説明

画像形成装置

【課題】外装カバーのような可動体に廃トナーボトルのような機能体を設置する構成の画像形成装置において、機能体の状態変化に起因する誤検知を確実に防止する。
【解決手段】外装カバー21が適切に閉じていない状態でも、満杯を通知可能な構成とするもので、フィラー27の付勢力と付勢された可動部であるフィラー27先端側の回動部材27aとがある関係を有する。すなわち、廃トナーボトル20内の廃トナーの量に応じて、フィラー27は付勢され、廃トナーボトル20が傾く状態で外装カバー21が閉じて半ドアのような状態になった場合に、回動部材27aが外装カバー21の面に沿って位置、状態が変化するが、回動部材27aに掛かる反作用モーメントM2と、フィラー27の付勢力fによるモーメントM1との間にM1>M2が成立するように構成し、廃トナーボトル20の満杯を通知する手段とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタに代表される画像形成装置には、装置内で回収された不要トナーを廃トナーとして一箇所のボトルに収集、蓄積している。そして、廃トナーボトルが蓄積されたトナーで満杯になったときには、ユーザやサービスマンに報知してボトル内のトナーを取り除くように指示している。
【0003】
このような廃トナーを集積している廃トナーボトルにおいては、集積した廃トナーの量を検知する検知手段を設置し、廃トナー量に関して適切なメンテナンスをされていないにもかかわらずに運転可能となってしまうことを防いでいる。廃トナーボトル内の満杯検知は光学式、重量式、磁力式と幾つかの方式があるが、廃トナーの量に応じて可動するフィラーが光学センサーへの光量を変化させることで満杯を検知する手段も知られている。
【0004】
ところで近年、省スペース化の要求から、廃トナーボトルを複写機などの機械、装置の内部に設置せず、外装カバーの背面に取り付け、省スペース性とアクセス性を向上させた構成が多く採用されている。
【0005】
しかし、従来の画像形成装置では、外装カバーなど開閉可能な可動体に取り付けられ、外装カバーが正しく閉じられていないにもかかわらず、インターロックが作動した場合に、可動体によって位置が変わるフィラーが適切な位置に設定されず、廃トナーボトルの満杯検知が作動しないという問題があった。
【0006】
特許文献1等には、廃トナー回収容器の満杯早期誤検知防止するために、満杯を検知するまでの通紙枚数及び積算トナー補給量をカウントし、このカウント数とセンサーが満杯を検知してからの通紙枚数及び積算トナー補給量をカウントした結果を比較し、それによって回収した廃トナーで満杯になっているか否かを検知する構成が開示されているが、前述の外装カバーが正しく閉じられていないにもかかわらず、インターロックが作動した場合の問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、外装カバーなど可動体が不適切な設置状態においてインターロックが作動した場合にでも、廃トナーボトルの満杯状態を正しく検知可能とした画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、画像形成装置本体に対して開閉可能に取り付ける可動体、該可動体に取り付けられ、その状態を前記画像形成装置本体側へ通知する必要のある機能体、該機能体の状態を前記画像形成装置本体側へ通知するための通知手段、前記機能体の状態に応じて前記通知手段の位置を変化させる通知手段位置可変手段、前記通知手段に取付けられ、前記機能体の状態に応じて付勢される可動部、前記通知手段の状態を検知する検知手段からなり、前記通知手段位置可変手段が有する前記通知手段の位置を変化させる力又はモーメントが、前記可動部によって生じる反作用力又はモーメントよりも大きいことを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置は、前記可動部が、前記画像形成装置本体の固定面に前記機能体が接触した際に常に同一方向へ平行移動することを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成装置は、前記可動部が、前記画像形成装置本体の固定面に前記機能体が接触した際に常に同一方向へ回転移動することを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成装置は、前記可動部が前記画像形成装置本体の固定面に接触した際、前記可動部に生じる力又はモーメントが常に一方向になるように前記固定面の少なくとも接触する面が曲面となっていることを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記可動体が開閉可能な外装カバーであることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記機能体が前記外装カバーに取り付ける廃トナーボトルであることを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置は、前記通知手段が前記廃トナーボトルに取り付けたフィラーであることを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成装置は、前記通知手段位置可変手段が、前記フィラーに取り付けた回動部材であることを特徴とする。
【0016】
本発明の画像形成装置は、前記通知手段位置可変手段が、前記フィラーに取り付けた平行移動する部材であることを特徴とする。
【0017】
