説明

画像形成装置

【課題】画像モードが混載する場合でも画像モード切り替え時の不具合を防止し画像形成ユニットの寿命と生産性を向上させる。
【解決手段】カラートナーを用いるカラー画像形成ユニット12a〜12c、黒トナーを用いる黒画像形成ユニット12e、異種トナーを用いる異種トナー画像形成ユニット12dを備える。接離装置60は中間転写ベルト7からカラー画像形成ユニットおよび異種トナー画像形成ユニットを離間する第1の離間動作、中間転写ベルトからカラー画像形成ユニットを離間する第2の離間動作をなす。制御手段70は、5色モードから黒色モード、黒トナーと異種トナーを使用する特殊モノクロモードに移行するに際して、移行後モードにおける印刷枚数に応じて接離装置60の動作を制御し、移行後のモードにおいて印刷枚数が少ない場合は、第1または第2の離間動作をすることなく移行後のモードで印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に係り、特に黒色トナーを用いるモノクロモード、黒色トナーおよびカラートナーを用いるカラーモードに加えて、さらに他の種類のトナーを用いるモードを備える電子写真式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターや複写機等の画像形成装置では、カラー画像を高速で高画質に形成することを目的として、いわゆるフルカラータンデム方式のものが広く使われている。
【0003】
このような画像形成装置では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニットを並列に配置し、これらの各画像形成ユニットで順次形成されるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナー像を、中間転写体である中間転写ベルト上に一次転写して重ね合わせた後、この中間転写ベルトから転写紙上に一括して二次転写し、この転写紙上に形成されたトナー像を定着することによって、フルカラーや白黒の画像を形成する。
【0004】
そして、フルカラーのタンデム機では、複数色を用いたフルカラーモードと、黒単色の白黒モードとが選択的に用いられる場合が多い。ここで、例えば白黒モードを実行する場合、イエロー、マゼンタ、シアンは画像形成に用いられないが、これらの各色の感光体と中間転写体とが接触するから、これらの色の画像形成ユニットを動作させておく必要があり、動作させることでこれらの画像形成ユニットの寿命は低下する。
【0005】
そこで、従来、白黒モードなど特定の色のみの作像を実行するときに、画像形成に用いられない色の感光体ドラムから中間転写ベルトを離間させる離間機構を備えた画像形成装置がある(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0006】
一方、近年の画像形成装置では、上述したイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色だけでは表現が困難または不可能であった画像を、さらに1台の画像形成ユニットを追加して、5色目のトナー像を作像することで形成する技術が検討されている。5色目のトナー像に用いられるトナーは例えば、特定ユーザー専用のコーポレートカラー等に用いる赤や青などの特色トナー、白色ではない媒体に用いる白色トナー、点字用の発泡トナー、蛍光色トナー、光沢を向上させる透明トナー、強磁性トナー等があげられる。
【0007】
このイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に加え、上記5色目の画像形成ユニットを用いて画像形成を行う際には、上述したタンデム方式の場合には、この5つ目の画像形成ユニットを、通常の4色の画像形成ユニットに並べて配置することが必要となる。
【0008】
ここで、従来のフルカラー機における、フルカラーモードと白黒モードの選択のように、5色目を通常の4色に加えたカラー画像形成装置においても、ユーザーによりそのモードの選択がなされる。
【0009】
この5つ目の画像形成ユニットを用いた場合のモードの選択としては、5色目を加えた5色モード(5色目+Y,M,C,K色)と、通常の白黒モード(K色のみ)と、通常の白黒モードに5色目を加えた特殊モノクロモード(5色目+K色)とを選択するものが候補となる。
【0010】
この際、画像形成に用いられない画像形成ユニットの寿命低下を防止するため、上述の通常の4色フルカラータンデム機のように、画像形成に用いられない感光体ドラムから中間転写ベルトを離間させる構成とする提案がなされている(例えば特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、印刷ジョブに5色モードを必要とする原稿、特殊モノクロモードを必要とする原稿、白黒原稿が混在する場合は、ジョブ中に中間転写ベルトと感光体ドラムとの接触状態を切り替える必要があり、その結果、切り替え動作中または切り替え動作直後に画像形成動作を開始すると、切り替え動作によって中間転写ベルトが振動することに起因する不具合、例えば、色ずれやピッチむらなどの画像欠陥が生じることとなる。
【0012】
一方、この不具合を防止するために、中間転写ベルトの振動が完全に収まった後に画像形成動作を開始するのでは、生産性が著しく損なわれることになる。
【0013】
そこで、本発明は、上述のように画像モードが混載する印刷ジョブであっても、画像モード切り替え時の不具合を防止するとともに、画像形成ユニットの寿命と生産性を最大限向上させることのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決する請求項1の発明は、黒色トナーによるトナー像を形成する黒像像担持体と、カラー画像を形成するための有色トナーによる有色トナー像をそれぞれ形成するカラー像担持体と、前記黒色トナーおよび前記有色トナーとは異なる種類、すなわち異種トナーによるトナー像を形成する異種トナー像像担持体と、前記黒像担持体、カラー像担持体および異種トナー像担持体にそれぞれ対向するとともに、前記黒像担持体上に形成されたトナー像と前記複数のカラー像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像と前記異種トナー像担持体上に形成されたトナー像とを重ねて転写するための被転写体と、を備