説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、像担持体から転前ガイド部へのトナー画像のリークを防止し、像担持体を保護し、帯電を防止すると共に、転写不良を防止する。
【解決手段】転前ガイド部10は、通紙路9に沿って配置された第1部材41と、第1部材41の通紙路9側に取り付けてニップ部14に向かって延び、絶縁性を有する可撓性材料からなる第2部材42と、第2部材42の通紙路9側に取り付け、導電性を有する可撓性材料からなる、接地された第3部材43を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に像担持体に担持されたトナー
画像を記録媒体に転写する転写部に、記録媒体を案内する転前ガイド部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には記録媒体を転写部に搬送する導電性の搬送ガイドに、導電性PETシートを貼り付けることにより、記録媒体とシートとの静電吸着を防止し、転写不良のない、確実な転写紙の搬送を可能にする画像形成装置が提案されている。
特許文献2には、ガイド部材としてのマイラーの表面にアルミニウムを蒸着し、金属製
のマイラー支持部材を介して接地することにより、マイラー表面の摩擦帯電により発生する電荷を逃すことができ、マイラーの帯電を防止することができる画像形成装置が提案されている。
特許文献3には、用紙ガイド部材が用紙と接触する部分にPET等を材料とし帯電防止剤を含有する薄肉状の可撓性部材を設けることにより、摩擦による用紙の帯電を防止できる、画像形成装置が提案されている。
特許文献4には、ガイドの記録媒体との摩擦部分に半導電性材料を被覆することで除電
し、画像ノイズの発生を防止する画像形成装置が提案されている。
【0003】
しかしいずれの特許文献に記載の画像形成装置でも、転前ガイドの先端まで導電性材料で形成されているため、先端で中間転写ベルト上のトナーを引っ張り、記録媒体を汚すという問題があった。また、ジャム処理時に転前ガイドに手が触れて転前ガイドの先端が像担持体すなわち中間転写ベルトに接触し、ベルト面を傷付けるという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−288188号公報
【特許文献2】特開2000−172083号公報
【特許文献3】特開2006−64748号公報
【特許文献4】特開2004−12851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来の問題点に鑑みてなされたもので、像担持体から転前ガイド部へのトナー画像のリークを防止し、像担持体を保護し、帯電を防止すると共に、転写不良を防止することができる転前ガイドを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明の画像形成装置は、トナー画像を担持しながら搬送する像担持体と、前記像担持体に接触し前記像担持体上のトナー画像を記録媒体に転写する転写部と、前記像担持体と転写部との接触により形成されるニップ部へ前記記録媒体を通紙路に沿って案内する転前ガイド部とを備えた画像形成装置において、前記ガイド部は、前記通紙路に沿って配置された第1部材と、前記第1部材の前記通紙路側に取り付けて前記ニップに向かって延び、絶縁性を有する可撓性材料からなる第2部材と、前記第2部材の前記通紙路側に取り付け、導電性を有する可撓性材料からなる接地された第3部材と、を備えることを特徴とする。ここで記録媒体とは普通紙に限らず、厚紙やOHPシート等を含むものである。
【0007】
前記第1部材の前記第2部材を取り付ける部分が前記像担持体に近づくように段部が設けられていることが好ましい。
【0008】
前記第3部材の先端は前記第2部材の先端から通紙路の上流側に位置することが好ましい。
【0009】
前記第1部材は、前記像担持体のフレームに当接させていることが好ましい。
【0010】
前記第1部材は弾性部材により前記像担持体側へ付勢されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、転前ガイド部の第2部材に絶縁可撓性のPET等の部材を用いたので、像担持体からの転前ガイド部へのトナー画像のリークを防止することができる。また絶縁性を有する材料からなる第2部材の通紙路側に、導電性を有する材料からなる第3部材を取り付け、接地したので、第2部材が帯電することによる転写不良を防ぐことができる。さらに、第1部材にニップ部に向かって延びる可撓性材料からなる第2部材を設けたので、ジャム処理時に転前ガイドに手が触れても、可撓性材料の第2部材が像担持体に接触するので像担持体は傷つくことなく、保護される。
【0012】
第1部材に段部を設けたので、第2部材の固定部の記録媒体紙面への飛び出しを防止す
ることができる。
【0013】
また第3部材の先端が第2部材の先端から通紙路上流側に位置し、像担持体と第3部材の間に絶縁部材である第2部材が介在するため、第3部材が像担持体上のトナー画像を引っ張り、記録媒体を汚すことを防ぐことができる。
【0014】
さらに、第1部材は像担持体のフレームに当接させたので、転前ガイド部と像担持体との間の絶縁距離を正確に決めることができる。
【0015】