本発明の画像形成装置は、 前記検知手段が、前記フィラーの状態を検知するフォトインタラプタ又はプッシュスイッチであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外装カバーのような可動体に廃トナーボトルのような機能体を設置する構成の画像形成装置において、機能体の状態変化に起因する誤検知を防止でき、また通紙枚数及び積算トナー補給量をカウントする必要がなくなり、単純に通知手段位置可変手段であるフィラーを伸ばすような構成に比べて可動体の開閉方向にスペースが確保できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像形成装置本体の外装カバーに取り付けられた廃トナーボトルについて説明する図
【図2】廃トナーボトルの満杯検知機構について説明する図
【図3】外装カバーが完全に閉まっていない、いわゆる半ドア状態で運転される状況について説明するための図
【図4】装カバーが適切に閉じていない状態でも、満杯を通知可能な構成について説明する図
【図5】フィラーの付勢力と付勢された可動部との関係について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、外装カバーなど開閉可能な可動体に廃トナーボトルを取り付け、外装カバーなど開閉可能な可動体が正しく閉じられたことを検知するインターロックが作動する範囲において、廃トナー量に応じて位置が変化するフィラーなど遮光部に、付勢された別体の可動部を取り付け、これによって余裕度をもって遮光することで、確実に廃トナー量が満載であることを検知する。
【0021】
本発明は、外装カバーと廃トナーボトルにのみ適用されるものではなく、可動体と可動体に取り付けられた別体部材、装置、手段等からなる構成にも適用し得る。前記別体部材等の状態を画像形成装置の装置本体側に通知する必要がある場合、可動体の状態が安全上機能上など適切であると装置本体側に通知している範囲において、付勢された可動部を別体の通知部に取り付けることで、可動体の開閉方向にスペースを使うことなく、確実に通知する構成を得ることができる。
【0022】
例えば、開閉可能な可動体が可動体の端部や端部付近に装置本体側への取り付けを行うためのマグネットなどの取り付け部材を有しており、この取り付け部材付近にプッシュスイッチなど、装置本体側へ通知するための構成部材が備えられている。これは取り付け部位近くに通知手段があるほうが取り付け状態を通知手段に対して安定的に反映できるためである。
【0023】
このような構成においては、使用者がカバーの片側のみ保持し、カバーを閉じた場合に、片側のマグネットのみ吸着し、もう片側のマグネットが吸着しない、いわゆる半ドア状態になる場合がある。半ドア状態を完全に抑制するのは難しく、どのような状態でカバーを保持したとしてもカバーが適切な平面を維持する剛性を持たせたり、マグネットの吸着力を上げる構成があるが、この構成はアクセス性を考えたときには適切ではない。
【0024】
また半ドア状態でプッシュスイッチが入らなくするように設計することも考えられるが、半ドアという不安定な状態で、樹脂製カバーで複雑な剛性を持つ弾性体がスイッチを押さない構成とすることは難しい。
【0025】
そのため、このような不安定な状況において、確実に廃トナーボトルのような機能体の状態、例えば満杯状態を通知する手段が必要となっているのである。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を適用した画像形成装置について説明を行う。
図1は、画像形成装置本体の外装カバーに取り付けられた廃トナーボトルについて説明する図である。廃トナーボトル20は画像形成装置本体22の外装カバー21に装着する構成になっており、外装カバー21を開けることで廃トナーボトル20の脱着を可能としてある。
【0027】
廃トナーボトル20は、外装カバー21にセットされた状態ではある程度のガタを持つように構成されており、外装カバー21を閉めると、画像形成装置本体22に対して位置決めされるようになっている。
【0028】
図2は、廃トナーボトル20の満杯検知機構について説明する図である。なお、図2(a)は、廃トナーボトル20内の廃トナーが空の状態であり、図2(b)は、廃トナーボトル20内の廃トナーが満杯の状態を示している。
【0029】
廃トナーボトル20は、内部に厚さの薄いゴムのシート33、外側にフィラー27を備えている。廃トナー35がゴムシート33の位置まで回収されると、ゴムシート33が廃トナー35で押され、フィラー27を動かす。
【0030】
画像形成装置22本体には、廃トナーボトル20内での廃トナー35の満杯を検知するためのフォトインタラプタ型のセンサー34を備えており、フィラー27がセンサー光路の遮断のON/OFFを切り替えることで、廃トナーボトル20内で廃トナーが満杯になったことを検知する。
【0031】
図3は、具体的に外装カバー21が完全に閉まっていない、いわゆる半ドア状態で運転される状況について説明するための図である。図中24、24はマグネットであり、外装カバー21をきちんと閉じた場合には、マグネット24、24は二つとも画像形成装置本体22に吸着する。図3(a)は、外装カバー21が正しく閉まっていない状態を示す。このような状態でも、インターロック機能を持つプッシュスイッチ25がONになる場合があり、その場合でも、画像形成装置が運転できる状態になることがある。また図3(b)は、満杯を通知するフィラー27がセンサー34のフォトインタラプタ28に届かない状態を示す。この状態のとき、廃トナーボトル20が満杯になっても画像形成装置が運転可能で、満杯の廃トナーボトル20にさらに廃トナーが供給され、故障の原因になる。
