説明

画像形成装置

【課題】マガジンからの印画紙の幅方向でのセンター位置と基準位置との間に誤差がある場合でも、印画紙の幅方向での適正な位置に画像を形成する画像形成装置を構成する。
【解決手段】マガジンMにペーパー偏差Gpが記録される情報記録部50を備え、この情報記録部50からペーパー偏差Gpを取得して露光制御手段84に与える画像位置補正手段85を備え、露光制御手段84は、ペーパー偏差Gpに基づいて印画紙Pの幅方向でのセンター位置に、画像データの露光を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マガジンに収容されている長尺の記録紙を設定寸法に切断して送る供給搬送ユニットと、この供給搬送ユニットから送られた記録紙に画像を形成する画像形成ユニットとを備えると共に、この画像形成ユニットを制御することにより記録紙の設定位置に画像を形成する制御ユニットを備えている画像形成装置に関し、詳しくは、画像形成ユニットに送られる記録紙の幅方向での位置のズレに対応して適正な位置に画像を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された画像形成装置に関連する技術として特許文献1には、複数のマガジンの1つからの印画紙(本発明の記録紙)を搬送手段(本発明の供給搬送ユニット)を介して露光ユニット(本発明の画像形成ユニット)に送り、画像の露光を行う画像形成装置の基本的な構成を備えると共に、複数のマガジンの1つを指定し較正用データの露光を行う構成が示されている。
【0003】
この特許文献1では、センターラインやフレームライン等の較正用データを印画紙にプリントすることにより、複数のマガジンから印画紙を送られるレーン毎の露光位置のズレを取得しておき、較正用データが印画紙にプリントされた後には、その印画紙からプリント位置の誤差を取得し、較正用画面をディスプレイにおいて誤差に対応した数値を入力することにより、印画紙Pの主走査方向での中央位置と、主走査方向での画像データの中央位置とを一致させる露光を実現する制御が行われる。
【0004】
【特許文献1】特開2005‐321596号公報 (段落番号〔0041〜0054〕、図1〜図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印画紙を収容するマガジンを考えると、マガジンは、ロール状の印画紙を巻芯に対して巻回状態で支持し、この記録紙を圧着型のローラによって出し入れを行う構造を備えており、巻芯の軸芯方向での中央位置に記録紙の幅方向での中央位置を一致させる形態で記録紙をケースに収容するのが普通である。また、マガジンはミニラボ等と称せられる画像形成装置の特定の位置にセットされ、この特定の位置と、印画紙を搬送するレーンとの相対的な位置関係も予め設定される。
【0006】
マガジンにおいて基準となる(理想的な)センターの位置と、そのマガジンから送り出される記録紙の幅方向でのセンター位置とに誤差が生ずることもある。このことから、特許文献1に記載された技術のように、複数のレーンに決まったマガジンをセットした状態で較正を行うことにより、印画紙の幅方向での中央位置に画像データの主走査方向での中央位置を一致させ得る。しかしながら、較正を行ったものと異なるマガジンを使用した場合には誤差が画像形成位置に影響し、適正な位置から外れた位置に画像が形成されるものとなり改善の余地がある。
【0007】
このような不都合に対して、マガジンから送り出される記録紙の幅方向でのセンター位置と、基準位置との誤差をできるだけ小さくすることで、記録紙のセンター位置と基準とする位置とを精度高く一致させように調整を行うことも考えられるが、この調整を行うにはガイドやローラの位置調節を精度高く行う必要があるため、調整に手間が掛かり過ぎることや構造的な限界から現実的ではない。
【0008】
本発明の目的は、マガジンと、このマガジンから送り出される記録紙の幅方向での基準位置とに誤差が存在する場合でも、記録紙の幅方向で誤差がない位置に画像を形成することが可能な画像形成装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、マガジンに収容されている長尺の記録紙を設定寸法に切断して送る供給搬送ユニットと、この供給搬送ユニットから送られた記録紙に画像を形成する画像形成ユニットとを備えると共に、この画像形成ユニットを制御することにより記録紙の設定位置に画像を形成する制御ユニットを備えている画像形成装置であって、
