説明

画像形成装置

【課題】大きな搬送負荷を発生させることなく、媒体の搬送不良が発生するのを防止することができるようにする。
【解決手段】媒体をセットするための載置台と、載置台にセットされた媒体に接触させて回転自在に配設され、媒体を給紙する給紙ローラ46と、給紙ローラ46の軸方向における両側に並べて配設され、給紙される媒体を案内するガイド部材とを有する。ガイド部材は、媒体の表面に対して垂直の方向に変位自在に、かつ、媒体に向けて付勢されて配設される。大きな搬送負荷を発生させることなく、媒体の搬送不良が発生するのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、カラーのプリンタにおいては、媒体としての用紙を、プリンタの装置本体内外に配設された媒体供給装置としてのシートフィーダ部にセットすることができるようになっている。そして、セットされる用紙が複数である場合、用紙は、シートフィーダ部の近傍に配設された分離機構によって1枚ずつ分離させられた後、搬送機構によって用紙の搬送方向における下流側の画像処理部に送られる。
【0003】
前記シートフィーダ部においては、例えば、用紙積載板をスプリングによって供給ローラに向けて付勢し、用紙積載板に積載された用紙のうちの最も上の用紙を給紙ローラに当接させるようにした分離パッド方式の分離機構が提供されている。該分離機構においては、給紙ローラによって繰り出された用紙は、分離パッドと給紙ローラとの当接部において、分離パッドを構成する摩擦片の摩擦力によって1枚に分離させられ、給紙される。そのために、前記給紙ローラはローラシャフトに取り付けられ、ローラシャフトを介して回転が伝達されるようになっている。
【0004】
また、前記ローラシャフトには、1 対のガイドローラが給紙ローラを中心にして対称の位置に隣接させて配設され、前記ガイドローラは、ローラシャフトの回転に伴って回転させられ、搬送される用紙の幅方向における端部の近傍において、用紙を案内する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−99416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のシートフィーダ部においては、ガイドローラが用紙を案内する際に、用紙にガイドローラが当たるのに伴って用紙が局部的に折り曲げられ、このとき、用紙の折曲げによる反力が発生する。その結果、繰り出される用紙と次の用紙との間、及び繰り出される用紙と用紙搬送路との間に摩擦が発生し、用紙を搬送する際の負荷、すなわち、搬送負荷が発生してしまう。
【0006】
薄い用紙を給紙する場合は、用紙の折曲げによる反力は小さいので、大きな搬送負荷が発生しないが、厚い用紙等のように、曲がり難く、コシの強い用紙を給紙する場合は、用紙の折曲げによる反力が大きいので、大きな搬送負荷が発生してしまう。その結果、給紙ローラと用紙との間に滑りが生じ、給紙ローラより下流側に配設されたローラまで十分に用紙を搬送することができず、用紙の搬送不良が発生してまう。
【0007】
本発明は、前記従来のシートフィーダ部の問題点を解決して、大きな搬送負荷を発生させることなく、媒体の搬送不良が発生するのを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像形成装置においては、媒体をセットするための載置台と、該載置台にセットされた媒体に接触させて回転自在に配設され、該媒体を給紙する給紙ローラと、該給紙ローラの軸方向における両側に並べて配設され、給紙される媒体を案内するガイド部材とを有する。
【0009】
そして、該ガイド部材は、媒体の表面に対して垂直の方向に変位自在に、かつ、媒体に向けて付勢されて配設される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置においては、媒体をセットするための載置台と、該載置台にセットされた媒体に接触させて回転自在に配設され、該媒体を給紙する給紙ローラと、該給紙ローラの軸方向における両側に並べて配設され、給紙される媒体を案内するガイド部材とを有する。
【0011】
そして、該ガイド部材は、媒体の表面に対して垂直の方向に変位自在に、かつ、媒体に向けて付勢されて配設される。
【0012】
この場合、ガイド部材は、媒体の表面に対して垂直の方向に変位自在に、かつ、媒体に向けて付勢されて配設されるので、大きな搬送負荷を発生させることなく、媒体の搬送不良が発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0014】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0015】
