説明

画像形成装置

【課題】商用電源が供給することができる電流量の上限近くまで有効に使用する。
【解決手段】負荷に給電する第1電源部と、負荷電流もしくは第1電源部の2次側出力電流を検知する負荷電流検知部と、蓄電部と、外部からの電流指令値に応じて出力電流を給電し、第1電源部の2次側出力電流と並列に接続されて合成した負荷電流を負荷に供給する第2電源部と、蓄電部に充電を行う充電用電源部と、定着器を加熱する定着ヒータと、1次側電圧を検知するAC電圧検知回路と、負荷電流もしくは2次側出力電流と、現在の電流指令値、1次側電圧、および、第1電源部の変換効率より第1電源部の1次側電流を求め、1次側電圧と、定着ヒータの特性情報よりヒータ電流を求め、第1電源部の1次側電流とヒータ電流の和より1次側総電流を求め、1次側に流すことが可能な所定の電流値との差分より電流指令値を決定して第2電源部に出力する指令値決定部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真プロセスを利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらを組み合わせた複合機などの画像形成装置は多機能化しており、これに伴って構造も複雑化して最大消費電力が増大する傾向となっている。また、定着装置を加熱する定着ヒータへの供給電力も増大する傾向となっている。一方、商用電源から供給可能な電力には制限があるため、コピー時など大量の電力を消費する場合には、商用電源だけでは画像形成装置全体に必要な電力を供給できないという問題がある。
【0003】
この問題に対して、例えば、特許文献1および2には、消費電力が大きくなる時には、商用電源からの電力とあらかじめ蓄電装置に蓄えておいた電力とを合流して負荷に供給することにより、必要電力を確保することができる画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、蓄電装置からの電力を定電圧で負荷に供給するため、商用電源からの電流量と蓄電装置からの電流量との合計量がわからず、場合によっては商用電源からの電流が上限(定格)を超えてしまうという問題があった。
【0005】
また、引用文献2では、蓄電装置からの電力と商用電源からの電力とを定電流で合流しているが、定着ヒータの使用する電流量をあらかじめ決めておき、その電流量に応じて蓄電装置からの電流量を決めているため、商用電源からの電流供給量に余裕がある場合にも、蓄電装置からの電流を定着ヒータに供給してしまうという問題があった。また、想定外の負荷変動があると、商用電源からの電流が上限(定格)を超えてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、商用電源が供給することができる電流量の上限を超えずに、上限近くまで有効に使用することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、外部から供給される電力を入力源に用いて負荷に給電する第1電源部と、前記負荷を流れる2次側負荷電流もしくは前記第1電源部の2次側第1電源出力電流を検知する負荷電流検知部と、蓄電部と、前記蓄電部の電力を入力源とし、外部からの電流指令値に応じて2次側第2電源出力電流を給電し、前記第1電源部の前記2次側第1電源出力電流と並列に接続されて合成した前記2次側負荷電流を前記負荷に供給する第2電源部と、外部から供給される電力を入力源に用いて前記蓄電部に充電を行う充電用電源部と、トナー像が転写された転写紙を加熱・加圧してトナー像を固定する定着器を加熱する定着ヒータと、1次側電圧を検知するAC電圧検知回路と、前記負荷電流検知部で検出した前記2次側負荷電流もしくは前記第1電源部の前記2次側第1電源出力電流と、現在の電流指令値、前記1次側電圧、および、予め定めた前記第1電源部の1次−2次間の変換効率より前記第1電源部の1次側換算第1電源電流を求め、前記1次側電圧と、予め定めた前記定着ヒータの印加電圧−電流特性情報より前記定着ヒータに流れる1次側定着ヒータ電流を求め、前記第1電源部の1次側換算第1電源電流と1次側定着ヒータ電流の和より1次側総電流を求め、1次側に流すことが可能な所定の電流値との差分より第2電源部の電流指令値を決定して第2電源部に出力する指令値決定部と、を備えたこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置における各部の電圧値および電流値、定電圧生成手段の変換効率、および、入力電流の力率から、定電流生成手段が出力する定電流の値を算出することができるので、商用電源が供給することができる電流量の上限を超えずに、上限近くまで有効に使用することができるという効果を奏する。
【0009】
また、本発明によれば、画像形成装置における各部の電圧値および電流値、定電圧生成手段の変換効率、充放電手段の変換効率、および、入力電流の力率から、定電流生成手段が出力する定電流の値を算出することができるので、商用電源が供給することができる電流量の上限を超えずに、上限近くまで有効に使用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる複写機の一例を示すハードウェア構成図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態にかかる電源装置、および、定着ユニットを含むその他の周辺装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、2次側第1電源出力電流と第1電源変換効率の関係を示すグラフである。
【図4】図4は、1次側総電流と力率の関係を示すグラフである。
【図5】図5は、1次側AC電圧と1次側定着ヒータ電流の関係を示すグラフと、ハロゲンヒータにおける電圧−電力特性および電圧−電流特性を表す式とを示す図である。
【図6】図6は、複写機の立ち上がり後の時間経過における電源装置の各部の電流と電圧の関係を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施の形態にかかる電流指令値の決定方法を説明する図である。
【図8】図8は、1次側総電流(実効電流)の皮相電流の算出方法を説明する図である。
【図9】図9は、第2の実施の形態にかかる電源装置、および、定着ユニットを含むその他の周辺装置の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、充電/放電切替部による蓄電部への充電または負荷への放電を説明する図である。
【図11】図11は、複写機の立ち上がり後の時間経過における電源装置の各部の電流と電圧の関係を示す図である。
【図12】図12は、 第5の実施の形態にかかる電流制御のタイミングを示す図である。
【図13】図13は、 第6の実施の形態にかかる電源装置、および、定着ユニットを含むその他の周辺装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明の画像形成装置を複写機に適用した例を示すが、これに限定されるものではなく、複合機、プリンタ、ファクシミリ等にも適用することが可能である。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる複写機の一例を示すハードウェア構成図である。複写機100は、自動原稿送り装置(ADF)101、スキャナ部102、画像書き込みユニット103、感光体ユニット104、現像ユニット105、一次転写ユニット106、給紙部107、二次転写ユニット108、搬送ベルト109、定着ユニット110、および、電源装置1を備えて構成されている。
【0013】
自動原稿送り装置(ADF)101は、原稿を順次スキャナ部102へ送り出す。スキャナ部102は、原稿に光を照射しながら、原稿からの反射光を読み取ることで画像を読み取る。スキャナ部102で読み取られた画像は画像処理された後、画像書き込みユニット103へ送られる。画像書き込みユニット103は、画像データに応じてLD(レーザーダイオード)を駆動し感光体ユニット104中の感光体ドラム上に潜像を形成する。感光体ユニット104は、フルカラーの場合、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(黒)の4つの感光体ドラムを備える。現像ユニット105は、感光体ドラム上に作られた潜像にトナーを付着させて顕像化させる。
【0014】
感光体ドラム上で顕像化された画像は、一次転写ユニット106の中間転写ベルト上に転写される。フルカラーの場合、4色のトナーが順次重ねられる。4色分の作像、転写工程が終了した時点で一次転写ベルト106とタイミングを合わせて、給紙部107より転写紙が給紙され、一次転写ユニット106と二次転写ローラ108の間で、4色同時に転写ベルトから転写紙にトナーが転写される。搬送ベルト109は、トナーが転写された転写紙を搬送する。定着ユニット110は、搬送ベルト109によって送られた転写紙上のトナーを加熱及び加圧して、形成したトナー像を定着する。
【0015】
(電源装置)
電源装置1は、定着ユニット110の定着ヒータ112、および、定着ヒータ112以外の負荷14へ電力を供給する。図2は、第1の実施の形態にかかる電源装置1、および、定着ユニット110を含むその他の周辺装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
電源装置1は、メインSW2、力率改善回路3、第1電源部4、負荷電流検知部5、AC電圧検知回路6、充電用電源部7、蓄電部8、蓄電部電圧検知部9、第2電源部10、メインRL11、および、制御部12を備えて構成されている。
【0017】
メインSW2は、商用交流電源13と電源装置1とを接続するスイッチである。力率改善回路3は、商用交流電源13から入力される電力の力率を改善する。
【0018】
第1電源部4は、商用交流電源13の交流電圧を所定の直流電圧に変換した定電圧を、後段の負荷14に供給する。第1電源部4は、本例では、コンデンサインプット形式の回路である。ここで、負荷14とは、複写機100内で直流電圧が必要な部分の総称である。なお、これより以後、第1電源部4の前段側を1次側とし、後段側を2次側とする。
【0019】
負荷電流検知部5は、負荷14に流れる電流値(2次側負荷電流i)を検出して、制御部12の指令値決定部18へ送信する。AC電圧検知回路6は、商用交流電源13から入力される電圧(1次側AC電圧)VACの電圧値を検出して、制御部12の実効値演算部17へ送信する。
【0020】
充電用電源部7は、蓄電部8を充電する電源である。蓄電部8は、充電用電源部7からの電気を蓄えるとともに、蓄えた電気を放電する。蓄電部電圧検知部9は、蓄電部8から出力される電圧(蓄電部放電電圧)vCAPの電圧値を検出して、制御部12の指令値決定部18へ送信する。
【0021】
第2電源部10は、蓄電部8から放電された電気を定電流化し、後段の負荷14に供給する。なお、第2電源部10は、蓄電部8からの放電電圧vCAPの電圧値が特定の電圧値(放電中止電圧)まで下がった場合、電流の供給を停止する。第2電源部10は、出力電流(2次側第2電源出力電流)iO2の電流値を検出して、制御部12の指令値決定部18へ送信する電流検知部15を備えて構成されている。
【0022】
メインRL11は、制御部12からのリレーON信号により、商用交流電源13と定着ユニットの110とを接続するスイッチである。
【0023】
定着ユニット110は、定着ヒータ駆動回路111、定着ヒータ112、定着器113、温度センサ114、および、温度制御部115を備えて構成されている。定着ヒータ駆動回路111は、制御部12の指令値決定部18からの電力指令値(点灯制御信号)に基づいて、定着ヒータ112を駆動する。定着ヒータ112は、定着ベルトなどの定着器113を加熱するハロゲンヒータである。温度センサ114は、定着器113の温度を検出し、温度制御部115は、温度センサ114からの温度データに基づいて、定着ヒータ駆動回路111の駆動を制御する。例えば、温度センサ114からの温度が所定の温度より高い場合は、定着ヒータ112に負荷される商用交流電源13からの電力を少なくするように定着ヒータ駆動回路111を制御する。
【0024】
制御部12は、電源装置1の各部を制御する。制御部12は、定着電力供給指令部16、実効値演算部17、指令値決定部18、第1電源部効率テーブル19、第2電源部効率テーブル20、力率テーブル21、および、定着ヒータV−I特性テーブル22を備えて構成されている。
【0025】
定着電力供給指令部16は、他の部分(図示せず)から要求があると、定着ヒータ112への定着電力の供給を指令する。実効値演算部17は、AC電圧検知回路6から受信した1次側AC電圧VACの電圧値から実効値を演算する。
【0026】
指令値決定部18は、電力指令値(点灯制御信号)を算出し、定着ヒータ駆動回路111へ送信する。また、指令値決定部18は、電流指令値iO2を算出し、第2電源部10へ送信する。なお、指令値決定部18による電力指令値(点灯制御信号)の算出方法、および、電流指令値iO2の算出方法については、後ほど詳しく説明する。
【0027】
ここで、第1電源部効率テーブル19、第2電源部効率テーブル20、力率テーブル21、および、定着ヒータV−I特性テーブル22の詳細について説明する前に、各部を流れる電流および各部における電圧の種類について説明する。
【0028】
1次側総電流Iは、商用交流電源13から複写機100に出力される電流である。なお、Iは、実効電流であり、本例では、0A〜15Aの範囲で変動する。また、1次側定着ヒータ電流Iは、商用交流電源13から定着ヒータ112に出力される電流である。なお、Iの力率は、100%である。
【0029】
2次側第1電源出力電流iO1は、第1電源部4から負荷14へ出力される電流である。また、2次側第2電源出力電流(電流指令値)iO2は、第2電源部10から負荷14へ出力される電流であるとともに、制御部12の指令値決定部18から第2電源部10へ出力される電流指令値でもある。また、2次側負荷電流iは、負荷14に出力される電流の合計である。従って、式(1)の関係が成り立つ。
【数1】

