説明

画像形成装置

【課題】高耐久性の有機電子写真感光体の性能を十分に活かし、高画質の画像を長期間に亘り形成する画像形成装置を提供する。
【解決手段】反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子と、反応性メタクリロイル基を有し、かつ、式{前記反応性メタクリロイル基の官能力基密度=(前記反応性メタクリロイル基)/(硬化型モノマーの分子量)}で表される反応性メタクリロイル基の官能基密度が0.005より大きい前記硬化型モノマーと、を反応させて得られる組成物からなる保護層を有する有機電子写真感光体からなる感光体と、ループ状のブラシを有するクリーニングブラシからなる感光体研磨手段とを有する画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、その高速性能から印刷の分野に使用されるなど利用分野を拡大している。
【0003】
電子写真画像形成装置の高速化に伴って、高耐久化した画像形成装置、即ち、耐久期間中に形成することができる画像枚数を多くした画像形成装置に対するニーズが高まっている。
【0004】
装置の高耐久化に必要な技術として、感光体の高耐久化技術がある。
【0005】
有機感光体においては、感光体表面に保護層を設けることにより高耐久化が実現されている。
【0006】
特許文献1では、反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子と、反応性メタクリロイル基を有し、かつ、反応性メタクリロイル基の官能基密度が0.005より大きい硬化型モノマーとを、反応させて得られる組成物からなる保護層を有する有機電子写真感光体が開示されている。
【0007】
特許文献1の有機電子写真感光体はアモルファスシリコン感光体と同等の耐久性を有する。
【0008】
一方、感光体をクリーニングするクリーニング装置を改良することにより感光体の長寿命化を図ることが提案されており、長寿命化を目的として特許文献2では、無機フィラーと結着樹脂とを含有する保護層を表面に形成した感光体をループ状のブラシ毛を有するクリーニングブラシでクリーニングする画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−152338号公報
【特許文献2】特開2004−126521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1で提案されている感光体は、極めて高い耐久性を有し、長期間に亘って高画質の画像を形成することを可能にする。しかしながら、保護層を有する有機感光体は表面の保護層を適度に研磨したときに所期の性能を発揮することが分かっており、特許文献1の感光体も高い耐久性を有する有機感光体であるはあるが、それが使用される条件により該感光体の性能を十分に活かすことができず、高画質を維持し、耐久性を伸ばすには困難を伴う。
【0011】
特許文献2の発明は感光体への異物付着による異常画像の発生を長期間にわたり防止し、画像形成装置の長寿命化を図るものではあるが、画像形成工程を続行するのにしたがって、感光体の表面が荒れて、画質やクリーニング性能が低下する等の問題がある。
【0012】
本発明は特許文献1で提案されている感光体が有する性能を十分に活かし、高い画質の画像を長期間にわたり形成することができる高耐久性の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0014】
1.反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子と、反応性メタクリロイル基を有し、かつ、式{前記反応性メタクリロイル基の官能力基密度=(前記反応性メタクリロイル基数)/(硬化型モノマーの分子量)}で表される反応性メタクリロイル基の官能基密度が0.005より大きい前記硬化型モノマーと、を反応させて得られる組成物からなる保護層を有する有機電子写真感光体からなる感光体と、
前記感光体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記感光体上のトナー像を転写体に転写する転写手段と、
転写後の前記感光体をクリーニングするクリーニング装置であって、前記感光体の表面を研磨する研磨手段を有するクリーニング装置とを備える画像形成装置において、
前記研磨手段はループ状のブラシ毛を有するブラシローラからなることを特徴とする画像形成装置。
【0015】
2.前記研磨手段は、前記感光体の単位回転あたりの前記保護層の膜厚の変化量である摩耗指標αが、0.05〜0.30μm/100000rotである研磨力を有することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0016】
3.前記研磨手段の研磨力を調整する研磨力調整手段と、前記研磨力調整手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする前記1又は2に記載の画像形成装置。
【0017】
4.温度と湿度とを検知する環境センサと、
転写体の種類の情報を発生する紙種情報発生手段と、
形成される画像の印字率の情報を発生する印字率情報発生手段と、
前記感光体の履歴の情報を発生する感光体履歴情報発生手段と、
前記研磨手段の履歴の情報を発生する研磨履歴情報発生手段との少なくともいずれか1以上を有し、
前記制御手段は、前記環境センサと、前記紙種情報発生手段と、前記印字率情報発生手段と、前記感光体履歴情報発生手段と、前記研磨履歴情報発生手段との少なくともいずれか1以上からの情報に基づいて前記研磨力調整手段を制御することを特徴とする前記3に記載の画像形成装置。
【0018】
5.前記研磨力調整手段は、
前記感光体の表面速度と前記研磨手段の表面速度との差を調整する速度差調整手段と、
前記感光体上に形成される感光体研磨用のトナー像を形成するトナーの量を調整する形成トナー量調整手段と、
前記感光体と前記研磨手段との間の電圧を調整して前記感光体から前記研磨手段に移動するトナーの量を調整するトナー移動量調整手段と、
前記研磨手段から除去されるトナーの量を調整するトナー除去量調整手段との少なくともいずれか1以上を有することを特徴とする前記3又は4に記載の画像形成装置。
【0019】
6.前記転写手段は、記録材からなる前記転写体にトナー像を転写し、
前記制御手段は、前記環境センサからの情報と、前記紙種情報発生手段からの情報と、前記印字率情報発生手段からの情報との組み合わせに基づいて、前記研磨力調整手段を制御することを特徴とする前記4に記載の画像形成装置。
【0020】
7.前記転写体が中間転写体からなり、
前記制御手段は、前記環境センサからの情報と、前記印字率情報発生手段からの情報との組み合わせに基づいて、前記研磨力調整手段を制御することを特徴とする前記4に記載の画像形成装置。
【0021】
8.帯電された前記感光体を所定量の光で露光したときの電位である露光電位を検知する電位センサを有し、
前記制御手段は、前記電位センサからの情報に基づいて、前記研磨力調整手段を制御することを特徴とする前記3に記載の画像形成装置。
【0022】
9.温度と湿度とを検知する環境センサと、
前記感光体の履歴の情報を発生する感光体履歴情報発生手段と、
前記研磨手段の履歴の情報を発生する研磨履歴情報発生手段との少なくともいずれか1以上を有し、
前記制御手段は、前記環境センサと、前記感光体履歴情報発生手段と、前記研磨履歴情報発生手段との少なくともいずれか1以上からの情報に基づいて前記研磨力調整手段を制御することを特徴とする前記8に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子と、反応性メタクリロイル基を有し、かつ、反応性メタクリロイル基の官能基密度が0.005より大きい硬化型モノマーとを、反応させて得られる組成物からなる保護層を有する感光体を用い、感光体表面をループ状のブラシ毛を有するブラシからなる研磨手段で研磨している。
【0024】
これにより、像流れ、感光体表面の傷、感光体表面の荒れ等の発生を十分に抑制し、長期間にわたり高画質の画像を形成する高耐久性の画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す図である。
【図2】クリーニング装置27の構成を示す図である。
【図3】クリーニングブラシを示す図である。
【図4】画質及び感光体と摩耗指標αとの関係を示すグラフである。
【図5】クリーニングブラシの押圧力測定装置を示す図である。
【図6】保護層を有する感光体の露光電位と保護層の膜厚との関係の一例を示すグラフである。
【図7】感光体研磨のために転写手段1上に形成されるトナーの帯を示図である。
【図8】電圧の調整手段を示す図である。
【図9】クリーニングブラシの押圧力の変化を示す図である。
【図10】研磨力調整手段を制御する制御系のブロック図である。
【図11】研磨力調整手段を制御する制御系のブロック図である。
【図12】電位センサの配置を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る画像形成装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明を本発明の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限定されない。
【0027】
〔実施の形態1〕
<画像形成装置>
図1に示す画像形成装置1は、デジタル方式による画像形成装置の断面構成図であって、原稿搬送装置A、画像読取部B、画像形成部C及び記録材搬送部Dから構成されている。
【0028】
原稿搬送装置Aでは、原稿載置台11上に載置された原稿が原稿搬送ローラ12によって1枚宛分離搬送され読取位置13aにて画像の読取が行われる。原稿読取が終了した原稿は原稿搬送ローラ12によって原稿排紙皿14上に排出される。
【0029】
画像読取部Bはプラテンガラス13と、ミラー、レンズからなる光学系15とOODからなる撮像素子16とを有し、原稿搬送装置Aにより搬送される原稿又はプラテンガラス13上の原稿を読み取る。
【0030】
画像形成部Cでは、ドラム状の転写手段1を有し、感光体21の周囲には、帯電装置22、露光装置23及び現像装置24からなるトナー像形成手段と、転写手段25と、分離装置26と、クリーニング装置27とが配置される。回転する感光体21へは帯電装置22による一様帯電がなされた後、露光装置23により画像信号に基づいた像露光が行われる。露光装置23としては図示しないレーザダイオードからなる光源、回転するポリゴンミラー、fθレンズ、シリンドリカルレンズで構成される。
【0031】
感光体21上の静電潜像は現像装置24によって反転現像が行われ、感光体21の表面に可視像のトナー像が形成される。本発明の画像形成方法では、現像に用いられる現像剤には重合トナーを用いることが好ましい。形状や粒度分布が均一な重合トナーを本発明に係わる有機感光体と併用することにより、より鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0032】
記録材搬送部Dでは、装置下部に異なるサイズの記録材Pが収納された記録材収納手段としての3個の給紙トレイ41が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユ部41Aが設けられていて、それらの何れかから選択された記録材Pは搬送ローラ43によって搬送路40を搬送され、記録材Pの傾きと偏りの修正を行う対のレジストローラ44によって記録材Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、転写手段25及び分離装置26によって、トナー像が転写され、記録材Pが感光体21から分離される。分離後の記録材Pは転写搬送ベルト装置45により搬送され、定着装置50に送られる。
【0033】
定着装置50は定着ローラ51と加圧ローラ52とを有しており、記録材Pを定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナー像を定着する。定着処理後の記録材Pは排紙搬送部60の排紙トレイ64上に排出される。
【0034】
以上は記録材Pの片側への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は、記録材Pは排紙切換部材(符号なし)により、排紙搬送部60の下方搬送路61に搬送される。
【0035】
記録材Pは更に、反転部63でスイッチバックし表裏反転した後に、再給紙部62から転写位置に搬送される。そして、記録材Pの裏面にトナー像の転写手段25による転写及び定着装置50による定着の後、記録材Pは排紙トレイ64に排出される。
【0036】
本発明の画像形成装置としては、感光体21と、現像装置24、クリーニング装置27等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。
【0037】
VSは感光体21の電位を検知する電位センサである。
【0038】
<現像剤>
本発明の有機感光体上に形成された静電潜像は現像によりトナー像として顕像化される。現像に用いられるトナーは、粉砕トナーでも、重合トナーでもよいが、安定した粒度分布を得られる観点から、重合法で作製された重合トナーが好ましい。
【0039】
重合トナーとはトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
【0040】
なお、トナーの体積平均粒径、即ち、上記50%体積粒径(Dv50)は2〜9μm、より好ましくは3〜7μmであることが望ましい。この範囲とすることにより、解像度を高くすることができる。さらに上記の範囲と組み合わせることにより、小粒径トナーでありながら、微細な粒径のトナーの存在量を少なくすることができ、長期に亘ってドット画像の再現性が改善され、鮮鋭性の良好な、安定した画像を形成することができる。
【0041】
本発明に用いられるトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
【0042】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものがあげられ、いずれも使用することができる。
【0043】
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0044】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0045】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0046】
トナーは研磨剤を含有する。
【0047】
研磨剤はトナーに添加される粒径0.1〜1.0μmの微粒子であり、好ましく用いられるものは種々の無機粒子、有機微粒子等が挙げられるが、感光体の保護層を研磨するという観点から無機粒子が好ましい。例えば、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化セリウム等を好ましく使用することができる。又これらの無機粒子は、表面が疎水化されているものでもよい。なお、添加量としてはトナー中に好ましくは0.1〜3.0質量%(ここで、トナーの総質量は微粒子も含めた総質量を指す)、より好ましくは0.1〜2.0質量%である。この範囲を越えると感光体の保護層の研磨効果は増加するものの、研磨力が強くなり過ぎ、感光体の耐久性を低下させる。また、過小の場合には、感光体上の放電生成物の除去効果が低下し、像流れ等の画質低下を起こす。
【0048】
<感光体>
例えば、反応性酸化錫と光硬化アクリル樹脂を用い、アクリルモノマーを分子量1000以上の高分子量オリゴマーとすることにより、モノマーよりも硬度の高い膜を生成できる。しかしながら、画像ボケや像流れが発生しやすいという問題があり、画質向上のための解決策とは成っていなかった。
【0049】
本発明では、低分子量で官能基の多いモノマー、即ち、反応基当量が大きいモノマーと反応性酸化錫を反応させることにより、分子量1000以上のオリゴマーよりも硬度を上げることができることを見出した。この場合、必要により開始剤として自己開裂型の重合開始剤を使用することでより目的を達成することが出来る。
【0050】
また、メタクリロイル基を有するモノマーを硬化して得られる硬化膜は、アクリルロイル基を有するモノマーを硬化して得られる硬化膜よりもNOx吸着に起因した画像ボケが発生しにくい。一方で、反応性が劣るため膜硬度が得られないという問題点がある。しかし、本発明の如く、メタクリロイル基を有するモノマーと重合性不飽和基として反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子(SnO)を反応させると、SnOは屈折率が低いためUV硬化の際に膜がUV光をよく透過し、モノマーにUV光が十分に照射され重合が促進されるため、他の屈折率の高い金属酸化物を使った硬化膜よりも硬い硬化膜が得られた。
【0051】
〔反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子〕
本発明で用いられる反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子について説明する。
【0052】
本発明で用いられる反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子は、例えば、下記一般式(1)として表される化合物と、酸化錫粒子とを反応させて製造することができる。
【0053】
【化1】

