説明

画像形成装置

【課題】クリーニングすることにより生じる感光体表面の膜厚偏差が小さい画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面にトナー像を形成する像担持体と、像担持体に形成されたトナー像を転写紙に転写する転写装置と、転写装置によりトナー像が転写された後に像担持体の表面の残留したトナーをクリーニングするクリーニング装置と、転写紙のサイズを検知する紙サイズ検知手段と、を有し、所定のタイミングにより、紙サイズ検知手段により検知されたサイズに基づいた転写材上の位置に対応する、像担持体上の位置にトナーパターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体表面のクリーニングするクリーニングユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置には、通常、転写後に感光体上に残留したトナーを回収し、感光体をクリーニングするクリーニングユニットが搭載されている。このクリーニングユニットは、ゴムブレードやブラシローラなどにより構成され、感光体表面を摺擦してトナーをかきとり回収するため、感光体表面はこのクリーニングにより摩耗する。
【0003】
このようなクリーニングユニットを搭載するシステムにおいては、一般的に、感光体表面はある程度削れても問題ないように設計されており、むしろ削れることで感光体表面を常にリフレッシュされた状態にすることによって、トナーなどが感光体表面に薄く付着して異常画像が発生することを抑制するという設計思想もある。
【0004】
しかしながら、感光体表面が均一に摩耗せず、摩耗量に偏差が生じてしまう場合には問題が発生する。摩耗量に偏差が生じると感光体表面膜厚が不均一になるため、静電容量の偏差による帯電電位偏差が生じてしまい、画像濃度偏差が発生してしまう。また、摩耗量が多くなってしまった箇所では静電破壊による非画像部への現像(カブリ)が発生してしまい、非常に問題である。
【0005】
このような摩耗量偏差の一要因として、紙粉の存在がある。紙粉とは転写紙から発生する繊維である。転写紙として紙を使用する以上、紙粉の発生は避けることができないため、一般的な電子写真式画像形成装置では、転写紙搬送経路内の搬送ローラ等に紙粉をかきとり回収するためのマイラを設置する方法や、クリーニングユニットにより感光体上に残留したトナーと一緒に紙粉も回収する方法などがとられている。
【0006】
しかし、紙粉は特に紙の端部で発生しやすく、しかも、紙の端部は基本的に非画像部でありトナー入力がないため、紙粉を転写残トナーと一緒に回収しにくく、結果として紙の端部に対応する位置では紙粉がクリーニングユニットに溜まりやすい。このクリーニングユニットに滞留した紙粉が感光体表面を摺擦しつづけてしまうため、紙端部に対応する位置の感光体表面の削れ量が多くなってしまい、膜厚偏差が生じてしまう。
【0007】
このような紙端部に対応する位置で発生した紙粉による膜厚偏差では、紙端部が常に同じ位置である場合には、紙端部に画像を形成することはないため、画像濃度偏差は発生しない。しかし、膜厚が薄くなり静電破壊によるカブリが発生した場合には、転写紙端部はトナーで汚れてしまうといった問題があった。また、紙端部は使用する紙のサイズによって変化するため、かならずしも紙端部が常に同じ位置であるとは限らない。このため、画像濃度偏差という問題が発生する可能性は十分にある。
【0008】
このような問題に対して、特許文献1には、潜像担持体長手方向における最大転写材サイズより長く転写部材と像担持体の接触長さより短い画像パターンを形成し、クリーニングユニットのブレードへトナーを入力することにより、紙粉の滞留を抑制すると共に、少量の紙粉が滞留してしまっても入力されたトナーにより紙粉の摺擦を弱め、感光体の摩耗量偏差に起因する画像品質の劣化を防止する技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、現像ローラ端部の長手方向両端部に対応する位置に画像パターンを形成しトナーを消費することで、現像ローラ端部の磁力が強いことによる現像能力偏差を抑制する技術が開示されている。
【0010】
また、特許文献3には、感光体上の非画像部領域に画像パターンを形成し、劣化トナーを強制的に排出し、劣化トナーによる画像品質の低下を抑制する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1では、紙粉だけでなく転写ローラ等のゴム中の添加剤等が離脱した異物も考慮して感光体長手方向全域にトナー入力を行っているが、紙粉以外の異物は一般的な電子写真式画像形成装置の構成においては特定の位置に発生が偏ることはない。これは特許文献1の実施例においても当てはまる。よって、摩耗量偏差についていえば、特許文献1に開示された技術の効果は、実質紙端部に相当する位置へのトナー入力のみで十分に得ることができるため、無駄なトナー入力が多いことになり、トナーイールドの低下によるコストアップ等の問題があるといえる。