マガジンの基準位置と、そのマガジンに収容されている記録紙の幅方向での設定位置との位置関係を偏位情報として記録する情報記録部がマガジンに備えられ、この情報記録部から偏位情報を取得する情報取得部が該画像形成装置に備えられ、前記制御ユニットは、前記情報取得部で取得した偏位情報に基づいて記録紙の幅方向での画像の形成位置を補正する画像位置補正手段を備えている点にある。
【0010】
この構成によると、マガジンに備えた情報記録部から、そのマガジンに収容されている記録紙の幅方向での設定位置に対する偏位情報が情報取得部で取得され、この偏位情報に基づいて記録紙の幅方向での画像形成位置を画像位置補正手段が補正する。このように画像形成位置が補正されることにより、マガジンの記録紙が供給搬送ユニットで画像形成ユニットに送られた場合には、画像形成ユニットにおいて記録紙に対し補正された位置に画像が形成される。その結果、マガジンと、このマガジンから送り出される記録紙の幅方向での設定位置とに誤差が存在する状況において、複数のマガジンの何れを用いた場合でも、記録紙の幅方向で誤差のない位置に画像を形成することが可能な画像形成装置が構成された。
【0011】
本発明は、前記情報記録部が、前記偏位情報を記録する記録モジュールと、この記録モジュールに記録されている偏位情報を電磁波によって出力する情報出力モジュールとを備え、前記情報取得部が、電磁波を受信する情報受信モジュールと、この情報受信モジュールで受信した電磁波から偏位情報を取得する情報制御モジュールとを備えても良い。これによると、情報記録部と情報取得部とが非接触状態にある状態で、情報記録部の記録モジュールに記録されている偏位情報を、情報取得部の情報制御モジュールが取得できることになり、例えば、コネクタ類を用いて情報の伝達を行うものと比較すると接触不良などの不都合を解消して信頼性を高めることが可能となる。
【0012】
本発明は、前記供給搬送ユニットの搬送経路の幅方向での搬送基準位置と、前記画像形成ユニットで前記記録紙に画像を形成する際の記録紙の幅方向での画像形成基準位置との誤差をレーン偏差として記録するレーン偏差記録部を備え、前記画像位置補正手段は、このレーン偏差記録部に記録されているレーン偏差と、前記偏位情報とに基づいて画像形成位置の補正を行っても良い。これによると、レーン偏差記録部に記録されたレーン偏差と、マガジンの情報記録部に記録した偏位情報とに基づいて画像位置補正手段が記録紙に対して幅方向での適正な位置に画像を形成することが可能となる。
【0013】
本発明は、前記マガジンが、前記記録紙が巻回される巻芯と、この巻芯に巻回される記録紙の幅方向の位置を規制するディスクと、記録紙を圧着して搬送する圧着ローラとを備えて構成されると共に、巻芯に巻回された記録紙の現実のセンター位置と、マガジンから記録紙を送り出す経路の幅方向でのセンター位置との誤差の実測値が偏位情報として前記情報記録部に記録されても良い。これによると、記録紙の幅方向のセンター位置と、マガジンから記録紙が送り出される経路のセンター位置との誤差の実測値を情報取得部が取得し、これに基づいて画像位置補正手段が補正を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、現像済みの写真フィルムFの画像情報のデジタル信号化を行い、デジタル信号化された画像データの処理を行い、システム全体の基本的な制御を行うオペレート部OPを備えると共に、記録紙としての銀塩印画紙P(以下、印画紙Pと称する)に対して画像データの露光処理と、露光処理後の印画紙Pの現像処理とを行い、乾燥処理を行った後に送り出すプリント部PRを備えることにより写真プリントを行う画像形成装置が構成されている。
【0015】
この画像形成装置はデジタルミニラボとも称せられるものであり、デジタルカメラで撮影に使用されたフラッシュメモリ等のメディアRに記録された画像データをオペレート部OPで取得し、プリント部PRにおいて印画紙Pにプリント処理する。
【0016】
本発明の画像形成装置は、印画紙Pに対して露光によって潜像を形成した後に現像処理により画像を形成するものに限るものではなく、例えば、記録紙にインクを吹き付けて画像を形成するインクジェットプリンタとして構成するものでも良い。この場合、インクを吐出するプリントヘッドが画像形成ユニットに対応する。
【0017】
〔オペレート部〕
前記オペレート部OPは、デスク状のコンソール部1に対して写真フィルムFのコマ画像の情報を光電変換によりデジタル信号化して取り込むフィルムスキャナ2と、各種情報を表示するディスプレイ3と、画像処理と各種処理とを実現する汎用コンピュータで成る処理装置4とを配置している。
【0018】