【0030】
1次側換算第1電源電流IO1は、2次側第1電源出力電流iO1を1次側電流に換算した電流である。ここで、図示されてはいないが、2次側第2電源出力電流iO2を1次側電流に換算した電流を1次側換算第2電源電流IO2とし、2次側負荷電流iを1次側電流に換算した電流を1次側換算2次側必要電流Iとをすると、式(2)の関係が成り立つ。
【数2】

【0031】
さらに、式(3)の関係も成り立つ。
【数3】

なお、1次側総電流Iが定格(上限)電流値まで使用される場合は、1次側換算第1電源電流IO1の電流値の維持が優先され、1次側定着ヒータ電流Iの電流値が増減することにより調整される。
【0032】
1次側AC電圧VACは、商用交流電源13から複写機100に出力される電圧である。なお、VACは、制御部12の実効値演算部17で演算された実効電圧であり、本例では、0V〜100Vの範囲で変動する。また、2次側第1電源出力電圧vO1は、第1電源部4から出力される定電圧である。また、蓄電部放電電圧vCAPは、蓄電部8から出力される電圧である。
【0033】
第1電源部効率テーブル19は、第1電源部4における2次側第1電源出力電流iO1と第1電源変換効率η(iO1,VAC)の関係を記録したテーブルである。ここで、第1電源変換効率η(iO1,VAC)は、2次側第1電源出力電流iO1と1次側AC電圧VACの関数である。
【0034】
第1電源部4は、商用交流電源13(1次側)のAC電力をAC−DC変換し、さらに、所定の電圧に変換するが、この時、第1電源部4の変換効率によって損失が生じる。このため、第1電源部4における2次側第1電源出力電流iO1を1次側換算第1電源電流IO1に変換するためには、電圧変換の逆数のみではなく、変換効率を用いて演算を行なう必要がある。
【0035】
図3は、2次側第1電源出力電流iO1と第1電源変換効率η(iO1,VAC)の関係を示すグラフである。図のように、第1電源変換効率η(iO1,VAC)は、2次側第1電源出力電流iO1や1次側AC電圧VACにより変化するため、精度よく1次側換算第1電源電流IO1を求めるためには、これらの変化も考慮する必要がある。このため、第1電源部効率テーブル19には、グラフの内容が記録されている。そして、1次側換算第1電源電流IO1は、式(1)を用いて、式(4)のように求めることができる。
【数4】

