説明

画像形成装置

【課題】 特別の駆動源を用いずとも、読取器のシャッタの開閉を高速に行なうことができる、実用性に富んだ画像形成装置の提供。
【解決手段】 読取窓(17a)に対して開閉するシャッタ(28)を備えた読取器(17)がキャリッジ(1)に搭載されている。キャリッジ(1)が、ホームポジション近傍にあるときに、間隔方向に移動させると、シャッタ(28)の一部が楔形状の当接部材(26)の斜面に当接して、この当接によってシャッタ(28)が開閉が切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアに画像形成を行なうプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリントに用いるメディアの情報、例えばメディアサイズや位置合わせ情報、カラーパッチなどの情報を、メディアから読み取って、プリンタを自動的に設定する試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献は、記録ヘッドを移動させるキャリッジに光学的な読取器を取り付けて、メディアから情報の読み取りを行って、プリント条件を自動設定することができる装置を開示している。(特許文献1参照)
この装置では、読取器に開閉可能なシャッタを設けて、非使用時にはシャッタを閉じて汚れが付くことを軽減する。シャッタの開閉には、キャリッジの移動を利用している。プリント領域の外側の両端部にそれぞれ当接片を設けて、キャリッジが一方の端部まで移動すると、シャッタの開閉機構が当接片に当接して、シャッタが閉から開へ切り替わり、他方の端部まで移動すると、同様に開から閉に切り替わるようになっている。
【特許文献1】特開2001−328266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された装置では、キャリッジが待機位置にあるとき、シャッタを開にするためには、待機位置とは反対側の端部まで、大きなストロークをそれも往復でキャリッジを移動させなければならない。往復移動に要する時間は単なる待ち時間であり、シャッタの開閉のためだけにこれだけの時間をかけるのは非効率である。大判のプリンタでは、シートの最大記録幅が60インチというものもあり、プリンタが大型化するほどに、開閉のためのキャリッジ往復時間は大きなものとなり、プリンタの実用性を損なう。
【0005】
本発明は上述の課題の認識に鑑みてなされたものである。
本発明の目的は、特別の駆動源を用いずとも、読取器のシャッタの開閉を高速に行なうことができる、実用性に富んだ画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、メディアに画像を形成する画像形成装置であって、搭載する記録ヘッドを、メディアに対して主走査方向および間隔方向に移動させるキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、且つ、読取窓と、該読取窓に対して開閉するシャッタを備え、前記読取窓を通して前記メディアから情報を読み取る読取器と、前記キャリッジが、前記主走査方向の所定位置において、前記間隔方向に移動する際に、前記キャリッジと共に移動する前記シャッタの一部が当接する位置に、前記キャリッジとは独立して設けた当接部材と、を有し、前記当接によって前記シャッタの開閉が切り替わるようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の別の形態は、メディアに画像を形成する画像形成装置であって、搭載する記録ヘッドを、メディアに対して主走査方向および間隔方向に移動させるキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、且つ、読取窓と、該読取窓に対して開閉するシャッタを備え、前記読取窓を通して前記メディアから情報を読み取る読取器と、前記キャリッジが前記主走査方向に移動する際に、前記キャリッジと共に移動する前記シャッタの一部が当接し得る位置に、前記キャリッジとは独立して設けた当接部材とを有し、前記当接部材は、前記読取器と前記メディアとの間隔に応じて、前記シャッタの一部と前記当接部材とが当接する場合と当接しない場合があるような位置に設けられており、当接した場合に、前記シャッタの開閉が切り替わるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の別の形態は、メディアに画像を形成する画像形成装置であって、搭載する記録ヘッドを、メディアに対して主走査方向および間隔方向に移動させるキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、且つ、読取窓と、該読取窓に対して開閉するシャッタを備え、前記読取窓