【0054】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアラルキル基、Rは反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、nは1〜3の整数である。)
以下に、上記一般式(1)で示される化合物例を挙げる。
【0055】
S−1 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−2 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−3 CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−4 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−5 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−6 CH=CHCOO(CHSiCl
S−7 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−8 CH=CHCOO(CHSiCl
S−9 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−10 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−11 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−12 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−13 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−14 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−15 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−16 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−17 CH=CHCOOSi(OCH
S−18 CH=CHCOOSi(OC
S−19 CH=C(CH)COOSi(OCH
S−20 CH=C(CH)COOSi(OC
S−21 CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−22 CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
S−23 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCOCH
S−24 CH=CHCOO(CHSi(CH)(ONHCH
S−25 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
S−26 CH=CHCOO(CHSi(C1021)(OCH
S−27 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
これらのシラン化合物は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0056】
〔反応性基を有する酸化錫粒子の製法〕
本発明に係わる反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子は、酸化錫粒子を前記した一般式(1)等で表されるシラン化合物を用いて表面処理することにより、得ることが出来る。該表面被覆処理するに際し、酸化錫粒子100質量部に対し、シラン化合物を表面処理剤として0.1〜100質量部、溶媒50〜5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。
【0057】
以下に、均一でしかも、より微細にシラン化合物で表面被覆処理された酸化錫粒子を製造する表面処理方法を述べる。
【0058】
即ち、酸化錫粒子とシラン化合物を含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、酸化錫粒子を微細化すると同時に酸化錫粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化するので、均一でしかもより微細なシラン化合物により表面処理された酸化錫粒子を得ることができる。
【0059】
本発明において用いられる表面処理装置である湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、アルミナの凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、酸化錫粒子に表面処理を行う際に酸化錫粒子を十分に分散させ、かつ表面処理できる形式であれば問題なく、たとえば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、せん断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
【0060】
上記サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
【0061】
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニアまたはシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
【0062】
以上のような湿式処理により、一般式(1)のシラン化合物による表面処理により、反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子を得ることができる。
【0063】
ここで、反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するとは、金属酸化物粒子の表面の水酸基とアルコキシシラン化合物が加水分解反応により、化学的な結合を形成していることである。
【0064】
これにより、一般式(1)等のシラン化合物中の反応性有機基が、粒子表面に存在する金属酸化物粒子となる。
【0065】
上記の反応性基を有する酸化錫粒子は、以下に記す本発明に係わる重合性基を有する化合物との反応により保護層を形成する。
【0066】
〔反応性メタクリロイル基を有する硬化型モノマー〕
反応性メタクリロイル基を有する硬化型モノマー、即ち、酸化錫粒子の反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基と反応する化合物(硬化性化合物ということがある)を用いる。
【0067】
本発明においては、これら本発明に係わる硬化性化合物を単独で用いても、混合して用いてもよい。
【0068】
以下に本発明に係わる硬化性化合物の例を示す。
【0069】
本発明においてメタクリロイル系化合物とは、メタクリロイル基(CH=C(CH)CO−)を有する化合物である。また、以下にいうAc基数とはメタクリロイル基の数を表す。
【0070】
【化2】

