説明

画像形成装置

【課題】高揮発性のキャリア液にトナーを分散させた液体現像剤を用いて低熱エネルギーでの定着を可能にすると同時に、画像形成終了後に現像剤担持体上に残留した液体現像剤のキャリア液成分が装置停止中に揮発してトナーが現像剤担持体上にこびりつくことを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】液体現像剤を担持搬送する現像剤担持体の表面に、キャリア液よりも低揮発性の液体を塗布する塗布手段を備え、該塗布手段により、画像形成中以外の所定のタイミングで、現像剤担持体の液体現像剤を担持する面の全面にわたって、低揮発性の液体を塗布状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
キャリア液中にトナーを分散させた液体現像剤を、現像剤担持体を用いて担持搬送し、像担持体上に形成した潜像を現像する現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体(像担持体)に静電潜像を形成し、それにトナーを付着させて、紙などに転写して定着する電子写真方式の画像形成装置が、広く使用されている。特に、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れもおきにくい液体現像剤を用いる湿式現像方式が用いられるようになってきている。
【0003】
近年では、シリコンオイルなどの絶縁性液体「キャリア液」中に樹脂及び顔料からなる固形分としてのトナーを高濃度に分散させることで構成される、高粘度で高濃度の液体現像剤を用いる画像形成装置が提案されるようになってきた。
【0004】
この液体現像剤を用いて現像する際には、現像ローラ等の現像剤担持体上に現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された現像剤を感光体に接触させて現像するのが一般的である。しかし、感光体上の潜像を現像した後も、現像ローラ等の現像剤担持体上には液体現像剤が残留し、次の画像形成等に悪影響を及ぼす。
【0005】
このような問題に対応するため、画像形成後残留した現像ローラ等の現像剤担持体上の現像剤をブレード等のクリーニング部材を用いて除去する技術が開発されてきた。またそのように除去した現像剤を回収して再利用できるような技術も提案されてきた。
【0006】
一方、現像された液体現像剤は、感光体上のトナー像(キャリア液を含む)として、紙等の記録媒体上に転写された後、定着装置により加熱され、記録媒体に定着される。
【0007】
定着されるのはトナー像であり、そこに含まれるキャリア液は、プロセス中に(特に定着による加熱時に)揮発することが要求される。定着されたトナー像にキャリア液が残存していると、定着強度を低下させ、また裏うつり等、定着品質にも悪影響を及ぼす。
【0008】
従って、キャリア液を揮発させるための十分な熱エネルギーを(定着時に)必要とするが、できる限り定着時の熱エネルギーを抑えるためには、キャリア液の揮発性が高い方が望ましい。
【0009】
しかし、キャリア液として常温(使用時の環境)で揮発しやすい高揮発性の液体を用いた場合には、以下のような問題が発生する。すなわち、画像形成直後には液体現像剤を担持搬送した各現像剤担持体の現像剤担持面上に液体現像剤が残留しており、この状態で装置が停止していると、残留現像剤中からキャリア液が揮発して、残留現像剤中のトナー固形分比が高くなっていく。さらに長時間放置されると、トナーが現像剤担持体にこびりついてしまい、次の画像形成時に画像品質に不具合を引き起こす。
【0010】
各現像剤担持体上の残留現像剤は前述したクリーニング部材により除去されるが、ごく一部のトナーはブレード等をすり抜けて現像剤担持体上に残り、やはり長時間放置されると、トナーの固着を発生させる。
【0011】
このような、高揮発性のキャリア液を用いることによる不具合を解決するために、液体現像剤を担持搬送する現像剤担持体に低揮発性の液体を供給する技術が開発されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
特許文献1には、画像形成終了後に、現像剤担持体上に不揮発性の液体を供給してトナー固着を防止する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平3−118579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1に記載の技術によれば、画像形成終了後に、現像剤担持体上に不揮発性の液体を供給することにより現像剤担持体上のトナー固着発生を防止することができる。
【0015】
しかしながら、現像剤担持体上に不揮発性の液体を供給しただけでは、以下のような問題が発生する。
【0016】
すなわち、不揮発性液が、残留現像剤を除去するためのクリーニング部材で除去されてしまうので、現像剤担持体の移動方向に対して、クリーニング部材の下流側には、結果的に不揮発性液が供給されないことになる。
【0017】
クリーニング部材は、現像剤担持体上から液体現像剤を除去するためのものであり、これにより、かぶりなどの不具合のない画像を提供できる。しかし、現像剤担持体上からトナーを完全に除去するのは難しい。
【0018】
