説明

画像形成装置

【課題】廃トナー搬出パイプを回収パイプの開口に容易に嵌め込み得るようにする。
【解決手段】感光体ドラム131からトナー像が転写される中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21の表面にクリーニング処理を施すベルトクリーニング装置30とからなる中間転写ユニット20と、ベルトクリーニング装置30が中間転写ベルト21から取り除いた廃トナーを回収するトナー回収装置80とが備えられ、ベルトクリーニング装置30は、中間転写ベルト21から取り除いた廃トナーをトナー回収装置80へ向けて搬送する廃トナー搬出パイプ60を有し、トナー回収装置80は、中間転写ユニット20がプリンタ本体11内へ押し込まれることにより廃トナー搬出パイプ60が差し込まれる接続開口831を備えた頭部パイプ83を有し、廃トナー搬出パイプ60の先端側の円形蓋体62の周縁部には、全周に亘って先細りに傾斜した環状傾斜縁面625が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に感光体ドラムから転写されたトナー像が形成される中間転写ベルトを介して用紙にトナー像を転写するように構成された画像形成装置に関するものであり、特に中間転写ベルトとその表面を対象としてクリーニング処理を施すクリーニング装置とがユニット化されてなる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているような画像形成装置に適用されるクリーニング装置が知られている。このクリーニング装置は、転写ベルトの表面に残留している残留トナー(以下廃トナーという)を取り除いて清浄化するものであり、転写ベルトの表面の廃トナーを回転しながら掻き取るブラシローラと、このブラシローラが掻き取った廃トナーを電気的に移行させる電圧が印加されたバイアスローラと、このバイアスローラの周面の廃トナーを掻き取るブレードと、このブレードによって掻き取られた廃トナーを回収タンクに向けて搬送する搬送スクリューとが所定のハウジングに内装されて形成されている。
【0003】
このようなクリーニング装置は、画像形成装置の装置本体に対して挿脱可能に設けられたベルトユニット(中間転写ユニット)における転写ベルトを支持した支持板に取り付けられている。よって、例えばメンテナンス作業のためにベルトユニットを装置本体から挿脱するに際し、クリーニング装置も当該ベルトユニットに同伴して挿脱される。
【0004】
従って、クリーニング装置が装置本体側に設けられている場合には、両者の相対的な位置関係を精密に確保することが必要であり、そのための部材を設けなければならないなど、装置のコンパクト化に逆行するばかりか、メンテナンス作業の作業性が劣るという問題点を有していたが、クリーニング装置をベルトユニットと一体化することによりこれらの問題点が解消され、装置の取り付け精度の向上、装置のメンテナンス性や組み付け性の向上、さらには装置のコンパクト化の促進を図る上で有効である。
【0005】
そして、かかるクリーニング装置がベルトユニットに一体的に付設されたタイプの画像形成装置にあっては、ベルトユニットを装置本体から引き出して所定のメンテナンス作業を終わらせた後にベルトユニットを装置本体内へ押し込んでいくと、クリーニング装置における搬送スクリューを内装した廃トナーを搬出するための廃トナー搬出パイプの先端が装置本体側の所定のフレームに設けられた回収パイプに差し込まれ、これによってクリーニング装置内と回収タンク内とが連通状態になる。
【0006】
この状態で搬送スクリューを軸心回りに回転させることにより、クリーニング装置内の回収トナーを、廃トナー搬出パイプおよび装置本体側の回収パイプを通って回収タンク内へ回収することができる。
【特許文献1】特開2000−19861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、画像形成装置の装置本体内には、同一高さレベルで敷設された一対のガイドレールを有し、ベルトユニットは、これらのガイドレールにガイドされつつ装置本体に対して挿脱される。ガイドレールにガイドされるベルトユニットは、回収パイプに対し必ずしも精密な位置関係が確保されつつ移動されるわけではないため、装置本体から一旦引き出されたベルトユニットに敷設されているクリーニング装置の廃トナー搬出パイプの先端が正確に回収パイプの開口に対応しているとは限らない。
【0008】
特に、廃トナー搬出パイプの先端は、その重量で回収パイプの接続開口の位置より先下がりになっている場合が多い。従って、かかる廃トナーパイプは、ベルトユニットの押し込み操作で回収パイプへ向かわされると、回収パイプの周縁部と干渉し、これによって回収パイプに接続させることができなくなる。
【0009】
かかる不都合を解消するには、ベルトユニットの押し込み操作時に、廃トナー搬出パイプの先端が回収パイプの開口に向かうようにベルトユニットの姿勢を適正に修正しつつ当該ベルトユニットを装置本体内へ押し込んでいかなければならず、非常に煩雑で面倒であり、作業性が劣るという問題点を有している。
【0010】
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、一旦引き出された中間転写ユニットの装置本体への押し込み操作時に、特に中間転写ユニットの姿勢に留意しなくても廃トナー搬出パイプを回収パイプの開口に嵌め込むことが可能であり、これによって廃トナー搬出パイプの回収パイプに対する接続作業の作業性を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明(画像形成装置)は、表面に像担持体からのトナー像が転写される中間転写ベルトと、この中間転写ベルトの表面にクリーニング処理を施すクリーニング装置とがユニット化されてなる、装置本体に対して挿脱可能な中間転写ユニットと、前記クリーニング装置が中間転写ベルトから取り除いた廃トナーを回収するトナー回収装置とが備えられ、前記クリーニング装置は、前記中間転写ベルトから取り除いた廃トナーを前記トナー回収装置へ向けて搬送する廃トナー搬出パイプを有し、前記トナー回収装置は、前記中間転写ユニットが前記装置本体内へ押し込まれることにより前記廃トナー搬出パイプが差し込まれる廃トナー受入口を備えた廃トナー回収パイプを有し、前記廃トナー搬出パイプの先端側の周縁部には、先細りに傾斜した環状傾斜縁面が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