【0071】
【化3】

【0072】
【化4】

【0073】
【化5】

【0074】
【化6】

【0075】
但し、上記においてRは下記で示される。
【0076】
【化7】

【0077】
本発明においては、硬化性化合物は官能基が2以上であることが好ましい。又、前記メタクリロイル系化合物では、前記メタクリロイル基を有する化合物の分子量Mと該メタクリロイル基数Acの比(Ac/M、メタクリロイル基数/分子量)が0.005より大きい化合物である。
【0078】
Ac/Mが0.005より大きい硬化型モノマーを用いることにより、架橋密度が高くなり、感光体の耐摩耗性が向上し、しかも像流れや画像ボケの発生を防止できる。
【0079】
Ac/Mの上限値については、値が大きくなると樹脂中の架橋数が増加することから、保護層の硬さは増大し感光体の耐摩耗性は向上する。しかしながら、硬度が高過ぎて保護層のひび割れ、あるいは製造時の塗布液寿命への悪影響が生じやすく、且つ、像流れや画像ボケの発生はむしろ増加傾向が出てくる場合もある。従って、Ac/Mは0.05より小さいくするほうが、むしろ望ましい。更に、Ac/Mは0.01以下であると特に好ましい。
【0080】
尚、本発明においては、官能基密度の異なる2種類以上の硬化性化合物を混合して使用してもよい。
【0081】
〔酸化錫粒子〕
本発明に用いられる酸化錫粒子は、公知の方法、例えば気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法、電解法等の一般的な製造法で作製されたものが用いられる。特にプラズマ法で作製した粒子は、微細で均質な、粒度分布が狭く、かつ凝集粒子が少ない、比較的揃った晶癖を持つ微粒子が得られて好ましい。
【0082】
本発明に用いられる酸化錫粒子の形状は、球形でも異形でもよく、また表面は滑らかでも凹凸があってもよいが、球形でかつ滑らかな表面を持つ粒子が表面処理が均一にできるため好ましい。
【0083】
本発明に用いられる酸化錫粒子の数平均一次粒径は1〜300nmの範囲であり、特に好ましくは3〜100nmである。粒径が小さい場合は耐摩耗性が十分でなく、また粒径が大きい場合には書き込み光を散乱させるたり、粒子が光硬化を阻害し耐摩耗性が十分でなく成る可能性がある。
【0084】
上記酸化錫粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウェアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した。
【0085】
保護層中の酸化錫粒子の割合は、硬化性化合物100質量部に対して1〜200質量部、特に好ましくは50〜180質量部である。
【0086】
〔上記以外の添加剤、その他〕
保護層は、上記硬化性化合物及び酸化錫粒子の他に、必要に応じて重合開始剤、滑剤粒子及び酸化防止剤等を配合した塗布液を塗布し、反応させて硬化膜を形成できる。
【0087】
本発明の硬化性化合物を反応させる際には、電子線開裂で反応する方法、ラジカル重合開始剤あるいは光、熱で反応する方法などが用いられる。重合開始剤は光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
【0088】
これら光硬化性化合物のラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、中でも、アルキルフェノン系化合物、或いはフォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。特に、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、或いはアシルフォスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましい。
【0089】
下記に好ましく用いられる光重合開始剤を例示する。
【0090】
α−アミノアセトフェノン系の例
【0091】
【化8】