既述したように、ごく一部ながら、クリーニング部材と現像剤担持体の間をすり抜けるトナーがある。このようにして、ほんの一部でもトナーが現像剤担持体上に残り、なおかつ、クリーニング部材の下流側に不揮発性液が供給されない場合には、やはりトナー固着が発生する。
【0019】
本発明は、上記の技術的課題に鑑みてなされたものである。
【0020】
本発明の目的は、常温で揮発性のあるキャリア液にトナーを分散させた液体現像剤を用いて低熱エネルギーでの定着を可能にすると同時に、画像形成終了後に現像剤担持体上に残留した液体現像剤のキャリア液成分が装置停止中に揮発してトナーが現像剤担持体上にこびりつくことを防止することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0022】
1.キャリア液にトナーを分散させた液体現像剤で潜像を現像し、トナー像を形成する画像形成装置であって、
前記液体現像剤を、他の部材に供するため表面に担持搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の表面から他の部材に供した残りの前記液体現像剤を除去するクリーニング手段と、
前記クリーニング手段により前記液体現像剤の除去される前記現像剤担持体の表面に、前記キャリア液よりも低揮発性の液体を塗布する塗布手段と、を有し、
前記塗布手段は、
画像形成中以外の所定のタイミングで、少なくとも1つの前記現像剤担持体の前記液体現像剤を担持する面の全面にわたって、前記低揮発性の液体を塗布状態にする
ことを特徴とする画像形成装置。
【0023】
2.前記所定のタイミングは、画像形成終了後である
ことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0024】
3.前記所定のタイミングは、所定の時間以上画像形成動作が行われなかった場合である
ことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0025】
4.前記所定のタイミングは、装置電源オフの直前である
ことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0026】
5.前記塗布手段による前記低揮発性の液体の塗布時には、前記クリーニング手段は前記現像剤担持体から離間している
ことを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【0027】
6.前記塗布手段による前記低揮発性の液体の塗布中に、前記現像剤担持体が画像形成中とは逆方向に回転する
ことを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【0028】
7.前記低揮発性の液体は引火点が120℃以上である
ことを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る画像形成装置によれば、高揮発性のキャリア液中にトナーを分散させた液体現像剤を担持搬送する現像剤担持体の表面に、キャリア液よりも低揮発性の液体を塗布する塗布手段を備え、該塗布手段により、画像形成中以外の所定のタイミングで、現像剤担持体の液体現像剤を担持する面の全面にわたって、低揮発性の液体を塗布状態にする。
【0030】
これにより、低熱エネルギーでの定着を可能にすると同時に、画像形成終了後に現像剤担持体上に残留した液体現像剤のキャリア液成分が装置停止中に揮発してトナーが現像剤担持体上にこびりつくことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成例を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置に用いる現像装置の概略構成例1を示す図である。
【図3】図1の画像形成装置に用いる現像装置の概略構成例2を示す図である。
【図4】現像剤担持体のクリーニング装置の一構成例を示す図である。
【図5】低揮発性液の塗布手段の構成例1を説明するための概略図である。
【図6】低揮発性液の塗布手段の構成例2を説明するための概略図である。
【図7】低揮発性液の塗布手段の構成例3を説明するための概略図である。
【図8】低揮発性液の塗布手段の構成例4を説明するための概略図である。
【図9】低揮発性液の塗布手段の構成例5を説明するための概略図である。
【図10】現像ローラ上に不揮発性液を塗布する工程の処理手順例を示すフローチャートである。
【図11】現像剤担持体が感光体や中間転写体の場合の塗布工程の処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0033】
(画像形成装置の概略構成と動作)
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成を示す図である。
【0034】
像担持体としての感光体1の周囲には、矢印で示す回転方向に順に、帯電装置2、露光装置3、液体現像装置4Y、4M、4C、4K、中間転写体5、感光体クリーニング装置6がそれぞれ配設され、前記中間転写体5の周囲には、転写ローラ7、中間転写体クリーニング装置10が配設されている。
【0035】
被転写材(用紙)8は中間転写体5と転写ローラ7との間を通り、定着装置9を通って排紙される。
【0036】