コンソール部1の上面に情報を入力するキーボード5と、ポインティングデバイスとして機能するマウス6とを備えている。処理装置4にCD−RやMOやFD等のディスク型や半導体型のメディアRからの情報を取得するようメディアRの構造に対応したメディアドライブ7を備え、内部には画像データ等の情報を記録する半導体メモリやハードディスク等(図示せず)を備えている。
【0019】
前記フィルムスキャナ2は、下部に配置した光源部からの光線をフィルムキャリア8に支持した写真フィルムFに照射し、この写真フィルムFからの画像を中間部のズームレンズでCCD型等の光電変換部に導き、この光電変換部でR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に色分解した画像データとして取り込むよう構成されている。
【0020】
前記処理装置4は、ディスプレイ3に表示された情報に従って前記キーボード5やマウス6の操作することにより各種の処理を実現するGUI(Graphical User Interface)型のインタフェースを具備している。
【0021】
この処理装置4は、プリント処理のオーダを受けた場合にフィルムスキャナ2で取り込んだ画像データ、あるいは、前記メディアドライブ7を介してメディアRから取り込んだ画像データを前記半導体メモリやハードディスク(図示せず)に記録する処理を行い、必要な場合には、ディスプレイ3に画像データを表示して補正処理を行い、この後、プリント対象とする画像データと、プリントサイズやプリント枚数等のオーダデータとを前記プリント部PRに伝送することによってプリント部PRでのプリント処理を実現する。
【0022】
〔プリント部〕
前記プリント部PRは、図1及び図2に示すように、露光ブロックExと、現像ブロックDeと、乾燥ブロックDrとを筐体10に収容して成ると共に、処理後の印画紙Pを筐体10の上部から送り出す排出系を備え、このように排出された印画紙Pを水平方向に送る搬送ベルト11を備え、この搬送ベルト11から送られる印画紙Pをオーダ単位で仕分けて集積するよう複数のトレー12を有したソータ13を備えている。
【0023】
〔露光ブロック〕
前記露光ブロックExは、下部に長尺の印画紙P(記録紙の一例)を収容する3つのマガジンMを配置しており、前記3つのマガジンMの何れか1つに収容したロール状の印画紙Pをプリントサイズ(設定寸法)に切断して送る供給搬送ユニット20と、この供給搬送ユニット20からの印画紙Pに画像データの露光を行う露光ユニット30(画像形成ユニットの一例)と、この露光ユニット30において露光された印画紙を前記現像ブロックDeに送り出す排出搬送ユニット40とを備えている。
【0024】
図2に示す如く、前記3つのマガジンMをマガジンMa、Mb、Mcとした場合、供給搬送ユニット20は、マガジンMa、Mb、Mcから送り出された印画紙Pを案内する3つの供給ガイド21を備え、この供給ガイド21からの印画紙Pを圧着して搬送する2つのアドバンスローラ22を備えている。また、供給搬送ユニット20は、2つのアドバンスローラ22で上方に送られる印画紙Pを案内する2つの縦ガイド23と、この2つの縦ガイド23から送られる印画紙Pが合流する縦姿勢の主搬送経路において印画紙Pをプリントサイズに切断するカッター24と、印画紙Pの裏面側に必要な情報を印字するドットインパクト型の印字ヘッド25と、印画紙Pを挟持して上方に搬送するチャック部27とを備えている。
【0025】
前記供給ガイド21と縦ガイド23とは、印画紙Pの表裏両面側に配置される部材を少なくとも備えている。この供給ガイド21と縦ガイド23とは、印画紙Pの幅方向の両端をガイドするように断面形状が「コ」字状で、搬送する印画紙Pの幅に対応して印画紙Pの幅方向での両端位置に配置されたガイド板同士の間隔が調節されるものが望ましい。
【0026】
画像形成ユニットとしての露光ユニット30は、チャック部27から印画紙Pが受け渡される圧着型の導入ローラ31と、圧着状態及び開放状態夫々に切り換え自在な上下の露光搬送ローラ32と、この露光搬送ローラ32で上方(副走査方向)に搬送される印画紙Pに対して水平方向(主走査方向)の露光ラインX(図3、図8を参照)に沿ってレーザビームを照射する露光エンジン33とを備えている。
【0027】
図3に示すように、露光エンジン33は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色のレーザビームを送り出すレーザ光源34r、34g、34bを備え、G(緑)、B(青)のレーザ光源34g、34bの光量を調整する変調素子35g、35bを備えている。また、この露光エンジン33は、レーザビームを反射するビームミラー36と、縦軸芯周りで回転することによりレーザビームを水平方向に走査する形態で反射させるポリゴンミラー37と、ポリゴンミラー37で反射されたレーザビームの走査速度を変換するfθレンズ38と、タイミングミラー39で反射したレーザビームを検出するタイミングセンサTSとを備えている。更に、露光ユニット30には、露光ラインXより搬送方向での上流位置において印画紙Pの先端位置を検出する印画紙センサPSが備えられている。