かかる構成によれば、装置本体から引き出された、中間転写ベルトとクリーニング装置とがユニット化されてなる中間転写ユニットを、当該装置本体へ押し込んでいくことにより、クリーニング装置の廃トナー搬出パイプがトナー回収装置の廃トナー回収パイプに設けられた廃トナー受入口に差し込まれ、これによってクリーニング装置が中間転写ベルトにクリーニング処理を施すことにより取り除かれた廃トナーが廃トナー搬出パイプおよび廃トナー回収パイプを通ってトナー回収装置内に回収される。
【0013】
そして、廃トナー搬出パイプの先端側の周縁部には、先細りに傾斜した環状傾斜縁面が形成されているため、廃トナー搬出パイプと、廃トナー受入口との間でたとえ芯狂いが存在しても、環状傾斜縁面の範囲内での芯狂いである場合には、芯が狂った状態で当該環状傾斜縁面のいずれかの部分が廃トナー受入口の縁部に当接する。従って、以後は廃トナー搬出パイプを押し込んでいくことにより、環状傾斜縁面が廃トナー受入口の縁部から芯狂いが矯正される方向に力を受けつつ当該廃トナー受入口に嵌り込んでいくため、中間転写ユニットが装置本体内に押し込まれたときには、廃トナー搬出パイプは廃トナー受入口に嵌め込まれた状態になる。
【0014】
このように、廃トナー搬出パイプの先端側の周縁部に先細りに傾斜した環状傾斜縁面を形成しておくことにより、一旦引き出された中間転写ユニットを装置本体へ押し込む操作を行うだけで廃トナー搬出パイプを確実に廃トナー受入口に差し込むことが可能になる。従って、従来のように廃トナー搬出パイプの先端側と廃トナー受入口と見比べながら状況に応じて押し込む力の強さや方向を加減したりするような面倒な操作が不要になり、中間転写ベルトとクリーニング装置とがユニット化されてなる中間転写ユニットの装置本体に対する挿脱操作の操作性が大幅に改善される。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記環状傾斜縁面のさらに先端側には、パイプ心方向に外方へ向かって延びる少なくとも一対のガイド突片が突設され、前記各ガイド突片の外側の縁面には、先端に向かってパイプ心との間の距離が漸減するように設定された傾斜が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
かかる構成によれば、パイプ心方向に外方へ向かって延びる少なくとも一対のガイド突片を環状傾斜縁面から突設することにより、廃トナー搬出パイプの傾斜縁面の廃トナー受入口の縁部に対する干渉範囲が広くなり、廃トナー搬出パイプと廃トナー受入口との間で相当大きな芯狂いが存在しても当該芯狂いの解消に十分に対応することができる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記ガイド突片は、前記環状傾斜縁面の上下の位置にそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
かかる構成によれば、中間転写ユニットに取り付けられたクリーニング装置は、廃トナー搬出パイプが突設された側がその重量によって下方に傾く傾向にあるため、ガイド突片を環状傾斜縁面の上下の位置に設けることで廃トナー搬出パイプの上下の傾きに対応することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る画像形成装置によれば、一旦引き出された中間転写ユニットを装置本体内に押し込むに際し、従来の行われていたような廃トナー搬出パイプの先端側と廃トナー受入口と見比べながら状況に応じて押し込む力の強さや方向を加減したりする面倒な操作が不要になるため、引き出された中間転写ユニットを単に装置本体内へ押し込んでいくだけでよく、中間転写ベルトとクリーニング装置とがユニット化されてなる中間転写ユニットの装置本体に対する押し込み操作の操作性を大幅に改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の一実施形態の内部構造を説明するための断面視の説明図である。本実施形態においては、画像形成装置としてプリンタ10が採用されている。図1に示すように、プリンタ10は、用紙Pの束を貯留する給紙部12と、この給紙部12から搬送されてきた用紙Pにトナー像を転写する画像形成部13と、この画像形成部13で用紙Pに転写されたトナー像に対し定着処理を施す定着部14と、この定着部14で定着処理の施された用紙Pが排出される排紙部15とがプリンタ本体11に装着されることによって構成されている。
【0021】
前記給紙部12は、プリンタ本体11内の下部に挿脱自在に装着された複数枚の用紙Pが貯留可能な用紙カセット121と、この用紙カセット121の図1における右側上方位置に設けられたピックアップローラ122とを備えている。用紙カセット121に貯留されている用紙Pは、ピックアップローラ122の駆動により1枚ずつピックアップされて画像形成部13に向けて送り出される。
【0022】
前記画像形成部13は、給紙部12から給紙された用紙Pにトナー画像を形成させるものである。本実施形態においては、上流側(図1における紙面の左側)から下流側へ向けて順次配設された、マゼンタ色のトナーを用いるマゼンタ用ユニット13Mと、シアン色のトナーを用いるシアン用ユニット13Cと、イエロー色のトナーを用いるイエロー用ユニット13Yと、ブラック色のトナーを用いるブラック用ユニット13Kとが備えられている。
【0023】
そして、前記各ユニット13M,13C,13Y,13Kには、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ってトナー像が形成される前後方向(図1の紙面に直行する方向)に延びた軸心回りに回転可能な感光体ドラム(像担持体)131と、この感光体ドラム131の周面に帯電処理を施すことにより同周面に一様な電荷を形成させる帯電ワイヤを備えた帯電器132と、この帯電器132により一様な電荷の付与された感光体ドラム131の周面に画像情報に基づくレーザー光を照射することにより静電潜像を形成させる露光装置133と、この静電潜像の形成された感光体ドラム131の周面にトナーを供給することにより同周面にトナー像を形成させる現像装置134と、この現像装置134にトナーを供給する、各現像装置134に対して着脱自在に装着されたトナーコンテナ135と、感光体ドラム131の周面の廃トナーを取り除いてクリーニング処理するドラムクリーニング装置136とを備えている。