【0036】
よって、1次側換算第1電源電流IO1は、2次側第1電源出力電流iO1を使わずに、2次側第1電源出力電圧vO1、1次側AC電圧VAC、第1電源変換効率η(iO1,VAC)、2次側負荷電流i、および、2次側第2電源出力電流iO2から求めることができる。
【0037】
第2電源部効率テーブル20は、第2電源部10における2次側第2電源充電電流と第2電源充電時変換効率の関係を記録したテーブルである。
【0038】
力率テーブル21は、1次側総電流Iと力率λ(IO1,I)の関係を記録したテーブルである。ここで、力率λ(IO1,I)は、1次側換算第1電源電流IO1と1次側定着ヒータ電流Iの関数である。
【0039】
第1電源部4は、コンデンサインプット形式の回路であり、電圧波形と電流波形の位相がずれる。これのずれ量を力率λと呼ぶ。位相のずれが大きくなり力率λが低下すると有効電力が低下するため、第1電源部4の2次側第1電源出力電流iO1を確保するため1次側換算第1電源電流IO1が増加する。このため第1電源部4の2次側第1電源出力電流iO1から1次側換算第1電源電流IO1を求める際は、第1電源変換効率ηと合わせ力率λも考慮する必要がある。
【0040】
通常、力率λは電流ベクトルの合成となるため、第1電源部4の2次側第1電源出力電流iO1の電流ベクトルと、定着ヒータ112の1次側定着ヒータ電流Iの電流ベクトルとを合成した結果と、商用交流電源13の1次側AC電圧VACの位相差とにより、力率λを求める必要がある。しかしながら、本例では、1次側定着ヒータ電流Iの力率が100%であり、この場合、1次側総電流Iの力率は、1次側換算第1電源電流IO1と1次側定着ヒータ電流Iの関数として表す事が可能となる。定着ヒータ112として、ハロゲンヒータや抵抗発熱体を使用すると、その力率は、ほぼ100%となることが多い。
【0041】
図4は、1次側総電流Iと力率λ(IO1,I)の関係を示すグラフである。図のように、力率λ(IO1,I)は、1次側総電流Iにより変化するため、力率テーブル21には、グラフの内容が記録されている。
【0042】
定着ヒータV−I特性テーブル22は、定着ヒータ112に印加される電圧(1次側AC電圧VAC)と定着ヒータ112に流れる電流(1次側定着ヒータ電流I)の関係を記録したテーブルである。図5は、1次側AC電圧VACと1次側定着ヒータ電流Iの関係を示すグラフと、ハロゲンヒータにおける電圧−電力(V−W)特性および電圧−電流(V−I)特性を表す式とを示す図である。定着ヒータ112に使用されているハロゲンヒータは、印加電圧と電流の関係がオームの法則に従わず図の式で表される。この式を用いることにより、1次側AC電圧VACから1次側定着ヒータ電流Iを求めることが可能である。このため、定着ヒータV−I特性テーブル22には、図および式の内容が記録されている。
【0043】
(電源装置による電流制御)
次に、電源装置1による電流制御について説明する。電源装置1は、商用交流電源13から定着ヒータ112へ供給される電流と、商用交流電源13(第1電源部4)および第2電源部10から負荷14へ供給される電流とを制御して、商用交流電源13から供給される電流の値が定格電流を越えないようにしながら、上限近くまで有効に使用する。
【0044】
図6は、複写機100の立ち上がり後の時間経過における電源装置1の各部の電流と電圧の関係を示す図である。なお、本例では、複写機100の立ち上がり前に既に蓄電部8の充電が終了しており、複写機100の立ち上がり後も追加の充電が行われないものとする。
【0045】
メインSW2がオンし、商用交流電源13と電源装置1とが接続されると、第1電源部4は、商用交流電源13の交流電圧を所定の直流電圧に変換した定電圧を2次側第1電源出力電流iO1として、負荷14に供給する。同じく、第2電源部10は、蓄電部8から放電された電気を定電流化し、2次側第2電源出力電流iO2として、負荷14に供給する。
【0046】
メインRL11も制御部12からのリレーON信号により、商用交流電源13と定着ユニットの110とを接続し、商用交流電源13の電力が定着ヒータ112へ供給可能な状態となる。
【0047】
指令値決定部18は、定着電力供給指令部16からの要求に基づいて、定着ヒータ112の駆動を指示する電力指令値(点灯制御信号)を算出し、定着ヒータ駆動回路111へ送信する。定着ヒータ駆動回路111は、電力指令値(点灯制御信号)に基づいて、1次側定着ヒータ電流Iを定着ヒータ112へ供給する。
【0048】
1次側総電流(実効電流)Iの皮相電流をIAAとすると、IAAは、商用交流電源13の定格電流を越えないようにする必要がある。1次側定着ヒータ電流Iの力率は、100%であるので、1次側総電流Iの力率は、1次側換算第1電源電流IO1と1次側定着ヒータ電流Iの関数として表す事が可能であり、1次側総電流(実効電流)Iの皮相電流IAAは、実効電流I/力率λ(IO1,I)で求めることができる。従って、商用交流電源13の定格電流は、15[Arms]であることから、式(5)の関係が成り立つ。
【数5】

