説明

画像形成装置

【課題】 被冷却部の冷却効率の低下を防ぎ、かつ、静寂性も損なわれない画像形成装置を提供する。
【解決手段】 空気を装置本体111内に吸気する吸気部30と、この吸気部30を介して装置本体111内に導入された空気を排気する排気部40と、装置本体111内における前記吸気部30および排気部40間に配設された被冷却部51とを備えてなる画像形成装置10であり、前記吸気部30は、被冷却部51に対応して設けられた吸気口31と、該吸気口31から吸気された空気を前記被冷却部51へ送風する2つの送風ファン331,322とを備え、前記2つの送風ファン331,332を空気流方向に対し直列に配置して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置においては、各所に発熱部位(例えば帯電装置、定着措置、現像装置等)が存在し、これら発熱部位の発熱で装置本体内が所定の温度以上に加熱されると画像形成処理に不具合が生じるため、図6に示すように、空気流路101に配置される熱源(例えば現像ユニット)102の前方に設けたファン103によって装置外部の空気を吸込み、装置内を貫流するような空気流を形成することにより冷却処理を施すようにしている(特許文献1等参照)。
【0003】
しかし、図7又は図8に示すように、発熱量が小さめの熱源(例えば、帯電装置の清掃部材駆動用のモータ等)104が、空気流路101の外側で、かつ、ファン103の近傍に追加された場合、この熱源104にも冷却用空気を送風するため、図7に示すように、ファンを大型化して、このファン105を2つの熱源102,104の上流側でこれらに跨るようにして配置したり、図8に示すように、熱源104の前方にファン103と同等のファン106を追加する、つまり並列にファンの数を増やすことにより、対応していた。
【特許文献1】特開2003−76253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図7のように、1つのファンを大型化したときは、冷却効率が低下する問題がある。すなわち、発熱量の大きな熱源102に合わせてファン風量(回転数)を設定すると、発熱量の小さな熱源104には風量が多すぎることになり、風量の余り分だけ無駄な電力を消費し、逆に発熱量の小さな熱源104に合わせてファン風量(回転数)を設定すると、発熱量の大きな熱源104には風量が不足することになり、熱源全体を充分に冷却できなくなるという問題がある。
【0005】
また、図8のように、ただ単に並列にファンの数を増やすだけでは、画像形成装置の高速化により、熱源102の発熱量がさらに大きくなった場合に、ファン風量を稼ぐためにファン103又は106の回転数を上昇させなければならず、ファンモータの駆動音やファンの風切り音等の騒音が大きくなり、画像形成装置の静寂性が損なわれるという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、被冷却部の冷却効率の低下を防ぎ、かつ、静寂性も損なわれない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、空気を装置本体内に吸気する吸気部と、この吸気部を介して装置本体内に導入された空気を排気する排気部と、装置本体内における前記吸気部および排気部間に配設された被冷却部とを備えてなる画像形成装置において、前記吸気部は、被冷却部に対応して設けられた吸気口と、該吸気口から吸気された空気を前記被冷却部へ送風する複数の送風ファンとを備え、前記複数の送風ファンを空気流方向に対し直列に配置したことを特徴とする。
【0008】
そして、前記複数の送風ファンが大型ファンと小型ファンの2つのファンから構成され、大型ファンが空気流方向の上流側となり、小型ファンが空気流方向の下流側となり、かつ、大型ファンと小型ファンのファン軸の軸線を異ならせて配置することにより、大型ファンにより外気を効率よく導入し、その周辺を冷却しながら、小型ファンにより最も冷却が必要な箇所に向けて空気を流すことができ、不必要な箇所に空気を流すことが無く、また、小型ファンを大きくする必要が無いため、コストを必要最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、複数の送風ファンが空気流方向に対し直列に配置されているため、空気流路を通過する風量が増し、被冷却部を効率よく冷却することができる。