説明

画像形成装置

【課題】
装置本体にユーザの手が届き易く、装置本体を移動させる際に、ユーザが装置本体を持ち上げ易い画像形成装置を提供する。
【解決手段】
装装置本体を移動させる際に、ユーザによる装置本体の持ち上げを容易とするための取っ手部を備えた画像形成装置であって、位置外筺の少なくとも一側面に備えられ、前記装置外筺に対して展開自在に形成されたカバー部材と、装置本体を持ち上げるときにユーザが触手する取っ手部とを備え、前記取っ手部は、前記カバー部材の展開時には隠蔽され、前記カバー部材の収納時には露出されることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置を移動させる際に、ユーザが持つ取っ手部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置には、装置本体を移動させる際に、ユーザによる装置本体の持ち上げを容易とするための取っ手部を装置本体側面の外装に備えるものがある。
【0003】
一般的に、このような取っ手部は、装置本体側面において、ユーザによる装置本体の持ち上げを容易にするため、また、装置本体の大型化を防ぐために、装置本体側面の外装に対して凹状となるように形成されるとともに、鉛直方向下方に向けてユーザが触手するための触手面を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−001797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したように、上記取っ手部は、装置本体側面の外装に設けられている。したがって、例えば、画像を記録する記録媒体を載置する媒体載置台等が装置本体前面、及び/又は装置本体後面の外装において展開自在に形成されており、当該媒体載置台の何れか片方、又は両方が展開されている場合、装置本体にユーザの手が届きにくく、装置本体を移動させる際に、ユーザが装置本体を持ち上げにくいといった問題があった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、装置本体にユーザの手が届き易く、装置本体を移動させる際に、ユーザが装置本体を持ち上げ易い画像形成装置を提供することである。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像形成装置は、装置外筺の少なくとも一側面に備えられ、装置外筺に対して展開自在に形成されたカバー部材と、装置本体を持ち上げるときにユーザが触手する取っ手部とを備え、取っ手部は、カバー部材の展開時には隠蔽され、カバー部材の収納時には露出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置本体にユーザの手が届き易く、装置本体を移動させる際に、ユーザが装置本体を持ち上げ易い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】プリンタの構成を説明するための概略断面図である。
【図2】プリンタを図1中矢印A方向、且つ鉛直方向下方から見た図である。
【図3】プリンタの取っ手部を説明する図である。
【図4】フロントカバー、及びリアカバーのプリンタ本体に対する回転止めを説明するための図である。
【図5】プリンタの取っ手部を説明する図である。
【図6】プリンタの取っ手部を説明する図である。
【図7】プリンタの取っ手部を説明する図である。
【図8】プリンタの取っ手部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0011】
[第1の実施形態]
【0012】
図1は、第1の実施形態にかかる画像形成装置としてのプリンタ100の構成を説明するための概略断面図である。プリンタ100は、例えば、電子写真方式のカラープリンタであり、入力された画像情報に基づく画像を記録媒体に印刷することができる。
【0013】
プリンタ100は、記録媒体としての用紙が載置される媒体カセット2と、用紙を図中矢印X方向に給送する給紙ユニット3と、給紙ユニット3から給送された用紙を、その斜行を矯正しながらトナー像形成部5K,5Y,5M,5Cに搬送する搬送ローラ4と、入力された画像情報に基づき、後述する感光体ドラム51の表面にトナー像を形成するトナー像形成部5K,5Y,5M,5Cと、感光体ドラム51の表面に形成されたトナー像を搬送ローラ4により搬送された用紙に転写するトナー像転写部6と、トナー像転写部6により用紙上に転写されたトナー像に対して熱、及び圧力を付与することで当該トナー像を用紙に定着させる定着部7と、定着部7によりトナー像が定着された用紙をプリンタ100の外筺を利用して形成されたスタッカ8に排出する媒体排出部10と、例えば、手差し給紙等のように、プリンタ100外部から用紙を給紙するためのMulti−Purpose Tray(MPT)20と、を備える。