【0012】
また、特許文献2に開示された技術では、特定領域にトナー入力を行っているが、目的としては摩耗量偏差の低減ではないため、必ずしも紙端部に対応する位置とトナー入力位置が同じとは限らず、しかもトナー入力位置は常に一定であるため使用する紙サイズが変化する場合には紙端位置とトナー入力位置はずれることになり、摩耗量低減効果は得られない。
【0013】
また、特許文献3に開示された技術も特許文献2に開示された技術と同様に、紙端位置へのトナー入力を目的としているわけではないため、同様の理由で摩耗量低減効果は必ずしも得ることはできない。
【0014】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、クリーニングすることにより生じる感光体表面の膜厚偏差が小さい画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明における画像形成装置は、表面にトナー像を形成する像担持体と、前記像担持体に形成されたトナー像を転写紙に転写する転写装置と、前記転写装置により前記トナー像が転写された後に前記像担持体の表面の残留したトナーをクリーニングするクリーニング装置と、前記転写紙のサイズを検知する紙サイズ検知手段と、を有し、所定のタイミングにより、前記紙サイズ検知手段により検知されたサイズに基づいた前記転写材上の位置に対応する、前記像担持体上の位置にトナーパターンを形成することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、クリーニングすることにより生じる感光体表面の膜厚偏差が小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の作像機構の拡大構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態係る画像形成装置における像担持体の膜厚偏差を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるベタパターンを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置における像担持体の膜厚偏差を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置における像担持体の膜厚偏差を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置における像担持体の膜厚偏差を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置における濃度パッチを示す図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る画像形成装置における像担持体の膜厚偏差を示す図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る画像形成装置における像担持体の膜厚偏差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体概略構成を示す図である。図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の作像機構の拡大構成を示す図である。画像形成装置本体10内には、ドラム状の像担持体12を設ける。像担持体12のまわりには、帯電装置13、現像装置14、転写・搬送装置15、クリーニング装置16、除電装置17などを配置する。それらの上部には、レーザ書込み装置18を設ける。
【0020】
レーザ書込み装置18には、レーザダイオード等の光源20、走査用の回転多面鏡21、ポリゴンモータ22、fθレンズ等の走査光学系23などを備えてなり、最大書込み幅は307mmとなっている。
【0021】
クリーニング装置16の図中左側には、定着装置25を配置する。定着装置25には、ヒータを内蔵する定着ローラ26と、その定着ローラ26に下方から押し当てる加圧ローラ27を設ける。
【0022】
また、装置本体10内の上部には、原稿読取装置30を備える。原稿読取装置30には、光源31、複数のミラー32、結像レンズ33、CCD等のイメージセンサ34などを設ける。
【0023】
さらに、装置本体10の下部には、転写紙積載トレイ70を設け給紙を行っており、最大給紙幅は330.2mmとなっており、また、像担持体12の近くにレジストローラ48を設ける。
【0024】