また、4組の液体現像装置4Y、4M、4C、4Kは、いずれも前記感光体1と離接可能に設けられ、それぞれ、表面に液体現像剤を担持し、感光体1表面の静電潜像を現像する現像ローラ41を備えている。
【0037】
ここで、液体現像装置4Yのトナーをイエロートナー、液体現像装置4Mのトナーをマゼンタトナー、液体現像装置4Cのトナーをシアントナー、液体現像装置4Kのトナーをブラックトナーとし、それぞれの液体現像装置において対応する各色のトナー像を形成して、中間転写体5の表面で重ね合わせ、その後被転写材8上に一括転写することでフルカラー画像を形成することができる。
【0038】
図1の画像形成装置の動作について、順を追って説明する。
【0039】
感光体1は矢印で示す方向に回転している。まず、感光体1の表面を帯電装置2により、所定の表面電位に一様に帯電し、その後、露光装置3により画像情報の露光を行い、感光体1の表面に静電潜像を形成する。
【0040】
次いで液体現像装置4Yを感光体1に対向させ、現像ローラ41の表面に担持された液体現像剤を感光体1に接触させて静電潜像を現像することで、感光体1の表面にイエローのトナー像が形成される。
【0041】
感光体1がさらに回転すると、表面のトナー像は、感光体1と中間転写体5が当接する一次転写領域に移動する。
【0042】
中間転写体5には図示しない電源により負極性の電圧が印加され、この印加電圧によって発生した電界でトナーが移動することで、感光体1の表面のトナー像が中間転写体5の表面に一次転写される。
【0043】
一次転写後、感光体1に残存する液体現像剤は感光体クリーニング装置6により除去され、帯電装置2によって感光体1の表面は再び所定の表面電位に一様に帯電する。
【0044】
続いて、感光体1の表面に再度静電潜像が形成され、液体現像装置4Mによって現像されて感光体1の表面にはマゼンタのトナー像が形成される。
【0045】
マゼンタのトナー像はその後中間転写体5の表面に一次転写され、中間転写体5の表面にはイエローのトナー像とマゼンタのトナー像が重ね合わされる。
【0046】
同様にして、液体現像装置4Cで現像されたシアンのトナー像と、液体現像装置4Kで現像されたブラックのトナー像も重ね合わされて、中間転写体5の表面にフルカラーのトナー像が形成される。
【0047】
中間転写体5の表面に形成されたフルカラーのトナー像は、中間転写体5が矢印方向に回転することで、中間転写体と被転写材8が当接する二次転写領域に移動する。
【0048】
二次転写領域では、被転写材8の裏面にある転写ローラ7によって中間転写体5と被転写材8との間に線圧が加えられながら、転写ローラ7には図示しない電源によって負極性の電圧が印加される。この電圧印加により、トナー像は被転写材8の表面に引き付けられ二次転写される。
【0049】
トナー像が転写された被転写材8は定着装置9により定着処理がなされ、画像出力が完成する。
【0050】
(液体現像剤について)
液体現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いられる液体現像剤は、イソパラフィンなどの有機溶剤であるキャリア液にトナー粒子を分散させたものであって、さらに荷電制御剤、分散剤等の機能付与剤を含有していてもよい。
【0051】
液体現像剤の濃度、粘度としては、トナー粒子などの固形成分を10から50質量%の割合で分散させ、25℃における粘度が1mPa・sから10000mPa・sの範囲にあるような液体現像剤を使用する場合が特に適している。
【0052】
キャリア液の揮発性が低すぎると、定着時に必要な熱エネルギーが高くなりすぎる。定着時の熱エネルギーを抑えるためには、キャリア液の揮発性は高い方がよい。しかし、常温で揮発性のある液体を用いた場合には、これに起因して後述する別の課題が発生する。
【0053】
(液体現像装置の概略構成と動作)
図2及び図3は、図1の画像形成装置に用いる現像装置4の概略構成のそれぞれ別の例(構成例1及び2)を示す図である。
【0054】
<現像装置構成例1>
図2を用いて、図1の画像形成装置に用いる現像装置4の構成例1を説明する。但し、塗布手段については、図5以降を用いて説明するので、図示していない。
【0055】
図2においては、現像剤槽49内に液体現像剤を供給するための液体現像剤供給ノズル42が設置され、図示しない液体現像剤貯蔵槽より配管を経由して液体現像剤が供給される。
【0056】
供給ローラ47の一部が現像剤槽49内の液体現像剤に浸漬しており、供給ローラ47の回転に伴って供給ローラ47の表面に液体現像剤を付着させて汲み上げる。
【0057】
汲み上げ部の上方には現像剤薄層規制ブレード44が当接、もしくは適切なギャップをもって近接しており、ここで余分な液体現像剤はかきとられ、適切な量の液体現像剤のみが通過する。
【0058】
適量に規制された液体現像剤は供給ローラ47と接触回転する現像ローラ41上に転移し、現像ローラ41上に液体現像剤薄層として担持される。
【0059】
現像ローラ41上に形成され、担持された液体現像剤薄層に対して、図示省略の電圧印加装置からトナー荷電電圧が印加されたコロナ帯電器45が電荷を付与し、それにより薄層中のトナーが荷電され、該トナーの帯電量が、静電潜像現像及びトナー像転写をより円滑、確実化するものとされる。なお、トナーが電荷を十分保持していれば帯電器45を省略することも可能である。