【0014】
媒体カセット2は、用紙のセットや、給紙ユニット3による用紙の繰り出しのために、上部が開口した箱形形状部材であり、内部に用紙を積層した状態で収納し、プリンタ100の下部に着脱自在に装着されている。また、媒体カセット2の外筺には、媒体カセット2をプリンタ100から引き抜くための取っ手部2aが備えられている。
【0015】
給紙ユニット3は、媒体カセット2の上部に配設されており、媒体カセット2に積層された用紙を一枚ずつ分離して搬送ローラ4に給送する給紙ローラを備える。給紙ローラは、図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により回転し、媒体カセット2に積層された用紙を上から一枚ずつ分離し、図1中矢印X方向に繰り出す。
【0016】
搬送ローラ4は、図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により回転し、給紙ユニット3から給送された用紙を、その斜行を矯正しながらトナー像形成部5K,5Y,5M,5cに搬送する。
【0017】
トナー像形成部5K,5Y,5M,5Cは、用紙の搬送経路に沿って、プリンタ100に対して着脱自在に装着されており、入力された画像情報に基づき、K(ブラック),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各トナー色に対応したトナー像を形成する。
【0018】
ここで、トナー像形成部5K,5Y,5M,5Cの要部構成について説明する。なお、各トナー像形成部5K,5Y,5M,5Cは、収容されるトナーの色のみが異なり、その他の要部構成は全て同一である。したがって、これ以降の説明においては、トナー像形成部5Kを一例として用いて要部構成を説明し、トナー像現像部5K,5Y,5M,5Cはトナー像現像部5として表現するものとする。
【0019】
トナー像形成部5は、感光体ドラム51と、感光体ドラムクリーニング部52と、チャージローラ53と、露光部54と、現像ローラ55と、LED(Light Emitting Diode)ヘッド56とを備える。
【0020】
感光体ドラム51は、導電性支持体と光導電層とによって構成され、導電性支持体としてのアルミニウム等の金属パイプに、光導電層としての電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した構成の有機系感光体である。感光体ドラム51の表面は、チャージローラ53により一様均一に帯電され、LEDヘッド56が照射した光を露光部54を介して受光することにより静電潜像を形成する。
【0021】
感光体ドラムクリーニング部52は、クリーニングブレード、及び廃トナータンクを備える。クリーニングブレードは、その一端が感光体ドラム51と所定の圧接量をもって当接する位置に配設されたウレタン製ゴム部材である。クリーニングブレードの長手方向長さは、感光体ドラム51の長手方向長さと略同一であり、感光体ドラム51の表面上に残留するトナーを掻き取ることで感光体ドラム51の表面をクリーニングし、クリーニングブレードにより掻き取られたトナーは、廃トナータンクに貯留される。
【0022】
チャージローラ53は、金属シャフトとエピクロロヒドリンゴム等の半導電性ゴム層によって構成されている。また、チャージローラ53は感光体ドラム51と所定の圧接量をもって当接しており、感光体ドラム51の回転により従動回転する。このチャージローラ53には、トナーと同極性のバイアス電圧を印加する図示せぬチャージローラ用電源が接続されており、チャージローラ用電源から印加されたバイアス電圧により感光体ドラム51の表面を一様均一に帯電させる。
【0023】
露光部54は、LEDヘッド56の直下に形成されており、LEDヘッド56から照射された光を感光体ドラム51の表面に導光する。
【0024】
現像ローラ55は、金属シャフトと半導電性ウレタンゴム層とによって構成されている。現像ローラ55は、感光体ドラム51と所定の圧接量を持って当接しており、感光体ドラム51上に形成された静電潜像にトナーを供給して反転現像させる。この現像ローラ55には、トナーと同極性、又は逆極性の何れかのバイアス電圧を印加する図示せぬ現像ローラ用電源が接続されており、現像ローラ用電源から印加されたバイアス電圧によって、帯電したトナーを感光体ドラム51上の静電潜像部分に付着させることで現像し、トナー像を形成させる。
【0025】
LEDヘッド56は、感光体ドラム51を露光することで、感光体ドラム51に入力された画像情報に基づく静電潜像を形成させる露光手段である。LEDヘッド56は、LED素子が軸線方向に配列されており、このLED素子から照射される照射光が感光体ドラム51の表面に結像する位置となるように配設されている。
