説明

画像形成装置

【課題】装置本体の動力を利用して中継ユニットの駆動ローラを駆動回転させる画像形成装置において、中継ユニットの位置決め機構の簡素化を図りながら、装置本体から動力を確実に取り出す。
【解決手段】中継ユニット24の受動機構60は、装置本体4側の出力機構50を構成する連動ギヤ55に噛み合う受動ギヤ61を含む。装置本体4に中継ユニット24の位置決め用の基準孔80を開設する。この基準孔80に中継ユニット24の筐体30の外面から突設された位置決めピン81の先端を挿入することで、該中継ユニット24は装置本体4の排紙空間11の所定位置に位置決め保持される。位置決めピン81に受動ギヤ61を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録用紙に対して画像形成処理および定着処理を行う装置本体と、装置本体の排紙空間に着脱可能に装着されて、装置本体の排紙口から排出された記録用紙を後処理ユニットの給紙口に搬送する中継ユニットとを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置の公知例としては、例えば特許文献1を挙げることができる。特許文献1の中継ユニットは、装置本体の排出トレイのトップカバーに沿うように配置される扁平状のケースを備え、該ケース内に動力源としてもモータと、該モータで駆動される駆動ローラが収納されている。モータと駆動ローラとの間には、ギヤトレイン等からなる動力伝達機構が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−274735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、中継ユニットにモータが内蔵されている形態では、当該モータおよび動力伝達機構を含む駆動系は中継ユニット内で完結している。このため、中継ユニットを着脱可能に構成したことに伴う駆動系に与える影響は軽微であり、従って駆動系の設計は容易であると言える。加えて、中継ユニットの装置本体に対する位置決め精度が駆動系に与える影響も軽微であり、この点でも駆動系の設計は容易である。しかし、中継ユニット自身がモータを備える形態であるため、中継ユニットの部品コストや組立コストが上昇することが避けられず、この点に不利がある。
【0005】
本発明者等が開発を進める中継ユニットにおいては、当該中継ユニットの低コスト化を図るため、装置本体から動力を取り出すこととし、中継ユニット自身の専用モータは廃することを予定している。つまり、装置本体から取り出した動力により駆動ローラを駆動回転できるようにして、専用モータを廃して、中継ユニットの低コスト化を図ることを予定している。しかし、その場合には、装置本体に対する中継ユニットの装着位置について、極めて厳密な位置精度が求められる不利がある。すなわち、中継ユニットの装着位置によっては、装置本体の動力を中継ユニットに確実に伝達することが不可能となるおそれがあり、中継ユニットの装着位置について、特許文献1の形態よりも格段に厳密な位置精度が要求される。このため、複雑な位置決め機構等が必要となり、新たなコストアップを招来するおそれがある。中継ユニットの設計自由度の著しい低下を招くおそれもある。
【0006】
本発明の目的は、装置本体の動力を利用して中継ユニットの駆動ローラを駆動回転させる画像形成装置において、中継ユニットの位置決め機構の簡素化を図りながら、装置本体から動力を確実に取り出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、記録用紙に対して画像形成処理および定着処理を行う装置本体と、該装置本体の排紙空間に着脱可能に装着されて、該装置本体の排紙口から排出された画像定着後の記録用紙を後処理ユニットの給紙口に搬送する中継ユニットとを備える画像形成装置を対象とする。前記中継ユニットは、前記排紙口から受けた記録用紙を前記後処理ユニットの給紙口に送る用紙搬送路と、該用紙搬送路内における記録用紙の搬送動作を担う駆動ローラと、前記装置本体の出力機構からの動力を受けて、該駆動ローラに動力を伝える受動機構とを備える。前記受動機構は、前記出力機構を構成する連動ギヤに噛み合う受動ギヤを含む。前記装置本体には前記中継ユニットの位置決め用の基準孔が開設されており、該基準孔に前記中継ユニットの筐体外面から突設された位置決めピンの先端を挿入することで、該中継ユニットは前記排紙空間の所定位置に位置決め保持されるようになっている。そして、前記受動ギヤが、前記位置決めピンに装着されていることを特徴とする。
【0008】
前記受動ギヤが、前記位置決めピンの軸心方向に沿って変位可能に構成されており、前記位置決めピンの突端に向かって、前記受動ギヤを付勢する付勢部材を備える形態を採ることができる。