【0060】
そして、静電潜像現像のために、現像ローラ41には図示省略の電圧印加装置から現像バイアス電圧が印加される。
【0061】
かくして現像ローラ41上の現像剤薄層におけるトナーが感光体1上の静電潜像現像に供され、既述のように可視トナー像が形成される。
【0062】
現像ローラ41上の、現像で消費されなかった液体現像剤は、クリーニング装置46にて現像ローラ41上からかき取られる。
【0063】
供給ローラ47は、弾性体ローラでも金属ローラでもよいが、表面に液体現像剤を保持搬送することのできる凹部を設け、この凹部の容積により搬送される液体現像剤の量を安定的に規制できる、アニロックスローラが好適に用いられる。
【0064】
現像ローラ41としては、表面がウレタンゴムやNBRゴムなどの弾性体で形成された、硬度30度から80度程度の導電性ローラが好適に用いられる。
【0065】
<現像装置構成例2>
図3を用いて、図1の画像形成装置に用いる現像装置4の構成例2を説明する。これも塗布手段については、図5以降を用いて説明するので、図示していない。
【0066】
図2の装置との違いは供給ローラ47への液体現像剤の供給の仕方のみである。
【0067】
供給ローラ47に接するような液体現像剤溜まり部を形成するように現像剤供給ブレード43が設置されている。現像剤供給ブレード43の供給ローラ47と対向する端部と反対側の端部付近には、現像剤供給ノズル42が設置されている。
【0068】
現像剤供給ブレード43は供給ローラ47に近い側が低くなるような適度な角度を持ち、先端部は供給ローラ47に接触、もしくは適度なギャップを持って近接されている。
【0069】
液体現像剤溜まり部は、現像剤供給ブレード43と供給ローラ47とによって形成される略くさび形状の領域に形成される。
【0070】
図3の構成例2の現像装置を用いる場合のメリットは、図2の構成例1に比べて小型化が図れる点である。
【0071】
(クリーニング装置の概略構成)
本発明では、現像ローラ、感光体、中間転写体のような、液体現像剤や液体現像剤像の薄層を他の部材に供するために担持して搬送するような部材、すなわち現像剤担持体として機能する部材を、すべて現像剤担持体と呼ぶ。
【0072】
図1から図3を用いて説明した画像形成装置において、現像ローラ41、感光体1、中間転写体5などの現像剤担持体上には、画像形成に使用されなかった、あるいは転写されずに残った液体現像剤を現像剤担持体上から除去するための、クリーニング装置(クリーニング手段として機能する)がそれぞれ設けられている。
【0073】
現像ローラクリーニング装置46、感光体クリーニング装置6、中間転写体クリーニング装置10などに用いられるクリーニング装置の一構成例を図4に示す。
【0074】
クリーニング装置は、0.5mmから10mm程度の厚みのゴムや樹脂から成るクリーニングブレード12のエッジを押し当てて現像剤担持体13上の液体現像剤をかきとる装置が一般的である。
【0075】
現像剤担持体13上からかきとられた液体現像剤は、クリーニングボックス14内に一時貯留された後、図示しない液体現像剤槽に回収される。
【0076】
クリーニング部材として他に、現像剤担持体への接触面がスポンジ状である、スポンジローラが使用可能である。スポンジとして、モルトプレンやカラーフォームといったポリウレタンフォームなどを用いることができる。また、スポンジローラとクリーニングブレードの両方を用いてもよい。
【0077】
以下の説明では、クリーニング部材としてクリーニングブレードを用いた場合を説明するが、これに限定されるものではない。
【0078】
(現像剤担持体上の残留現像剤について)
以上、説明したような、画像形成装置において、画像形成終了直後には、現像剤担持体上には液体現像剤の一部が残留している。
【0079】
現像剤担持体を回転駆動させることで、クリーニング装置により現像剤担持体上の液体現像剤の大部分は除去できるが、ごく一部の液体現像剤はクリーニングブレードと現像剤担持体との間をすり抜けるため、液体現像剤を現像剤担持体上から完全に除去することは難しい。
【0080】
<キャリア液の揮発によるトナーの固着発生>
定着エネルギーを抑制するため、常温で揮発するような高揮発性のキャリア液を用いている場合には、現像剤担持体上に液体現像剤が残ると、装置停止中にキャリア液が少しずつ揮発する。このまま長時間放置されると、トナーが現像剤担持体にこびりついてしまい、次の画像形成時に画像品質に不具合を引き起こす。
【0081】
装置停止前にキャリア液よりも低揮発性の液体(常温で不揮発性の液が望ましい。以降の説明では、この低揮発性の液体を不揮発性液と呼称する)を現像剤担持体上に供給すれば、現像剤担持体の表面が不揮発性液により湿った状態に保たれるので、キャリア液が揮発したとしても、トナーの現像剤担持体への固着発生は抑制される。
【0082】
但し、現像剤担持体上から液体現像剤を除去するためのクリーニング部材を用いている場合には、不揮発性液もクリーニング部材により除去されるので、現像剤担持体の回転方向からみて、クリーニング部材の下流側には、不揮発性液が供給されない。
【0083】
上述したように、一部の液体現像剤はクリーニングブレードと現像剤担持体との間をすり抜けるため、現像剤担持体の回転方向からみて、クリーニング部材の下流側に残ったトナーは、装置停止中に現像剤担持体に固着する恐れがある。