【0028】
このような構成から、露光を行う際には、露光搬送ローラ32による印画紙Pの搬送速度と同期した速度でポリゴンミラー37を回転させ、露光搬送ローラ32によって搬送される印画紙Pの先端を印画紙センサPSが検出し、この検出位置を基準にした露光ラインXに印画紙Pの先端が達したことが判別されると、ポリゴンミラー37で反射されたレーザビームをタイミングセンサTSで検出したタイミングを基準にした露光開始タイミング毎に、画像データの主走査方向での画像データの1ライン分を読み出し、この画像データに対応してレーザビームの光量を制御して走査露光を行う。この1ライン分の画像データを更新し、レーザビームをタイミングセンサTSで検出する毎に反復して露光を行うことにより、1コマ分の画像データの潜像が印画紙Pに形成される。
【0029】
排出搬送ユニット40は、露光搬送ローラ32で上方に搬送される印画紙Pを更に上方に搬送しながら、その搬送方向を水平方向に変換するように圧着状態及び開放状態夫々に切り換え自在な複数の前搬送ローラ41を備えている。更に、この排出搬送ユニット40は、前搬送ローラ41からの印画紙Pを圧着して水平方向に搬送する2つのチャッカー42と、チャッカー42で搬送された印画紙Pを受け取る圧着型の中間ローラ43と、この中間ローラ43からの印画紙Pを現像ブロックDeに送り込むように印画紙Pを圧着状態で搬送する複数の後搬送ローラ44とを備えている。
【0030】
この排出搬送ユニット40では、プリント処理される印画紙Pのサイズが予め設定されたサイズより小さい場合には、前搬送ローラ41から送り出される印画紙Pを2つのチャッカー42で交互に受け取り、予め設定された平行姿勢の2つの搬送経路に振り分けて送ることにより、中間ローラ43に対して並列的に印画紙Pを受け渡す制御が行われる。また、プリント処理される印画紙Pのサイズが予め設定されたサイズより大きい場合には、前搬送ローラ41から送り出される印画紙Pの幅方向での両端部を2つのチャッカー42で同時にチャックして、夫々が等しい速度で搬送下流側に移動し中間ローラ43に受け渡す制御が行われる。
【0031】
〔現像ブロック・乾燥ブロック〕
前記現像ブロックDeは、発色現像槽と漂白定着槽と安定槽とで成る複数の処理槽を一体形成した現像処理ユニット46を備えると共に、現像処理ユニット46に印画紙Pを供給する多数の現像搬送ローラ47を備えている。前記乾燥ブロックDrは、現像ブロックDeから送り出される印画紙Pに対してヒータで加熱された空気を供給するブロワ48を備えている。
【0032】
同図に示すように、露光ブロックExの内部には、供給搬送ユニット20によって印画紙Pを露光ユニット30に供給する制御と、露光ユニット30によって印画紙Pに画像データの露光を行う制御と、排出搬送ユニット40によって露光後の印画紙Pを現像ブロックDeに送り出す制御とを実現する制御ユニットCを備えている。
【0033】
〔制御ユニット〕
制御ユニットCは、前述した制御の他に、露光ユニット30において印画紙Pに露光を行う際には、印画紙Pに露光する画像データについて、印画紙Pの幅方向でのセンター(ペーパーセンターYp・幅方向での設定位置の一例)と、露光エンジン33で印画紙Pに対する画像形成位置の主走査方向でのセンター位置(露光センターYe)とを一致させる補正を行う。
【0034】
この位置補正を実現するため、図4〜図7に示すように、マガジンMには情報記録部50を備えている。この情報記録部50は、マガジンMを識別するためのマガジンIDと、そのマガジンMの基準位置を基準にして収容している印画紙PのペーパーセンターYpまでの位置関係を偏位情報とするペーパー偏差Gp(図8を参照、偏位情報の一例)の実測値と、ペーパー幅情報と、ペーパー種情報とを記録する。露光ブロックExの内壁15には、セット位置に配置されたマガジンMの情報記録部からペーパー偏差Gp(偏位情報)を取得して制御ユニットCに与える情報取得部52を備えている。
【0035】
情報記録部50は、RFID(Radio Frequency Identificationの略)で構成されるものであり、マガジンIDやペーパー偏差Gp(偏位情報の一例)等を記録するEEPROM等の半導体メモリで成る記録モジュール50Aと、この記録モジュール50Aを管理する情報管理モジュール50Bと、外部からの要求に対応して記録モジュール50Aから情報を送り出す情報出力モジュール50Cと、情報の入出力を行うアンテナ50Dとを備えている。
