説明

画像形成装置

【課題】像保持体の表面層に含まれる硬化触媒由来の生成物の光吸収波長を含む光が、除電光として像保持体に照射される場合に比べて、除電光に起因する画像のムラの抑制された画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10では、像保持体7の感光層(すなわち電荷発生層)に含まれる電荷発生材料の光吸収波長と、像保持体7の表面層の光吸収波長とが異なり、且つ、除電装置20から照射される除電光の波長が、表面層の光吸収波長以外の波長とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1では、除電ランプの発光面を像保持体面に向かい合う支持部材側に向けて発光し、支持部材の反射光によって像保持体面を除電する除電装置を設けた画像形成装置が提案されている。
【0003】
引用文献2では、複数の点状光源を一列に配列して構成し、その配列間隔を、一列に配置された光源から被照射体までの距離より小さくし、長手方向最端部に配置されている光源と該光源に隣接して配置されている光源との間隔を平均の配置間隔より小さくした除電ランプが提案されている。
【0004】
引用文献3では、像保持体に除電ユニットから除電光を照射するにあたり、光路確保部材を用いて除電光を導光させて、光路確保部材の端縁部と像保持体との間隔について、像保持体の軸方向中央部においては第1の距離d1とし、軸方向両端部においては第1の距離d1より長い第2の距離d2として、除電光の照射幅を軸方向両端部において広くし除電光量を多くすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−137449号公報
【特許文献2】特開2001−034129号公報
【特許文献3】特開2006−234882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、像保持体の表面層に含まれる硬化触媒由来の生成物の光吸収波長を含む光が、除電光として像保持体に照射される場合に比べて、除電光に起因する画像のムラの抑制された画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、基体上に、電荷発生材料を含む感光層、及び硬化性樹脂と硬化触媒とを含む表面層が順に設けられ、前記電荷発生材料の光吸収波長と前記表面層の光吸収波長とが異なる像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電装置と、前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体に形成された静電潜像をトナーによってトナー像に現像する現像装置と、前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、前記像保持体に、前記表面層の光吸収波長以外の波長の除電光を照射する除電装置と、を備えた画像形成装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記除電装置が、前記像保持体の軸方向に延在され、光を導光する導光部材と、該導光部材の長尺方向の少なくとも一端側に設けられた光源と、から構成された請求項1に記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記像保持体を加熱する加熱装置を備えた請求項1または請求項2に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、像保持体の表面層に含まれる硬化触媒の光吸収波長を含む光が除電光として像保持体に照射される場合に比べて、除電光に起因する画像のムラが抑制される、という効果を奏する。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、除電装置を導光部材を含まない構成とした場合に比べて、像保持体の幅方向における除電光の強度のムラが抑制される、という効果を奏する。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、加熱装置を備えない場合に比べて、除電光に起因する画像のムラが更に抑制される、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る像保持体の概略部分を示す断面図である。
【図3】本実施形態に係る像保持体の概略部分を示す断面図である。
【図4】本実施形態に係る像保持体の概略部分を示す断面図である。
【図5】実施形態に係る除電装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本実施の形態の画像形成装置の一の形態を詳細に説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10には、像保持体7を備えたプロセスカートリッジ30が設けられている。像保持体7は、円柱状とされ、図示を省略するモータにより、回転駆動(図1中の矢印A方向)される。
【0015】
プロセスカートリッジ30内の、像保持体7の周辺には、帯電装置8、潜像形成装置9、現像装置12、転写装置40、清掃装置13、除電装置20、及び加熱装置22が、像保持体7の回転方向に沿って順に配設されている。また、画像形成装置10には、中間転写体50が設けられている。
【0016】
帯電装置8は、像保持体7表面を帯電する。帯電装置8は、像保持体7表面に接触または非接触で設けられ、像保持体7の表面を帯電する。帯電装置8としては、像保持体7に接触して配置される接触型帯電器や、像保持体7に非接触で配置される非接触型帯電器が挙げられる。非接触型帯電器としては、コロトロン帯電器やスコロトロン帯電器が挙げられる。
【0017】
潜像形成装置9は、プロセスカートリッジ30の図示を省略する開口部を介して像保持体7へ、形成対象の画像情報に応じて変調された露光光を照射することで、像保持体7上に画像情報の画像に応じた静電潜像を形成する。この潜像形成装置9としては、半導体レーザ光、LED(発光ダイオード)光、液晶シャッタ光等の露光光を露光する光学系機器等が挙げられる。
【0018】
現像装置12には、現像剤が貯留されている。この現像剤としては、公知の一成分系現像剤や、公知の二成分系現像剤等が挙げられる。現像装置12は、現像剤を像保持体7へ供給することによって、該像保持体7上の静電潜像をトナーによって現像してトナー像とする。この現像装置12としては、公知の現像装置を用いればよい。
【0019】
像保持体7周辺の、現像装置12の配設位置より像保持体7の回転方向下流側には、転写装置40が設けられている。転写装置40は、像保持体7との間で中間転写体50を挟んで搬送し、この中間転写体50上に像保持体7上のトナー像を転写する。中間転写体50上に転写されたトナー像は、図示を省略する支持部材によって搬送された記録媒体(図示省略)に転写された後に、図示を省略する定着装置によって記録媒体に定着される。トナー像の定着によって画像の形成された記録媒体は、図示を省略する支持部材によって画像形成装置10の外部へと搬送される。
【0020】
像保持体7の回転方向(図1中矢印A方向)の、転写装置40の設けられた位置より像保持体7の回転方向下流側で、露光装置8の設けられた位置より像保持体7の回転方向上流側には、清掃装置13、除電装置20、及び加熱装置22が配設されている。
【0021】
清掃装置13は、像保持体7上の残留トナーや紙粉等の付着物を除去する。清掃装置13としては、例えば、像保持体7に対して線圧10g/cm以上150g/cm以下で接触する部材を有する構成が挙げられる。
【0022】
除電装置20は、除電光を像保持体7へ照射することによって像保持体7を除電する。この除電装置20は、光を照射する光源20Aを含んで構成されている。除電装置20の詳細は、後述する。
【0023】
加熱装置22は、像保持体7を加熱するための装置である。この加熱装置22は、像保持体7の少なくとも表面層(詳細後述)に熱を加えられる構成であればよく、公知の装置が用いられる。この加熱装置22の配置される位置は、像保持体7の少なくとも表面層(詳細後述)に熱を加えられる位置であればよく、図1に示すように、像保持体7の外周面側から像保持体7に熱を加える位置に配置された構成に限られず、像保持体7の内周側から該表面層(詳細後述)に熱を加える位置(像保持体7の内部)に配置されていてもよい。図1では、加熱装置22は、除電装置20より像保持体7の回転方向下流側で且つ帯電装置8より像保持体7の回転方向上流側に設けられた構成である場合を説明するが、像保持体7の少なくとも表面層(詳細後述)に熱を加える位置に配置されていればよく、この位置に限られない。
【0024】
なお、本発明の画像形成装置が、本実施の形態の画像形成装置10に相当し、本発明の画像形成装置における像保持体が、本実施の形態の像保持体7に相当する。また、本発明の画像形成装置における帯電装置が、本実施の形態の帯電装置8に相当し、潜像形成装置が、本実施の形態の潜像形成装置9に相当し、現像装置が、本実施の形態の現像装置12に相当し、転写装置が、本実施の形態の転写装置40に相当する。
