説明

画像形成装置

【課題】画像形成開始時に像担持体上の残留トナーを効率よく除去でき、かつ、像担持体のトナー汚れを防止できる画像形成装置を得る。
【解決手段】中間転写ベルト10を停止状態から起動する際、中間転写ベルト10の回転速度の増加と、該ベルト10上の残留トナーを除去するクリーニングブラシ32へのクリーニング電流値の増加を揃えるように、クリーニング電流値の増加、又は、中間転写ベルト10の回転速度の増加を制御することにより、クリーニングブラシ32に印加される電荷を、クリーニングブラシ32による残留トナーの吸着に必要な電荷下限値より大きく、かつ、中間転写ベルト10の帯電によりベルト10の移動方向下流側でベルト10にトナーを吸着することのない電荷上限値よりも小さく保ち続ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、複写機やプリンタなど電子写真方式による画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式による画像形成装置においては、像担持体として機能する中間転写ベルトに残留したトナーを回収するため、クリーニングブラシが用いられている。この種のクリーニング機構では、中間転写ベルトが回転を開始する際に該ベルトに付着しているトナーがクリーニングブラシをすり抜けて画像転写部に搬送されてしまうという不具合を有していた。そこで、従来は、中間転写ベルトを回転させる時間を長くとり、汚れ(すり抜けたトナー)を画像形成領域の外へ搬送することで、画像汚れが生じないように制御していた。
【0003】
しかし、このような制御では、中間転写ベルトを画像形成開始時に余分に回転させるため、1枚目の画像形成に要する時間(以下、ファーストコピー時間と記す)が長くなってしまうという問題点を有し、また、中間転写ベルトの寿命も短くなる。
【0004】
一方、特許文献1には、像担持体上の在留トナーを帯電させるための固定ブラシと、該固定ブラシの下流側にクリーニング用の回転ブラシを備えた構成において、像担持体の駆動開始時に、固定ブラシ付近に溜まったトナーが多量に排出されるため、下流側の回転ブラシでは回収できないことに鑑み、像担持体の駆動開始から所定時間は回転ブラシに印加する電圧を高く設定するようにした画像形成装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、2次転写ローラのクリーニングのため、2次転写ローラに逆バイアスを印加し、残留トナーを中間転写ベルトへ移動させる構成において、ベルトの停止時に2次転写ローラのニップ部は加圧されているために高いクリーニング電流を必要とすることに鑑み、中間転写ベルトの回転開始から前記ニップ部が通過するまでの速度を定常回転時の6割以下とし、クリーニング性能を確保するようにした画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−139869号公報
【特許文献2】特開2007−334230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、画像形成開始時に像担持体上の残留トナーを効率よく除去でき、かつ、像担持体のトナー汚れを防止できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の形態である画像形成装置は、
トナー画像を保持して搬送する像担持体と、
前記像担持体を一方向に移動させる駆動手段と、
前記像担持体上のトナーを回収するクリーニング手段と、
前記像担持体上のトナーを前記クリーニング手段へ吸着させる電流を該クリーニング手段へ供給するクリーニング電流供給手段と、
前記駆動手段が回転を開始してから前記像担持体が目標速度に到達するまでの間は、該像担持体の速度に応じてクリーニング電流を増加させることで前記クリーニング手段に印加される電荷を該クリーニング手段による前記像担持体上のトナーの吸着に必要な電荷より大きく、かつ、前記クリーニング手段による前記像担持体の帯電にて該クリーニング手段より移動方向下流側で該像担持体にトナーを吸着することのない電荷より小さく、保ち続ける制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
第1の形態である画像形成装置においては、像担持体の駆動開始から目標速度に到達するまでの間は、クリーニング手段に供給する電流値を目標速度時に供給する電流値よりも低くすることで、駆動開始時に像担持体の電荷の増大によって像担持体にトナーなどが付着してしまうトナー汚れが防止される。また、その間にクリーニング手段に供給する電流値を像担持体の速度に応じて増加させることで、クリーニング性能が確保される。
