説明

画像形成装置

【課題】装置構成の簡略化を図ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、廃トナーを収容する廃トナー容器101と、駆動力供給機構190と、駆動力供給機構190によって供給される駆動力により駆動され、廃トナーを移送する廃トナー移送手段105〜109と、廃トナー移送手段を構成する搬送スクリュー109と連動して周期的に変位する第1変位部110と、廃トナー容器101内における廃トナーの蓄積状態に応じて変位する第2変位部120と、第1変位部110の変位状態と第2変位部120の変位状態との組み合わせに対応する検出結果を出力する検出手段144と、前記検出結果に基づいて、駆動力供給機構190又は搬送スクリュー109に異常があるか否かと、廃トナー容器101内において廃トナーが特定の蓄積状態に到達したか否か、とを区別可能に判断する判断手段S100〜S108とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像形成装置の例が開示されている。この画像形成装置は、トナー像を被記録媒体に転写することにより被記録媒体に画像を形成するものであって、被記録媒体に転写されなかった廃トナーを収容する廃トナー容器と、廃トナー容器内に設けられる搬送スクリューとを備える。
【0003】
搬送スクリューは、廃トナー容器の一方の側壁と他方の側壁とに回転可能に軸支された回転軸と、回転軸周りに螺旋状に設けられた羽とを有する。回転軸の一方の端部は、廃トナー容器の一方の側壁から突出しており、回転軸の他方の端部は駆動源と連結されている。廃トナー容器の他方の側壁と回転軸との間には、回転軸を一方の側壁側に付勢するコイルバネが圧縮状態で配設されている。
【0004】
この画像形成装置では、駆動源に駆動されて搬送スクリューが回転軸周りに回転することで、廃トナーを廃トナー容器内の一方から他方に移送する。そして、搬送スクリューの回転軸が破損した場合、コイルバネの復元力により、回転軸の一方の端部が廃トナー容器の一方の側壁からさらに突出するように変位し、その変位をセンサにより検出することで、搬送スクリューの破損を検出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−8820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の画像形成装置は、搬送スクリュー自体の破損のみを検出する構成であるので、例えば、搬送スクリューと駆動源との間に伝達ギヤやクリーニングローラ等の駆動力伝達部材が介在している場合には、搬送スクリューより上流側で発生した不具合を検出することができない。このため、搬送スクリューより上流側での不具合を検出する別の検出手段が必要であり、装置構成の複雑化を招く。
【0007】
さらに、この種の画像形成装置では、廃トナー容器内における廃トナーの蓄積状態を検出する別の検出手段も必要であり、これによっても、装置構成の複雑化を招く。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、装置構成の簡略化を図ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、トナー像を被記録媒体に転写することにより前記被記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記被記録媒体に転写されなかった廃トナーを収容する廃トナー容器と、
駆動源の駆動力を供給する駆動力供給機構と、
前記駆動力供給機構によって供給される駆動力により駆動され、前記廃トナー容器の外部から内部に、及び/又は前記廃トナー容器内の一方から他方に、前記廃トナーを移送する廃トナー移送手段と、
前記廃トナー移送手段と連動して周期的に変位する第1変位部と、
前記廃トナー容器内における前記廃トナーの蓄積状態に応じて変位する第2変位部と、
前記第1変位部の変位状態と前記第2変位部の変位状態との組み合わせに対応する検出結果を出力する検出手段と、
前記検出結果に基づいて、前記駆動力供給機構又は前記廃トナー移送手段に異常があるか否かと、前記廃トナー容器内において前記廃トナーが特定の蓄積状態に到達したか否か、とを区別可能に判断する判断手段とを備えることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明の画像形成装置によれば、検出手段により、第1変位部の変位状態と第2変位部の変位状態との組み合わせに対応する検出結果が出力され、それに基づいて、判断手段により、2種類の判断(駆動力供給機構又は廃トナー移送手段の異常、トナーの蓄積状態)が区別可能になされる。
【0011】
駆動力供給機構又は廃トナー移送手段(以下、「廃トナー移送手段等」という。)に異常がない場合、第1変位部は周期的に変位する。このため、検出手段は、第1変位部の周期的な変位に対応して周期的な変動がある検出結果を出力する。その一方、廃トナー移送手段等に故障等の異常を生じ、廃トナー移送手段が停止すると、第1変位部が周期的に変位しなくなる。このため、検出手段は、周期的な変動のない検出結果を出力する。その結果、判断手段は、検出結果の差異に基づいて、直ちに廃トナー移送手段等に異常があることを判断することができる。
【0012】
また、廃トナー移送手段等に異常がない場合、廃トナー容器内において廃トナーが特定の蓄積状態に到達すると、第2変位部がそれに応じて変位する。この際、第1変位部は周期的な変位を継続しているため、検出手段は、周期的な変動があり、かつ第2変位部の変位に対応する差異を有する検出結果を出力する。その結果、判断手段は、検出結果の差異に基づいて、直ちに廃トナーが特定の蓄積状態に到達したことを判断することができる。すなわち、従来技術であれば、このような2種類の判断を行うために2個の検出手段が必要なところ、本発明では、1つの検出手段で2種類の判断を区別可能に行える。
【0013】
したがって、本発明の画像形成装置によれば、装置構成の簡略化を図ることができ、その結果として、製造コストの低廉化を実現できる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、検出手段は、間隔を有して対面する発光部と受光部とを有し、発光部と受光部との間に設けられる光路の遮蔽又は開放を検出するものであり得る。そして、第1変位部は、変位により光路を遮蔽する位置と開放する位置とを取り得る第1遮蔽部を有し、第2変位部は、廃トナーが特定の蓄積状態に到達していない場合には、第1遮蔽部と一体的に変位して光路を遮蔽する位置と開放する位置とを取り得る一方、廃トナーが特定の蓄積状態に到達した場合には、第1遮蔽部から離反して光路を開放する位置に変位する第2遮蔽部を有することが望ましい(請求項2)。
【0015】
この構成によれば、検出手段は、光路の遮蔽又は開放に応じた検出結果を出力する。
【0016】
そして、廃トナー移送手段等が正常に作動している場合、第1遮蔽部が周期的に光路を遮蔽するので、検出手段は周期的に切り替わる検出結果を出力する。その一方、廃トナー移送手段等が故障等の異常により停止すると、第1遮蔽部は光路を遮蔽又は開放したままとなるので、検出手段は変動しない検出結果を出力する。
【0017】
また、廃トナー容器内において廃トナーが特定の蓄積状態に到達していない場合、第2遮蔽部は、第1遮蔽部とともに周期的に変位して光路を遮蔽する。その一方、廃トナーが特定の蓄積状態に到達した場合、第1遮蔽部のみが周期的に変位して、光路を遮蔽する。このため、検出手段は、上記2つの場合に、信号波形の1周期のパターンが異なる検出結果を出力する。
【0018】
このように、検出手段は、廃トナー移送手段等の異常及びトナーの蓄積状態のそれぞれに対応して、明確な差異を有する検出結果を出力することができる。このため、1つの検出手段で2種類の判断(廃トナー移送手段等の異常、トナーの蓄積状態)を効率よく、かつ正確に行える。
【0019】
本発明の画像形成装置において、第1変位部は、廃トナー移送手段と係合して駆動力を受ける第1受動部と、第1受動部を介して廃トナー移送手段と連動して周期的に上下方向に変位し、光路を遮蔽又は開放する第1遮蔽部と、第1受動部と第1遮蔽部とを一体に接続する第1接続部とからなり得る。そして、第2変位部は、廃トナーと接触する位置に設けられる第2受動部と、第2遮蔽部と、第2受動部と第2遮蔽部とを一体に接続する第2接続部とからなり得る。さらに、第2受動部は、廃トナーが堆積するまでの間は第2遮蔽部の変位に伴う上下方向の変位が拘束されない一方、廃トナーが堆積すると、下方位置に保持されるように形成され、第2遮蔽部は、第2受動部が第2遮蔽部の変位に伴う上下方向の変位が拘束されていない間は、自重により第1遮蔽部に対して上方から当接して、第1遮蔽部と一体的に上下方向に変位する一方、第2受動部が下方位置に保持されると、第1遮蔽部に対して上方に離反する位置で保持されるように形成されていることが望ましい(請求項3)。