【0024】
一方、画像形成部13の下部には、各感光体ドラム131の周面に形成されたトナー像を塗り重ねてカラー画像を形成させるための中間転写ユニット20が設けられている。この中間転写ユニット20は、前後方向(図1の紙面に直交する方向)に正逆移動してプリンタ本体11に対して挿脱可能に装着された、図1に二点差線で示す中間枠フレーム201を有している。
【0025】
そして、かかる中間枠フレーム201には、表面が各ユニット13M,13C,13Y,13Kの感光体ドラム131に対向するように配設されて周回するように構成された中間転写ベルト21と、この中間転写ベルト21の表面に残留した廃トナーを取り除いて討議表面に清浄化処理を施すベルトクリーニング装置30とが設けられている。
【0026】
かかる中間転写ベルト21における感光体ドラム131と対向した位置には、当該中間転写ベルト21を挟んで感光体ドラム131と対向配置された一次転写ローラ22が設けられている。この一次転写ローラ22に印加されたバイアスによって感光体ドラム131上のトナー像は、電気的に引き剥がされ、中間転写ベルト21の表面に転写される。
【0027】
また、中間転写ベルト21の図1における下部には、当該中間転写ベルト21上のカラーのトナー像を電気的に引き剥がして給紙部12から送り込まれた用紙Pに転写させる二次転写ローラ137が設けられている。
【0028】
前記感光体ドラム131は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるためのものであり、周面に強靱で耐摩耗性に優れた極めて平滑なアモルファスシリコン層が積層され、これによってこれらの像を形成させるのに適したものになっている。かかる各感光体ドラム131は、図1において反時計方向へ向けて回転しつつ対応した現像装置134からトナーの供給を受ける。
【0029】
前記帯電器132は、その帯電ワイヤに図略の電源から高圧電圧が印加され、これによるコロナ放電で感光体ドラム131の周面に一様な電荷を形成させるようになっている。なお、かかる帯電器132に代えて高電圧が印加された帯電ローラを感光体ドラム131の周面に当接させるようにし、これによって感光体ドラム131の周面に電荷を形成させるようにしてもよい。
【0030】
前記露光装置133は、前記帯電器132によって一様に帯電された感光体ドラム131の周面に、図略のコンピュータ等から入力された画像データに基づくレーザー光を照射するものであり、このレーザー光の照射によって感光体ドラム131の周面に静電潜像が形成される。かかる静電潜像に現像装置134からのトナーが供給されることにより、感光体ドラム131の周面にトナー像が形成され、このトナー像が周回している中間転写ベルト21に転写される。
【0031】
前記現像装置134は、内部に攪拌搬送部材が設けられているとともに、最下部位置に周面が感光体ドラム131の周面と対向した現像ローラが備えられ、この現像ローラの回転によってトナーが感光体ドラム131の周面に供給されるようになっている。
【0032】
前記定着部14は、画像形成部13で用紙Pに転写された転写画像に定着処理を施すものであり、ハロゲンランプ等の通電発熱体により加熱される定着ローラ141と、下部でこの定着ローラ141に対向配置され、周面が定着ローラ141の周面に押圧当接された加圧ローラ142とを備えている。
【0033】
前記画像形成部13で中間転写ベルト21により転写処理の施された用紙Pは、中間転写ベルト21と二次転写ローラ137とに挟持された状態で中間転写ベルト21の周回に誘導されて定着部14に導入され、定着ローラ141と加圧ローラ142との間を通過するときの加熱によりトナー像が当該用紙Pに定着される。
【0034】
定着処理後の用紙Pは、排出ローラ対143の駆動により排紙搬送路101を上昇し、排紙口152を通ってプリンタ本体11の頂部に設けられた排紙トレイ151へ排出される。
【0035】
図2は、図1における中間転写ベルト21等を備えた中間転写ユニット20を抽出して示した説明図である。図2に示すように、中間転写ユニット20は、中間枠フレーム201に一次転写ローラ22、駆動ローラ23、従動ローラ24、押圧ローラ25,屈曲ローラ26、上部テンションローラ27および下部テンションローラ28が装着された状態でこれらのローラに中間枠フレーム201が掛け回されることによって形成されている。
【0036】
前記中間枠フレーム201は、図2の紙面に直交する方向から見た正面視で左右方向に細長い形状を呈し、略右半分の位置に下縁部から逆三角形状の板が下方に向かって延設された形状を呈している。平面視では、左右方向に長尺の矩形状を呈している。
【0037】
前記一次転写ローラ22は、中間枠フレーム201の上縁部に沿い、かつ、各ユニット13M,13C,13Y,13Kの感光体ドラム131に対応するように左右方向で等ピッチに4つが並設されている。
【0038】
前記駆動ローラ23は、中間枠フレーム201の左端部に設けられている。かかる駆動ローラ23は、ベルト駆動用モータ230によって駆動される。ベルト駆動用モータ230は、駆動ローラ23と同心で当該駆動ローラ23の後面側(図2の紙面の裏側)に設けられている。そして、駆動ローラ23は、ベルト駆動用モータ230の駆動軸231に同心で一体回転可能に接続されている。従って、駆動ローラ23は、ベルト駆動用モータ230の駆動により駆動軸231回りに一体回転する。
【0039】
前記従動ローラ24は、中間枠フレーム201の右端部に設けられている。そして、これら駆動ローラ23および従動ローラ24に中間転写ベルト21が掛け回された状態で、当該中間転写ベルト21の上側のベルトに沿ってその下面側に複数の一次転写ローラ22および複数の上部テンションローラ27が配設されている。
【0040】