を通して前記メディアから情報を読み取る読取器と、前記キャリッジが前記主走査方向に往復移動する際に、前記キャリッジと共に移動する前記シャッタの一部が当接する位置に、前記キャリッジとは独立して設けた当接部材を有し、前記当接部材は、弾性体と該弾性体に支持された当接片を備え、前記往復移動のいずれの方向においても、前記シャッタの一部が、前記弾性体を変形させながら前記当接片に当接して、前記シャッタの閉開が切り替わるように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特別の駆動源を用いずとも、読取器のシャッタの開閉を高速に行なうことができる、実用性に富んだ画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示する。ただしこの実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものではない。
【0011】
以下、画像形成装置の一例であるインクジェットプリンタを説明する。インクジェット方式は、発熱体を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式など、さまざまなインクジェット方式を用いることができる。
【0012】
なお、本発明の適用範囲はインクジェット方式に限らない。例えば、電子写真方式、サーマル方式、ドットインパクト方式などの様々な方式のプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機などのオフィスユースやホームユースの機器や、商業用や工業用のプリント装置等の各種画像形成装置にも適用可能である。
【0013】
図1は、キャリッジを中心とするプリンタの主要構成を示す図である。往復走査するプリントヘッドが右端部のホームポジションに位置した状態を示す。プリント時の記録ヘッドの主走査方向(往復走査の方向)をX軸とする。それと直交する、対向する記録ヘッドとプラテン上のメディアとの間隔方向(対向方向)をZ軸とする。図2は、キャリッジ1の構成を示す図である。両図を用いて説明する。本発明においては、上記X軸方向を「主走査方向」、上記Z軸方向を「間隔方向」という。
【0014】
図1では、キャリッジ1がホームポジションに位置する状態を示す。プリンタ本体の基礎フレームの一部であって位置基準となる右側板10に、キャリッジ1の端部が突当って静止している。ホームポジションにおいて、記録ヘッド2のキャッピングやワイピングなどの回復動作、および間隔方向における記録ヘッド2のヘッドポジションを調整する動作等を行なう。記録ヘッド2にはチューブ5を介して、インクタンク22からインクが供給される。インクタンク22は複数色のインクをそれぞれ供給するインクカートリッジ21を保持する。また、記録ヘッドのインク吐出面2aは、キャップ18で覆ってインクの乾燥を防いでいる。キャップ18内部のインクやエアーを吸引するため、チューブ19とポンプ20が接続されている。
【0015】
図2において、記録ヘッド2とプラテン43上のメディアMとが対向している。キャリッジ1は、記録ヘッド2を保持するヘッドホルダ3と、ヘッドホルダ3を保持するトランスレータ4から構成されている。トランスレータ4は、プリンタ本体のガイドに沿って主走査方向に往復移動する。ヘッドホルダ3は、メディアMに対する記録ヘッド2のヘッドポジション調整のために、トランスレータ4に対して間隔方向(図の上下方向)に上下移動することができる。この上下移動を実現するための機構として、トランスレータ4に両サイドを支持される軸7と、その軸7に勘合する偏芯カム8を有し、軸7が回転すると偏芯カム8が回転する。ヘッドホルダ3の突起部が、偏芯カム8の上側に載っており、偏芯カム8のカム面高さの変化に従って、ヘッドホルダ3が上下移動する。軸7を回転させる駆動力をプリンタ本体側から伝えるために、軸7の一方の端部には、カップリング9が取り付いている。
【0016】
図1および図2において、カップリング11は本体側のカップリングであり、カップリング9と係合して結合する。カップリング11はバネ12によってX方向に付勢され、キャリッジ1の端部が右側板10と突当った時に、カップリング9とカップリング11とが確実に結合するようにしている。カップリング11とバネ12は、カップリングギア13にハウジングされ、アイドラギア14を介してモータギア15と連結し、モータギア15はモータ16の回転軸に接続されている。モータ16を回転させると、ギアを介してカップリング11が回転し、これに結合するカップリング9および軸7が回転して、ヘッドホルダ3が上下移動することになる。なお、キャリッジ1がホームポジションから離れると、カップリング9とカップリング11の結合が切れるので、上記のような動作にはならない。
【0017】