また、本発明の画像形成装置の除電装置が、本実施の形態の除電装置20に相当し、本発明の画像形成装置の加熱装置が、本実施の形態の加熱装置22に相当する。
【0025】
次に本実施の形態の像保持体7の構成について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0026】
図2は、像保持体7の一の実施形態を模式的に示した断面図である。図3及び図4は、本実施の形態の像保持体7の、図2とは異なる態様を模式的に示した断面図である。
【0027】
図2に示す像保持体7は、基体4上に、電荷発生材料を含む感光層11、及び硬化性樹脂と硬化触媒を含む表面層5が順に設けられた構成とされている。感光層11は、下引層1上に、電荷発生層2、及び電荷輸送層3が順に形成された構成とされている。
【0028】
なお、像保持体7は、基体4上に、電荷発生材料を含む感光層11、及び硬化性樹脂と硬化触媒を含む表面層5が順に設けられた構成とされていればよく、図2に示す構成に限られない。
【0029】
例えば、図3に示すように、感光層11が、下引層1上に、電荷輸送層3、及び電荷発生層2が順に設けられた構成とされた構成の像保持体7とされていてもよく、図4に示すように、感光層11が、下引層1上に、電荷発生材料と電荷輸送材料とを含む単層型の層6の設けられた構成とされた像保持体7であってもよい。また、像保持体7は、下引層1の設けられていない構成であってもよい。
【0030】
なお、本発明の画像形成装置の像保持体における基体が、本実施の形態の像保持体7の基体4に相当し、本発明の画像形成装置の像保持体における感光層が、本実施の形態の感光層11に相当する。また、本発明の画像形成装置の像保持体における表面層が、本実施の形態の像保持体7の表面層5に相当する。
【0031】
<基体>
基体4としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、及び金属ベルト、又は、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
【0032】
<下引層>
下引層1は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有して構成される。無機粒子としては、下引層1のリーク耐性、キャリアブロック性獲得の観点から、粉体抵抗(体積抵抗率)102Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが挙げられる。
下引層1に含有される結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等が挙げられる。
【0033】
この下引層1中には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を用いてもよい。添加物としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに下引層形成用塗布液に添加してもよい。
【0034】
<電荷発生層>
電荷発生層2は電荷発生材料及び結着樹脂を含有する層である。この電荷発生層2に含まれる電荷発生材料が、本発明の画像形成装置の像保持体における、感光層に含まれる電荷発生材料に相当する。
【0035】
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、潜像形成装置9から潜像形成のために照射される露光光が近赤外域の光である場合には、電荷発生材料としては、金属及又は無金属フタロシアニン顔料が挙げられ、具体的には、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンが挙げられる。また、潜像形成装置9から潜像形成のために照射される露光光が近紫外域の光である場合には、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。
【0036】
上記ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、分散性の観点からは、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が挙げられる。また、この810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いる場合には、分散性、感度、帯電性、及び暗減衰特性等の特性低下の抑制の観点から、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが良い。具体的には、平均粒径が0.20μm以下や、0.01μm以上0.15μm以下が挙げられ、BET比表面積が45m/g以上や、50m/g以上や、55m/g以上120m/g以下が挙げられる。この平均粒径は、体積平均粒径(d50平均粒径)でレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)にて測定した値である。また、BET式比表面積測定器(島津製作所製:フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
【0037】
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するものであることが良い。
【0038】
また、このヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率としては、2.0%以上4.0%以下、または2.5%以上3.8%以下が良い。なお、熱重量減少率は熱天秤等により測定される。上記熱重量減少率が上記範囲内であると、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に含有される不純物の影響による感度特性、繰り返し使用時における電位の安定性、感度の低下、及び画像品質の低下が抑制されると考えられる。
【0039】
電荷発生層2に使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。結着樹脂としては、具体的には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂の配合比としては、質量比で10:1から1:10までの範囲内が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
【0040】
この電荷発生層2は、電荷発生材料及び結着樹脂を溶剤中に分散した塗布液を用いて、公知の塗布方法を用いて塗布することで形成すればよい。
【0041】
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
【0042】
また、電荷発生材料及び結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、分散による電荷発生材料の結晶型の変化の抑制の観点から、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法が挙げられる。この分散の際には、電荷発生材料の平均粒径を、0.5μm以下、0.3μm以下、または0.15μm以下にするとよい。
【0043】
電荷発生層2の膜厚としては、0.1μm以上5.0μm以下や、0.2μm以上2.0μm以下が挙げられる。
【0044】
<電荷輸送層>
電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物があげられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
電荷輸送層3に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。また、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等の高分子電荷輸送材を用いてもよい。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1から1:5までが挙げられる。
【0046】
また、電荷輸送材料として高分子電荷輸送材を用いてもよい。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、他種に比べ高い電荷輸送性を有しており、特に良い。
【0047】
電荷輸送層3は、上記構成材料を含有する電荷輸送層の形成用の塗布液を用いて形成される。電荷輸送層の形成用の塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独又は2種以上混合して用いられる。また、上記各構成材料の分散方法としては、公知の方法が使用される。
【0048】
電荷輸送層の形成用の塗布液を電荷発生層2の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