【0026】
このような構成を有するトナー像現像部5によれば、入力された画像情報に基づくトナー像を感光体ドラム51の表面上に形成することができ、当該トナー像現像部5により形成された各トナー色に対応するトナー像は、トナー像転写部6により用紙に転写される。
【0027】
次に、トナー像転写部6について説明する。トナー像転写部6は、転写ベルト61と、転写ローラ62と、転写ベルトクリーニング部63とを備える。
【0028】
転写ベルト61は、図示せぬ駆動部から伝達された駆動力により回転するドライブローラと、当該ドライブローラと対をなすテンションローラにより張架され、搬送ローラ4により搬送された用紙を静電吸着して搬送する無端のベルト部材である。
【0029】
転写ローラ62は、金属シャフトとエピクロロヒドリンゴム等の半導電性ゴム層によって構成されている。また、転写ローラ62は、感光体ドラム51に対向して圧接するように設けられ、感光体ドラム51の回転により従動回転する。転写ローラ62には、トナーと逆極性のバイアス電圧を印加する図示せぬ転写ローラ用電源が接続されており、転写ローラ用電源から印加されたバイアス電圧により、感光体ドラム51上に形成されたトナー像を用紙に転写させる。
【0030】
転写ベルトクリーニング部63は、クリーニングブレード、及び廃トナータンクを備える。クリーニングブレードは、その一端が転写ベルト61と所定の圧接量をもって当接する位置に配設されたウレタン製ゴム部材である。クリーニングブレードは、転写ベルト61の表面上に残留するトナーを掻き取ることで転写ベルト61の表面をクリーニングし、クリーニングブレードにより掻き取られたトナーは、廃トナータンクに貯留される。
【0031】
トナー像転写部6によりトナー像が転写された用紙は、転写ベルト61により定着器7に送られ、熱、及び圧力が付されることにより、トナー像は定着される。
【0032】
定着器7は、トナー像現像部5以降の用紙搬送経路の下流側に配設され、ヒートローラと、バックアップローラとを備える。ヒートローラは、例えば、アルミニウム等からなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被覆することによって形成されている。そして、その芯金内には、例えば、ハロゲンランプ等の加熱ヒータが設けられている。バックアップローラは、例えば、アルミニウム等からなる芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFAチューブを被覆した構成であり、ヒートローラとの間に圧接部が形成されるように配設されている。トナー像が転写された用紙が所定の温度に維持されたヒートローラとバックアップローラとから形成される圧接部を通過することで、熱及び圧力が付与され、用紙上のトナーが溶融し、トナー像は定着される。
【0033】
定着部7によりトナー像が定着された用紙は、転写ベルト61の駆動に伴い媒体排出部10に搬送される。媒体排出部10は、用紙を挟持搬送する搬送ローラと、カバー部材としてのリアカバー11と、用紙の排出先であるリアカバー11、又はプリンタ100の外筺を利用して形成されたスタッカ8に案内するためのガイド部材とを備える。リアカバー11は、プリンタ100の外筺の一側面に展開自在に設けられており、例えば、トナー像が定着された用紙を折り曲げたくない場合に、展開して使用する。図1に示すように、例えば、リアカバー11が展開されている場合には、定着器7を通過した用紙は、ガイド部材によりリアカバー11側に案内され、リアカバー11に積載される。これに対して、リアカバー11が収納されている場合には、定着器7を通過した用紙は、ガイド部材によりスタッカ8側に案内され、スタッカ8に積載される。
【0034】
そして、プリンタ100は、図1中矢印A方向から見たときの正面側に、プリンタ100外部から用紙を給紙するMPT20を備える。MPT20は、フロントカバー21と、フロント給紙ローラ22とを備える。フロントカバー21は、プリンタ100の外筐の一側面に展開自在に設けられており、例えば長尺の用紙や厚手の用紙等に画像を形成する場合に展開して使用する。フロントカバー21が展開されると、フロント給紙ローラ22は外部に露出することになる。そして、図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により、フロント給紙ローラ22が回転すると、フロントカバー21に積載された用紙はプリンタ100内部のトナー像形成部5に直接搬送される。
【0035】
次に、本実施形態にかかるプリンタ100の取っ手部について説明する。図2は、プリンタ100を図1中矢印A方向、且つ鉛直方向下方から見た図である。また、図3(a)は、プリンタ100のフロントカバー21、及びリアカバー11を収納した状態を表す概略図であり、図3(b)は、プリンタ100のフロントカバー21、及びリアカバー11を展開した状態を表す概略図である。