【0009】
前記装置本体の前記出力機構は、モータを原動要素として含む。前記モータの支持ブラケットに前記基準孔を形成する。
【0010】
前記受動機構は、前記受動ギヤを介して受けた動力を前記駆動ローラに伝える伝動機構を含む。前記位置決めピンには、前記伝動機構の始段ギヤに動力を与える中間ギヤが装着されている。前記受動ギヤおよび中間ギヤを、両者を繋ぐ連結筒とともに一体に成形する。
【0011】
また本発明は、記録用紙に対して画像形成処理および定着処理を行う装置本体と、該装置本体の排紙空間に着脱可能に装着されて、該装置本体の排紙口から排出された画像定着後の記録用紙を後処理ユニットの給紙口に搬送する中継ユニットとを備える画像形成装置を対象とする。前記中継ユニットは、前記排紙口から受けた記録用紙を前記後処理ユニットの給紙口に送る用紙搬送路と、該用紙搬送路内における記録用紙の搬送動作を担う駆動ローラと、前記装置本体の出力機構からの動力を受けて、該駆動ローラに動力を伝える受動機構とを備える。前記出力機構は、前記受動機構を構成する受動ギヤに噛み合う出力ギヤを含む。前記中継ユニットには、該中継ユニットの位置決め用の基準孔が開設されており、該基準孔に装置本体から突設された位置決めピンの先端を挿入することで、該中継ユニットは前記排紙空間の所定位置に位置決め保持されるようになっている。そして、位置決めピンに、前記出力ギヤが装着されていることを特徴とする。
【0012】
前記出力ギヤは、前記位置決めピンの軸心方向に向かって変位可能に構成されており、前記位置決めピンの突端に向かって前記出力ギヤを付勢する付勢部材を備える形態を採ることができる。
【0013】
前記出力機構の終段ギヤおよび前記出力ギヤが、両者を繋ぐ連結筒とともに一体に成形された状態で、前記位置決めピンに装着されている形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置においては、装置本体の出力機構から動力を受けて、中継ユニットの駆動ローラを回転駆動できるようにした。これによれば、駆動ローラを回転駆動させるための専用モータは不要となり、その分だけ中継ユニットの駆動系を構成する部品点数を減らして、中継ユニットの低コスト化を図ることができる。また、オプション装置としての中継ユニットを備える画像形成装置の低コスト化にも貢献できる。
【0015】
そのうえで、本発明では、中継ユニットの装置本体に対する位置決め用のピン(位置決めピン)に、装置本体の出力機構の連動ギヤに噛み合う受動ギヤを装着して、当該位置決めピンに本来の位置決め機能に加えて、受動ギヤのギヤ軸としての機能を与えた。従って、別途受動ギヤのギヤ軸を設ける形態に比べて、中継ユニットの構成部品の部品点数を減らして、中継ユニットの低コスト化に貢献できる。中継ユニットの装置本体に対する位置決め機構の簡素化にも貢献できる。
【0016】
何よりも、装置本体の基準孔に挿入される位置決めピンに、受動ギヤを装着したので、当該受動ギヤの装置本体側の連動ギヤに対する位置精度を良好に確保できる。つまり、基準孔に挿入されて良好な位置精度が確実に得られる位置決めピンに受動ギヤを装着したので、中継ユニットを装置本体に装着した際の受動ギヤの位置精度を確実に高度化できる。これにより、中継ユニットを装置本体に装着した際の受動ギヤと連動ギヤとの良好な噛み合い状態を確保することができるので、受動ギヤから駆動ローラに至る駆動系の信頼性の向上を図ることができる。このことは、中継ユニットを装置本体に装着したときに、より確実に駆動ローラが回転駆動されることを意味し、従って、信頼性に優れた中継ユニットを得ることができる。
【0017】
上記のように、中継ユニット側の受動ギヤが、装置本体側の連動ギヤに噛み合うことで、装置本体から動力が取り出される形態では、両ギヤの位相状態に拠っては、中継ユニットの装着時に両ギヤ歯の側面どうしが接触して、噛み合い状態に至らない場合がある。また、両ギヤ歯の側面どうしが接触することで、位置決めピンの基準孔に対する挿入限界が規制されて、中継ユニットを排紙空間の所定位置に装着することが不可能となるおそれもある。
【0018】
そこで、本発明では、受動ギヤを位置決めピンの軸心方向に沿って変位可能に構成した。これによれば、中継ユニットの装着時に両ギヤ歯の側面どうしが接触した場合でも、受動ギヤを軸心方向に変位させることができる。従って、両ギヤ歯の側面どうしの接触とは無関係に、支障なく位置決めピンを基準孔に挿入して、中継ユニットを排紙空間の所定位置に装着することができる。
【0019】