ヘッドホルダ3の左側には、メディアMから情報を読み取る読取器17が搭載され一体化されており、ヘッドホルダ3と共に上下動する。読取器17は、発光部と受光部を内蔵する光学式のメディアセンサである。対向するメディアに読取窓17aを通して光を照射して、その反射光を読取窓17aを通して検出して情報を読み取る。読取器17にはその先端に光学的な読取窓17aが形成され、この読取窓17aに対して開閉可能なシャッタ27が設けられている。詳細については後述する。
【0018】
ここで、間隔方向(Z方向)における記録ヘッド2のヘッドポジションについて説明する。図3は、記録ヘッド2のヘッドポジションを示す図である。ヘッドポジションは3つある。図3(a)に示す最も距離が長いポジション(以下、Hポジションと呼ぶ)、図3(b)に示す2番目に長いポジション(以下、Mポジションと呼ぶ)、図3(c)に示す3番目に長いポジション、つまり最も短いポジション(以下、Lポジション)の3つである。
【0019】
通常のメディアを使用したプリントでは、Mポジションを設定する。また、超厚紙や板状のメディア、あるいはインク吸収によってメディア全体が波打ってしまう所謂コックリングが起き易いメディアを用いる際には、Hポジションを設定する。また、後述するように、読取器17を用いてメディアの情報を読み取る際にも、Hポジションを設定する。また、フィルムのように極薄厚ではあるがコックリングが起きにくいメディアを使用する場合は、Lポジションを設定する。使用するメディアに応じて、いずれかのヘッドポジションが設定される。これは、プリンタに接続されたPC側のドライバソフトで設定したメディアの種類に応じて、自動的に設定する。
【0020】
読取器17を用いた読み取りの際にHポジションを設定する理由は、安全マージンを高めるためである。もし、PCのドライバソフトで設定したメディアよりも厚みのあるメディアを実際にプリンタに装着してしまった場合、Hポジション以外では、記録ヘッド2の吐出面2aあるいは読取器17先端のシャッタ27が、メディアの表面と接触して擦ってしまう可能性がある。Hポジションであれば、それを未然に防止することができる。
【0021】
図5は、プリンタの全体構成を示す概略図である。コントローラ(制御手段)25は、プリンタ全体の様々な制御を司るものである。メディアMとして、ロールシート23とカットシート29の2タイプに対応する。使用するいずれかのメディアをフィードして、搬送ローラ24で搬送し、メディアMの先端がキャリッジ1とプラテン43の間に到達したところで停止する。そして、読取器を用いてメディアの情報の読み取りを行なう。
【0022】
ここでは、メディアの端部(エッジ)の位置を読み取って、メディアMの幅方向のサイズおよび斜行(メディアの搬送方向の方向ずれ)を判定するものとする。読取器によって、メディアの先端、右端、左端を位置検出する。端部の検出は、メディアMとプラテン43とでは表面反射率が違うので、読取器での出力値に相違が生じることを利用して行なう。左右の端部の位置からメディアの幅方向のサイズを判定する。そして判定したメディアサイズと、ユーザーによって設定されたサイズとが一致しているかの比較する。さらに、メディアが斜めになって搬送されていないかを判定する。サイズが一致していなかったり斜行が判定されたら、ユーザーに促す警告メッセージを出す。
【0023】
なお、以上は一例であり、メディアの他の情報を読み取って画像形成の条件を設定することもできる。例えば、メディアの表面状態(反射率や表面形状)や、メディア上に形成された識別マークを読み取って、メディアの種類を判別し、プリント条件を設定するようにしてもよい。またメディア上に予め形成したカラーパッチを読み取って、装置のカラーキャリブレーションを行なうようにしてもよい。
【0024】
読取器17で読み取りを行なうには、閉じているシャッタ27を開ける必要がある。その手順は次のとおりである。図1(a)はシャッタ27が閉じた初期状態、図1(b)はシャッタ27が開いた状態を示す。
【0025】
図1(a)の初期状態から、キャップ18が下方へ移動して、インク吐出面2aを露出させる。続いて、モータ16の駆動でヘッドホルダ3を下方に移動させる。ヘッドホルダ3がLポジションよりもさらに低い位置に移動すると、読取器17のシャッタ27と当接部材26の当接面が当接する。当接部材26は、キャリッジ1とは独立してプリンタ本体側に固定して設けた、楔形状の部材であり、当接面は間隔方向に対して斜面になっている。
【0026】
主走査方向における当接部材26の位置は、キャリッジ1がホームポジションに位置するときに、読取器17のシャッタ27のほぼ真下であるが、これには限定されない。主走査方向において、メディアへの画像形成領域より外側で、ホームポジション側の所定位置に設けるようにしてもよい。
【0027】
