説明

画像形成装置

【課題】十分な版の安全性を確保してセキュリティーレベルを高めた画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿画像に基づいて作成した版70を用いて用紙Pに画像を形成する第1の画像形成部69と、原稿画像に基づいてインクジェット方式で用紙に画像を形成する第2の画像形成部16とを備えた画像形成装置100において、原稿画像を画像処理して単独で判読不可とした第1の画像データと第2の画像データとし、第1の画像データを基に版を作製し、この版により第1の画像形成部で用紙に画像形成すとともに、第1の画像形成部で画像形成された用紙に第1の画像形成部による画像形成工程と同一工程で第2の画像データを基にして第2の画像形成部でインクジェット画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像に基づいて作成した版を用いて用紙に画像を形成する第1の画像形成部と、原稿画像に基づいてインクジェット方式で用紙に画像を形成する第2の画像形成部とを備えた画像形成装置に関し、特に版のセキュリティーに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の1形態である孔版印刷装置では、原稿画像に基づいて孔版原紙を製版し、製版した孔版原紙を用いて用紙に印刷をして原稿画像に応じた印刷物を得ている。印刷に用いた孔版原紙は、新たな原稿画像に応じた印刷を行うときに排版されるが、新たな印刷が実行されるまでは印刷ドラムの外周面に装着された状態で装置内部に存在するので、版のセキュリティーを確保するためには、版の着脱を制限する機構を設ける場合や印刷終了後に版を一旦廃棄している。
【0003】
また、特許文献1には、原稿画像に基づいて作成した版を用いて用紙に画像を形成する第1の画像形成部と、原稿画像に基づいてインクジェット方式で用紙に画像を形成する第2の画像形成部とを備えたハイブリッド方式の孔版印刷装置において、第1の画像形成部のインクが対応する色部分と、それ以外の画像部分を第2の画像形成部に対応するように、原稿画像を分割することが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−137516
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1における目的は、様々な種類の用紙に対して良好に印刷することであり、版のセキュリティーに関するものではない。また、特許文献1の構成を用いて版のセキュリティーを図ろうとした場合、色を基準にして製版印刷するデータとインクジェット印刷するデータとに原稿画像のデータを分割するので、製版される画像は原稿画像そのものでないが、単色印刷の場合には、原稿画像がそのまま製版されてしまう場合も想定される。また、単色でなくても色を基準にして版を製版する場合においても、色によっては大量の情報が版に残る可能性があり、十分な版のセキュリティーを確保するのは難しい。
【0006】
本発明は、十分な版の安全性を確保してセキュリティーレベルを高めた画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、請求項1の発明は、原稿画像に基づいて作成した版を用いて用紙に画像を形成する第1の画像形成部と、原稿画像に基づいてインクジェット方式で用紙に画像を形成する第2の画像形成部とを備えた画像形成装置において、原稿画像を画像処理して単独で判読不可とした第1の画像データと第2の画像データとし、第1の画像データを基にした版により第1の画像形成部で前記用紙に画像形成すとともに、第1の画像形成部で画像形成された用紙に、第1の画像形成部による画像形成工程と同一工程で第2の画像データを基にして第2の画像形成部でインクジェット画像を形成することを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、原稿画像を、画像処理して画像欠けを起こした第1の画像データと第2の画像データとする画像処理部を有することを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、第1の画像形成部により画像を形成する画像形成モードまたは第1の画像形成部と第2の画像形成部により画像を形成する合成画像形成モードの何れかを選択する選択手段を有することを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1、2または3記載の画像形成装置において、第一の画像形成部が孔版原紙に画像を形成する孔版印刷部であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原稿画像を画像処理して単独で判読不可とした第1の画像データと第2の画像データとし、第1の画像データを基に版を作製するので、版単独では原稿画像を判読することが不可となる。