また、上述した現像装置14は、図2から判るとおり、現像タンク50と現像ホッパ60とからなる。現像タンク50では,第1現像ローラ51、第2現像ローラ52、パドルホイール53、攪拌ローラ54、搬送スクリュ55、セパレータ56、ドクタブレード57、トナー濃度センサ58などを現像ケース59内に設ける。そして、現像ケース59内には、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を収納する。現像ホッパ60内には、歯車状のトナー補給部材61、補給規制板62、アジテータ63などを設ける。この現像ホッパ60内には、トナーを収納してなる。
【0025】
そして、この現像装置14では、現像ケース59内の二成分現像剤を、攪拌ローラ54の回転により攪拌して摩擦帯電し、パドルホイール53の回転によって跳ね上げ、第1現像ローラ51および第2現像ローラ52内の磁石によってそれらの第1現像ローラ51および第2現像ローラ52に吸着する。第1現像ローラ51および第2現像ローラ52に吸着した現像剤は、それらの第1現像ローラ51および第2現像ローラ52外周のスリーブにより搬送してドクタブレード57により余剰分を掻き落として後、現像バイアスにより像担持体12に付着してその像担持体12上の静電潜像を現像する。
【0026】
本実施例では現像スリーブ、ケーシング59(アルミ製)にそれぞれ個別のパワーパックからバイアスを印加し、現像スリーブには−650Vを印加、ケーシングには任意に決定されたバイアスを印加(以下ケーシングバイアスと記す)する。現像可能な領域は現像スリーブ長手方向の長さできまっており、310mmとなっている。また、本実施例の現像スリーブの線速は700mm/secである。
【0027】
この現像装置14では、像担持体12に付着してトナーを消費すると、その割合(トナー濃度)が減少する。そこで、現像剤中のトナー濃度がトナー濃度の目標値に対して所定値以下になると、アジテータ63を回転してトナーを攪拌するとともにトナー補給部材61へと搬送し、そのトナー補給部材61を回転して補給規制板62を揺動し、現像ホッパ60から現像タンク50内へとトナーを補給して現像剤中のトナー濃度を維持する。現像剤中のトナー濃度は、現像ケース59に取り付けるトナー濃度センサ58により測定する。このトナー濃度センサ58は、コイルのインダクタンスを利用してセンサ近傍の一定体積内の現像剤の透磁率変化を検知することでトナー濃度を検知している。
【0028】
本実施形態では、所定の印刷枚数毎に基準濃度パッチ潜像がレーザ光によって書き込まれ、パッチの現像バイアスが印加され、所定の現像ポテンシャル(本実施例では280V)で基準濃度トナー像(以下濃度パッチ)が現像される。濃度パッチの反射濃度を反射濃度センサによって検知し、その反射濃度が一定範囲になるようにトナーホッパー60中のトナーが補給される。濃度パッチは、反射濃度センサによってその反射濃度(Vsp)を検知する。地肌濃度(Vsg0)は1ジョブ間のドラム起動時(現像起動前)の、ドラム上にまったくトナーが付着していない状態で検知する。
【0029】
現像装置14では、重量平均粒径が5〜10μm、5μm以下が60〜80個数%含まれているトナーと重量平均粒径6μm以下のキャリアとを含む二成分系現像剤が用いられる。トナーの構成として樹脂成分、着色剤からなり、さらに、ワックス成分や無機微粒子を添加した構成を採用する場合もある。
【0030】
製造方法は特に限定されるものではなく、粉砕方式、重合方式いずれを用いることも可能である。樹脂成分としては従来公知の樹脂全てを用いることができ、例えば、以下のものが挙げられる。
【0031】
スチレン、ポリ−α−スチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂等が挙げられる。
【0032】
また、単独使用も可能であるが、二種類併用しても良い。着色剤としては公知のものとして、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、オイルブラック、アゾオイルブラック等、特に限定はされない。ワックス成分としては公知のものとして、カルナウバワックス、ライスワックス、合成エステルワックスなど、特に限定されないものが用いられる。無機微粒子としては、公知のものとして、シリカ、酸化チタン微粉末などが用いられる。
【0033】
像担持体12に付着したトナーは、転写・搬送装置15によって転写紙に静電転写する。このとき、約10%のトナーは、シートに転写されず像担持体12上に残る。残留トナーは、クリーニング装置16に設けるクリーニングブレード65およびブラシローラ66によって像担持体12上から掻き落とす。クリーニング装置16によって像担持体12上から掻き落とされたトナーは、クリーニング装置16の回収タンク67内に入る。そして、回収スクリュ68によってクリーニング装置16の片側に搬送し、不図示の排出口から排出してトナーリサイクル装置へと導き、現像ホッパ60内へと循環し、再度現像に用いられる。
