説明

画像形成装置

【課題】小型で高画質の画像を形成することの可能な画像形成装置を提供する
【解決手段】着色剤供給装置5は着色剤粒子4を格納する着色剤格納部41、着色剤粒子4を像担持体1に向けて吐出する50μm〜100μm幅の吐出口42aを有する着色剤吐出部42を備えている。着色剤吐出部42は、吐出口42aの像担持体1の移動方向上流側に像担持体1と当接する当接部42bと、吐出口42aの像担持体1の移動方向下流側に像担持体1のから所定距離(ギャップ)d1、例えば1mm離間するギャップ形成部42cを有している。従って、吐出口42aから吐出された着色剤粒子4は、ギャップ形成部42cによって像担持体1の表面にギャップd1の所定厚みで付着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱溶融性の着色剤粒子を像担持体に仮固着させる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やレーザプリンタ等の画像形成装置においては、感光体を用いて感光体表面を一様に帯電し、この帯電された感光体表面に、画像情報に応じた光を光書き込み装置から照射して静電潜像を形成する。そして、この静電潜像に対して、現像装置からトナーを供給してトナー画像を作成し、このトナー像を記録媒体に転写し、その後定着する等工程数が多く、そのために記録装置が大きく、複雑となるだけでなく、感光体の感光特性が経時的に劣化する問題や、感光体を帯電させるための高圧電源を使用しなければならないという問題がある。
このような問題を解決するために、移動するフィルム状の像担持体と、この像担持体に、感熱性粘着剤層を表面に有する熱溶融性着色剤粒子を供給する着色剤供給手段とを使用して、像担持体上に画像情報に対応した着色剤画像を仮固着し、この仮固着した着色剤画像を記録媒体に熱溶着する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
この画像形成装置においては、上記電子写真方式の画像形成装置のような、感光体の表面を一様に帯電する帯電装置や、トナー像を感光体から電界的に記録媒体に転写する転写手段を必要としないために、簡単な構造で小型の画像形成装置を作製することが可能となる利点を有する。
【0003】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された画像形成装置においては、像担持体上に画像情報に対応した着色剤画像を仮固着し、仮固着されない着色剤粒子を像担持体から除去する際に、着色剤供給手段として着色剤供給ローラを使用し、像担持体に供給される着色剤粒子を帯電させる必要がある。
即ち、着色剤供給ローラから像担持体に供給される着色剤粒子を帯電させて像担持体表面に静電気的に付着させ、画像情報に応じた熱像をレーザ光書き込み手段で着色剤粒子を付着した像担持体に付与し、レーザ光書き込み手段で加熱された着色剤粒子を選択的に活性化させて像担持体上の熱像に対応した着色剤画像を像担持体上に仮固着し、仮固着されていない着色剤粒子を帯電ローラで静電気的に吸引して像担持体から除去して、仮固着した着色剤粒子からなる着色剤画像を形成している。
そのために、着色剤供給ローラを収容する比較的大きなスペースを要する着色剤供給手段となり、画像形成装置の小型化を図る上で限度があるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、小型で高画質の画像を形成することの可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、光透過性の像担持体と、当該像担持体に熱溶融性の着色剤粒子を供給する着色剤供給手段と、当該着色剤供給手段によって前記像担持体上に供給された着色剤粒子に、画像情報に応じたレーザ光を付与して前記着色剤粒子を選択的に活性化させるレーザ光書き込み手段と、当該レーザ光書き込み手段から付与されたレーザ光によって活性化されて前記像担持体上に仮固着された着色剤粒子以外の着色剤粒子を前記像担持体上から除去して当該像担持体上に着色剤粒子の仮固着画像を形成する着色剤除去手段とを備えた画像形成装置において、前記着色剤供給手段は、着色剤粒子を格納する着色剤格納部と、当該着色剤格納部から着色剤粒子を前記像担持体に向けて吐出する吐出口を有する着色剤吐出部とを備え、当該着色剤吐出部は、前記吐出口の前記像担持体の移動方向上流側に、前記像担持体と当接する当接部と、前記吐出口の前記像担持体の移動方向下流側に、前記像担持体から所定距離で離間するギャップ形成部とを有することを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記着色剤供給手段は、前記着色剤格納部を押圧して前記着色剤粒子を前記着色剤吐出部の吐出口から吐出させる着色剤押出し部を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記着色剤除去手段によって回収された着色剤粒子を前記着色剤供給手段の着色剤格納部に供給する着色剤循環部を備えたことを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記着色剤供給手段は、移動手段によって前記像担持体から退避する退避位置と前記像担持体に着色剤粒子を吐出する稼働位置との間を移動可能に取り付けられ、当該着色剤供給手段が退避位置に移動したときに、前記着色剤供給手段の着色剤吐出部に固着した着色剤粒子を当該着色剤吐出部から除去するクリーニング手段を配設したことを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記着色剤除去手段は、前記像担持体と所定距離のギャップを有して離間して対向する着色剤吸引口を有し、当該着色剤吸引口から吸引された着色剤粒子を収容する着色剤回収部と、当該着色剤回収部内に着色剤粒子を吸引する吸引部とを備え、当該吸引部の吸引力によって前記着色剤吸引口から前記像担持体上に仮固着された着色剤粒子以外の着色剤粒子を前記像担持体上から吸引除去することを特徴とする。