【0049】
電荷輸送層3の膜厚としては、5μm以上50μm以下や、10μm以上30μm以下が挙げられる。
【0050】
なお、上記では、図2に示される像保持体7が有する機能分離型の感光層11の例を説明したが、図3に示される像保持体7が有する単層型の感光層11(電荷発生/電荷輸送層)中の電荷発生材料の含有量は、10質量%以上85質量%以下や、20質量%以上50質量%以下が挙げられる。また、電荷輸送材料の含有量としては、5質量%以上50質量%以下が挙げられる。単層型の感光層11(電荷発生/電荷輸送層)の形成方法は、電荷発生層2や電荷輸送層3の形成方法と同様である。単層型の感光層(電荷発生/電荷輸送層)11の膜厚としては、5μm以上50μm以下や、10μm以上40μm以下が挙げられる。
【0051】
<表面層>
表面層5について説明する。
表面層5は、像保持体7において、最も表面側(すなわち、最も外面側)に設けられた層であり、感光層11を保護するために別途設けられた層である。表面層5を有することで、像保持体の最表面に、磨耗、傷などに対する耐性を持たせ、且つトナーの転写効率が向上される。
【0052】
本実施の形態において、表面層5は、少なくとも硬化性樹脂と、硬化触媒と、電荷輸送材を含んで構成されている。表面層5は、上記硬化性樹脂に硬化性触媒を添加して架橋させた架橋膜とされることで、機械強度が向上される。
なお、本実施の形態では、表面層5は、電荷発生層2及び電荷輸送層3を含む感光層11の表面に設けられた層であるものとして説明するが、電荷発生材料を含む電荷発生層2とは別の層として設けられ、且つ像保持体7において最も外側に設けられた層であればよい。このため、電荷発生層2より表面側に電荷輸送層3が設けられている場合には、この電荷輸送層3を表面層5として機能させてもよい。この場合には、上記電荷輸送層3の構成材料に、下記に説明する表面層5の構成材料を加えたものを表面層5として用い、感光層11を、電荷発生層2または電荷発生層2と下引層1を含んだ構成とすればよい。
【0053】
まず、硬化性樹脂について説明する。硬化性樹脂は、架橋性の材料であり、フェノール樹脂、硬化性アクリル樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の熱架橋性の材料が挙げられる。これらの中でも、表面層5の機械強度、電気特性、及び付着物除去性の点で、フェノール樹脂、硬化性アクリル樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの熱架橋性の材料が挙げられる。これらの中でも、硬化性樹脂組成物の硬化物の機械強度、電気特性及び付着物除去性の点でフェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、硬化性アクリル樹脂が良く、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂がより良い。これらの材料は、特に、硬化性樹脂のうちでも、極性の高い硬化性樹脂であり、塗膜欠陥が生じやすい材料であるが、塗膜欠陥が抑制されると共に、表面層5の機械的強度も向上されると考えられる。
【0054】
この表面層5は、電気特性の改良の観点から、電荷輸送性材料を含むことが良い。
【0055】
中でも、表面層5の機械的強度及び電気的安定性の観点からは、表面層5は、硬化性樹脂である、グアナミン樹脂(グアナミン構造を有する化合物、以下、適宜「グアナミン化合物」と称する場合がある)及びメラミン樹脂(メラミン構造を有する化合物、以下、適宜「メラミン化合物」と称する)から選択される少なくとも1種の化合物と、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選ばれる置換基の少なくとも1つを有する電荷輸送性材料(以下、適宜「特定の電荷輸送性材料」と称する)の少なくとも1種と、を含む組成物の架橋物からなる層であることが良い。
硬化性樹脂としてのグアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、上記の特定の置換基を有する上記特定の電荷輸送性材料と、により架橋部位(架橋サイト)が多官能化されて高度に架橋され、機械強度が向上され環境による電気特性の変動の抑制された表面層5が形成されると考えられる。
また、グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種の化合物は、該化合物及び特定の電荷輸送性材料を含む組成物における固形分濃度が0.1質量%以上5質量%であることが良い。
【0056】
まず、グアナミン化合物について説明する。
グアナミン化合物は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミンなどが挙げられる。
【0057】
グアナミン化合物としては、特に下記一般式(A)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが良い。ここで、多量体は、一般式(A)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(A)で示される化合物は、一種単独で用いもよりが、2種以上を併用してもよい。特に、一般式(A)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上されると考えられる。
【0058】
【化1】



【0059】
一般式(A)中、Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数4以上10以下の置換若しくは未置換の脂環式炭化水素基を示す。R乃至Rは、それぞれ独立に水素、−CH−OH、又は−CH−O−Rを示す。Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基を示す。
【0060】
一般式(A)において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上5以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。
【0061】
一般式(A)中、Rを示すフェニル基は、炭素数6以上10以下であるが、より望ましくは6以上8以下である。当該フェニル基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
【0062】
一般式(A)中、Rを示す脂環式炭化水素基は、炭素数4以上10以下であるが、より望ましくは5以上8以下である。当該脂環式炭化水素基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
【0063】
一般式(A)中、R乃至Rを示す「−CH−O−R」において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上6以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。望ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
【0064】
一般式(A)で示される化合物としては、Rが炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基を示し、R乃至Rがそれぞれ独立に−CH−O−Rを示される化合物が良い。また、Rは、メチル基又はn-ブチル基から選ばれることが良い。
【0065】
一般式(A)で示される化合物は、例えば、グアナミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ)で合成される。
【0066】
次に、メラミン化合物について説明する。
メラミン化合物としては、メラミン骨格(構造)であり、下記一般式(B)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種が挙げられる。ここで、多量体は、一般式(A)と同様に、一般式(B)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(B)で示される化合物又はその多量体は、一種単独で用いもよりが、2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(A)で示される化合物又はその多量体と併用してもよい。特に、一般式(B)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上される。
【0067】
【化2】



【0068】
一般式(B)中、R乃至R11はそれぞれ独立に、水素原子、−CH−OH、−CH−O−R12を示し、R12は炭素数1以上5以下の分岐してもよいアルキル基を示す。当該アルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
【0069】