【0034】
図3は、本発明の第1の実施形態係る画像形成装置における像担持体12の膜厚偏差を示す図である。本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置は、図1に示す画像形成装置に、転写紙積載トレイ70から給紙される紙のサイズを検知する図示しない一般的な紙サイズ検知センサを加えものであり、この紙サイズ検知センサにより検知された紙サイズに応じて表1に示す位置に、図4に示すように、像担持体周方向長さ80mmのベタパターンを、積算通紙枚数が100枚を超えた印刷動作終了時に形成するようにしたものである。
【0035】
【表1】

【0036】
なお、図4は、A4サイズの紙を検知した際のトナー入力パターン位置を示している。また、ベタパターンの形成は、印刷動作終了時であって像担持体12が停止する前に行い、その後に像担持体12を停止させることによってダウンタイムの発生を極力少なくする。ベタパターンをクリーニング装置16へと入力することが目的であるため、ベタパターン形成時は、ベタパターンの転写を行わないために転写・搬送装置15を像担持体12からソレノイドにより離間するようにする。また、ベタパターン形成後は積算通紙枚数をリセットし、再度1枚目からカウントアップする構成とする。
【0037】
このようにすることにより、図3に示すように、像担持体12の膜厚偏差を抑制することができる。図3において、点線は従来の装置での膜厚偏差を示しており、実線は第1の実施形態での膜厚偏差を示している。第1の実施形態では、紙端部での膜厚偏差が従来の装置の場合よりも小さくなっている。
【0038】
なお、図3は、従来の装置と第1の実施形態において、A4サイズの印刷用紙(マイペーパー:NBSリコー製)を用いて、画像面積率6%の一般的な文書を100枚印刷する動作を繰り返し、250万枚プリントした場合における、像担持体12の膜厚を比較した結果である。
【0039】
従来の装置では膜厚が薄くなった箇所で静電破壊が起きてしまい非画像部への現像(カブリ)の発生してしまったが、第1の実施形態に係る画像形成装置では膜厚偏差を抑制することができているため、カブリ汚れは発生しなかった。
【0040】
また、第1の実施形態では転写紙積載トレイ70に備える紙サイズ検知センサにより紙サイズを検知しているが、これは紙サイズの検知方法を限定するものではなく、他にも例えば用紙搬送経路に発光素子によるセンサを設けて紙サイズを検知してもよい。さらに、オプションとして転写紙積載トレイを増設する周辺機を用いた場合にも同様にトレイに備える紙サイズ検知センサにより紙サイズを検知することが可能であり、また手差しトレイから転写紙を給紙する場合にも手差し給紙部に紙サイズ検知センサを設けることで対応可能である。さらに、手差しトレイから大量に給紙するという用途はほぼないと言えるため、手ざしトレイには紙サイズ検知手段を設けないという方法もある。また、ベタパターンのサイズや形成位置も限定するものではなく、検知する紙サイズの紙端部にトナーが入力できていれば良い。
【0041】
上記のベタパターンを形成するタイミングは、上記のように100枚印刷終了ごとに限るものではない。また、ベタパターンを形成するタイミングは、印刷枚数ごとに限るものではなく、例えば、画像形成装置の電源が入れられるごとや、省電力モードからの復帰ごとにベタパターンを形成されるようにしても良い。
【0042】
上述したように、従来の装置では、転写紙端部は紙粉が発生しやすいうえに、トナー入力がされにくいため、クリーニング装置長手方向における転写紙端部に対応する位置には紙粉が蓄積しやすかった。このため、転写紙端部に対応する位置に蓄積した紙粉が潜像担持体を摺擦し続けることになり、転写紙端部に対応する位置のみ潜像担持体表面の削れ量が多くなってしまい、膜厚偏差が生じ、画像濃度偏差や黒スジが生じていた。
【0043】
この問題に対して、第1の実施形態では、潜像担持体長手方向における転写紙の端部に対応する位置にトナー入力を行うことにより、クリーニング装置に蓄積する紙粉とトナーを混ぜ合わせ、クリーニングブラシ等の回収機構により回収しやすくし、蓄積しにくくした。なお、全幅にトナー入力を行う方法と比較して本発明では転写紙サイズを検知して必要最小限のトナー入力を行っているため、必要以上のトナー消費を避けることもできる。
【0044】
このようにすることにより、クリーニング装置の転写紙端部に対応する位置に紙粉が蓄積することを防ぎ、潜像担持体の膜厚偏差による画像濃度偏差、黒スジの発生を抑制することができる。