【0092】
α−ヒドロキシアセトフェノン系化合物の例
【0093】
【化9】

【0094】
アシルフォスフィンオキサイド系化合物の例
【0095】
【化10】

【0096】
その他のラジカル重合開始剤の例
【0097】
【化11】

【0098】
非イオン系重合開始剤
【0099】
【化12】

【0100】
イオン系重合開始剤
【0101】
【化13】

【0102】
本発明の保護層は、塗布後、自然乾燥または熱乾燥を行った後、活性線を照射して反応させることが好ましい。
【0103】
塗布方法は、中間層、感光層と同様の、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法などの公知の方法を用いることができる。
【0104】
本発明の感光体は、塗膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化樹脂を生成することが好ましい。活性線としては紫外線や電子線が特に好ましい。
【0105】
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜100mJ/cmである。ランプの電力は、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
【0106】
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVであることが好ましい。吸収線量としては、0.5〜10Mradであることが好ましい。
【0107】
必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜10分が好ましく、作業効率の観点から0.1秒〜5分がより好ましい。
【0108】
活性線としては、紫外線が使用しやすく特に好ましい。
【0109】
本発明の感光体は、活性線を照射する前後、及び活性線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
【0110】
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温〜180℃であり、特に好ましくは80℃〜140℃である。乾燥時間は、好ましくは1分〜200分であり、特に好ましくは5分〜100分である。
【0111】
保護層の膜厚は好ましくは0.2〜10μmであり、より好ましくは0.5〜6μmである。
【0112】
〔導電性支持体〕
本発明で用いる支持体は導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化亜鉛などをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
【0113】
〔中間層〕
本発明においては、導電層と感光層の中間にバリアー機能と接着機能をもつ中間層を設けることもできる。
【0114】
中間層はカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチンなどのバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解し、浸漬塗布などによって形成できる。中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
【0115】
中間層に使用する溶媒としては、無機粒子を良好に分散し、ポリアミド樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0116】
バインダー樹脂の濃度は、中間層の膜厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
【0117】
無機粒子などを分散したと時のバインダー樹脂に対する無機粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機粒子20〜400質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜200部である。
【0118】
無機粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0119】
中間層の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0120】
中間層の膜厚は、0.1〜15μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。
【0121】
〔感光層〕
特に限定はないが、電荷発生層と電荷輸送層を有するいわゆる積層型の感光層が好ましい。
【0122】
(電荷発生層)
本発明に用いられる電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有し、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散、塗布して形成したものが好ましい。
【0123】
電荷発生物質は、スーダンレッド及びダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノン及びアントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの電荷発生物質は単独、もしくは公知の樹脂中に分散する形態で使用することができる。
【0124】
電荷発生層のバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリロイル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶剤で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0126】
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜500部である。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜3μmである。なお、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成すこともできる。
【0129】
(電荷輸送層)
本発明の感光層に用いられる電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有し、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
【0130】
電荷輸送物質は、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等を2種以上混合して使用してもよい。
【0131】
電荷輸送物質(CTM)としては、N原子の原子量比が4.5%未満の電荷輸送物質を用いることが好ましい。該電荷輸送物質の基本構造としては、トリフェニルアミン誘導体、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができるが、中でも、スチリル系化合物が好ましい。
【0132】
電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂及びスチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネートが好ましい。更にはBPA、BPZ、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等が耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
【0133】
電荷輸送層の形成は、バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0134】
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
バインダー樹脂に対する電荷輸送物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質10〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは20〜100質量部である。
【0136】
電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは5〜40μmで、さらに好ましくは10〜30μmである。
【0137】
電荷輸送層中には酸化防止剤、電子導電剤、安定剤等を添加してもよい。酸化防止剤については特開2000−305291号公報、電子導電剤は特開昭50−137543号、同58−76483号公報等に記載のものがよい。
【0138】
以下、本発明の代表的実施態様をあげて本発明を詳細に説明するが、無論、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
【0139】
〔感光体の作製例〕
下記の様に感光体を作製した。
【0140】
〈導電性支持体〉
直径100mmの円筒形アルミニウム支持体(長さ360mm)の表面を切削加工し、表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体を用意した。
【0141】
〈中間層〉
下記組成の分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層塗布液を作製した。
【0142】
ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 1部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 3部
メタノール 10部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
【0143】
上記塗布液を用いて前記支持体上に、乾燥膜厚2.0μmとなるよう浸漬塗布法で塗布した。
【0144】
〈電荷発生層〉
電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20部
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10部
酢酸t−ブチル 700部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0145】
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質(4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)
トリフェニルアミン) 225部
バインダー:ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:BASFジャパン社製) 6部
THF(テトラヒドロフラン) 1600部
トルエン 400部
シリコーンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し、110℃で60分乾燥して乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0146】
〈保護層〉
(酸化錫粒子の準備)
数平均一次粒径30nmの酸化錫粒子100質量部、表面処理剤として「例示化合物S−4」30質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し反応性アクリロイル基を有する酸化錫粒子1を調製した。
【0147】
酸化錫粒子1 8部
硬化型モノマー(例示化合物11) 10部
重合開始剤(例示化合物:重合開始剤3−2) 1部
1−プロピルアルコール 40部
上記成分を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、保護層塗布液を作製した。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、保護層を塗布した。塗布後、メタルハライドランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚2.0μmの保護層を得た。
【0148】
<クリーニング装置>
図2はクリーニング装置27の構成を示す図である。
【0149】
クリーニング装置27は、感光体21表面の残留トナーを除去するとともに感光体21の表面を研磨するものであり、クリーニングブレードと、感光体21にクリーニングブレード271を当接あるいは離間させる当接離間機構とトナー飛散を防止するための飛散防止部材279とを含む。
【0150】
当接離間機構は、支持部材273と支持軸274と、支持軸274を中心として支持部材273を回動させる図示しない第1の動力装置とを含む。
【0151】
支持軸274を中心として支持部材273を回転させることにより、クリーニングブレード271Aを感光体21に当接された状態、あるいは離間された状態とすることができる。
【0152】
支持部材273は、クリーニングブレード271Aに代えてクリーニングブレード271Bに感光体21に当接するクリーニング位置に設定する自動交換機構として、上記のクリーニングブレード271A及び271Bを保持する保持部材272を支持する。保持部材272は図示しない第2の動力装置により駆動されて回転し、クリーニングブレード271A又はクリーニングブレード271Bをクリーニング位置に設定する。
【0153】
保持部材272を回動させ上記自動交換させる動力装置は、例えばバネの反発力をチャージしておいて解除したときの動力によるものであることが好ましい。
【0154】
クリーニングブレード271Aの当接位置より、感光体回転方向下流側へのトナー飛散を阻止するための飛散防止部材279が設けられる。飛散防止部材279の先端は感光体21に接触する。
【0155】