【0036】
図2、及び図3に示すように、フロントカバー21には、プリンタ100を移動させるときにユーザが触手する取っ手部21aが形成されている。取っ手部21aは、フロントカバー21がMPT20、つまりプリンタ100本体に対して収納された状態において、ユーザが触手可能となるように、フロントカバー21の下面に凹状に形成された開口部を有する形態として形成されている。なお、取っ手部21aの開口部の大きさ、並びに鉛直方向深さは、プリンタ100を持ち上げるときに、特に取っ手部21aの外装側はユーザが手を掛ける把持部21dとなるため、プリンタ100の本体重量等を検討して、ユーザが掴みやすい形状となるように取っ手部21aの開口部の大きさ、並びに鉛直方向深さを適宜決定するとよい。
【0037】
また、フロントカバー21は、フロントカバー21の支点部21bを中心に、MPT20に対して回転可能に支持されている。支点部21bは、フロントカバー20に対して、プリント100本体側に突出した突出部21cに備えられており、フロントカバー21をプリンタ100本体に収納した状態のときには、フロントカバー21よりもプリンタ100本体側に位置する。
【0038】
また、フロントカバー21の取っ手部21aの鉛直方向下方には、プリンタ100の外装カバー100aが隣接して配設されている。この外装カバー100aと取っ手部21aとの間には、所定の大きさの空間26aが設けられている。この空間26aの広さ、つまり空間26aの鉛直方向長さは、取っ手部21a(開口部)にユーザの手が入れられれば良く、プリンタ100の使用条件や使用環境等から検討して適宜決定すればよく、例えば、当該鉛直方向長さは20mmとすることができる。また、空間26aの図1中矢印A方向の幅(奥行き)は、取っ手部21aの幅を考慮して決定するとよい。
【0039】
なお、空間26aは、単に、ユーザの手を取っ手部21aに導くために、本実施形態において新たに追加された空間ではない。フロントカバー21は、複数枚の用紙を積載するための強度を担保するために、所定の厚みを持って形成されている。そして、フロントカバー21は、展開動作に基づき支点部21bを中心に回転移動するため、フロントカバー21と外装カバー100aとが接触しないための空間が必要とされる。本実施形態は、元々必要とされる空間に着目し、当該空間を有効に利用することで、本発明にかかる効果の実現を図ったものである。
【0040】
そして、図3(a)に示すように、プリンタ100の外装カバー100aには、フロントカバー21の展開動作に基づく回転を抑制するための回転止め部100bが形成されている。したがって、図3(b)に示すように、フロントカバー21が展開された場合、把持部21bと回転止め部100bとが当接することにより、フロントカバー21の展開方向への回転が抑制されることになる。最終的には、この把持部21bと回転止め部100bとの当接位置において、フロントカバー21は固定されることになり、取っ手部21aがプリンタ100本体に向いた位置に配設されるため、フロントカバー21本体によってユーザから隠蔽されるとともに、プリンタ100内部への給紙が可能となる。
【0041】
図3(b)にも示すように、フロントカバー21がプリンタ100本体に対して展開された状態にあるときには、ユーザは、取っ手部21aを外側から直視することができず、触手することもできない。これに対して、フロントカバー21がプリンタ100本体に対して収納された状態にあるときには、ユーザは、空間26aを介して取っ手部21aを外側から直視することができるとともに、触手することができる。したがって、ユーザは、取っ手部21aに手を入れ、プリンタ100本体を持ち上げて移動させることができる。
【0042】
また、図1、及び図3に示すように、媒体排出部10が備えるリアカバー11も、フロントカバー21と同様に、リアカバー11の支点部11bを中心に、プリンタ100本体に対して回転可能に支持されている。また、リアカバー11は、複数枚の用紙を積載するための強度を担保するために、所定の厚みを持って形成されており、リアカバー11がプリンタ100に対して収納された状態であれば、取っ手部11aとして利用することができる。
【0043】
なお、本実施形態のプリンタ100は、リアカバー11の下方にプリンタ100本体の外装が存在しないため、ユーザが手を入れる空間は、必要とされないが、フロントカバー21と同様に、鉛直方向下方にプリンタ100本体の外装が存在する場合は、フロントカバー21と外装カバー100aとで形成される空間26aに相当する空間を備える構成とするとよい。
【0044】
次に、本実施形態にかかるプリンタ100の動作について説明する。
【0045】