前記押圧ローラ25は、中間転写ベルト21を二次転写ローラ137へ向けて押圧するためのものであり、中間枠フレーム201の右半分の逆三角形状の部分の最下位置に中間転写ベルト21を介して二次転写ローラ137と対向配置されている。押圧ローラ25が中間転写ベルト21を二次転写ローラ137へ向けて押圧することによって、押圧ローラ25の位置へ搬送されてきた用紙Pに対し中間転写ベルト21上のトナー像を転写させることができる。
【0041】
前記屈曲ローラ26は、中間枠フレーム201において、前記駆動ローラ23の右方におけるシアン用ユニット13Cの一次転写ローラ22の略直下位置に配設され、この位置で中間転写ベルト21を屈曲させている。
【0042】
前記二次転写ローラ137は、押圧ローラ25の直下位置で中間転写ベルト21を介して当該押圧ローラ25により押圧されている。かかる二次転写ローラ137には、中間転写ベルト21上のトナー画像を静電的に引き剥がすバイアス電圧が図略の電源から印加される。従って、中間転写ベルト21と二次転写ローラ137との間を通過する用紙Pには、中間転写ベルト21のトナー画像が転写されることになる。
【0043】
また、前記各一次転写ローラ22の左方位置にはそれぞれ前記上部テンションローラ27が設けられているとともに、屈曲ローラ26と押圧ローラ25との間および従動ローラ24と押圧ローラ25との間には前記下部テンションローラ28がそれぞれ設けられている。これらの上下のテンションローラ27,28は、中間転写ベルト21が弛まないように緊張状態を維持させるためのものである。
【0044】
そして、本実施形態においては、このように構成された中間転写ユニット20の中間枠フレーム201における左側の下部テンションローラ28の中間転写ベルト21を介した下方位置にベルトクリーニング装置30が装着されている。
【0045】
図3および図4は、中間枠フレーム201とベルトクリーニング装置30との相対的な位置関係を説明するために模式化した斜視図であり、図3は、正面側から見た斜視図、図4は、背面側から見た斜視図である。そして、これらの図において(A)は、廃トナー搬出パイプ60が廃トナー回収パイプ82に接続される直前の状態、(B)は、廃トナー搬出パイプ60が廃トナー回収パイプ82に接続された状態をそれぞれ示している。なお、図3および図4においてX方向を左右方向、Y方向を前後方向といい、特に−Xを左方、+Xを右方、−Yを前方、+Yを後方という。
【0046】
これらの図に示すように、中間枠フレーム201は、−Y方向から見た正面視で中間転写ベルト21の周回ルートに対応した形状を有する前方フレーム板202と、後部でこの前方フレーム板202と対向した略同一形状の後方フレーム板203と、これら前後のフレーム板202,203間の左端部に架設された左方フレーム板204と、同右端部間に架設された右方フレーム板205とを備えて構成され、平面視で左右方向に長尺の矩形状を呈している。
【0047】
そして、前記の一次転写ローラ22、駆動ローラ23、従動ローラ24、押圧ローラ25、屈曲ローラ26、上部テンションローラ27および下部テンションローラ28は、それぞれ所定の軸回りに回転可能に前方フレーム板202および後方フレーム板203間に架設されている。そして、これらのローラ22〜28に中間転写ベルト21が掛け回されている。
【0048】
一方、プリンタ本体11は、後方に設けられた後方壁111と、この後方壁111の左右の縁部から前方へ向かって延設された左側方壁112および右側方壁113とを有している。前記中間転写ユニット20は、前記左右の側方壁112,113間で前後へ向けて移動可能に装着されている。
【0049】
具体的には、左方フレーム板204と左側方壁112との間、および右方フレーム板205と右側方壁113との間にそれぞれレール部材29が介設されている。このレール部材29は、左右の側方壁112,113に互いに対向した状態で前後方向へ延びるように固定された固定レール291と、左右のフレーム板204,205にそれぞれ設けられた前記各固定レール291に摺接状態で支持された可動レール292とを備えている。
【0050】
従って、前方フレーム板202の前面適所に設けられた把手202aを把持して前後に動かすことにより、中間転写ユニット20を、収納位置と引き出し位置との間で位置変更させることができる。
【0051】
前記後方壁111の左右方向の略中央部であって、中間転写ユニット20の上縁部より若干下方位置には、前方に向かって突設された位置決めピン114が突設されているとともに、中間転写ユニット20の後方フレーム板203には、前記位置決めピン114に対応した位置に位置決め孔206が穿設されている。そして、中間転写ユニット20をプリンタ本体11内へ押し込んでいくことにより、位置決め孔206が位置決めピン114に外嵌し、これによって中間転写ユニット20はプリンタ本体11内で位置決めされる。
【0052】
そして、前記ベルトクリーニング装置30は、このような中間転写ユニット20の中間枠フレーム201における押圧ローラ25の直ぐ左側であって、中間転写ベルト21を介した左方の下部テンションローラ28の直下位置に取り付けられ、これによって中間枠フレーム201の移動に同伴して移動するようになされている。
【0053】
図5は、ベルトクリーニング装置30の一実施形態を示す斜視図である。図5におけるXおよびYによる方向表示は、図4の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0054】
図5に示すように、ベルトクリーニング装置30は、箱形を呈した二点差線で示すケーシング31の中に、周面が中間転写ベルト21の表面に当接されるブラシローラ40と、このブラシローラ40が中間転写ベルト21から掻き取った廃トナーを静電気的に吸引除去する帯電ローラ45と、この帯電ローラ45の周面に付着した廃トナーを掻き取るブレード43と、このブレード43によって掻き取られた廃トナーを後述の廃トナー回収パイプ82へ向けて搬送するスクリュー部材50と、ケーシング31の後板311を貫通して後方の廃トナー回収パイプ82へ向けて突設された廃トナー搬出パイプ60と、この廃トナー搬出パイプ60に外嵌されたシャッタ部材70とを備えて構成されている。
【0055】
