説明

画像形成装置

【課題】搬送ベルトの逆搬送部分を用いて被記録媒体を反転搬送するときに安定した搬送を行なうことが難しい。
【解決手段】両面印刷時に、記録ヘッド24で一面に画像が形成されて搬送ベルト51から送り出され、搬送ベルト51の被記録媒体搬送方向下流側で反転された用紙10を、搬送ベルト51の記録ヘッド24の被記録媒体搬送方向上流側に再度送り込む反転経路80を備え、反転経路80は、少なくとも、搬送ベルト51のうちの、用紙10を記録ヘッド24に対向して搬送する正搬送部分51aと逆方向に移動する逆搬送部分51bを有し、搬送ベルト51の逆搬送部分51bの入口部分には搬送ベルト51を掛け回したローラ53に対向する搬送補助ローラ85が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、樹脂などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
従来、被記録媒体を搬送ベルトを用いて搬送する画像形成装置として、例えば、作像エンジンに対向配置されて記録材を搬送する循環移動可能な記録材搬送ベルトと、記録材への両面記録を可能とするために作像エンジンによる片面記録済みの記録材を作像エンジンの上流側に戻す戻し搬送経路とを備え、記録材搬送ベルトは、記録材の通常搬送方向と逆方向に移動する戻し部分を戻し搬送経路の一部に配置し、この戻し部分にて記録材を戻し搬送し、更に、戻し部分の移動方向出口から記録材搬送ベルトとは異なる迂回経路を設けて、この迂回経路を経て通常搬送方向に移動する搬送ベルト上に戻すもの(特許文献1)が知られている。
【0005】
また、搬送される記録媒体へインクを吐出して画像を記録する記録部によって画像が記録された記録媒体を順送りで搬送方向上流側へ送り戻す搬送手段と、搬送手段の送り戻し方向下流側に設けられ、搬送手段で送り戻された記録媒体の非記録面を吸着保持し、記録媒体を記録部へ反転して送りこむ保持部を複数備えた反転手段とを有するもの(特許文献2)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−232440号公報
【特許文献2】特開2006−213480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記特許文献1に開示の技術にあっては、搬送ベルトの戻し部分のうち移動方向入口近傍であって、搬送ベルトの内面側から搬送ベルトを帯電させる帯電部材を配置した構成を採用している。
【0008】
しかしながら、搬送ベルトを帯電させて被記録媒体を静電力で吸着して搬送する搬送手段においては、搬送ベルトに静電吸着されている被記録媒体が搬送ベルトから剥離されると、静電吸着力が低減或いは消失するため、再度搬送ベルト上に被記録媒体を送り込んでも再吸着されないという現象が生じる。
【0009】
そのため、上述した特許文献1に開示の技術にあっては、搬送ベルトの戻し部分のうち移動方向入口近傍で帯電された搬送ベルトから迂回経路に送り込まれるときに被記録媒体が搬送ベルトから剥離され、この段階で静電吸着力が消失してしまい、被記録媒体を再び搬送ベルトに送り込んでも再吸着されず、安定した反転搬送を行なうことができないという課題がある。
【0010】
また、特許文献2に開示の技術にあっては、搬送ベルトに静電吸着したまま被記録媒体を送り戻して、戻し方向下流側の反転機構を用いて被記録媒体を反転させる構成であるため、被記録媒体が搬送ベルトの戻し部分に至るときに曲率分離によって搬送ベルトから剥離し易く、安定した逆搬送を行なうことが難しいという課題がある。
【0011】
さらに、上述したように搬送ベルトの一部を使用して被記録媒体を逆搬送(反転搬送)する場合、被記録媒体を確実に搬送ベルトに吸着させなければならないが、上述した特許文献1、2に開示の技術にあっては、単に被記録媒体を搬送ベルトに送り込み、あるいは、搬送ベルトに吸着したまま搬送するために、確実な吸着を行なうことができず、安定した逆搬送を行なうことができない。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、両面印刷における被記録媒体の反転搬送品質の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
少なくとも2つのローラ間に掛け回され、前記被記録媒体を静電力で吸着して前記記録ヘッドに対向して被記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを表面側から帯電させる帯電手段と、
両面印刷時に、前記記録ヘッドで一面に画像が形成されて前記搬送ベルトから送り出され、前記搬送ベルトの被記録媒体搬送方向下流側で反転された前記被記録媒体を、前記搬送ベルトの前記記録ヘッドの被記録媒体搬送方向上流側に再度送り込む反転経路と、を備え、
前記反転経路は、少なくとも、前記搬送ベルトのうちの、前記被記録媒体を前記記録ヘッドに対向して搬送する正搬送部分と逆方向に移動する逆搬送部分を有し、
前記搬送ベルトの逆搬送部分の入口部分には前記搬送ベルトを掛け回したローラに対向する搬送補助ローラが配設されている
構成とした。
【0014】
ここで、前記反転経路で搬送される被記録媒体は、前記搬送ベルトの逆搬送部分に当接した後に前記搬送補助ローラと前記逆搬送部分のニップ部間に送られる構成とできる。
【0015】
この場合、前記搬送補助ローラは、前記被記録媒体の搬送方向と直交する方向に分割された複数のコロ形状のローラを有している構成とできる。
【0016】