また、ファン風量を稼ぐために個々のファンの回転数を上昇させることも必要ないことから、ファンモータの駆動音やファンの風切り音等の騒音が抑制され、画像形成装置の静寂性が損なわれることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す外観斜視図であり、図2は、その内部構造を説明するための正面断面視の説明図である。なお、本実施形態では、本発明に係る画像形成装置として、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能等の機能を兼ね備えた複合機を例に挙げて説明するが、本発明に係る画像形成装置は、かかる複合機に限定されるものではなく、例えば複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置あるいはスキャナ装置等の単能機に対しても適用可能である。
【0012】
複合機11は、内部に後述する画像形成用の各種の機器が装着された直方体状の装置本体111と、この装置本体111の上部に付設された原稿読取装置119とを備えている。
【0013】
前記装置本体111には、側面の適所に電源スイッチ111aが設けられているとともに、上面の適所(原稿読取装置119の前側)に操作パネル111bが設けられ、この操作パネル111bには、画像形成処理をスタートさせるスタートボタン111c、用紙Pの処理枚数等を入力するためのテンキー111dおよび各種のコメントを出力する液晶からなるモニター画面111e等が配設されている。
【0014】
かかる前記装置本体111内には、図2に示すように、その下部に配設された給紙部112と、この給紙部112の側方および上方に配設された用紙搬送部113と、給紙部112の上方に配設された画像形成部114と、この画像形成部114の排出側に配設された定着装置115と、これら画像形成部114および定着装置115の上方に配設された画像読取部116とが設けられている。画像形成部114および定着装置115は、装置本体111の内部で用紙搬送方向と直交する幅方向(図2の紙面に直交する方向)に細長く配設され、装置本体111内の上部において図2における右側から画像形成部114、定着装置115の順に用紙Pの搬送方向(右から左方向)に沿って並設されている。
【0015】
前記給紙部112は、給紙カセット112aに積層載置された用紙Pの束を、給紙ローラの回転動作によって最上位の用紙Pから1枚ずつ用紙搬送部113に給紙するものである。かかる用紙搬送部113は、給紙部112から給紙された用紙Pを、各種搬送ローラ対113aによって画像形成部114へ搬送し、さらに画像形成部114および定着装置115において画像形成がなされた用紙Pを定着装置115の下流側に設けられた搬送ローラ対113aを介して排紙トレイに排紙するようになっている。
【0016】
なお、両面印刷時には、用紙Pはスイッチバック部113bによって画像転写面が反転された後に、再び画像形成部114に搬送される。
【0017】
前記画像読取部116は、原稿の画像情報を読み取るものであり、1枚ずつの原稿を手置きで読み取らせる場合には、原稿読取装置119を開いて装置本体111の上面に設けられたコンタクトガラス116a上に当該原稿を載置する一方、原稿束から1枚ずつを自動的に読み取らせる場合には、当該原稿束を、閉じた状態の原稿読取装置119の給紙トレイ上に載置するようになっている。原稿束が給紙トレイ上に載置された場合は、当該原稿束から1枚ずつの原稿が自動的に順次コンタクトガラス116a上に送り込まれるようになっている。いずれの場合でもコンタクトガラス116a上に位置した原稿に、露光ランプから光が照射され、その反射光を反射鏡を介してCCDラインセンサ等からなる光電変換部へ導くようになされている。
【0018】
前記画像形成部114は、前記画像読取部116の下方に配設され、電子写真プロセスによって、用紙P上に所定のトナー像を形成するものであり、回転可能に軸支された光導電性を有する感光体ドラム114aと、この感光体ドラム114aの周囲にその回転方向に沿って配設された主帯電装置114bと、同露光装置114cと、同現像装置114dと、同副帯電装置114hと、同転写装置114eと、同クリーニング装置114fと、同除電装置114gとを備えている。
【0019】