【0020】
この構成によれば、第2受動部に堆積する廃トナーにより、第2遮蔽部と第2受動部とのバランスが変化することを利用して、第2受動部を下方位置に保持するとともに、第2遮蔽部を第1遮蔽部に対して上方に離反する位置で保持することを容易に実現できるので、装置構成をより簡略化できる。
【0021】
本発明の画像形成装置において、光路に沿う方向の断面で見て、第2遮蔽部の片側面と下面とにわたって、第1遮蔽部が収まる切り欠きが形成されており、第1遮蔽部は、切り欠きに収まった状態で、第2遮蔽部に対して光路と平行な方向にはみ出さない断面形状とされていることが望ましい(請求項4)。
【0022】
この構成によれば、第1、2遮蔽部の幅を狭くできるので、発光部と受光部とを接近させることができる。その結果、検出手段の小型化、ひいては装置の小型化を実現できる。
【0023】
本発明の画像形成装置において、第2接続部は、第2受動部から廃トナーが移送される方向の下流側に向けて延びており、第1遮蔽部及び第2遮蔽部は、第2受動部に対し、廃トナーが移送される方向の下流側に離れて配設されていることが望ましい(請求項5)。
【0024】
この構成によれば、廃トナーが第2受動部に堆積した場合でも、第1遮蔽部及び第2遮蔽部まで廃トナーが到達し難くすることができるので、検出手段の検出精度の低下を抑制できる。
【0025】
本発明の画像形成装置において、第2受動部と、第1遮蔽部及び第2遮蔽部との間には、廃トナー容器の内部空間を、第2受動部側の空間と第1、2遮蔽部側の空間とに区画する仕切り壁が設けられていることが望ましい(請求項6)。
【0026】
この構成によれば、廃トナーが第2受動部に堆積した場合でも、仕切り壁により、第1遮蔽部及び第2遮蔽部まで廃トナーが到達することを確実に防止できるので、検出手段の検出精度の低下を一層抑制できる。
【0027】
本発明の画像形成装置において、第1遮蔽部及び第2遮蔽部が当接したまま光路を遮蔽する際の遮蔽1回分の所要時間に対して、第1遮蔽部のみが光路を遮蔽する際の遮蔽1回分の所要時間が短くなるように、光路と対面する第1遮蔽部及び第2遮蔽部の大きさが設定されていることが望ましい(請求項7)。
【0028】
この構成によれば、検出手段は、第1、2遮蔽部が重なって周期的に変位する場合と、第1遮蔽部のみが周期的に変位する場合とで、容易に区別可能な差異のある検出結果を出力するので、判断手段による判断を一層正確に行える。
【0029】
本発明の画像形成装置において、判断手段は、検出結果が周期的な変動のないものである場合、「駆動力供給機構又は廃トナー移送手段に異常がある」と判断し、検出結果が周期的な変動のあるものである場合、「駆動力供給機構及び廃トナー移送手段に異常がない」と判断するとともに、検出結果における光路の遮蔽1回の継続時間が閾値より長ければ、「廃トナーが特定の蓄積状態に到達していない」と判断する一方、検出結果における光路の遮蔽1回の継続時間が閾値以下であれば、「廃トナーが特定の蓄積状態に到達した」と判断することが望ましい(請求項8)。
【0030】
上記の具体的な構成である判断手段を備えることにより、本発明の作用効果を確実に奏することができる。
【0031】
本発明の画像形成装置は、ハウジングを備え、廃トナー容器、駆動力供給機構、廃トナー移送手段、第1変位部及び第2変位部は、ハウジングに対して着脱可能に設けられる廃トナー回収ユニットを構成し、検出手段及び判断手段は、ハウジング側に設けられていることが望ましい(請求項9)。
【0032】
この構成によれば、廃トナー回収ユニットが取り外された状態では、判断手段が廃トナー移送手段等に異常があると判断するので、廃トナー回収ユニットが装着されていないまま、画像形成装置が作動する不具合も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例の画像形成装置の概略断面図である。
【図2】実施例の画像形成装置に係り、廃トナー回収ユニットの斜視図である。
【図3】実施例の画像形成装置に係り、廃トナー回収ユニットの斜視図である(前側の上部カバーと、クリーニングローラ及び掻き取りローラとを取り外した状態を示す。)。
【図4】実施例の画像形成装置に係り、廃トナー回収ユニットの上面図である(前側及び後側の上部カバーと、クリーニングローラ及び掻き取りローラとを取り外した状態を示す。)。
【図5】実施例の画像形成装置に係り、廃トナー回収ユニットの分解斜視図である
【図6】実施例の画像形成装置に係り、前側の上部カバーの斜視図である。
【図7】実施例の画像形成装置に係り、廃トナー回収ユニットの要部拡大斜視図である(搬送スクリュー、第1変位部及び第2変位部を示す)。
【図8】実施例の画像形成装置に係り、搬送スクリュー、第1変位部及び第2変位部を離間させて示す斜視図である。
【図9】実施例の画像形成装置に係り、搬送スクリューの回転に伴う第1変位部及び第2変位部の変位を説明する要部拡大断面図である。
【図10】実施例の画像形成装置に係り、搬送スクリューの回転に伴う第1変位部及び第2変位部の変位を説明する要部拡大断面図である。
【図11】実施例の画像形成装置に係り、廃トナーの堆積に伴う第2変位部の変位を説明する要部拡大断面図である。
【図12】実施例の画像形成装置に係り、廃トナーの堆積に伴う第2変位部の変位を説明する要部拡大断面図である。
【図13】実施例の画像形成装置に係り、搬送スクリューの回転及び廃トナーの堆積に伴う第1変位部及び第2変位部の変位を説明する要部拡大断面図である。
【図14】実施例の画像形成装置に係り、制御系統を示すブロック図である。
【図15】実施例の画像形成装置に係り、センサ制御部の概要を示すブロック図である。
【図16】実施例の画像形成装置に係り、判定プログラムのフローチャートである。
【図17】実施例の画像形成装置に係り、検出手段による検出結果の一例を示すグラフである(センサ制御部から出力される信号と時間との関係を示す)。
【図18】実施例の画像形成装置に係り、検出手段による検出結果の一例を示すグラフである(センサ制御部から出力される信号と時間との関係を示す)。
【図19】実施例の画像形成装置に係り、検出手段による検出結果の一例を示すグラフである(センサ制御部から出力される信号と時間との関係を示す)。
【図20】実施例の画像形成装置に係り、検出手段による検出結果の一例を示すグラフである(センサ制御部から出力される信号と時間との関係を示す)。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0035】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像形成装置の一例としてのプリンタ1は、電子写真方式により被記録媒体としての用紙(OHPシート等を含む。)に複数色からなる画像を形成するカラーレーザプリンタである。図1では、紙面右側を装置の前側と規定し、紙面左側を装置の後側と規定する。また、装置を前側から見た場合に左手に来る側(紙面手前側)を左側と規定し、その反対側を右側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2〜図20に示す前後、左右及び上下の各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1に基づいて、プリンタ1が備える各構成要素について説明する。
【0036】
1.プリンタの概略構成
ハウジング3は略箱状体であり、その内側にはフレーム部材(図示しない。)が設けられている。このフレーム部材には、給紙部20、画像形成部10、搬送ユニット30、定着器80及び廃トナー回収ユニット100等が組み付けられている。画像形成部10は、ハウジング3の略中央に位置する。
【0037】
ハウジング3の上面側には、画像形成を終えて排出ローラ28、29から排出される用紙が載置される排出トレイ5が設けられている。また、ハウジング3の前面には、下端側を揺動中心軸として開閉可能なフロントカバー6が設けられている。画像形成部10及び搬送ユニット30は、フロントカバー6を開いた状態で、フレーム部材に対して着脱可能に構成されている。また、廃トナー回収ユニット100も、画像形成部10及び搬送ユニット30がハウジング3から取り外された状態で、フレーム部材に対して着脱可能に構成されている。なお、画像形成部10、搬送ユニット30及び廃トナー回収ユニット100をフレーム部材に対して着脱可能とする具体的構成は周知のものであるので、説明は省略する。
【0038】
2.給紙部