媒体カセット2に収容された用紙は、給紙ユニット3が備える給紙ローラによって、媒体カセット2から図1中矢印X方向に一枚ずつ繰り出される。そして、用紙は、搬送ローラ4により斜行が矯正されながら、トナー像形成部5に搬送される。
【0046】
トナー像形成部5は、用紙が搬送ローラ4により搬送されるまでの間の所定のタイミングで、入力された画像情報に基づくトナー像を感光体ドラム51上に形成する。そして、感光体ドラム51上に形成されたトナー像は、用紙が感光体ドラム51と転写ローラ62との間に到達したタイミングにおいて、転写ローラ62に印加されたバイアス電圧により用紙に転写される。
【0047】
全てのトナー像形成部5により形成されたトナー像が転写された用紙は、定着器7に搬送される。そして、トナー像が転写された用紙が所定の温度に維持されたヒートローラとバックアップローラとから形成される圧接部を通過することで、熱及び圧力が付与され、用紙上のトナーが溶融し、トナー像は定着される。
【0048】
トナー像が定着された用紙は、媒体排出部10に搬送される。ここで、リアカバー11が展開されている場合には、用紙は、ガイド部材によりリアカバー11側に案内され、リアカバー11に積載される。一方、リアカバー11が収納されている場合には、用紙はガイド部材によりスタッカ8側に案内され、スタッカ8に積載される。
【0049】
なお、図3(b)に示すように、MPT20のフロントカバー21を展開することにより、MPT20を介して用紙の給紙が可能である。この場合、MPT20から給紙された用紙は、直接トナー像形成部5に搬送され、同様にトナー像の形成、転写、定着の工程が行われる。
【0050】
次に、本実施形態にかかるプリンタ100を移動させる方法について説明する。
【0051】
まず、MPT20のフロントカバー21が展開されている場合には、取っ手部21aを外側から直視することができず、また触手することもできないので、ユーザは支点部21bを中心に回転させながらフロントカバー21をMPT20、つまりプリンタ100本体に収納する。
【0052】
次に、媒体排出部10のリアカバー11が展開されている場合には、取っ手部11aを外側から直視することができず、また触手することもできないので、ユーザは支点部11bを中心に回転させながらリアカバー11を媒体排出部10、つまりプリンタ100本体に収納する。
【0053】
そして、ユーザは、フロントカバー21の取っ手部21a、及びリアカバー11の取っ手部11aに手をかけてプリンタ100本体を持ち上げて、所望の場所にプリンタ100本体を移動させる。なお、このときフロントカバー21とリアカバー11とはプリンタ100本体がその回転のストッパー、つまりそれぞれのカバーの回転止めになるため、プリンタ100本体を持ち上げることが可能となる。
【0054】
上記フロントカバー21、及びリアカバー11のプリンタ100本体に対する回転止めについて図4を用いて説明する。図4は、フロントカバー21が収納された状態で、ユーザが取っ手部21aに手を入れてプリンタ100本体を移動させる、つまり、図4における鉛直方向上方へ移動させようとしたときに作用する力関係を示している。
【0055】
図4において、プリンタ100本体を移動させようとしてユーザの手が力を作用させる点を作用点21eとし、作用点21eからプリンタ100本体を持ち上げようとしたときに発生する力を力Fmとする。力Fpは、力Fmによって支点部21bに発生する力である。力Fgは、プリンタ100本体を持ち上げるときに発生する鉛直方向の力である。力Fcは、支点部21bを中心に回転するフロントカバー21に発生する力である。
【0056】
この力Fcから分かるように、本実施形態においては、フロントカバー21の作用点21eよりもプリンタ100本体側に支点部21bを設ける形態としたことにより、ユーザがプリンタ100本体を持ち上げようとするときに、フロントカバー21には、鉛直方向の力Fgとフロントカバー21がプリンタ100本体側へ移動しようとする力Fcが発生する。したがって、ユーザが取っ手部21aを持ってプリンタ100本体を持ち上げようとするときに、フロントカバー21がプリンタ100本体に対して展開方向に回転することはない。なお、このとき、支点部21bは、力Fgを受ける強度が必要である。そして、上記のフロントカバー21に作用する力関係は、略同構成を備えるリアカバー11にも同様な作用が発生する。
【0057】
[応用例1]
【0058】
次に、本実施形態にかかる応用例について説明する。図5(a)は、応用例1におけるプリンタ101に対してフロントカバー92、及びリアカバー95が収納されている状態を表し、図5(b)は、ユーザがプリンタ101本体を持ち上げるときに、フロントカバー92、及びリアカバー95が図5中の鉛直方向上方に移動する様子を表す図である。
【0059】