【0010】
本発明の第2の形態である画像形成装置は、
トナー画像を保持して搬送する像担持体と、
前記像担持体を一方向に移動させる駆動手段と、
前記像担持体上のトナーを回収するクリーニング手段と、
前記像担持体上のトナーを前記クリーニング手段へ吸着させる電流を該クリーニング手段へ供給するクリーニング電流供給手段と、
前記クリーニング電流供給手段が電流の供給を開始してからクリーニング電流が目標電流値に到達するまでの間は、クリーニング電流の電流値に応じて前記像担持体の速度を増加させることで前記クリーニング手段に印加される電荷を該クリーニング手段による前記像担持体上のトナーの吸着に必要な電荷より大きく、かつ、前記クリーニング手段による前記像担持体の帯電にて該クリーニング手段より移動方向下流側で該像担持体にトナーを吸着することのない電荷より小さく、保ち続ける制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
第2の形態である画像形成装置においては、クリーニング電流が目標電流値に到達するまでの間は、像担持体の速度を目標速度よりも低く設定することで、電荷が不足することによるクリーニング性能の低下を補償する。また、その間に像担持体の速度をクリーニング電流値の上昇に応じて増加させることで、電荷の増大によって像担持体上にトナーなどが付着してしまうトナー汚れが防止される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像形成開始時に像担持体上の残留トナーを効率よく除去でき、かつ、像担持体のトナー汚れを防止できる。また、ファーストコピー時間の短縮化に寄与し、中間転写ベルトの寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明が適用される画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】前記画像形成装置の要部(クリーニング機構)を示す構成図である。
【図3】第1制御例を示すチャート図である。
【図4】第1制御例を示すフローチャート図である。
【図5】第2制御例を示すチャート図である。
【図6】第2制御例を示すフローチャート図である。
【図7】第3制御例を示すチャート図である。
【図8】第3制御例を示すフローチャート図である。
【図9】第4制御例を示すチャート図である。
【図10】第4制御例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各図において同じ部材、部分に関しては共通する符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
(画像形成装置の概略構成、図1参照)
一実施例である画像形成装置は、図1に示すように、タンデム方式のカラー画像形成装置として構成され、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各画像を形成するための作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが中間転写ベルト10の直下に並置されている。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは感光体ドラム2を中心に現像器3などを配置した周知の構成を有している。中間転写ベルト10は、支持ローラ11,12に無端状に張り渡され、駆動モータ13によって矢印a方向に回転駆動される。各感光体ドラム2上に形成されたトナー画像は順次中間転写ベルト10上に1次転写されてカラー画像に合成される。
【0016】
用紙は図示しない給紙トレイに積載されており、ピックアップローラ21、給紙ローラ対22によって1枚ずつ給紙され、搬送ローラ対23、タイミングローラ対24を経て中間転写ベルト10と2次転写ローラ25とのニップ部を通過することにより、前記カラー画像が中間転写ベルト10から2次転写される。その後、用紙は定着ユニット26に搬送されてトナーの加熱定着を施され、排出ローラ対27から図示しないトレイ上に排出される。また、画像形成装置はCPU14によって制御され、CPU14は以下に説明するクリーニング機構30をも制御する。
【0017】
(クリーニング機構、図2参照)
中間転写ベルト10上から残留トナーを除去するため、図2に示すように、支持ローラ11の周囲にクリーニング機構30が設けられている。クリーニング機構30としては、回転方向aの上流側から、プレ帯電ブラシ31、クリーニングブラシ32、回収ローラ33、スクレーパ34、フィルミング除去部材35が配置されている。