え記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、前記被転写体に対して前記複数のカラー像担持体および前記異種トナー像担持体を相対的に離間させる第1の離間動作と、前記被転写体に対して前記カラー像担持体を相対的に離間させる第2の離間動作と、をなす離間装置と、記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記黒像担持体上に形成されたトナー像と前記複数のカラー像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像と前記特殊トナー担持体上に形成されたトナー像とをすべて前記被転写体に重ねて転写する特殊カラー画像モードから、前記黒像担持体上に形成されたトナー像のみを前記被転写体に転写するモノクロ画像モードへの切り替えが行われるとき、または、記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから、前記黒像担持体上に形成されたトナー像と前記異種トナー像担持体上に形成されたトナー像とを前記被転写体に重ねて転写する特殊モノクロ画像モードへの切り替えが行われるとき、前記モノクロ画像モードまたは前記特殊モノクロ画像モードによって連続通紙される記録媒体の枚数に基づいて前記離間装置に前記第1の離間動作および前記第2の離間動作を行わせる制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0015】
同じく請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから前記モノクロ画像モードまたは前記特殊モノクロ画像モードへの切り替えが行われるときに、前記モノクロ画像モードまたは前記特殊モノクロ画像モードによって連続通紙される記録媒体の枚数が所定の閾値に達した後に、前記第1の離間動作または前記第2の離間動作を行うように制御することを特徴とする。
【0016】
同じく請求項3の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記所定の閾値は、ゼロまたは任意の自然数に可変して設定できるように構成されたことを特徴とする。
【0017】
同じく請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから前記モノクロ画像モードへの切り替えが行われていて、前記第1の離間動作が行われていないときに、前記異種トナー像担持体上に形成された潜像を現像するための現像部の駆動と、前記複数のカラー像担持体上に形成された潜像をそれぞれ現像するための現像部の駆動と、を停止することを特徴とする。
【0018】
同じく請求項5の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記異種トナー像担持体の現像部と前記複数のカラー像担持体の現像部の駆動が停止されたときに、前記異種トナー像担持体上の未転写トナーをクリーニングするために前記異種トナー像担持体に当接するクリーニングブレードを前記異種トナー像担持体から離間するとともに、前記複数のカラー像担持体上の未転写トナーをそれぞれクリーニングするために前記複数のカラー像担持体にそれぞれ当接する複数のクリーニングブレードを前記複数のカラー像担持体から離間することを特徴とする。
【0019】
同じく請求項6の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから前記特殊モノクロ画像モードへの切り替えが行われていて、前記第2の離間動作が行われていないときに、前記複数のカラー像担持体上に形成された潜像をそれぞれ現像するための複数の現像部の駆動を停止することを特徴とする。
【0020】
同じく請求項7の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記複数の現像部の駆動が停止されたときに、前記複数のカラー像担持体上の未転写トナーをそれぞれクリーニングするために前記複数のカラー像担持体にそれぞれ当接する複数のクリーニングブレードを前記複数のカラー像担持体から離間することを特徴とする。
【0021】
同じく請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記黒像担持体は、前記被転写体の走行方向の最下流側に配置され、前記異種トナー像担持体は、前記被転写体の走行方向の下流から2番目に配設されたことを特徴とする。
【0022】
同じく請求項9の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから前記特殊モノクロ画像モードへの切り替えが行われるときに、前記黒像担持体上に形成された黒色トナーによるトナー像が前記被転写体に転写された後に、前記第2の離間動作を行うことを特徴とする。
【0023】
同じく請求項10の発明は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記離間装置は、前記被転写体に対して前記黒像担持体を相対的に接離する黒像担持体接離機構と、前記被転写体に対して前記複数のカラー像担持体を相対的に接離するカラー像担持体接離機構と、前記被転写体に対して前記異種トナー像担持体を相対的に接離する異種トナー像担持体接離機構と、を備えるものであり、前記第1の離間動作は、前記カラー像担持体接離機構と前記異種トナー像担持体接離機構とを動作させ、前記第2の離間動作は、前記カラー像担持体接離機構を動作させるものであることを特徴とする。
【0024】
同じく請求項11の発明は、請求項1から請求項10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記特殊トナーは、透明トナーまたは白色トナーであることを特徴とする。
【0025】
同じく請求項12の発明は、請求項1から請求項10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記カラー画像を形成するための前記有色トナーは、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のトナーであって、前記異種トナーは、前記黒色トナーと前記3色のトナーとは異なる有色トナーであることを特徴とする。
