないといったものも公知である(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−215351号公報
【特許文献2】特開2000−168163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、上記した従来の画像形成システムでは、現在実行しているジョブの残り時間や残り枚数を予測しなければならないが、この予測を正確に行うことは極めて難しい。そのため、実際には残り時間が所定時間以上あるのに誤って所定時間未満と判断し、新たなジョブの割り込みを許可しなかったり、或いは、その反対の誤った判断を行ってしまったりするおそれがあるといった問題があった。
【0005】
また、上記した従来の画像形成システムにおいて、実行中のジョブの未処理枚数を予測する場合には、画像形成処理を行う前に一旦すべての画像データを装置内に格納する必要がある上、用紙サイズや解像度等の設定によって予測結果が左右されてしまうため、上記した問題は、一層深刻であった。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、ジョブの実行中に新たなジョブを割り込ませるかどうかの判断を正確に行うことのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明は、実行を要求されたジョブ順に画像形成処理を実行する画像形成装置であって、実行中のジョブの処理量を計測するジョブ処理量計測手段と、前記ジョブの実行中に要求された新たなジョブの、前記実行中のジョブへの割り込みを許可するかどうかを判断する制御手段とを備え、該制御手段は、前記ジョブ処理量計測手段により計測された前記実行中のジョブの実行量が所定量以下の場合に、前記実行中のジョブへの前記新たなジョブの割り込みを許可することを特徴とする。
【0008】
そして、前記ジョブ処理量計測手段は、前記ジョブの画像形成処理開始時からの経過時間を計測し、前記制御手段は、前記ジョブ処理量計測手段により計測された前記実行中のジョブの経過時間が所定時間以下の場合に、前記実行中のジョブへの前記新たなジョブの割り込みを許可してもよい。
【0009】
また、前記ジョブ処理量計測手段は、前記ジョブの画像形成処理開始時からの処理枚数を計測し、前記制御手段は、前記ジョブ処理量計測手段により計測された前記実行中のジョブの処理枚数が所定枚数以下の場合に、前記実行中のジョブへの前記新たなジョブの割り込みを許可してもよい。
【0010】
さらに、前記所定量に関する情報は、前記新たなジョブの割り込み要求に付加されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ジョブ処理量計測手段により計測されたジョブの実行量に基づき、新たなジョブの割り込みを許可するかどうかを判断するようになっており、ジョブの残り時間や残り枚数を予想するといった不安定な要素がなくなるため、ジョブの実行中に新たなジョブを割り込ませるかどうかの判断を容易且つ正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
先ず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置1について説明する。ここで、図1は本実施の形態に係る画像形成装置の構成の一例を示すブロック図、図2は同画像形成装置の作用を示すフローチャートである。
【0014】
本実施の形態に係る画像形成装置1は、ローカルエリアネットワーク(LAN)等の通信ネットワーク2を介して、パーソナルコンピュータ等の複数のホストコンピュータ(図示省略)に接続されており、画像形成装置1の各部の動作を制御する制御部3を備えている。この制御部3は、特に図示しないが、CPUや、該CPUが実行する制御プログラムを格納するためのROM、及び各種データやプログラムを一時的に記憶するためのRAM等を備えている。
【0015】
また、この制御部3には、通信ネットワーク2を介して前記ホストコンピュータからジョブを受信するジョブ受信部4と、ジョブ受信部4が受信したジョブを出力用紙に印刷処理を行う印刷部5と、印刷部5がジョブの印刷処理を開始した時にタイマを起動し、経過時間を計測するタイマ制御部6と、ジョブを保存するジョブ記憶部7と、印刷処理開始時からの経過時間に関する情報やジョブの送信元を特定する情報を格納するジョブ情報管理部8と、印刷の割り込み要求を受信すると共に該割り込み要求に対して割り込みの可否を返信する割り込み要求受信・返信部9と、タッチパネル、スタートキー、及びテンキー等を備えた操作部10とが接続されている。
【0016】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1の作用について説明する。なお、以下の説明は、画像形成装置1に対して、ジョブA、ジョブBの順に印刷処理の実行要求が送信された場合について例示して説明する。
【0017】
通信ネットワーク2を介して前記ホストコンピュータから画像形成装置1に対してジョブAが送信されると、画像形成装置1では、ジョブ受信部4がジョブAを受信し、印刷部5がこのジョブAの印刷処理の実行を開始する(S101)。このように印刷部5がジョブAの印刷処理を開始すると、タイマ制御部6はタイマを起動し、該印刷処理開始後の経過時間を計測し、ジョブ情報管理部8はその経過時間を監視する(S102)。
【0018】
このような状態において、通信ネットワーク2を介して前記ホストコンピュータから画像形成装置1に対して新たなジョブBの割り込み要求が送信されると、画像形成装置1では、割り込み要求受信・送信部9がこのジョブBの割り込み要求を受信する(S103)。そして、制御部3は、この割り込み要求を受けて、該割り込み要求受信時における経過時間と予め設定された所定時間とをジョブ情報管理部8から読み込み、両者を比較する(S104)。
【0019】