【0018】
プレ帯電ブラシ31は、中間転写ベルト10に接触しており、電源36から負極性の電圧が印加され、中間転写ベルト10上の残留トナーをクリーニングの前に予め負極性に帯電させる。ちなみに、本画像形成装置において、トナーは負極性に帯電されたものが使用されている。しかし、残留トナーには帯電が不十分なものが混在しているため、予めトナーを負極性に確実に帯電させておく。
【0019】
クリーニングブラシ32は、中間転写ベルト10に接触した状態で該ベルト10とは対向面で逆方向に回転駆動される。回収ローラ33は、クリーニングブラシ32に接触した状態で該ブラシ32とは対向面で同方向に回転駆動される。回収ローラ33に対しては電源37から正極性の電圧が印加される。クリーニングブラシ32は回収ローラ33を介して正極性の電荷が印加される。それゆえ、クリーニングブラシ32は負極性にプレ帯電されたトナーを中間転写ベルト10上から吸着することにより除去する。さらに、クリーニングブラシ32は中間転写ベルト10とは逆方向に回転することにより、静電的な吸着作用に加えて、物理的な掻き取り作用で残留トナーを除去する。クリーニングブラシ32に吸着されたトナーは、より高電荷を有する回収ローラ33に転写され、さらにスクレーパ34によって掻き取られ、ボックス38内に捕集される。
【0020】
フィルミング除去部材35はクリーニング機構30の最下流側において中間転写ベルト10に所定の圧力で接触した状態で配置され、中間転写ベルト10上に残留したトナーの添加物などをベルト10の表面から除去し、ベルト10の表面に固着することを防止する。また、フィルミング除去部材35は、クリーニングブラシ32をすり抜けた残留トナーを掻き取る役割も果たしている。
【0021】
前記クリーニングブラシ32に残留トナーを吸着させるためには、クリーニングブラシ32及び中間転写ベルト10に印加される電荷[c]が所定値以上であることが求められる。印加される電荷[c]は、クリーニングブラシ32に供給されるクリーニング電流Aと、クリーニングブラシ32と中間転写ベルト10とのニップ部を通過する時間t[sec]との積Q[c]で表わされる。印加される電荷Q[c]が小さいと、残留トナーをクリーニングブラシ32に引き寄せるクーロン力が不足するため、電荷Q[c]はトナーを除去するために必要な最下限の電荷Qmin[c]以上であることが条件となる。
【0022】
一方、クリーニングブラシ32及び中間転写ベルト10に印加される電荷[c]が大きすぎると、中間転写ベルト10が正極性に帯電し、帯電箇所がクリーニングブラシ32の下流側に配置されているフィルミング除去部材35を通過する際、フィルミング除去部材35に堆積したトナーやその添加物を吸着し、中間転写ベルト10の表面にトナー汚れを生じてしまう。従って、電荷Q[c]は残留トナーなどを中間転写ベルト10に再付着させることのない、最上限の電荷Qmax[c]未満であることが条件となる。
【0023】
また、中間転写ベルト10に印加される電荷Q[c]は、
Q[c]=I[A]×{D[mm]/V[mm/s]} …式(1)
で表わされる。
I[A]:クリーニング電流
D[mm]:中間転写ベルトとクリーニングブラシとのニップ部の幅寸法
V[mm/s]:中間転写ベルトの移動(回転)速度
【0024】
通常、クリーニングブラシ32に印加する電流I[A]は、中間転写ベルト10の定常回転速度(目標速度)における適正な電荷を印加する電流値に設定する。しかし、前記式(1)のとおり、電流値I[A]が固定値であれば、速度V[mm/s]が低い状態であるほど、電荷Q[c]は大きくなってしまう。
【0025】
画像形成開始時には、即ち、中間転写ベルト10を停止状態から起動する際には、駆動モータが回転を開始した直後の低速状態でクリーニングブラシ32を通過したベルト箇所には、電荷が過剰な状態となり、フィルミング除去部材35に堆積しているトナーなどが再付着される。それゆえ、中間転写ベルト10を停止状態から起動する際において、中間転写ベルト10に印加される電荷を、下限値Qmin以上であって上限値Qmax未満の範囲に収めることにより、中間転写ベルト10の汚れを防止することができる。
【0026】
具体的には、前記式(1)において、I[A]/V[mm/s]の値(比率)を安定させることにより電荷Q[c]を安定化させる。つまり、中間転写ベルト10の回転速度の上昇に応じてクリーニング電流を増加させる。または、クリーニング電流の電流値の増加に応じて中間転写ベルト10の回転速度を増加させる。