前記定着装置115は、上記画像形成部114の用紙搬送方向の下流側に配置され、画像形成部114においてトナー像の転写された用紙Pを、加熱ローラ115aと加圧ローラ115bとからなる一対の定着ローラに挟持させて加熱し、用紙P上のトナー像を当該用紙Pに定着させるものである。
【0020】
以下、このように構成された複合機11の基本的な動作を説明する。まず、図2で時計方向に回転する感光体ドラム114aの周面が主帯電装置114bによって一様に帯電され、引き続き前記画像読取部116で読み取られた画像情報に基づいて露光装置114c(レーザー装置等)からのレーザービームが感光体ドラム114aの周面に照射され、これによって感光体ドラム114aの周面に静電潜像が形成される。この静電潜像に現像装置114dから現像剤としてのトナーが供給され、感光体ドラム114aの周面が副帯電装置114hによって一様に帯電されることによりトナー像が形成される。
【0021】
ついで、給紙部112からの用紙Pは、用紙搬送部113を通ってトナー像が形成された感光体ドラム114aに向けて搬送され、ここで転写ローラ等からなる転写装置114eにより感光体ドラム114aの周面のトナー像が用紙Pに転写される。そして、トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム114aから分離され、定着装置115に向けて搬送され、加熱ローラ115aおよび加圧ローラ115b間を通過することによる加熱処理でトナー像が定着される。定着装置115を通過した用紙Pは、搬送ローラ対113aを経て用紙排出トレイ120へ排出される。
【0022】
そして、トナー像の用紙Pへの転写処理が完了した感光体ドラム114aは、クリーニング装置114fで周面に残留している残留トナーが取り除かれた後、除電装置114gで残留電荷を除去する除電処理が施され、その後、主帯電装置114bにより再び周面に帯電処理が施される。
【0023】
このように構成された画像形成装置10においては、上記のような画像形成動作により、画像形成部114や定着装置115等が発熱し、特に定着装置115からの発熱によって装置本体111内が高温雰囲気になる。この高温雰囲気をそのまま放置すると、装置内機器に悪影響を及ぼす虞があることから、本発明においては、装置本体111内の雰囲気を入れ換える(具体的には外気を装置本体111内に導入する)ことにより、装置本体111内を冷却するようになされている。
【0024】
以下、図3〜図5を基に必要に応じて図1および図2を参照しながら複合機11の装置本体111内に設けられた被冷却部51を冷却する冷却構造について説明する。図3は、複合機11の斜視図であり、前面カバー体(前カバー)117が開放された状態を示している。また、図4は、冷却構造を説明するために現像装置用ユニット筐体61を長手方向に横切る線で見た複合機11の側面断面視の説明図である。また、図5は、冷却構造における吸気部30周辺に焦点を当てた図4の部分拡大図である。
【0025】
図3に示すように、装置本体111内には、静電潜像が形成される感光体ドラム114aの周面にトナーを供給してトナー像を形成させる現像装置114dの周辺の被冷却部51と、トナー像を用紙Pに転写した後に感光体ドラム114aの周面に残留した残留トナーを除去するクリーニング装置114fの周辺の被冷却部52と、用紙Pに転写されたトナー像に対し定着処理を施す定着装置115の周辺の被冷却部53の3つの部分にそれぞれ独立して被冷却部が形成されている。
【0026】
本実施形態の冷却構造は、特に現像装置114dの周辺部の被冷却部51に特徴を有するため、これに焦点を当てて説明する。この被冷却部51は、主帯電装置114b及び副帯電装置114hが装着された現像装置用ユニット筐体61として構成されたものである。
【0027】
図4に示すように、冷却構造は、装置本体111の正面側に設けられて空気を装置本体111内に吸気する吸気部30と、この吸気部30を介して装置本体111内に導入された空気を排気する排気部40とを備えて構成され、吸気部30から取入れられた空気が装置本体111内において吸気部30および排気部40間に配設された複数の被冷却部51を流通して当該被冷却部51を冷却した後、排気部40から外部に排気されるようになっている。
【0028】
前記吸気部30は、被冷却部51に対応して設けられた吸気口31と、この吸気口31に対応して設けられた送風ダクト32と、この送風ダクト32と対向して前記被冷却部51内に設けられた第1送風ファン331及び第2送風ファン332とを備えている。前記第1及び第2送風ファン331及び332を駆動することにより、吸気口31を介して吸気された空気が前記被冷却部51を流通した後、排気部40を介して排気されるようになっている。