【0049】
式(5)に式(4)を代入すると式(6)となり、さらに式(6)を展開すると式(7)のように、2次側第2電源出力電流iO2を求める式となる。
【数6】

【数7】

【0050】
そして、2次側第2電源出力電流iO2が式(7)で求めた値以上流れることにより、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないようにすることができる。
【0051】
実際には、指令値決定部18が、第1電源部4の2次側第1電源出力電圧vO1、負荷電流検知部5から受信した2次側負荷電流i、実効値演算部17が演算した1次側AC電圧(実効値)VAC、第1電源部効率テーブル19の第1電源変換効率η(iO1,VAC)、力率テーブル21の力率λ(IO1,I)、および、定着ヒータV−I特性テーブル22の1次側定着ヒータ電流Iを用いて、電流指令値iO2を算出し、第2電源部10へ逐次送信する。そして、第2電源部10が2次側第2電源出力電流IO2を電流指令値IO2に合わせることにより、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないようにすることができる。
【0052】
例えば、図の期間t1では、1次側換算2次側必要電流I(2次側負荷電流i)の電流量が想定より多くなっているが、増加分を1次側換算第2電源電流IO2(2次側第2電源出力電流iO2)が補うことにより、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないようにしている。
【0053】
また、指令値決定部18から送信する電力指令値(点灯制御信号)により定着ヒータ112へ供給される1次側定着ヒータ電流Iについても、式(6)の関係を満足する必要がある。従って、指令値決定部18は、2次側負荷電流iの電流値が、第1電源部4が供給可能な2次側第1電源出力電流iO1の電流値と、第2電源部10から供給可能な2次側第2電源出力電流(電流指令値)iO2の電流値の合計を超えないように、電力指令値(点灯制御信号)を算出し、逐次定着ヒータ駆動回路111へ送信する。
【0054】
実際には、指令値決定部18が、第1電源部4の2次側第1電源出力電圧vO1、負荷電流検知部5から受信した2次側負荷電流i、電流検知部15から受信した2次側第2電源出力電流iO2、実効値演算部17が演算した1次側AC電圧(実効値)VAC、第1電源部効率テーブル19の第1電源変換効率η(iO1,VAC)、および、力率テーブル21の力率λ(IO1,I)を用いて、1次側定着ヒータ電流Iの上限値を算出し、電力指令値(点灯制御信号)を算出する。
【0055】
例えば、図の期間t2では、蓄電部放電電圧vCAPが放電中止電圧まで下がってしまい、第2電源部10は、指令値決定部18からの電流指令値iO2に関わらず、2次側第2電源出力電流iO2の供給を停止するため、1次側換算第2電源電流IO2の値も0(ゼロ)Aとなる。この場合、指令値決定部18は、蓄電部電圧検知部9から受信した蓄電部放電電圧vCAPの電圧値から、第2電源部10からの2次側第2電源出力電流iO2の供給が停止したと判断し、電力指令値(点灯制御信号)を再度算出し、定着ヒータ駆動回路111へ送信する。そして、1次側定着ヒータ電流Iの電流量を、2次側第2電源出力電流iO2が供給する予定だった電流量だけ減らすことにより、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないようにしている。
【0056】
特許文献2では、第1電源部4の1次−2次間変換効率、第1電源部4および定着ヒータ112の力率、および、定着ヒータ112のV−I特性が考慮されていない為、第1電源部4の最大出力電流値を求める際に、固定の変換式を用いたり実験的に求めたマージンをとる必要があり、商用交流電源13の定格電流値まで使い切る事が出来なかった。
【0057】
これに対し、本実施の形態では、第1電源部4の1次−2次間変換効率、第1電源部4および定着ヒータ112の力率、および、定着ヒータ112のV−I特性を考慮して、1次側総電流値を求め、その値と商用交流電源13の定格電流値との差分を演算する事によって、蓄電部8からの出力電流値、および、定着ヒータ112へ供給する定着ヒータ電流値を決定している。このため、商用交流電源13の定格電流値まで使い切る事が可能となり、高速機においてもCPM(コピー枚数)ダウンや低温アラームの発生する確率を低減する事ができるので、画像形成装置の生産性維持および向上を図ることが可能となる。
【0058】
このように、第1の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、2次側第1電源出力電圧、2次側負荷電流、1次側AC電圧、第1電源変換効率、総電流の力率、および、1次側定着ヒータ電流から電流指令値を算出することができるので、第2電源部が2次側第2電源出力電流を電流指令値に合わせることにより、商用電源が供給することができる電流量の上限を超えずに、上限近くまで有効に使用することができる。
【0059】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、第1の実施の形態における電流指令値の決定方法について説明する。第2の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかる画像形成装置の構成については、第1の実施の形態にかかる画像形成装置と同様であるので、同一の符号が付された箇所については、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0060】
第1の実施の形態で説明したように、電流指令値iO2は、式(7)で算出されるが、算出した電流指令値iO2が0(ゼロ)A近辺であると、第2電源部10からの2次側第2電源出力電流iO2の出力がオンとオフとを繰り返し、発振状態となる恐れがある。これに対して、指令値決定部18は、演算上の電流指令値iO2の値が特定の範囲にある間は、第2電源部10へ実際に送信する電流指令値iO2の値を固定することにより、第2電源部10が発振状態となることを防いでいる。
【0061】
図7は、第2の実施の形態にかかる電流指令値iO2の決定方法を説明する図である。図の点線は、指令値決定部18が演算で求めた電流指令値iO2の値である。また、図の実線は、指令値決定部18が実際に出力する電流指令値iO2の値であり、図の矢印方向にのみ状態が変化する。指令値決定部18は、演算上の電流指令値iO2の値が第1の値より大きい場合は、この値を実際に出力する電流指令値iO2の値とする。
【0062】
そして、指令値決定部18は、演算上の電流指令値iO2の値が0(ゼロ)Aを間に含む第1の値と第2の値の範囲にある場合は、実際に出力する電流指令値iO2の値を第4の値に固定する。さらに、指令値決定部18は、演算上の電流指令値iO2の値が第2の値となった場合、実際に出力する電流指令値iO2の値を0(ゼロ)Aとし、この結果、電流指令値iO2を受信した第2電源部10はオフする。指令値決定部18は、再び、演算上の電流指令値iO2の値が第3の値となった場合、実際に出力する電流指令値iO2の値を第4の値とし、この結果、電流指令値iO2を受信した第2電源部10は再びオンする。
【0063】
ここで、第3の値を第1の値と第2の値との間に設定するのは、第3の値を第1の値以上とすると、演算上の電流指令値iO2が上昇しても、第2電源部10がオンしないため、第1電源部4の1次側換算第1電源電流IO1が増加してしまうためである。なお、第3の値が0(ゼロ)A以下であると、第1電源部4からの1次側換算第1電源電流IO1の値が計算値を超える事がなくなるため、第3の値を0(ゼロ)A以下とすることが望ましい。第3の値を0(ゼロ)Aを越える値とする場合は、他のばらつきを含めたマージン内に収めるように設定することが必要となる。
【0064】
このように、指令値決定部18が実際に出力する電流指令値iO2の値が、矢印方向にのみ状態変化し、さらに、指令値決定部18が算出した電流指令値iO2が0(ゼロ)A近辺にある場合は、実際に出力する電流指令値iO2の値を、特定の固定値から他の固定値へ段階的に変化させるので、第2電源部10を安定的に運用可能となる。
【0065】
このように、第2の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、電流指令値を段階的に変化させることができるので、第2電源部が発振状態となることを防ぐことができ、第2電源部を安定的に運用することができる。
【0066】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、定着ヒータの力率が100%である前提で1次側総電流の皮相電流を決定したが、第3の実施の形態では、定着ヒータの力率が100%以外である場合の1次側総電流の皮相電流の決定方法について説明する。第3の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかる画像形成装置の構成については、第1の実施の形態にかかる画像形成装置と同様であるので、同一の符号が付された箇所については、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0067】
図8は、1次側総電流(実効電流)Iの皮相電流IAAの算出方法を説明する図である。第1の実施の形態で説明したように、定着ヒータ112にハロゲンヒータや抵抗発熱体を使用する場合、力率は、ほぼ100%となることが多く、この場合、1次側総電流Iの力率は、1次側換算第1電源電流IO1と1次側定着ヒータ電流Iの関数として表す事が可能であり、1次側総電流Iの皮相電流IAAは、実効電流I/力率λ(IO1,I)で求めることができる。
【0068】
これに対して、定着ヒータ112に他の発熱体を使用し、この発熱体の力率が100%ではない場合、皮相電流IAAは、第1電源部4の出力電流および力率、および、定着ヒータ112の出力電流および力率から求める必要がある。
【0069】
図において、IO1Vは第1電源部4の1次側換算第1電源電流IO1の電流ベクトル、IHVは定着ヒータ112の1次側定着ヒータ電流Iの電流ベクトル、θは第1電源部4の力率角、θは定着ヒータ112の力率角である。なお、第1電源部4の力率角θおよび定着ヒータ112の力率角θは、既知である。
【0070】
そして、第1電源部4の力率はcosθ、定着ヒータ112の力率はcosθとなるので、第1電源部4の1次側換算第1電源電流の実効電流IRO1は、式(8)となり、定着ヒータ112の1次側定着ヒータ電流の実効電流IRHは、式(9)となる。
【数8】