【0007】
また、請求項6の発明は、請求項5記載の画像形成装置において、前記着色剤供給手段と前記着色剤除去手段とは、一体に連結され、前記像担持体の移動方向で前記着色剤除去手段が前記着色剤供給手段の下流側となるように、配設されていることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項5又は6記載の画像形成装置において、前記着色剤回収部は、前記着色剤吸引口の少なくとも前記像担持体の移動方向下流側の外周縁の前記ギャップを形成する面に、前記像担持体に仮固着されていない着色剤粒子を当該像担持体表面から除去するブラシ部材を配設することを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記熱溶融性の着色剤粒子は、当該着色剤粒子表面に、加熱されることにより粘着性を発現する感熱性粘着層を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、着色剤供給手段は、着色剤粒子を格納する着色剤格納部と、当該着色剤格納部から着色剤粒子を像担持体に向けて吐出する吐出口を有する着色剤吐出部とを備え、当該着色剤吐出部は、前記吐出口の前記像担持体の移動方向上流側に、前記像担持体と当接する当接部と、前記吐出口の前記像担持体の移動方向下流側に、前記像担持体から所定距離で離間するギャップ形成部とを有することによって、小型で高画質の画像を形成することの可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1で示す画像形成装置で使用される着色剤供給装置の斜視図である。
【図3】図2のA−A線上で切断された断面図である。
【図4】図1で示す画像形成装置で使用される着色剤除去装置の拡大断面図である。
【図5】本発明による第2の実施形態に係る着色剤供給装置および着色剤除去装置の概略構成を示す図である。
【図6】本発明による第3の実施形態に係る着色剤供給装置及び着色剤除去装置を一体型構造とした着色剤制御ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図7】図6のB−B線上で切断した断面図である。
【図8】本発明による第4の実施形態に係る着色剤供給装置の着色剤吐出部付近に固着した着色剤粒子を除去する装置の概略構成を示す図である。
【図9】本発明による第5の実施形態に係る着色剤制御ヘッドの概略構成を示す断面図である。
【図10】本発明による一実施形態に係る着色剤粒子の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1〜図4に基づいて、本発明による第1実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1は、本発明による第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。図2は図1で示す画像形成装置で使用される着色剤供給装置の斜視図である。図3は、図2のA−A線上で切断された断面図である。図4は、図1で示す画像形成装置で使用される着色剤除去装置の拡大断面図である。
図1において、像担持体1は光透過性を有するフィルム状の無端の中間転写ベルトである。像担持体1は、駆動ローラ2と従動ローラ3との間に掛け渡されており、駆動ローラ2がモータなどの駆動手段により矢印Aの向きに回転駆動されることによって矢印aの方向に移動する。本実施形態においては、像担持体1の基体として厚さ100μmのポリイミドフィルムが用いられ、着色剤粒子4の像担持体1への仮固着効率および記録媒体14への転写効率を上げるために最適化された表面処理が施されている。
【0011】
像担持体1としては、上記材質の中間転写ベルトの代わりに、レーザ光走査装置30により照射されるレーザ光Lを透過する光透過性を有すること、このレーザ光走査装置のレーザ光書き込みによる微小スポット照射の発熱および熱ローラ13で加熱定着される発熱に耐えうる耐熱性を有すること、繰り返し回転駆動されることによる耐久性があること、張力変動および環境変動による伸縮が少ないこと等の条件を満たすフィルムであれば十分に用いることができる。
図1に示すように、像担持体1の下面1aには、着色剤供給装置5により熱溶融性の着色剤粒子4が供給される。着色剤粒子4は、黒色の着色剤の場合、熱可塑性樹脂と着色剤としてのカーボンブラックを主成分とする熱溶融性の粒子である。本実施形態の画像形成装置100に使用する着色剤粒子4としては、後述する粒子表面に感熱性粘着層を設けた感熱粘着性の着色剤粒子4を用いることが最適であり、より低いエネルギーで書き込みを行うことができる。
【0012】