第1部材は弾性部材により像担持体側へ付勢されているので、前記絶縁距離を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0017】
図1に本発明に係る画像形成装置1を示す。
まず、画像形成装置1の概略構成を説明する。画像形成装置1は、その内部のほぼ中央
部に像担持体として中間転写ベルト2を備えている。中間転写ベルト2は、ローラ3a、
3bの外周部に支持されて矢印A方向に回転駆動されるようになっている。駆動ローラ3
aは図示しない駆動モータに連結され、この駆動ローラ3aの回転に伴い、ローラ3bが
従動回転するようになっている。中間転写ベルト2の下部水平部の下には、イエロー(Y)
、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色にそれぞれ対応する4つの作像ユニッ
ト4Y、4M、4C、4K、が中間転写ベルト2に沿って並んで配置されている。各作像
ユニット4Y、4M、4C、4Kは、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kをそれぞれ有
している。各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、中間転写ベルト2を挟ん
で各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kと対向する1次転写ローラ6Y、6M、6C、
6Kがそれぞれ配置されている。中間転写ベルト2の駆動ローラ3aで支持された部分に
は、2次転写ローラ7が圧接されており、2次転写ローラ7と中間転写ベルト2とのニッ
プ部が、2次転写領域8になっている。2次転写領域8の上流側の通紙路9には、転前ガ
イド部10が配置されている。2次転写領域8より下流側の通紙路11には、定着ローラ
12、加圧ローラ13が配置されている。定着ローラ12と加圧ローラ13との圧接部が
定着ニップ領域14となっている。
【0018】
画像形成装置1の下部には、第1、第2、第3、第4の4種類の給紙部15a、15b
、15c、15dが設けられ、第1給紙部15aと第2給紙部15bは上下に配置され、
第3給紙部15cと第4給紙部15dは第2給紙部15bの下方で左右に配置される。各
給紙部15a、15b、15c、15d内に積載収容された用紙は、最上部のものから1
枚ずつ通紙路9に送り出されることになる。また画像形成装置1の側部には循環路16が
設けられている。排紙ローラ17でスイッチバックした片面印刷済みの用紙は、循環路1
6を介して下方に搬送され、未印刷面が中間転写ベルト2側に向いた状態で通紙路9、1
1を再度上方に搬送されるようになっている。前記循環路16の下方には、手差し給紙装
置18が設けられる。なお19Y、19M、19C、19Kは作像ユニット4Y、4M、
4C、4Kにそれぞれの色のトナーを供給するトナーカートリッジである。また20は作
像ユニット4Y、4M、4C、4Kを制御する制御部を示す。
【0019】
次に、以上の構成からなる画像形成装置1の概略動作について説明する。画像読取部2
1で画像を読み取って得られたカラープリントデータ、又はパーソナルコンピュータ等か
ら出力された画像データは、制御部20で所定の信号処理が施された後、イエロー(Y)、
マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像信号として、各作像ユニット4Y、4M
、4C、4Kに供給される。各作像ユニット4Y、4M、4C、4Kでは、それぞれの感
光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に画像信号で変調されたレーザ光が投射されて画像
潜像が形成される。各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上にはイエロー、マゼンタ、
シアン、黒のトナー画像が形成される。形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、黒のト
ナー画像は、1次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kの作用により、移動する中間転写ベ
ルト2上に順次重ね合わせて1次転写される。このようにして中間転写ベルト2上に形成
された重ね合わせトナー画像は、中間転写ベルト2の移動にしたがって2次転写領域8に
達する。この2次転写領域8において、重ね合わされた各色トナー画像は、2次転写ロー
ラ7の作用により、給紙部15a、15b、15c,15d又は手差し給紙装置18から
供給された用紙に一括して2次転写される。次にトナー画像が2次転写された用紙は、定
着ニップ領域14に達する。この定着ニップ領域14において、トナー画像は定着ローラ
12及び加圧ローラ13の作用により用紙に定着される。トナー画像が定着された用紙は
、排紙ローラ17を介して排紙トレイ22に排出される。
【0020】
次に、本発明の定着領域に用紙を案内する転前ガイド部10について説明する。
【0021】
図2で示すように転前ガイド部10は、画像形成装置1のフレーム33に、通紙路9に
沿うように、軸31を中心として回転可能に取りつけられ、板ばね30が下端に当接する