また、第1の画像形成部で画像形成された用紙に、第1の画像形成部による画像形成工程と同一工程で第2の画像データを基にして第2の画像形成部でインクジェット画像が形成されるので、この画像形成により原稿画像に対応した画像が印刷されることで画像が判読可能となり、十分な版の安全性を確保してセキュリティーレベルを高めながら原稿画像に対応した画像形成を行える画像形成装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明を適用した画像形成装置としての印刷装置である感熱デジタル製版一体型の孔版印刷装置の概略を示す。この孔版印刷装置100は、原稿画像を読取るためのイメージスキャナ61、製版装置71、製版装置71で製版する記録方式で画像を形成する第一の画像形成部となる第1の印刷部69、印刷ドラムとなる版胴68から用紙Pを剥離する進退自在な分離爪75、分離爪75とともに用紙Pを版胴68から離間させるためのエアーナイフ装置45、印刷工程の前に版胴68に巻き付けられた使用済みのマスタ70を剥離し収納する排版装置76、印刷部69に向けて用紙Pを供給する給紙部としての給紙装置52、分離爪75とエアーナイフ装置45によって版胴68から離間された用紙Pを搬送する用紙搬送装置84、用紙搬送装置84によって搬送されてきた印刷済みの用紙Pを積載する排紙部としての排紙台85、図示しない操作パネルと、インクジェット方式による記録方式で画像を形成する第二の画像形成部となる第2の印刷部16および制御手段30を備えている。
【0013】
イメージスキャナ61は、コンタクトガラス62上にセットされた原稿を照明するためのランプ63や複数のミラー64、結像レンズ65及び1次元アレイ状のCCD66等により構成されていて、装置本体67の上部に配置されている。
【0014】
イメージスキャナ61にて読み取った原稿画像は、第1の印刷部69による孔版印刷に用いる場合と、第1の印刷部69と第2の印刷部10による孔版印刷とインクジェット印刷の双方による合成印刷に用いる場合がある。
【0015】
第1の印刷部69は、装置本体67に回転自在に支持された版胴68を中心として構成されている。版胴68は、その内部に配設されたインキローラ72を含む図示しないインキ供給機構と、その外周の一部に配設された、製版済みのマスタ70の端部を把持する開閉自在のクランプ73と、開口部と非開口部とを備えた図示しない多孔性支持円筒体と、この多孔性支持円筒体の外周を覆う図示しないメッシュスクリーンとを有している。開口部は、インキ供給機構によって供給されるインキを透過させるための小さな孔が多数形成された部分であり、透過したインキが、メッシュスクリーンから滲み出るように構成されている。版胴68は、複数の印刷速度に対応してその回転速度を変えることが可能なように版胴駆動手段としての図示しないメインモータを含む版胴68の図示しない駆動系を介して図1において時計回り方向に回転駆動される。
【0016】
版胴68の下方には印圧部材となる圧胴20が配置されている。圧胴20は、版胴68の径と略同じ径を有し、版胴68の外周に、給紙される被記録体としての用紙Pを版胴68に押圧する周知のものである。圧胴20の駆動系は、版胴68の駆動系に連結されており、メインモータが圧胴20を回転駆動する駆動手段を兼ねている。圧胴20は、メインモータを含む圧胴20の駆動系を介して、版胴68の回転周速度と同じ周速度で図1において反時計回り方向に回転駆動される。
【0017】
圧胴20は、版胴68との対向部であるニップ部Nにおいて、用紙Pを版胴68に巻装されたマスタ70に押し付け、マスタ70から滲み出てくるインキを用紙Pに付着させて印刷を行うものである。圧胴20は、図示しない接離手段によって、版胴68の外周面に対して接離自在になされている。印圧部材としては圧胴ではなく、周知のプレスローラを用いる形態であってもよい。
【0018】
製版装置71は、原稿を読み取った画像信号に応じて熱孔版原紙70aを穿孔して作製した製版済みのマスタ70を版胴68に供給するもので、イメージスキャナ61の下部に配置されている。製版装置71は、プラテンローラ77及びこれに接離自在に対向配置された製版ヘッドとしてのサーマルヘッド78と、製版済みのマスタ70を版胴68に向けて搬送するローラ対79と、製版マスタ20を所定長さに切断するカッタ80とを有している。製版装置71で原稿画像に対応した画像を感熱孔版原紙70aによって製版されたマスタ70は、版胴68に備えられた多孔性支持円筒体の開口部を覆うように版胴68に巻き付けられる。
【0019】
排版装置76は、版胴68からマスタ70を剥ぎ取って搬送するマスタ剥離装置53と、マスタ剥離装置53によって版胴68から剥ぎ取られ搬送されてきた使用済みのマスタ70を収納する排版ボックス54とを有する周知の構成とされている。