給紙部20は、ハウジング3の下方に着脱可能に収納された給紙トレイ21、給紙トレイ21の前端部上方に設けられて給紙トレイ21に載置された用紙を画像形成部10に給紙(搬送)する給紙ローラ22、及び用紙に所定の搬送抵抗を与えることで給紙ローラ22により給紙される用紙を1枚毎に分離する分離パッド23等を有している。
【0039】
そして、用紙の搬送経路P(図1中、太い二点鎖線で示す。)のうち、前方の略U字状に転向する部位には、略U字状に湾曲しながら画像形成部10に搬送される用紙に搬送力を与える搬送ローラ24、25が配設されている。
【0040】
また、搬送ローラ24、25よりも搬送経路Pの下流側には、搬送ローラ24、25により搬送されてくる用紙の先端に接触することでその用紙の斜行を補正した後、その用紙をさらに画像形成部10へ向けて搬送するレジストローラ26、27が設けられている。
【0041】
3.搬送ユニット
搬送ユニット30は、下方の給紙トレイ21と上方の画像形成部10との間に配置されており、搬送ベルト33及び転写ローラ73K、73Y、73M、73C等を有している。
【0042】
搬送ベルト33は、画像形成部10の後端側下方に位置する駆動ローラ31と、画像形成部10の前端側下方に位置する従動ローラ32との間に巻き付けられている。そして、駆動ローラ31が給紙部20のレジストローラ26、27等と同期して回転することにより、搬送ベルト33が駆動ローラ31と従動ローラ32との間を循環するようになっている。搬送ベルト33の上側の面は、画像形成部10の直下において、略水平に配置されており、用紙の裏面と当接して、用紙を搬送経路Pに沿って搬送する用紙搬送面33Aとされている。
【0043】
転写ローラ73K〜73Cは、用紙搬送面33Aの裏面側から搬送ベルト33に当接する状態で、搬送ユニット30に設けられている。搬送ベルト33は導電性ゴム製であるので、各転写ローラ73K〜73Cに印加されるマイナスの電荷(転写電圧)により搬送ベルト33も帯電する。これにより、搬送ベルト33は、静電気力で用紙を用紙搬送面33Aに吸着させつつ、搬送経路Pに沿って用紙を搬送することができる。
【0044】
4.画像形成部
画像形成部10は、カラー印刷が可能な、いわゆるダイレクトタンデム方式のものであり、4体のプロセスカートリッジ70K、70Y、70M、70C等及びスキャナ部60等を有している。スキャナ部60は、ハウジング3内部の最上方に配設されている。4体のプロセスカートリッジ70K、70Y、70M、70Cは、ブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの4色のトナー(現像剤)に対応し、用紙搬送面33Aの上流から下流に向けて直列に配設されている。
【0045】
4.1.スキャナ部
スキャナ部60は、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等を有している。そして、レーザ光源から発光されるレーザビームは、ポリゴンミラーで偏向されて、fθレンズを通過した後、反射鏡によって光路が折り返され、さらに、反射鏡によって光路が下方に屈曲されることにより、プロセスカートリッジ70K〜70Cのそれぞれに設けられた感光体ドラム71の表面上に照射され、静電潜像を形成するようになっている。
【0046】
4.2.プロセスカートリッジ
プロセスカートリッジ70K〜70Cは着色材としてのトナーの色が異なるのみで、その他は同一であるので、以下、プロセスカートリッジ70Cを例にその構造を説明する。
【0047】
プロセスカートリッジ70Cは、周知の感光体ドラム71、帯電器72及びトナーカートリッジ74等を有して構成されている。
【0048】
トナーカートリッジ74は、トナーが収容されたトナー収容室74A、供給ローラ74B及び現像ローラ74C等を有している。そして、トナー収容室74A内のトナーは、供給ローラ74Bの回転によって現像ローラ74C側に供給されて、現像ローラ74Cの表面に担持され、層厚規制ブレード74Dにより所定の厚みに調整された後、感光体ドラム71の表面に供給されるようになっている。感光体ドラム71は、搬送ベルト33の用紙搬送面33Aを挟んで転写ローラ73Cの反対側に配設されている。
【0049】
5.定着器
定着器80は、用紙の搬送経路Pにおいてプロセスカートリッジ70K〜70Cより下流側に配設されている。定着器80は、加熱ローラ81と加圧ローラ82とを有している。加熱ローラ81は、用紙の画像形成面側に配設されており、搬送ベルト33等と同期して回転し、用紙に転写されたトナーを加熱しつつ、用紙に搬送力を付与する。他方、加圧ローラ82は、用紙を挟んで加熱ローラ81と反対側に配設されており、用紙を加熱ローラ81側に押圧しながら従動回転する。これにより、定着器80は、用紙に転写されたトナーを加熱溶融させて用紙に定着させるとともに、用紙を搬送経路Pの下流側に搬送する。なお、搬送経路Pは、定着器80より下流側で、上方に向けて略U字形状にカーブしている。そして、搬送経路Pの最も下流側である排出トレイ5の直前には、画像が形成された用紙を排出トレイ5に排出する排出ローラ28、29が設けられている。
【0050】
6.画像形成動作の概略
このような構成である実施例のプリンタ1では、以下のようにして、用紙に画像が形成される。すなわち、画像形成動作が開始されると、給紙部20及び搬送ユニット30が稼動して用紙が画像形成部10に搬送され、スキャナー部60、プロセスカートリッジ70K〜70C等が稼動する。そうすると、回転する感光体ドラム71の表面が帯電器72により一様に正帯電された後、スキャナ部60から照射されるレーザビームにより露光され、その結果、感光体ドラム71の表面に画像形成用データに対応する静電潜像が形成される。
【0051】
次いで、現像ローラ74Cの回転により、現像ローラ74C上に担持され、かつ、正帯電されているトナーが、感光体ドラム71に対向して接触するときに、感光体ドラム71の表面上に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム71の静電潜像は可視像化され、感光体ドラム71の表面には反転現像によるトナー像が担持される。
【0052】
その後、感光体ドラム71の表面上に担持されたトナー像は、転写ローラ73K〜73Cに印加される転写電圧によって用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙が定着器80に搬送されると、加熱ローラ81及び押圧ローラ82により加熱加圧されて、トナー像が用紙に定着する。最後に、画像が形成された用紙が排出トレイ5に排出されて、画像形成動作が終了する。
【0053】
7.廃トナー回収ユニット
プリンタ1が上述の画像形成動作を行う際、供給されたトナーの一部は、用紙に転写されないまま搬送ベルト33に付着して、不要なトナー(廃トナー)となる場合がある。そして、廃トナーが搬送ベルト33に付着したままで画像形成動作を行うと、用紙に廃トナーが再転写されてしまい、用紙にユーザが意図していない不要な画像が形成されてしまう。そこで、プリンタ1では、搬送ユニット30の下側に、搬送ベルト33に付着するトナーを除去する廃トナー回収ユニット100を備えている。以下、廃トナー回収ユニット100の詳細を説明する。
【0054】
単体としての廃トナー回収ユニット100は、図2に示すように、用紙に転写されなかった廃トナーを収容する箱形状の廃トナー容器101の前方に、ハンドル103Cが突設されたものであり、ハンドル103Cを保持して廃トナー回収ユニット100をハウジング3のフレーム部材から取り外したり、フレーム部材に対して装着したりすることができる。
【0055】
廃トナー容器101は、図2〜図6に示すように、上部側が開放された箱形状の容器本体102と、容器本体102の上部前側を覆う上部カバー103Aと、容器本体102の上部後側を覆う上部カバー103Bとからなるものである。上部カバー103A、103Bは、ネジ等に締結手段にて分離可能に容器本体102に組み付けられている。
【0056】
上部カバー103Aには、搬送ベルト33の幅と略同一の幅に開口された取込口104が形成されている。取込口104内には、クリーニングローラ105、掻き取りローラ106及び剥離ブレード106Aが前後方向に並んで設けられている。
【0057】
図1及び図2に示すように、クリーニングローラ105は、外表面側に樹脂製スポンジ層が形成された中実円柱であり、搬送ユニット30の駆動ローラ31及び従動ローラ32と平行な回転軸周りで回転可能に軸支されている。そして、クリーニングローラ105は、フレーム部材に装着された状態で、搬送ベルト33に下方から接触するように構成されている。
【0058】
掻き取りローラ106は、クリーニングローラ105に対して後方から当接する金属製の中実円柱であり、駆動ローラ31、従動ローラ32及びクリーニングローラ105と平行な回転軸周りで回転可能に軸支されている。