また、前記記録ヘッドは、前記ノズルが形成されたノズル面が垂直方向又は垂直方向に対して斜めに配置され、前記液滴を水平方向又は水平方向に対して斜めに吐出し、
前記搬送ベルトは、前記記録ヘッドに対向して被記録媒体を垂直方向又は垂直方向に対して斜めに搬送する
構成とできる。
【0017】
また、前記搬送ベルトを前記帯電手段で帯電させるとき、前記搬送ベルトの正搬送部分における吸着力に対して逆搬送部分における吸着力を大きくする帯電制御を行なう手段を備えている構成とできる。
【0018】
また、前記2つのローラは駆動ローラとテンションを付与された従動ローラであり、
前記搬送補助ローラは、前記従動ローラに対向し、前記従動ローラ側に押圧されて配設され、
前記搬送ローラの回転軸心は前記従動ローラの回転軸心よりも被記録媒体搬送方向下流側に配置されている
構成とできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る画像形成装置によれば、両面印刷時に、記録ヘッドで一面に画像が形成されて搬送ベルトから送り出され、搬送ベルトの被記録媒体搬送方向下流側で反転された被記録媒体を、搬送ベルトの記録ヘッドの被記録媒体搬送方向上流側に再度送り込む反転経路を備え、反転経路は、少なくとも、搬送ベルトのうちの、被記録媒体を記録ヘッドに対向して搬送する正搬送部分と逆方向に移動する逆搬送部分を有し、搬送ベルトの逆搬送部分の入口部分には搬送ベルトを掛け回したローラに対向する搬送補助ローラが配設されている構成としたので、反転された被記録媒体を搬送ベルトの逆搬送部分に戻すときに搬送ベルト上に確実に被記録媒体を吸着させることができ、安定した反転搬送を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図2】図1を矢示A方向から見た説明図である。
【図3】記録ヘッドの説明図である。
【図4】制御部のブロック説明図である。
【図5】搬送ベルトの帯電パターンの説明に供する説明図である。
【図6】制御部による両面印刷制御の説明に供するフロー図である。
【図7】搬送ベルトの帯電幅と用紙の吸着力の関係の一例を示す説明図である。
【図8】同じく図7をグラフ化した説明図である。
【図9】正搬送部分を帯電させるときの温湿度と搬送ベルトの帯電幅との関係の一例を説明する説明図である。
【図10】逆搬送部分を帯電させるときの温湿度と搬送ベルトの帯電幅との関係の一例を説明する説明図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図14】同じく要部説明図である。
【図15】搬送従動ローラの一例を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の機構部の側面説明図、図2は図1を矢示A方向から見た説明図である。
【0022】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体の内部に画像形成部2、搬送機構部5等を有し、装置本体の下方側に被記録媒体である用紙10を積載可能な給紙トレイ(給紙カセットを含み、給紙部の意味で使用する。)4を備え、この給紙トレイ4から給紙される用紙10を取り込み、搬送機構5によって用紙10を垂直方向(鉛直方向に沿う方向)に間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって水平方向に液滴を吐出させて所要の画像を記録した後、排紙部6を通じて画像が形成された用紙10を更に上方向に搬送して、装置本体の上方側に設けられた排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0023】
また、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、排紙部6から反転部8内に用紙10を取り込み、搬送機構部5によって用紙10を逆方向(下方向)に搬送しながら反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構5に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0024】
ここで、画像形成部2は、左右の側板101L、101R間に横架した主ガイド部材21及び従ガイド部材22で、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ23を摺動自在に保持し、主走査モータ25によって、駆動プーリ26と従動プーリ27間に渡したタイミングベルト28を介して主走査方向に移動走査する。
【0025】
キャリッジ23には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24a、24b(区別しないときは上記のとおり「記録ヘッド24」という。)を、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を水平方向に向けて装着している。つまり、液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面が垂直方向に配置され、水平方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッド24を備える水平打ち方式を採用している。
【0026】
記録ヘッド24は、図3に示すように、それぞれ複数の液滴を吐出するノズル124bが列設された2つのノズル列Na、Nbを有し、記録ヘッド24aの一方のノズル列Naはイエロー(Y)の液滴を、他方のノズル列Nbはマゼンタ(Y)の液滴を、記録ヘッド24bの一方のノズル列Naはブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbはシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0027】