一般式(B)で示される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページのメラミン樹脂と同様に合成される)で合成される。
【0070】
これらのグアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種の、表面層用の塗布液における固形分濃度は、表面層5の機械的強度の維持及び電気特性や耐ゴースト性の観点から、0.1質量%以上5質量%以下、1質量%以上3質量%以下、が挙げられる。
【0071】
次に、上記の特定の電荷輸送性材料について説明する。特定の電荷輸送性材料は、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選択される置換基の少なくとも1つを持つものである。特に、特定の電荷輸送性材料としては、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選択される置換基を少なくとも2つ(さらには3つ)持つものが好適に挙げられる。この如く、特定の電荷輸送性材料に反応性官能基(当該置換基)が増えることで、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、特にブレードクリーナーを用いた際の像保持体の回転トルクが低減され、ブレードへのダメージの抑制や、像保持体の磨耗が抑制されると考えられる。この詳細は不明であるが、反応性官能基の数が増すことで、架橋密度の高い硬化膜が得られることから、像保持体の極表面の分子運動が抑制されてブレード部材表面分子との相互作用が弱まるためと推測される。
【0072】
特定の電荷輸送性材料としては、下記一般式(I)で示される化合物が挙げられる。
F−((−R−X)n1(Rn2−Y)n3 (I)
【0073】
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、n3は1以上4以下の整数を示す。Xは酸素、NH、又は硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH、−NH、−SH、又は−COOHを示す。
【0074】
一般式(I)中、Fを示す正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基における正孔輸送能を有する化合物としては、アリールアミン誘導体が好適に挙げられる。アリールアミン誘導体としては、トリフェニルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体が挙げられる。
【0075】
そして、一般式(I)で示される化合物は、下記一般式(II)で示される化合物であることが望ましい。一般式(II)で示される化合物は、特に、電荷移動度、酸化などに対する安定性等に優れると考えられる。
【0076】
【化3】

【0077】
一般式(II)中、Ar乃至Arは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示し、Arは置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Dは−(−R−X)n1(Rn2−Yを示し、cはそれぞれ独立に0又は1を示し、kは0又は1を示し、Dの総数は1以上4以下である。また、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、Xは酸素、NH、又は硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH、−NH、−SH、又は−COOHを示す。
【0078】
一般式(II)中、Dを示す「−(−R−X)n1(Rn2−Y」は、一般式(I)と同様であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基である。また、n1として望ましくは、1である。また、n2として望ましくは、1である。また、Xとしては、酸素が挙げられる。また、Yとしては水酸基が挙げられる。
なお、一般式(II)におけるDの総数としては、一般式(I)におけるn3に相当し、例えば、2以上4以下や、3以上4以下が挙げられる。つまり、一般式(I)や一般式(II)において、Dの総数を、一分子中に2以上4以下、または3以上4以下とすると、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、像保持体7の回転トルクが低減され、ブレードへのダメージの抑制や、像保持体7の磨耗が抑制されると考えられる。
【0079】
一般式(II)中、Ar乃至Arとしては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが良い。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar乃至Arの各々に連結され得る「−(D)」と共に示す。
【0080】
【化4】



【0081】
式(1)乃至(7)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R10乃至R12はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、D及びcは一般式(II)における「D」、「c」と同様であり、sはそれぞれ0又は1を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
【0082】
ここで、式(7)中のArとしては、下記式(8)又は(9)で表されるものが望ましい。
【0083】
【化5】



【0084】
式(8)、(9)中、R13及びR14はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
【0085】
また、式(7)中のZ’としては、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが望ましい。
【0086】
【化6】



【0087】
式(10)乃至(17)中、R15及びR16はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ1以上10以下の整数を表し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を表す。
【0088】
上記式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
【0089】
【化7】



【0090】
また、一般式(II)中、Arは、kが0のときはAr乃至Arの説明で例示された上記(1)乃至(7)のアリール基であり、kが1のときはかかる上記(1)乃至(7)のアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基である。
【0091】
上記特定の電荷輸送性材料の少なくとも1種の、表面層用の塗布液における固形分濃度としては、電気的特性の低下抑制の観点から、90質量%以上や、94質量%以上が挙げられる。
【0092】
更に、表面層5には、残留電位を下げる目的、又は強度を向上させる目的で、各種粒子を添加してもよい。粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒径1nm以上100nm以下、望ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、アルコール、ケトン、又はエステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。表面層5中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から、表面層5の全固形分全量を基準として、0.1質量%以上50質量%以下、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
【0093】
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものが使用される。これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下である。シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、像保持体の表面性状が改善される。すなわち、強固な架橋構造中にバラツキが生じることなく取り込まれた状態で、像保持体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期にわたって良好な耐磨耗性、耐汚染物付着性が維持されると考えられる。表面層5中のシリコーン粒子の含有量としては、表面層5の全固形分全量を基準として、0.1質量%以上30質量%以下、0.5質量%以上10質量%以下が挙げられる。
【0094】