図において、11はプリンタの本体、すなわち、装置本体、14は、装置本体11から突出させて配設され、複数の媒体としての用紙Sを積載することができ、かつ、用紙Sを1枚ずつ分離させて供給、すなわち、給紙することができるようにした媒体供給装置としてのシートフィーダ部、15は該シートフィーダ部14から給紙された用紙Sを装置本体11の内部に送るローラである搬送ローラ対、16Bk、16Y、16M、16Cはブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の現像剤像としてのトナー像を形成するための画像形成ユニット(現像装置)、17は、該画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cで形成されたトナー像を用紙Sに順次転写し、カラーのトナー像を用紙Sに転写する転写ユニット、28はカラーのトナー像を用紙Sに定着させる定着装置としての定着器、19は排出ローラ対18によって装置本体11外に排出された用紙Sを積載するスタッカである。
【0016】
前記各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cは、像担持体としての感光体ドラム21を備え、該感光体ドラム21にトナー像が形成される。また、前記転写ユニット17は、第1のローラとしての駆動ローラ22、第2のローラとしての従動ローラ23、駆動ローラ22と従動ローラ23とによって張設され、走行させられて、用紙Sを搬送する搬送部材としての転写ベルト24、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの感光体ドラム21と転写ベルト24を介して対向させて配設され、トナー像を用紙Sに転写する転写部材としての転写ローラ25を備える。
【0017】
また、前記定着器28は、加熱ローラ31、該加熱ローラ31に押圧させて配設された加圧ローラ33等を備え、前記加熱ローラ31に加熱体32が配設される。
【0018】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるシートフィーダ部の斜視図である。
【0019】
図において、14はシートフィーダ部、41は複数枚の用紙Sをセットするための載置台としての、かつ、トレイ部としての給紙トレイ、42は積載された用紙Sを積載する載置台としての媒体積載部(用紙積載板)であり、該媒体積載部42は、前記給紙トレイ41の幅方向の2箇所に配設された回転軸42aを中心にして、前記給紙トレイ41に対して揺動自在に支持される。また、43は前記媒体積載部42の幅方向において移動自在に配設され、用紙Sの幅に応じて所定の位置で用紙Sを両側から挟む媒体規制部材としての用紙ガイド、44は分離部材としての分離パッドである。
【0020】
そして、前記シートフィーダ部14の前端には、装置本体11の所定のフレームに対して駆動軸としてのローラシャフト47が回転自在に配設され、該ローラシャフト47に、用紙Sを装置本体11内の搬送ローラ対15に供給するための媒体供給部材としての給紙ローラ46が、嵌合させて、かつ、給紙トレイ41の幅方向における中央に取り付けられ、用紙Sと接触させて回転自在に支持される。前記ローラシャフト47の一端にドライブギヤ48が配設され、該ドライブギヤ48は、図示されないギヤ列を介して給紙用の駆動部としての図示されない駆動モータと連結される。
【0021】
また、前記ローラシャフト47には、軸方向における給紙ローラ46の両側に並べて、かつ、給紙ローラ46を中心にして対称の位置に、ガイドローラユニット51が配設される。該各ガイドローラユニット51は、給紙ローラ46と同軸上に、用紙Sの表面に対して垂直の方向に変位自在に、かつ、用紙Sに向けて付勢されて、少なくとも一つ、本実施の形態においては、二つのガイド部材としてのガイドローラ52、53を備える。
【0022】
前記駆動モータを駆動すると、ローラシャフト47を介して給紙ローラ46に回転が伝達され、該給紙ローラ46によって用紙Sが給紙される。このとき、ガイドローラ52、53は用紙Sとの摩擦によって従動して回転させられ、用紙Sを案内する。なお、前記給紙ローラ46、ローラシャフト47、ガイドローラユニット51によって供給ローラユニット55が構成される。
【0023】
次に、前記構成の供給ローラユニット55について説明する。
【0024】