【0029】
前記吸気口31は、図1に示すように、装置本体111の前面上部を開閉自在に覆った前面カバー体117の上部位置に設けられている。この吸気口31には、格子状のルーバー117bが装着されている。
【0030】
一方、前面カバー体117は、表板117′と、この表板117′から若干離間した状態で当該表板117′と対向した裏板117″とによって二重構造で形成されている。前記吸気口31は表板117′側に設けられている。裏板117″の周縁部は表板117′に向かって折り曲げられて形成した環状縁部が密着状態で表板117′に固定されることにより表板117′と裏板117″とが一体化されている。そして、かかる裏板117′と裏板117″との間に、吸気口31から取り入れられた空気が通過する空気通過空間Vが形成されている。
【0031】
前記空気通過空間Vは、前記吸気口31および前記送風ダクト32と通じており、吸気口31から取り入れられた空気は、空気通過空間Vを通り、送風ダクト32を介して当該被冷却部51へ導入されるようになっている。
【0032】
このような前面カバー体117は、図3に示すように、一方の側部(図3に示す例では右側の側部)の上下の縁部から互いに反対方向に突設された上下一対の連結軸117a(下側の連結軸117aは不図示)を有し、これらの連結軸117aが装置本体111の給紙部112より上の右側部に装着されることによって連結軸117a回りに正逆回動して開閉されるようになっている。
【0033】
前記送風ダクト32は、図3〜図5に示すように、二重構造で構成された前面カバー体117の裏板117″から装置本体111内に向かって角筒状で、かつ、裏板117″を貫通した状態で突設されている。かかる送風ダクト32は、一端面が前記吸気口31と対向するとともに、他端面が前記被冷却部51と対向している。
【0034】
この送風ダクト32の他端面(被冷却部51と対向した側の端面)には縦横の桟材からなる格子324(図3参照)が形成されているとともに、他端面おける周縁面には、それぞれゴムや軟質の合成樹脂等の弾性部材からなる環状シール部材325が貼着されている。
【0035】
一方、前記現像装置114dは関連機器がまとめられてユニット化され、現像装置用ユニット筐体61(図3参照)内に納められている。かかる現像装置用ユニット筐体61には、現像装置114dの他、主帯電装置114bや副帯電装置111hが装着されている。本実施形態においては、現像装置用ユニット筐体61は、被冷却部51と重複している。
【0036】
そして、前記送風ダクト32は、前面カバー体117が閉止された状態で、次のようにして、現像装置用ユニット筐体61の前面と環状シール部材325を介して当接し得るように裏板117″からの突設量が設定されている。
【0037】
また、現像装置用ユニット筐体61における送風ダクト32と対向する壁面には、複数の第1通風孔611が穿設されている。そして、同壁面の下側の若干奥まった面には、複数の第2通風孔612が穿設されている。このため、前面カバー体117が閉止されると、図5に示すように、送風ダクト32は、現像装置用ユニット筐体61の第1通風孔611の設けられた壁面とは当接するが、第2通風孔612の設けられた壁面とは当接することがなく、第2通風孔612と前面カバー体117の裏板117″との間に隙間34が形成されるようになっている。
【0038】
現像装置用ユニット筐体61内の前部(図5における右方)には、大型の第1送風ファン331と、小型の第2送風ファン332との2つのファンが設けられている。
【0039】
これらの第1及び第2送風ファン331及び332は、第1送風ファン331が空気流方向の上流側、第2送風ファン332が空気流方向の下流側となるように、現像装置用ユニット筐体61内に直列に配置されている。
【0040】
そして、これらの第1及び第2送風ファン331及び332は、互いにファン軸の軸線が異なるように配置されている。すなわち、第1送風ファン331は、ファン軸が第1通風孔611と第2通風孔612の境界部に位置するように設けられ、これによって送風ダクト32及び第1通風孔611を介して装置本体111の外部の空気を取り込み、隙間34及び第2通風孔612を介して装置本体111の内部の空気を取り込むようになされている。他方、第2送風ファン332は、ファン軸が送風ダクト32の中心線にほぼ沿うように設けられ、これによって空気が送風ダクト32内を偏りのない状態で流通するようになされている。