また、その他の粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系粒子や“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される如く、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子、ZnO−Al23、SnO2−Sb23、In23−SnO2、ZnO2−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al23、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In23、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
【0095】
また、表面層5には、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等を添加してもよい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。これらの導電性の粒子の平均粒径は表面層の透明性の点で0.3μm以下、特に0.1μm以下が望ましい。
【0096】
上記構成の表面層5には、硬化触媒が含有されている。
この硬化触媒は、表面層5に含まれる上記硬化性樹脂の架橋硬化や、上記特定の電荷輸送材料が含まれる場合には該硬化性樹脂と該電荷輸送材料等の架橋硬化を促進するために用いられる。
この硬化触媒としては、表面層5に含まれる上記硬化性樹脂や、該架橋硬化を促進する触媒であればよいが、例えば、酸系の触媒が挙げられる。
【0097】
酸系の触媒としては、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、などの脂肪族、及び芳香族スルホン酸類などが用いられる。
【0098】
これらの硬化触媒の中でも、含硫黄系材料は、上記硬化性樹脂としてのグアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)や、上記の特定の電荷輸送材料の硬化触媒として優れた機能を発揮し、硬化反応を促進して得られる表面層5の機械的強度が向上されると考えられる。更に、電荷輸送性材料として上記一般式(I)(一般式(II)含む)で表される化合物を用いる場合、含硫黄系材料は、これら電荷輸送性材料に対するドーパントとしても優れた機能を発揮し、得られる機能層の電気特性がより向上されると考えられる。その結果、像保持体7を形成した場合に、機械強度、成膜性及び電気特性が向上されると考えられる。
【0099】
硬化触媒としての含硫黄系材料は、常温(例えば25℃)、又は、加熱後に酸性を示すものが良く、接着性、ゴースト、電気特性の観点で有機スルホン酸及びその誘導体の少なくとも1種が良い。表面層5中にこれら触媒の存在は、XPS等により容易に確認される。
【0100】
有機スルホン酸及び/又はその誘導体としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、触媒能、成膜性の観点から、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が用いられる。また、硬化性樹脂組成物中で、ある程度解離されれば、有機スルホン酸塩を用いてもよい。
【0101】
また、一定以上の温度をかけたときに触媒能力が高くなる、所謂、熱潜在性触媒を用いてもよい。熱潜在性触媒を用いることで、液保管温度では触媒能が低く、硬化時に触媒能が高くなるため、硬化温度の低下と、保存安定性が両立されると考えられる。
【0102】
熱潜在性触媒として、たとえば有機スルホン化合物等をポリマーで粒子状に包んだマイクロカプセル、ゼオライトの如く空孔化合物に酸等を吸着させたもの、プロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体を塩基でブロックした熱潜在性プロトン酸触媒や、プロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体を一級もしくは二級のアルコールでエステル化したもの、プロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体をビニルエーテル類及び/又はビニルチオエーテル類でブロックしたもの、三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素のピリジン錯体などがあげられる。中でも、触媒能、保管安定性、入手、コストの面でプロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体を塩基でブロックしたものが良い。
【0103】
熱潜在性プロトン酸触媒のプロトン酸として、硫酸、塩酸、酢酸、ギ酸、硝酸、リン酸、スルホン酸、モノカルボン酸、ポリカルボン酸類、プロピオン酸、シュウ酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フタル酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、o、m、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。また、プロトン酸誘導体として、スルホン酸、リン酸等のプロトン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属円などの中和物、プロトン酸骨格が高分子鎖中に導入された高分子化合物(ポリビニルスルホン酸等)等が挙げられる。プロトン酸をブロックする塩基として、アミン類が挙げられる。
【0104】
アミン類として、1級、2級又は3級アミンに分類される。特に制限はなく、いずれも使用してもよい。
【0105】
1級アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、セカンダリーブチルアミン、アリルアミン、メチルヘキシルアミン等が挙げられる。
【0106】
2級アミンとして、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジt−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、N−イソプロピルN−イソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジセカンダリーブチルアミン、ジアリルアミン、N−メチルヘキシルアミン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、モルホリン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
【0107】
3級アミンとして、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリt−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N,N’,N’ーテトラメチルー1,2ージアミノエタン、N,N,N’,N’ーテトラメチルー1,3ージアミノプロパン、N,N,N’,N’ーテトラアリルー1,4ージアミノブタン、Nーメチルピペリジン、ピリジン、4ーエチルピリジン、Nープロピルジアリルアミン、3−ジメチルアミノプロパノ−ル、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジン、2−メチル−4−エチルピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、N,N,N’,N’ −テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−エチル−3−ヒドロキシピペリジン、3−メチル−4−エチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、4−(5−ノニル)ピリジン、イミダゾ−ル、N−メチルピペラジン等が挙げられる。
【0108】