【0045】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置における像担持体12の膜厚偏差を示す図である。第2の実施形態は、第1実施の形態において、ベタパターン形成のタイミングを、紙サイズが変わらない1つの連続印刷終了後としている。これにより、紙サイズが変わらない最小単位の印刷動作ごとにベタパターンを形成できるため、紙サイズが頻繁に変わる場合においても図5に示すように、像担持体12の膜厚偏差を第1の実施形態の場合よりも抑制することができる。図5において、実線は第2の実施形態での膜厚偏差を示しており、点線は第1の実施形態での膜厚偏差を示している。
【0046】
なお、図5は、A5サイズの印刷用紙(マイペーパー:NBSリコー製)を用いて画像面積率6%の一般的な文書を99枚印刷し、直後にA4サイズの印刷用紙(マイペーパー:NBSリコー製)を用いて、画像面積率6%の一般的な文書を1枚印刷するという動作を1セットとして繰り返し250万枚プリントした場合における、第1の実施形態と第2の実施形態での像担持体12の膜厚を比較した結果である。
【0047】
第1の実施形態では、トナー入力タイミングに検知する紙サイズと、実際に印刷の大半で使用している紙サイズが異なっているため、トナー入力位置が適正ではなく、結果として膜厚が薄くなった箇所で静電破壊が起きてしまい非画像部への現像(カブリ)の発生してしまった。一方、第2の実施形態では、膜厚偏差を抑制することができているためカブリ汚れは発生しなかった。極端なモードではあるが、第1の実施形態では、紙種が頻繁に変動する場合適正でない位置にトナーを入力する可能性があるのに対し、第2の実施形態ではその問題を解消している。
【0048】
よって、第2の実施形態では、転写紙サイズがこまめに変わるような場合においても問題なく、クリーニング装置の転写紙端部に対応する位置に紙粉が蓄積することを防ぎ、潜像担持体の膜厚偏差による画像濃度偏差、黒スジの発生を抑制することができる。
【0049】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置における像担持体の膜厚偏差を示す図である。第3の実施形態は、第2の実施形態において、連続印刷動作が100プリント以上連続して続く場合には、100プリント目の印刷終了後にベタパターン形成を行い、ベタパターン形成後に連続印刷動作を再開している。これにより、連続印刷動作が長く続くことによりベタパターンの入力ができないことによる紙端位置への紙粉の滞留による膜厚偏差を抑制している。
【0050】
図6は、A4サイズの印刷用紙(マイペーパー:NBSリコー製)を用いて、画像面積率6%の一般的な文書を10000枚印刷する動作を繰り返し250万枚プリントした場合における、第2の実施形態と第3の実施形態の像担持体12の膜厚を比較した結果である。図6において、実線は第3の実施形態での膜厚偏差を示しており、点線は第2の実施形態での膜厚偏差を示している。
【0051】
図6に示すように、第2の実施形態ではベタパターン形成の機会が少ないため、膜厚偏差が生じてしまっているが、第3の実施形態では膜厚偏差を抑制できている。このため、第2の実施形態では膜厚が薄くなった箇所で静電破壊が起きてしまい非画像部への現像(カブリ)の発生してしまったが、第3の実施形態では膜厚偏差を抑制することができているためカブリ汚れは発生しなかった。
【0052】
よって、第3の実施形態では、連続印刷が長時間続いてしまいトナー入力がなかなかできない場合においても問題なく、クリーニング装置の転写紙端部に対応する位置に紙粉が蓄積することを防ぎ、潜像担持体の膜厚偏差による画像濃度偏差、黒スジの発生を抑制することができる。
【0053】
図7は、本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置における像担持体12の膜厚偏差を示す図である。本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置は、図1に示す画像形成装置に、転写紙積載トレイ70から給紙される紙のサイズを検知する図示しない一般的な紙サイズ検知センサを加えものであり、この紙サイズ検知センサにより検知された紙サイズに応じて表2に示す位置に、図8に示すように、像担持体周方向長さ120mmの上記の濃度パッチを、積算通紙枚数が10枚を超えた印刷動作終了時に形成するようにしたものであり、さらに、その濃度パッチのうち本体手前側に形成した濃度パッチの反射濃度を上記の反射濃度センサによって検知し、その反射濃度が一定範囲になるようにトナーホッパー60中のトナーを補給するようにしたものである。
【0054】
【表2】

【0055】
なお、図8はA4サイズの紙を検知した際のトナー入力パターン位置を示している。また、濃度パッチの形成は、印刷動作終了時であって像担持体12が停止する前に行い、その後に像担持体12を停止させることによってダウンタイムの発生を極力少なくしている。さらに、濃度パッチをクリーニング装置16へと入力することが目的であるため、濃度パッチ形成時は濃度パッチの転写を行わないために転写・搬送装置15を像担持体12からソレノイドにより離間している。また、濃度パッチ形成後は積算通紙枚数をリセットし、再度1枚目からカウントアップする構成としている。