【0027】
(第1制御例、図3及び図4参照)
第1制御例は、中間転写ベルト10の回転速度の上昇に応じてクリーニング電流を増加させるもので、以下に説明する第2制御例も同様である。
【0028】
図3に、中間転写ベルト10の回転周速度V[mm/s]とクリーニングブラシ32に印加する電流値I[μA]との関係を示す。図3の上段のグラフは、中間転写ベルト10を停止状態から起動したときから時間t[ms]が経過する状態を示しており、駆動モータ13としてDCブラシレスモータを用いる場合、起動時の速度は概ねリニアに加速する。図3の下段のグラフは、モータ13の立ち上げ特性に基づいて、クリーニング電流を予め決められたタイミングで、予め決められた電流値に増加させた場合を示す。
【0029】
一点鎖線のラインL1は電荷量の下限値の推移を示し、一点鎖線のラインL2は電荷量の上限値の推移を示している。電荷量は前記式(1)で示されるため、速度vをα・t、電荷最上限をQmax、電荷最下限をQminとすると、上限の電流値を示すラインL2は、
i=(Qmax・α/D)・t
下限の電流値を示すラインL1は、
i=(Qmin・α/D)・t
で表わされる。
【0030】
モータ13の起動時において、電流値の推移が前記2本のラインL1,L2の間に収まるように制御することで、電荷の安定性を図り、トナー汚れの防止とクリーニング性能を確保することができる。図3に示す第1制御例では、電流値を3段階に分けて増加させている。電荷量の上限値と下限値の差が小さい場合には、電圧値を切り替える回数を多くすれば、電流値がラインL1,L2の間に収まるように制御することが可能である。
【0031】
以上の制御は図4に示す手順によって実行することができる。まず、クリーニング電流I0[μA]を供給し(ステップS1)、モータ13を起動する(ステップS2)。同時に、タイマを時間T1[ms]にセットし(ステップS3)、該タイマが時間T1[ms]をカウントすると(ステップS4でYES、なお、カウントアップまではタイマを減算していく(ステップS5))、クリーニング電流をI1[μA]に切り替える(ステップS6)。同時に、タイマを時間T2−T1[ms]にセットし(ステップS7)、該タイマが時間T2−T1[ms]をカウントすると(ステップS8でYES、なお、カウントアップまではタイマを減算していく(ステップS9))、クリーニング電流をI2[μA]に切り替える(ステップS10)。
【0032】
(第2制御例、図5及び図6参照)
図5に、中間転写ベルト10の回転周速度V[mm/s]とクリーニングブラシ32に印加する電流値I[μA]との関係を示す。図5の上段のグラフは、中間転写ベルト10を停止状態から起動したときから時間t[ms]が経過する状態を示しており、駆動モータ13としてDCブラシレスモータを用いる場合、起動時の速度は概ねリニアに加速する。しかし、モータ13の特性のばらつきや負荷のばらつきによって定常状態になるまでの時間は、ラインN1,N2の範囲でばらつく。よって、中間転写ベルト10の回転速度を検出するセンサ15(図2参照)を設け、検出された速度に基づいてクリーニング電流の値を切り替える。
【0033】
図5の下段のグラフは、図3の下段のグラフと同様に、クリーニング電流を予め決められたタイミングで、予め決められた電流値に増加させた場合を示す。この第2制御例においても、モータ13の起動時に、電流値の推移が2本のラインL1,L2の間に収まるように制御することで、電荷の安定性を図り、クリーニング性能を確保し、トナー汚れを防止することができる。
【0034】
以上の制御は図6に示す手順によって実行することができる。まず、クリーニング電流I0[μA]を供給し(ステップS11)、モータ13を起動する(ステップS12)。前記センサ15が中間転写ベルト10の速度vを検出し(ステップS13)、速度vがV1に到達すると(ステップS14でYES)、クリーニング電流をI1[μA]に切り替える(ステップS15)。センサ15はさらに速度vの検出を継続し(ステップS16)、速度vがV2に到達すると(ステップS17でYES)、クリーニング電流をI2[μA]に切り替える(ステップS18)。
【0035】
(第3制御例、図7及び図8参照)
第3制御例は、クリーニング電流の電流値の増加に応じて中間転写ベルト10の回転速度を増加させるもので、以下に説明する第4制御例も同様である。
【0036】