市販品としては、キングインダストリーズ社製の「NACURE2501」(トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.2以下、解離温度80℃)、「NACURE2107」(p−トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度90℃)、「NACURE2500」(p−トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度65℃)、「NACURE2530」(p−トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH5.7以上pH6.5以下、解離温度65℃)、「NACURE2547」(p−トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度107℃)、「NACURE2558」(p−トルエンスルホン酸解離、エチレングリコール溶媒、pH3.5以上pH4.5以下、解離温度80℃)、「NACUREXP−357」(p−トルエンスルホン酸解離、メタノール溶媒、pH2.0以上pH4.0以下、解離温度65℃)、「NACUREXP−386」(p−トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH6.1以上pH6.4以下、解離温度80℃)、「NACUREXC―2211」(p−トルエンスルホン酸解離、pH7.2以上pH8.5以下、解離温度80℃)、「NACURE5225」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5414」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE5528」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5925」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、pH7.0以上pH7.5以下、解離温度130℃)、「NACURE1323」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン溶媒、pH6.8以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE1419」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン/メチルイソブチルケトン溶媒、解離温度150℃)、「NACURE1557」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、ブタノール/2−ブトキシエタノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACUREX49−110」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃)、「NACURE3525」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.5以下、解離温度120℃)、「NACUREXP−383」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE3327」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE4167」(リン酸解離、イソプロパノール/イソブタノール溶媒、pH6.8以上pH7.3以下、解離温度80℃)、「NACUREXP−297」(リン酸解離、水/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃、「NACURE4575」(リン酸解離、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度110℃)等が挙げられる。
【0109】
これらの熱潜在性触媒は単独又は二種類以上組み合わせても使用される。
【0110】
ここで、触媒の配合量は、上記硬化性樹脂として用いられる上記グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種の量(塗布液における固形分濃度)に対し、0.1質量%以上50質量%以下の範囲や、10質量%以上30質量%以下の範囲が挙げられる。この配合量が上記範囲であると、触媒活性と耐光性が得られると考えられる。なお、耐光性とは、像保持体7が室内光などの外界からの光にさらされたときに、照射された部分に相当する画像が濃度低下を起こす現象のことを言う。
【0111】
以上の構成の表面層5は、上記硬化性樹脂と、硬化性触媒と、その他の材料と、を含む表面層用の塗布液を用いて形成される。
【0112】
表面層5の調製は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の溶剤を用いて行ってもよい。かかる溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用されるが、望ましくは沸点が100℃以下のものである。溶剤としては、特に、少なくとも1種以上の水酸基を持つ溶剤(例えば、アルコール類等)を用いることがよい。
【0113】
上記表面層用の塗布液を感光層11の上に、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法により塗布し、必要に応じて例えば温度100℃以上170以下で加熱して硬化させることで、表面層5が得られる。
表面層5の膜厚は、望ましくは1μm以上15μm以下、より望ましくは3μm以上10μm以下である。
【0114】
ここで、上述のように、像保持体7の表面層5には、表面層5の構成材料に含まれる硬化性樹脂の架橋硬化を促進させるために硬化触媒が用いられている。詳細には、表面層5は、上記硬化性樹脂や、必要に応じて添加された上記特定の電荷輸送性材料等に、硬化性触媒を添加して架橋させた架橋膜とされることで機械強度が向上される。
この硬化触媒は、表面層5の固形分中に含まれる含有量が多いほど、膜強度が向上すると考えられる。しかしながら、形成された表面層5に、硬化触媒と電荷輸送材が存在する場合、光照射により表面層5でラジカルが発生する場合がある。このため、画像形成装置10において、像保持体7は、除電装置20から除電光を照射されることで除電されるはずであるが、従来では、この除電光の照射によって発生した電荷に、該除電光の照射によって硬化触媒と電荷輸送材により発生したラジカルが付加されて、除電光による電位のムラが像保持体7表面に発生する場合があった。除電光によって生じた像保持体7表面の電位のムラは、結果的に、画像形成装置10において形成される画像のムラや画質欠陥につながる場合があった。
【0115】
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記の表面層5にてラジカルが発生するのは、除電光の波長の光を、硬化触媒由来の生成物、すなわち硬化触媒と電荷輸送材と熱硬化性樹脂との反応による生成物が吸収するためと考えた。そこで、本実施の形態の画像形成装置10では、像保持体7の感光層11(すなわち電荷発生層2)に含まれる電荷発生材料の光吸収波長と、像保持体7の表面層5に含まれる上記生成物の光吸収波長と、が異なるように、感光層11に含まれる電荷発生材料と、表面層5に含まれる硬化触媒と、を選択し、除電装置20から照射される除電光の波長を、表面層5に含まれる硬化触媒の光吸収波長以外の波長としている。
【0116】
このため、画像形成装置10において、除電装置20から像保持体7へ除電光が照射されても、該除電光の照射による硬化触媒における電荷の保持(トラップ)が抑制されると考えられる。従って、像保持体の表面層5に含まれる硬化触媒の光吸収波長を含む光が除電光として照射される場合に比べて、除電光に起因する画像のムラの抑制された画像形成装置10が提供されると考えられる。
【0117】
なお、この「電荷発生材料の光吸収波長」とは、電荷発生材料の分光吸収スペクトルにおけるピークの波長を示している。また、この「表面層の光吸収波長」とは、硬化触媒と電荷輸送材と熱硬化性樹脂との反応による生成物の分光吸収スペクトルにおけるピークの波長を示している。なお、この生成物の分光吸収スペクトルにおいて光吸収を示す波長領域は、表面層5に含まれる硬化触媒が、電荷を保持する光の波長領域を示す。
また、除電光の波長とは、除電装置20から照射される光の波長領域を示している。
【0118】
このため、本実施の形態の画像形成装置10では、上記関係を満たすように、像保持体7の感光層11に含まれる電荷発生材料と、表面層5に含まれる硬化触媒と、が選択され、また、除電装置20から照射される光の波長領域が調整される。
【0119】
なお、感光層11に含まれる電荷発生材料は、静電潜像形成にも寄与することから、潜像形成装置9から照射される露光光を吸収する材料であることも必須である。また、除電装置20から照射される除電光は、像保持体7を除電するための光であるため、感光層11に含まれる電荷発生材料が吸収する波長の光であることも必須である。
【0120】
このため、感光層11に含まれる電荷発生材料としては、潜像形成装置9から照射される露光光を吸収し、且つ除電装置20から照射される除電光を吸収する材料であって、且つ表面層5に含まれる硬化触媒の光吸収波長とは異なる波長の光を吸収する材料を選択すればよい。
【0121】
また、表面層5に含まれる硬化触媒は、感光層11に含まれる電荷発生材料の光吸収波長とは異なる波長の光を吸収し、除電装置20から照射される除電光の波長の光を吸収しない材料を選択すればよい。
【0122】
また、除電装置20としては、感光層11に含まれる電荷発生材料が吸収する波長の光であって、且つ表面層5に含まれる硬化触媒が吸収する波長以外の波長の光を照射する構成とすればよい。