当接部材26の当接面に、シャッタ27の一部(右端部)が当接すると、当接面は斜面であるために、シャッタ27にはX方向に移動する力が作用する。ヘッドホルダ3が下方に移動していくにつれて、当接面に沿ってシャッタ27はさらにX方向に移動していく。そして、最後には、シャッタ27に形成された開口27が読取器17の光軸28の位置まで移動して、光軸28が遮られない状態となる。これがシャッタ27が読取窓17aに対して開になった状態である。図1(b)はこの状態を示す。
【0028】
なお、シャッタ27の一部に直接的に当接部材が当接して開閉を行なう形態に限らず、別の部材を介して間接的に当接するようにしてもよい。例えば、シャッタ27と実質的に一体化された部材や、シャッタ27に接触する部材に当接部材が当接して、この間接的な部材を介して、当接部材からシャッタに対して開閉の力を作用させるようにしてもよい。本発明では、この間接的な部材も含めて、「シャッタの一部」と称するものとする。
【0029】
上記のとおりシャッタ27が開状態になったところから、さらにモータ16を回転させると、今度はヘッドホルダ3は上方に移動する。これは、ヘッドホルダ3の突起が、偏芯カム8の上側に載っているからである。そして、ヘッドホルダ3が、Hポジションの高さまで移動したところで、モータ16を停止する。
【0030】
このHポジションを維持して、今度はキャリッジ1がX方向に移動する。そして、シャッタ27が開いた状態の読取器17で、メディアの端部(エッジ)の位置を読み取る。これは、キャリッジ1を主走査方向に移動させながら、さらにはメディアを逆方向や正方向に搬送させながら、読取器17で、メディアのメディアの先端、右端、左端を読み取る。そして、コントローラにてメディアサイズの判定や斜行の判定を行なう。
【0031】
このメディアの情報の読み取りの動作の後、シャッタ27を閉じる場合と閉じない場合がある。通常のプリントを行なう場合にはシャッタ27を閉じる。特に、読取器17の発光部や受光部にインクミストが付着しやすい状況、例えば、プリントデューティが高い場合(プリントデューティはPCから送られるデータより判断される)には、シャッタ27を閉じることが、汚れ付着防止に大きな効果を奏する。一方、例えば、斜行の起き易いメディアを用いて場合のように、頻繁に読取器17を用いての斜行判定が必要な場合には、シャッタ27は閉じずに開けたままにしておく。
【0032】
シャッタ27を閉じるには、キャリッジ1を、ホームポジションと反対側の端部に位置する、プリンタ本体の左側板45に向かって移動させる。そして、キャリッジ1の端部が左側板45に突当ると同時に、読取器17のシャッタ27の端部も左側板45に当接して、シャッタ27はその開口27aが、光軸28を遮蔽する方向に移動して、読取窓17aに対してシャッタ27が閉となる。図4はこのときの状態を示す図である。その後、キャリッジ1はホームポジションに戻される。
【0033】
以上の説明したとおり、本実施の形態の装置によれば、キャリッジのヘッドポジション調整の駆動機構を利用して、読取器のシャッタの開閉を高速に行なうことができる。初期状態からシャッタを開けるには、キャリッジを主走査方向に大きなストロークを移動させる動作が必要ないため、プリンタのトータルスループットが大きく向上し、実用性に富んだ装置を実現できる。
【0034】
<実施形態2>
別の実施形態について説明する。上記の例と基本的な構成や動作は類似しているので、異なる部分を中心に説明する。
【0035】
図6はプリンタの主要構成を示し、先の例と異なるのは、当接部材37の形状と位置である。図7(a)は、図6(a)のキャリッジ1を側面から見たもの、図7(b)は、図6(b)の状態を側面から見たものである。
【0036】
図6(a)、図7(a)の初期状態(Mポジション)から、読取器17での読み取りのために、ヘッドホルダ3をHポジションに移動させる。その状態が図6(b)、図7(a)である。このHポジションにおいてのみ、読取器17のシャッタ27は、当接部材37と、間隔方向における高さ方向で一致して、他のポジションにおいては一致しない。なお、説明を分かりやすくするため、両図において、当接部材37は模式的に描いており、詳細な構造は後述する。
【0037】
次に、メディアMの読み取りを行なうために、Hポジションを維持したまま、キャリッジ1をX方向に移動させる(往路)。すると、読取器17のシャッタ27と当接部材37とが当接する。当接部材37は、キャリッジ1とは独立してプリンタ本体側に固定して設けた部材であり。その構造は後述する。当接によってシャッタ27が移動し、読取窓に対してシャッタ27が閉から開に切り替わる。シャッタ27の開閉が切り替わって、キャリッジが1さらに進んだ状態を、図6(c)に示す。
【0038】