【数9】

【0071】
従って、電流ベクトルIO1VとIHVの合計は、式(10)となる。
【数10】

スカラー量を知りたいため、電流ベクトルを時計方向へθ回転すると、1次側総電流Iの皮相電流IAAは、式(11)で求めることができる。
【数11】

【0072】
電源装置1による実際の電流制御時には、式(11)で求めた皮相電流IAAを使用することができる。なお、式(11)を用いてあらかじめ定めた、変換テーブルや近似式を用いて皮相電流IAAを計算してもよい。
【0073】
このように、第3の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、定着ヒータの力率が100%以外である場合でも、1次側総電流の皮相電流を求めることができる。
【0074】
(第4の実施の形態)
第1の実施の形態では、画像形成装置の稼働中は蓄電部からの放電のみが行われ、蓄電部への充電は行われないが、第4の実施の形態では、画像形成装置の稼働中に蓄電部への充電と蓄電部からの放電とが交互に行われる。第4の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかる画像形成装置の構成について、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第1の実施の形態と同様であるので、同一の符号が付された箇所については、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0075】
図9は、第2の実施の形態にかかる電源装置31、および、定着ユニット110を含むその他の周辺装置の構成を示すブロック図である。電源装置31は、定着ユニット110の定着ヒータ112、および、定着ヒータ112以外の負荷14へ電力を供給する。電源装置31は、メインSW2、力率改善回路3、第1電源部32、AC電圧検知回路6、蓄電部8、蓄電部電圧検知部9、第2電源部33、充電/放電切替部34、メインRL11、および、制御部35を備えて構成されている。
【0076】
第1電源部32は、商用交流電源13の交流電圧を所定の直流電圧に変換した定電圧を、後段の負荷14に供給する。第1電源部32は、過電流検知回路36を備えて構成されている。過電流検知回路36は、第1電源電流検知部を内部に備え、2次側第1電源出力電流iO1が規定の値を超えていないかを検知するとともに、2次側第1電源出力電流iO1を制御部35の指令値決定部38へ送信する。第1電源部32は、本例では、コンデンサインプット形式の回路である。なお、これより以後、第1電源部32の前段側を1次側とし、後段側を2次側とする。
【0077】
第2電源部33は、充電/放電兼用電源であり、商用交流電源13からの電力を蓄電部8へ充電することと、蓄電部8から放電された電気を定電流化し、後段の負荷14に供給することとを、切り替えて行う。第2電源部33は、出力電流(負荷14へ供給する電流である2次側第2電源放電電流iO2、または、蓄電部8へ供給する電流である2次側第2電源充電電流iC2)の電流値を検出して、制制御部35の指令値決定部38へ送信する第2電源電流検知部37を備えて構成されている。
【0078】
充電/放電切替部34は、第2電源部33おける蓄電部8への充電と負荷14への放電とを切替える。図10は、充電/放電切替部34による蓄電部8への充電または負荷14への放電を説明する図である。充電/放電切替部34は、内部に備えられた複数のトランジスタJおよびKをスイッチとして、各スイッチのオンとオフとを切り替えることにより、充電と放電と切り替える。
【0079】
具体的には、充電/放電切替部34は、蓄電部8の充電時には、トランジスタJをオフ、トランジスタKをオンとし、力率改善回路3からの直流電流(脈流)を、第2電源部33を経由して蓄電部8へ供給する。また、蓄電部8の放電時には、トランジスタJをオン、トランジスタKをオフとし、蓄電部8からの放電電流を、第2電源部33を経由して負荷14へ供給する。なお、充電/放電切替部34は、制御部35からの充電/放電指令により、充電と放電とを切り替える。
【0080】
制御部35は、電源装置31の各部を制御する。制御部31は、定着電力供給指令部16、実効値演算部17、指令値決定部38、第1電源部効率テーブル19、第2電源部効率テーブル39、力率テーブル40、および、定着ヒータV−I特性テーブル22を備えて構成されている。
【0081】
指令値決定部38は、電力指令値(点灯制御信号)を算出し、定着ヒータ駆動回路111へ送信する。また、指令値決定部18は、電流指令値(放電指令値iO2または充電指令値iC2)を算出し、第2電源部33へ送信する。なお、電流指令値の算出方法については、後ほど詳しく説明する。
【0082】
第2電源部効率テーブル39は、2次側第2電源充電電流iC2と第2電源充電時変換効率θ(iC2,VAC)の関係を記録したテーブルである。ここで、第2電源充電時変換効率θ(iC2,VAC)は、2次側第2電源充電電流iC2と1次側AC電圧VACの関数である。
【0083】
蓄電部8から放電する際は、第1電源部32の2次側第1電源出力電流iO1が低減されるため1次側換算第1電源電流IO1の変化量を計算する際には、第1電源部32の第1電源変換効率η(iO1,VAC)を用いて演算を行う必要がある。一方、蓄電部8へ充電を行う際には第2電源部33を用いて、1次側AC電力を変換して充電を行うため、1次側換算第2電源充電電流IC2の変化量を計算する際には、第2電源部33の第2電源充電時変換効率θ(iC2,VAC)を用いて演算を行う必要がある。
【0084】
力率テーブル40は、1次側総電流Iと力率λ(IO1+IC2,I)の関係を記録したテーブルである。ここで、力率λ(IO1+IC2,I)は、1次側換算第1電源電流IO1と1次側換算第2電源充電電流IC2の合計と、1次側定着ヒータ電流Iの関数である。
【0085】
第1電源部32は、コンデンサインプット形式の回路であり、電圧波形と電流波形の位相がずれる。これのずれ量を力率λと呼ぶ。位相のずれが大きくなり力率λが低下すると有効電力が低下するため、第1電源部32の2次側第1電源出力電流iO1と第2電源部33の2次側換算第2電源充電電流iC2とを確保するため1次側換算第1電源電流IO1と1次側換算第2電源充電電流IC2の合計が増加する。このため第1電源部32の2次側第1電源出力電流iO1と第2電源部33の2次側換算第2電源充電電流iC2の合計から、1次側換算第1電源電流IO1と1次側換算第2電源充電電流IC2の合計を求める際は、第1電源変換効率ηおよび第2電源充電時変換効率θと合わせて、力率λも考慮する必要がある。
【0086】
通常、力率λは電流ベクトルの合成となるため、第1電源部32の2次側第1電源出力電流iO1の電流ベクトル、第2電源部33の2次側換算第2電源充電電流iC2の電流ベクトルと、定着ヒータ112の1次側定着ヒータ電流Iの電流ベクトルとを合成した結果と、商用交流電源13の1次側AC電圧VACの位相差より求める必要がある。しかしながら、本例では、1次側定着ヒータ電流Iの力率が100%であり、この場合、1次側総電流Iの力率は、1次側換算第1電源電流IO1と1次側換算第2電源充電電流IC2の合計と、1次側定着ヒータ電流Iの関数として表す事が可能となる。定着ヒータ112として、ハロゲンヒータや抵抗発熱体を使用すると、その力率は、ほぼ100%となることが多い。
【0087】
(電源装置による電流制御)
次に、電源装置31による電流制御について説明する。電源装置31は、商用交流電源13から定着ヒータ112へ供給される電流、商用交流電源13(第1電源部32)および第2電源部33から負荷14へ供給される電流、および、商用交流電源13から第2電源部33へ供給される電流を制御して、商用交流電源13から供給される電流の値が定格電流を越えないようにしながら、上限近くまで有効に使用する。
【0088】
図11は、複写機100の立ち上がり後の時間経過における電源装置31の各部の電流と電圧の関係を示す図である。なお、本例では、複写機100の立ち上がり後に余裕のある電流分を全て蓄電部8への充電に割り当てるものとする(第2電源部33の電流制御の応答遅れが大きいものとする)。
【0089】
本実施の形態では、1次側総電流Iは、式(12)となる。
【数12】

1次側換算第2電源充電電流IC2は、2次側第2電源充電電流iC2を1次側電流に換算した電流である。なお、1次側総電流Iが定格電流値まで使用される場合は、1次側換算第1電源電流IO1の電流値の維持が優先され、1次側定着ヒータ電流Iの電流値が増減することにより調整される。また、1次側総電流Iの定格電流値の方が、1次側換算第1電源電流IO1と1次側定着ヒータ電流Iの合計よりも大きく、1次側総電流Iに余裕がある場合、余裕分は1次側換算第2電源充電電流IC2に供給される。
【0090】
ここで、負荷14に流れる電流の合計である2次側負荷電流iのうち、第1電源部32の2次側第1電源出力電流iO1が、ΔiO2だけ減少し、第2電源部10の2次側第2電源放電電流iO2がΔiO2だけ増加する必要がある場合を考える。この場合、1次側換算第1電源電流IO1は、式(13)となる。
【数13】