【0032】
図4は、外装カバー21が適切に閉じていない状態でも、満杯を通知可能な構成について説明する図である。図4において、Lはフォトインタラプタ28の発光部からの光を示す。また図5は、フィラーの付勢力と付勢された可動部との関係について説明する図である。この状態においては、廃トナーボトル20内の廃トナーの量に応じて、フィラー27は付勢される。すなわち、フィラー27は先端側に可動部である回動部材27aを備えており(回動支点を符号27bで示す)、図4(a)のように外装カバー21が適切に閉じた状態ではなく、図4(b)のように廃トナーボトル20が傾く状態で外装カバー21が閉じた場合に、付勢された可動部である回動部材27aが固定面、すなわち外装カバー21の面に沿って位置、状態が変化するが、この時に外装カバー21の面から回動部材27aに掛かる反作用モーメントM2と、フィラー27の付勢力fによるモーメントM1との間に、M1>M2が成立するように構成する。これが、このような不安定な状況においても、確実に廃トナーボトル20の満杯を通知する手段をなすという、本発明を構成するための条件となる。もちろん、モーメントに代えて力で検出しても良い。
【0033】
なお、フィラー27は先端に回動部材27aに代えて可動部としてフィラー27の軸方向へスライド移動などにより平行移動する部材を設ける構成とすることもできる。その場合は、廃トナーボトル20が回動するので、可動部に生じるモーメントが常に一方向になるように外装カバー21の表面の少なくとも可動部と接触する面が曲面となっていることが好ましい。モーメント又は力の関係はフィラーと回動部材の例の場合と同様である。
【符号の説明】
【0034】
20:廃トナーボトル
21:外装カバー
22:画像形成装置本体
24:マグネット
25:プッシュスイッチ
27:フィラー
27a:フィラーの回動部材
27b:回動支点
28:フォトインタラプタ
33:ゴムシート
34:フォトインタラプタ型のセンサー
35:廃トナー
L:フォトインタラプタの発光部からの光
M1、M2:モーメント
f:付勢力
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】特開平11‐133811号公報
【特許文献2】特開2009‐271113号公報
【特許文献3】特開2008‐203762号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して開閉可能に取り付ける可動体、
該可動体に取り付けられ、その状態を前記画像形成装置本体側へ通知する必要のある機能体、
該機能体の状態を前記画像形成装置本体側へ通知するための通知手段、
前記機能体の状態に応じて前記通知手段の位置を変化させる通知手段位置可変手段、
前記通知手段に取付けられ、前記機能体の状態に応じて付勢される可動部、
前記通知手段の状態を検知する検知手段、
からなり、
前記通知手段位置可変手段が有する前記通知手段の位置を変化させる力又はモーメントが、前記可動部によって生じる反作用力又はモーメントよりも大きい、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記可動部が、前記画像形成装置本体の固定面に前記機能体が接触した際に常に同一方向へ平行移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記可動部が、前記画像形成装置本体の固定面に前記機能体が接触した際に常に同一方向へ回転移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の画像形成装置において、
前記可動部が前記画像形成装置本体の固定面に接触した際、前記可動部に生じる力又はモーメントが常に一方向になるように前記固定面の少なくとも接触する面が曲面となっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記可動体が開閉可能な外装カバーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記機能体が前記外装カバーに取り付ける廃トナーボトルであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記通知手段が前記廃トナーボトルに取り付けたフィラーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記通知手段位置可変手段が、前記フィラーに取り付けた回動部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記通知手段位置可変手段が、前記フィラーに取り付けた平行移動する部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記検知手段が、前記フィラーの状態を検知するフォトインタラプタ又はプッシュスイッチであることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−170269(P2011−170269A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36304(P2010−36304)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】