当接部材37は、ヘッドポジション(読取器17とメディアMとの間隔)に応じて、シャッタの27一部と当接部材37とが当接する場合(Hポジション)と、当接しない場合(Mポジション、Lポジション)があるような位置に設けられている。当接した場合だけシャッタ27の開閉が切り替わる。したがって、シャッタ27を開けたい場合はHポジションでキャリッジを主走査方向に移動させ、シャッタ27を開けたくない場合はMポジション又はLポジションでキャリッジを主走査方向に移動させればよい。
【0039】
主走査方向における当接部材37の位置は、キャリッジ1がホームポジションに位置するときに、読取器17のシャッタ27のから僅かに左方向の位置としたが、これには限定されない。主走査方向において、メディアへの画像形成領域より外側で、ホームポジション側の所定位置に設けるようにしてもよい。
【0040】
図8は、当接部材37を上方(Z方向)から見た図を示す。当接部材37は、弾性体41と、その先端には支持された当接片42からなる。弾性体41を用いることで、当接片42はX方向、−X方向のどちら側にも傾くことができる。弾性体41は弾性を持って撓む性質を有するもので、コイルバネ、板バネ、モールドバネ、ゴム板、ゴム棒などを用いる。
【0041】
図8(a)は、読取器17のシャッタ27が、当接部材37の当接片42に接触する直前を示す。読取窓17aを通る光軸28は、シャッタ27によって遮光された状態にある。ここで、当接片42にシャッタ27の一部(左端部)が当接して開き、その際に弾性体41が撓んで、シャッタ27をやり過ごす。その状態を図8(b)の実線で示す。読取窓17aを通る光軸28は、シャッタ27の開口27aによって透過の状態に変化し、センサ読み取り可能な状態になる。
【0042】
また、シャッタ27は、キャリッジ1がホームポジションに戻る(復路)際にも、当接部材37と逆側から当接して、開から閉に切り替わる。この際にも弾性体41が反対側に撓んで、シャッタ27をやり過ごす。その状態を図8(b)の破線で示す。また、先の図4での説明と同様に、ホームポジションと反対側の端部までキャリッジ1を移動させて、左側板にシャッタ27の端部を当接さえて、シャッタ27を閉じることもできる。当接することで行なう。このように、往復移動のいずれの方向においても、シャッタ27の一部が、弾性体41を変形させながら当接片42に当接して、前記シャッタの閉開が切り替わるように構成している。また、往路、復路ともヘッドポジションを調整することで、当接の有り無しをコントロールすることができるので、シャッタの開閉を自在に行なうことができる。
【0043】
なお、先の例と同様、シャッタ27の一部に直接的に当接部材が当接して開閉を行なう形態に限らず、別の部材を介して間接的に当接するようにしてもよい。例えば、シャッタ27と実質的に一体化された部材や、シャッタ27に接触する部材に当接部材が当接して、この間接的な部材を介して、当接部材からシャッタに対して開閉の力を作用させるようにしてもよい。本発明では、この間接的な部材も含めて、「シャッタの一部」と称するものとする。
【0044】
以上の説明したとおり、本実施の形態の装置によれば、ホームポジション近傍に設けた弾性体を持った当接部材によって、読取器のシャッタの開閉を高速且つ自在に行なうことができる。初期状態からシャッタを開けるには、キャリッジを主走査方向に大きなストロークを移動させる動作が必要ないため、プリンタのトータルスループットが大きく向上し、実用性に富んだ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施形態におけるプリンタの主要構成を示す図
【図2】キャリッジの構成を示す図
【図3】記録ヘッドのヘッドポジションを示す図
【図4】シャッタを閉じたときの状態を示す図
【図5】プリンタの全体構成を示す図
【図6】第2実施形態におけるプリンタの主要構成を示す図
【図7】キャリッジの構成を示す図
【図8】当接部材の構成を示す図
【符号の説明】
【0046】
1 キャリッジ
2 記録ヘッド
10 右側板
17 読取器
17a 読取窓
26 当接部材
27 シャッタ
27a 読取窓
37 当接部材
41 弾性体
42 当接片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアに画像を形成する画像形成装置であって、
搭載する記録ヘッドを、メディアに対して主走査方向および間隔方向に移動させるキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、且つ、読取窓と、該読取窓に対して開閉するシャッタを備え、前記読取窓を通して前記メディアから情報を読み取る読取器と、
前記キャリッジが、前記主走査方向の所定位置において、前記間隔方向に移動する際に、前記キャリッジと共に移動する前記シャッタの一部が当接する位置に、前記キャリッジとは独立して設けた当接部材と、を有し、