着色剤供給装置5は、図2及び図3に示すように、着色剤粒子4を格納する着色剤格納部41、着色剤粒子4を像担持体1に向けて吐出する50μm〜100μm幅の吐出口42aを有する着色剤吐出部42を備えている。そして、この着色剤吐出部42は、吐出口42aの像担持体1の移動方向上流側に像担持体1と当接する当接部42bと、吐出口42aの像担持体1の移動方向下流側に像担持体1のから所定距離(ギャップ)d1、例えば1mm離間するギャップ形成部42cを有している。従って、吐出口42aから吐出された着色剤粒子4は、ギャップ形成部42cによって像担持体1の表面にギャップd1の所定厚みで付着される。
また、着色剤供給装置5は、着色剤格納部41の底部に着色剤格納部41を押圧して着色剤粒子4を吐出口42aから吐出させる着色剤押出部44を有している。この着色剤押出部44は、着色剤格納部41を上方に押し上げて着色剤粒子4を吐出口42aから吐出させるものであっても良いが、着色剤格納部41に上下方向(図3矢印B参照)の振動を付与して、着色剤粒子4を吐出口42aから吐出させるものであっても良い。本実施形態においては、圧電素子を使用して着色剤格納部に上下方向への振動を付与して着色剤粒子を吐出口42aから吐出させるようにしている。
【0013】
また、着色剤供給装置5の当接部42b、ギャップ形成部42cは、図2に示すように、像担持体1の幅とほぼ等幅の長さDを有し、吐出口42aは、この長さDより僅かに短い長さを有するようになっている。そして、吐出口42a、当接部42b、ギャップ形成部42cは像担持体1の移動方向aに対して交叉する直交方向に配設され、吐出口42aから像担持体1のほぼ全幅に亘って着色剤粒子4を吐出させ、ギャップ形成部42cで所定厚みに規制されて着色剤粒子4を像担持体1の表面に付着させる。
着色剤供給装置5から像担持体1に着色剤粒子4が供給されるギャップ形成部4cに像担持体1を介して対向する位置には、図1に示すように、着色剤粒子4にレーザ光Lを照射して着色剤粒子4を活性化して像担持体1上に仮固着させるレーザ光走査装置30の照射部30aが配設されている。
レーザ光走査装置30は、図示しないレーザ光源とコリメートレンズ、ポリゴンミラー31、fθレンズ32、像担持体1の幅と略同一長さの短冊形反射鏡33で主に構成されており、像担持体1を介して着色剤吐出部42から吐出される着色剤粒子4に画像情報に応じ、レーザエネルギーを有するレーザ光Lを照射部30aから照射して、像担持体1上に付着している着色剤粒子4を活性化させて画像情報に対応する仮固着した着色剤画像を形成する。
【0014】
図1に示すように、像担持体1の移動方向aにおいて、着色剤供給装置5の下流側に、着色剤供給装置5に近接して着色剤除去装置6が配置されている。そして、着色剤除去装置6は、図4に示すように、像担持体1に仮固着されていない着色剤粒子4を像担持体1上から約5mm幅の吸引口45aによって吸引して像担持体1上から除去する着色剤除去部45、着色剤除去部45で吸引、除去された着色剤粒子4を回収して格納する着色剤回収部46を備えている。
さらに、着色剤回収部46の底部には、像担持体1上に付着している非仮固着の着色剤粒子4を吸引口45aから所定の圧力で吸引し、さらに吸引口45aから吸引した着色剤粒子4を着色剤回収部46に、吸引、格納する着色剤吸引部47を配設している。そして、着色剤除去部45は、像担持体1上に形成された着色剤画像12(図1参照)の画像形成領域外である像担持体1の幅方向(移動方向と直交する方向)の両端部に像担持体1と当接する当接部(不図示)を有して画像形成領域内には、像担持体1の表面から所定距離d2離隔したギャップを有するギャップ形成部45bを形成している。このように、着色剤除去部45は、画像領域内にギャップ形成部45bを有しているので、像担持体上に仮固着された着色剤粒子4aに着色剤除去部45が接触して像担持体1上から脱落することを適切に防止することが可能となる。
【0015】
この場合、この着色剤除去装置6の着色剤除去部45は、着色剤供給装置5で供給された着色剤粒子4のうち、仮固着されない非画像部の着色剤粒子4bを像担持体1上から除去するために設けられており、着色剤除去部45の着色剤粒子4bに対する吸引力は、着色剤粒子4aの像担持体1に対する仮固着力よりも弱く定められている。従って、像担持体1上の仮固着されていない着色剤粒子4bは、像担持体1上から選択的に吸引、除去され、一方、像担持体上に仮固着された着色剤粒子4aは、像担持体1上に適切に保持されて着色剤画像12を形成する。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、図1に示すように、像担持体1を回転駆動させる駆動ローラ2に対して像担持体1を介して接離自在に対向して配置されている熱ローラ13が配設されている。この熱ローラ13は、像担持体1を介して駆動ローラ2との間に記録媒体14がレジストローラ対15によって送り込まれたときに、像担持体1上に仮固着された着色剤粒子4aの着色剤画像12を記録媒体14に転写すると共に、着色剤粒子4aを熱溶融させて、記録媒体14上に、完全に固着して定着させる。
また、従動ローラ3の近傍には、像担持体1を介して従動ローラ3にクリーニングローラ17を当接させたクリーニング装置16が配置されている。クリーニングローラ17の外周にはブレード18が当接している。従って、熱ローラ13によって記録媒体14に転写されずに像担持体1上に残留した着色剤粒子4は、クリーニングローラ17に転写されて像担持体1上から除去される。そして、クリーニングローラ17上に転写された着色剤粒子は、ブレード18によってクリーニングローラ17の外周から削り取られて除去される。
【0016】
