説明

画像形成装置

【課題】金属製の本体フレーム及び冷却ファンを外装カバーの内部に備える画像形成装置において、製造コストの増加及び作業負担の増大を抑制し、かつ、冷却ファンを静電気から保護する。
【解決手段】本体フレーム3は、冷却ファン2の通風面を露出する開口3aと、当該開口3aを跨いで設置される金属製の除電用梁3bとを備え、前記除電用梁3bは、前記冷却ファン2の通風方向から見て前記冷却ファン2が備えるケースの梁3bに重ねて配置される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の内部には、定着装置等の発熱部品が搭載されている。このため、一般的に、画像形成装置には、機内等の冷却を行うための冷却ファンが設置されている。
近年は、画像形成装置のコンパクト化が進んでおり、上述のような冷却ファンが外装カバーの近傍に配置されることもある。
【0003】
ところが、冷却ファンが外装カバーの近傍に設置されるということは、ユーザが冷却ファンの近くまで近寄る可能性があることを意味する。
ユーザが冷却ファンに近づくと、ユーザに溜まった静電気が冷却ファンとの間で放電され、冷却ファンが当該静電気によって不具合を生じる場合がある。
【0004】
そこで、特許文献1に示すように、冷却ファンと外装カバーとの間に導電性でかつグランドレベルに接続された線バネを設置し、上記静電気を冷却ファンに到達する前にアースする方法が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−69319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すように線バネを設置する場合には、線バネを設置する以前には存在しなかった部品が1点増えることとなる。
このため、画像形成装置の製造コストの増加及び組立て作業負担の増大を招くこととなる。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、画像形成装置において、製造コストの増加及び作業負担の増大を抑制し、かつ、冷却ファンを静電気から保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、金属製の本体フレーム及び冷却ファンを外装カバーの内部に備える画像形成装置であって、上記本体フレームが、冷却ファンの通風面を露出する開口と、当該開口を跨いで設置される金属製の除電用梁を備えるという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記除電用梁が、上記冷却ファンの通風方向から見て上記冷却ファンが備えるケースの梁に重ねて配置されているという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記本体フレームの上記冷却ファンの設置領域が、当該冷却ファンの設置側と反対側に向けて突出するように絞り加工が施されているという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記本体フレームの一部が、上記冷却ファンを固定するためのスナップフィットとされているという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像形成装置の剛性を確保するために一般的に用いられる金属性の本体フレームに対して、冷却ファンの通風面を露出する開口が設けられると共に、当該開口を跨ぐ除電用梁とが設けられている。
除電用梁は、本体フレームを製造する際に本体フレームの一部を形状変更することで容易に形成することができ、さらに本体フレームの一部として本体フレームを設置することによって同時に配置されることとなる。
このため、本発明によれば、除電用梁を別部品として用意する必要もなく、また除電用梁を取り付ける工程を別に行う必要もない。
そして、ユーザに帯電した静電気は、放電される際に冷却ファンに到達することなく除電用梁に流れる。
したがって、本発明によれば、画像形成装置において、製造コストの増加及び作業負担の増大を抑制し、かつ、冷却ファンを静電気から保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態における画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態における画像形成装置が備える本体フレームの一部を含む斜視図である。
【図3】図2の裏側から見た本体フレームの一部を含む斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態における画像形成装置が備える本体フレームの一部を含む斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態における画像形成装置が備える本体フレームの一部を含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の画像形成装置S1の斜視図である。