【0059】
剥離ブレード106Aは、軟質ウレタンシートを細長く裁断したものであり、その先端側が掻き取りローラ106に当接した状態で、根元側が取込口104の後縁側に固定されている。
【0060】
図2に示すように、廃トナー容器101において、クリーニングローラ105の左端側は、駆動力供給機構190が配設されている。駆動力供給機構190は、図3及び図4に示すように、複数個のギヤ191、192、193、194、195が組み合わされてなるものである。図示は省略するが、クリーニングローラ105の左端は、駆動力供給機構190を構成するギヤ191に一体回転可能に接続されている。また、図示は省略するが、掻き取りローラ106の左端は、駆動力供給機構190を構成し、ギヤ191と噛み合うギヤ192に一体回転可能に接続されている。
【0061】
廃トナー回収ユニット100がフレーム部材に装着された状態では、図4に示すように、フレーム部材側に設けられた電動モータ等の駆動源199と駆動力供給機構190とが係合する。そして、駆動源199の駆動力が駆動力供給機構190に伝達されると、ギヤ191、192等が回転して、駆動源199の駆動力がクリーニングローラ105及び掻き取りローラ106に供給される。そうすると、図1に示すように、クリーニングローラ105は、搬送ベルト33の循環方向とは逆向きの回転方向に回転駆動されて、搬送ベルト33の表面に付着した廃トナーを擦り落とすように自己の表面に付着させて、搬送ベルト33から除去する。掻き取りローラ106は、廃トナーが帯びている電荷と反対の電荷(本実施例では、負電荷)が印加された状態で、クリーニングローラ105の表面に接触しながら回転駆動されて、クリーニングローラ105の表面に付着した廃トナーを電気的に吸着する。そして、剥離ブレード106Aは、掻き取りローラ106が吸着した廃トナーを剥離させて、廃トナー容器101内に落下させる。
【0062】
図4及び図5に示すように、容器本体102の前側には、右側壁102Xから左方向にリブ状に延在し、左側壁102Yの手前で途切れる隔壁102Eが立設されている。また、隔壁102Eの左端部と前側壁102Zとを繋ぐように前後方向に延在するリブ状の隔壁102Fが立設されている。隔壁102Fの上端縁には、半円形状の凹部148Fが形成されている。
【0063】
一方、図6に示すように、上部カバー103Aの前側には、右側壁103Xから左方向にリブ状に延在し、左側壁103Yの手前で途切れる隔壁103Eが立設されている。また、隔壁103Eの左端部と前側壁103Zとを繋ぐように前後方向に延在するリブ状の隔壁103Fが立設されている。隔壁103Fの下端縁には、半円形状の凹部149Fが形成されている。
【0064】
図示は省略するが、容器本体102に上部カバー103Aが組み付けられると、隔壁102E、103Eがそれぞれ隔壁102F、103Fと連結されて、廃トナー容器101の内部空間を前後方向及び左右方向で区画するようになっている。
【0065】
図3及び図4に示すように、廃トナー容器101の内部空間のうち、隔壁102E、103Eより後方の広い空間が廃トナー収容空間157Aである。一方、廃トナー容器101の内部空間のうち、隔壁102E、103Eより前方の左右に細長い空間が、廃トナーの堆積量を検出するための検出用空間157Bである。廃トナー収容空間157Aと、検出用空間157Bとは、凹部148F、149Fからなる円穴により連通している。
【0066】
廃トナー収容空間157Aの底部には、格子状部材107と、左右方向に平行な回転軸周りで回転可能に軸支されるとともに格子状部材107の前縁側に連結されたクランク軸108とが配設されている。
【0067】
クランク軸108の左端は、駆動力供給機構190を構成するギヤ194に一体回転可能に接続されている。そして、駆動源199の駆動力が駆動力供給機構190に伝達されると、ギヤ194も回転して、駆動源199の駆動力がクランク軸108にも供給される。そうすると、クランク軸108が回転駆動され、それに伴って、格子状部材107が前後方向に周期的に変動する。
【0068】
剥離ブレード106Aにより掻き取りローラ106から剥離した廃トナーは、まず、廃トナー収容空間157Aの前方に落下した後、前後方向に周期的に変動する格子状部材107により、廃トナー収容空間157Aの後方に移送される。そして、廃トナーが廃トナー収容空間157Aの後端に到達して堰き止められると、徐々に、廃トナー収容空間157Aの前方側に堆積し始める。さらに、廃トナー収容空間157Aへの廃トナーの堆積が進むと、廃トナーは、円穴(凹部148F、149F)から検出用空間157B側に流入する。
【0069】
廃トナー容器101の隔壁102E、103Eより前方、すなわち、検出用空間157Bには、左右方向に平行な方向を向く回転軸109Aと、回転軸109A周りに螺旋状に形成された羽109Bとを有する搬送スクリュー109が配設されている。搬送スクリュー109は、円穴(凹部148F、149F)に挿通されており、廃トナー収容空間157Aと検出用空間157Bとを跨いでいる。
【0070】
回転軸109Aの左端は、駆動力供給機構190を構成するギヤ195に一体回転可能に接続されている。そして、駆動源199の駆動力が駆動力供給機構190に伝達されると、ギヤ195も回転して、駆動源199の駆動力が回転軸109Aにも供給される。そうすると、搬送スクリュー109が回転駆動され、螺旋状の羽109Bが廃トナーを左から右に移送する。その結果、廃トナー収容空間157Aに収容しきれなくなった廃トナーは、円穴(凹部148F、149F)を介して、検出用空間157B内に積極的に搬送され、検出用空間157B内の左から右へと徐々に堆積する。
【0071】
図5に示すように、容器本体102の前側において、隔壁102Fより右側には、隔壁102Eの途中と前側壁102Zとを繋ぐように前後方向に延在するリブ状の仕切り壁102G、102H、軸受壁102Jが立設されている。仕切り壁102G、102H、軸受壁102Jの上端縁には、半円形状の凹部148G、148H、148Jが形成されている。
【0072】
一方、図6に示すように、上部カバー103Aの前側において、隔壁103Fより右側には、隔壁103Eの途中と前側壁103Zとを繋ぐように前後方向に延在するリブ状の仕切り壁103G、103H、軸受壁103Jが立設されている。仕切り壁103G、103H、軸受壁103Jの上端縁には、半円形状の凹部149G、149Hが形成されている。
【0073】
図示は省略するが、容器本体102に上部カバー103Aが組み付けられると、仕切り壁102G、102Hがそれぞれ仕切り壁103G、103Hと連結されて、検出用空間157Bが左右方向に複数に区画される。この際、図7に示すように(図7において、上部カバー103Aは図示しない。)、凹部148G、149G(図7において、凹部149Gは図示しない。)からなる円穴と、凹部148H、149H(図7において、凹部149Hは図示しない。)からなる円穴とに、回転軸109Aが隙間を有して挿通される。なお、螺旋状の羽109Bは、仕切り壁102G、103Gの左側面近くまで形成されている。
【0074】
図7に示すように、回転軸109Aには、円穴(凹部148G、149G)を左右方向で挟む1対のフランジ部109Gと、円穴(凹部148H、149H)を左右方向で挟む1対のフランジ部109Hとが形成されている。
【0075】
また、図示は省略するが、容器本体102に上部カバー103Aが組み付けられると、軸受壁102Jが軸受壁103Jと連結されて、凹部148Jからなる軸受が形成される。図7に拡大して示すように、凹部148Jからなる軸受には、回転軸109Aの右端側が回転可能に軸支される。
【0076】
軸受壁102J、103Jからさらに右側に突出する回転軸109Aの右端部には、回転軸109Aの回転軸心と平行な軸心を有する円柱状の偏心軸部109Cが凸設されている。
【0077】
搬送スクリュー109に搬送されて、検出用空間157B内の左から右へと徐々に堆積する廃トナーは、仕切り壁102G、103Gまで到達すると、仕切り壁102G、103Gに堰き止められる。そして、回転軸109Aと円穴(凹部148G、149G)との隙間から仕切り壁102G、103Gの右側に流入しそうになっても、フランジ部109Gにより流入が抑制される。そして、仕切り壁102G、103Gの右側に廃トナーが流入したとしても、その廃トナーは、もう一つの仕切り壁102H、103Hに堰き止められる。そして、回転軸109Aと円穴(凹部148H、149H)との隙間から仕切り壁102H、103Hの右側に流入しそうになっても、フランジ部109Hにより流入が抑制される。ただし、仕切り壁102G、103G及び仕切り壁102H、103Hにより、廃トナーを完全に堰き止めてしまうと、廃トナーが行き場がなくなってしまい、搬送スクリュー109等の破損を招くおそれがある。このため、回転軸109Aと円穴(凹部148G、149G)及び円穴(凹部148H、149H)との隙間は、過剰な廃トナーの流通を適度に許容する大きさに設定されている。なお、フランジ部109G、109Hは、搬送スクリュー109の左右方向のガタつきを防止する機能や、搬送される廃トナーから搬送スクリュー109が受ける反力を支える機能を発揮することもできる。