また本発明では、受動ギヤを付勢する付勢部材を設けたため、前述のように、中継ユニットの装着時に、両ギヤ歯の側面どうしの接触によって、噛み合い状態が得られない場合でも、連動ギヤの駆動回転により、両ギヤを確実に噛み合い状態とすることができる。すなわち、中継ユニットの装着時に、両ギヤの噛み合い状態が得られない場合でも、その後に連動ギヤの駆動回転を受けて、両ギヤのギヤ歯の位相がずれることにより、付勢部材の付勢力により受動ギヤを変位させて、両ギヤを噛み合い状態とすることができる。
【0020】
モータの支持ブラケットは、剛性に優れた金属板金で形成される。また、支持ブラケットは、高い寸法精度が得られる部材で形成される。そこで、当該支持ブラケットに基準孔を形成していると、当該基準孔を高度な位置精度を以って開設できる。このことは、中間ユニットの装着位置の位置精度を高度化できることを意味し、従って、中間ユニットの装着時において、受動ギヤと連動ギヤとの噛み合い状態を確実なものとすることができる。
【0021】
前記伝動機構の始段ギヤに動力を与える中間ギヤと前述の受動ギヤとを、両者を繋ぐ連結筒とともに一体に成形していると、両ギヤをギヤトレイン等で連結する場合に比べて、動力損失無く、受動ギヤで受けた動力を始段ギヤに伝達することができる。また、両ギヤを別部材とする場合に比べて、部品点数を減らすことができるので、部品の管理コストや組立コストを削減することができ、中継ユニットの低コスト化に貢献できる。
【0022】
また、本発明においては、中継ユニットの装置本体に対する位置決め用のピン(位置決めピン)に、中継ユニットの受動機構を構成する受動ギヤに噛み合う出力ギヤを装着して、当該位置決めピンに本来の位置決め機能に加えて、出力ギヤのギヤ軸としての機能を与えた。従って、別途出力ギヤのギヤ軸を設ける形態に比べて、装置本体の部品点数を減らして、装置本体の低コスト化に貢献できる。中継ユニットの装置本体に対する位置決め機構の簡素化にも貢献できる。
【0023】
何よりも、中継ユニットの基準孔に挿入される位置決めピンに、出力ギヤを装着したので、当該出力ギヤの中継ユニットの受動ギヤに対する位置精度を良好に確保できる。つまり、基準孔に挿入されて良好な位置精度が確実に得られる位置決めピンに出力ギヤを装着したので、中継ユニットを装置本体に装着した際の出力ギヤの位置精度を確実に高度化できる。これにより、中継ユニットを装置本体に装着した際の出力ギヤと受動ギヤとの良好な噛み合い状態を確保することができるので、受動ギヤから駆動ローラに至る駆動系の信頼性の向上を図ることができる。このことは、中継ユニットを装置本体に装着したときに、より確実に駆動ローラが回転駆動されることを意味し、従って、信頼性に優れた中継ユニットを得ることができる。
【0024】
上記のように、中継ユニット側の受動ギヤが、装置本体側の出力ギヤに噛み合うことで、装置本体から動力が取り出される形態では、両ギヤの位相状態に拠っては、中継ユニットの装着時に両ギヤ歯の側面どうしが接触して、噛み合い状態に至らない場合がある。また、両ギヤ歯の側面どうしが接触することで、位置決めピンの基準孔に対する挿入限界が規制されて、中継ユニットを排紙空間の所定位置に装着することが不可能となるおそれもある。
【0025】
そこで、本発明では、出力ギヤを位置決めピンの軸心方向に沿って変位可能に構成した。これによれば、中継ユニットの装着時に両ギヤ歯の側面どうしが接触した場合でも、出力ギヤを軸心方向に変位させることができる。従って、両ギヤ歯の側面どうしの接触とは無関係に、支障なく位置決めピンを基準孔に挿入して、中継ユニットを排紙空間の所定位置に装着することができる。
【0026】
また本発明では、出力ギヤを付勢する付勢部材を設けたため、前述のように、中継ユニットの装着時に、両ギヤ歯の側面どうしの接触によって、噛み合い状態が得られない場合でも、出力ギヤの駆動回転により、両ギヤを確実に噛み合い状態とすることができる。すなわち、中継ユニットの装着時に、両ギヤの噛み合い状態が得られない場合でも、その後に出力ギヤの駆動回転を受けて、両ギヤのギヤ歯の位相がずれることにより、付勢部材の付勢力により出力ギヤを変位させて、両ギヤを噛み合い状態とすることができる。
【0027】
前記出力機構の終段ギヤおよび前記出力ギヤが、両者を繋ぐ連結筒とともに一体に成形された状態で、前記位置決めピンに装着されていると、両ギヤをギヤトレイン等で連結する場合に比べて、動力損失無く、終段ギヤで受けた動力を出力ギヤに伝達することができる。また、両ギヤを別部材とする場合に比べて、部品点数を減らすことができるので、部品の管理コストや組立コストを削減することができ、中継ユニットの低コスト化に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第1の実施形態) 図1から図7に、本発明をコピー機能とファクシミリ機能を具備する複合機の中継ユニットに適用した第1実施形態を示す。図2および図3において、複合機(画像形成装置)1は、画像形成部2および定着部3等が内蔵された装置本体4と、原稿を読み取る画像読取部5と、堆積状の記録用紙100が収容される給紙カセット6等を備える。画像読取部5の上面には、各種操作ボタン等を有する操作パネル7、原稿台パネル8および自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)9等が設けられている。