なお、記録ヘッド24を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、キャリッジ23には、インクと反応することでインクの定着性を高める定着液を吐出する液体吐出ヘッドなども搭載できる。
【0028】
また、キャリッジ23には、図示しないが、記録ヘッド24の各ノズル列Na、Nbに対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク29が搭載され、このヘッドタンク29には、装置本体に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)からインクが供給される。
【0029】
また、キャリッジ23の主走査方向に沿って両側板101L、101R間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール121を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール121のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ122を設け、これらのエンコーダスケール121とエンコーダセンサ122によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)123を構成している。
【0030】
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド24のノズル124bの状態を維持し、回復するための維持回復機構9を配置している。この維持回復機構9には、フレーム90にて、記録ヘッド24の各ノズル面124(図3参照)をキャピングするための吸引キャップ92a及びキャップ92b(区別しないときは「キャップ92」という。)と、ノズル面124を矢示方向に移動してワイピング(払拭)するワイパ部材(ワイパブレード)93が保持され、また増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける空吐出受け94などを備えている。吸引キャップ92aには吸引手段としての吸引ポンプ96が接続され、吸引ポンプ96は廃液タンク97に通じている。また、吸引キャップ92aには、吸引キャップ92aで記録ヘッド24のノズル面をキャッピングしたときに形成される密閉空間を大気に開放する開閉可能な大気開放弁98を設けている。
【0031】
給紙トレイ4の用紙10は、給紙コロ(半月コロ)43と分離パッド44によって1枚ずつ分離されて装置本体内に給紙され、搬送ガイド部材45に沿って、搬送機構部5の搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込まれ、搬送ベルト51に吸着されて搬送される。
【0032】
搬送機構部5は、駆動ローラである搬送ローラ52と従動ローラ53との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト51と、この搬送ベルト51を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ54と、画像形成部2に対向する部分で搬送ベルト51の平面性を維持するプラテン部材55となどを有している。
【0033】
搬送ベルト51は、副走査モータ151によってタイミングベルト152及びタイミングプーリ153を介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって、用紙搬送方向(副走査方向)に周回移動する。この搬送ベルト51のうち、画像形成部2に対向して用紙10を吸着して搬送する搬送ローラ52から従動ローラ53までの領域を正搬送部分51a(正搬送部分51aによる搬送方向を正搬送方向)とし、正搬送部分51aと反対側で正搬送方向と逆方向(反転搬送方向、逆搬送方向という。)に搬送する従動ローラ53から搬送ローラ52までの領域を逆搬送部分51bという。
【0034】
また、搬送ローラ52の軸52aにはコードホイール154を取り付け、このコードホイール154に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ155を設けて、これらのコードホイール154とエンコーダセンサ155によって搬送ベルト51の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)156を構成している。
【0035】
排紙部6は、排紙経路60を構成する排紙ガイド部材61と、排紙ローラ64及び拍車65とが配置され、画像が形成された用紙10を排紙ローラ64及び拍車65間から排紙トレイ7上にフェイスダウンで排紙する。
【0036】
また、反転部8は、排紙トレイ7に一部を排出した用紙10をスイッチバック方式で反転して搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込むための反転経路80と、排紙経路60と反転経路80を切り替える切替爪81とを有している。反転経路80は、反転ガイド部材82と、反転ガイド部材82から送られる用紙10を静電吸着して逆搬送方向に搬送する搬送ベルト51の逆搬送部分51bと、搬送ベルト51の逆搬送部分51bから分離された用紙10を搬送ベルト51の正搬送部分51aと押えコロ48との間に送り込む(案内する)迂回ガイド部材(以下「迂回経路」ともいう。)86とで構成される。