【0084】
(不揮発性液の塗布とその方法)
このような現像剤担持体へのトナーの固着を完全に防止するためには、本実施形態における塗布手段(詳細は後述する)のように、現像剤担持体の液体現像剤を担持する面の全面にわたって、不揮発性液を塗布状態にする必要がある。
【0085】
現像剤担持体の液体現像剤を担持する面の全面にわたって不揮発性液を塗布状態にする塗布方法としては、次のような方法がある。
(1)不揮発性液塗布時に、クリーニング部材を現像剤担持体から離間させることで、現像剤担持体の液体現像剤を担持する面の全面にわたって不揮発性液を塗布状態にすることが可能である。あるいは、
(2)不揮発性液塗布中に、現像剤担持体を通常と逆方向に回転させることで、現像剤担持体の液体現像剤を担持する面の全面にわたって不揮発性液を塗布状態にすることが可能である。
【0086】
(常温での不揮発性液について)
本発明で使用するキャリア液よりも低揮発性の液体は、実際に薄層状態で揮発してなくなるまでの期間の長さで判断できる。既述したように、低揮発性の液体としては常温で不揮発性の液が望ましい。常温で不揮発性の液としては、薄層状態で少なくとも数日間以上は揮発しないような液体が好ましい。
【0087】
揮発性の目安としては、引火点が120度以上の液体が好ましい。また、現像剤担持体上になるべく均一に塗布するためには、粘度が高過ぎない方がよく、動粘度が50mm/s(40℃)以下のものが好ましい。
【0088】
これらを満たすような液体として、例えば、モレスコホワイトP40、P70、P120、P200(全て、松村石油研究所社製)などが使用できる。
【0089】
また、本発明で言う常温とは、画像形成装置の設置場所の室温ではなく、現像装置の周囲や現像装置の部材自身の温度について、それらが通常取り得るような温度、という意味である。装置の構成によっては、現像装置の周囲が非常な高温や低温になる場合もあり得る。現像装置の周囲が高温になる場合には、より引火点の高い液体の方が好ましく、現像装置の周囲が低温になる場合には、引火点の低い液体も使用可能になる。
【0090】
(不揮発性液の塗布手段)
<塗布手段構成例1>
図5は、不揮発性液を現像剤担持体上へ全面にわたって塗布するための塗布手段の構成例1を説明するための概略図である。図5aは、従来例として、不揮発性液の供給時にクリーニングブレードを現像剤担持体から離間しなかった場合であり、図5bは離間した場合である。
【0091】
図示しない不揮発性液貯蔵タンクから、図示しない送液路を通って送られてきた不揮発性液は、不揮発性液供給ノズル15から吐出される。吐出された不揮発性液16は塗布ローラ17上に供給され、塗布ローラ17の回転にともなって現像剤担持体13上に塗布される。
【0092】
ここで、図5aのようにクリーニングブレード12が現像剤担持体13に圧接されたままだと、上述したように、現像剤担持体13上に塗布された不揮発性液がクリーニングブレード12によって、現像剤担持体13上から除去されてしまう。従って、現像剤担持体13の回転方向からみて、クリーニングブレード12の下流側には、不揮発性液が塗布されない。
【0093】
これに対して、図5bのようにクリーニングブレード12を現像剤担持体13から離間させ、不揮発性液供給ノズル15、塗布ローラ17を動作させると、現像剤担持体13の現像剤担持面全面にわたって不揮発性液を塗布することができる。
【0094】
このように、不揮発性液供給ノズル15、塗布ローラ17、そして塗布時には現像剤担持体13から離間するクリーニングブレード12が、塗布手段として機能する。
【0095】
塗布ローラ17としては、金属ローラ、ゴムローラのほかに、現像剤担持体への接触面がスポンジ状やブラシ状である、スポンジローラやブラシローラが使用可能である。ゴムローラの場合は、ウレタンゴムやシリコンゴムなど、スポンジの場合はモルトプレンやカラーフォームといったポリウレタンフォームなどを用いることができる。
【0096】
<塗布手段構成例2>
図6は、塗布手段の別の構成例2を説明するための概略図であり、クリーニングブレード12を離間させずに不揮発性液を供給して図5aのようになったあと、現像剤担持体13を通常と逆方向に回転させる構成である。
【0097】
塗布ローラ17から供給された不揮発性液は、現像剤担持体13の逆方向の回転に伴って、図5aで供給されなかった部分にも供給される。
【0098】
一方、図5aでクリーニングブレード12の先端部にせき止められた不揮発性液は、現像剤担持体13の逆回転に伴って、再び現像剤担持体上に引き延ばされて拡がる。
【0099】
このように、現像剤担持体13を塗布中に逆方向に回転させることで、現像剤担持体13の現像剤担持面全面にわたって不揮発性液を塗布することができる。
【0100】
不揮発性液供給ノズル15、塗布ローラ17、そして塗布時には逆回転する現像剤担持体13が、塗布手段として機能する。
【0101】
<塗布手段構成例3>
図7は、塗布手段の別の構成例3を説明するための概略図であり、現像剤担持体は、現像ローラである。
【0102】
図2のような構成の現像装置で、不揮発性液はまず供給ローラ47上に供給され、次に供給ローラ47上から現像ローラ41上へと移動する。このようにして、不揮発性液が供給ローラ47と現像ローラ41の現像剤担持面全体に塗布される。