トナー回収部は、クリーニング部で感光体21の表面から除去されたトナーを回収するトナー回収手段として機能するものであり、クリーニングブラシ275とフリッカー276とスクレーパ277と、回収スクリュー78とを含む。フリッカー276は、クリーニングブラシ275の回転時に、ブラシ毛を叩くことによりクリーニングブラシ275からトナーを除去する。スクレーパ277はフリッカー276の表面に付着しているトナーを掻き取る。
【0156】
感光体21の表面を研磨する研磨手段としてのクリーニングブラシ275は矢印W1で示す方向に回転する感光体21に対して、矢印W2で示す方向に回転して感光体21をクリーニングするとともに、感光体21の表面を研磨する。
【0157】
<感光体表面の研磨>
感光体の表面に放電生成物等の異物が付着することにより像流れと称される画質低下が生ずる。このために、クリーニング工程において、クリーニングブレードやクリーニングブラシにより異物を除去することが行われる。
【0158】
特許文献1で提案されている保護層は従来の保護層に比較して高い硬度を有し、感光体の耐久性を増すと言う特徴を有する。このような感光体では、感光体表面上の異物を除去するだけでなく、保護層の表面を研磨して研磨力を適正なものにすることにより感光体の性能をさらに活かすことができるようになることが特許文献1の感光体を用いた画像形成試験の結果判明した。
【0159】
感光体21の表面、即ち、感光体21の保護層の表面を研磨する研磨手段としてのクリーニングブラシ275は、図3に示すループ状のブラシ毛275aが円筒状の基体275bに植毛されたブラシローラからなる。
【0160】
前述のように、特許文献1の感光体21は高い硬度の保護層有し、研磨手段により保護層表面を研磨しつつ画像形成を行うことにより、高画質の画像が形成される。研磨手段の研磨力を適正に維持するには、クリーニングブラシ275の感光体21に対する押圧力を或る程度高くする必要がある。このために、ブラシ毛の太さを太くするという手段がある。しかしながら太いブラシ毛を用いた場合、保護層の表面を傷つける場合がある。
【0161】
図3に示すようなクリーニングブラシ、即ち、ループ状のブラシ毛275aを有するブラシローラを用いることにより、保護層を適度に研磨する適正な押圧力を持ちながら、保護層を傷つけないで感光体21を研磨することができる。
【0162】
ブラシ毛275aの材料としては、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等が挙げられる。ブラシ毛275aはカーボン等の導電性物質を含有させることにより導電性化されている。
【0163】
ブラシ毛の太さ(線径)は6〜15d、植毛密度は30000〜60000本/25.4mm、ブラシ毛の長さは3.0〜4.5mmが好ましい。
【0164】
このようなクリーニングブラシ275を用いて、感光体21の表面をクリーニングするとともに、画像形成工程を実行する際に、感光体21の表面層を形成する保護層を研磨することが行われる。
【0165】
クリーニングと研磨とを効果的に行うには、クリーニングブラシ275の押圧力を0.3〜0.7Nとすることが好ましい。
【0166】
クリーニングブラシ275の押圧力は、ブラシ毛の食い込み量と、感光体対クリーニングブラシの速度差(感光体の周速対クリーニングブラシの周速の差)とに応じて変化する。
【0167】
図4の線L4はクリーニングブラシの押圧力によりクリーニングブラシの研磨力が変化する様子を示す。なお、図4において、線L4は縦に長い楕円で示すデータ群に基づいて作成したものである。図4に示すように押圧力が0.3〜0.7Nにおいて、望ましい研磨指標αが得られる。
【0168】
図4において、縦軸は摩耗指標αを、横軸は押圧力をそれぞれ示す。
【0169】
研磨力を表す摩耗指標αは感光体21の単位回転量あたりの摩耗量(保護層膜厚の減少量)、μm/100000rot(100krot)、である。
【0170】
押圧力は図5に示す測定装置により計測される。
【0171】
図5において、ブラシローラBRを金属板MPに押し当て、矢印で示すように回転させる。
【0172】
金属板MPが受ける圧力を圧電素子PPと検出器DDとで検知する。
【0173】
クリーニングブラシ275の押圧力を0.3〜0.7Nとすることにより、適正な研磨力をもって感光体21を研磨することができる。
【0174】
本発明においては、クリーニングブラシ275の研磨力を適正レベルに維持するために、研磨力調整手段を用い、制御手段で研磨力調整手段を制御することが好ましい。制御手段でクリーニングブラシ275の研磨力を適正に調整することにより、高画質を長期間にわたり維持することができる画像形成装置が実現された。
【0175】
研磨が不十分な場合、中間調画像の再現性の低下、画像鮮鋭性の低下など、像流れと称される画質低下が発生する。また、研磨が過剰である場合には、保護層の膜厚が早期に薄くなって、感光体の耐久性が低下する。
【0176】
以下保護層に対する研磨力の制御について説明する。
【0177】
前述した画質の観点と感光体寿命の観点から保護層の研磨を制御することが必要になるが、そのためには、画像形成工程の中で行われる研磨を制御する必要がある。そして、研磨を制御するには、保護層の膜厚を把握することが必要である。
【0178】
保護層の膜厚を把握するための膜厚測定方法としては種々あるが、露光電位を用いる露光電位法が電子写真工程の中で用いるのに便利である。露光電位法は、感光体を所定の電位に帯電した後に、所定量の光による露光、例えば、最大量の光で露光し、露光後の感光体の表面電位から感光体の保護層の膜厚を測定する方法である。
【0179】
図6は保護層を有する感光体の露光電位と保護層の膜厚との関係の一例を示す。図6において、縦軸は、たとえば最大露光量のように、帯電された感光体を所定量の光で露光したときの電位(露光電位)であり、横軸は保護層の膜厚である。図示のように露光電位と膜厚とは比例関係にある。露光電位は図1に示す電位センサVS、即ち、露光後の感光体21の表面電位を検知する電位センサVSにより測定される。図6に示す関係から露光電位を電位センサVSで測定することにより保護層の膜厚を検出することが可能となる。そして、露光電位法で保護層の膜厚を検出することにより、感光体の研磨における研磨の効果を評価することが可能となる。即ち、初期における保護層の膜厚と、感光体表面を研磨しつつ画像形成を行い、感光体を所定数回転させたときの保護層の膜厚を測定することにより研磨手段の研磨力が把握される。
【0180】
画質及び感光体と摩耗指標αとの関係を図4に示す。図4において、摩耗指標αのレベルL1は所期の感光体耐久性を確保するための上限、レベルL2は高温高湿下において像流れを発生しないための下限値、レベルL3は常温常湿下において像流れを発生しないための下限値である。レベルL1は、0.30μm/100krotであった。また、レベルL2は、0.10μm/100krot、レベルL3は0.5μm/100krotであった。
【0181】
図4に示すように摩耗指標αをレベルL1とレベルL2との間又はレベルL1とレベルL3との間の適正範囲に維持することにより高画質の画像を形成し、十分な感光体耐久性を確保することが可能となる。
【0182】
感光体表面の保護層は、感光体表面をクリーニングブラシで摺擦することにより研磨されるが、クリーニングブラシによる研磨では次のa1〜a4に挙げる研磨力調整手段により摩耗指標αが調整される。
a1.速度差調整手段
感光体とクリーニングブラシとの速度差は、感光体表面の周速と、クリーニングブラシ表面の周速との差であり、速度差が大きいほど摩耗指標αは大きくなる。感光体の周面とクリーニングブラシの周面とが反対方向に移動するときは、速度差が大きく、同方向の移動では、速度差が小さい。
a2.形成トナー量調整手段(帯幅調整手段)
トナー中には前記現像剤の項で説明したように感光体を研磨する研磨剤が含有される。したがって、クリーニングブラシにより保持されるトナーの量が多い程、クリーニングブラシに保持される研磨剤の量が多くなり摩耗指標αは大きくなる。クリーニングブラシに保持されるトナーの量は次のように、感光体上の形成される感光体研磨用のトナー像を形成するトナーの量を調整することにより調整される。例えば、感光体研磨用のトナー帯の帯幅を調整することにより調整される。
【0183】
図7は感光体研磨のために感光体21上に形成されるトナーの帯を示す。図示のようにトナー帯TBは複数のトナー像Gの間である画像領域外に形成される。トナー帯TBは、トナー帯形成手段を構成する帯電装置22と露光装置23と現像装置24とにより感光体21上に形成される。即ち、帯電装置22による帯電と、露光装置23による帯状露光と、現像装置24による現像とによりトナー帯TBが感光体21上に形成される。トナー像Gは記録材に転写され、画像領域においては、転写残トナーがクリーニング装置に持ち込まれるが、画像領域外に形成されたトナー帯TBは転写されることなく、クリーニング装置27に持ち込まれ、クリーニングブラシ275に回収される。このためには、トナー像Gが形成されている画像領域では転写電圧を印加し、トナー帯TBが形成されている画像領域外では、転写電圧とは逆の電圧を印加する。
【0184】
帯幅調整手段としての露光装置23が帯状露光を行うときの露光幅を調整することにより、クリーニングブラシ275に回収されるトナーの量が変化し、クリーニングブラシ275に保持されるトナーの量が変化する。
a3.トナー移動量調整手段
図8は電圧の調整によりトナー移動量を調整するトナー移動量調整手段を示す。
【0185】
感光体21とクリーニングブラシ275との間にトナー移動量調整手段としての電源E1により可変電圧が印可される。負帯電トナーを用いた場合、クリーニングブラシ275に正電圧が印加され、印加電圧値を変えることにより、感光体21からクリーニングブラシ275に移るトナーの量が変えられる。
【0186】
感光体21とクリーニングブラシ275間の電圧は、通常、感光体21上の転写残トナーがクリーニングブラシ275をすり抜けてクリーニングブレードの位置に達しクリーニングブレードで掻き取られ除去されるように設定される。しかしながら、感光体21とクリーニングブラシ275間の電圧を調整することにより、クリーニングブラシ275が回収するトナーの量を調整することができる。電圧を大きくしてクリーニングブラシ275に移るトナーの量を多くすることによりクリーニングブラシ275に回収されるトナーの量が多くなり、クリーニングブラシ275の研磨力がアップする。
a4.トナー除去量調整手段
クリーニングブラシ275に保持されているトナーはブラシ清掃手段としてのフリッカー276によりクリーニングブラシ275から除去される。このようにして、クリーニングブラシ275に保持されるトナーの量は感光体21から回収する量とフリッカー276により除去される量とがバランスして一定レベルに維持される。そして、フリッカー276が除去するトナーの量を変えることによりクリーニングブラシ275に保持されるトナーの量が変えられる。
【0187】
図8は、また、クリーニングブラシの清掃を制御することによりクリーニングブラシに保持されるトナーの量を制御する手段を示す。
【0188】
クリーニングブラシ275とフリッカー276との間に、トナー除去量調整手段としての電源E2により電圧を印加し、印加電圧を変えることによりクリーニングブラシ275に保持されるトナーの量が変化する。また、クリーニングブラシ275とフリッカー276との間の速度差を制御することによってもクリーニングブラシ275により保持されるトナーの量を制御することができる。
【0189】
前記a1〜a4の研磨力調整手段の調整値と摩耗指標αとの関係は、例えば、図5における曲線L4で示すように予め調べておくことが可能である。したがって、画像形成工程において、摩耗指標αを適正値にするための研磨力調整手段の調整値を決定することが可能となる。このようにして、クリーニングブラシからなる研磨手段の研磨力を望むレベルに調整することが可能となる。なお前記a1〜a4の研磨力調整手段はいずれか一つ又は複数の組み合わせで使用することができる。
【0190】
一方、画質は摩耗指標αに関連する次の要因により影響を受ける。
b1.環境
環境温度又は環境湿度は画質に対して様々に影響する。例えば、湿度が高い環境下では像流れが発生しやすいために、摩耗指標αを上げる必要がある。また、高い湿度では、クリーニングブラシ275の押圧力が低下する結果、感光体21とクリーニングブラシ275との速度差を増すことが必要になる。
b2.紙種
感光体は転写位置において転写材に接触してトナー像が記録材に転写される。転写時における転写材との接触により感光体21が摩耗する。このことから分かるように、転写材の種類により感光体21が受ける摩耗が変化し、摩耗指標αが変化する。
b3.印字率
形成する画像の印字率が高いほど転写残トナーの量、即ち、クリーニング装置27に持ち込まれるトナーの量が多くなり、摩耗指標αが高くなる。
b4.感光体の履歴
保護層は、感光体の履歴が増すにしたがって摩耗し薄くなる。したがって、感光体の履歴が増すにしたがって、摩耗指標αを低くする必要がある。
b5.クリーニングブラシの履歴
クリーニングブラシ275の履歴が増すにしたがってその研磨力が低下する。即ち、図9に示すようにクリーニングブラシ275の圧力はプリント枚数の増加に対応して低下する。なお、図9おける曲線L5はブラシ圧力の初期値を高く設定した場合の変化を示し、曲線L6はブラシ圧力の初期値を低く設定した場合の変化を示す。したがって、所期の研磨力を維持するには、クリーニングブラシ275の履歴が増すのに対応して、速度差を増すなど前記研磨力調整手段を調整することが必要になる。
【0191】
本発明の感光体では、要因b1〜b5の各々の変化に対応して研磨力調整手段を制御してクリーニングブラシの研磨力を制御することにより、摩耗指標αを適正範囲内に維持し高画質の画像を安定して形成することが可能となる。
【0192】
更に、要因b1〜b5の内のいずれか2以上の組み合わせに基づいて研磨力調整手段a1〜a4を制御することにより、摩耗指標αを適正範囲内に確実に維持し高画質の画像をより安定して形成することが可能となる。
【0193】
特に、前記要因b1、b2及びb3の組み合わせに基づいて研磨力調整手段a1〜a4を制御することにより、摩耗指標αを適正範囲内に確実に維持し高画質の画像を非常に安定して形成することが可能となり、また、感光体の寿命を長くすることが可能となる。