前記ブラシローラ40は、ケーシング31の後板311および前板312間の上部位置に架設されたブラシ軸41と、このブラシ軸41に同心で円柱状に植設されたブラシ毛42とを備えている。一方、前板312には、その前面側に駆動軸を前後方向に向けたブラシ駆動用モータ39が装着されている。このブラシ駆動用モータ39の駆動軸は、前記ブラシ軸41と同心で一体回転可能に接続され、これによってブラシ駆動用モータ39の駆動回転がブラシローラ40に直接伝達される。
【0056】
そして、ブラシローラ40の回転によって中間転写ベルト21から掻き取られ、帯電ローラ45の周面に付着した廃トナーは、前記ブレード43によって取り除かれ、下方のスクリュー部材50上へ落下する。
【0057】
前記スクリュー部材50は、ケーシング31内の後板311および前板312間の下部位置に配設されたスクリュー軸51と、このスクリュー軸51に同心で形成されたスパイラルフィン52とを備えている。かかるスクリュー部材50は、廃トナー搬出パイプ60の内にまで延設されている。従って、ケーシング31の底部に溜まった廃トナーは、スパイラルフィン52がスクリュー軸51回りに一体回転することによって廃トナー搬出パイプ60を通ってトナー回収装置80へ向けて送り出される。
【0058】
そして、ケーシング31の後板311側には、ブラシ駆動用モータ39の駆動力をスクリュー部材50へ伝達するためのギヤ機構38が設けられている。従って、ブラシ駆動用モータ39の駆動回転は、ブラシ軸41およびギヤ機構38を介してスクリュー部材50へ伝達されることとなる。
【0059】
このようなベルトクリーニング装置30において、ケーシング31の前板312には、その適所から前方へ向かって突設された所定個数の円柱状の前方係止突片32が突設されているとともに、ケーシング31の前記後板311にも所定個数の円柱状の後方係止突片33が突設されている。
【0060】
一方、中間枠フレーム201の前方フレーム板202には、前記前方係止突片32に対応した位置に摺接状態で当該前方係止突片32を嵌挿させるための係止孔202bが穿設されているとともに、後方フレーム板203には、後方係止突片33に対応した位置に当該後方係止突片33を嵌挿させるための上下方向に延びた長孔203aが穿設されている。そして、前方係止突片32を係止孔202bに嵌挿するとともに、後方係止突片33を長孔203aに嵌挿することによって、ベルトクリーニング装置30が中間枠フレーム201に装着される。
【0061】
なお、後方係止突片33を嵌め込む長孔203aが長孔にされているのは、廃トナー搬出パイプ60を後述の廃トナー回収パイプ82に接続するに際し、寸法誤差や組み付け誤差を吸収するべく遊びが必要であり、これに対応するべく廃トナー搬出パイプ60を上下に揺動可能としている。
【0062】
かかる廃トナー搬出パイプ60は、引き出された中間転写ユニット20がプリンタ本体11内へ押し込まれることにより、その先端側がプリンタ本体11内における後方壁111より後方側に設けられたトナー回収装置80に接続され、これによってベルトクリーニング装置30が中間転写ベルト21から掻き取った廃トナーは、トナー回収装置80に回収される。
【0063】
トナー回収装置80は、図2に示すように、プリンタ本体11の奥部の底板上に配設された廃トナー貯留容器81と、この廃トナー貯留容器81の天板から上方へ向けて立設された廃トナー回収パイプ82とを備えている。廃トナー回収パイプ82の頂部には、図7に示すように、後述する搬送パイプ本体61を接続するための接続開口(廃トナー受入口)831を備えた横向きの頭部パイプ83が設けられている。
【0064】
図6および図7は、廃トナー搬出パイプ60およびシャッタ部材70の一実施形態を示す図5の部分拡大図であり、図6は、分解斜視図、図7は、組み立て斜視図である。なお、図6および図7におけるXおよびYによる方向表示は、図3の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。因みに図6では、円内に円形蓋体62を前方(−Y側)から見た斜視図を示している。
【0065】
まず、図6に示すように、前記廃トナー搬出パイプ60は、ケーシング31の後板311から後方へ向かって突設された円筒状の搬送パイプ本体61と、この搬送パイプ本体61の先端(後端)に取り付けられた円形蓋体62とを備えている。
【0066】
前記搬送パイプ本体61は、内径寸法は一定であるが、外径寸法は場所によって相違しており、基端側(前方側)の大径部611と、中央部の中径部612と、先端側(後端側)の小径部613とを備えている。大径部611および小径部613の前後寸法は僅かであるが、中径部612の前後寸法は相当長尺に設定されている。中径部612の後方の下面側には、トナーを排出するための廃トナー排出口614が設けられている。搬送パイプ本体61内を搬送されてきた廃トナーは、この廃トナー排出口614から廃トナー回収パイプ82へ排出される。
【0067】
前記小径部613には、点対称位置にそれぞれ後端面から切り込まれた状態で形成された一対の回り止め溝615が凹設されている。これらの回り止め溝615は、搬送パイプ本体61の小径部613に外嵌される円形蓋体62を回り止めするためのものである。
【0068】
前記円形蓋体62は、搬送パイプ本体61の後端開口を閉止するためのものである。かかる円形蓋体62は、内径寸法が搬送パイプ本体61の小径部613の外径寸法より僅かに大きい蓋体本体621と、この蓋体本体621の後面開口を閉止した閉止円板622とを備えている。
【0069】
蓋体本体621の外径寸法は、前記廃トナー回収パイプ82の頂部に設けられた頭部パイプ83の接続開口831の内径寸法より僅かに小さめに設定されている。従って、搬送パイプ本体61のパイプ心と、前記接続開口831の口心とが一致した状態で廃トナー搬出パイプ60を後方に向かって移動させることにより、廃トナー搬出パイプ60が接続開口831を通って頭部パイプ83内へ差し込まれる。
【0070】
一方、前記蓋体本体621には、その内周面における前記搬送パイプ本体61の回り止め溝615に対応した位置に、当該回り止め溝615に嵌り込む一対の回り止め突起623が設けられている。そして、円形蓋体62を搬送パイプ本体61の小径部613に外嵌することによって回り止め突起623が回り止め溝615に嵌り込み、これによって円形蓋体62が回り止めされる。
【0071】