【0036】
情報取得部52は、電波を発信及び受信を行うアンテナ52Aと、このアンテナ52Aを介して情報記録部50から情報を受信する情報受信モジュール52Bと、この情報受信モジュール52Bで受信した情報のうちペーパー偏差Gpを制御ユニットCに送信すると共に、情報記録部50に対してアンテナ52Aを介して要求情報の出力を行う情報制御モジュール52Cとを備えている。
【0037】
情報記録部50は、アンテナ50Dに対して情報取得部52から電磁波を作用させることで、アンテナに発生する電力を電源として情報管理モジュール50Bや情報出力モジュール50C等を作動させるものを想定しているが、電源として電池を内蔵する構造のものであっても良い。
【0038】
特に、本発明では情報記録部50と情報取得部52との間で非接点式に情報のアクセスを行うものに限るものではなく、例えば、情報記録部50に形成した電気接点と、情報取得部52に形成した電気接点とが接触することで情報のアクセスを行うように構成するものであっても良い。
【0039】
露光ブロックExには開閉自在にドア16が備えられ、このドア16の内部のフレーム61に対して主レール62が備えられ、主レール62に対してスライド移動自在に支持された従動レール63に対して、マガジンMを支持する支持フレーム64が備えられている。支持フレーム64は平面視で矩形に成形され、マガジンMが自重で嵌り込むことによりマガジンMを水平方向で移動不能に支持する。
【0040】
露光ブロックExの内壁側には、セット位置に達した支持フレーム64に接当するストッパー65を備え、主レール62の外端(ドア16側の端部)にはセット位置に達した支持フレーム64に対してストッパー65の方向に押圧力に作用させるロックアーム66がロック軸芯L周りで回転操作自在に備えられている。
【0041】
内壁15には、マガジンMの入力ギヤ76に咬合する駆動ギヤ17を備え、この駆動ギヤ17は、供給搬送ユニット20での印画紙Pの搬送と同期して印画紙Pを送り出し、マガジンMの内部に印画紙Pを収容する際に駆動される。
【0042】
マガジンMは、開閉自在なケース70の内部にロール状の印画紙Pを支持する巻芯71と、ケース70を印画紙Pの幅方向に貫通する駆動軸72と、この駆動軸72と一体的に回転し印画紙Pを圧着して搬送する圧着ローラ73と、駆動軸72の回転力を巻芯71に伝えるようにギヤと歯付きベルトとで成る伝動部74とを備え、ケース70の外面には情報記録部50を備えている。
【0043】
巻芯71には、印画紙Pの幅方向での両端部の位置を規制するように一対のディスク75を備えており、一対のディスク75によって印画紙Pの幅方向での位置を規制することにより、マガジンMのケースに対して印画紙Pの幅方向でのセンター位置(中央位置)が維持される。また、駆動軸72の一方の端部には入力ギヤ76を備え、駆動軸72の他方の端部には駆動軸72を人為的に回転操作するためのノブ77を備えている。
【0044】
一対のディスク75は、巻芯71の軸芯方向での中央位置を基準にした対称となる位置に設定されるように連係して作動するように構成されている。これにより、マガジンMに対して幅が異なるロール状の印画紙Pをセットする際には一対のディスク75に挟まれる位置に印画紙Pをセットされることになり、マガジンMの基準位置を基準にした印画紙Pの幅方向での中央位置(ペーパーセンターYp・図8を参照)の位置が決まる。
【0045】
特に、マガジンMの基準位置は、マガジンMのケース70の底部のうち支持フレーム64に嵌り込み、この支持フレーム64の内面に接触する面である。しかしながら、本発明におけるマガジンMの基準位置としては、マガジンMがセット位置にある状態で、印画紙Pの幅方向から筐体側のストッパー等が接当するようにマガジンMのケース70の外壁面に形成した接当面であって良く、これと同様に、マガジンMがセット位置にある状態で、筐体側の突出片が嵌合するようにマガジンMのケース70の底面等に位置決めのために形成した凹部であっても良い。
【0046】
そして、図8示すように、このペーパーセンターYpとマガジンセンターYmとの誤差を人為的に計測し、ペーパー偏差Gpとして情報記録部50に記録することで、後述するように、このペーパー偏差Gpに起因する画像位置の変動を阻止した露光を実現できるものにしている。
【0047】