【0103】
ここでは、現像剤槽49内の液体現像剤に供給ローラ47が浸漬されない状態で、不揮発性液塗布を行う方が望ましい。現像剤槽49内の液体現像剤に供給ローラ47が浸漬されていると、供給ローラ47上の不揮発性液が現像剤槽49内に拡がったり、供給ローラ47や現像ローラ41上に新たな液体現像剤が供給されたりするので、供給ローラ47や現像ローラ41上を不揮発性液で覆うことが難しくなる。
【0104】
現像剤槽49内の液体現像剤に供給ローラ47が浸漬されない状態にするには、不揮発性液塗布工程に先立って、現像剤供給ノズル42からの液体現像剤の供給を停止した状態で各ローラを回転させる。そうすると、現像剤槽49内の液体現像剤が供給ローラ47に汲み上げられるにしたがって、現像剤槽49内の液面が下がり、やがて、供給ローラ47が現像剤槽49内の液面から分離される。
【0105】
また、液体現像剤排出口を現像剤槽49に設け、現像剤槽49内の液体現像剤をポンプの負圧により排出してもよい。
【0106】
また、現像剤槽49を供給ローラ47から離間する方向に移動させてもよい。
【0107】
なお、現像剤薄層規制ブレード44は、供給ローラ47上から余分な液体現像剤をかきとって適切な量の液体現像剤のみを通過させるためのブレードであり、不揮発性液は、現像剤薄層規制ブレード44と供給ローラ47との間を通過することができるので、不揮発性液塗布時に離間してもしなくてもどちらでもよい。
【0108】
このように、不揮発性液供給ノズル15、塗布ローラ17、現像ローラクリーニング装置46、そして供給ローラ47が、塗布手段として機能する。
【0109】
<塗布手段構成例4>
図8は、塗布手段の別の構成例4を説明するための概略図であり、これも現像剤担持体は、現像ローラである。
【0110】
図3のような構成の現像装置で、不揮発性液は供給ローラ47上に供給される。不揮発性液の塗布に関しては、図7の装置と大きな違いはない。
【0111】
やはり、不揮発性液供給ノズル15、塗布ローラ17、現像ローラクリーニング装置46、そして供給ローラ47が、塗布手段として機能する。
【0112】
<塗布手段構成例5>
図9は、塗布手段の別の構成例5を説明するための概略図であり、これも現像剤担持体は、現像ローラである。
【0113】
図8の構成例との違いは、供給ローラ47への不揮発性液の供給の仕方である。
【0114】
すなわち、現像剤供給ノズル42と同じノズルから不揮発性液が供給されるか、もしくは、現像剤供給ノズル42の近傍に設置された不揮発性液供給ノズル15から不揮発性液が供給される。
【0115】
通常の液体現像剤の供給時と同様に、現像剤供給ブレード43と供給ローラ47との間の断面が楔形の領域に不揮発性液の液溜まり部を作って、不揮発性液が塗布される。
【0116】
このように、不揮発性液供給ノズル15(42)、現像剤供給ブレード43、現像ローラクリーニング装置46、そして供給ローラ47が、塗布手段として機能する。
【0117】
図9の構成例を用いる場合のメリットは、図5から図8の装置のような塗布ローラ17やその圧接離間機構が不要になるので、装置の小型化が図れる点である。
【0118】
(不揮発性液の塗布工程)
図10は、現像ローラ41上に不揮発性液を塗布する工程の処理手順例を示すフローチャートである。また図11は、現像剤担持体が感光体や中間転写体の場合の塗布工程の処理手順例を示すフローチャートである。
【0119】
不揮発性液塗布工程を開始するタイミングとしては、画像形成を終了して次の画像形成の指示がなされない場合にすぐに不揮発性液塗布工程を開始するよう設定されていてもよいし、画像形成終了から一定時間経過後に開始するように設定されていてもよいし、もしくは、装置の電源をオフする直前、もしくは、ユーザによるパネルからの入力操作を受けて行うなどしてもよい。
【0120】
画像形成終了から一定時間経過後に不揮発性液塗布工程を開始する場合では、例えば、直近の画像形成終了から5分以上、次の画像形成の指示がなされない場合に、不揮発性液塗布工程を開始するように設定すればよい。
【0121】
装置の電源をオフする直前に不揮発性液塗布工程を開始する場合では、例えば、ユーザが電源オフを行うようパネル入力した場合に、不揮発性液塗布工程を行ってから、装置の電源が自動的に切れるように設定すればよい。
【0122】
ユーザによるパネルからの入力操作を受けて行う場合では、例えば、数時間は画像出力を行う予定がない場合に、ユーザが不揮発性液塗布を直接指示して次の画像出力まで待機させる、というような使い方ができる。
【0123】
<手順例1>
図10を用いて、現像ローラ41上に不揮発性液を塗布する工程の処理手順例1を説明する。塗布手段は図7の構成例の場合を例示している。
【0124】
不揮発性液塗布工程開始信号を受ける(S11)と、まず、現像剤供給ノズル42から液体現像剤を供給中の場合には、供給を停止させる(S12)。この後、現像剤槽49から液体現像剤を排出する(S12)などして、供給ローラ47が液体現像剤に浸漬されないようにする。
【0125】
この後、各ローラを一定時間回転させて、供給ローラ47と現像ローラ41上の液体現像剤の大部分をクリーニングブレードで取り除く(S13)。次に不揮発性液供給ノズル15から不揮発性液を供給し(S14)、続いて塗布ローラ17を回転させる(S15)、そして供給ローラ47に圧接させる(S16)。その後、クリーニングブレード46を現像ローラ41から離間させる(S17)。一定時間回転後、各ローラを停止させる(S18)。