ここで、着色剤粒子4が熱可塑性樹脂と黒色の着色剤としてのカーボンブラックを主成分とする熱溶融性の粒子である場合における画像形成方法について説明する。
レーザ光走査装置30から像担持体1に画像信号に応じて照射されるレーザ光Lにより、着色剤供給装置5で供給された着色剤粒子4に含有するカーボンブラックが光熱変換材料として機能し、レーザ光Lのレーザエネルギーを熱に変換して着色剤粒子4を昇温させる。その結果、着色剤粒子4の表面層は溶融して粘着性を発現する。粘着性を発現(活性化)した着色剤粒子4は、その粘着性により像担持体1上に着色剤画像12として仮固着する。
ここで、着色剤供給装置5から供給される着色剤粒子4が、像担持体1に密着するように、着色剤格納部41から着色剤吐出部42に所定の圧力で押し出す着色剤押出部44の押出圧を制御する。更に、ギャップ形成部42cにより、着色剤吐出部42の吐出口42aから像担持体1に向けて吐出されて像担持体1上に付着された着色剤粒子4の膜厚(d1)を制御する(図3参照)。膜厚d1は、着色剤粒子4の吐出量、着色剤粒子4と像担持体1の密着性の他に着色剤粒子4の飛散の最適化制御を行う。
【0017】
レーザ光走査装置30を用いることにより、高密度で且つ高速で画像を形成することができる。また、図1に示す画像形成装置100においては、像担持体1に光透過性の中間転写ベルトを用いることにより、像担持体1の裏面からレーザ書き込みができるとともに、駆動ローラ2と従動ローラ3の間に掛け渡されて回転駆動するループ状の像担持体1のループ内部にレーザ光走査装置30を配置することができるため、画像形成装置100を小型化することができる。
次に、着色剤除去装置6により、着色剤供給装置5で供給された着色剤粒子4のうち、仮固着されない非画像部の着色剤粒子4bを像担持体1上から吸引、除去する。その結果、仮固着された着色剤粒子4aによる着色剤画像12が形成される(図1参照)。像担持体1の非画像部の着色剤粒子4bを除去した後の像担持体1上の着色剤画像12は、熱ローラ13による着色剤粒子4aの熱溶融によって記録媒体14に転写され定着される。記録媒体14は、図示しない給紙装置から給紙されたレジストローラ対15によって像担持体1の着色剤画像12と同期的に熱ローラ13に送り込まれ、その裏面から加熱されることにより着色剤画像12を転写定着する。
【0018】
着色剤画像12を熱ローラ13によって転写定着された熱溶着転写工程後の像担持体1は、像担持体1上に残存する着色剤粒子をクリーニングローラ17によりクリーニングされ、一連の記録工程を終え、レーザ光走査装置30による着色剤粒子の着色剤画像仮固着工程から始まる次の記録工程に備える。クリーニングローラ17上の着色剤粒子4を含む塵埃はブレード18で掻き落とされる。
このように、着色剤供給装置5の着色剤吐出部42から像担持体1に対して吐出、付着させる場合には、従来のように、静電的に着色剤粒子4をレーザ書き込み位置に供給する方法と比較して、着色剤粒子4を着色剤供給装置5側に吸引する力および仮固着していない個所における像担持体1側への着色剤粒子の吸引力が小さい。しかも、着色剤粒子4を像担持体1に密着することが可能となるので、仮固着効率が良く、非画像部の地汚れが少ない高画質な画像を形成することができる。
【0019】
次に、図5を用いて、本発明による第2の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図5は本発明による第2の実施形態に係る着色剤供給装置および着色剤除去装置の概略構成を示す図である。
図5において、着色剤供給装置5および着色剤除去装置6は、前述の第1の実施形態で示す着色剤供給装置5および着色剤除去装置6と基本的には同様の構成である。相違する点は、着色剤供給装置5の着色剤格納部41と着色剤除去装置6の着色剤回収部46とは、着色剤循環部48により連結されている点である。このように、着色剤循環部48によって着色剤供給装置5の着色剤格納部41と着色剤除去装置6の着色剤回収部46を連結しているので、着色剤除去装置6の着色剤回収部46に回収して格納された着色剤粒子4を着色剤供給装置5の着色剤格納部41に搬送して効率良く着色剤粒子を使用することが可能となっている。
この場合も、第1の実施形態と同様に、着色剤粒子4が熱可塑性樹脂と黒色の着色剤としてのカーボンブラックを主成分とする熱溶融性の粒子である場合における画像形成方法は、前記第1の実施形態とは、基本的に同一である。
【0020】
即ち、レーザ光走査装置30から像担持体1に画像信号に応じて照射されるレーザ光Lにより、着色剤供給装置5で供給された着色剤粒子4に含有するカーボンブラックが光熱変換材料として機能し、レーザ光Lのレーザエネルギーを熱に変換して着色剤粒子4を昇温させる。その結果、着色剤粒子4の表面層は溶融して粘着性を発現する。粘着性を発現(活性化)した着色剤粒子4は、粘着性により像担持体1上に着色剤画像12として仮固着する。
ここで、着色剤供給装置5から供給される着色剤粒子4が、像担持体1に密着するように、着色剤格納部41から着色剤吐出部42に所定の圧力で押し出す着色剤押出部44の押出圧を制御する。更に、着色剤吐出部42のギャップ形成部42cにより、着色剤吐出部42と像担持体1のギャップd1を制御する。着色剤供給装置5のギャップd1と着色剤除去装置6のギャップd2は、d1≦d2となるように設定する。
【0021】
次に、着色剤除去装置6により、着色剤供給装置5で供給された着色剤粒子4のうち、仮固着されない非画像部の着色剤粒子4bを像担持体1上から吸引、除去する。着色剤除去装置6の着色剤粒子4bに対する吸引力は、仮固着した着色剤粒子4aの像担持体1に対する仮固着力よりも弱く定められている。