このペーパー偏差GpはマガジンMの個体差であるため、マガジン毎に異なる値を取ることもある。具体的に説明すると、マガジンMを製造した際に、マガジンMに印画紙Pを装填し、マガジンMのマガジンセンターYmと、印画紙PのペーパーセンターYpとの誤差を実測する。尚、マガジンセンターYmとは、マガジンMから印画紙Pが送り出される経路幅Wの中央(幅の1/2)の位置である。
【0048】
この実測に基づいたペーパー偏差Gpは、専用の機器(図示せず)を用いて情報記録部50の情報記録部30Aに記録される。また、ペーパーサイズやペーパー種も専用の機器(図示せず)を用いて情報記録部50に記録される。
【0049】
〔制御構成〕
図7に示すように、制御ユニットCは、供給搬送ユニット20と、露光ユニット30と、排出搬送ユニット40とに対する制御を実現する信号の入出力系が形成されると共に、通信ユニット55を介してオペレート部OPとの間で情報のアクセスを行う情報処理系を備え、情報取得部52を介して情報記録部50からのペーパー偏差Gpを取得する情報取得系を備えている。
【0050】
ペーパー偏差Gpとは、図8に示す如く、マガジンセンターYm(マガジンMから印画紙Pを送り出す経路幅Wの幅方向でのセンター)、印画紙Pの幅方向での中央のペーパーセンターYpとの誤差に方向としてプラス(+)又はマイナス(−)を与えたものである。尚、一方に偏位している場合にプラス(+)の符号が与えられ、他方に偏位している場合にマイナス(−)が与えられる。
【0051】
制御ユニットCは、入出力インタフェース80と、マイクロプロセッサCPUとを備えると共に、プリント対象となる画像データを保存するように半導体メモリで成る画像データ保存部81と、画像データをプリントする際のオーダデータを保存するように半導体メモリで成るオーダデータ保存部82とを備えている。
【0052】
また、制御ユニットCは、供給搬送ユニット20と、露光ユニット30と、排出搬送ユニット40とに印画紙Pを連係させて搬送する搬送制御手段83と、露光ユニット30を制御することにより画像データを印画紙Pに露光する露光制御手段84と、この露光制御手段84での露光時において印画紙Pに対する画像データの露光位置の補正を行う画像位置補正手段85と、情報取得部52によってマガジンMの情報記録部50のペーパー偏差Gp(偏位情報)を取得するペーパー偏差記録部86と、露光ユニット30における露光センターと各マガジンMa、Mb、Mcからの印画紙Pを搬送する3種の搬送経路(レーン)の搬送センターとの3種の誤差をレーン偏差Gcとして記録するレーン偏差記録部87と、露光ユニット30において印画紙Pの搬送方向での露光位置を設定するための露光タイミング情報を記録する露光タイミング情報記録部88とを備えている。
【0053】
搬送制御手段83と、露光制御手段84と、画像位置補正手段85とはソフトウエアで構成されるものを想定しているが、これらをソフトウエアとハードウエアとの組み合わせで構成して良く、これらをロジック等のハードウエアのみによって構成しても良い。
【0054】
また、ペーパー偏差記録部86と、レーン偏差記録部87と、露光タイミング情報記録部88とは半導体メモリで構成されるものを想定しているが、ハードディスクで構成しても良い。
【0055】
図8に示すように、露光エンジン33での主走査方向での中央位置を露光センターYe(画像形成基準位置の一例)とすると、この露光センターYeと、供給搬送ユニット20の各レーンの幅方向(印画紙Pの幅方向)での中央となるレーンセンターYc(搬送基準位置の一例)との誤差をレーン偏差Gcと称する。また、マガジンMを図4に示すセット位置にセットした状態で、レーンセンターYcと印画紙Pの幅方向でペーパーセンターYpとの誤差をペーパー偏差Gpと称する。
【0056】
レーン偏差Gcは、供給搬送ユニット20の各レーンのレーンセンターYcに対して、ペーパーセンターYpが高い精度で一致する状態で印画紙Pが搬送され、この印画紙Pが露光ユニット30に受け渡された場合に、露光エンジン33の露光センターYeとの誤差として捉えることが可能である。
【0057】
このレーン偏差Gcは、例えば、印画紙Pに対して決まったパターン等の較正用のデータをプリントし、このパターンと印画紙Pの幅方向での位置関係から取得するものが想定されている。このレーン偏差Gcは、画像形成装置が製造された時点で取得され、各レーンに対応する識別情報を付してレーン偏差記録部87に記録される。
【0058】
この搬送系では、供給搬送ユニット20のレーンセンターYcと、マガジンMにおいて印画紙Pを送り出す経路の幅方向での中央となるマガジンセンターYmとが高精度で一致しているものとして説明を進める。また、前述したペーパー偏差Gpと同様に、レーン偏差Gcとは、露光センターYeとレーンセンターYcとの誤差に方向としてプラス(+)又はマイナス(−)の符号を与えたものである。