【0041】
現像装置用ユニット筐体61内には、第2送風ファン332の下方に仕切板613が水平に設けられ、現像装置用ユニット筐体61内の空間が部分的に上下に仕切られている。この仕切板613の下面には、副帯電装置114hの清掃部材(図示せず)を駆動するためのモータ118を取り付けるための板金614が垂直に取り付けられている。板金614は、現像装置用ユニット筐体61の底壁と幅方向の両側壁まで達する平面寸法を有しており、これによって仕切板613の下方の風路を遮断している。換言すれば、現像装置用ユニット筐体61内は、仕切板613の下流側では、該仕切板613の上側にのみ空気流路Fが形成されるようになされている。
【0042】
前記排気部40は、図4に示すように、装置本体111の背面板111fを共用した状態で装置本体111の底板111g(図4参照)に立設された排気ダクト41と、底板111gにおける排気ダクト41の下端面に対応した部分に穿設された複数の排気孔42とを備えて構成されている。前記排気ダクト41は、左右幅寸法が被冷却部51,52,53の幅寸法と略同一に設定されているとともに、高さ寸法が被冷却部51,52,53の最下位の高さ寸法と略同一に設定され、これによって被冷却部51,52,53を貫流した空気は、排気ダクト41内を通って排気孔42から外部に排気されるようになっている。
【0043】
このように構成された冷却構造によれば、第1及び第2送風ファン331及び332を駆動することにより、外部の空気が吸気口31を通って一旦前面カバー体117の表板117′と裏板117″との間の空気通過空間Vに導入された後、フィルタ326を通って粉塵が除去された状態で送風ダクト32を介して被冷却部51に供給され、これによって被冷却部51に冷却処理が施される。冷却処理後の空気は、排気ダクト41を通り、排気孔42から外部に排出される。
【0044】
次に、冷却構造の吸気部30の動作について図5に基づいてさらに詳しく説明する。第1及び第2送風ファン331及び332を駆動すると、装置本体111外の空気が、吸気口31を通って空気通過空間V内へ導入され、さらに送風ダクト32を通過してそのまま第1通風孔611より現像装置用ユニット筐体61を貫流する。また、装置本体111内の隙間34周辺の空気は、第2通風孔612を通って一旦モータ118や板金614にぶつかった後、仕切板613を下から上へ跨ぐようにして上記の空気流に合流して現像装置用ユニット筐体61を貫流する。
【0045】
このとき、仕切板613の上側では、第1送風ファン331と第2送風ファン332が直列に配置されるため、空気流路Fを通過する風量が増し、発熱量の大きな現像装置114dを効率的に冷却することができる。他方、仕切板613の下側では、第1送風ファン331のみが配置されるため、モータ118に送られる風量は少なくなるが、モータ118の発熱量は現像装置114dに比較すると極めて小さく、また、モータ118から熱を奪って温かくなった空気は、籠もることなく空気流路Fへ向かう空気流に合流するので、少ない風量でも充分な冷却効果を得ることができる。
【0046】
また、この構成によると、ファン風量を稼ぐために個々のファン331又は332の回転数を上昇させることも必要ないことから、ファンモータの駆動音やファンの風切り音等の騒音が抑制され、画像形成装置の静寂性が損なわれることがない。
【0047】
さらには、感光体ドラム114a上の静電潜像の現像時に、現像装置114dから必要以上のトナーが供給され、粉塵が周辺に舞い散ったとしても、現像装置用ユニット筐体61内を貫流する空気流により粉塵が吹き飛ばされるため、その下に形成される搬送路にトナーが落ちることが防がれ、結果として搬送路を搬送される用紙が汚れるのを防止する効果が期待できる。
【0048】
なお、送風ダクト32の入口側には、当該送風ダクト32を覆うようにフィルタ326が張設され、被冷却部51内の第1及び第2送風ファン331及び332の駆動で送風ダクト32を介して被冷却部51内に取り入れられる空気が清浄化処理されるようになっている。
【0049】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0050】