本実施形態の画像形成装置S1は、複写機、ファクシミリあるいはプリンタとして用いられるものであり、外装カバー1の内部に、感光体や転写ユニット等の画像を形成するための部品が収容された構成を有している。
【0017】
そして、本実施形態の画像形成装置S1は、図1に示すように、装置内部を冷却するための冷却ファン2を外装カバー1の内部に備えている。
また、外装カバー1に対しては、冷却ファン2の通風面を露出するための開口1aが設けられている。
【0018】
図2は、外装カバー1を取り外した画像形成装置S1の内部を示す拡大斜視図である。
この図に示すように、画像形成装置S1は、外装カバー1の内部であって当該外装カバー1と冷却ファン2との間に、金属製の本体フレーム3が配置されている。
【0019】
本体フレーム3は、画像形成装置S1の剛性を確保するためのプレート状の部材であり、上述の感光体や転写ユニットを直接あるいは間接的に支持する。なお、この本体フレーム3は、画像形成装置S1の側面に沿って配置されており、各側面に沿って配置されることで対向して2枚配置されている。
なお、これらの本体フレーム3は、画像形成装置S1における漏電対策として、接地されている。
【0020】
そして、本実施形態の画像形成装置S1においては、図2に示すように、冷却ファン2が設置される側の本体フレーム3が、冷却ファン2の通風面を露出する開口3aと、当該開口3aを跨いで設置される金属製の除電用梁3bとを備えている。
【0021】
冷却ファン2は、回転駆動されることによって空気流を形成するファンと、当該ファンを囲うと共に吸入開口と吐出開口とが設けられたケースとを有している。
そして、本体フレーム3が備える開口3aは、冷却ファン2の吸入開口よりも広い開口面積を有しており、本実施形態において略正方形に形状設定されている。
なお、図2に示すように、冷却ファン2は、吸入開口が上述の本体フレーム3に設けられた開口3aから露出するように取り付けられている。
【0022】
除電用梁3bは、外装カバー1側からの静電気から冷却ファン2を保護するものであり、本体フレーム3の一部として構成されている。
そして、本実施形態の除電用梁3bは、開口3aの中央部に配置される環状部3cと、当該環状部3cを中心として放射状に配設されると共に環状部3cを支持する条部3dとから構成されている。
このような除電用梁3bは、外装カバー1側から放電された静電気を冷却ファン2に到達させることなく拡散して消失させることによって冷却ファン2を保護する。
【0023】
図3は、冷却ファン2を吐出開口側から見た斜視図である。
この図に示すように、本実施形態の画像形成装置S1においては、本体フレーム3の一部が、冷却ファン2を固定するためのスナップフィット3eとされている。
当該スナップフィット3eは、本体フレーム3の一部を薄肉化させて可撓性を付与して立設し、さらに冷却ファン2を係止する係止爪を先端に設けることによって形成されている。
そして、スナップフィット3eは、図3に示すように、冷却ファン2を囲うように複数配設されている。
【0024】
以上のような本実施形態の画像形成装置S1によれば、画像形成装置S1の剛性を確保するために一般的に用いられる金属性の本体フレーム3に対して、冷却ファン2の通風面を露出する開口3aが設けられると共に、当該開口3aを跨ぐ除電用梁3bとが設けられている。
この除電用梁3bは、本体フレーム3を製造する際に本体フレーム3の一部を形状変更することで容易に形成することができ、さらに本体フレーム3の一部として本体フレーム3を設置することによって同時に配置されることとなる。
このため、本実施形態の画像形成装置S1によれば、除電用梁3bを別部品として用意する必要もなく、また除電用梁3bを取り付ける工程を別に行う必要もない。
そして、ユーザに帯電した静電気は、放電される際に冷却ファン2に到達することなく除電用梁3bに流れる。
したがって、本実施形態の画像形成装置S1によれば、画像形成装置S1において、製造コストの増加及び作業負担の増大を抑制し、かつ、冷却ファン2を静電気から保護することが可能となる。
【0025】
また、本実施形態の画像形成装置S1においては、本体フレーム3の一部が、冷却ファン2を固定するためのスナップフィット3eとされている。
このため、冷却ファン2を容易に設置することが可能となり、冷却ファン2を取り付ける際の作業負担を低減することができる。
また、本体フレーム3の一部が冷却ファン2を固定するためのスナップフィット3eとされていることで、冷却ファン2を別途設置する必要がなくなり、部品点数を削減して画像形成装置S1の製造コストを低減させることができる。
【0026】
また、本実施形態の画像形成装置S1においては、除電用梁3bが、開口3aの中央部に配置される環状部3cと、当該環状部3cを中心として放射状に配設されると共に環状部3cを支持する条部3dとから構成されている。