除電装置20としては、例えば、該条件を満たす波長の光を照射する光源20Aを、表面層5に含まれる硬化触媒の種類、及び感光層11に含まれる電荷発生材料の種類に応じて適宜選択して用いればよい。また、除電装置20としては、該条件を満たす波長の光を含む波長の光を照射する光源20Aと、上記条件を満たす波長の光のみを透過し該条件以外の波長の光を遮蔽するフィルタと、を設けた構成とし、該光源20Aから照射され、該フィルタを透過した光を除電光として用いても良い。
【0123】
上記条件を満たす、感光層11に含まれる電荷発生材料、表面層5に含まれる硬化触媒、及び除電装置20から像保持体7へ照射される除電光の波長の組合せとしては、例えば、下記組合せが挙げられるが、上記条件を満たせば良いことから、これらに限られない。
【0124】
具体的には、感光層11に含まれる電荷発生材料として、光吸収波長(光吸収波長領域におけるピークの波長)が425〜550nmであるジブロモアントアントロンを用いた場合には、表面層5に含まれる硬化触媒としては、該波長とは異なる光吸収波長(光吸収波長領域におけるピークの波長)である660nm以上760nm以下、の波長領域に光吸収波長を有する硬化触媒であるドデシルベンゼンスルホン酸を用いればよい。
この場合には、除電装置20の光源20Aとしては、400nm以上600nm以下や、の波長領域の波長を照射する光源または光源の構成(光源にフィルタを設けた構成)とすればよい。
【0125】
その他の組合せとしては、下記が挙げられる。
具体的には、感光層11に含まれる電荷発生材料として、光吸収波長(光吸収波長領域におけるピークの波長)が810〜839nmであるヒドロキシガリウムフタロシアニンを用いた場合には、表面層5に含まれる硬化触媒としては、該波長とは異なる光吸収波長(光吸収波長領域におけるピークの波長)である600nm以上750nm以下、または硬化触媒であるP−トルエンスルホン酸を用いればよい。
この場合には、除電装置20の光源20Aとしては、400nm以上600nm以下の波長領域の波長を照射する光源または光源の構成(光源にフィルタを設けた構成)とすればよい。
【0126】
上述のように、本実施の形態の画像形成装置10では、像保持体7の感光層11に含まれる電荷発生材料の光吸収波長と、像保持体7の表面層5に含まれる硬化触媒の光吸収波長と、が異なるように、感光層11に含まれる電荷発生材料と、表面層5に含まれる硬化触媒と、を選択し、除電装置20から照射される除電光の波長を、表面層5に含まれる硬化触媒の光吸収波長以外の波長としている。このため、像保持体の表面層に含まれる硬化触媒の光吸収波長を含む光が除電光として照射される場合に比べて、除電光に起因する画像のムラの抑制された画像形成装置10が提供されると考えられる。
【0127】
なお、更なる画像のムラの抑制の観点から、除電装置20の構成を、下記構成とすることが更に良い。
【0128】
具体的には、除電装置20は、図5に示すように、像保持体7の軸方向に延在された長尺状の導光部材20Bと、光源20Aと、これらを覆う筐体20Cと、を備えた構成とすることが良い。なお、像保持体7の軸方向とは、像保持体7の回転軸方向を示している。
光源20Aは、導光部材20Bの長尺方向の両端部に設けられており、各々、導光部材20Bの他端側に向かって光を照射する。なお、図5では、光源20Aは、導光部材20Bの両端部に設けられた形態を説明するが、一端部のみに設けられた構成であってもよい。
【0129】
導光部材20Bは、光源20Aから照射された光を導光する部材である。この導光部材20Bとしては、ガラスやアクリル樹脂などで構成された光を透過(80%以上透過)する部材が挙げられる。導光部材20Bは、例えば、この光を透過する長尺状の部材の表面にV字状の複数の溝やダイヤカットの加工を施すことで、長尺方向に光を導光する。
【0130】
筐体20Cの、像保持体7に向かい合う側の面は、開口されている。なお、なお、この開口部には、光源20Aから照射される光の波長に応じて、除電装置20から像保持体7へ照射される除電光の波長が上記条件を満たすように、透過波長を調整するためのフィルタ20Dを設けた構成とすればよい。
【0131】
このような構成の除電装置20を用いることで、LED等の光源20Aを像保持体7の長尺方向に複数配列した構成の除電装置を用いた場合に比べて、像保持体7の幅方向における除電光の強度のムラが抑制されると考えられる。このため、更に画像のムラが抑制されると考えられる。
【0132】
なお、この像保持体7の幅方向における、除電装置20から照射される除電光の強度は、像保持体7の幅方向における除電光の強度のムラの抑制の観点から、具体的には、下記式(1)の関係を満たすことが良い。
【0133】
(最大光強度−最小光強度)/(最大光強度+最小光強度)≦0.6 式(1)
【0134】
式(1)中、最大光強度とは、除電装置20から照射される除電光の強度を、像保持体7の幅方向の一端から他端に渡って測定したときの最大光強度を示している。また、式(1)中、最小光強度とは、除電装置20から照射される除電光の強度を、像保持体7の幅方向の一端から他端に渡って測定したときの最小光強度を示している。
【0135】
この除電光の強度の測定は、例えば、暗室内にて除電装置20から除電光を照射させた状態で、除電装置20の照射面(図5に示す除電装置20であれば、フィルタ20Dの設けられた位置)から10mmの位置に、ADVANTEST社製のOPTICAL POWER MAULTIMER TQ6215をセットし、除電装置20の導光部材20Bの長尺方向の一端から他端に向かって、10mm/secのスピードで測定を行い、測定結果から、最大光強度と、最小光強度と、を読取ることで行う。
【0136】
また、本実施の形態の画像形成装置10では、加熱装置22によって像保持体7の表面層5が加熱される構成であることが良い。硬化触媒は、熱を加えられることによって、保持した電荷を放出すると考えられる。このため、この加熱装置22による加熱を組み合わせることで、除電光による画像のムラが更に抑制されると考えられる。
【0137】
なお、この加熱装置22による像保持体7の加熱は、画像形成装置10の図示を省略する電源が操作されて画像形成装置10の装置各部に電力が供給されてから、該電力の供給が遮断されるまでの間継続して行われても良く、像保持体7が回転されるときにのみ行われても良く、予め定めた時間毎に行うようにしてもよい。
【0138】
なお、本実施の形態では、画像形成装置10では、1つの像保持体7を備えた構成である場合を説明したが、複数の像保持体7が中間転写体50の搬送方向に配列された、所謂、タンデム型の画像形成装置にも適用される。
【実施例】
【0139】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0140】
[像保持体の作製]
−像保持体1の作製−
先ず、ホーニング処理を施した60mmΦの円筒状アルミニウム基材を準備した。次に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)を20質量部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)を2.5質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックスBM−S、積水化学社製)を3質量部、及びブタノールを45質量部混合し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液をアルミニウム基材上に浸漬塗布し、145℃で10分間加熱乾燥し、1.5μmの下引層を形成した。
【0141】
次に、電荷発生材料として、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン(光吸収波長(ピークの波長)810nm)を1質量部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)を1質量部、及び酢酸n−ブチルを100質量部混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散し、電荷発生層の形成用の塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚約0.10μmの電荷発生層を形成した。
【0142】
次に、下記式(CT−1)で示される電荷輸送材料を2.5質量部、下記式(B−1)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量:60000)を2.5質量部、及びクロロベンゼンを20質量部混合し、電荷輸送層の形成用の塗布液を得た。
【0143】
【化8】

【0144】
【化9】

【0145】
この電荷輸送層形成用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、135℃で40分の加熱を行ない、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このように、アルミニウム基材上に、電荷発生層及び電荷輸送層を形成した。