プリンタ101においては、フロントカバー92が図5中の鉛直方向上下方向に移動可能となるように、フロントカバー92の支点部に長穴91が形成されている。したがって、フロントカバー92は、支点部を中心に回転可能であるとともに、鉛直方向上下方向に移動可能となる。
【0060】
そして、フロントカバー92の上部には、突出した突出部92bが形成されている。また、プリンタ101本体側には、ストッパー93が形成されている。このストッパー93は、フロントカバー92側へ突出した突出部93aを備えており、さらに、突出部93aには、水平方向におけるフロントカバー92の突出部92bの面92cに対向する面93bが形成されている。
【0061】
また、同様に、プリンタ101においては、リアカバー95が図5中の鉛直方向上下方向に移動可能となるように、リアカバー95の支点部に長穴94が形成されている。したがって、リアカバー95は、支点部を中心に回転可能であるとともに、鉛直方向上下方向に移動可能となる。
【0062】
そして、リアカバー95の上部には、突出した突出部95bが形成されている。また、プリンタ101本体側には、ストッパー96が形成されている。このストッパー96は、リアカバー95側へ突出した突出部96aを備えており、さらに、突出部96aには、水平方向におけるリアカバー95の突出部95bの面95cに対向する面96bが形成されている。
【0063】
このような構成を有するプリンタ101本体を持ち上げる場合、ユーザは、フロントカバー92の取っ手部92aと、リアカバー95の取っ手部95aを持つ。
【0064】
そして、プリンタ101を持ち上げると、フロントカバー92、及びリアカバー95が鉛直方向上方に移動し、フロントカバー92の突出部92bとプリンタ101本体側のストッパー93の突出部93aとが嵌合する。また、同様にリアカバー95の突出部95bとプリンタ101本体側のストッパー96の突出部96aとが嵌合する。したがって、プリンタ101を持ち上げるときに、フロントカバー92、及びリアカバー95を確実に固定することができる。
【0065】
なお、先述の通り、ユーザがプリンタ101本体を持ち上げるときに、各カバーは、プリンタ101本体側に回転するように力が作用するが、想定する方向以外に力が作用する場合においても、本応用例1においては、フロントカバー92、及びリアカバー95が確実に固定されるため、各カバーが展開されることがない。
【0066】
[応用例2]
【0067】
次に、本実施形態にかかる応用例について説明する。図6(a)は、応用例2におけるプリンタ102に対してフロントカバー97、及びリアカバー99が収納されており、本応用例にかかるフロントサブカバー98、及びリアサブカバー104が閉じられた状態を表し、図5(b)は、フロントサブカバー98、及びリアサブカバー104が開かれた状態を表す図である。
【0068】
本応用例にかかるプリンタ102は、フロントカバー97の下部に支点部98aを中心に回転可能なフロントサブカバー98と、リアカバー99の下部に支点部104aを中心に回転可能なリアサブカバー104とを備える。なお、各サブカバーは、図示せぬ付勢手段により、各サブカバーを閉じた状態に保持し、所定の力が加わることで、各サブカバーが開くことができる構成とするとよい。
【0069】
このような構成を有するプリンタ102本体を持ち上げる場合、各カバーを閉じた状態において、ユーザは、フロントサブカバー98、及びリアサブカバー104をプリンタ102本体内部側に倒し、フロントカバー97の取っ手部97a、及びリアカバー99の取っ手部99aを持つことにより、プリンタ102本体を持ち上げることができる。
【0070】
したがって、本応用例のように、各サブカバーを設けることにより、各カバーを収納したときに、図6中矢印A側のプリンタ102正面と背面との外装カバーもフラットにする、つまり、プリンタ102に対して外装を施すことができる。
【0071】
なお、本実施形態においては、用紙の給紙トレイと排紙トレイとなるカバーに取って部を設ける構成としたが、プリンタ本体に対して展開・収納する全てのカバーに本発明を適用することができる。例えば、プリンタ内で給送不良を起こした用紙を除去するために開放されるフロントカバー等にも本発明を適用することができる。
【0072】
以上のように、本実施形態によれば、プリンタ本体を持ち上げるための取っ手部を、プリンタ本体に対して展開・収納されるカバーのカバー展開時にプリンタ本体に対向する位置に配置したので、プリンタ本体を持ち上げるときは、当該カバーは収納されることになり、プリンタ本体を持ち上げやすくすることができる。
【0073】
さらに、取っ手部を、プリンタ本体に対して回転させるためにプリンタ本体との間に空間を備えるフロントカバーとリアカバーとの2箇所に設けたため、プリンタ本体の側面全面に外装を施すことができる。
【0074】
また、プリンタ本体の側面から取っ手部となる凹部を削除することができるため、プリンタ内部に自由となる空間を増やすことができる。