図3は本発明の第1の実施の形態における供給ローラユニットの要部を示す正面図、図4は本発明の第1の実施の形態における供給ローラユニットの要部を示す平面図、図5は本発明の第1の実施の形態における供給ローラユニットの動作を示す第1の図、図6は本発明の第1の実施の形態における供給ローラユニットの動作を示す第2の図である。
【0025】
図において、55は供給ローラユニット、46は給紙ローラ、47はローラシャフト、51はガイドローラユニットである。
【0026】
該ガイドローラユニット51は、前記装置本体11のフレームに取り付けられ、ほぼ「L」字状の形状を有するガイド部60、該ガイド部60に対して昇降自在(上下方向に移動自在)に配設された軸受装置としてのローラ軸受け61、付勢部材としてのスプリング63、前記ローラ軸受け61の両端において、ローラ軸受け61に対して回転自在に配設されたガイドローラ52、53等を備える。前記スプリング63は、各ガイドローラ52、53の一つ当たり、25〔gf〕以上、かつ、35〔gf〕以下の範囲の所定の付勢力で、ローラ軸受け61及びガイドローラ52、53を下方に向けて付勢する。
【0027】
前記ローラ軸受け61は、断面が矩形の本体部61a、該本体部61aの両側に突出させて形成された断面が円形の軸受け部61b、及び前記本体部61aと軸受け部61bとの間において径方向外方に向けて突出させて形成され、各ガイドローラ52、53が軸方向に、本実施の形態においては、本体部61a側に移動するのを規制する規制部材としてのフランジ61cを備え、前記軸受け部61bによって各ガイドローラ52、53が回転自在に支持される。なお、通常、ガイドローラ52、53の外周は、用紙Sとだけ接触し、他の部材とは接触しない。
【0028】
前記ガイド部60は、ローラ軸受け61の上方に配設された頂壁60a、ローラ軸受け61の前方に配設された前壁60b、前記ローラ軸受け61の両端における各ガイドローラ52、53の外側に配設された側壁60c、及び該側壁60cと平行に、かつ、各ガイドローラ52、53より中央部側に配設された内壁60dを備える。前記側壁60c及び内壁60dによって各ガイドローラ52、53の軸方向の移動が規制される。また、前記スプリング63は頂壁60aとローラ軸受け61との間に配設される。
【0029】
前記ローラ軸受け61には、上下方向(径方向)に長い断面を有する長穴66が、軸方向に貫通させて形成され、前記長穴66を前記ローラシャフト47が貫通して延在させられる。したがって、前記ガイド部60及び長穴66によって、ローラ軸受け61及びガイドローラ52、53は上下方向にだけ移動自在に案内される。
【0030】
前記ガイドローラ52、53の径は、給紙ローラ46の径と等しくするか、わずかに小さくされ、本実施の形態においては、ガイドローラ52、53の径は26〔mm〕に、給紙ローラの径は28〔mm〕にされる。
【0031】
次に、前記構成の供給ローラユニット55の動作について説明する。
【0032】
まず、前記媒体積載部42(図1)が、媒体積載部42と給紙トレイ41との間に配設された図示されないスプリングの付勢力によって上方に向けて付勢され、媒体積載部42にセットされた用紙Sのうちの最上部の用紙Sを給紙ローラ46に当接させる。そして、図示されない上位装置としてのホストコンピュータから送信された印刷命令を受けると、図示されない制御部は、ローラシャフト47を介して給紙ローラ46を回転させる。
【0033】
このとき、給紙ローラ46が回転させられると、給紙ローラ46と最上部の用紙Sとの間の摩擦力f1と、各用紙S間の摩擦力f2とによって、上部の数枚の用紙Sが給紙ローラ46と分離パッド44との当接部に向けて搬送される。そして、分離パッド44と用紙Sとの摩擦係数は用紙S間の摩擦係数より十分に大きいので、最上部の用紙Sだけが他の用紙Sから分離させられ、給紙ローラ46の搬送力によって繰り出され、矢印A方向に給紙されて、搬送ローラ対15に送られる。
【0034】
また、前記スプリング63の付勢力によってローラ軸受け61及びガイドローラ52、53は下方に移動させられ、最上部の用紙Sを押圧するので、最上部の用紙Sが繰り出されるのに伴って、ガイドローラ52、53は矢印B方向に回転させられ、用紙Sを案内する。
【0035】
続いて、用紙Sは、装置本体11内の各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cと転写ユニット17との間に送られ、用紙Sに各色のトナー像が順次重ねて転写され、カラーのトナー像が形成される。その後、用紙Sは、更に定着器28に送られ、該定着器28においてカラーのトナー像が定着させられ、カラー画像が形成される。このようにしてカラー画像が形成された用紙Sは、排出ローラ対18によって搬送され、スタッカ19に排出され、積載される。