(1)上記の実施形態においては、被冷却部51が現像装置用ユニット筐体61である場合を例に説明したが、被冷却部がクリーニング装置用ユニット筐体や定着装置用ユニット筐体等であってもよく、これらを単独で被冷却部として設定するものの他、2つ以上を組み合わせて被冷却部として設定しても構わない。
【0051】
(2)上記の実施形態においては、送風ダクト32は角筒状に形成されているが、本発明は、送風ダクト32が角筒状であることに限定されるものではなく、状況に応じて円筒状やその他の形状の筒体によって形成してもよい。
【0052】
(3)上記の実施形態においては、排気部40の排気孔42が装置本体111の底板111gに設けられているが、こうする代わりに排気孔42を装置本体111の背面板111f側に設けてもよい。このようにすれば、排気ダグト41を設ける必要がなくなり、その分部品コストの低減化に貢献することができる。
【0053】
(4)上記の実施形態においては、2つの送風ファン331及び332が被冷却部51内に設けられているが、本発明は、これらの送風ファン331及び332が被冷却部51内に設けられることに限定されるものではなく、前面カバー体117に設けられた送風ダクト32内に設けてもよい。こうすることによって、前面カバー体117を開放した状態で2つの送風ファン331及び332のメンテナンスを行うことが可能になり、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】は、同上画像形成装置の内部構造を説明するための正面断面視の説明図である。
【図3】は、同上画像形成装置の斜視図であり、前面カバー体が開放された状態を示している。
【図4】は、同上画像形成装置の冷却構造を説明するために現像装置用ユニット筐体を長手方向に横切る線で見た複合機の側面断面視の説明図である。
【図5】は、同上画像形成装置の冷却構造における吸気部周辺に焦点を当てた図4の部分拡大図である。
【図6】は、従来の画像形成装置の一例の冷却構造における吸気部周辺に焦点を当てた部分断面図である。
【図7】は、従来の画像形成装置の他の例の冷却構造における吸気部周辺に焦点を当てた部分断面図である。
【図8】は、従来の画像形成装置のさらに他の例の冷却構造における吸気部周辺に焦点を当てた部分断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 画像形成装置
11 複合機
30 吸気部
31 吸気口
32 送風ダクト
34 隙間
40 排気部
51,52,53 被冷却部
61 現像装置用ユニット筐体
111 装置本体
111f 背面板
111g 底板
111h 副帯電装置
112 給紙部
112a 給紙カセット
113 用紙搬送部
113a 搬送ローラ対
113b スイッチバック部
114 画像形成部
114 現像装置
114c 露光装置
114a 感光体ドラム
114b 主帯電装置
114d 現像装置
114e 転写装置
114f クリーニング装置
114g 除電装置
114h 副帯電装置
115 定着装置
116 画像読取部
117 前面カバー体
118 モータ
119 原稿読取装置
120 用紙排出トレイ
331 第1送風ファン
332 第2送風ファン
611 第1通風孔
612 第2通風孔
613 仕切板
614 板金
P 用紙
V 空気通過空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を装置本体内に吸気する吸気部と、この吸気部を介して装置本体内に導入された空気を排気する排気部と、装置本体内における前記吸気部および排気部間に配設された被冷却部とを備えてなる画像形成装置において、
前記吸気部は、被冷却部に対応して設けられた吸気口と、該吸気口から吸気された空気を前記被冷却部へ送風する複数の送風ファンとを備え、
前記複数の送風ファンを空気流方向に対し直列に配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の送風ファンが大型ファンと小型ファンの2つのファンから構成され、大型ファンが空気流方向の上流側となり、小型ファンが空気流方向の下流側となり、かつ、大型ファンと小型ファンのファン軸の軸線を異ならせて配置したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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