【0078】
図7に拡大して示すように、隔壁102E、103Eと、容器本体102の前壁102Z及び上部カバー103Aの前壁103Zとの間、すなわち、検出用空間157B内には、搬送スクリュー109の回転軸109Aに隣接して、第1変位部110と、第2変位部120とが設けられている。
【0079】
第1変位部110は、図7及び図8に示すように、第1接続部113と、第1受動部111と、第1遮蔽部112とを有する。第1接続部113は、回転軸109Aと平行な軸心回りで回転可能に軸支された細長い円柱軸形状のものである。第1受動部111は、第1接続部113の右端側から第1接続部113の軸心に対して径外方向に突出する二股形状のものである。図7に示すように、第1受動部111は、二股形状を構成するスリット111A内に回転軸109Aの偏心軸部109Cを挿通させた状態で組み付けられている。第1遮蔽部112は、第1接続部113の左端側から第1接続部113の軸心に対して径外方向、かつ第1受動部111と反対方向である前方に突出する細長い角柱形状のものである。
【0080】
図5に示すように、容器本体102の前壁102Z及び上部カバー103Aの前壁103Zには、前方に突出する第1遮蔽部112を避けるように切りかかれた凹部102M、103Mが形成されている。図7に示すように、凹部102M、103Mを介して、第1遮蔽部112は、容器本体102の前壁102Z及び上部カバー103Aの前壁103Zからさらに前方に突出した状態となっている。そして、図9及び図10に示すように、搬送スクリュー109の回転に伴って、偏心軸部109Cが偏心回転すると、偏心軸部109Cに係合する第1受動部111及び第1接続部113を介して、第1遮蔽部112が上下方向に揺動するようになっている。
【0081】
一方、第2変位部120は、図7及び図8に示すように、第2接続部123と、第2受動部121と、第2遮蔽部122とを有する。第2接続部123は、回転軸109Aと平行な軸心回りで回転可能に軸支された細長い円柱軸形状のものである。第2接続部123の回転軸心は、第1接続部113の回転軸心に対して、前方に僅かにずれている。第2接続部123の右端は、第1接続部113の左端と対面している。第2接続部123の左端は、仕切り壁102G、103Gを跨ぎ、螺旋状の羽109Bの右端部まで延びている。第2受動部121は、第2接続部123の左端側から第2接続部123の軸心に対して径外方向、かつ後方に突出する平板形状のものである。図7に示すように、第2受動部121は、平板形状の上方を向く面である堆積面121Aを螺旋状の羽109Bの右端部の下方に位置させた状態で組み付けられている。容器本体102の底部からは、堆積面121Aを左右方向で挟む衝立形状の規制壁102Q、102Rが立設されている。規制壁102Q、102Rは、堆積面121A上の堆積する廃トナーが周囲に流出しないように規制する。第2遮蔽部122は、第2接続部123の右端側から第2接続部123の軸心に対して径外方向、かつ第2受動部121と反対方向である前方に突出する細長い柱形状のものである。
【0082】
図7に示すように、第2遮蔽部122は、第1遮蔽部112と同様に、凹部102M、103Mを介して、容器本体102の前壁102Z及び上部カバー103Aの前壁103Zからさらに前方に突出した状態となっている。図7及び図8に示すように、第2遮蔽部122は、前後方向に直交する断面で見た場合、右側面と下面とにわたる矩形状の切り欠き122Aが形成された断面形状を有している。そして、第2遮蔽部122は、第1遮蔽部112の上方に位置している。第2遮蔽部122が第1遮蔽部112に当接すると、第1遮蔽部112は、切り欠き122Aに収まって、図4に示すように、第2遮蔽部122に対して左右方向ではみ出さないようになっている。
【0083】
第2遮蔽部122の自重は、第2受動部121の自重と比較して重いので、第2受動部121及び第2遮蔽部122に対して外力が作用していない状態では、第2遮蔽部122側が下降して、図示しないストッパにより、図11に示す姿勢を保持する。この場合、第2受動部121及び第2遮蔽部122はほぼ水平方向を向く。一方、図12に示すように、第2受動部121の堆積面121A上に廃トナーWが堆積すると、廃トナーWの重さ、あるいは抵抗により、第2遮蔽部122と第2受動部121とのバランスが変化して、第2受動部121側が下方となるように傾く。その結果、第2受動部121が下降して下方位置で保持されるとともに、第2遮蔽部122が上昇して上方位置で保持される。第2変位部120が図12に示す状態で保持された場合でも、図13に示すように、偏心軸部109Cが偏心回転すると、第1遮蔽部112は単独で上下方向に揺動する。
【0084】
廃トナー回収ユニット100がフレーム部材に装着された状態では、図4に示すように、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122は、フレーム部材側に設けられた検出手段の一例としての光センサ144に向けて突出する状態となる。光センサ144(図4にのみ示す。)は、間隔を有して左右方向で対面する発光部144Aと受光部144Bとを有する。発光部144Aは、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122の左側に位置し、受光部144Bは、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122の右側に位置する。光センサ144は、発光部144Aと受光部144Bとの間に設けられる光路144Cの遮蔽又は開放を検出する周知のものである。図9〜図13に、光路144Cと第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122との相対位置関係を示すように、上下方向に変位する第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122は、光路144Cを遮蔽する位置と開放する位置とを取り得る。
【0085】
図2及び図4に示すように、容器本体102の前壁102Z及び上部カバー103Aの前壁103Zには、光路144Cを遮蔽することなく、第1遮蔽部112と第2遮蔽部122とを覆う樹脂製の透明なカバー143が装着されている。図5に示すように、透明なカバー143の周縁は鍔状になっている。そして、凹部102M、103Mの周囲に形成された嵌め合い溝102N、103Nに対して、透明なカバー143の周縁が嵌め合わされる簡易な構成により、透明なカバー143が廃トナー容器101に固定される。これにより、組み付け作業の簡略化と、製造コストの低廉化とを実現できる。
【0086】
8.プリンタの電気的構成
図14中、露光制御部201はスキャナ部60の動作を制御するものであり、高圧制御部202は、トナーカートリッジ70の動作、つまり感光ドラム71、トナー現像及び転写等の高電圧を制御するものである。パネル制御部203は、ユーザが設定操作する操作パネル(図示しない。)を制御するものであり、センサ制御部204は、光センサ144の発光部144A及び受光部144B等を制御するものであり、モータ制御部205は、プリンタ1に設けられた駆動源199の電動モータを制御するものである。
【0087】
また、ROM206及びRAM207は、情報を記憶する領域であり、CPU208は、ROM206に予め記憶されたプログラムにしたがって露光制御部201等の制御部を制御するための演算処理を行う。また、タイマ209は、時間を計時するとともに時間を示す信号を出力する。
【0088】
また、センサ制御部204は、図15に示すように、発光制御回路210及びコンパレータ211等を有して構成されている。発光制御回路210は、発光部144Aの発光動作を制御する。コンパレータ211は、受光部144Bが発光部144Aからの光を受光した際に発する信号レベルが基準レベルを超えたか否かを判定する。そして、その信号レベルが基準レベルを超えたときには「Low」信号をCPU208に向けて出力し、その信号レベルが基準レベル以下のときには「Hi」信号をCPU208に向けて出力する。上述した通り、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122は、光路144Cを遮蔽する位置と開放する位置とを取り得るので、コンパレータ211がCPU208に向けて出力する信号波形、すなわち、光センサ144の検出結果は、第1遮蔽部112の変位状態と第2遮蔽部122の変位状態との組み合わせに対応するものとなる。