【0020】
給紙装置52は、昇降自在に設けられ用紙Pを積載する給紙台81と、給紙台81の上方に配設された給紙ローラ82と、版胴68の回転運動に同期して駆動され、給紙ローラ82により繰り出された用紙Pを印刷部69に給送するレジストローラ対83と、給紙ローラ82により繰り出された用紙Pをレジストローラ対83に案内するとともに、レジストローラ対83から印刷部69に向けて給送された用紙Pを印刷部69に案内するガイド板40,41とを有している。給紙ローラ82は、給紙台81上に積載された用紙Pのうち最上位の用紙Pを繰り出すものであって、定位置において回転されるようになっている。給紙台81は、最上位の用紙Pが給紙ローラ82に当接するよう、用紙Pの枚数に応じて上昇、下降が制御される。
【0021】
分離爪75は、用紙Pの搬送方向におけるニップ部Nの下流側に配設され、図示しない駆動機構により版胴68に接離される。分離爪75は、図示しないポンプに連結されており、図示しないその先端の孔から、ポンプから送られた空気を、版胴68に向けて吹き付けるようになっている。
【0022】
エアーナイフ装置45は、排版装置76の下方に位置しており、ファン45aと、ファン45aにより発生した空気を版胴68に向けて薄い層状をなす状態で吹き付けるためのダクト45bとを有しており、版胴68上のマスタ70に張り付いた状態の用紙Pに空気を吹き付けることにより用紙Pをかかるマスタ70から剥離させるように構成されている。
【0023】
用紙搬送装置84は、駆動ローラ55及び従動ローラ56と、駆動ローラ55と従動ローラ56に巻き掛けられた排紙ベルトとしての搬送ベルト57と、搬送ベルト57に用紙Pを吸着させるための吸着ファン58とを有しており、分離爪75、エアーナイフ装置45によって版胴68上のマスタ70から剥離された用紙Pを搬送するようになっている。排紙台85は、用紙搬送装置84によって搬送されてきた、第1の印刷部69及び第2の印刷部16で印刷後の用紙Pを積載するものである。
【0024】
第2の印刷部16は、用紙Pの搬送方向における用紙搬送装置84よりも下流側に配置され、インクジェット方式による記録方式で画像を形成するためのインクジェットユニット10が配置されている。インクジェットユニット10は、装置本体67に装着されていて、図2に示すように、インクジェット方式による印刷を行うために水性のインクを吐出するライン型のヘッド12と、ヘッド12にインクを供給するインクタンク13と、吸引等によりヘッド12をクリーニングする図示しないクリーニング手段と、ヘッド12がインクを吐出するときに生じるインクミストを吸着する図示しない吸着手段と、ヘッド12を用紙Pの幅方向である主走査方向に駆動する図示しない駆動源としてのモータ等を含む駆動手段とを有している。
【0025】
インクジェットユニット10は、ヘッド12、インクタンク13、クリーニング手段、吸着手段および駆動手段等を覆う筐体14と、筐体14の外部の、用紙Pの搬送方向における上流側部分に一体に配設され、ヘッド12による印刷タイミングを測るために用紙Pを検知するセンサ15とを備えている。
【0026】
制御手段30は、CPU、ROM、RAM、タイマを備えた周知のコンピュータで構成されている。制御手段30には、図3に示すように、イメージスキャナ61、製版装置71、第1の印刷部69、エアーナイフ装置45、排版装置76、給紙装置52、用紙搬送装置84、ユニット10が接続されていて、各部の動作を画像形成モードと合成画像形成モードに基づき制御する。
【0027】
本形態において、制御手段30には、第1の印刷部69による画像形成モードと、第1の印刷部69とインクジェットユニット10による合成画像形成モードが設定されているとともに、何れかのモードを選択する選択手段31,32が接続されている。選択手段31は、第1の印刷部69による孔版印刷を実行する際に選択操作されるもので、選択手段31が選択されて操作されることで、孔版印刷を実行する画像形成モードが設定されて、孔版印刷が実行される。
【0028】
選択手段32は、第1の印刷部69による孔版印刷と、第2の印刷部16によるインクジェット印刷を実行する際に選択操作されるもので、選択手段32が選択されて操作されることで、合成画像形成モードが設定される。この合成画像形成モードが設定されると、第1の画像データを基にして第1の印刷部69で用紙Pに図4(a)に示す第1の画像として製版画像G1を形成するとともに、この画像形成された用紙Pに、第1の印刷部69による画像形成工程と同一工程で第2の画像データを基にして第2の印刷部16で図4(b)に示す第2の画像となるインクジェット画像G2を形成するように各部の動作が制御される。
【0029】