【0194】
図10は前記要因b1〜b4の情報を入力して、研磨力調整手段a1〜a4を制御する制御系のブロック図である。
【0195】
CRはクリーニングブラシの研磨力を制御する制御手段、SE1は画像形成装置内の温度を検知する温度センサ、SE2は画像形成装置内の湿度を検知する湿度センサである。温度センサSE1と湿度センサSE2とは画像形成装置内の環境を検知する環境センサを構成する。0Pは画像形成条件、特に、使用される記録材Pの紙種の情報を発生する紙種情報発生手段としての操作部、IPは、形成される画像の画像デ−タから印字率の情報を発生する印字率情報発生手段としての画像処理部、EDは、感光体の移動距離の情報を発生する感光体履歴情報発生手段としての感光体移動距離計、23は感光体上に形成される感光体研磨用のトナー帯の幅を調整する帯幅調整手段としての露光装置、BMはクリーニングブラシを回転駆動する速度差調整手段としてのブラシモータ、E1は前述したように感光体とクリーニングブラシ間にトナーをクリーニングブラシに移動させる電圧を印加するトナー移動量調整手段としての電源、E2は前述したように、クリーニングブラシとフリッカー間にトナーをフリッカーに移動させる電圧を印加するトナー除去量調整手段としての電源である。
【0196】
感光体移動距離計EDは、感光体に設けられたエンコーダからのパスルを累計して感光体の移動距離を計測するものであり、転写手段が画像形成装置に装着された後の感光体の移動距離を累計する。クリーニングブラシは感光体と同時に作動するので、感光体の移動距離の計測からクリーニングブラシの表面の移動距離、即ち、クリーニングブラシの履歴の情報を得ることができる。このように、感光体移動距離計EDはクリーニングブラシの履歴情報を発生する研磨履歴情報発生手段を構成する。
【0197】
制御手段CRは温度センサSE1、湿度センサSE2、操作部OP、画像処理部IP、及び感光体移動距離計EDの少なくともいずれか1以上からの情報に基づいて、ブラシモータBM、電源E1、E2及び露光装置23の少なくともいずれか1以上を制御して、摩耗指標αを諸要因に対応した適正とする制御を行う。
【0198】
〔実施の形態2〕
本実施の形態はクリーニングブラシの研磨力を検知し、検知した研磨力に基づいて、研磨力を適正値に制御するものである。画像形成装置及びクリーニング装置の構成は図1、2に示すものである。
【0199】
図11は研磨力調整手段を制御する制御系のブロック図である。
【0200】
図11において、VSは露光電位を検出する電位センサであり、図12に示すように、露光装置23の露光位置と現像装置24との間の感光体21の電位を検知する。
【0201】
制御手段CRは、帯電装置22及び露光装置23を制御して、感光体21を帯電し、所定光量の露光を行うことにより感光体21上に露光電位を形成する。電位センサVSは形成された露光電位を検知する。制御手段CRは電位センサVSからの情報と感光体移動距離計EDの情報とに基づいて、摩耗指標αを算出する。そして、制御手段CRは算出した摩耗指標αが適正値となるように、露光装置23、ブラシモータBM及び電源E1、E2のいずれか1以上を制御して研磨力を制御する。
【0202】
制御手段CRは前記b1〜b4の要因の変化に対応した最適の摩耗指標αを決定し、決定した摩耗指標αを実現する研磨力となるように研磨力調整手段a1〜a4の選択と、選択した研磨力調整手段の制御とを行う。
【0203】
例えば、図4に示すように、常温常湿における摩耗指標αの下限と、高温高湿における摩耗指標αの下限とは異なる。また、感光体の履歴が長くなると、オゾン等により表層の劣化が起こり像流れが発生しやすくなるので、摩耗指標αを上げることが必要になる。制御手段CRはこのような要因に対して最適の摩耗指標αを設定する。
【0204】
〔実施の形態3〕
図13は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。このカラー画像形成装置は画像読取部Bと画像形成部Cと記録材搬送部Dとを有する。画像形成部Cは4個の画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Kを有する。
【0205】
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、ドラム状の感光体1Y、帯電装置2Y、露光装置3Y、現像装置4Y、転写手段としての一次転写ローラ5Y及びクリーニング装置6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、ドラム状の感光体1M、帯電装置2M、露光装置3M、現像装置4M、転写手段としての一次転写ローラ5M及びクリーニング装置6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、ドラム状の感光体1C、帯電装置2C、露光装置3C、現像装置4C、転写手段としての一次転写ローラ5C及びクリーニング装置6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成ユニット10Kは、ドラム状の感光体1K、帯電装置2K、露光装置3K、現像装置4K、転写手段としての一次転写ローラ5K及びクリーニング装置6Kを有する。
【0206】
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体1Y、1M、1C、1Kにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
【0207】
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に配置された帯電装置2Y、露光装置3Y、現像装置4Y及びクリーニング装置6Yを有し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成する。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、帯電装置2Y、現像装置4Y、クリーニング装置6Yを一体としたユニットとして構成されている。
【0208】
帯電装置2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体1Yにコロナ放電型の帯電装置が用いられている。
【0209】
露光装置3Yは、帯電装置2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光装置3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
【0210】
現像装置4Yは、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤で静電潜像を現像する。
【0211】
一次転写ローラ5Yには、転写電圧が印加されており、感光体1Y上のトナー像を中間転写体31に転写する。
【0212】
クリーニング装置6Yは、クリーニングブレードにより感光体1Y上の転写残トナーを掻き取りクリーニングする。
【0213】
中間転写体ユニット30は、複数のローラ32〜35と、複数のローラ32〜35に巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の中間転写体31を有する。
【0214】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kにより形成された各色のトナー像は、転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する中間転写体31上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙トレイ41内に収容された記録材Pは、給紙装置42により給紙され、複数の搬送ローラ43と、レジストローラ44とを経て、二次転写ローラ5Aに搬送される。カラー画像は二次転写ローラ5Aにより記録材P上に一括転写される。カラー画像が転写された記録材Pは、定着装置50により定着処理され、機外の排紙トレイ64上に載置される。
【0215】
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aにより記録材Pにカラー画像を転写した後、記録材Pを曲率分離した中間転写体31は、クリーニング装置6Aによりクリーニングされる。
【0216】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
【0217】
二次転写ローラ5Aは、ここを記録材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
【0218】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には中間転写体ユニット30が配置されている。中間転写体ユニット30は、ローラ32〜35を巻回して回動可能な無端ベルト状の中間転写体31、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5K、及びクリーニング装置6Aとから成る。
【0219】
二次転写ローラ5Aにより形成される二次転写位置に記録材Pを供給する搬送路40は縦に配置された3個の給紙トレイ41と、給紙トレイ41から記録材を送り出す給紙装置42と、給紙装置42により送り出された記録材Pを搬送する複数の搬送ローラ43と、記録材Pを二次転写位置に搬送するレジストローラ44とを備える。
【0220】
定着処理された記録材Pを搬送し排出する排紙搬送部は、定着装置50から排出された記録材Pを下方に搬送する下方搬送路61と、二次転写位置に搬送する再給紙部62と、下方搬送路61から記録材を受け取って表裏反転した後に再給紙部62に搬送する反転部63と、排紙トレイ64を有する。
【0221】
定着装置50から排出された記録材Pはそのまま排紙トレイ64に排出する排紙モードと、下方搬送路61に搬送した後に、搬送方向を反転し下方搬送路61中を上方に搬送し排紙トレイ64に搬送する排紙モードとがある。
【0222】
両面画像形成においては、第1面に画像が形成され定着装置50を通過した記録材Pは下方搬送路61を下方に搬送され、反転部63において表裏反転された後に、再給紙部62を搬送されて、二次転写位置に再給紙される。
【0223】
第2面に画像が形成され、定着装置50から排出された記録材Pはそのまま排紙トレイ64に排出される。
【0224】
図13の画像形成装置において、感光体1Y、1M、1C及び1Kはそれぞれ前述した感光体、即ち、反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子と、反応性メタクリロイル基を有し、かつ、反応性メタクリロイル基の官能基密度が0.005より大きい硬化型モノマーとを、反応させて得られる組成物からなる保護層を有する電子写真感光体である。
【0225】
また、感光体1Yをクリーニングするクリーニング装置6Y、感光体1Mをクリーニングするクリーニング装置6M、感光体1Cをクリーニングするクリーニング装置6C及び感光体1Kをクリーニングするクリーニング装置6Kはそれぞれ図2に示し、前述したクリーニングブラシ及びクリーニングブラシからトナーを除去する清掃手段を有する。
【0226】
これらのクリーニング装置6Y、6M、6C、6Kのクリーニングブラシにより感光体1Y、1M、1C、1Kの研磨が行われる。
【0227】
図13に示すカラー画像形成装置においては、感光体1Y、1M、1C、1K上のトナー像は中間転写体31に転写されるので、感光体1Y、1M、1C、1Kは記録材Pに接触しない。したがって、感光体1Y、1M、1C、1Kの研磨が紙種により影響されることはない。
【0228】
したがって、本実施の形態においては、研磨力調整手段の制御において、制御手段は環境と印字率との組み合わせ要因に基づいて研磨力を調整することが好ましく、この制御により、本発明の高画質の画像形成が可能となり、また、感光体が長寿命化が達成される。
【実施例】
【0229】
<実施例1>
(1)実施例1
図1に示し、前記感光体の作成例に従って作成した本発明の感光体を搭載した画像形成装置を用い、クリーニング装置27として次のものを用いた。
・クリーニングブレード
方式:カウンタ方式
材質:ウレタンゴム
ゴム硬度:65°(JISA)
反発弾性:50%
長さ:363.5mm
厚み:2mm
自由長:9mm
押圧方式:錘方式
当接加重:17N/m
当接角度(剛体としての角度):20°
・クリーニングブラシ:ループ状のブラシ毛を有するブラシローラ
材質:導電性ポリエステル
線径:10d
密度:45000本/25.4mm
ブラシローラの軸径:φ12mm
外径:φ19mm
毛長:3.5mm
感光体への食い込み量:1.0mm
回転方向:ブラシローラの周面が感光体の周面と同一方向に移動する回転方向
押圧力:0.4N
・フリッカー
材質:SUS
径:φ10mm
対ブラシ線速比:0.5
フリッカーに対するブラシ食い込み量:0.85mm
フリッカーを接地
・スクレーパ
材質:SUS
厚み:0.05mm
・研磨剤
チタン酸カルシウム、
トナー中の含有量:0.5質量%
(2)比較例1
クリーニングブラシとして、ループ状のブラシ毛に代えて、下記の直毛状のブラシ毛を有するブラシローラを用いた他は実施例1と同じ条件とした。
密度:60000本/25.4mm
毛長:4.1mm
(3)比較例2
感光体として、特開平8−262752号公報に記載された感光体、即ち、表面層にシリカ微粒子を含有させて耐久性を向上した感光体を用いた他は実施例1と同じ条件とした。
(4)比較例3
感光体として、特開平8−262752号公報に記載された感光体、即ち、表面層にシリカ微粒子を含有させて耐久性を向上した感光体を用いた他は比較例1と同じ条件とした。
【0230】
以上の機械的、資材的条件で、常温常湿下、標準紙を用い、画像形成試験を行った。
【0231】
500k枚の画像を形成した時点での感光体表面を検査した結果を表1に示す。
【0232】
【表1】