【0056】
このようにすることにより、図7に示すように、像担持体12の膜厚偏差を抑制することができる。図7において、点線は従来の装置での膜厚偏差を示しており、実線は第4の実施形態での膜厚偏差を示している。第4の実施形態では、紙端部での膜厚偏差が従来の装置の場合よりも小さくなっている。
【0057】
なお、図8は、従来の装置と、第4の実施形態について、A4サイズの印刷用紙(マイペーパー:NBSリコー製)を用いて、画像面積率6%の一般的な文書を10枚印刷する動作を繰り返し250万枚プリントした場合における、像担持体12の膜厚を比較した結果である。
【0058】
従来の装置では膜厚が薄くなった箇所で静電破壊が起きてしまい非画像部への現像(カブリ)の発生してしまったが、請求項1では膜厚偏差を抑制することができているためカブリ汚れは発生しなかった。
【0059】
また、第4の実施形態では転写紙積載トレイ70に備える紙サイズ検知センサにより紙サイズを検知しているが、これは紙サイズの検知方法を限定するものではなく、他にも例えば用紙搬送経路に発光素子によるセンサを設けて紙サイズを検知してもよい。さらに、オプションとして転写紙積載トレイを増設する周辺機を用いた場合にも同様にトレイに備える紙サイズ検知センサにより紙サイズを検知することが可能であり、また手差しトレイから転写紙を給紙する場合にも手差し給紙部に紙サイズ検知センサを設けることで対応可能である。さらに、手差しトレイから大量に給紙するという用途はほぼないと言えるため、手ざしトレイには紙サイズ検知手段を設けないという方法もある。また、濃度パッチのサイズや形成位置も限定するものではなく、検知する紙サイズの紙端部にトナーが入力でき、かつ濃度パッチの反射濃度を検知してトナー濃度を狙いの画像濃度が出る濃度に調整できればよい。
【0060】
上記のように第4の実施形態では、潜像担持体の非画像部に画像パターンを形成して光学濃度を検知し、検知値と狙いの光学濃度の差に応じてトナー補給量等を制御する。また、二成分現像剤中のトナー濃度を狙いの画像濃度が出せる濃度に維持しつつ、その画像パターンを、潜像担持体長手方向における幅が最大書込み幅以内であり、最大通紙可能幅の転写紙の両端部に相当する位置を少なくとも含む2つの非画像部領域であり、転写紙サイズ検知手段が検知する、潜像担持体長手方向における画像形成に使用する転写紙の端部に対応する位置も含む2つの非画像部領域に形成する。このようにすることにより、クリーニング装置に蓄積する紙粉とトナーを混ぜ合わせ、クリーニングブラシ等の回収機構により回収しやすくし、蓄積しにくくする。なお、全幅にトナー入力を行う方法と比較して本発明では転写紙サイズを検知して必要最小限のトナー入力を行っているため、必要以上のトナー消費を避けることもできる。
【0061】
また、この濃度パッチによりパターンを作ることで、紙粉の処理とともに、濃度調整も行えることになるため、トナーを紙粉処理だけに使用するという無駄がなくなる。
【0062】
よって、第4の実施形態は、クリーニング装置の転写紙端部に対応する位置に紙粉が蓄積することを防ぎ、潜像担持体の膜厚偏差による画像濃度偏差、黒スジの発生を抑制することができる。
【0063】
図9は、本発明の第5の実施形態に係る画像形成装置における像担持体12の膜厚偏差を示す図である。第5の実施形態は、第4の実施形態において、濃度パッチ形成のタイミングを、紙サイズが変わらない1つの連続印刷終了後としている。これにより、紙サイズが変わらない最小単位の印刷動作ごとに濃度パッチを形成できるので、紙サイズが頻繁に変わる場合においても図9に示すとおり、像担持体12の膜厚偏差を抑制することができる。図9において、実線は第5の実施形態での膜厚偏差を示しており、点線は第4の実施形態での膜厚偏差を示している。
【0064】
なお、図9は、A5サイズの印刷用紙(マイペーパー:NBSリコー製)を用いて画像面積率6%の一般的な文書を9枚印刷し、直後にA4サイズの印刷用紙(マイペーパー:NBSリコー製)を用いて、画像面積率6%の一般的な文書を1枚印刷するという動作を1セットとして繰り返し250万枚プリントした場合における、第4の実施形態と第5の実施形態の像担持体12の膜厚を比較した結果である。
【0065】
第4の実施形態では、トナー入力タイミングに検知する紙サイズと、実際に印刷の大半で使用している紙サイズが異なっているため、トナー入力位置が適正ではなく、結果として膜厚が薄くなった箇所で静電破壊が起きてしまい非画像部への現像(カブリ)の発生してしまった。一方、第5の実施形態では、膜厚偏差を抑制することができているためカブリ汚れは発生しなかった。極端なモードではあるが、第4の実施形態では、紙種が頻繁に変動する場合適正でない位置にトナーを入力する可能性があるのに対し、第5の実施形態ではその問題を解消している。