制御手段30には、原稿画像を、画像処理して画像欠けを起こした第1の画像データと第2の画像データとする画像処理部33が接続されている。画像処理部33は、イメージスキャナ61で読み取った原稿画像データを、第1の画像データと、第2の画像データとして画像処理する。第1の画像データは、単独で印刷された場合には判読が不可とされている。これは、孔版印刷の場合、版を作成するので、物理的に版が版胴68の外周面に残った状態となるので、印刷時以外にも版の画像が判読される危険が高いため、判読不可である必要性が高い。このため、本形態では、第1の画像データを単独で印刷した場合には判読不可としている。無論第2の画像データにより印刷された画像も、それ単独では判読不可としてもよい。
【0030】
本形態において、第1の画像データに基づき用紙Pに印刷される画像は図4(a)に示す製版画像G1であり、第2の画像データに基づき用紙Pに印刷される画像は図4(b)に示すインクジェット画像G2となる。また、これら製版画像とインクジェット画像の両者が同一の用紙Pに印刷されることで、図4(c)に示す合成画像G3となる。この合成画像は原稿画像と同一の画像である。
【0031】
画像処理部33による判読不能とする画像処理の形態としては、例えば、製版画像G1とインクジェット画像G2が単独印刷の場合には幾何学模様となるように原稿画像データを処理して第1の画像データと第2の画像データを形成して判読不可としてもよい。あるいは製版画像G1とインクジェット画像G2が原稿画像に対して上下または左右に非対称となるように画像処理して第1の画像データと第2の画像データを形成して判読不可としてもよい。他にも原稿画像に特定のパターンのマスキング処理を画像処理部33で画像データに施して製版画像G1を形成してもよい。
【0032】
このような構成の孔版印刷装置100による各モードにおける一連の印刷動作について説明する。
(画像形成モード)
選択手段31がオペレータによって操作されると、制御手段30には画像形成モードが設定され、第1の印刷部69による画像形成動作が開始する。ここでいう画像形成動作とは、原稿の読み込みから製版を経て印刷までの動作となる。
【0033】
画像形成モードでは、プラテンローラ77とサーマルヘッド78との間、及びローラ対79間に、未製版の感熱孔版原紙70aが通っている状態で操作パネルを用いて製版処理を実行すると、プラテンローラ77及びローラ対79が駆動されると同時に、原稿がイメージスキャナ61で読み取られ、画像処理部33で原稿画像に対応した画像処理がされた原稿の画像データ等に基づいてサーマルヘッド78の特定の抵抗発熱素子に電圧が印加され、感熱孔版原紙70aへの製版が行われる。
【0034】
このようにして製版された製版済みのマスタ70はローラ対79により版胴68に向けて送り出されるが、この動作に同期して版胴68はクランプ73が製版済みのマスタ70を受け入れる位置に待機し、製版済みのマスタ70の先端がクランプ73により把持される。版胴68を図1において時計回り方向に回転させ、製版された製版マスタ70をカッタ80によりカットすることにより、製版済みのマスタ70が版胴68に巻き付けられる。
【0035】
この後に印刷処理が実行される。給紙台81の最上位の用紙Pを給紙ローラ82により給紙し、版胴68の回転に同期させてレジストローラ対83を駆動し、用紙Pの先端が版胴68と圧胴20との間を通過した時点で上方に変位させた圧胴20で版胴68上のマスタ70に用紙Pを押し付けることにより、版胴68内のインキがマスタ70の穿孔部分から滲み出て用紙Pに転写され、印刷が行われる。印刷後の用紙Pは、分離爪75、エアーナイフ装置45によって版胴68から剥離されて用紙搬送装置84に案内され、用紙搬送装置84より排紙台85に排紙され、積載される。
【0036】
(合成画像形成モード)
選択手段32がオペレータによって操作されると、制御手段30には合成画像形成モードが設定され、第1の印刷部69および第2の印刷部16による画像形成動作が開始する。ここでいう画像形成動作とは、原稿の読み込みから製版を経て第1の印刷部69による印刷と第2の印刷部16による印刷までの動作となる。
【0037】
合成画像形成モードでは、プラテンローラ77とサーマルヘッド78との間、及びローラ対79間に、未製版の感熱孔版原紙70aが通っている状態で操作パネルを用いて製版処理を実行すると、プラテンローラ77及びローラ対79が駆動されると同時に、原稿がイメージスキャナ61で読み取られ、画像処理部33で原稿画像に対応した画像処理がされて第1の画像データと第2の画像データとに分割される。そして、製版装置71で第1の画像データ等に基づいてサーマルヘッド78の特定の抵抗発熱素子に電圧が印加され、感熱孔版原紙70aへの製版が行われる。
【0038】
このようにして製版された製版済みのマスタ70はローラ対79により版胴68に向けて送り出されるが、この動作に同期して版胴68はクランプ73が製版済みのマスタ70を受け入れる位置に待機し、製版済みのマスタ70の先端がクランプ73により把持される。版胴68を図1において時計回り方向に回転させ、製版された製版マスタ70をカッタ80によりカットすることにより、製版済みのマスタ70が版胴68に巻き付けられる。