【0075】
さらにまた、各カバーの本体部よりプリンタ本体側に各カバーの支点を備える形態としたため、プリンタ本体を持ち上げるとき、つまり、各カバーの取っ手部に力を加えているときには、フロントカバー、及びリアカバーが展開されることがないという利点を有する。
【0076】
[第2の実施形態]
【0077】
次に、本発明にかかる第2の実施形態について説明する。第1の実施形態においては、ある程度の重量を有するプリンタに対して本発明を適用する場合、各カバーに必要とされる強度が大きくなるといったことがあった。したがって、各カバーに取っ手部を設ける形態とすると、各カバーの厚みが厚くなる。
【0078】
本実施形態においては、プリンタ本体に取っ手部を設ける一方で、プリンタ本体を使用時、つまり、プリンタを設置しているときには、プリンタ側面の外装カバーをフラットにして取っ手部にはユーザが触手できない構成とし、プリンタ本体を使用しない時、つまり、プリンタを移動させるときには、取っ手部を露出させる形態とする。
【0079】
第2の実施形態にかかるプリンタ103の構成を図7、及び図8を用いて説明する。なお、第2の実施形態にかかるプリンタ103の画像形成にかかる構成については、第1の実施形態で説明したプリンタ100の構成と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0080】
図7に示すように、プリンタ103の側面下側には、プリンタ103本体を移動させるための取っ手部である取っ手41,41’,42,42’がそれぞれ形成されている。なお、以降の説明においては、プリンタ103を一方向から見て視認可能な取っ手41、及び42について説明するが、取っ手41’,42’も同形態である。
【0081】
そして、各取っ手部は、各取っ手に対向する位置にシャッターを備えている。シャッターは、プリンタ103本体の両側に各々備えられており、プリンタ103本体の外装内側に鉛直方向に移動可能となるように形成されている。なお、以降の説明においては、取っ手41に対応するシャッター43、及び取っ手42に対応するシャッター44について説明する。
【0082】
シャッター43、及び44は、その先端部にラック43a、及び44aがそれぞれ形成されているとともに、各取っ手に対応する形状である隠蔽部43b、及び44bをそれぞれ備える。
【0083】
なお、本実施形態においては、各隠蔽部は、プリンタ103本体の移動時に他の部品、例えば、外装カバーとの摩擦発生を低減させて移動可能となるように、また、プリンタ103の使用時においても、各取っ手の位置を認識できるように、各取っ手より一回り小さい形状としている。
【0084】
そして、図8に示すように、フロントカバー45、及びリアカバー46は、各シャッターと連結したギア47、及び48をそれぞれ備えている。したがって、各カバーの展開・収納動作に連動して、ギア47、及び48が回転することにより、各シャッターを開閉させる。
【0085】
次に、本実施形態にかかるプリンタ103の動作について説明する。なお、プリンタ103の画像形成の動作に関しては、第1の実施形態にかかるプリンタ100における画像形成動作を同様に行うことができるため、ここでの説明は省略する。
【0086】
そして、本実施形態にかかるプリンタ103を移動させる際、フロントカバー45、及びリアカバー46が収納されている場合には、シャッター43、及び44は、プリンタ103側に移動している。つまり、シャッター43、及び44は、プリンタ103内部に収納された状態にある(図8(a))
【0087】
このとき、ユーザはプリンタ103の取っ手41、及び42を持つことができ、プリンタ103は移動可能である。
【0088】
これに対して、フロントカバー45、及びリアカバー46が展開されると、フロントカバー45、及びリアカバー46の展開動作に伴い、ラック43a、及び44aが移動する。したがって、フロントカバー45、及びリアカバー46のギア47、及び48とシャッター43、及び44のラック43a、及び44aが連動するため、シャッター43、及び44は下方に移動する(図8(b))。
【0089】
このとき、プリンタ103の取っ手41、及び42は、シャッター43、及び44のそれぞれの隠蔽部43a、及び44aにより隠されるため、ユーザは、プリンタ103の取っ手41、及び42に触手することができなくなる。したがって、ユーザは取っ手41、及び42を持つことができず、プリンタ103を移動させることができない。また、隠蔽部43b、及び44bにより、取っ手41、及び42が視認できなくなる。つまり、プリンタ103の取っ手部に外装を施すことが可能となる。
【0090】
なお、本実施形態においては、各隠蔽部を対応する取っ手よりも一回り小さい形状として説明したが、各取っ手部を使用時に、各取っ手を完全に隠蔽したい場合には、各隠蔽部の形状を各取っ手よりも大きい形状とするとよい。