【0059】
〔制御形態〕
制御ユニットCでの制御形態の概要を図9のフローチャートに示し、情報の流れを図8に示している。つまり、印画紙Pに画像を形成する画像形成処理では、画像データとオーダデータとを取得し、オーダデータのプリントサイズに基づいて、そのオーダに対応したマガジンMを設定すると共に、そのマガジンMの情報記録部50に保存されているペーパー偏差Gpを取得し、そのマガジンMから印画紙Pが搬送される供給搬送ユニット20のレーンのレーン偏差Gcを取得する(#01、#02ステップ)。
【0060】
この処理では、情報記録部50に保存されているペーパー偏差Gpを情報取得部52が取得して画像位置補正手段85に与えると共に、オーダデータ保存部82のオーダデータに基づいて、印画紙Pが搬送されるレーンのレーン偏差Gcをレーン偏差記録部87が画像位置補正手段85に与える。
【0061】
ペーパー偏差Gpを取得するタイミングとしてはプリントを実行する直前を想定しているが、マガジンMが露光ブロックExにセットされ、露光ブロックExのドア16が閉じられた後の適当なタイミングであっても良い。この場合、3つのマガジンMに対応した3つのペーパー偏差Gpがハードディスクや不揮発性メモリ等に記録される。
【0062】
次に、画像位置補正手段85が、センターマッチングデータと、レングスマッチングデータとを生成し、露光制御手段84に与え、更に、このセンターマッチングデータと、レングスマッチングデータとに基づき、露光制御手段84が印画紙Pに対してオーダデータに対応した露光を行う処理が実行される(#03、#04ステップ)。
【0063】
この処理では、オーダデータ保存部82のオーダデータと、画像データ保存部81に保存されたオーダデータとを露光制御手段84が取得すると共に、露光制御手段84が画像位置補正手段85からセンターマッチングデータとレングスマッチングデータとを取得し、これらのデータに基づいて露光位置のマッチングを行いながら印画紙Pに対して画像データの露光が行われる。
【0064】
センターマッチングデータは、ペーパー偏差Gpと、レーン偏差Gcとを加算した値であり、タイミングセンサTSでレーザビームを検出したタイミングを基にして設定される主走査方向での画像データの読み出しタイミングを、このセンターマッチングデータに対応して変更することにより、印画紙Pの主走査方向でのセンターと、画像データの主走査方向でのセンターとを一致させる処理を実現する。
【0065】
特に、ペーパー偏差Gpと、レーン偏差Gcとにはプラス(+)又はマイナス(−)の符号が与えられているため、ペーパー偏差Gpと、レーン偏差Gcとが同じ方向に偏位している場合には、大きい値のセンターマッチングデータが算出され、ペーパー偏差Gpと、レーン偏差Gcとが逆方向に偏位している場合には夫々が相殺されるため小さい値のセンターマッチングデータが算出される。
【0066】
レングスマッチングデータは、露光タイミング情報に対応した値であり、印画紙センサPSで印画紙Pの先端を検出したタイミングを基にして設定される露光開始タイミングを、このレングスマッチングデータに対応して変更することにより、印画紙の副走査方向でのセンターと、画像データの副走査方向でのセンターとを一致させる処理を実現する。
【0067】
この露光処理は、オーダに設定されている全ての画像データの露光が完了するまで継続して行われる(#04、#05ステップ)。
【0068】
〔実施形態の効果〕
このように本発明によると、マガジンMに対して情報記録部50を備え、この情報記録部50に対してペーパー偏差Gpを記録しておくことにより、マガジンMが露光ブロックExにセットされた場合には、この情報記録部50からペーパー偏差Gpが自動的に読み出され、印画紙Pに画像データが露光される際には画像位置補正手段85により、印画紙Pの幅方向での露光位置が補正される。また、画像位置補正手段85が露光位置の補正を行う際には、マガジンMからの印画紙Pを搬送するレーンのレーン偏差Gcに基づいて印画紙Pの幅方向での露光位置の補正が行われる結果、複数のレーンの何れにマガジンMをセットしても幅方向で最適な位置に露光を行えるものとなる。
【0069】
ペーパー偏差Gpは、マガジンMから供給される印画紙Pが設計上の理想とどれだけ幅方向にずれているかを現すものであり、マガジンMの供給メーカが供給する際、テスト機(基準機)を使って、実際にマガジンMから印画紙Pを搬送した際の結果をマガジンMの情報記録部50に対して、このペーパー偏差Gpをデータとして記録する形を取ることができる。そして、レーン偏差Gcにおいても、テスト用マガジン(基準マガジン)を使うことで画像形成装置の供給メーカが、それぞれのレーンに対するレーン偏差Gcを設定した上で、市場に供給することができる。