【0037】
そして、反転経路80には、搬送ガイド部材82を挟んで配置された反転ローラ83及び反転コロである拍車84と、従動ローラ53に対向し、搬送ベルト51の逆搬送部分51b側に用紙10を押し付ける従動補助ローラ85とが設けられている。
【0038】
さらに、迂回経路86と搬送ベルト51の表面との間であって、駆動ローラ52に対向する位置に、搬送ベルト51を表面側から帯電させる帯電ローラ54が配置されている。
【0039】
また、給紙部4と画像形成部2との間、この例では搬送ガイド部材45の領域に、給紙された用紙10の先端及び後端を検知する第1検知手段であるレジストセンサ160が、切替爪81の排紙方向下流側に用紙10の後端を検知する反転センサ161が、搬送ベルト51の逆搬送部分51bから迂回経路86への入り口部分で用紙10の先端を検知する第2検知手段である搬送センサ162が、それぞれ配置されている。
【0040】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ4から用紙10が1枚ずつ分離給紙され、帯電された搬送ベルト51に用紙10が静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙10が垂直方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行い、記録が終了した用紙10を排紙トレイ7に排紙する。
【0041】
そして、記録ヘッド24のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ23をホーム位置である維持回復機構9に対向する位置に移動して、吸引キャップ92aによるキャッピングを行ってノズル124bからの吸引排出を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0042】
また、両面印刷を行う場合には、第1面印刷は上述したとおりの動作を行い、用紙10の後端が反転部分岐(切替爪81)を通過すると、排紙ローラ64が反転駆動されて用紙10がスイッチバック搬送され、反転ガイド部材82側に案内され、反転ローラ83と拍車84の間で搬送され、搬送ベルト51の逆搬送部分51bと搬送補助ローラ85との間へと用紙10が送り込まれる。
【0043】
このとき、搬送ベルト51の逆搬送部分51bの入り口部分には従動ローラ53と対向する搬送補助ローラ85を配設しているので、反転搬送される用紙10を確実に搬送ベルト51に吸着させることができ、安定した反転搬送を行なうことができる。また、搬送補助ローラ85を設けることで、用紙10のレジストを行なうことができ、より安定した反転搬送が可能になる。
【0044】
そして、搬送ベルト51の逆搬送部分51aと搬送補助ローラ85との間に送り込まれた用紙10は搬送ベルト51に静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって搬送され、搬送ローラ52側で搬送ベルト51から分離されて、迂回ガイド部材86で案内され(迂回パスを経由し)、再度搬送ベルト51の正搬送部分51aと押圧コロ48との間に送り込まれて搬送ベルト51に吸着され、再度記録ヘッド24による画像形成領域に吸着搬送されることで第2面印刷が行われた後、排紙トレイ7に排紙される。
【0045】
ここで、帯電ローラ54は反転時の迂回パスの内側(迂回ガイド部材86の内側)に配置されているため、搬送ベルト51の逆搬送部分51bから分離された用紙10が迂回経路86で迂回されているときに、搬送ベルト51は帯電ローラ54によって再度帯電される。
【0046】
これにより、搬送ベルト51の逆搬送部分51bから分離されて静電吸着力が消失した用紙10が、搬送ベルト51の正搬送部分51aと押さえコロ48との間に送り込まれたとき、用紙10は搬送ベルト51の正搬送部分51aに確実に再吸着される。
【0047】
このように、両面印刷時に、記録ヘッドで一面に画像が形成されて搬送ベルトから送り出され、搬送ベルトの被記録媒体搬送方向下流側で反転された被記録媒体を、搬送ベルトの記録ヘッドの被記録媒体搬送方向上流側に再度送り込む反転経路を備え、反転経路は、少なくとも、搬送ベルトのうちの、被記録媒体を記録ヘッドに対向して搬送する正搬送部分と逆方向に移動する逆搬送部分と、搬送ベルトの逆搬送部分から分離された被記録媒体を搬送ベルトの正搬送部分側に案内する迂回経路と、を有し、帯電手段が迂回経路と搬送ベルト表面との間に配設されている構成とすることで、反転された被記録媒体を搬送ベルトに戻すときに帯電された搬送ベルト上に被記録媒体を戻すことができて十分な静電吸着力が得られ、安定した反転搬送を行なうことができる。
【0048】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4のブロック説明図を参照して説明する。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に搬送ベルト51の帯電制御(処理)を実行させるプログラムを含む各種プログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505などを備えている。
【0049】