なお、本実施形態においては、説明の便宜上、操作パネル7の伸び方向を左右方向と規定する(図2参照)。また、当該左右方向と水平方向で直交する方向を前後方向と規定する(図5参照)。
【0029】
装置本体4の内部には、給紙カセット6から画像形成部2および定着部3を経て排紙空間(排出部)11に至る用紙搬送経路12が設けられている。装置本体4は、給紙カセット6が組み付けられる角箱状のメインハウジング14と、該メインハウジング14の一側端(右側端)から上方に連設されるサイドハウジング15と、メインハウジング14の後側端から上方に連設されるバックハウジング16とを有する。
【0030】
これらハウジング14・15・16と画像読取部5との間に、サイドハウジング15とバックハウジング16とで右方と後方とが区画されて、左方向と前方向とに開口を有する排紙空間11が形成されている。排紙空間11に臨むサイドハウジング15の左側面には、図2および図4に示すように、記録用紙100を排紙空間11に排出するための排紙口18が開設されている。排紙口18の近傍の用紙搬送経路12の終端部には、上下一対の排出ローラ19・19が組み付けられており、これら排出ローラ19・19の回転駆動力を受けて、定着部3等を経た記録用紙100は排出空間11に向かって排出される。
【0031】
給紙カセット6は、図2および図3に示すように、上面が開口する扁平な四角箱状に形成したケース本体20を主体にして構成されており、複合機1の下部に引き出し可能に配置されている。ケース本体20の上方には、堆積状の載置された記録用紙100を一枚ずつ繰り出す給紙ローラ21が設けられている。
【0032】
装置本体4の左側面には、後処理ユニットとしてのフィニッシャ23が配置されており、装置本体4の排紙空間11には、中継ユニット24が装着されている。図3に示すように、これらフィニッシャ23および中継ユニット24は、装置本体4から着脱可能に構成されており、いわゆるオプション装置として装置本体4に装着される。
【0033】
フィニッシャ23は、パンチ処理機能またはステープル機構等を有するものであり、複数個の排出トレイ25を備える。図4に示すように、フィニッシャ23は、中継ユニット24を介して給紙口26から送り込まれた記録用紙100に対して、パンチ処理或いはホッチキス止め等の後処理を行い、指定された排出トレイ25へ記録用紙100を排出する。なお、本実施形態では、印刷の処理を行った記録用紙100に対して、フィニッシャ23による処理を特に行わない場合でも、記録用紙100は中継ユニット24およびフィニッシャ23を通過して排出トレイ25に排出される。
【0034】
中継ユニット24は、装置本体4の排紙口18から排出された画像定着後の記録用紙100をフィニッシャ23の給紙口26に搬送することを目的とする。図4に示すように、中継ユニット24は、中空箱状の筐体30と、筐体30の内部に装着された上ガイド部材31および下ガイド部材32とを有する。これら上ガイド部材31と下ガイド部材32との間に、中継ユニット24の用紙搬送路34が形成されている。
【0035】
図4に示すように、筐体30は、フレーム35と、該フレーム35の上方開口を塞ぐように装着される外装カバー36とで構成される。フレーム35は、装置本体4の排紙口18に対峙する位置に用紙導入スリット37を備え、フィニッシャ23の給紙口26に対峙する位置に用紙排紙スリット39を備える。
【0036】
図4に示すように、上ガイド部材31は平板状に形成されており、上ガイド部材31の下面は、記録用紙100を上方から案内する上ガイド面40とされている。上ガイド面40には、用紙搬送路34内における記録用紙100に搬送動作を担う駆動ローラ41が複数個配設されている。下ガイド部材32は平板状に形成されており、下ガイド部材32の上面は、記録用紙100を下方から案内する下ガイド面42とされている。下ガイド面42には、駆動ローラ41の回転力を受けて従動する従動ローラ43が複数個配設されている。
【0037】