【0091】
以上のように、第2の実施形態によれば、フロントカバー、及びリアカバーの展開・収納動作に連動して開閉するシャッターを設けたことにより、フロントカバー、及びリアカバーが展開されている場合には、シャッターにより取っ手を隠蔽することができ、フロントカバー、及びリアカバーが収納されている場合には、取っ手は露出することになり、ユーザが取っ手を持つことが可能となるともに、カバーが確実に収納されていることを確認することができる。
【0092】
さらに、第2の実施形態によれば、使用可能状態であるカバーの展開時のプリンタの取っ手部に外装を施すことも可能となる。
【0093】
本発明にかかる実施形態の説明においては、装置本体に対して展開自在なカバーを有するプリンタを一例に説明したが、本発明は、装置本体に対して展開自在なカバーを有する様々な装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
2 媒体カセット
2a 取っ手部
3 給紙ユニット
4 搬送ローラ
5 トナー像形成部
6 トナー像転写部
7 定着器
8 スタッカ
10 媒体排出部
11 リアカバー
11a 取っ手部
11b 支点部
20 MPT
21 フロントカバー
21a 取っ手部
21b 支点部
21c 突出部
21d 把持部
21e 作用点
22 フロント給紙ローラ
26a 空間
51 感光体ドラム
52 感光体ドラムクリーニング
53 チャージローラ
54 露光部
55 現像ローラ
56 LEDヘッド
61 転写ベルト
62 転写ローラ
63 転写ベルトクリーニング部
91 長穴
92 フロントカバー
92a 取っ手部
92b 突出部
92c 面
93 ストッパー
93a 突出部
93b 面
94 長穴
95 リアカバー
95a 取っ手部
95b 突出部
95c 面
96 ストッパー
96a 突出部
96b 面
97 フロントカバー
97a 取っ手部
98 フロントサブカバー
98a 支点部
99 リアカバー
99a 取っ手部
100 プリンタ
100a 外装カバー
100b 回転止め部
101 プリンタ
102 プリンタ
103 プリンタ
104 リアサブカバー
104a 支点部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置外筺の少なくとも一側面に備えられ、前記装置外筺に対して展開自在に形成されたカバー部材と、
装置本体を持ち上げるときにユーザが触手する取っ手部とを備え、
前記取っ手部は、前記カバー部材の展開時には隠蔽され、前記カバー部材の収納時には露出されること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記取っ手部は、
前記カバー部材に形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、
画像を記録する記録媒体を載置する媒体載置台を兼ねること
を特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記取っ手部は、
前記カバー部材の展開時に装置本体と対向した位置にあること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カバー部材は、
装置本体に、前記カバーに配設された回転軸によって回転可能に支持されること
を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記取っ手部は、
前記カバー部材の収納時に、鉛直方向における下面に配設されること
を特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記カバー部材は、
前記装置本体に対して鉛直方向に移動可能に配設されること
を特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記装置本体は、
前記回転軸に対応する略鉛直方向に延在する長穴部が配設されること
を特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記取っ手部は、
前記カバー部材の展開、又は収納動作に伴い、前記取っ手部の取っ手部分の閉鎖、又は解放を制御するシャッター部材を備えること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−53478(P2011−53478A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202863(P2009−202863)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】