前記閉止円板622には、その内面側に、スクリュー部材50のスクリュー軸51が貫通される内筒624が同心で設けられている。そして、スクリュー軸51は、円形蓋体62を搬送パイプ本体61に装着した状態で内筒624を貫通して外部に突出するように寸法設定されている。このスクリュー軸51の外部に突出した先端部には、環状溝511が凹設されている。そして、この円形蓋体62が搬送パイプ本体61に装着された状態で、円形蓋体62の閉止円板622から外部に突出しているスクリュー軸51の先端の環状溝511に二股状のストッパ63が嵌め込まれることにより、円形蓋体62は搬送パイプ本体61から抜止めされた状態になる。
【0072】
そして、円形蓋体62の閉止円板622には、その後面側の周縁部に、先端(後方)へ向かうに従い径寸法が漸減するように設定された環状傾斜縁面(傾斜縁面)625が形成されている。このような環状傾斜縁面625が形成されるのは、たとえ廃トナー搬出パイプ60のパイプ心と、前記頭部パイプ83のパイプ心とが一致していない状態、すなわち両者間に心狂いが存在する状態であっても、環状傾斜縁面625を頭部パイプ83の接続開口831の縁部と干渉させ、この干渉による心狂い解消の矯正で廃トナー搬出パイプ60を頭部パイプ83に差し込むことができるようにするためである。
【0073】
さらに、本実施形態においては、円形蓋体62の先端面(後面)における上下の位置に、されに後方に向かって突設されたガイド突片626が設けられている。これら一対のガイド突片626は、互いに反対側の縁面が前記環状傾斜縁面625と面一になるように傾斜設定されている。かかるガイド突片626を設けることにより、廃トナー搬出パイプ60の頭部パイプ83に対する心狂いを矯正し得る範囲が拡大される。
【0074】
因みに、ガイド突片626を閉止円板622の上下に設けたのは、ベルトクリーニング装置30が後方に向けて突出した廃トナー搬出パイプ60の重量によって当該廃トナー搬出パイプ60の後端が下方に向けて傾くことで上下方向に揺動する可能性が大きいため、この上下方向の揺動による心狂いに対応させるためである。
【0075】
前記シャッタ部材70は、前記搬送パイプ本体61に摺接状態で外嵌され、中間転写ユニット20のプリンタ本体11に対する挿脱操作に対応して相対的に前後方向に正逆移動して前記廃トナー排出口614を開閉するものである。かかるシャッタ部材70は、摺接状態で前記搬送パイプ本体61に外嵌されるシャッタ筒体71と、このシャッタ筒体71の後半部分の適所(本実施形態では後端)に形成されたフランジ72と、シャッタ筒体71におけるフランジ72より前方位置に外嵌されるコイルスプリング73とを備えている。コイルスプリング73は、搬送パイプ本体61の中径部612より若干長めに長さ設定されている。従って、コイルスプリング73を搬送パイプ本体61の中径部612に外嵌した後、搬送パイプ本体61の先端の小径部613に円形蓋体62を嵌め込んで固定することにより、コイルスプリング73は、圧縮状態で搬送パイプ本体61の大径部611とシャッタ部材70のフランジ72との間に挟持される。
【0076】
このようなシャッタ部材70は、コイルスプリング73がシャッタ筒体71に外嵌された状態で搬送パイプ本体61に嵌め込まれる。こうすることでコイルスプリング73は、搬送パイプ本体61の大径部611とシャッタ筒体71のフランジ72との間に挟持された状態になる。そして、コイルスプリング73は、シャッタ筒体71が搬送パイプ本体61に外嵌されることにより、シャッタ筒体71の後端が搬送パイプ本体61の後端から若干後方に出た状態になるように長さ寸法が設定されている。
【0077】
前記シャッタ筒体71は、長さ寸法が搬送パイプ本体61の中径部612より若干短め(具体的には、廃トナー排出口614の前後寸法分だけ短め)に設定され、これによって搬送パイプ本体61に外嵌されたシャッタ部材70をコイルスプリング73の付勢力に抗して最前位置まで押し込んだ状態で、廃トナー排出口614が開放される一方、シャッタ部材70の押し込み力を弱めると、コイルスプリング73の付勢力によってシャッタ部材70が後方へ移動し、これによって廃トナー排出口614が閉止される。
【0078】
以下図8を基に、必要に応じて他の図面も参照しながらベルトクリーニング装置30のトナー回収装置80に対する接続操作について説明する。図8は、ベルトクリーニング装置30のトナー回収装置80に対する接続操作を説明するための断面視の説明図であり、図8(A)は、ベルトクリーニング装置30の廃トナー搬出パイプ60がトナー回収装置80の頭部パイプ83に接続される直前の状態、図8(B)は、ベルトクリーニング装置30の廃トナー搬出パイプ60がトナー回収装置80の頭部パイプ83に接続された状態をそれぞれ示している。なお、図8におけるYによる方向表示は、図5の場合と同様(−Y:前方、+Y:後方)である。
【0079】
まず、中間転写ユニット20が、図3および図4で白抜き矢印により示すように、プリンタ本体11内に押し込まれていくことで、当該中間転写ユニット20の中間枠フレーム201に支持されたベルトクリーニング装置30は、トナー回収装置80に接近していく。これにより廃トナー搬出パイプ60がプリンタ本体11の後方壁111に設けられた貫通窓111aを貫通し、図8(A)に示すように、廃トナー搬出パイプ60の円形蓋体62がトナー回収装置80の頭部パイプ83の接続開口831に対向した状態になる。
【0080】
そして、このときにベルトクリーニング装置30は、後方に向けて突出した廃トナー搬出パイプ60の重量によって後方に向かって若干先下がりに傾斜した状態になっている。従って、廃トナー搬出パイプ60のパイプ心と、頭部パイプ83のパイプ心とは互いに一致せずに、いわゆる心狂いが生じている。
【0081】
この状態で中間転写ユニット20のプリンタ本体11内への押し込み操作を継続すると、円形蓋体62の下側のガイド突片626の外側の傾斜した縁面が頭部パイプ83の接続開口831の下縁面に当接することになる。従って、この当接状態で中間転写ユニット20のプリンタ本体11内への押し込み動作を継続すると、搬送パイプ本体616は接続開口831の下縁面から上方へ向かう力を受ける。従って、押し込み動作を継続すると廃トナー搬出パイプ60のパイプ心は、頭部パイプ83のパイプ心に近づいていき、心狂いが矯正されていく。