各駆動ローラ41は、装置本体4の出力機構50からの動力を受けて回転駆動される。より詳しくは、図1に示すように、中継ユニット24を装置本体4の排紙空間11に装着した状態において、装置本体4の出力機構50の動力は、中継ユニット24側の受動機構60を介して駆動ローラ41に伝達されるようになっている。図1および図6に示すように、装置本体4側の出力機構50は、支持ブラケット51に装着された動力源としてもモータ52と、モータ52の出力軸53に装着された原動ギヤ54と、原動ギヤ54と噛み合い連動する連動ギヤ55等で構成される。支持ブラケット51は、金属板金をプレス成形してなるものである。図6において、符号56・57は、連動ギヤ55と噛み合い連動して、装置本体4の画像形成部2や定着部3等に動力を与える伝達ギヤを示す。
【0038】
受動機構60は、中継ユニット24の装着状態において連動ギヤ55に噛み合い連動する受動ギヤ61と、受動ギヤ61に回転を受ける中間ギヤ62と、受動ギヤ61を介して受けた動力を駆動ローラ41に伝える伝動機構63とで構成される。これら受動ギヤ61と中間ギヤ62とは、両者を繋ぐ連結筒64とともに一体に成形して、受動ギヤ61と中間ギヤ62を前後の両端に有するギヤ筒体65として、ユニット部品化している。
【0039】
図5に示すように、伝動機構63は、中間ギヤ62に噛み合い連動される始段ギヤ66と、始段ギヤ66と連動する原動プーリ67と、各駆動ローラに対応して配置される複数個の従動プーリ68と、無端状のタイミングベルト69と有する巻掛伝動機構として構成される。タイミングベルト69は、原動プーリ67と従動プーリ68との間、或いは隣合う従動プーリ68・68どうしの間に巻き掛けられている。始段ギヤ66と原動プーリ67は、筐体30の後面に突設する軸71に装着されている。従動プーリ68は、筐体30の後面から突出するローラ軸72の後端部に装着されている。中間ギヤ62の回転を受けて、原動プーリ67が回転することにより、タイミングベルト69を介して従動プーリ68が回転し、かかる従動プーリ68の回転を受けてローラ軸72が回転することにより、駆動ローラ41が駆動回転される。また、かかる駆動ローラ41の回転を受けて、下ガイド部材32側の従動ローラ43が従動回転される。
【0040】
図5において、符号75は、筐体30の後面から後方に向けて突設された位置決め用の軸を示す。これら軸75は、装置本体4のバックハウジング16に開設された軸受孔76に装着される。これら軸75は、後述の位置決めピン81と共同して、中継ユニット24を排紙空間11に位置決め保持する。
【0041】
そのうえで、本実施形態では、支持ブラケット51に中継ユニット24の位置決め用の基準孔80を開設する。そして、該基準孔80に中継ユニット24の筐体30の外面から突設された位置決めピン81の先端を挿入することで、中継ユニット24を排紙空間11の所定位置に位置決め保持している。また、当該位置決めピン81に受動ギヤ61を有するギヤ筒体65を装着している。さらに、ギヤ筒体65を位置決めピン81の軸心方向(前後方向)に沿って変位可能に構成するとともに、ギヤ筒体65と筐体30との間にねじりコイル形のばね82(付勢要素)を装着して、該ばね82によりギヤ筒体65を後方に向かって付勢している。
【0042】
詳しくは、図1、図5および図7に示すように、支持ブラケット51に、フランジを有する無底筒状の軸受部材84を装着して、該軸受部材84の内面を基準孔80としている。位置決めピン81の先端部(後方端)には、ワッシャからなるエンド金具85が固定されており、該エンド金具85によりギヤ筒体65の先端部側(後端部側)への変位限界を規制している。ギヤ筒体65は、図1および図7に仮想線で示すように、ばね82の付勢力を受けて受動ギヤ61の後端面がエンド金具85に受け止められる後方位置と、図5に示すように、受動ギヤ61の後端面がエンド金具85から浮き離れる前方位置との間で、位置決めピン81の軸心方向に変位することができる。図7に示す前方位置においては、ギヤ筒体65は、ばね82の付勢力に抗しながら変位する。
【0043】
中継ユニット24の装着に際しては、まず、中継ユニット24の位置決めピン81および軸75・75を、装置本体4側の基準孔80、軸受孔76・76に位置合わせする。次いで、排紙空間11の前方開口から中継ユニット24を後方に押し込む。これにより、位置決めピン81および軸75を基準孔80および軸受孔76・76に挿入して、中継ユニット24を装置本体4の所定位置に装着し、位置決め保持することができる。
【0044】
この画像形成装置1では、以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、装置本体4側の出力機構50からの動力を受けて、中継ユニット24の駆動ローラ41が回転駆動されるようにしたので、中継ユニット24に駆動ローラ41を回転駆動させるための専用のモータは不要となり、中継ユニット24の格段の低コスト化を図ることができる。