また、記録ヘッド24を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ23側に設けた記録ヘッド24を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ23を移動走査する主走査モータ25、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ151を駆動するためのモータ駆動部510、511と、帯電ローラ54にACバイアスを供給するACバイアス供給部512などを備えている。
【0050】
また、制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0051】
そして、制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0052】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0053】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0054】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド24の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド24の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド24を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など滴量の異なる液滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0055】
I/O部513は、主走査エンコーダ123、副走査エンコーダ156、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、511、ACバイアス供給部511の制御に使用する。
【0056】
センサ群515は、前述したレジストセンサ160、反転センサ161、搬送センサ162のほか、用紙の位置を検出するためのキャリッジ23に設けられた光学センサ(用紙センサ)521(図2参照)や、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタなどの温湿度センサ531(図1参照)、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0057】
例えば、CPU501は、主走査エンコーダ123を構成するエンコーダセンサ122からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ25に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ25を駆動する。同様に、副走査エンコーダ156を構成するエンコーダセンサ155からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ151対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部211を介して副走査モータ151を駆動する。
【0058】
また、制御部500は、維持回復駆動部534を介して維持回復機構9を駆動し、キャップ92を記録ヘッド24のノズル面に対して進退移動させてノズル面124のキャップ/デキャップを行い、ワイパ部材94を移動させてノズル面124をワイピングさせ、吸引ポンプ96、大気開放弁98を駆動制御するなどして、維持回復動作の制御を行う。
【0059】
次に、この画像形成装置における搬送ベルト51の帯電パターンについて図5を参照して説明する。なお、図5は同帯電パターンの説明に供する説明図である。
前述したように搬送ベルト51を駆動する搬送ローラ52の端部に設けたロータリエンコーダ156によって回転量を検出して、この検出した回転量に応じて副走査駆動制御部540によって副走査モータ151を駆動制御するとともに、帯電ローラ54にACバイアスを印加するACバイアス供給部512の出力を制御する。
【0060】
このACバイアス供給部512によって、帯電ローラ54に印加する正負極の印加電圧(帯電バイアス)の周期(印加時間)を制御し、同時に副走査駆動制御部540によって、搬送ベルト51の駆動を制御することで、搬送ベルト51上に所定の帯電幅で正負極の電荷を印加することができる。ここで、「帯電幅」とは、図5にも示すように正極又は負極のベルト周回方向の幅であり、正負極の印加電圧の1周期当りの搬送方向の幅(距離)を帯電周期長という。
【0061】
このように搬送ベルト51の表面に、正極性の電荷領域と負極性の電荷領域を搬送方向に対して交互に形成することで、搬送ベルト51上に不平等電界が生成される。この不平等電界が発生している搬送ベルト51上に用紙10が送り込まれると、用紙10は電界の向きに沿って瞬時に分極し、不平等電界により用紙10の搬送ベルト51表面側の搬送ベルト51と引力をなす電荷は密となり、その反対側の用紙10の表面に現れる搬送ベルト51と斥力をなす電荷は疎となる。この電荷の差により用紙10は搬送ベルト51に瞬時に吸着される。
【0062】
次に、制御部による両面印刷制御について図6のフロー図を参照して説明する。
まず、搬送ベルト51を予め定めた正搬送帯電条件で帯電させる。ここで、正搬送帯電条件は、搬送ベルト51の正搬送部分51aに用紙10を吸着させて、用紙10を記録ヘッド24に対向させて画像形成のために搬送するときの帯電条件である。そして、正搬送帯電条件は、後述するように、搬送中の用紙10と記録ヘッド24との間で生じる電界の影響によるミストの発生を抑えられ、所要の静電吸着力が得られる帯電条件としている。
【0063】