【0089】
9.第1変位部、第2変位部及び光センサの動作
プリンタ1が起動されてウォームアップ運転が開始された場合、又はプリンタ1が待機状態から稼動状態に切り替わった場合、センサ制御部204が光センサ144の制御を開始するとともに、CPU208が、詳細を後述する判定プログラム(図16に示すステップS100〜S108)を開始する。また、モータ制御部205が駆動源199の制御を開始する。そうすると、駆動源199の駆動力が搬送ベルト33に伝達されて、搬送ベルト33が循環を開始するとともに、駆動力供給機構190から駆動力を供給されて、クリーニングローラ105、掻き取りローラ106、クランク軸108、格子状部材107及び搬送スクリュー109も回転又は変動する。これにより、搬送ベルト33に付着した廃トナーが廃トナー収容空間157A内に堆積し、その後、検出用空間157Bに搬送される。クリーニングローラ105、掻き取りローラ106、クランク軸108、格子状部材107及び搬送スクリュー109が、廃トナー移送手段に相当する。
【0090】
この際、図9、図10及び図13に示すように、搬送スクリュー109の回転により、偏心軸部109Cが偏心回転し、偏心軸部109Cに係合する第1受動部111が揺動する。そうすると、第1接続部113を介して、第1遮蔽部112も上下方向に揺動し、光路114Cを遮蔽する位置(図示は省略するが、図9及び図13に示す下降位置と、図10に示す上昇位置との略中間の位置。)と、開放する位置(例えば、図9及び図13に示す下降位置と、図10に示す上昇位置)とを取る。ここで、偏心軸部109Cが1回転する間に、第1遮蔽部112は上下方向に1回揺動(1往復)し、図10に示す上昇位置と、図9及び図13に示す下降位置とを取る。つまり、第1遮蔽部112は、偏心軸部109Cが1回転する際、光路144Cを2回遮蔽する。
【0091】
ここで、図11に示すように、検出用空間157Bにおいて、第2受動部121の堆積面121Aに廃トナーWが堆積するまでの間は、第2受動部121は上下方向の変位を廃トナーWにより拘束されない。このため、第2受動部121と一体である第2遮蔽部122は、周期的に上下動する第1遮蔽部112に当接して押し上げられて、第1遮蔽部112と一体的に上下動する。そして、第2遮蔽部122は、光路144Cを遮蔽する位置(図9及び図11に示す下降位置。)と、開放する位置(例えば、図10及び図12に示す上昇位置。)とを取る。つまり、第2遮蔽部122は、偏心軸部109Cが1回転する際、光路144Cを1回遮蔽する。
【0092】
このように、第1遮蔽部112と第2遮蔽部122とが連動して周期的に上下方向に変位して、光路144Cを周期的に遮蔽する場合、光センサ144からの出力信号を受けてコンパレータ211がCPU208に向けて出力する信号波形は、図17に示すように、「Hi」と「Low」との間で周期的に切り替わる波形であって、かつ1周期、すなわち、偏心軸部109Cが1回転する間における信号波形のなかの「Hi」の継続時間Tが、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122が当接したまま光路144Cを遮蔽する際の遮蔽1回分の所要時間T1となる。
【0093】
一方、図12に示すように、検出用空間157Bにおいて、第2受動部121の堆積面121Aに廃トナーWが堆積すると、廃トナーWの重さ、あるいは抵抗により、第2受動部121と第2遮蔽部122とのバランスが変動する。そして、第2受動部121は下方位置に保持され、第2遮蔽部122は、周期的に上下動する第1遮蔽部112に対して上方に離反する位置に保持されて、光路144Cを開放する。一方、第1遮蔽部112は、図13に示すように、偏心軸部109Cの回転に伴って、単独で上下動する。
【0094】
このように、第1遮蔽部112のみが周期的に上下方向に変位して、光路144Cを周期的に遮蔽する場合、光センサ144からの出力信号を受けてコンパレータ211がCPU208に向けて出力する信号波形は、図18に示すようになる。すなわち、「Hi」と「Low」との間で周期的に切り替わる波形であって、かつ、1周期の信号波形のなかの「Hi」の継続時間Tが、第1遮蔽部112のみが光路144Cを遮蔽する際の遮蔽1回分の所要時間T2となり(T2<T1)、さらに、1周期の間に2回の「Hi」の波形が現れる。
【0095】
また、光センサ144の作動中に、搬送スクリュー109や、搬送スクリュー109より上流側の駆動力供給機構190や駆動源199等に不具合が生じた場合、搬送スクリュー109が回転駆動されず、偏心軸部109Cも偏心回転しなくなる。そうすると、偏心軸部109Cに係合する第1受動部111も揺動しなくなり、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122も、光路144Cを遮蔽する位置又は開放する位置を保持したままとなる。また、廃トナー回収ユニット100がハウジング3から取り外されたままで、プリンタ1が起動された場合は、光路144Cを開放したままの状態となる。
【0096】
このように、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122が停止した状態、あるいは廃トナー回収ユニット100がハウジング3から取り外されたままの状態では、光センサ144からの出力信号を受けてコンパレータ211がCPU208に向けて出力する信号波形は、図19又は図20に示すように、「Hi」又は「Low」のまま変化しない波形となる。
【0097】
10.判定プログラムの詳細
CPU208は、図16に示す判定プログラム(ステップS100〜S108)を開始する。なお、判定プログラムは、プリンタ1の画像形成動作中等、駆動源199が作動して、駆動力供給機構190により駆動力が供給される間、CPU208により繰り返し実行される。まず、ステップS100において、光センサ144からの出力信号を受けてコンパレータ211が出力する信号波形を取得する。
【0098】
次に、ステップS101に移行して、取得した信号波形が周期的に変化する波形か否かを判断する。取得した信号波形が図19又は図20に示すように、「Hi」又は「Low」のまま変化しない波形である場合、ステップS101において「No」となり、ステップS102に移行する。そして、ステップS102において、「搬送スクリュー109又は搬送スクリュー109より上流側の駆動力供給機構190等が正常でない。」と判断し、その旨をCPU208に通知してから、この処理を終了する。その結果、CPU208では、搬送スクリュー109の破損、搬送スクリュー109より上流側の駆動力供給機構190等の破損、駆動電力の供給不良、又は廃トナー回収ユニット100の未装着等の各種の不具合を想定したトラブルシューティングや、ユーザに対する警告を行うこができる。そして、この場合は、警告に対して所定の対処がなされるまで、プリンタ1は画像形成動作を停止する。
【0099】
一方、取得した信号波形が図17又は図18に示すように、「Hi」と「Low」との間で周期的に切り替わる波形である場合、ステップS101において「Yes」となり、ステップS103に移行する。そして、出力する信号波形において、1周期のなかの「Hi」の継続時間Tを抽出する。
【0100】
次に、ステップS104に移行して、1周期のなかの「Hi」の継続時間Tが閾値Gより大きいか否かを判断する。ここで、本実施例では、閾値Gは、上述した所要時間T1と、所要時間T2との略中間の値に設定されている(T2<G<T1)。取得した信号波形が図17に示すように、1周期のなかの「Hi」の継続時間T=所要時間T1である場合、ステップS104において「Yes」となり、廃トナーWが第2受動部121の堆積面121Aに堆積していない状態であると判断し、処理を終了する。そして、ステップS100から上記処理を繰り返す。なお、本実施例では、廃トナーWが第2受動部121の堆積面121Aに堆積した状態を、満杯を意味する「フル」に近い状態であることを意味する「ニアフル」と呼ぶこととする。
【0101】
一方、取得した信号波形が図18に示すように、1周期のなかの「Hi」の継続時間T=所要時間T2である場合、ステップS104において「No」となり、ステップS105に移行する。そして、ステップS105において、廃トナーWが第2受動部121の堆積面121Aに堆積した状態、すなわち、廃トナーが「ニアフル」であると判断し、その旨をCPU208に通知する。これに対応して、CPU208は、例えば、ユーザに対して、「廃トナー回収ユニット100の交換時期が近づいています。」という報知を行う。