【0045】
また、本実施形態では、中継ユニット24の位置決めピン81に、装置本体4の出力機構50の連動ギヤ55に噛み合う受動ギヤ61を装着して、当該位置決めピン81に本来の位置決め機能に加えて、受動ギヤ61のギヤ軸としての機能を付与している。従って、別途受動ギヤ61のギヤ軸を設ける形態に比べて、中継ユニット24の構成部品の部品点数を減らして、中継ユニット24の低コスト化に貢献できる。
何よりも、装置本体4の基準孔80に挿入される位置決めピン81に、受動ギヤ61を装着したので、当該受動ギヤ61の装置本体4側の連動ギヤ55に対する位置精度を良好に確保することができる。つまり、基準孔80に挿入されて良好な位置精度が確実に得られる位置決めピン81に受動ギヤ61を装着したので、当該受動ギヤ61の位置精度を確実に高度化することができる。これにより、中継ユニット24を装置本体4に装着した際の受動ギヤ61と連動ギヤ55との良好な噛み合い状態を確保することができるので、受動ギヤ61から駆動ローラ41に至る、中継ユニット24の駆動系の信頼性が格段に向上する。
【0046】
受動ギヤ61を含むギヤ筒体65を、位置決めピン81の軸心方向に沿って変位可能に構成したので、図7に示すように、中継ユニット24の装着時に受動ギヤ61および連動ギヤ55のギヤ歯の側面どうしが接触した場合でも、ギヤ筒体65を前方方向に変位させることができる。従って、受動ギヤ61と連動ギヤ55のギヤ歯の側面どうしが接触して、両ギヤ61・55の噛み合い状態が得られない場合でも、支障無く位置決めピン81を基準孔80に挿入して、中継ユニット24を排紙空間11の所定位置に装着することができる。
【0047】
また、本実施形態では、ギヤ筒体65をばね82で後方に向かって付勢した。これによれば、モータ52の駆動力を受けて連動ギヤ55が駆動回転してギヤ歯の位相が変位することにより、両ギヤ61・55のギヤ歯の接触状態を解いて、ばね82の付勢力により受動ギヤ61を後方に変位させて、両ギヤ61・55を噛み合い状態とすることができる。以上より、両ギヤ歯の側面どうしの接触とは無関係に、支障なく位置決めピン81を基準孔80に挿入して、中継ユニット24を排紙空間11の所定位置に装着することができ、しかも、その後の連動ギヤ55の駆動回転により、両ギヤ61・55を噛み合い状態とすることができる。従って、本実施形態によれば、両ギヤ61・55の位相状態を意識すること無く、中継ユニット24の装置本体4に対する装着作業を行うことができ、加えて、確実に両ギヤ61・55の噛み合い状態を得ることができる点で優れている。
【0048】
モータ52の支持ブラケット51に基準孔80を設けていると、バックハウジング16等に基準孔80を形成する形態に比べて、より高度な位置精度を以って基準孔80を形成することができる。従って、中継ユニット24の装着位置の位置精度を高度化することが容易である。また中継ユニット24の装着時において、受動ギヤ61と連動ギヤ55の噛み合い状態を確実なものとすることができる。
【0049】
中間ギヤ62と受動ギヤ61とを連結筒64とともに一体に成形して、ギヤ筒体65としてユニット部品化していると、両ギヤ62・61をギヤトレイン等で連結する場合に比べて、動力損失無く、動力を伝達することができる。また、両ギヤ62・61を別部材とする場合に比べて部品点数を減らすことができるので、部品の管理コストや組立コストを削減して、中継ユニット24をより低コストに提供することができる。
【0050】
(第2実施形態) 図8に、本発明の第2実施形態を示す(請求項5乃至7に対応)。そこでは、中継ユニット24側に位置決め用の基準孔90を開設し、装置本体4側に位置決めピン91を突設した点が、先の第1実施形態と大きく相違する。また、位置決めピン91に、出力機構150の出力ギヤ92を装着した点が先の第1実施形態と大きく相違する。
【0051】
詳しくは、中継ユニット24のフレーム35の後面に、基準孔90を開設している。ここでは、フレーム35の後面に、抜け止め用のフランジを有する無底筒状の軸受部材93を装着し、該軸受部材93の内面を基準孔90とする。中継ユニット24の受動機構60は、受動ギヤ61と、受動ギヤ61を介して受けた動力を駆動ローラ41(図5参照)に伝える伝動機構63とで構成される。伝動機構63は、受動ギヤ61と連動する原動プーリ67、従動プーリ68(図5参照)、およびプーリ67・68間に巻き掛けられたタイミングベルト69等で構成される。
【0052】