このため、除電用梁3bを全て条部とする場合よりも、剛性が低下する長尺部分を減少させることができ、除電用梁3bの強度を向上させることができる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0028】
図4は、本実施形態の画像形成装置が備える本体フレーム3Aの斜視図である。
冷却ファン2のケースは、剛性を向上させるための吸入開口に跨って形成される梁2aが設けられている。
そして、図4に示すように、本実施形態の画像形成装置が備える本体フレーム3Aに設けられる除電用梁3bAは、条部3dAが冷却ファン2の通風方向から見て冷却ファン2が備えるケースの梁2aに重ねて配置されている。
【0029】
このような構成を有する本実施形態の画像形成装置によれば、除電用梁3bAの条部3dAが冷却ファン2の通風方向から見て冷却ファン2が備えるケースの梁2aに重ねて配置されているため、条部3dAが冷却ファン2に吸入される空気の邪魔となることを防止することができる。
したがって、本実施形態の画像形成装置によれば、開口3aの圧力損失が増大することを防止することができる。
【0030】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明においては、上記第1実施形態あるいは第2実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0031】
図5は、本実施形態の画像形成装置が備える本体フレーム3Bの斜視図である。
本実施形態の画像形成装置が備える本体フレーム3Bは、冷却ファン2の設置領域Rが、冷却ファン2の設置側と反対側(外装カバー1側)に向けて突出するように絞り加工が施されている。
【0032】
絞り加工を行うことなく冷却ファンを設置した場合には、冷却ファンのケースの表面と本体フレームの表面とが面接触することとなるため、本体フレームの僅かな歪みや取り付け誤差によって、冷却ファンの姿勢が正規の位置からずれることとなる。
上述のように、近年の画像形成装置は小型化されていることから、冷却ファン周りのスペースが確保できないことも考えられ、このような場合には、冷却ファンや本体フレームに意図しない応力が作用することも考えられる。
このような応力が作用すると、冷却ファンや本体フレームの寿命が低下してメンテナンスの頻度が増大したり、冷却ファンの設置そのものが困難となることも考えられる。
【0033】
これに対して、本実施形態の画像形成装置によれば、冷却ファン2の設置領域Rが、冷却ファン2の設置側と反対側(外装カバー1側)に向けて突出するように絞り加工が施されているため、冷却ファン2と本体フレーム3Bとの間に隙間を確保することができ、冷却ファン2の姿勢を調節することができる。
したがって、本発明によれば、冷却ファン2設置の際の自由度が増し、冷却ファン2や本体フレーム3Bに対して意図しない応力が作用することを防止することができる。
【0034】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態における除電用梁の形状は、あくまでも一例であり、他の形状を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
S1……画像形成装置、1……外装カバー、2……冷却ファン、2a……梁、3,3A,3B……本体フレーム、3a……開口、3b,3bA……除電用梁、3c……環状部、3d,3dA……条部、3e……スナップフィット、R……冷却ファンの設置領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の本体フレーム及び冷却ファンを外装カバーの内部に備える画像形成装置であって、
前記本体フレームは、冷却ファンの通風面を露出する開口と、当該開口を跨いで設置される金属製の除電用梁とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記除電用梁は、前記冷却ファンの通風方向から見て前記冷却ファンが備えるケースの梁に重ねて配置されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記本体フレームの前記冷却ファンの設置領域は、当該冷却ファンの設置側と反対側に向けて突出するように絞り加工が施されていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記本体フレームの一部は、前記冷却ファンを固定するためのスナップフィットとされていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−160529(P2012−160529A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18217(P2011−18217)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】