【0082】
そして、廃トナー搬出パイプ60が所定寸法だけ頭部パイプ83内へ嵌め込まれると、シャッタ部材70のフランジ72が接続開口831の周縁部と干渉する。この状態でさらに中間転写ユニット20をプリンタ本体11内へ押し込んでいくと、フランジ72が相対的に前方へ向かって押圧され、これによって廃トナー搬出パイプ60がコイルスプリング73の付勢力に抗して相対的に前方へ向けて圧縮されつつ搬送パイプ本体61の廃トナー排出口614が開放されていく。
【0083】
従って、図8(B)に示すように、中間転写ユニット20が最後までプリンタ本体11内へ押し込まれて収納位置に位置設定された状態では、廃トナー搬出パイプ60は、その先端が頭部パイプ83に差し込まれた状態で、シャッタ部材70が相対的に前方へ移動したことにより廃トナー排出口614が頭部パイプ83内で開放される。
【0084】
この状態でスクリュー部材50がスクリュー軸51回りに駆動回転することにより、ベルトクリーニング装置30のケーシング31内の廃トナーが廃トナー搬出パイプ60内を頭部パイプ83へ向かって搬送され、廃トナー排出口614、頭部パイプ83および廃トナー回収パイプ82を通って廃トナー貯留容器81へ回収される。
【0085】
以上詳述したように、本発明に係るプリンタ10は、表面に感光体ドラム131からトナー像が転写される中間転写ベルト21と、この中間転写ベルト21の表面にクリーニング処理を施すベルトクリーニング装置30とがユニット化されてなる、プリンタ本体11に対して挿脱可能な中間転写ユニット20と、ベルトクリーニング装置30が中間転写ベルト21から取り除いた廃トナーを回収するトナー回収装置80とが備えられてなるものである。
【0086】
そして、ベルトクリーニング装置30は、中間転写ベルト21から取り除いた廃トナーをトナー回収装置80へ向けて搬送する廃トナー搬出パイプ60を有し、トナー回収装置80は、中間転写ユニット20がプリンタ本体11内へ押し込まれることにより廃トナー搬出パイプ60が差し込まれる接続開口831を備えた頭部パイプ83を有し、廃トナー搬出パイプ60の先端側の円形蓋体62の周縁部には、全周に亘って先細りに傾斜した環状傾斜縁面625が形成されている。
【0087】
かかる構成によれば、プリンタ本体11から引き出された、中間転写ベルト21と、ベルトクリーニング装置30とがユニット化されてなる中間転写ユニット20を、当該プリンタ本体11へ押し込んでいくことにより、ベルトクリーニング装置30の廃トナー搬出パイプ60がトナー回収装置80の頭部パイプ83に設けられた接続開口831に差し込まれ、これによってベルトクリーニング装置30が中間転写ユニット20にクリーニング処理を施すことにより取り除かれた廃トナーを、廃トナー搬出パイプ60および頭部パイプ83を通ってトナー回収装置80内に回収することができる。
【0088】
そして、廃トナー搬出パイプ60の先端側の周縁部には、全周に亘って先細りに傾斜した環状傾斜縁面625が形成されているため、廃トナー搬出パイプ60と、接続開口831との間でたとえ芯狂いが存在しても、環状傾斜縁面625の範囲内での芯狂いである場合には、芯が狂った状態で当該環状傾斜縁面625のいずれかの部分が接続開口831の縁部に当接する。従って、以後は廃トナー搬出パイプ60を押し込んでいくことにより、環状傾斜縁面625が接続開口831の縁部から芯狂いが矯正される方向に力を受けつつ当該接続開口831に嵌り込んでいくため、中間転写ユニット20がプリンタ本体11内に押し込まれたときには、廃トナー搬出パイプ60を芯狂いが解消した状態で接続開口831に嵌め込まれた状態にすることができる。
【0089】
このように、廃トナー搬出パイプ60の先端側の周縁部に全周に亘って先細りに傾斜した環状傾斜縁面625を形成しておくことにより、一旦引き出された中間転写ユニット20をプリンタ本体11へ押し込む操作を行うだけで廃トナー搬出パイプ60を確実に接続開口831に差し込むことができる。従って、従来のように廃トナー搬出パイプ60の先端側と接続開口831と見比べながら状況に応じて押し込む力の強さや方向を加減したりするような面倒な操作が不要になるため、中間転写ベルト21とベルトクリーニング装置30とがユニット化されてなる中間転写ユニット20のプリンタ本体11に対する挿脱操作の操作性を改善することができる。
【0090】
また、環状傾斜縁面625のさらに先端側には、パイプ心方向に外方へ向かって延びる少なくとも一対のガイド突片626が突設され、各ガイド突片626の外側の縁面には、先端に向かってパイプ心との間の距離が漸減するように設定された傾斜が形成されているため、廃トナー搬出パイプ60の閉止円板622の環状傾斜縁面625の接続開口831の縁部に対する干渉範囲が広くなり、廃トナー搬出パイプ60と接続開口831との間で相当大きな芯狂いが存在しても当該芯狂いの解消に十分に対応することができる。
【0091】
さらに、ガイド突片626は、環状傾斜縁面625の上下の位置にそれぞれ設けられているため、中間転写ユニット20に取り付けられたベルトクリーニング装置30は、廃トナー搬出パイプ60が突設された側がその重量によって下方に傾く傾向にあるが、ガイド突片626を環状傾斜縁面625の上下の位置に設けることで廃トナー搬出パイプ60の上下の傾きに対応することができる。
【0092】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0093】
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置としてプリンタ10を例に挙げて説明したが、プリンタ10に限らず複写機であってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。
【0094】
(2)上記の実施形態においては、廃トナー搬出パイプ60の円形蓋体62の先端に設けられたガイド突片626は、上下一対で設けられているが、特に一対であることに限定されるものではなく、周方向に等ピッチで服数のガイド突片626を設けるようにしてもよい。
【0095】