着色剤除去装置6の着色剤回収部46に回収された着色剤粒子4は、一時的に着色剤回収部46内に格納、保持される。そして、着色剤供給装置5の着色剤格納部41及び着色剤除去装置6の着色剤回収部46における着色剤粒子4の格納量、画像形成装置100の使用状況等により循環される着色剤粒子量が制御され、予め定められたタイミングで着色剤除去装置6の着色剤回収部46から着色剤供給装置5の着色剤格納部41に送られる。像担持体1の非画像部の着色剤粒子4bを除去した後の像担持体1上に形成された着色剤画像12の転写および定着以降の工程は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0022】
次に、図6及び図7を用いて、本発明による第3の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図6は本発明による第3の実施形態に係る着色剤供給装置5及び着色剤除去装置6を一体型構造とした着色剤制御ヘッド300の概略構成を示す斜視図である。図7は、図6のB−B線上で切断した断面図である。
この第3の実施形態に係る着色剤制御ヘッド300は、図6及び図7に示すように、着色剤供給装置5、着色剤除去装置6、着色剤循環部48を一体に連結した構造となっている。着色剤制御ヘッド300は、着色剤除去装置6が着色剤供給装置5に対して像担持体1の移動方向aの下流側になるように配設されている。従って、一体型の構造であるため、着色剤吐出部42と着色剤除去部45のギャップ形成部42cと45bを共用することが可能となり、着色剤吐出部42と着色剤除去部45との間の距離を小さくすることが可能となり、着色剤制御ヘッド300をより小型化することができる。更に、レーザ光走査装置30によって仮固着された着色剤粒子4aからなる着色剤画像12から非画像部の着色剤粒子4bを直ちに除去、回収することができるため、着色剤粒子4の飛散を低減することができる。
【0023】
また、着色剤除去装置6の着色剤回収部46と着色剤供給装置5の着色剤格納部41とが着色剤循環部48によって内部で連結されており、回収側の着色剤回収部46に格納された回収した着色剤粒子4を供給側の着色剤格納部41に送ることが可能となっている。従って、この場合も前述の第2実施形態のように、着色剤粒子4を効率的に使用することが可能となっているだけでなく、より小型化を図ることが可能となっている。
この場合も、第1及び第2の実施形態と同様に、着色剤粒子4が熱可塑性樹脂と黒色の着色剤としてのカーボンブラックを主成分とする熱溶融性の粒子である場合における画像形成方法は、前記第1及び第2の実施形態とは、基本的に同一である。
即ち、レーザ光走査装置30から像担持体1に画像信号に応じて照射されるレーザ光Lにより、着色剤供給装置5で供給された着色剤粒子4に含有するカーボンブラックが光熱変換材料として機能し、レーザ光Lのレーザエネルギーを熱に変換して着色剤粒子4を昇温させる。その結果、着色剤粒子4の表面層は溶融して粘着性を発現する。粘着性を発現(活性化)した着色剤粒子4は、粘着性により像担持体1上に着色剤画像12として仮固着する。
【0024】
ここで、着色剤供給装置から供給される着色剤粒子4が、像担持体1に密着するように、着色剤格納部41から着色剤吐出部42に所定の圧力で押し出す着色剤押出部44の押出圧を制御する。更に、着色剤吐出部42のギャップ形成部42cにより、着色剤吐出部42と像担持体1のギャップd1を制御する。着色剤供給装置5のギャップd1と着色剤除去装置6のギャップd2は、d1≦d2となるように設定する。この第3の実施形態においては、図6及び図7に示すように、d1=d2として着色剤吐出部42のギャップ形成部42cと着色剤除去装置6のギャップ形成部45bとを連接しているので、これらのギャップ形成部42cと45bとの間で、レーザ光走査装置30の照射部30aからのレーザ光の照射位置を、裕度を持って設定することが可能となる。
以下、像担持体1の非画像部の着色剤粒子4bの着色剤除去装置6による着色剤除去工程、着色剤除去装置6による着色剤粒子4bの除去した後の像担持体1上に形成された着色剤画像12の転写、定着以降の工程は第1及び第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0025】
次に、図8を用いて、第4の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図8は、本発明による第4の実施形態に係る着色剤供給装置5の着色剤吐出部42付近に固着した着色剤粒子4を除去する装置の概略構成を示す図である。
図8において、着色剤供給装置5は、図示しない移動手段によって像担持体1から退避する退避位置と、像担持体1に着色剤粒子4を着色剤吐出部42から吐出してレーザ光走査装置30によって仮固着した着色剤粒子4aからなる着色剤画像を形成する稼働位置とを移動可能に取り付けられている。そして、着色剤供給装置5が退避位置に移動したときに、図8に示すように、着色剤供給装置5の着色剤吐出部42が、この着色剤吐出部42の吐出口42aの周囲に付着或いは固着した着色剤粒子を着色剤吐出部42から除去するクリーニング装置60に対接するようになっている。クリーニング装置60は、着色剤吐出部42と摺接して着色剤吐出部42に固着した着色剤粒子4を除去する植毛されたブラシ部材を備える吐出口クリーニング部61と、このようにして除去した着色剤粒子4を格納する着色剤格納部62とを備えている。