【0146】
次に、硬化性樹脂としてグアナミン樹脂(ニカラックBL−60(日本カーバイト社製))6質量部、電荷輸送材料として下記(I−11)で示される化合物94質量部、及び硬化触媒としてのp−トルエンスルホン酸触媒0.19質量部をシクロペンタノールに溶解させ、表面層の形成用塗布液を得た。この塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した。その後、160℃で1時間加熱処理して硬化し、膜厚約5.5μmの表面層を形成した。この像保持体を像保持体1とした。この表面層の光吸収波長は、680nmである。
【0147】
【化10】

(I−11)


【0148】
−像保持体2〜6の作製−
像保持体1において、電荷発生層に用いた電荷発生材料に代えて、光吸収波長(ピーク波長)が500nmのジブロモアントアントロンを電荷発生材料として用い、表面層に用いた硬化触媒に代えて、ドデシルベンゼンスルホン酸を硬化触媒として用いた以外は、像保持体1と同じ材料及び同じ条件で、像保持体2を作製した。この表面層の光吸収波長は、710nmである。
【0149】
像保持体1において、電荷発生層に用いた電荷発生材料に代えて、光吸収波長(ピーク波長)が550nmの三方晶セレンを電荷発生材料として用い、表面層に用いた硬化触媒に代えて、P-トルエンスルホン酸を硬化触媒として用いた以外は、像保持体1と同じ材料及び同じ条件で、像保持体3を作製した。この表面層の光吸収波長は、680nmである。
【0150】
像保持体1において、電荷発生層に用いた電荷発生材料に代えて、光吸収波長(ピーク波長)が810nmのヒドロキシガリウムフタロシアニンを電荷発生材料として用い、表面層に用いた硬化触媒に代えて、ドデシルベンゼンスルホン酸を硬化触媒として用いた以外は、像保持体1と同じ材料及び同じ条件で、像保持体4を作製した。この表面層の光吸収波長は、710nmである。
【0151】
像保持体1において、電荷発生層に用いた電荷発生材料に代えて、光吸収波長(ピーク波長)が810nmのヒドロキシガリウムフタロシアニンを電荷発生材料として用い、表面層に用いた硬化触媒に代えて、ドデシルベンゼンスルホン酸を硬化触媒として用いた以外は、像保持体1と同じ材料及び同じ条件で、像保持体5を作製した。この表面層の光吸収波長は、700nmである。
【0152】
像保持体1において、電荷発生層に用いた電荷発生材料に代えて、光吸収波長(ピーク波長)が670nmの無金属フタロシアニンを電荷発生材料として用い、表面層に用いた硬化触媒に代えて、ジノニルナフタレンジスルホン酸を硬化触媒として用いた以外は、像保持体1と同じ材料及び同じ条件で、像保持体6を作製した。この表面層の光吸収波長は、800nmである。
【0153】
[除電装置の調整]
―除電装置1―
図5に示す構成の除電装置を用いた。詳細には、導光部材として、除電装置を搭載対象の画像形成装置の像保持体の幅方向より長い、円柱状のアクリル樹脂を用意し、この円柱状のアクリル樹脂の外周面の内の、画像形成装置に設置されたときに像保持体に向かい合う領域以外の領域について、光が乱反射するようにダイヤカット処理を行ったものを用意した。この導光部材の両端部に、光源として、砲弾型赤色LED(ピーク波長660nm)を設置し、この光源から光を導光部材内に照射する構成とした。なお、この光源は、DC12V電源で駆動させた。また、除電装置の筐体の、像保持体に向かう側の面には、フィルタを設けて、660nmの波長の光のみを透過させて除電光の波長を660nmとした。これを、除電装置1とした。
【0154】
―除電装置2〜除電装置6―
上記除電装置1において用いた光源に代えて、ピーク波長680nmの光を照射する砲弾型LED光源を用い、除電装置の筐体の像保持体に向かう側の面に設けられたフィルタを代えて、680nmの波長のみを透過させるフィルタを設けた。これによって、除電光として、680nmの波長の光を照射する除電装置2とした。
【0155】
上記除電装置1において用いた光源に代えて、ピーク波長600nmの光を照射する砲弾型LED光源を用い、除電装置の筐体の像保持体に向かう側の面に設けられたフィルタを代えて、600nmの波長のみを透過させるフィルタを設けた。これによって、除電光として、600nmの波長の光を照射する除電装置3とした。
【0156】
上記除電装置1において用いた光源に代えて、3波長形の光を照射する砲弾型LED光源を用い、除電装置の筐体の像保持体に向かう側の面に設けられたフィルタを代えて、500nmの波長のみを透過させるフィルタを設けた。これによって、除電光として、500nmの波長の光を照射する除電装置4とした。
【0157】
上記除電装置1において、導光部材を外し、かわりに、該除電装置1で用いた光源を、像保持体の幅方向に沿って1cm間隔で36個配列させた。なお、フィルタは除電装置1と同じものを用いた。これによって、除電光として、660nmの波長の光を照射する除電装置5とした。
【0158】
上記除電装置1において用いた光源に代えて、ピーク波長700nmの光を照射する砲弾型LED光源を用い、除電装置の筐体の像保持体に向かう側の面に設けられたフィルタを代えて、700nmの波長のみを透過させるフィルタを設けた。これによって、除電光として、700nmの波長の光を照射する除電装置6とした。
【0159】
[加熱装置の調整]
像保持体を加熱装置としては、ベルト状ヒータを用意し像保持体の内部に装着出来るように改造を行った。これを、下記画像形成装置に搭載し、像保持体の表面が30℃以上40℃以下となるように加熱した。
【0160】
[実施例1〜実施例6,比較例1〜比較例2]
上記に調整した像保持体1〜6と、除電装置1〜6と、加熱装置と、を、下記表1のように組み合わせて、フルカラーレーザプリンタ(富士ゼロックス社製、「Docu Centre Color 7550」、中間転写体あり)に装着した。次いで、一般環境(22℃、50%RH)の環境下、A4用紙でエリアカバレッジ5%のドキュメントを5千枚に連続プリントする走行試験を行った。上記走行後、A3用紙で30%濃度の全面ハーフトーン出力試験を行い、除電装置による、画像のムラの評価を実施した。
【0161】
[評価基準]
−画像のムラ
G1:画像に濃度ムラは確認されない
G2:部分的(画像の形成された領域の30%以下)に濃度むらが確認される。
G3:画像の形成された領域の60%を超える領域に濃度むらが確認される。
【0162】
【表1】

【0163】
表1に示すように、感光層に含まれる電荷発生材料の光吸収波長と、表面層に含まれる硬化触媒の光吸収波長と、が異なり、除電装置による除電光の波長が硬化触媒の光吸収波長以外の波長である実施例1〜実施例6では、これらの条件の何れかを満たさない比較例1〜比較例2に比べて、画像のムラの評価において良好な結果が得られた。
【0164】
また、実施例1〜実施例6の中でも、除電装置の構成を、導光部材を用いた構成とした実施例1では、除電装置の構成を、導光部材を用いず光源を複数配列させた構成とした以外は同じ条件の実施例5に比べて、画像のムラがより改善されていた。
【0165】
また、実施例1〜実施例6の中でも、加熱装置による加熱を行った実施例6では、該加熱装置による加熱を行わなかった以外は同じ構成の実施例1に比べて、更なる画像のムラの改善がみられた。
【符号の説明】
【0166】
7 像保持体,8 露光装置,9 潜像形成装置,12 現像装置,20 除電装置,20A 光源,20B 導光部材,22 加熱装置,40 転写装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に、電荷発生材料を含む感光層、及び硬化性樹脂と硬化触媒とを含む表面層が順に設けられ、前記電荷発生材料の光吸収波長と前記表面層の光吸収波長とが異なる像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電装置と、
前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体に形成された静電潜像をトナーによってトナー像に現像する現像装置と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
前記像保持体に、前記表面層の光吸収波長以外の波長の除電光を照射する除電装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記除電装置が、前記像保持体の軸方向に延在され、光を導光する導光部材と、該導光部材の長尺方向の少なくとも一端側に設けられた光源と、から構成された請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像保持体を加熱する加熱装置を備えた請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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