【0233】
表1において、感光体傷のセルにおける×は、感光体表面に傷ができて画像欠陥を生じたことを示し、粗さのセルにおける×は、感光体表面全体が荒らされて画質低下を生じたことを示す。表中の○は感光体傷、粗さのいずれも画像に影響するような感光体傷、粗さが生じなかったことを示す。
【0234】
表1に示すように、実施例においては、感光体傷、粗さのいずれに関しても良好であった。比較例1では、感光体傷は×であったが粗さは○であった。また、比較例2、3では、傷は○であったが、粗さが×であった。
【0235】
表1から次のことが明らかになった。
【0236】
本発明の感光体は、耐久性が高く、クリーニングブラシの研磨により摩耗が進行し、表面が荒れることを防止している。しかしながら、直毛ブラシを用いた場合、本発明の感光体では傷が発生する場合がある。この傷の問題がループ状のブラシ毛を有するクリーニングブラシを用いることにより解決された。
【0237】
一方、従来の感光体では、直毛ブラシ、ループ状ブラシ何れの場合においても、感光体表面が荒れるという問題があり、この問題が解決されなかった。
(5)実施例2
実施例1と同じ条件であるが、環境、紙種及び印字率に応じて下記のように研磨力を変えて画像形成を行った。
○研磨力大:
クリーニングブラシの押圧力0.8N
α=0.4
クリーニング装置にトナーを送るためのトナー帯形成:帯幅10mm
○研磨力中:
クリーニングブラシの押圧力0.4N
トナー帯幅0mm
α=0.2
クリーニング装置にトナーを送るためのトナー帯形成せず
○研磨力小:
クリーニングブラシの押圧力0.3N
トナー帯幅0mm
α=0.1
クリーニング装置にトナーを送るためのトナー帯形成せず
表3に示すように環境と紙種と印字率との組み合わせ要因に対して研磨力の最適に設定した。
【0238】
【表2】