【0026】
この実施形態に係る画像形成装置100は、前述のように、レーザ光走査装置30から像担持体1に画像信号に応じて照射されるレーザ光Lにより、着色剤供給装置5で供給された着色剤粒子4に含有するカーボンブラックが光熱変換材料として機能し、レーザ光Lのレーザエネルギーを熱に変換して着色剤粒子4を昇温させる。その結果、着色剤粒子4の表面層は溶融して粘着性を発現する。粘着性を発現(活性化)した着色剤粒子4は、粘着性により像担持体1上に着色剤画像12として仮固着する。
このとき、レーザ光Lのレーザエネルギーが熱拡散して着色剤粒子4の表面層が溶融して粘着性を発現し、像担持体1の他に着色剤吐出部42の吐出口42a付近に固着し、この固着した着色剤粒子4によって吐出口42aが閉塞され、着色剤粒子4が吐出口42aから十分に供給されなくなることがある。そこで、この第4の実施形態においては、着色剤供給装置5を一定量の印刷量毎および定期的に像担持体1から退避させて、着色剤吐出部42に付着した着色剤粒子4を除去することが可能となっている。
【0027】
所定の印刷量になったとき印刷動作を停止し、着色剤供給装置5を像担持体1から退避位置に退避させて、着色剤吐出部42をクリーニング装置60の吐出口クリーニング部61に移動させる。着色剤吐出部42の吐出口42a付近に固着或いは付着した着色剤粒子4は、吐出口クリーニング部61のブラシ等により除去され、クリーニング装置60の着色剤格納部62に格納される。固着或いは付着した着色剤粒子4が除去された着色剤吐出部42は、その後、像担持体1のレーザ書き込み位置(稼働位置)に移動して、画像形成動作に対応可能な状態とする。吐出口クリーニング部61の着色剤除去手段としては、ブラシを例示したが、吸引等の着色剤粒子4を除去できる方法であれば特に方法は問わない。また、着色剤吐出部42の吐出口42a付近の表面層を離型性の良い材質で被覆することで着色剤粒子4の付着を低減することができる。
【0028】
次に、図9を用いて、本発明による第5の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図9は、本発明による第5の実施形態に係る着色剤制御ヘッド300において、像担持体1上の非画像部の着色剤粒子4を回収するクリーニングブラシ49の概略構成を示す断面図である。
図9において、着色剤制御ヘッド300の基本構成は、前述の一体構成の第3の実施形態で示す着色剤制御ヘッド300と同様の構成である。着色剤供給装置5と着色剤除去装置6は、着色剤循環部48により一体に連結されており、着色剤除去装置6の着色剤回収部46に格納されて回収した着色剤粒子4を着色剤供給装置5の着色剤格納部41に送ることが可能となっている。
この第5の実施形態の着色剤制御ヘッド300は、前述の第3の実施形態に係る着色剤制御ヘッド300とは、図9に示すように、着色剤吐出部42から着色剤除去部45との間のギャップ形成部42c(ギャップ形成部45bの一部としても機能する)の間に像担持体1の幅方向で少なくとも画像形成領域に延設されたクリーニングブラシ部49A、49Bを配設させている点が相違する。
【0029】
そして、このクリーニングブラシ部49A、49Bによって像担持体1上にある仮固着していない着色剤粒子4bを像担持体1から解離させて効率良く着色剤除去装置6の着色剤回収部46内に回収することが可能となっている。このクリーニングブラシ部49A、49Bは、像担持体1上にある仮固着していない着色剤粒子4bを選択的に像担持体1上から除去するように、柔軟なブラシ部材で構成され、このようなブラシ部材を像担持体1の表面に軽く摺接するようなローラ状であることが好ましい。
この第5の実施形態においては、着色剤除去部45の吸引口45aの外周部の像担持体1の移動方向aに対して上流側と下流側の両方に配設している。そして、これらのローラ状クリーニングブラシ部49A、49Bは、着色剤除去装置6の吸引口45aに向けて除去された着色剤粒子4を移動させるように、クリーニングブラシ部49Aは、時計回りに、また、クリーニングブラシ部49Bは、反時計回りに回転されるようになっている。この場合、クリーニングブラシ部49A、49Bの2つを配設する必要はなく、吸引口45aの像担持体1の移動方向a下流側の外周縁のギャップ形成部45bに配設されてあれば充分である。
このように、像担持体1の移動方向aにおいて吸引口45aの下流側付近にクリーニングブラシ部49Bを設ければ、像担持体1上にある仮固着していない着色剤粒子4bを像担持体1から解離させて効率良く着色剤回収部46に回収することが可能となる。このクリーニングブラシ部49Bは、下流方向に着色剤粒子4が飛散しないようにする効果も得られる。
【0030】
次に、本発明による上記実施形態において使用される着色剤粒子について、図10に基づいて説明する。図10は、本発明による一実施形態に係る着色剤粒子の概略構成を示す断面図である。
本発明において好適に使用される着色剤粒子4は、図10に示すように、熱溶融性樹脂からなる芯部54と、この芯部54の表面層を形成する感熱性粘着層53を有している。このような着色剤粒子4は、レーザ光走査装置30で使用されるレーザ光のスポット径は、20μm〜40μmなので、このスポット径より小径の粒子径を有すること好ましく、20μm以下、好ましくは、5μm以上20μm以下の粒子径を有することが好ましい。このような微小径を有する着色剤粒子4は、わずかな振動を付与することによって容易に気中に浮遊するので、着色剤供給装置5の着色剤吐出部42の吐出口42aから容易に吐出させることが可能である。