【0091】
また、1次側換算第2電源充電電流IC2は、式(14)となる。
【数14】

【0092】
1次側総電流(実効電流)Iの皮相電流をIAAとすると、IAAは、商用交流電源13の定格電流を越えないようにする必要がある。1次側定着ヒータ電流Iの力率は、100%であるので、1次側総電流Iの力率は、1次側換算第1電源電流IO1と1次側換算第2電源充電電流IC2の合計と、1次側定着ヒータ電流Iの関数として表す事が可能であり、1次側総電流(実効電流)Iの皮相電流IAAは、実効電流I/力率λ(IO1+IC2,I)で求めることができる。従って、商用交流電源13の定格電流は、15[Arms]であることから、式(15)の関係が成り立つ。
【数15】

【0093】
式(15)に式(12)、式(13)および式(14)を代入すると式(16)となり、さらに式(16)を展開すると式(17)のように、ΔiO2を求める式となる。
【数16】

【数17】

そして、ΔiO2が式(17)で求めた値以上流れることにより、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないようにすることができる。
【0094】
実際には、指令値決定部38が、第1電源部32の2次側第1電源出力電圧vO1、蓄電部電圧検知部9からの蓄電部放電電圧vCAP、実効値演算部17が演算した1次側AC電圧(実効値)VAC、過電流検知回路36(第1電源電流検知部)から受信した2次側第1電源出力電流iO1、第2電源電流検知部37から受信した2次側第2電源充電電流iC2、第1電源部効率テーブル19の第1電源変換効率η(iO1,VAC)、第2電源部効率テーブル39の第2電源充電時変換効率θ(iC2,VAC)、力率テーブル40の力率λ(IO1+IC2,I)、および、定着ヒータV−I特性テーブル22の1次側定着ヒータ電流Iを用いて、ΔiO2だけ増加した電流指令値iO2を算出し、第2電源部10へ逐次送信する。そして、第2電源部10が2次側第2電源放流電流を電流指令値に合わせることにより、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないようにすることができる。
【0095】
なお、上記の説明では、2次側第1電源出力電流iO1がΔiO2だけ減少した場合について説明したが、2次側第1電源出力電流iO1がΔiO2だけ増加した場合についても同様である。
【0096】
例えば、図の期間t3、t5、t7では、1次側換算2次側必要電流I(2次側負荷電流i)の足りない分を、1次側換算第2電源放流電流IO2(2次側第2電源放電電流iO2)が補うことにより、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないようにしている。
【0097】
また、図の期間t4、t6、t8では、商用交流電源13の定格電流から、1次側換算第1電源電流IO1(2次側第1電源出力電流iO1)と1次側定着ヒータ電流Iとを合計した量を差し引いた電流量を、1次側換算第2電源充電電流IC2(2次側第2電源充電電流iC2)として蓄電部8へ充電している。
【0098】
このように、第4の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、2次側第1電源出力電圧、蓄電部放電電圧、1次側AC電圧、2次側第1電源出力電流、2次側第2電源充電電流、第1電源変換効率、第2電源充電時変換効率、総電流の力率、および、1次側定着ヒータ電流から電流指令値を算出することができるので、第2電源部が2次側第2電源出力電流を電流指令値に合わせることにより、商用電源が供給することができる電流量の上限を超えずに、上限近くまで有効に使用することができる。
【0099】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態では、制御部による制御指令に対して、第1電源部の1次側電流値が実際に変動するまでの時間と定着ヒータの電流値が実際に変動するまでの時間とが異なる
ため、その時間差を利用して行う電流制御について説明する。第5の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかる画像形成装置の構成については、第1の実施の形態にかかる画像形成装置と同様であるので、同一の符号が付された箇所については、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0100】
図12は、第5の実施の形態にかかる電流制御のタイミングを示す図である。第1電源部4の2次側第1電源出力電流iO1の変動が1次側の電流(1次側換算第1電源電流IO1)に現れるまでには、回路による時間遅れが発生する。一方、定着ヒータ112の一次側定着ヒータ電流Iは制御指令に対して、ほぼリアルタイムに応答する。第5の実施の形態では、この時間遅れを利用して、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないように制御を行う。
【0101】
具体的には、2次側負荷電流iが増加した際、定着ヒータ112の一次側定着ヒータ電流Iを低下させて1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないようにする。そして、その間に第2電源部10の2次側第2電源出力電流iO2を増加させる。さらに、所定時間が経過し、第1電源部4の1次側換算第1電源電流IO1が低下した後に、定着ヒータ112の一次側定着ヒータ電流Iを元の値に復帰させる。なお、図の電流切換タイミングマージン時間では、電流値の切り換わりタイミングでの一次側定着ヒータ電流Iと2次側第1電源出力電流iO1との重なりを避けるため、1次側総電流Iを低下させている。
【0102】
また、定着ヒータ112の一次側定着ヒータ電流Iの増加要求が有った場合は、同様に第2電源部10の2次側第2電源出力電流iO2を増加させる。そして、所定時間が経過し、第1電源部4の1次側換算第1電源電流IO1が低下した後に、定着ヒータ112の一次側定着ヒータ電流Iを増加させる。これにより、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えることなく、限界まで電力を有効に使用することが可能となる。
【0103】
このように、第5の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、第1電源部の1次側電流値が実際に変動するまでの時間と定着ヒータの電流値が実際に変動するまでの時間差を利用して電流制御を行うことができるので、商用電源が供給することができる電流量の上限を超えずに、上限近くまで有効に使用することができる。
【0104】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態では、第1電源から負荷へ供給する出力、および、定着ヒータが複数ある場合について説明する。第6の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかる画像形成装置の構成について、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第1の実施の形態と同様であるので、同一の符号が付された箇所については、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0105】
図13は、第6の実施の形態にかかる電源装置41、および、定着ユニット110を含むその他の周辺装置の構成を示すブロック図である。電源装置41は、定着ユニット110の第1定着ヒータ112Aおよび第2定着ヒータ112B、および、定着ヒータ112以外の負荷46、47および48へ電力を供給する。電源装置41は、メインSW2、力率改善回路3、第1電源部42、負荷電流検知部43、負荷電流検知部44、AC電圧検知回路6、充電用電源部7、蓄電部8、蓄電部電圧検知部9、第2電源部10、メインRL11、および、制御部45を備えて構成されている。
【0106】
第1電源部42は、商用交流電源13の交流電圧を所定の直流電圧に変換した定電圧を、後段の負荷46、47および48に供給する。第1電源部4は、本例では、コンデンサインプット形式の回路である。ここで、負荷46、47とは、複写機100内で24Vの直流電圧が必要な部分の総称である。本例では、第1電源部42から負荷46へ供給する出力電流を24V1とし、負荷47へ供給する出力電流を24V2とする。また、負荷48とは、複写機100内で5Vの直流電圧が必要な部分の総称であり、本例では、第1電源部42から負荷48へ供給する出力電流を5Vとする。なお、これより以後、第1電源部42の前段側を1次側とし、後段側を2次側とする。
【0107】
負荷電流検知部43は、2次側第1電源24V1出力電流iO1を検出して、制御部45の指令値決定部49へ送信する。負荷電流検知部44は、2次側第1電源24V2出力電流iO3を検出して、制御部45の指令値決定部49へ送信する。
【0108】
なお、本実施の形態では、第2電源部10は、蓄電部8から放電された電気を定電流化し、後段の負荷46に供給している。
【0109】
制御部45は、電源装置41の各部を制御する。制御部45は、定着電力供給指令部16、実効値演算部17、指令値決定部49、第1電源部効率テーブル51、第2電源部効率テーブル20、力率テーブル52、第1定着ヒータV−I特性テーブル53、第2定着ヒータV−I特性テーブル54、および、5V電源モード別電流値テーブル55を備えて構成されている。
【0110】
指令値決定部49は、電力指令値1(点灯制御信号1)を算出し、第1定着ヒータ112Aへ送信するとともに、電力指令値2(点灯制御信号2)を算出し、第2定着ヒータ112Bへ送信する。また、指令値決定部18は、電流指令値iO2を算出し、第2電源部10へ送信する。なお、指令値決定部38による電流指令値iO2の算出方法については、後ほど詳しく説明する。
【0111】
第1電源部効率テーブル51は、2次側第1電源24V1出力電流iO1、2次側第1電源24V2出力電流iO3、第1電源5V出力電流iO4、および、1次側AC電圧VACの第1電源変換効率η(iO1,iO2,iO3,VAC)の関係を記録したテーブルである。
【0112】
力率テーブル52は、1次側総電流Iと力率λ(IO1,IH1+IH2)の関係を記録したテーブルである。ここで、力率λ(IO1,IH1+IH2)は、1次側換算第1電源電流IO1と、1次側第1定着ヒータ電流IH1と1次側第2定着ヒータ電流IH2の合計との関数である。
【0113】
第1定着ヒータV−I特性テーブル53は、第1定着ヒータ112Aに印加される電圧(1次側AC電圧VAC)と定着ヒータ112に流れる電流(1次側第1定着ヒータ電流IH1)を記録したテーブルである。第2定着ヒータV−I特性テーブル54は、第2定着ヒータ112Bに印加される電圧(1次側AC電圧VAC)と定着ヒータ112に流れる電流(1次側第2定着ヒータ電流IH2)を記録したテーブルである。
【0114】
5V電源モード別電流値テーブル55は、負荷48に供給される第1電源5V出力電流iO3の値を、複写機100のモード別に記録したテーブルである。第1電源5V出力電流iO3は、比較的変動が少ないため、動作モード別に電流値を管理することができる。
【0115】
(電源装置による電流制御)
次に、電源装置41による電流制御について説明する。電源装置41は、商用交流電源13から第1定着ヒータ112Aおよび第2定着ヒータ112Bへ供給される電流、商用交流電源13(第1電源部42)から負荷46、47、48へそれぞれ供給される電流、、および、第2電源部10から負荷46へ供給される電流を制御して、商用交流電源13から供給される電流の値が定格電流を越えないようにしながら、上限近くまで有効に使用する。
【0116】
なお、負荷変動の大きい2次側第1電源24V1出力電流iO1と2次側第1電源24V2出力電流iO3とについては、負荷電流検知回路43、44でリアルタイムに検知を行い、比較的負荷変動の少ない第1電源5V出力電流iO3は、5V電源モード別電流値テーブル55に記録された動作モード別に管理している。
【0117】
本実施の形態では、1次側第1定着ヒータ電流をIH1、1次側第2定着ヒータ電流をIH2とすると、1次側総電流Iは、式(18)となる。
【数18】