(3)上記の実施形態においては、円形蓋体62の先端に全周に亘って形成された環状傾斜縁面625が設けられているが、本発明は、円形蓋体62の先端に全周に亘る環状傾斜縁面625を形成させることに限定されるものではなく、少なくとも下面側に設ける用にしてもよい。その理由は、ベルトクリーニング装置30は、ケーシング31の後端から廃トナー搬出パイプ60が突設され、これによって後端側が先下がりになるように傾斜する傾向にあるため、少なくとも下面側に傾斜縁面を設け手おけば、これに対応することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の一実施形態の内部構造を説明するための断面視の説明図である。
【図2】図1における中間転写ベルト等を備えた中間転写ユニットを抽出して示した説明図である。
【図3】中間升形フレームとベルトクリーニング装置との相対的な位置関係を説明するために模式化して正面側から見た斜視図であり、(A)は、廃トナー搬出パイプが廃トナー回収パイプに接続される直前の状態、(B)は、廃トナー搬出パイプが廃トナー回収パイプに接続された状態をそれぞれ示している。
【図4】中間升形フレームとベルトクリーニング装置との相対的な位置関係を説明するために模式化して背面側から見た斜視図であり、(A)は、廃トナー搬出パイプが廃トナー回収パイプに接続される直前の状態、(B)は、廃トナー搬出パイプが廃トナー回収パイプに接続された状態をそれぞれ示している。
【図5】ベルトクリーニング装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】廃トナー搬出パイプおよびシャッタ部材の一実施形態を示す図5の部分拡大分解図である。
【図7】図6に示す廃トナー搬出パイプおよびシャッタ部材の組み立て斜視図である。
【図8】ベルトクリーニング装置のトナー回収装置に対する接続操作を説明するための断面視の説明図であり、(A)は、ベルトクリーニング装置の廃トナー搬出パイプがトナー回収装置の頭部パイプに接続される直前の状態、(B)は、ベルトクリーニング装置の廃トナー搬出パイプがトナー回収装置の頭部パイプに接続された状態をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0097】
10 プリンタ 101 排紙搬送路
11 プリンタ本体 111 後方壁
111a 貫通窓 112 左側方壁
113 右側方壁 114 位置決めピン
12 給紙部 121 用紙カセット
122 ピックアップローラ 13 画像形成部
13M マゼンタ用ユニット 13C シアン用ユニット
13Y イエロー用ユニット 13K ブラック用ユニット
131 感光体ドラム(像担持体)
132 帯電器 133 露光装置
134 現像装置 135 トナーコンテナ
136 ドラムクリーニング装置
137 二次転写ローラ 14 定着部
141 定着ローラ 142 加圧ローラ
143 排出ローラ対 15 排紙部
151 排紙トレイ 152 排紙口
20 中間転写ユニット 201 中間枠フレーム
202 前方フレーム板 202a 把手
202b 係止孔 203 後方フレーム板
203a 長孔 204 左方フレーム板
205 右方フレーム板 206 位置決め孔
21 中間転写ベルト 22 一次転写ローラ
23 駆動ローラ 230 ベルト駆動用モータ
231 駆動軸 24 従動ローラ
25 押圧ローラ 26 屈曲ローラ
27 上部テンションローラ 28 下部テンションローラ
29 レール部材 291 固定レール
292 可動レール 30 ベルトクリーニング装置
31 ケーシング 311 後板
312 前板 32 前方係止突片
33 後方係止突片 38 ギヤ機構
39 ブラシ駆動用モータ 40 ブラシローラ
41 ブラシ軸 42 ブラシ毛
43 ブレード 45 帯電ローラ
50 スクリュー部材 51 スクリュー軸
511 環状溝 52 スパイラルフィン
60 廃トナー搬出パイプ 61 搬送パイプ本体
611 大径部 612 中径部
613 小径部 614 廃トナー排出口
615 回り止め溝 616 搬送パイプ本体
62 円形蓋体 621 蓋体本体
622 閉止円板 623 回り止め突起
624 内筒 625 環状傾斜縁面(傾斜縁面)
626 ガイド突片 63 ストッパ
70 シャッタ部材 71 シャッタ筒体
72 フランジ 73 コイルスプリング
80 トナー回収装置 81 廃トナー貯留容器
82 廃トナー回収パイプ 83 頭部パイプ
831 接続開口(廃トナー受入口)
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に像担持体からのトナー像が転写される中間転写ベルトと、この中間転写ベルトの表面にクリーニング処理を施すクリーニング装置とがユニット化されてなる、装置本体に対して挿脱可能な中間転写ユニットと、
前記クリーニング装置が中間転写ベルトから取り除いた廃トナーを回収するトナー回収装置とが備えられ、
前記クリーニング装置は、前記中間転写ベルトから取り除いた廃トナーを前記トナー回収装置へ向けて搬送する廃トナー搬出パイプを有し、
前記トナー回収装置は、前記中間転写ユニットが前記装置本体内へ押し込まれることにより前記廃トナー搬出パイプが差し込まれる廃トナー受入口を備えた廃トナー回収パイプを有し、
前記廃トナー搬出パイプの先端側の周縁部には、先細りに傾斜した環状傾斜縁面が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記環状傾斜縁面のさらに先端側には、パイプ心方向に外方へ向かって延びる少なくとも一対のガイド突片が突設され、前記各ガイド突片の外側の縁面には、先端に向かってパイプ心との間の距離が漸減するように設定された傾斜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド突片は、前記環状傾斜縁面の上下の位置にそれぞれ設けられていることを特賞とする請求項2記載の画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−26149(P2010−26149A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186002(P2008−186002)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】