しかも、吐出された着色剤粒子4は、吐出口42aに対向する像担持体1上に容易に付着し、容易には脱落しないで像担持体1上に保持される。
【0031】
この着色剤粒子4の表面層を形成する感熱性粘着層53は、次に示す感熱性粘着剤を薄層化して形成する。着色剤粒子4の表面層を形成する感熱性粘着剤は、熱可塑性樹脂51と固体可塑剤52を必須成分とし、これらの成分に必要に応じて粘着付与剤を混合することによって形成される。感熱性粘着剤を薄層化して形成した感熱性粘着層53は、常温ではほとんど粘着性を示さないが、常温以上の温度での加熱及び外的負荷により粘着性を発現し、熱源を取り去った後でもしばらくの間、粘着性を維持するものである。
この実施形態に係る感熱性粘着層53は、加熱によりまず固体可塑剤52が溶融し、熱可塑性樹脂51と粘着付与剤を溶融することにより、粘着性を発現する。即ち、粘着性の発現とは、固体可塑剤52が熱溶融して熱可塑性樹脂51に相溶し、熱可塑性樹脂51を可塑化させることで粘着力を発現させるメカニズムである。
本実施形態の着色剤粒子4に用いられる感熱性粘着剤としては、例えば、特開2002−105414公報に開示される材料を用いることができる。本実施形態の着色剤粒子4に用いられる感熱性粘着剤は、粘着性を発現させる材料構成であれば、特に、この構成に限定するものではない。
【0032】
より具体的には、本実施形態の感熱性粘着層53に用いられる熱可塑性樹脂51としては、従来、公知の各種のものを用いることができる。その具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−スチレン共重合体、ポリブタジエン、ポリウレタン等の樹脂が挙げられる。これらの共重合体は、いずれも従来からよく知られているものである。
本実施形態の感熱性粘着層53に用いられる固体可塑剤52としては、従来公知の各種のものを用いることができる。その具体例としては、例えば、ヒンダ−ドフェノール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、芳香族スルホンアミド化合物、フタル酸化合物等が挙げられる。
また、本実施形態の感熱性粘着層53において、必要に応じて、その粘着力を向上させるために、粘着付与剤を含有させることができる。その粘着付与剤の具体例としては、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン誘導体樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられる。
【0033】
本実施形態の感熱性粘着層53において、必要に応じて、その粘着力を調整するために、熱可融性物質を含有させることができる。その熱可融性物質の具体例としては、動植物性ワックス、合成ワックス等のワックス類や、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド、芳香族アミンのアセチル化物等が挙げられる。その具体例を示すと、ワックスとしては、パラフィンワックス、木ロウ、カルナウバロウ、シェラック、モンタンロウ、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。高級脂肪族アミドとしては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンステアリン酸アミド等が挙げられる。高級脂肪族アニリドとしては、ステアリン酸アニリド、リノール酸アニリド等が挙げられる。芳香族アミンのアセチル化物としては、アセトトルイジド等が挙げられる。
本実施形態の感熱性粘着層53において、必要に応じて、その粘着力を調整するために、無機化合物を含有させることができる。その具体例としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0034】
本実施形態において、着色剤粒子4に画像信号に応じたレーザエネルギーをレーザ光Lで照射してレーザ書き込みを行う場合、感熱性粘着層53中または感熱性粘着層53に覆われている芯部54を形成する熱溶融性樹脂中にレーザ光Lの光の波長を吸収してレーザエネルギーを熱に変換する光熱変換材料を含有させることが好ましい。
例えば、黒色の着色剤粒子4の場合、着色剤粒子4として用いるカーボンブラックが光熱変換材料として機能し、レーザ光Lのレーザエネルギーを熱に変換して着色剤粒子4を昇温させ、着色剤粒子4の表面層である感熱性粘着層53を活性化させることにより粘着性を発現させる。
光熱変換機能を付与することができる他の材料としては、一般的に、染料として、500nm〜550nmに極大吸収波長を持ち、且つ、360nm〜420nmにおいて光透過率が10%以上で光熱変換機能を付与することができる材料を使用することができる。
【0035】
このような材質としては、一般的に染料として存在する直接染料(アゾ染料)、酸性染料(アゾ染料、アントラキノン染料、金属錯体アゾ染料)、塩基性染料(アゾ染料、トリフェルメタン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、キサンテン染料)、建染料(アントラキノン染料)、油溶染料(アントラキノン染料、アゾ染料、金属錯体染料)、分散染料(アゾ染料、アントラキノン染料)等が挙げられる。