【0102】
次に、ステップS106に移行して、廃トナーが「フル」になったと判定するためのタイマの計測を開始する。具体的には、CPU208は、タイマ209を制御して、「ニアフル」と判定された後のプリンタ1の稼動時間が設定時間に到達するまで計時を行う。
【0103】
次に、ステップS107に移行して、廃トナー「フル」判定用タイマが設定時間に到達すると(S107:Yes)、ステップS108に移行する。また、廃トナー「フル」判定用タイマが設定時間に到達するまでは(S107:NO)、一旦本処理を終了し、ステップS100から上記処理を繰り返す。これにより、廃トナーが「ニアフル」状態になっても、信号波形の取得を継続し、駆動供給機構や搬送スクリューが正常に作動しているか否かの検出を継続することができる。なお、一度、ステップS105において、廃トナーが「ニアフル」と通知され、ステップS106において、廃トナー「フル」判定用タイマによる計測を開始した後は、ステップS105、106の内部処理は行わず、S107の処理に移行する。
【0104】
ステップS108に移行すると、廃トナーが「フル」であると判断し、その旨をCPU208に通知して、この処理を終了する。これに対応して、CPU208は、例えば、ユーザに対して、「ただちに廃トナー回収ユニット100を交換してください。」という報知を行う。そして、この場合も、報知に対して所定の対処がなされるまで、プリンタ1は画像形成動作を停止する。
【0105】
<作用効果>
実施例のプリンタ1は、上述の構成である廃トナー容器101と、駆動力供給機構190と、廃トナー移送手段105〜109を構成する搬送スクリュー109と、第1変位部110と、第2変位部120と、光センサ144と、判断手段S100〜S108とを備える。
【0106】
第1変位部110は、変位により光路144Cを遮蔽する位置と開放する位置とを取り得る第1遮蔽部112を有し、第2変位部120は、廃トナーが特定の蓄積状態に到達していない場合(廃トナーWが堆積面121Aに堆積していない場合)には、第1遮蔽部112と一体的に変位して光路144Cを遮蔽する位置と開放する位置とを取り得る一方、廃トナーが特定の蓄積状態に到達した場合(廃トナーWが堆積面121Aに堆積した場合)には、第1遮蔽部112から離反して光路144Cを開放する位置に変位する第2遮蔽部122を有する。
【0107】
このプリンタ1によれば、光センサ144により、第1変位部110の変位状態と第2変位部120の変位状態との組み合わせに対応する検出結果が出力され、それに基づいて、判断手段S100〜S108により、2種類の判断(廃トナー移送手段を構成する搬送スクリュー109やその上流側の駆動力供給機構190等の異常、トナーの蓄積状態)が区別可能になされる。
【0108】
より詳しくは、搬送スクリュー109やその上流側に異常がない場合、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122が周期的に光路144Cを遮蔽するので、光センサ144は、周期的な変動がある検出結果(例えば、図17又は図18に示す信号波形)を出力する。その一方、搬送スクリュー109やその上流側に故障等の異常を生じ、搬送スクリュー109が停止すると、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122が光路144Cを遮蔽又は開放したままとなるので、光センサ144は、周期的な変動のない検出結果(例えば、図19又は図20に示す信号波形)を出力する。その結果、判断手段S100〜S108は、ステップS101、S102により、直ちに搬送スクリュー109やその上流側に異常があることを判断することができる。
【0109】
また、廃トナー容器101内において廃トナーが特定の蓄積状態(廃トナーWが堆積面121Aに堆積した状態)になるまでの間は、第2遮蔽部122は、第1遮蔽部112とともに周期的に光路144Cを遮蔽する。その一方、廃トナーが特定の蓄積状態に到達した場合、第2遮蔽部122は第1遮蔽部112から離反して光路144Cを開放する位置に変位し、第1遮蔽部112のみが周期的に光路144Cを遮蔽する。このため、光センサ144は、周期的な変動があり、1周期の中の「Hi」の継続時間が異なる検出結果(図17又は図18に示す信号波形。)を出力する。その結果、判断手段S100〜S108は、ステップS103〜S105により、直ちに廃トナーが「ニアフル」になったことを判断することができる。すなわち、従来技術であれば、このような2種類の判断を行うために2個の検出手段が必要なところ、プリンタ1によれば、1つの光センサ144で2種類の判断を区別可能に行える。
【0110】
したがって、プリンタ1によれば、装置構成の簡略化を図ることができ、その結果として、製造コストの低廉化を実現できる。
【0111】
また、第2変位部120は、第2受動部121と第2遮蔽部122と第2接続部123とからなり、第2受動部121は、廃トナーWが堆積するまでの間は第2遮蔽部122の変位に伴う上下方向の変位が拘束されない。一方、廃トナーWが堆積すると、下方位置に保持されるように形成されている。そして、第2遮蔽部122は、第2受動部121が第2遮蔽部122の変位に伴う上下方向の変位が拘束されていない間は、自重により第1遮蔽部112に対して上方から当接して、第1遮蔽部112と一体的に上下方向に変位する。一方、第2受動部121が下方位置に保持されると、第2遮蔽部122は、第1遮蔽部112に対して上方に離反する位置で保持されるように形成されている。このように、プリンタ1は、第2受動部121に堆積する廃トナーにより、第2遮蔽部122と第2受動部121とのバランスが変化することを利用することができるので、装置構成をより簡略化できる。
【0112】
さらに、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122が突出する方向である前後方向に直交する断面、すなわち、光路144Cに沿う方向の断面で見て、第2遮蔽部122の右側面と下面とにわたって、第1遮蔽部112が収まる切り欠き122Aが形成されている。そして、第1遮蔽部112は、切り欠き122Aに収まった状態で、第2遮蔽部122に対して光路144Cと平行な方向にはみ出さない断面形状とされている。このため、第1、2遮蔽部112、122の幅を狭くできるので、発光部144Aと受光部144Bとを接近させることができる。その結果、光センサ144の小型化、ひいてはプリンタ1の小型化を実現できる。
【0113】
また、第2接続部123は、搬送スクリュー109に沿って長く延びており、第2受動部121は、廃トナーが移送される方向の上流側に配設される。そして、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122は、第2受動部121に対し、廃トナーが移送される方向の下流側に離れて配設されている。このため、廃トナーが第2受動部121に堆積した場合でも、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122まで廃トナーが到達し難くすることができるので、光センサ144の検出精度の低下を抑制できる。
【0114】
さらに、第2受動部121と、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122との間には、検出用空間157Bを、第2受動部121側の空間と第1、2遮蔽部112、122側の空間とに区画する仕切り壁102G、103Gと、仕切り壁102H、103Hとが設けられている。このため、廃トナーが第2受動部121に堆積した場合でも、仕切り壁102G、103Gと、仕切り壁102H、103Hとにより、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122まで廃トナーが到達することを確実に防止できるので、光センサ144の検出精度の低下を一層抑制できる。
【0115】
また、第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122が当接したまま光路144Cを遮蔽する際の遮蔽1回分の所要時間T1に対して、第1遮蔽部112のみが光路144Cを遮蔽する際の遮蔽1回分の所要時間T2が短くなるように、光路144Cと対面する第1遮蔽部112及び第2遮蔽部122の大きさが設定されている。このため、光センサ144は、第1、2遮蔽部112、122が重なって周期的に変位する場合と、第1遮蔽部112のみが周期的に変位する場合とで、容易に区別可能な差異のある検出結果を出力する。よって、判断手段S100〜S108におけるステップS104の判断を一層正確に行える。