なお、1次側総電流Iが定格(上限)電流値まで使用される場合は、1次側換算第1電源電流IO1の電流値の維持が優先され、1次側第1定着ヒータ電流IH1および1次側第2定着ヒータ電流IH2の電流値が増減することにより調整される。
【0118】
ここで、負荷46に流れる電流の合計である2次側負荷電流iのうち、第1電源部42の2次側第1電源24V1出力電流iO1が、ΔiO2だけ減少し、第2電源部10の2次側第2電源出力電流iO2がΔiO2だけ増加する必要がある場合を考える。この場合、1次側換算第1電源24V1出力電流IO1は、式(19)となる。
【数19】

【0119】
1次側総電流(実効電流)Iの皮相電流をIAAとすると、IAAは、商用交流電源13の定格電流を越えないようにする必要がある。1次側第1定着ヒータ電流IH1および1次側第2定着ヒータ電流IH2の力率は、100%であるので、1次側総電流Iの力率は、1次側換算第1電源電流IO1と、1次側第1定着ヒータ電流IH1および1次側第2定着ヒータ電流IH2の合計との関数として表す事が可能であり、1次側総電流(実効電流)Iの皮相電流IAAは、実効電流I/力率λ(IO1,IH1+IH2)で求めることができる。従って、商用交流電源13の定格電流は、15[Arms]であることから、式(20)の関係が成り立つ。
【数20】

【0120】
式(20)に式(12)、式(18)および式(19)を代入すると式(21)となり、さらに式(21)を展開すると式(22)のように、ΔiO2を求める式となる。
【数21】