【0126】
なお、このフローチャートは一例であり、厳密にこの順番である必要はなく、例えば、クリーニングブレードの離間後、不揮発性液の供給を開始してもよい。
【0127】
<手順例2>
現像剤担持体として、感光体や中間転写体を想定した場合には、フローチャートは図11のようになる。
【0128】
図10の手順例と異なるのは、供給ローラ47への不揮発性液の供給を行わないため、液体現像剤の供給停止や現像剤槽49からの液体現像剤排出の手順が不要となること、及び塗布ローラ17を直接に現像剤担持体に圧接していることである。
【実施例】
【0129】
(実施例1)
図1に示す画像形成装置を図2に示す現像装置を用いて構成した。
【0130】
液体現像剤としては、IPソルベント2028(出光興産社製)75部、粉砕トナーを25部、分散剤としてV220(ISP社製)を0.8部混合して湿式粉砕した。
【0131】
システム速度は400mm/secである。
【0132】
現像ローラとしては、以下に示すような導電性ゴムローラを用いた。
直径:40mm
材質:NBR+カーボンブラック
体積抵抗率:1.0×10Ω・cm
ゴム硬度:40°。
【0133】
供給ローラとしては、以下に示すようなアニロックスローラを用いた。
直径:40mm
形状:格子200線/inch
容積:20ml/m
現像ローラへの押し込み量:0.1mm。
【0134】
現像剤薄層規制ブレードとしては、SUS0.3mmのブレードを用いた。
【0135】
現像ローラ、感光体、中間転写体のクリーニング装置として、図4に示したようなクリーニングブレードを用いた装置を使用した。
【0136】
クリーニングブレード(現像ローラ、感光体、中間転写体で共通条件)は以下のように設定した。
材質:シリコンゴム
厚み:3mm
圧接角:被クリーニング部材との接線から20度の角度
圧接力:30N/mから50N/m。
【0137】
不揮発性液としては、モレスコホワイトP120(松村石油研究所社製)を使用した。
【0138】
塗布ローラ(現像ローラ、感光体、中間転写体で共通条件)は以下のように設定した。
材質:ウレタンスポンジローラ 密度30kg/m
回転速度:400mm/sec(現像剤担持体に従動)
直径:26mm。
【0139】
上記のような塗布ローラを用いた塗布装置を用いて、現像ローラ、感光体、中間転写体にそれぞれ不揮発性液を塗布できるように設置した。
【0140】
現像装置については、図7に示したような塗布手段の構成で、不揮発性液を塗布した。
【0141】
装置の電源オフの直前に図10及び図11のフローに従って不揮発性液塗布動作を行うよう設定した。
【0142】
すなわち、現像剤供給の停止後、現像剤槽から液体現像剤を排出させ、その後、各ローラを5秒程度回転させて、現像剤担持体上の液体現像剤をクリーニングブレードである程度取り除いた後、不揮発性液供給ノズルから不揮発性液を供給するとともに、塗布ローラを回転させた。
【0143】
その後、塗布ローラを供給ローラに圧接させるとともに、クリーニングブレードを現像ローラから離間して、周速50mm/secで5秒間回転させて、供給ローラ及び現像ローラに不揮発性液を塗布し、装置を停止した。
【0144】
感光体、中間転写体にも、同様に、クリーニングブレードを現像剤担持体から離間させた状態で、不揮発性液を塗布した。
【0145】
上記のような設定で、実使用形態を想定した、信頼性試験を行った。装置を使用して画像形成動作を行った後、電源をオフし、2週間放置した。上述したとおり、電源オフの直前に不揮発性液塗布動作を行った。
【0146】
2週間後に装置の電源をオンし、画像形成を行ったが、現像剤担持体へのトナーこびりつきに起因するような画像欠陥は起こらず、高画質が維持できていた。
【0147】
(比較例1)
(実施例1と同じ装置構成だが、ブレード離間せず)
実施例1と同じく、装置の電源オフの直前に不揮発性液塗布動作を行ったが、不揮発性液の塗布時において、クリーニングブレードを現像剤担持体に圧接したままにした。この点以外は、実施例1と同じである。
【0148】
上記のような設定で、実使用形態を想定した、長期試験を行った。装置を使用して画像形成動作を行った後、電源をオフし、2週間放置した。上述したとおり、電源オフの直前に不揮発性液塗布動作を行った。
【0149】
2週間後に装置の電源をオンし、画像形成を行ったが、画像濃度ムラが発生した。原因を調べたところ、現像ローラへのトナーのこびりつきが発生していた。
【0150】
上記設定でさらに試験を続けたところ、約1ヶ月後には、感光体や中間転写体にもトナーのこびりつきが発生し、これによる画像濃度ムラが見られた。
【0151】
(実施例2)
(実施例1と同じ装置構成だが、ブレード離間する代わりに逆回転)
実施例1と同じく、装置の電源オフの直前に不揮発性液塗布動作を行ったが、不揮発性液の塗布時において、クリーニングブレードを現像剤担持体に圧接したままで、現像剤担持体を回転速度50mm/secで約5秒間、画像形成時と同方向に回転させた後、さらに、回転速度50mm/secで約5秒間、逆方向に回転させてから停止させた。この点以外は、実施例1と同じである。