装置本体4の出力機構150は、支持ブラケット51に装着された動力源としてのモータ52と、該モータ52の動力を受け継ぐギヤトレインとで構成される。ギヤトレインは、モータ52の出力軸53に装着された原動ギヤ54と、原動ギヤ54と噛み合い連動する連動ギヤ55と、連動ギヤ55に噛み合い連動される終段ギヤ95と、中継ユニット24側の受動ギヤに動力を与える出力ギヤ92とで構成される。
【0053】
出力ギヤ92および終段ギヤ95は、位置決めピン91に装着されている。詳しくは、これら出力ギヤ92および終段ギヤ95は、両者を繋ぐ連結筒96とともに一体に成形して、出力ギヤ92および終段ギヤ95を前後の両端に有するギヤ筒体97として、ユニット部品化された状態で、位置決めピン91に装着されている。ギヤ筒体97は、位置決めピン91の軸心方向(前後方向)に沿って変位可能に構成されており、ギヤ筒体97とバックハウジング16の前面との間に捻りコイル形のばね(付勢要素)98を装着して、該ばね98によりギヤ筒体97を前方に向かって付勢している。位置決めピン91の先端部(前方端)には、ワッシャからなるエンド金具99が固定されており、該エンド金具99によりギヤ筒体97の先端部側(前方側)への変位限界を規制している。
【0054】
基準孔90を位置決めピン91に位置合せして、中間ユニット24を排紙空間11の所定位置に位置決め保持させたとき、出力ギヤ92が受動ギヤ61に噛み合い、これにて、出力機構150からの動力を受けて、駆動ローラ41は回転可能となる。それ以外の点は、先の第1実施形態と実質的に同様である。
【0055】
第2実施形態においても、先の第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、装置本体4側の出力機構150からの動力を受けて、中継ユニット24の駆動ローラ41が回転駆動されるようにしたので、中継ユニット24に駆動ローラ41を回転駆動させるための専用のモータは不要となり、中継ユニット24の格段の低コスト化を図ることができる。
【0056】
また、中継ユニット24の基準孔90に挿入される位置決めピン91に、出力ギヤ92を装着したので、当該出力ギヤ92の中継ユニット24側の受動ギヤ61に対する位置精度を良好に確保することができる。つまり、基準孔90に挿入されて良好な位置精度が確実に得られる位置決めピン91に出力ギヤ92を装着したので、当該出力ギヤ92の位置精度を確実に高度化することができる。これにより、中継ユニット24を装置本体4に装着した際の受動ギヤ61と出力ギヤ92との良好な噛み合い状態を確保することができるので、受動ギヤ61から駆動ローラ41に至る、中継ユニット24の駆動系の信頼性が格段に向上する。
【0057】
出力ギヤ92を含むギヤ筒体97を、位置決めピン91の軸心方向に沿って変位可能に構成したので、中継ユニット24の装着時に受動ギヤ61と出力ギヤ92のギヤ歯の側面どうしが接触した場合でも、ギヤ筒体97を後方方向に変位させることができる。従って、両ギヤ61・92が噛み合い状態が得られない場合でも、支障無く位置決めピン91を基準孔90に挿入して、中継ユニット24を排紙空間11の所定位置に装着することができる。また、噛み合い状態が得られない場合でも、その後の出力ギヤ92の駆動回転により、出力ギヤ92の位相を変化させて、ばね98の付勢力によりギヤ筒体97を前方方向に移動させて、両ギヤ61・92を噛み合い状態とすることができる。
【0058】
出力機構150の終段ギヤ95および出力ギヤ92が、両者を繋ぐ連結筒96とともに一体に成形された状態で、位置決めピン91に装着されていると、両ギヤ95・92をギヤトレイン等で連結する場合に比べて、動力損失無く、終段ギヤ95で受けた動力を出力ギヤ92に伝達することができる。また、両ギヤ92・95を別部材とする場合に比べて、部品点数を減らすことができるので、部品の管理コストや組立コストを削減することができ、中継ユニットの低コスト化に貢献できる。
【0059】
ばね82と筐体30との間(第1実施形態)、或いは、ばね98とバックハウジング16との間(第2実施形態)には、スラストベアリングやワッシャ等を配することが好ましく、これにより、ばね82の接触に起因する筐体30の損傷を確実に防ぐことができる。伝動機構63は、図5等に示すような巻掛伝動機構に限られず、ギヤトレインを含む構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の要部を示す横断平面図である。
【図2】画像形成装置の概略正面図である。
【図3】画像形成装置の概略正面図である。
【図4】中継ユニットの縦断正面図である。
【図5】中継ユニットの要部の平面図である。
【図6】図1のA−A線断面図である。