【0066】
図10は、本発明の第6の実施形態に係る画像形成装置における像担持体の膜厚偏差を示す図である。第6の実施形態は、第5の実施形態において、連続印刷動作が100プリント以上連続して続く場合には、100プリント目の印刷終了後に濃度パッチ形成を行い、濃度パッチ形成後に連続印刷動作を再開している。これにより、連続印刷動作が長く続くことにより濃度パッチのトナー入力ができないことによる紙端位置への紙粉の滞留による膜厚偏差を抑制している。また、濃度パッチによる画像濃度の安定可を実現している。
【0067】
図10は、A4サイズの印刷用紙(マイペーパー:NBSリコー製)を用いて、画像面積率6%の一般的な文書を10000枚印刷する動作を繰り返し250万枚プリントした場合における、第6の実施形態と第5の実施形態の像担持体12の膜厚を比較した結果である。図10において、実線は第5の実施形態での膜厚偏差を示しており、点線は第6の実施形態での膜厚偏差を示している。
【0068】
図10に示すように、第5の実施形態では濃度パッチ形成の機会が少ないため、膜厚偏差が生じてしまっているが、第6の実施形態では膜厚偏差を抑制できている。このため、第5の実施形態では膜厚が薄くなった箇所で静電破壊が起きてしまい非画像部への現像(カブリ)の発生してしまったが、第6の実施形態では膜厚偏差を抑制することができているためカブリ汚れは発生しなかった。
【0069】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【0070】
また、本発明における画像形成装置は、前記所定のタイミングは、所定の枚数の印刷が終了したタイミングであるようにしても良い。
【0071】
また、本発明における画像形成装置は、前記転写装置により前記像担持体に形成されたトナー像が転写される転写材のサイズが変更されたタイミングであるようにしても良い。
【0072】
また、本発明における画像形成装置は、前記像担持体上に形成されたトナーパターンの光学濃度を検知する光学センサと、前記光学センサにより検知された前記トナーパターンの光学濃度によりトナー濃度を制御するようにしても良い。
【0073】
また、本発明における画像形成装置は、前記紙サイズ検知手段により検知されたサイズに基づいた前記転写材上の位置は、前記紙サイズ検知手段により検知された前記転写紙の端部であるようにしても良い。
【符号の説明】
【0074】
10 画像形成装置
12 像担持体
15 転写・搬送装置
16 クリーニング装置
70 転写紙積載トレイ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特許3083000号公報
【特許文献2】特許3452107号公報
【特許文献3】特開2008−281844号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像を形成する像担持体と、
前記像担持体に形成されたトナー像を転写紙に転写する転写装置と、
前記転写装置により前記トナー像が転写された後に前記像担持体の表面の残留したトナーをクリーニングするクリーニング装置と、
前記転写紙のサイズを検知する紙サイズ検知手段と、を有し、
所定のタイミングにより、前記紙サイズ検知手段により検知されたサイズに基づいた前記転写材上の位置に対応する、前記像担持体上の位置にトナーパターンを形成することを特徴とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定のタイミングは、所定の枚数の印刷が終了したタイミングであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定のタイミングは、前記転写装置により前記像担持体に形成されたトナー像が転写される転写材のサイズが変更されたタイミングであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体上に形成されたトナーパターンの光学濃度を検知する光学センサと、
前記光学センサにより検知された前記トナーパターンの光学濃度によりトナー濃度を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記紙サイズ検知手段により検知されたサイズに基づいた前記転写材上の位置は、前記紙サイズ検知手段により検知された前記転写紙の端部であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−59203(P2011−59203A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206260(P2009−206260)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】