特に、780nm〜850nmに極大吸収を持ち、且つ、360nm〜420nmにおいて光透過率が10%以上である光熱変換機能を付与することができる材料としては、一般的に染料として存在するシアニン系化合物(ポリメチン系化合物)、フタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、金属錯体化合物、ジインモニウム化合物、アルミニウム塩化化合物等が好適である。これらの光熱変換材料を着色剤粒子4の中に含有させることにより、像担持体1を介して着色剤吐出部42から吐出される着色剤粒子4に画像信号に応じたレーザエネルギーをレーザ光Lで与えて、着色剤粒子4を像担持体1上に効果的に仮固着させた着色剤画像12を形成することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…像担持体、4…着色剤粒子、4a…仮固着された着色剤粒子、4b…仮固着されない着色剤粒子、5…着色剤供給装置、6…着色剤除去装置、12…着色剤画像、13…熱ローラ、14…記録媒体、15…レジストローラ対、16…クリーニング装置、30…レーザ光走査装置、30a…照射部、41…着色剤格納部、42…着色剤吐出部、42a…吐出口、42b…当接部、42c…ギャップ形成部、44…着色剤押出部、45…着色剤除去部、45a…吸引口、45b…ギャップ形成部、46…着色剤回収部、47…着色剤吸引部、48…着色剤循環部、49A、49B…クリーニングブラシ部、51…熱可塑性樹脂、52…固体可塑剤、53…感熱性粘着層、54…芯部、60…クリーニング装置、61…吐出口クリーニング部、62…着色剤格納部、100…画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開平11−91147号公報
【特許文献2】特開2008−30279公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の像担持体と、当該像担持体に熱溶融性の着色剤粒子を供給する着色剤供給手段と、当該着色剤供給手段によって前記像担持体上に供給された着色剤粒子に、画像情報に応じたレーザ光を付与して前記着色剤粒子を選択的に活性化させるレーザ光書き込み手段と、当該レーザ光書き込み手段から付与されたレーザ光によって活性化されて前記像担持体上に仮固着された着色剤粒子以外の着色剤粒子を前記像担持体上から除去して当該像担持体上に着色剤粒子の仮固着画像を形成する着色剤除去手段とを備えた画像形成装置において、
前記着色剤供給手段は、着色剤粒子を格納する着色剤格納部と、当該着色剤格納部から着色剤粒子を前記像担持体に向けて吐出する吐出口を有する着色剤吐出部とを備え、当該着色剤吐出部は、前記吐出口の前記像担持体の移動方向上流側に、前記像担持体と当接する当接部と、前記吐出口の前記像担持体の移動方向下流側に、前記像担持体から所定距離で離間するギャップ形成部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記着色剤供給手段は、前記着色剤格納部を押圧して前記着色剤粒子を前記着色剤吐出部の吐出口から吐出させる着色剤押出し部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置において、
前記着色剤除去手段によって回収された着色剤粒子を前記着色剤供給手段の着色剤格納部に供給する着色剤循環部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記着色剤供給手段は、移動手段によって前記像担持体から退避する退避位置と前記像担持体に着色剤粒子を吐出する稼働位置との間を移動可能に取り付けられ、当該着色剤供給手段が退避位置に移動したときに、前記着色剤供給手段の着色剤吐出部に固着した着色剤粒子を当該着色剤吐出部から除去するクリーニング手段を配設したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記着色剤除去手段は、前記像担持体と所定距離のギャップを有して離間して対向する着色剤吸引口を有し、当該着色剤吸引口から吸引された着色剤粒子を収容する着色剤回収部と、当該着色剤回収部内に着色剤粒子を吸引する吸引部とを備え、当該吸引部の吸引力によって前記着色剤吸引口から前記像担持体上に仮固着された着色剤粒子以外の着色剤粒子を前記像担持体上から吸引除去することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成装置において、
前記着色剤供給手段と前記着色剤除去手段とは、一体に連結され、前記像担持体の移動方向で前記着色剤除去手段が前記着色剤供給手段の下流側となるように、配設されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の画像形成装置において、
前記着色剤回収部は、前記着色剤吸引口の少なくとも前記像担持体の移動方向下流側の外周縁の前記ギャップを形成する面に、前記像担持体に仮固着されていない着色剤粒子を当該像担持体表面から除去するブラシ部材を配設することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記熱溶融性の着色剤粒子は、当該着色剤粒子表面に、加熱されることにより粘着性を発現する感熱性粘着層を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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