そして、用紙10の給紙を行ない、レジストセンサ160で用紙10の先端を検知して、用紙10の搬送と画像形成部2のキャリッジ23の走査に同期させて、搬送ベルト51に用紙10を静電吸着させて搬送しながら前述したように記録ヘッド24から液滴を吐出して、用紙10の第1面(最初に画像を形成する面)に所要の画像を形成する。
【0064】
このとき、両面印刷時には、レジストセンサ160で用紙10の後端を検知すると、用紙10の後端が搬送ベルト51の正搬送部分51bに吸着されるまで(時間で管理)正搬送帯電条件での帯電を継続した後、用紙10の後端が搬送ベルト51の正搬送部分51bに吸着されたタイミングを帯電条件切替タイミングとして、搬送ベルト51を予め定めた逆搬送帯電条件で帯電させる。
【0065】
ここで、逆搬送帯電条件は、搬送ベルト51の逆搬送部分51bに用紙10を吸着させてスイッチバック搬送するときの帯電条件である。そして、逆帯電条件は、後述するように、搬送中の用紙10と記録ヘッド24との間で生じる電界の影響によるミストの発生という問題がないので、正搬送時よりも高い静電吸着力が得られる帯電条件である。
【0066】
この場合、逆搬送帯電条件による帯電への切替は、用紙10の第1面への印刷が完了してキャリッジ23がホーム位置(維持回復装置9に対向する位置)に退避した後に逆搬送帯電条件による帯電領域が記録ヘッド24の走査領域内に達するタイミングとすることが好ましい。すなわち、逆搬送帯電条件は静電吸着力を正搬送帯電条件よりも大きくするために、逆搬送帯電条件で帯電された領域に記録ヘッド24が対向しないようにして、帯電による影響を低減する。また、搬送ベルト51に吸着している用紙10の後端の直後の領域を逆帯電条件で帯電を行うと、印字直後であるため浮遊インクミストが多く、搬送ベルト51へ付着する可能性が高くなるので、逆搬送帯電条件への切替を遅らせることでミストの付着を低減できる。
【0067】
一方、画像が形成された用紙10は排紙経路60を経て排紙トレイ7に送り出され、用紙10の後端が切替爪81を通過して、反転センサ161で検知されると、切替爪81を用紙10の搬送経路を排紙経路60側から反転経路80側に切替える。
【0068】
そして、排紙ローラ64を反転駆動して一面に画像が形成された用紙10を反転経路80側にスイッチバックで搬送する。
【0069】
これにより、反転された用紙10は反転ガイド部材82に沿って搬送され、反転ガイド部材82にて搬送ベルト51の逆搬送部分51b上に送り込まれた後、搬送ベルト51の逆搬送部分51bと従動補助ローラ85との間に送られて確実に逆搬送部分51b上に吸着されて逆搬送方向に搬送される。
【0070】
その後、搬送センサ162が逆搬送される用紙10の先端を検知すると、用紙10の先端検知から用紙10が迂回経路86を経て再び搬送ベルト51の正搬送部分51aに吸着されるタイミングに合わせて、搬送ベルト51の帯電条件を正搬送帯電条件に切り替えて帯電を行なう。
【0071】
これにより、用紙10は搬送ベルト51の逆搬送部分51bから迂回経路86を経て再度押えコロ48の上流側で正搬送部分51aに送り込まれて吸着され、正搬送方向に搬送されて記録ヘッド24による第2面への画像形成が行なわれ、その後排紙トレイ7に排紙される。
【0072】
なお、前述したように、搬送ベルト51に吸着している用紙10の後端の直後の領域を逆帯電条件で帯電を行うと、印字直後であるため浮遊インクミストが多く、搬送ベルト51へ付着する可能性が高くなる。そこで、第1面印字時の用紙吸着領域から、反転スイッチバックした用紙10が搬送ベルト51の逆搬送部分51aで再吸着する領域の間は、帯電をかけない制御を行なうこともできる。装置本体には、図示しないインク回収装置(フィルタとファン)があるため、無帯電状態である時間内にベルト近傍に浮遊しているミストを回収して、搬送ベルト51への付着量の低減を図ることができる。
【0073】
ここで、搬送ベルトの正搬送帯電条件と逆搬送帯電条件について図7及び図8を参照して説明する。なお、図7は搬送ベルトの帯電幅と用紙の吸着力の関係を示す説明図、図8は同じく図7をグラフ化したものである。
これらの図7及び図8から分かるように、搬送ベルト51の帯電幅を広くすると、用紙吸着力が高くなる。一方、帯電幅を大きくする(吸着力を大きくする)と、記録ヘッド24から画像形成のために液滴を吐出したときに、液滴が搬送中の用紙10と記録ヘッド24の間に生じる電界の影響を受けて、インクミストの発生量が多くなる傾向にある。
【0074】
そこで、本実施形態では、搬送ベルト51の正搬送部分51aによって画像形成のために用紙10を吸着するとき(領域)は、搬送ベルト51の帯電幅を狭くして、ミストの発生を低減する。これに対して、搬送ベルト51の逆搬送部分51bに反転された用紙10を吸着するとき(領域)は、記録ヘッド24との間の電界の影響を受けないので、搬送ベルト51の帯電幅を広くして吸着力を高める、制御を行なうようにしている。
【0075】
つまり、正搬送帯電条件ではミストの発生が低減し吸着力が得られる帯電幅L1で帯電させ、逆搬送帯電条件では正搬送帯電条件の帯電幅L1よりも広い帯電幅L2(L2>L1)で帯電させ、正搬送帯電条件で帯電させたときよりも高い吸着力が得られるようにする。
【0076】
このように、反転経路は、少なくとも、搬送ベルトのうちの、被記録媒体を記録ヘッドに対向して搬送する正搬送部分と逆方向に移動する逆搬送部分を有し、反転搬送の領域(逆搬送領域)の帯電幅と印字領域(正搬送領域)の帯電幅を各々設定し、搬送ベルトの逆搬送部分での吸着力が搬送ベルトの正搬送部分での吸着力よりも高くなる帯電条件で搬送ベルトを帯電させる帯電制御を行なう構成とすることで、ミストの発生を低減しつつ、反転搬送時の搬送力(吸着力)を上げることができ、反転搬送品質を向上させる(安定した反転搬送を行なう)ことができる。