【0036】
ところで、前記ガイドローラ52、53は、用紙Sを案内する際に、用紙Sに押圧されるので、用紙Sは局部的に折り曲げられ(湾曲させられ)ながら搬送される。このとき、用紙Sの折曲げによる反力が発生し、繰り出される用紙Sと次の用紙Sとの間、及び繰り出される用紙Sと用紙搬送路との間に摩擦が発生し、搬送負荷が発生してしまう。
【0037】
薄い用紙Sを給紙する場合は、用紙Sの折曲げによる反力は小さいので、大きな搬送負荷が発生しないが、厚い用紙S等のように、曲がり難く、コシの強い用紙Sを給紙する場合に、用紙Sの折曲げによる反力が大きいと、大きな搬送負荷が発生してしまう。
【0038】
ところが、本実施の形態においては、ガイド部60に対してローラ軸受け61及びガイドローラ52、53が上下方向に移動自在に配設されているので、曲がり難く、コシの強い用紙Sが給紙されると、図6に示されるように、ローラ軸受け61及びガイドローラ52、53が、スプリング63の付勢力に抗して上方(用紙Sから離れる側)に移動させられる。
【0039】
したがって、用紙Sが局部的に折り曲げられるのが抑制され、発生する反力を小さくすることができるので、繰り出される用紙Sと次の用紙Sとの間、及び繰り出される用紙Sと用紙搬送路との間等に摩擦が発生するのを抑制することができ、大きな搬送負荷を発生させることがない。その結果、給紙ローラ46と用紙Sとの間に滑りが生じるのを抑制することができ、給紙ローラ46より下流側に配設された排出ローラ対18まで十分に用紙Sを搬送することができ、用紙Sの搬送不良が発生するのを防止することができる。
【0040】
なお、ローラ軸受け61には、上下方向に長い断面を有する長穴66が形成され、該長穴66内にローラシャフト47が配設されるので、ローラ軸受け61及びガイドローラ52、53はガイド部60によって安定して案内され、上方に移動する。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明をし、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0042】
図7は本発明の第2の実施の形態における供給ローラユニットの要部を示す第1の正面図、図8は本発明の第2の実施の形態における供給ローラユニットの要部を示す第2の正面図である。
【0043】
この場合、ガイドローラユニット51は、前記装置本体11のフレームに取り付けられ、ほぼ「L」字状の形状を有するガイド部60、ローラシャフト47の軸方向における複数箇所、本実施の形態においては、2箇所において、前記ガイド部60に対して昇降自在(移動自在)に配設されたローラ軸受け81、82、該各ローラ軸受け81、82に対応させて配設された付勢部材としてのスプリング83、84、前記各ローラ軸受け81、82の一端(給紙ローラ46から離れる側の端部)において、各ローラ軸受け81、82に対して回転自在に配設されたガイドローラ52、53等を備える。前記各スプリング83、84は、それぞれ25〔gf〕以上、かつ、35〔gf〕以下の範囲の所定の付勢力で、各ローラ軸受け81、82及び各ガイドローラ52、53を下方に向けて付勢する。
【0044】
前記ローラ軸受け81、82は、断面が矩形の本体部81a、82a、該本体部81a、82aの一端(給紙ローラ46から離れる側の端部)側に突出させて形成された断面が円形の軸受け部81b、82b、及び前記本体部81a、82aと軸受け部81b、82bとの間において径方向外方に向けて突出させて形成され、各ガイドローラ52、53が軸方向に、本実施の形態においては、本体部81a、82a側に移動するのを規制する規制部材としてのフランジ81c、82cを備え、前記軸受け部81b、82bによって各ガイドローラ52、53が回転自在に支持される。また、前記ローラ軸受け81、82には、ローラシャフト47を貫通させるための穴81d、82dが形成される。
【0045】
ところで、第1の実施の形態においては、ローラ軸受け61(図5)に長穴66が形成されるのに対して、本実施の形態においては、各ローラ軸受け81、82にそれぞれ穴81d、82dが形成され、該各穴81d、82dの径は、給紙ローラ46に近い側で小さく、給紙ローラ46から離れる側で大きくされる。そのために、各穴81d、82dの給紙ローラ46側の端部に径方向内方に向けて凸部81e、82eが形成される。なお、各穴81d、82dの径を給紙ローラ46に近い側から、給紙ローラ46から離れる側にかけて徐々に大きくすることができる。