図7に、クリーニングブラシ32に印加する電流値I[μA]と中間転写ベルト10の回転周速度V[mm/s]との関係を示す。図7の上段のグラフは、クリーニング電流を立ち上げたときから時間t[ms]が経過する電流値の状態を示しており、該電流値は時間の経過とともになだらかに増加する。図7の下段のグラフは、クリーニング電流の立ち上げ特性に基づいて、中間転写ベルト10の速度を予め決められたタイミングで、予め決められた速度に増加させた場合を示す。
【0037】
一点鎖線のラインL3は速度の下限値の推移を示し、一点鎖線のラインL4は速度の上限値の推移を示している。電荷量は前記式(1)で示され、電流値iは以下の式(2)で示される。
i=I・(1−e(-t/τ)) …式(2)
【0038】
τは時定数であり、電荷最上限をQmax、電荷最下限をQminとすると、上限の速度を示すラインL4は、
v=I・D/Qmax・(1−e(-t/τ)
下限の速度を示すラインL3は、
v=I・D/Qmin・(1−e(-t/τ)
で表わされる。
【0039】
クリーニング電流の立ち上げ時において、中間転写ベルト10の速度の推移が前記2本のラインL3,L4の間に収まるように制御することで、電荷の安定性を図り、クリーニング性能を補償することとトナー汚れを防止することができる。図7に示す第3制御例では、速度を3段階に分けて増加させている。電荷量の上限値と下限値の差が小さい場合には、速度を切り替える回数を多くすれば、速度がラインL3,L4の間に収まるように制御することが可能である。
【0040】
以上の制御は図8に示す手順によって実行することができる。まず、所定値のクリーニング電流を供給し(ステップS21)、中間転写ベルト10を速度V0[mm/s]で起動する(ステップS22)。同時に、タイマを時間T1[ms]にセットし(ステップS23)、該タイマが時間T1[ms]をカウントすると(ステップS24でYES、なお、カウントアップまではタイマを減算していく(ステップS25))、速度をV1[mm/s]に切り替える(ステップS26)。同時に、タイマを時間T2−T1[ms]にセットし(ステップS27)、該タイマが時間T2−T1[ms]をカウントすると(ステップS28でYES、なお、カウントアップまではタイマを減算していく(ステップS29))、速度をV2[mm/s]に切り替える(ステップS30)。
【0041】
(第4制御例、図9及び図10参照)
図9に、クリーニングブラシ32に印加する電流値I[μA]と中間転写ベルト10の回転周速度V[mm/s]との関係を示す。図9の上段のグラフは、クリーニング電流を立ち上げたときから時間t[ms]が経過する電流値の状態を示しており、該電流値は時間の経過とともになだらかに増加する。しかし、電源の特性のばらつき、クリーニングブラシ32や中間転写ベルト10の抵抗値などのばらつきによって電流値が定常状態になるまでの時間は、ラインN3,N4の範囲でばらつく。よって、クリーニング電流検出器39(図2参照)を設け、検出された電流値に基づいて中間転写ベルト10の回転速度を切り替える。
【0042】
図9の下段のグラフは、図7の下段のグラフと同様に、中間転写ベルト10の速度を予め決められたタイミングで、予め決められた速度に増加させた場合を示す。この第4制御例においても、クリーニング電流の立ち上げ時に、速度の推移が2本のラインL3,L4の間に収まるように制御することで、電荷の安定性を図り、クリーニング性能を補償し、トナー汚れを防止することができる。
【0043】
以上の制御は図10に示す手順によって実行することができる。まず、所定値のクリーニング電流を供給し(ステップS31)、中間転写ベルト10を速度V0[mm/s]で起動する(ステップS32)。前記検出器39がクリーニング電流iを検出し(ステップS33)、電流iがi1に到達すると(ステップS34でYES)、速度をV1[mm/s]に切り替える(ステップS35)。検出器39はさらに電流iの検出を継続し(ステップS36)、電流iがi2に到達すると(ステップS37でYES)、速度をV2[mm/s]に切り替える(ステップS38)。
【0044】
(他の実施例)
なお、本発明に係る画像形成装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0045】
特に、カラー画像形成装置ではなく、モノクロ画像形成装置であってもよく、画像形成装置の細部の構成は任意である。また、クリーニング機構を構成するブラシやローラ、電源などの詳細は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、画像形成開始時に像担持体上の残留トナーを効率よく除去でき、像担持体のトナー汚れを防止できる点で優れている。
【符号の説明】
【0047】
10…中間転写ベルト(像担持体)
13…駆動モータ
14…CPU