【0039】
この後に印刷処理が実行される。給紙台81の最上位の用紙Pを給紙ローラ82により給紙し、版胴68の回転に同期させてレジストローラ対83を駆動し、用紙Pの先端が版胴68と圧胴20との間を通過した時点で上方に変位させた圧胴20で版胴68上のマスタ70に用紙Pを押し付けることにより、版胴68内のインキがマスタ70の穿孔部分から滲み出て用紙Pに転写され、第1の画像データに基づく画像の印刷が行われる。印刷後の用紙Pは、分離爪75、エアーナイフ装置45によって版胴68から剥離されて用紙搬送装置84に案内される。案内された用紙Pは、用紙搬送装置84より排紙台85に向かって搬送されるが、その途中で第2の印刷部16により、第2の画像データに基づく画像がインクジェットユニット10により印刷される。この印刷がなされることで、用紙Pの画像は、図4(c)に示すように構成された画像として印刷されることになる。
【0040】
このような構成によると、原稿画像を画像処理して単独で判読不可とした第1の画像データと第2の画像データとし、第1の画像データを基に版を作製するので、版単独では原稿画像を判読することが不可となる。また、第1の印刷部69で画像形成された用紙Pに、第1の印刷部69による画像形成工程と同一工程で第2の画像データを基にして第2の印刷部16でインクジェット画像が形成されるので、この画像形成により原稿画像に対応した合成画像が印刷されることで画像が判読可能となり、十分な版の安全性を確保してセキュリティーレベルを高めながら原稿画像に対応した画像形成を行える画像形成装置となる。
【0041】
また、本形態では、第1の印刷部69により画像を形成する画像形成モードと、第1の印刷部69と第2の印刷部16により画像を形成する合成画像形成モードの何れかを選択する選択手段31,32を備えているので、版のセキュリティーを確保する合成画像形成モードと版のコストを抑える通常の画像形成モードとを任意に選択設定することができ、装置使用者の使用形態に幅広く対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の概略を示す正面図である。
【図2】第2の画像形成部の構成を示す拡大斜視図である。
【図3】本発明にかかる制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は第1の画像形成部で印刷される画像を、(b)は第2の画像形成部で印刷されるインクジェット画像を、(c)は第1の画像形成部で印刷された画像と第2の画像形成部で印刷されたインクジェット画像との合成画像をそれぞれ示す図である。
【符号の説明】
【0043】
16 第2の画像形成部
31,32 選択手段
33 画像処理部
69 第1の画像形成部
70 版
100 画像形成装置
G1 版による画像
G2 インクジェット画像
G3 合成画像
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像に基づいて作成した版を用いて用紙に画像を形成する第1の画像形成部と、原稿画像に基づいてインクジェット方式で用紙に画像を形成する第2の画像形成部とを備えた画像形成装置において、
前記原稿画像を画像処理して単独で判読不可とした第1の画像データと第2の画像データとし、第1の画像データを基に版を作製し、この版により第1の画像形成部で前記用紙に画像形成すとともに、第1の画像形成部で画像形成された用紙に、第1の画像形成部による画像形成工程と同一工程で第2の画像データを基にして第2の画像形成部でインクジェット画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記原稿画像を、画像処理して画像欠けを起こした第1の画像データと第2の画像データとする画像処理部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
第1の画像形成部により画像を形成する画像形成モードまたは第1の画像形成部と第2の画像形成部により画像を形成する合成画像形成モードの何れかを選択する選択手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の画像形成装置において、
第一の画像形成部が孔版原紙に画像を形成する孔版印刷部であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−137214(P2009−137214A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317623(P2007−317623)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】