【0239】
表2に示すように環境の変化、紙種の変化、印字率の変化に対して、良好な画質の画像が得られるとともに、1000k以上の感光体耐久性が得られた。なお、表1における○極めて良好な画質を示し、△は良好な画質を示す。
(6)比較例4
感光体として、特開平8−262752号公報に記載された感光体、即ち、表面層にシリカ微粒子を含有させて耐久性を向上した感光体を用いるとともに、実施例1で用いたクリーニングブラシを用い、さらに、感光体の寿命を確保するために前記研磨力小で画像形成を行った。
【0240】
結果を表2に示す。
【0241】
【表3】

【0242】
表3に示すように、高温、高湿、コート紙及び高印字率において像流れが発生した。
【符号の説明】
【0243】
1C、1M、1K、1Y、21 感光体
22、2C、2M、2K、2Y 帯電装置
23、3C、3M、3K、3Y 露光装置
24、4C、4M、4K、4Y 現像装置
25 転写手段
5C、5M、5K、5Y 一次転写ローラ
27、6C、6M、6K、6Y クリーニング装置
275 クリーニングブラシ
CR 制御手段
SE1 温度センサ
SE2 湿度センサ
IP 画像処理部
ED 感光体移動距離計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する酸化錫粒子と、反応性メタクリロイル基を有し、かつ、式{前記反応性メタクリロイル基の官能力基密度=(前記反応性メタクリロイル基数)/(硬化型モノマーの分子量)}で表される反応性メタクリロイル基の官能基密度が0.005より大きい前記硬化型モノマーと、を反応させて得られる組成物からなる保護層を有する有機電子写真感光体からなる感光体と、
前記感光体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記感光体上のトナー像を転写体に転写する転写手段と、
転写後の前記感光体をクリーニングするクリーニング装置であって、前記感光体の表面を研磨する研磨手段を有するクリーニング装置とを備える画像形成装置において、
前記研磨手段はループ状のブラシ毛を有するブラシローラからなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記研磨手段は、前記感光体の単位回転あたりの前記保護層の膜厚の変化量である摩耗指標αが、0.05〜0.30μm/100000rotである研磨力を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記研磨手段の研磨力を調整する研磨力調整手段と、前記研磨力調整手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
温度と湿度とを検知する環境センサと、
転写体の種類の情報を発生する紙種情報発生手段と、
形成される画像の印字率の情報を発生する印字率情報発生手段と、
前記感光体の履歴の情報を発生する感光体履歴情報発生手段と、
前記研磨手段の履歴の情報を発生する研磨履歴情報発生手段との少なくともいずれか1以上を有し、
前記制御手段は、前記環境センサと、前記紙種情報発生手段と、前記印字率情報発生手段と、前記感光体履歴情報発生手段と、前記研磨履歴情報発生手段との少なくともいずれか1以上からの情報に基づいて前記研磨力調整手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記研磨力調整手段は、
前記感光体の表面速度と前記研磨手段の表面速度との差を調整する速度差調整手段と、
前記感光体上に形成される感光体研磨用のトナー像を形成するトナーの量を調整する形成トナー量調整手段と、
前記感光体と前記研磨手段との間の電圧を調整して前記感光体から前記研磨手段に移動するトナーの量を調整するトナー移動量調整手段と、
前記研磨手段から除去されるトナーの量を調整するトナー除去量調整手段との少なくともいずれか1以上を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写手段は、記録材からなる前記転写体にトナー像を転写し、
前記制御手段は、前記環境センサからの情報と、前記紙種情報発生手段からの情報と、前記印字率情報発生手段からの情報との組み合わせに基づいて、前記研磨力調整手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写体が中間転写体からなり、
前記制御手段は、前記環境センサからの情報と、前記印字率情報発生手段からの情報との組み合わせに基づいて、前記研磨力調整手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
帯電された前記感光体を所定量の光で露光したときの電位である露光電位を検知する電位センサを有し、
前記制御手段は、前記電位センサからの情報に基づいて、前記研磨力調整手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
温度と湿度とを検知する環境センサと、
前記感光体の履歴の情報を発生する感光体履歴情報発生手段と、
前記研磨手段の履歴の情報を発生する研磨履歴情報発生手段との少なくともいずれか1以上を有し、
前記制御手段は、前記環境センサと、前記感光体履歴情報発生手段と、前記研磨履歴情報発生手段との少なくともいずれか1以上からの情報に基づいて前記研磨力調整手段を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−150391(P2012−150391A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10656(P2011−10656)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】