【0077】
なお、搬送ベルトの吸着力は、帯電幅に限らず、帯電電位によっても変化することから、反転搬送の領域の帯電電位と印字領域の帯電電位を各々設定することでも同様な作用効果を得ることができる。
【0078】
次に、温湿度と搬送ベルトの帯電幅との関係について図9及び図10を参照して説明する。
搬送ベルト51による用紙吸着力は環境温度及び環境湿度によって変化する。つまり、温度が高くなると、吸着力が低下する傾向にあり、湿度が高くなると、同様に吸着力が低下する傾向にある。
【0079】
そこで、本実施形態では、センサ群515に含まれる温湿度センサ531で検出した温湿度と、予め定めた温湿度に対する印字領域(正搬送部分51a)での帯電幅と反転搬送領域(逆搬送部分51b)での帯電幅のテーブルを参照して、それぞれの帯電幅制御を行なうようにしている。
【0080】
これにより、使用環境に応じて帯電条件が最適化され、ミストを発生させることなく反転時搬送力を上げることができ、反転搬送品質を向上させることができる。
【0081】
次に、本発明の第2実施形態について図11を参照して説明する。なお、図11は同実施形態に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
本実施形態では、搬送ベルト51の逆搬送部分51bに送り込まれて搬送ベルト51で吸着された用紙10の表面の電荷を除去する除電手段としての除電ブラシ71を設けている。この除電ブラシ71は接地されている。なお、除電手段は、ブラシに限らず除電針、除電ローラなどでもよい。
【0082】
すなわち、用紙10が搬送ベルト51に吸着された後、用紙10の表面の電荷を除去することで、用紙10に対する吸着力が増加する。これにより、用紙10に対する吸着力が大きくなり、反転時搬送力を上げることができ、反転搬送品質を向上させることができる。
【0083】
次に、本発明の第3実施形態について図12を参照して説明する。なお、図12は同実施形態に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
本実施形態では、前記第2実施形態の構成において、反転経路80の迂回経路86の入り口部分に、搬送ベルト51表面に当接する搬送補助ローラ89を配設している。この搬送補助ローラ89は、駆動ローラ52に対向し、駆動ローラ52側に押圧(加圧)されて配設され、駆動ローラ52(搬送ベルト51)と連れ回り、搬送補助力が得られる。
【0084】
このように、駆動ローラ52側に搬送補助ローラ89を配置することで、搬送ベルト51のテンションに影響を与える(用紙送り精度をばらつかせる)ことなく、搬送補助力を得ることができる。
【0085】
次に、本発明の第4実施形態について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は同実施形態に係る画像形成装置の機構部の側面説明図、図14は同じく要部説明図である。
本実施形態では、前記第3実施形態の構成において、前記第1実施形態と同様に、従動ローラ53に対向してEPゴムなどからなる搬送補助ローラ85を配設している。
【0086】
搬送補助ローラ85は、反転部8で用紙10を搬送させるための搬送力の確保と搬送ベルト51の逆搬送部分51bへの用紙10の再吸着の補助を行うものである。一方、搬送ベルト51の正搬送部分51a側では押さえコロ48を配置しているが、用紙送りは搬送ローラ52に取り付けられたエンコーダシート154で制御しているため、この搬送ベルト51と押さえコロ48とニップ部で用紙のすべりが発生すると用紙送り精度が低下することになる。そこで、搬送補助ローラ85の当接圧は、押さえコロ48の当接圧よりも低く設定している。
【0087】
ここで、図14に示すように、搬送補助ローラ85は、従動ローラ53に駆動ローラ52から離間する方向にテンションを付与する加圧スプリング57の加圧方向に対して、従動ローラ53の軸心よりも搬送ベルト51の移動方向下流側に搬送補助ローラ85の軸心を位置させて配置している。
【0088】
すなわち、従動ローラ53は、加圧スプリング57によるテンションを付与するためにその位置を変動可能に配設される。このとき、搬送補助ローラ85を従動ローラ53に対して押圧して配置すると、従動ローラ53の動きを妨げ、搬送ベルト51のテンションをばらつかせ用紙送り精度に影響を与えることになる。そのため、補助搬送力を得るという点では前記第3実施形態のように駆動ローラ52側に搬送補助ローラ89を配置することが好ましい。
【0089】
そこで、加圧スプリング57による加圧力を受ける従動ローラ52の回転軸心よりも搬送ベルト51の移動方向下流側に搬送補助ローラ85の回転軸心を配置している。つまり、搬送補助ローラ85による搬送ベルト51の押圧点(押圧力が作用する点)を従動ローラ53の回転軸心よりも搬送ベルト51の移動方向下流側にしている。
【0090】
したがって、搬送補助ローラ85を従動ローラ52側に押圧して配設した場合の搬送補助ローラ85による押圧力は、従動ローラ53の加圧方向及び加圧方向と垂直な方向に分解され、加圧スプリング57による従動ローラ53に対する加圧力、すなわち従動ローラ52に対するテンションに影響を与えることがなくなる。
【0091】
これに対し、加圧スプリング57による加圧力を受ける従動ローラ52の回転軸心よりも搬送ベルト51の移動方向上流側に搬送補助ローラ85の回転軸心を配置すると、従動ローラ53のテンションを下げる方向に押圧力が分解され、搬送ベルト51のたるみの原因となる。