【0152】
上記のような設定で、実使用形態を想定した、放置試験を行った。装置を使用して画像形成動作を行った後、電源をオフし、2週間放置した。上述したとおり、電源オフの直前に不揮発性液塗布動作を行った。
【0153】
2週間後に装置の電源をオンし、画像形成を行ったが、現像剤担持体へのトナーこびりつきに起因するような画像欠陥は起こらず、高画質が維持できていた。
【0154】
(実施例3)
(供給ブレードを使う構成、現像剤供給ノズルから不揮発液を供給)
図1に示す画像形成装置を図3に示す現像装置を用いて構成した。
【0155】
現像装置については、図9に示したような塗布手段の構成で、不揮発性液を塗布した。すなわち、不揮発性液塗布時には、液体現像剤供給ノズルから液体現像剤の代わりに不揮発液が供給されるようにした。これらの点以外は、実施例1と同じである。
【0156】
実施例1と同じく、装置の電源オフの直前に不揮発性液塗布動作を行った。
【0157】
不揮発性液の塗布時には、現像ローラのクリーニングブレードは現像剤担持体から離間されるようにした。
【0158】
上記のような設定で、実使用形態を想定した、放置試験を行った。装置を使用して画像形成動作を行った後、電源をオフし、2週間放置した。上述したとおり、電源オフの直前に現像ローラへの不揮発性液塗布動作を行った。
【0159】
2週間後に装置の電源をオンし、画像形成を行ったが、現像剤担持体へのトナーこびりつきに起因するような画像欠陥は起こらず、高画質が維持できていた。
【0160】
上述のように、本実施形態に係る画像形成装置によれば、高揮発性のキャリア液中にトナーを分散させた液体現像剤を担持搬送する現像剤担持体の表面に、キャリア液よりも低揮発性の液体を塗布する塗布手段を備え、該塗布手段により、画像形成中以外の所定のタイミングで、現像剤担持体の液体現像剤を担持する面の全面にわたって、低揮発性の液体を塗布状態にする。
【0161】
これにより、低熱エネルギーでの定着を可能にすると同時に、画像形成終了後に現像剤担持体上に残留した液体現像剤のキャリア液成分が装置停止中に揮発してトナーが現像剤担持体上にこびりつくことを防止することができる。
【0162】
なお、上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0163】
1 感光体(像担持体)(現像剤担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
4 液体現像装置
5 中間転写体(現像剤担持体)
6 感光体クリーニング装置
7 転写ローラ
8 被転写体(用紙)
9 定着装置
10 中間転写体クリーニング装置
12 クリーニングブレード
13 現像剤担持体
14 クリーニングボックス
15 不揮発性液供給ノズル
16 不揮発性液
17 塗布ローラ
41 現像ローラ(現像剤担持体)
42 現像剤供給ノズル
43 現像剤供給ブレード
44 現像剤薄層規制ブレード
45 帯電器
46 現像ローラクリーニング装置
47 供給ローラ
49 現像剤槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア液にトナーを分散させた液体現像剤で潜像を現像し、トナー像を形成する画像形成装置であって、
前記液体現像剤を、他の部材に供するため表面に担持搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の表面から他の部材に供した残りの前記液体現像剤を除去するクリーニング手段と、
前記クリーニング手段により前記液体現像剤の除去される前記現像剤担持体の表面に、前記キャリア液よりも低揮発性の液体を塗布する塗布手段と、を有し、
前記塗布手段は、
画像形成中以外の所定のタイミングで、少なくとも1つの前記現像剤担持体の前記液体現像剤を担持する面の全面にわたって、前記低揮発性の液体を塗布状態にする
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定のタイミングは、画像形成終了後である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定のタイミングは、所定の時間以上画像形成動作が行われなかった場合である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定のタイミングは、装置電源オフの直前である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記塗布手段による前記低揮発性の液体の塗布時には、前記クリーニング手段は前記現像剤担持体から離間している
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記塗布手段による前記低揮発性の液体の塗布中に、前記現像剤担持体が画像形成中とは逆方向に回転する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記低揮発性の液体は引火点が120℃以上である
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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