15…速度検出センサ
30…クリーニング機構
31…プレ帯電ブラシ
32…クリーニングブラシ
33…回収ローラ
34…スクレーパ
35…フィルミング除去部材
36,37…電源
39…電流検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像を保持して搬送する像担持体と、
前記像担持体を一方向に移動させる駆動手段と、
前記像担持体上のトナーを回収するクリーニング手段と、
前記像担持体上のトナーを前記クリーニング手段へ吸着させる電流を該クリーニング手段へ供給するクリーニング電流供給手段と、
前記駆動手段が回転を開始してから前記像担持体が目標速度に到達するまでの間は、該像担持体の速度に応じてクリーニング電流を増加させることで前記クリーニング手段に印加される電荷を該クリーニング手段による前記像担持体上のトナーの吸着に必要な電荷より大きく、かつ、前記クリーニング手段による前記像担持体の帯電にて該クリーニング手段より移動方向下流側で該像担持体にトナーを吸着することのない電荷より小さく、保ち続ける制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記駆動手段の立ち上げ特性に基づいて、クリーニング電流を予め決められたタイミングで、予め決められた電流値に増加させること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体の速度を検出する速度検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記速度検出手段により検出した速度に基づいて前記クリーニング手段に供給する電流値を決定すること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナー画像を保持して搬送する像担持体と、
前記像担持体を一方向に移動させる駆動手段と、
前記像担持体上のトナーを回収するクリーニング手段と、
前記像担持体上のトナーを前記クリーニング手段へ吸着させる電流を該クリーニング手段へ供給するクリーニング電流供給手段と、
前記クリーニング電流供給手段が電流の供給を開始してからクリーニング電流が目標電流値に到達するまでの間は、クリーニング電流の電流値に応じて前記像担持体の速度を増加させることで前記クリーニング手段に印加される電荷を該クリーニング手段による前記像担持体上のトナーの吸着に必要な電荷より大きく、かつ、前記クリーニング手段による前記像担持体の帯電にて該クリーニング手段より移動方向下流側で該像担持体にトナーを吸着することのない電荷より小さく、保ち続ける制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記クリーニング電流供給手段の電流立ち上げ特性に基づいて、前記像担持体の速度を予め決められたタイミングで、予め決められた速度に増加させること、を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
クリーニング電流を検出するクリーニング電流検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記クリーニング電流検出手段により検出した電流値に基づいて前記像担持体の速度を決定すること、を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記クリーニング手段は、前記像担持体に接触するクリーニングブラシと、該クリーニングブラシに接触する回収ローラと、該回収ローラに接触するスクレーパとからなること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記クリーニング手段より移動方向上流側に配置され、前記像担持体に接触してトナーを所定の極性に帯電させるプレ帯電手段をさらに備えたこと、を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記クリーニング手段より移動方向下流側に配置され、前記像担持体に接触してトナーのフィルミングを除去するフィルミング除去手段をさらに備えたこと、を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−168315(P2012−168315A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28421(P2011−28421)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】