【0092】
このように、搬送補助ローラ85による搬送ベルト51の押圧点を従動ローラ53の軸心よりも搬送ベルト51の移動方向下流側にすることで、用紙送り精度に影響を与えることなく、搬送補助力を得ることができる。
【0093】
次に、搬送補助ローラ85の形状と用紙先端の吸着方法について図15をも参照して説明する。
搬送補助ローラ85は、図15に示すように、軸85a上に複数のコロ状のゴムローラ85bを並べた構成(分割されたローラ形状の構成)としている。ただし、全域をゴムローラとした形状とすることもできる。
【0094】
このような分割された形状の搬送補助ローラ85を使用した場合、搬送補助ローラ85が当接する搬送ベルト51は平坦形状の従動ローラ53に巻き付いているため、用紙10の先端が搬送補助ローラ85に当って搬送ベルト51とのニップ部に案内されると、コロ間(ゴムローラ75b間)で用紙10が波打つ可能性があり、そのままニップ部に案内されると、搬送ベルト51への吸着が不安定な状態となるおそれがある。
【0095】
そこで、搬送ガイド部材82によって用紙10の先端をまず搬送ベルト51に当てた後搬送補助ローラ85と搬送ベルト51とのニップ部に案内することで、用紙10の波打ちを防止して、安定した用紙の吸着を行うことができる。
【0096】
なお、上記実施形態では、用紙を鉛直方向に沿う方向(垂直方向)に搬送し、液滴を水平方向に吐出する例で説明しているが、用紙を鉛直方向に沿う方向(垂直方向)に対して傾斜した方向に搬送し、液滴を水平方向に対して傾斜した方向に吐出する構成であっても、本発明を同様に適用することができる。また、上記実施形態ではシリアル型画像形成装置で説明しているが、ライン型画像形成装置にも同様に適用できる。
【0097】
また、上記実施形態では、用紙を鉛直方向に沿う方向(垂直方向)に搬送し、液滴を水平方向に吐出する例で説明しているが、用紙を水平方向又は水平方向に対して傾斜する方向に搬送し、液滴を垂直方向又は垂直方向に対して傾斜する方向に吐出する画像形成装置にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
2 画像形成部
4 給紙部
5 搬送機構
6 排紙部
7 排紙トレイ
8 反転部
9 維持回復機構
10 用紙(被記録媒体)
11 メインタンク
12 供給経路
13 供給ポンプ
23 キャリッジ
24 記録ヘッド
29 ヘッドタンク
51 搬送ベルト
52 搬送ローラ
53 従動ローラ
54 帯電ローラ
60 排紙経路
80 反転経路
86 迂回ガイド部材(迂回経路)
500 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
少なくとも2つのローラ間に掛け回され、前記被記録媒体を静電力で吸着して前記記録ヘッドに対向して被記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを表面側から帯電させる帯電手段と、
両面印刷時に、前記記録ヘッドで一面に画像が形成されて前記搬送ベルトから送り出され、前記搬送ベルトの被記録媒体搬送方向下流側で反転された前記被記録媒体を、前記搬送ベルトの前記記録ヘッドの被記録媒体搬送方向上流側に再度送り込む反転経路と、を備え、
前記反転経路は、少なくとも、前記搬送ベルトのうちの、前記被記録媒体を前記記録ヘッドに対向して搬送する正搬送部分と逆方向に移動する逆搬送部分を有し、
前記搬送ベルトの逆搬送部分の入口部分には前記搬送ベルトを掛け回したローラに対向する搬送補助ローラが配設されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記反転経路で搬送される被記録媒体は、前記搬送ベルトの逆搬送部分に当接した後に前記搬送補助ローラと前記逆搬送部分のニップ部間に送られることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送補助ローラは、前記被記録媒体の搬送方向と直交する方向に分割された複数のコロ形状のローラを有していることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドは、前記ノズルが形成されたノズル面が垂直方向又は垂直方向に対して斜めに配置され、前記液滴を水平方向又は水平方向に対して斜めに吐出し、
前記搬送ベルトは、前記記録ヘッドに対向して被記録媒体を垂直方向又は垂直方向に対して斜めに搬送する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送ベルトを前記帯電手段で帯電させるとき、前記搬送ベルトの正搬送部分における吸着力に対して逆搬送部分における吸着力を大きくする帯電制御を行なう手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記2つのローラは駆動ローラとテンションを付与された従動ローラであり、
前記搬送補助ローラは、前記従動ローラに対向し、前記従動ローラ側に押圧されて配設され、
前記搬送ローラの回転軸心は前記従動ローラの回転軸心よりも被記録媒体搬送方向下流側に配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−101422(P2012−101422A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250999(P2010−250999)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】