その結果、前記経過時間が前記所定時間以下であると制御部3が判断した場合には、ジョブAの印刷処理を一時的に停止し、ジョブAの残りのページ分の印刷データをジョブ記憶部7に保存する(S105)。そして、制御部3は、新たなジョブBのジョブAへの割り込みを許可し、割り込み要求受信・送信部9が前記ホストコンピュータに割り込み許可応答を送信すると共に、ジョブ受信部4がジョブBを受信し、印刷部5はジョブBの印刷処理を実行する(S106)。その後、ジョブBの印刷処理の実行が終了すると、印刷部5は、ジョブAの残りの印刷処理を実行する(S107)。
【0020】
一方、前記ステップ104において、前記経過時間が前記所定時間を越えていると制御部3が判断した場合には、印刷部5はジョブAの印刷処理をそのまま続行する(S108)。そして、制御部3は、新たなジョブBのジョブAへの割り込みを拒否し(S109)、割り込み要求受信・送信部9が前記ホストコンピュータに割り込み拒否応答を送信する。但し、この場合、ジョブ受信部4はジョブBを受信し、ジョブ記憶部7に保存する。そして、その後、ジョブAの印刷処理の実行が終了すると、印刷部5は、ジョブ記憶部7に保存されていたジョブBの印刷処理を実行する(S110)。
【0021】
次に、図3及び図4を参照しつつ、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置11について説明する。ここで、図3は本実施の形態に係る画像形成装置の構成の一例を示すブロック図、図4は同画像形成装置の作用を示すフローチャートである。なお、説明の簡略化のため、以下の説明では、上記した第1の実施の形態と同等の構成については、図3中、図1と同一の符号を付し、その構成及び作用についての詳細な説明は省略する。
【0022】
図3に示されているように、本実施の形態に係る画像形成装置1では、ジョブの実行量として、ジョブの画像形成処理開始時からの処理枚数を利用し、ジョブ処理量計測手段として、枚数制御部12が設けられている。また、ジョブ情報管理部8には、印刷処理開始時からの処理枚数に関する情報等が格納されるようになっている。
【0023】
そして、このような構成の下、本実施の形態に係る画像形成装置11では、図4に示されているように、印刷部5がジョブAの印刷処理の実行を開始すると(S201)、枚数制御部12はカウンタを起動し、印刷処理開始後の処理枚数を計測し、ジョブ情報管理部8がその印刷枚数を監視する(S202)。
【0024】
このような状態において、画像形成装置11に対して新たなジョブBの割り込み要求が送信されると、画像形成装置11では、割り込み要求受信・送信部9がこのジョブBの割り込み要求を受信し(S203)、この割り込み要求を受けて、制御部3は、該割り込み要求受信時における処理枚数と予め設定された所定枚数とをジョブ情報管理部8から読み込み、両者を比較する(S204)。
【0025】
その結果、前記処理枚数が前記所定枚数以下であると制御部3が判断した場合には、ジョブAの印刷処理を一時的に停止し、ジョブAの残りのページ分の印刷データをジョブ記憶部7に保存し(S205)、以降、画像形成装置11は、上記した第1の実施の形態の場合と同様の動作を行う(S206,S207)。
【0026】
一方、前記ステップ204において、前記処理枚数が前記所定枚数を越えていると制御部3が判断した場合には、印刷部5はジョブAの印刷処理をそのまま続行し(S208)、以降、画像形成装置11は、上記した第1の実施の形態の場合と同様の動作を行う(S209,S210)。
【0027】
このように上記した各実施の形態によれば、実行しているジョブの残り時間や残り枚数を予測するといった不安定な要素がなくなるため、実際には残り時間(又は残り枚数)が所定時間(又は所定枚数)以上あるのに誤って所定時間(又は所定枚数)未満と判断し、新たなジョブの割り込みを許可しなかったり、或いは、その反対の誤った判断を行ってしまったりするおそれはない。また、画像形成処理を行う前に一旦すべての画像データを装置内に格納する必要がなく、用紙サイズや解像度等の設定によって制御部3の判断結果が左右されてしまうこともない。したがって、ジョブの実行中に新たなジョブを割り込ませるかどうかの判断を容易且つ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の作用を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の作用を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
1 画像形成装置
3 制御部
6 タイマ制御部
11 画像形成装置
12 枚数制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行を要求されたジョブ順に画像形成処理を実行する画像形成装置であって、
実行中のジョブの処理量を計測するジョブ処理量計測手段と、
前記ジョブの実行中に要求された新たなジョブの、前記実行中のジョブへの割り込みを許可するかどうかを判断する制御手段と、
を備え、該制御手段は、前記ジョブ処理量計測手段により計測された前記実行中のジョブの実行量が所定量以下の場合に、前記実行中のジョブへの前記新たなジョブの割り込みを許可することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブ処理量計測手段は、前記ジョブの画像形成処理開始時からの経過時間を計測し、前記制御手段は、前記ジョブ処理量計測手段により計測された前記実行中のジョブの経過時間が所定時間以下の場合に、前記実行中のジョブへの前記新たなジョブの割り込みを許可する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジョブ処理量計測手段は、前記ジョブの画像形成処理開始時からの処理枚数を計測し、前記制御手段は、前記ジョブ処理量計測手段により計測された前記実行中のジョブの処理枚数が所定枚数以下の場合に、前記実行中のジョブへの前記新たなジョブの割り込みを許可する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定量に関する情報は、前記新たなジョブの割り込み要求に付加されている請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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