【図7】中継ユニットの要部の断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の要部を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 画像形成装置(複合機)
11 排紙空間
18 排紙口
23 後処理ユニット(フィニッシャ)
24 中継ユニット
26 給紙口
34 用紙搬送路
41 駆動ローラ
50 出力機構
51 支持ブラケット
52 モータ
55 連動ギヤ
60 受動機構
63 伝動機構
80 基準孔
81 位置決めピン
82 付勢部材(ばね)
90 基準孔
91 位置決めピン
92 出力ギヤ
95 終段ギヤ
100 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙に対して画像形成処理および定着処理を行う装置本体と、該装置本体の排紙空間に着脱可能に装着されて、該装置本体の排紙口から排出された画像定着後の記録用紙を後処理ユニットの給紙口に搬送する中継ユニットとを備える画像形成装置において、
前記中継ユニットは、前記排紙口から受けた記録用紙を前記後処理ユニットの給紙口に送る用紙搬送路と、該用紙搬送路内における記録用紙の搬送動作を担う駆動ローラと、前記装置本体の出力機構からの動力を受けて、該駆動ローラに動力を伝える受動機構とを備えており、
前記受動機構は、前記出力機構を構成する連動ギヤに噛み合う受動ギヤを含み、
前記装置本体には前記中継ユニットの位置決め用の基準孔が開設されており、該基準孔に前記中継ユニットの筐体外面から突設された位置決めピンの先端を挿入することで、該中継ユニットは前記排紙空間の所定位置に位置決め保持されるようになっており、
前記受動ギヤが、前記位置決めピンに装着されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記受動ギヤは、前記位置決めピンの軸心方向に沿って変位可能に構成されており、
前記位置決めピンの突端に向かって、前記受動ギヤを付勢する付勢部材を備える請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置本体の前記出力機構は、モータを原動要素として含み、
前記モータの支持ブラケットに前記基準孔が形成されている、請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記受動機構は、前記受動ギヤを介して受けた動力を前記駆動ローラに伝える伝動機構を含み、
前記位置決めピンには、前記伝動機構の始段ギヤに動力を与える中間ギヤが装着されており、
前記受動ギヤおよび中間ギヤが、両者を繋ぐ連結筒とともに一体に成形されている、請求項1、2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録用紙に対して画像形成処理および定着処理を行う装置本体と、該装置本体の排紙空間に着脱可能に装着されて、該装置本体の排紙口から排出された画像定着後の記録用紙を後処理ユニットの給紙口に搬送する中継ユニットとを備える画像形成装置において、
前記中継ユニットは、前記排紙口から受けた記録用紙を前記後処理ユニットの給紙口に送る用紙搬送路と、該用紙搬送路内における記録用紙の搬送動作を担う駆動ローラと、前記装置本体の出力機構からの動力を受けて、該駆動ローラに動力を伝える受動機構とを備えており、
前記出力機構は、前記受動機構を構成する受動ギヤに噛み合う出力ギヤを含み、
前記中継ユニットには、該中継ユニットの位置決め用の基準孔が開設されており、該基準孔に装置本体から突設された位置決めピンの先端を挿入することで、該中継ユニットは前記排紙空間の所定位置に位置決め保持されるようになっており、
前記位置決めピンに、前記出力ギヤが装着されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記出力ギヤは、前記位置決めピンの軸心方向に向かって変位可能に構成されており、前記位置決めピンの突端に向かって前記出力ギヤを付勢する付勢部材を備える請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記出力機構の終段ギヤおよび前記出力ギヤが、両者を繋ぐ連結筒とともに一体に成形された状態で、前記位置決めピンに装着されている、請求項5又は6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−139814(P2010−139814A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316604(P2008−316604)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】