前記当接によって前記シャッタの開閉が切り替わるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記当接部材は、前記間隔方向に対する斜面を有しており、前記シャッタの一部が前記斜面に当接して、前記間隔方向の移動につれて前記斜面に沿って前記シャッタが閉から開に切り替わるように構成したことを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
メディアに画像を形成する画像形成装置であって、
搭載する記録ヘッドを、メディアに対して主走査方向および間隔方向に移動させるキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、且つ、読取窓と、該読取窓に対して開閉するシャッタを備え、前記読取窓を通して前記メディアから情報を読み取る読取器と、
前記キャリッジが前記主走査方向に移動する際に、前記キャリッジと共に移動する前記シャッタの一部が当接し得る位置に、前記キャリッジとは独立して設けた当接部材と、を有し、
前記当接部材は、前記読取器と前記メディアとの間隔に応じて、前記シャッタの一部と前記当接部材とが当接する場合と当接しない場合があるような位置に設けられており、当接した場合に、前記シャッタの開閉が切り替わるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記当接部材は、弾性体と該弾性体に支持された当接片を有しており、前記シャッタの一部が、前記弾性体を変形させながら前記当接片に当接して、前記シャッタの閉開が切り替わるように構成したことを特徴とする、請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記キャリッジは前記主走査方向に往復移動するものであり、前記往復移動のいずれの方向においても、前記シャッタの一部が、前記弾性体を変形させながら前記当接部に当接して、前記シャッタの開閉が切り替わるように構成したことを特徴とする、請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
メディアに画像を形成する画像形成装置であって、
搭載する記録ヘッドを、メディアに対して主走査方向および間隔方向に移動させるキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、且つ、読取窓と、該読取窓に対して開閉するシャッタを備え、前記読取窓を通して前記メディアから情報を読み取る読取器と、
前記キャリッジが前記主走査方向に往復移動する際に、前記キャリッジと共に移動する前記シャッタの一部が当接する位置に、前記キャリッジとは独立して設けた当接部材と、を有し、
前記当接部材は、弾性体と該弾性体に支持された当接片を備え、前記往復移動のいずれの方向においても、前記シャッタの一部が、前記弾性体を変形させながら前記当接片に当接して、前記シャッタの閉開が切り替わるように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記当接部材は、前記主走査方向において、前記メディアの画像形成領域より外側の前記キャリッジのホームポジション側の所定位置に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記キャリッジが、前記主走査方向に移動して端部に達した際に、前記キャリッジとは独立して設けた、前記当接部材とは別の当接部材に、前記シャッタの一部が当接して、前記シャッタが開から閉に切り替わるように構成したことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記読取器は、発光部と受光部を有し、前記発光部からの光を前記読取窓を通して前記メディアに照射して、前記メディアからの反射光を前記読取窓を通して前記受光部で受光するものであることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記読み取ったメディアに関する情報に基いて、画像形成の条件を設定する手段を有することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記記録ヘッドは、インクジェット方式で記録を行なうものである、請求項1乃至10のいずれか記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−62910(P2010−62910A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226988(P2008−226988)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】