ことにより上端が中間転写ベルト2の方向へ付勢されている。転前ガイド部10の上端部
は、中間転写ベルト2との位置関係を決めるために中間転写ベルト2のフレームに設けた
突部32に当接されている。
【0022】
図3で示すように転前ガイド部10は、第1部材41と第2部材42と第3部材43と
からなっている。第1部材41は、導電性を有する厚さ約1mmの板金からなり、両側端に
軸31を挿通するための耳部34が形成されている。第1部材41の上端から所定の位置
に段上部45が中間転写ベルト2に近づくように段部44が設けられている。段部44は段上部45と段下部46の段差が1mmから2mmである。第2部材42は、絶縁可撓性のPETフィルムからなり、厚さ約0.188mmの矩形形状である。第2部材42は第1部材41の段上部45の通紙路9側に、段部44にはかからないように接着剤Sにより取り付けられている。また第2部材42の先端部は第1部材41の先端より通紙路9の下流側に向かって突出している。第3部材43は、導電フィルムからなり、厚さ約0.12mmの矩形形状である。第3部材43は段上部45において第2部材42の通紙路9側に接着剤より取り付けられるが、第1部材41の段部44を解消するため複数枚が取り付けられている。第3部材43から第1部材41の段下部46にかけてもう1枚の第3部材43が接着剤により取り付けられている。また第3部材43の先端は第2部材42の先端より0.5mmから1.5mmの間で通紙路9の上流側に位置する。なお第3部材43は第1部材41と共に接地する。
【0023】
以上の構成からなる転前ガイド部10において、通紙路9を搬送される用紙Pは第2部
材42の先端でガイドされ、2次転写領域8に導かれる。この時、導電性を有する第3部
材43が接地されているため、PETフィルムからなる第2部材42の先端と用紙Pとの摩擦により生じる電荷は除電され、ノイズの発生や転写不良が防止される。また第3部材43の先端が第2部材42の先端より通紙路9の上流側にあり、第3部材43の先端から第2部材42の先端までの距離S1に第2部材42の先端から中間転写ベルト2までの距離S2を加えた絶縁距離S1+S2が確保されているため、第3部材43と中間転写ベルト2の間で、リークが生じることがない。この結果、第3部材43が中間転写ベルト2上のトナー画像を引っ張り、用紙Pを汚すことが防止される。前記絶縁距離S1は第3部材を第2部材に取り付けるときに正確に決まり、絶縁距離S2は第1部材41が突部32に当接しているので、正確に決められる。第1部材41の段部44により、段上部45に固定された第2部材42は用紙Pの通紙路9側に突出することはないので、用紙Pが搬送中に引っ掛かることが無くスムーズに搬送される。更に第1部材41の上端部が中間転写ベルト2の突部32に当接しているので、第1部材41と中間転写ベルト2の間の絶縁距離が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る画像形成装置を示す概略図。
【図2】像担持体とガイド部の側面図。
【図3】ガイド部の断面図。
【符号の説明】
【0025】
1 画像形成装置
2 中間転写ベルト(像担持体)
7 2次転写ローラ(転写部)
8 2次転写領域(ニップ部)
9 上流側通紙路
10 転前ガイド部
30 板ばね(弾性部材)
32 突部
33 フレーム
41 第1部材
42 第2部材
43 第3部材
44 段部
P 用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像を担持しながら搬送する像担持体と、前記像担持体に接触し前記像担持体上のトナー画像を記録媒体に転写する転写部と、前記像担持体と転写部との接触により形成されるニップ部へ前記記録媒体を通紙路に沿って案内する転前ガイド部とを備えた画像形成装置において、
前記転前ガイド部は、前記通紙路に沿って配置された第1部材と、
前記第1部材の前記通紙路側に取り付けて前記ニップ部に向かって延び、絶縁性を有する可撓性材料からなる第2部材と、
前記第2部材の前記通紙路側に取り付け、導電性を有する可撓性材料からなる接地された第3部材と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1部材の前記第2部材を取り付ける部分が前記像担持体に近づくように段部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第3部材の先端は前記第2部材の先端から前記通紙路の上流側に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1部材は、前記像担持体のフレームに当接させていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1部材は弾性部材により前記像担持体側へ付勢されていることを特徴とする請求
項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−134387(P2008−134387A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319771(P2006−319771)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】