【0046】
前記構成の供給ローラユニット55において、給紙ローラ46による給紙が開始されると、前記ガイドローラ52、53は、用紙Sを案内する際に、用紙Sに押圧されるので、用紙Sは局部的に折り曲げられ(湾曲させられ)ながら搬送される。
【0047】
そして、厚い用紙S等のように、曲がり難く、コシの強い用紙Sを給紙する場合に、用紙Sの折曲げによる反力が大きいと、大きな搬送負荷が発生してしまう。
【0048】
ところが、本実施の形態においては、各穴81d、82dの径は、給紙ローラ46に近い側で小さく、給紙ローラ46から離れる側で大きくされるので、曲がり難く、コシの強い用紙Sが給紙されると、各ローラ軸受け81、82において、給紙ローラ46に近い側は、各穴81d、82dの径が小さいので上方に移動しないのに対して、給紙ローラ46から離れる側は、各穴81d、82dの径が大きいので上方に移動する。その結果、各ローラ軸受け81、82は、スプリング63の付勢力に抗して凸部81e、82eを中心にして角度θだけ回動し、軸受け部81b、82b側が高くなり、用紙Sに対して傾斜させられる。
【0049】
したがって、用紙Sが局部的に折り曲げられるのが抑制され、発生する反力を小さくすることができるので、繰り出される用紙Sと次の用紙Sとの間、及び繰り出される用紙Sと用紙搬送路との間等に摩擦が発生するのを抑制することができ、大きな搬送負荷を発生させることがない。その結果、給紙ローラ46と用紙Sとの間に滑りが生じるのを抑制することができ、給紙ローラ46より下流側に配設された排出ローラ対18まで十分に用紙Sを搬送することができ、用紙Sの搬送不良が発生するのを防止することができる。
【0050】
また、各ガイドローラ52、53の用紙Sと接触する面が傾けられ、給紙ローラ46側が低く、給紙ローラ46から離れる側が高くされる。したがって、各ガイドローラ52、53が用紙Sを案内する際に、用紙Sを両縁側(外側)に引き延ばしながら搬送する。その結果、用紙Sの搬送方向における下流側において、用紙Sにシワが発生するのを防止することができる。
【0051】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明をし、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0052】
図9は本発明の第3の実施の形態における供給ローラユニットの要部を示す正面図である。
【0053】
この場合、ガイドローラユニット51は、前記装置本体11のフレームに取り付けられ、ほぼ「L」字状の形状を有するガイド部60、ローラシャフト47の軸方向における複数箇所、本実施の形態においては、2箇所において、前記ガイド部60に対して昇降自在(移動自在)に配設されたローラ軸受け91、92、該各ローラ軸受け91、92に対応させて配設された付勢部材としてのスプリング83、84、前記ローラ軸受け91の一端(給紙ローラ46から近い側の端部)において、ローラ軸受け91に対して回転自在に配設されたガイドローラ52、前記ローラ軸受け92の一端(給紙ローラ46から離れる側の端部)において、ローラ軸受け92に対して回転自在に配設されたガイドローラ53等を備える。そして、前記各スプリング83、84は、それぞれ25〔gf〕以上、かつ、35〔gf〕以下の範囲の所定の付勢力で、各ローラ軸受け91、92及び各ガイドローラ52、53を下方に向けて付勢する。
【0054】
前記ローラ軸受け91、92は、断面が矩形の本体部91a、92a、該本体部91aの一端(給紙ローラ46から近い側の端部)及び、本体部92aの一端(給紙ローラ46から離れる側の端部)側に突出させて形成された断面が円形の軸受け部91b、92b、及び前記本体部91a、92aと軸受け部91b、92bとの間において径方向外方に向けて突出させて形成され、ガイドローラ52、53が軸方向に、本実施の形態においては、本体部91a、92a側に移動するのを規制する規制部材としてのフランジ91c、92cを備え、前記軸受け部91b、92bによって各ガイドローラ52、53が回転自在に支持される。また、前記ローラ軸受け91、92には、第1の実施の形態と同様に、ローラシャフト47を貫通させるための、上下方向に長い断面を有する長穴91d、92dが形成される。
【0055】
前記構成の供給ローラユニット55において、給紙ローラ46による給紙が開始されると、前記ガイドローラ52、53は、用紙Sを案内する際に、用紙Sに押圧されるので、用紙Sは局部的に折り曲げられ(湾曲させられ)ながら搬送される。
【0056】