【0070】
これにより、例えば、マガジンMの適正な位置から印画紙Pを送り出すように機械的な精度を高める調節を行わずとも、ペーパー偏差GpをマガジンMの情報記録部50に記録しておき露光を行う際にはペーパー偏差Gpに基づいてソフトウエアによる処理を行うだけで主走査方向(幅方向)で適正な位置に露光を行えるものとなる。
【0071】
また、画像位置補正手段85は、副走査方向での露光位置の補正も行うので、例えば、露光ユニット30において印画紙センサPSと露光位置との関係が設定値に精度高く維持されていない場合でも、露光タイミング情報記録部88に記録されている露光タイミング情報に基づいてソフトウエアによる処理を行うだけで副走査方向(搬送方向)で適正な位置に露光を行える。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】画像形成装置の構成全体を示す斜視図
【図2】画像形成装置の縦断正面図
【図3】露光エンジンの構成を示す図
【図4】露光ブロックのセット位置に支持されたマガジンを示す縦断側面図
【図5】露光ブロックのセット位置に支持されたマガジンを示す縦断正面図
【図6】引き出された支持フレームに支持されたマガジンを示す縦断側面図
【図7】制御系のブロック回路図
【図8】印画紙の位置と情報の流れとを示す模式図
【図9】画像形成処理のフローチャート
【符号の説明】
【0073】
20 供給搬送ユニット
30 画像形成ユニット(露光ユニット)
50 情報記録部
50A 記録モジュール
50B 情報出力モジュール
52 情報取得部
52B 情報受信モジュール
52C 情報制御モジュール
71 巻芯
73 圧着ローラ
76 ディスク
87 レーン偏差記録部
85 画像位置補正手段
C 制御ユニット
M マガジン
P 記録紙(印画紙)
Gc レーン偏差
Gp 偏位情報(ペーパー偏差)
Yc 搬送基準位置(レーンセンター)
Ye 画像形成基準位置(露光センター)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マガジンに収容されている長尺の記録紙を設定寸法に切断して送る供給搬送ユニットと、この供給搬送ユニットから送られた記録紙に画像を形成する画像形成ユニットとを備えると共に、この画像形成ユニットを制御することにより記録紙の設定位置に画像を形成する制御ユニットを備えている画像形成装置であって、
マガジンの基準位置と、そのマガジンに収容されている記録紙の幅方向での設定位置との位置関係を偏位情報として記録する情報記録部がマガジンに備えられ、この情報記録部から偏位情報を取得する情報取得部が該画像形成装置に備えられ、前記制御ユニットは、前記情報取得部で取得した偏位情報に基づいて記録紙の幅方向での画像の形成位置を補正する画像位置補正手段を備えている画像形成装置。
【請求項2】
前記情報記録部が、前記偏位情報を記録する記録モジュールと、この記録モジュールに記録されている偏位情報を電磁波によって出力する情報出力モジュールとを備え、前記情報取得部が、電磁波を受信する情報受信モジュールと、この情報受信モジュールで受信した電磁波から偏位情報を取得する情報制御モジュールとを備えている請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記供給搬送ユニットの搬送経路の幅方向での搬送基準位置と、前記画像形成ユニットで前記記録紙に画像を形成する際の記録紙の幅方向での画像形成基準位置との誤差をレーン偏差として記録するレーン偏差記録部を備え、前記画像位置補正手段は、このレーン偏差記録部に記録されているレーン偏差と、前記偏位情報とに基づいて画像形成位置の補正を行う請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記マガジンが、前記記録紙が巻回される巻芯と、この巻芯に巻回される記録紙の幅方向の位置を規制するディスクと、記録紙を圧着して搬送する圧着ローラとを備えて構成されると共に、巻芯に巻回された記録紙の現実のセンター位置と、マガジンから記録紙を送り出す経路の幅方向でのセンター位置との誤差の実測値が偏位情報として前記情報記録部に記録されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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