【数22】

そして、ΔiO2が式(22)で求めた値以上流れることにより、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないようにすることができる。
【0121】
実際には、指令値決定部49が、2次側第1電源24V1出力電圧vO1、2次側第1電源24V2出力電圧vO3、2次側第1電源5V出力電圧vO4、実効値演算部17が演算した1次側AC電圧(実効値)VAC、負荷電流検知部43から受信した2次側第1電源24V1出力電流iO1、負荷電流検知部44から受信した2次側第1電源24V2出力電流iO3、第1電源部効率テーブル51の第1電源変換効率η(iO1,iO2,iO3,VAC)、力率テーブル52の力率λ(IO1,IH1+IH2)、第1定着ヒータV−I特性テーブル53の1次側第1定着ヒータ電流IH1、第2定着ヒータV−I特性テーブル54の1次側第2定着ヒータ電流IH2、および、5V電源モード別電流値テーブル55の第1電源5V出力電流iO4を用いて、ΔiO2だけ増加した電流指令値iO2を算出し、第2電源部10へ逐次送信する。そして、第2電源部10が2次側第2電源放流電流を電流指令値に合わせることにより、1次側総電流Iが商用交流電源13の定格電流を越えないようにすることができる。
【0122】
なお、上記の説明では、2次側第1電源出力電流iO1がΔiO2だけ減少した場合について説明したが、2次側第1電源出力電流iO1がΔiO2だけ増加した場合についても同様である。
【0123】
このように、第6の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、2次側第1電源24V1出力電圧、2次側第1電源24V2出力電圧、2次側第1電源5V出力電圧、1次側AC電圧、2次側第1電源24V1出力電流、2次側第1電源24V2出力電流、第1電源変換効率、総電流の力率、1次側第1定着ヒータ電流、1次側第2定着ヒータ電流、および、第1電源5V出力電流から電流指令値を算出することができるので、第2電源部が2次側第2電源出力電流を電流指令値に合わせることにより、商用電源が供給することができる電流量の上限を超えずに、上限近くまで有効に使用することができる。
【符号の説明】
【0124】
1、31、41 電源装置
2 メインSW
3 力率改善回路
4、32、42 第1電源部
5、43、44 負荷電流検知部
6 AC電圧検知回路
7 充電用電源部
8 蓄電部
9 蓄電部電圧検知部
10、33 第2電源部
11 メインRL
12、35、45 制御部
13 商用交流電源
14、46、47、48 負荷
15 電流検知部
16 定着電力供給指令部
17 実効値演算部
18、38、49 指令値決定部
19 第1電源部効率テーブル
20、39 第2電源部効率テーブル
21、40 力率テーブル
22 定着ヒータV−I特性テーブル
34 充電/放電切替部
36 過電流検知回路
37 第2電源電流検知部
50 定着ヒータA V−I特性テーブル
51 定着ヒータB V−I特性テーブル
52 5V電源モード別電流値テーブル
100 複写機
101 自動原稿送り装置(ADF)
102 スキャナ部
103 画像書き込みユニット
104 感光体ユニット
105 現像ユニット
106 一次転写ユニット
107 給紙部
108 二次転写ユニット
109 搬送ベルト
110 定着ユニット
111 定着ヒータ駆動回路
112 定着ヒータ
112A 第1定着ヒータ
112B 第2定着ヒータ
113 定着器
114 温度センサ
115 温度制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0125】
【特許文献1】特開2005−221674号公報
【特許文献2】特開2007−143340号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される電力を入力源に用いて負荷に給電する第1電源部と、
前記負荷を流れる2次側負荷電流もしくは前記第1電源部の2次側第1電源出力電流を検知する負荷電流検知部と、
蓄電部と、
前記蓄電部の電力を入力源とし、外部からの電流指令値に応じて2次側第2電源出力電流を給電し、前記第1電源部の前記2次側第1電源出力電流と並列に接続されて合成した前記2次側負荷電流を前記負荷に供給する第2電源部と、
外部から供給される電力を入力源に用いて前記蓄電部に充電を行う充電用電源部と、
トナー像が転写された転写紙を加熱・加圧してトナー像を固定する定着器を加熱する定着ヒータと、
1次側電圧を検知するAC電圧検知回路と、
前記負荷電流検知部で検出した前記2次側負荷電流もしくは前記第1電源部の前記2次側第1電源出力電流と、現在の電流指令値、前記1次側電圧、および、予め定めた前記第1電源部の1次−2次間の変換効率より前記第1電源部の1次側換算第1電源電流を求め、前記1次側電圧と、予め定めた前記定着ヒータの印加電圧−電流特性情報より前記定着ヒータに流れる1次側定着ヒータ電流を求め、前記第1電源部の前記1次側換算第1電源電流と前記1次側定着ヒータ電流の和より1次側総電流を求め、1次側に流すことが可能な所定の電流値との差分より前記第2電源部の電流指令値を決定して前記第2電源部に出力する指令値決定部と、
を備えたこと、を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記指令値決定部は、
前記AC電圧検知回路で求めた前記1次側電圧と前記第1電源部の前記1次側換算第1電源電流の関係から前記第1電源部の力率を求め、
前記AC電圧検知回路で求めた前記1次側電圧と前記1次側定着ヒータ電流の関係から前記定着ヒータの力率を求め、
前記第1電源部の前記1次側換算第1電源電流と力率、前記定着ヒータの前記1次側定着ヒータ電流と力率より前記1次側総電流を求め、1次側に流すことが可能な所定の電流値との差分より前記第2電源部の前記電流指令値を決定して前記第2電源部に出力すること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着器の温度を検知し、一定の温度となる様に制御する温度制御部をさらに備え、
前記指令値決定部は、
前記定着ヒータがオフする場合には、オフ状態での前記1次側総電流を計算し、前記1次側総電流の値が許容範囲に収まる範囲で、前記第2電源部への前記電流指令値を下げること、を特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着ヒータは、加熱電力が外部からの電力指令値により可変であり、
前記指令値決定部は、
画像形成装置の動作モードに応じた加熱電力を要求する前記電力指令値を出力し、
前記第1電源部の前記1次側換算第1電源電流と前記1次側定着ヒータ電流の和が1次側に流すことが可能な所定の電流値を超える場合、超える電流値以上に相当する1次側定着ヒータ電流を、前記電力指令値から差し引いて前記定着ヒータに出力するか、もしくは前記定着ヒータをオフすること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着ヒータは、加熱電力が外部からの電力指令値により可変であり、
前記第2電源部の出力電流値を検知する電流検知部をさらに備え、
前記指令値決定部は、
画像形成装置の動作モードに応じた加熱電力を要求する前記電力指令値を出力し、
前記電流検知部によって検知した前記第2電源部の出力電流値が前記電流指令値を満たせない場合、満たせない電流値以上に相当する1次側定着ヒータ電流が流れないような前記電力指令値を前記定着ヒータに出力するか、もしくは前記定着ヒータをオフすること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記指令値決定部は、
前記指令値決定部により求めた前記総1次電流が、1次側に流すことが可能な所定の電流値を下回る場合、総1次電流として1次側に流すことが可能な所定の電流値との差分以下に相当する1次側定着ヒータ電流を流すような前記電力指令値を出力すること、
を特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2電源部の出力電流値を検知する電流検知部をさらに備え、
前記指令値決定部は、
前記第2電源部の出力電流値が前記電流指令値を満たせない場合に、前記第2電源部の電流計算結果によって、前記1次側定着ヒータ電流を低減もしくは前記定着ヒータをオフする時、前記1次側定着ヒータ電流の低減または前記定着ヒータのオフしたタイミングと同時もしくは所定時間経過後に、前記第2電源部の前記電流指令値を下げて、前記第2電源部の出力電流を低下させること、
を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記指令値決定部は、
前記第2電源部の電流計算結果によって、前記1次側定着ヒータ電流を増加もしくは前記定着ヒータのオンが可能となった場合、前記第2電源部の前記電流指令値を上げて前記第2電源部の出力電流を上昇させたタイミングより所定時間経過後に、前記電力指令値を増加または前記定着ヒータをオンすること、
を特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記指令値決定部は、
求めた前記総1次側電流が、1次側に流すことが可能な所定の電流値に対して低く前記第2電源部の出力を停止可能な状態では、前記第2電源部の出力を停止し前記充電用電源部によって前記蓄電部に充電を行い、
前記充電用電源部による前記蓄電部への充電電流値は、前記指令値決定部から出力される充電指令値に従い、
前記指令値決定部は、
前記指令値決定部で求めた前記1次側総電流と1次側に流すことが可能な所定の電流値との差分を求め前記差分から力率、前記充電用電源部の1次−2次変換効率を用いて求めた第1の充電電流上限値と、予め定めた、前記蓄電部の第2の充電電流上限値との内、小さい値を上限値として充電指令値を決定すること、
を特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2電源部と前記充電用電源部とを兼ねた前記蓄電部用の充電/放電兼用電源と、
外部信号によって、前記充電/放電兼用電源と前記蓄電部、前記負荷、前記入力源との接続を制御される充電/放電切替部とをさらに備え、
前記充電/放電切替部は、
充電モードにおいては、前記入力源−前記充電/放電兼用電源−前記蓄電部の順序で接続し、前記負荷への接続は絶って、前記蓄電部への充電を行い、
放電モードにおいては、前記蓄電部−前記充電/放電兼用電源−前記負荷の順に接続し、前記入力源との接続を絶つこと、
を特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記定着ヒータを1つないし複数備え、
前記指令値決定部は、
前記定着ヒータのそれぞれのオン/オフ制御信号および前記電力指令値に基づいて前記第2電源部への前記電流指令値を決定すること、
を特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1電源部は、複数の2次側出力を有し、
各出力の内、1つないし複数の出力の2次側第1電源出力電流をそれぞれ検知する1つないし複数の負荷電流検知部をさらに備え、
前記指令値決定部は、
前記1つないし複数の負荷電流検知部で得られた前記2次側第1電源出力電流情報を用いて前記第1電源部の前記1次側換算第1電源電流を求めること、
を特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第1電源部は、複数の2次側出力を有し、
前記指令値決定部は、
各出力の内、前記1つないし複数の負荷電流検知部が設けられていない各出力の電流値は、画像形成装置の動作モードによって予め定めた出力電流値として前記第1電源部の前記1次側換算第1電源電流を求めること、
を特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記指令値決定部は、
前記指令値決定部で求めた前記第2電源部の前記電流指令値が第1の値を下回る場合には、あらかじめ定めた第1の値を前記電流指令値として出力すること、
を特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記指令値決定部は、
前記指令値決定部で求めた前記第2電源部の前記電流指令値が前記第1の値よりも低い第2の値を下回る場合には、前記第2電源部からの給電を停止すること、
を特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記指令値決定部は、
前記第2電源部の出力停止時に、前記指令値決定部で求めた前記第2電源部の前記電流指令値が前記第2の値以上かつ第1の値以下である第3の値以上となった場合、前記第2電源部の出力をオンとすること、を特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記負荷電流検知部は、第1電源部の過電流保護回路用電流検知手段を兼ねること、
を特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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