そして、厚い用紙S等のように、曲がり難く、コシの強い用紙Sを給紙する場合に、用紙Sの折曲げによる反力が大きいと、大きな搬送負荷が発生してしまう。
【0057】
ところが、本実施の形態においては、ガイド部60に対してローラ軸受け91、92及びガイドローラ52、53が上下方向に移動自在に配設されているので、曲がり難く、コシの強い用紙Sが給紙されると、スプリング63の付勢力に抗してローラ軸受け91、92及びガイドローラ52、53が上方(用紙Sから離れる側)に移動させられる。
【0058】
なお、ローラ軸受け91、92には、上下方向に長い断面を有する長穴91d、92dが形成され、該長穴91d、92dにローラシャフト47が配設されるので、ローラ軸受け91、92及びガイドローラ52、53はガイド部60によって安定して案内され、上方に移動させられる。
【0059】
なお、前記各実施の形態においては、ローラ軸受け61、81、82、91、92を支持するためにローラシャフト47が使用されるようになっているが、フレームに形成された支持部材としてのポストを使用することもできる。
【0060】
前記各実施の形態においてはプリンタについて説明しているが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用することができる。
【0061】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるシートフィーダ部の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における供給ローラユニットの要部を示す正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における供給ローラユニットの要部を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における供給ローラユニットの動作を示す第1の図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における供給ローラユニットの動作を示す第2の図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における供給ローラユニットの要部を示す第1の正面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における供給ローラユニットの要部を示す第2の正面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態における供給ローラユニットの要部を示す正面図である。
【符号の説明】
【0063】
11 装置本体
14 シートフィーダ部
41 給紙トレイ
42 媒体積載部
46 給紙ローラ
51 ガイドローラユニット
52、53 ガイドローラ
55 供給ローラユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)媒体をセットするための載置台と、
(b)該載置台にセットされた媒体に接触させて回転自在に配設され、該媒体を給紙する給紙ローラと、
(c)該給紙ローラの軸方向における両側に並べて配設され、給紙される媒体を案内するガイド部材とを有するとともに、
(d)該ガイド部材は、媒体の表面に対して垂直の方向に変位自在に、かつ、媒体に向けて付勢されて配設されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、給紙ローラと同軸上に配設される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド部材を支持する軸受け装置が、給紙ローラの駆動軸によって上下方向に移動自在に案内される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、上下方向に移動するのに伴って、媒体に対して傾斜させられる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、回転自在に配設されたガイドローラである請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−89896(P2010−89896A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260914(P2008−260914)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】