【0116】
さらに、廃トナー容器101、駆動力供給機構190、廃トナー移送手段105〜109、第1変位部110及び第2変位部120は、ハウジング3のフレーム部材に対して着脱可能に設けられる廃トナー回収ユニット100を構成している。また、光センサ144と、判断手段S100〜S108を実行するCPU208及びROM206とは、ハウジング3側に設けられている。この構成では、廃トナー回収ユニット100が取り外された状態であっても、判断手段S100〜S108が搬送スクリュー109やその上流側に異常があると判断するので、廃トナー回収ユニット100が装着されていないまま、プリンタ1が作動する不具合も防止できる。
【0117】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0118】
例えば、第1変位部110及び第2変位部120を、格子状部材107の後端縁に隣接して配置してもよい。この場合、第1受動部111は、格子状部材107の後端縁に係合して周期的に揺動する。また、第2受動部は、格子状部材107の後端縁まで廃トナーが堆積した場合、それに対応して変位する。このような構成によっても、本発明の作用効果を奏することができる。
【0119】
また、図16に示す「判定プログラム」は、画像形成動作の開始時に所定期間のみ実行するように構成したり、駆動力供給機構190の駆動期間中に、定期的に実行するように構成してもよく、本実施例のように、継続して実行する方式に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0121】
1…画像形成装置(プリンタ)
W…廃トナー
101…廃トナー容器
199…駆動源
190…駆動力供給機構
105、106、107、108、109…廃トナー移送手段(105…クリーニングローラ、106…掻き取りローラ、107…格子状部材、108…クランク軸、109…搬送スクリュー)
110…第1変位部
120…第2変位部
144…検出手段(光センサ)
144A…発光部
144B…受光部
S100〜S108…判断手段
111…第1受動部
112…第1遮蔽部
113…第1接続部
121…第2受動部
122…第2遮蔽部
123…第2接続部
122A…第1遮蔽部が収まる切り欠き
157A、157B…廃トナー容器の内部空間(157A…廃トナー収容空間、157B…検出用空間)
102G、103G、102H、103H…仕切り壁
T…検出結果における光路の遮蔽1回の継続時間
T1…第1遮蔽部及び第2遮蔽部が当接したまま光路を遮蔽する際の遮蔽1回分の所要時間
T2…第1遮蔽部のみが光路を遮蔽する際の遮蔽1回分の所要時間
3…ハウジング
100…廃トナー回収ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を被記録媒体に転写することにより前記被記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記被記録媒体に転写されなかった廃トナーを収容する廃トナー容器と、
駆動源の駆動力を供給する駆動力供給機構と、
前記駆動力供給機構によって供給される駆動力により駆動され、前記廃トナー容器の外部から内部に、及び/又は前記廃トナー容器内の一方から他方に、前記廃トナーを移送する廃トナー移送手段と、
前記廃トナー移送手段と連動して周期的に変位する第1変位部と、
前記廃トナー容器内における前記廃トナーの蓄積状態に応じて変位する第2変位部と、
前記第1変位部の変位状態と前記第2変位部の変位状態との組み合わせに対応する検出結果を出力する検出手段と、
前記検出結果に基づいて、前記駆動力供給機構又は前記廃トナー移送手段に異常があるか否かと、前記廃トナー容器内において前記廃トナーが特定の蓄積状態に到達したか否か、とを区別可能に判断する判断手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検出手段は、間隔を有して対面する発光部と受光部とを有し、前記発光部と前記受光部との間に設けられる光路の遮蔽又は開放を検出するものであり、
前記第1変位部は、変位により前記光路を遮蔽する位置と開放する位置とを取り得る第1遮蔽部を有し、
前記第2変位部は、前記廃トナーが前記特定の蓄積状態に到達していない場合には、前記第1遮蔽部と一体的に変位して前記光路を遮蔽する位置と開放する位置とを取り得る一方、前記廃トナーが前記特定の蓄積状態に到達した場合には、前記第1遮蔽部から離反して前記光路を開放する位置に変位する第2遮蔽部を有する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1変位部は、前記廃トナー移送手段と係合して駆動力を受ける第1受動部と、前記第1受動部を介して前記廃トナー移送手段と連動して周期的に上下方向に変位し、前記光路を遮蔽又は開放する前記第1遮蔽部と、前記第1受動部と前記第1遮蔽部とを一体に接続する第1接続部とからなり、
前記第2変位部は、廃トナーと接触する位置に設けられる第2受動部と、前記第2遮蔽部と、前記第2受動部と前記第2遮蔽部とを一体に接続する第2接続部とからなり、
前記第2受動部は、前記廃トナーが堆積するまでの間は前記第2遮蔽部の変位に伴う上下方向の変位が拘束されない一方、前記廃トナーが堆積すると、下方位置に保持されるように形成され、
前記第2遮蔽部は、前記第2受動部が前記第2遮蔽部の変位に伴う上下方向の変位が拘束されていない間は、自重により前記第1遮蔽部に対して上方から当接して、前記第1遮蔽部と一体的に上下方向に変位する一方、前記第2受動部が前記下方位置に保持されると、前記第1遮蔽部に対して上方に離反する位置で保持されるように形成されている請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光路に沿う方向の断面で見て、前記第2遮蔽部の片側面と下面とにわたって、前記第1遮蔽部が収まる切り欠きが形成されており、
前記第1遮蔽部は、前記切り欠きに収まった状態で、前記第2遮蔽部に対して前記光路と平行な方向にはみ出さない断面形状とされている請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2接続部は、前記第2受動部から前記廃トナーが移送される方向の下流側に向けて延びており、
前記第1遮蔽部及び前記第2遮蔽部は、前記第2受動部に対し、前記廃トナーが移送される方向の下流側に離れて配設されている請求項2乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2受動部と、前記第1遮蔽部及び前記第2遮蔽部との間には、前記廃トナー容器の内部空間を、前記第2受動部側の空間と前記第1、2遮蔽部側の空間とに区画する仕切り壁が設けられている請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1遮蔽部及び前記第2遮蔽部が当接したまま前記光路を遮蔽する際の遮蔽1回分の所要時間に対して、前記第1遮蔽部のみが前記光路を遮蔽する際の遮蔽1回分の所要時間が短くなるように、前記光路と対面する前記第1遮蔽部及び前記第2遮蔽部の大きさが設定されている請求項2乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記判断手段は、前記検出結果が周期的な変動のないものである場合、「前記駆動力供給機構又は前記廃トナー移送手段に異常がある」と判断し、
前記検出結果が周期的な変動のあるものである場合、「前記駆動力供給機構及び前記廃トナー移送手段に異常がない」と判断するとともに、前記検出結果における前記光路の遮蔽1回の継続時間が閾値より長ければ、「廃トナーが特定の蓄積状態に到達していない」と判断する一方、前記検出結果における前記光路の遮蔽1回の継続時間が閾値以下であれば、「廃トナーが特定の蓄積状態に到達した」と判断する請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
ハウジングを備え、
前記廃トナー容器、前記駆動力供給機構、前記廃トナー移送手段、前記第1変位部及び前記第2変位部は、前記ハウジングに対して着脱可能に設けられる廃トナー回収ユニットを構成し、
前記検出手段及び前記判断手段は、前記ハウジング側に設けられている請求項1乃至8のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−237422(P2010−237422A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84944(P2009−84944)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】