【0026】
同じく請求項13の発明は、請求項1から請求項12のいずれかに記載の画像形成装置において、前記被転写体は、前記黒像担持体と前記複数のカラー像担持体と前記異種トナー像担持体とがそれぞれ対向するように並設された中間転写ベルトであって、前記中間転写ベルトに1次転写されたトナー像を記録媒体に2次転写する2次転写部材をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、画像モードが混載する印刷ジョブであっても、画像モード切り替え時の不具合を防止するとともに、画像形成ユニットの寿命と生産性を最大限向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例に係る画像形成装置における画像形成部の構成を示す概略構成図である。
【図2】同じく画像形成装置の中間転写部の接離状態(全当接状態)を示す説明図である。
【図3】同じく画像形成装置の間転写部接離状態(第2の離間動作時)を示す説明図である。
【図4】同じく画像形成装置の中間転写部接離状態(第1の離間動作時)を示す説明図である。
【図5】同じく画像形成装置の中間転写部接離状態(全離間状態)を示す説明図である。
【図6】同じく画像形成装置のモード切り替え時の接離動作を示すフローチャートである。
【図7】同じく画像形成装置の特殊モノクロ原稿と5色原稿が混載した原稿を印刷する際の動作時間を示すグラフである。
【図8】同じく画像形成装置の特殊モノクロ原稿と5色原稿が混載した原稿を印刷する際に1枚あたりに掛かる画像形成ユニットの駆動時間を示すグラフである。
【図9】同じく画像形成装置のモード切り替え時の接離動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施形態に係る画像形成装置は、黒色トナーによるトナー像を形成する黒像像担持体と、カラー画像を形成するための有色トナーによる有色トナー像をそれぞれ形成するカラー像担持体と、前記黒色トナーおよび前記有色トナーとは異なる種類のトナー(以下、異種トナー)によるトナー像を形成する異種トナー像像担持体と、前記黒像担持体、カラー像担持体および異種トナー像担持体にそれぞれ対向するとともに、前記黒像担持体上に形成されたトナー像と前記複数のカラー像担持体にそれぞれ形成されたトナー像と前記異種トナー像担持体に形成されたトナー像とを重ねて転写するための被転写体と、を備え記録媒体に画像を形成する。
【0030】
また画像形成装置は、前記被転写体に対して前記複数のカラー像担持体および前記異種トナー像担持体を相対的に離間させる第1の離間動作と、前記被転写体に対して前記カラー像担持体を相対的に離間させる第2の離間動作と、をなす離間装置を備える。この離間装置は制御手段で制御される。
【0031】
そして、この制御手段は、記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記黒像担持体上に形成されたトナー像と前記複数のカラー像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像と前記特殊トナー担持体上に形成されたトナー像とをすべて前記被転写体に重ねて転写する特殊カラー画像モードから、前記黒像担持体上に形成されたトナー像のみを前記被転写体に転写するモノクロ画像モードへの切り替えが行われるとき、または、記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから、前記黒像担持体上に形成されたトナー像と前記異種トナー像担持体上に形成されたトナー像とを前記被転写体に重ねて転写する特殊モノクロ画像モードへの切り替えが行われるとき、前記モノクロ画像モードまたは前記特殊モノクロ画像モードによって連続通紙される記録媒体の枚数に基づいて前記離間装置に前記第1の離間動作および前記第2の離間動作を行わせる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例(以下では単に実施例と記載する)に係る画像形成装置について説明する。以下、いくつかの例について説明するが、本発明はこれらに限定されず、かつ本発明の真の趣旨および範囲から逸脱せずに、数多くの改良、変更、変形、置換をなすことおよび応用例を想到することが当業者には可能であろう。
【0033】
以下、実施例に係る画像形成装置を図面に基づいて説明する。図1は実施例に係る画像形成装置における画像形成部の構成を示す概略構成図である。画像形成装は、画像書込部11、画像形成部13に加え、図示しない給紙部、排紙部等を備えて構成される。
【0034】
一般的にタンデムカラープロセスでは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4種類の有色トナーが用いられるが、実施例に係る画像形成装置100は、これらに加えて前記4種のトナー以外の特殊トナーとして透明トナーも用いるものとする。
【0035】
画像形成装置100は、図1に示すように、各色の画像形成ユニット、すなわち5台の画像形成ユニット12a、12b、12c、12d、12eを並列に並べて構成される。画像形成ユニット12a、12b、12c、12d、12eは、それぞれ感光体である像担持体1a、1b、1c、1d、1e、現像装置2a、2b、2c、2d、2e、クリーニング装置4a、4b、4c、4d、4e、帯電装置5a、5b、5c、5d、5e、を備える。また符号6a、6b、6c、6d、6eは画像書込部11からの書込光を示している。ここで、現像装置2a、2b、2c、2dは像担持体1a、1b、1c、1dの回転駆動にかかわらず停止することができる。また、クリーニング装置4a、4b、4c、4d、4eには、像担持体1に接触して像担持体1から残留トナーを除去するクリーニングブレードが配置されており、このクリーニングブレードは必要に応じて像担持体1a、1b、1c、1d、1eから離間できるよう構成される。
【0036】
図1に示した例では、それぞれの画像形成ユニット12a、12b、12c、12d、12e内で帯電、露光、現像の従来公知の電子写真画像形成プロセスが実行される。像担持体1上に形成されたトナー像は、画像形成ユニット12a、12b、12c、12dから順次中間転写ベルト7に一次転写装置3で一旦転写され、次いで二次転写装置8で用紙Pに転写される。さらに用紙Pは搬送装置9によって定着装置10に搬送され、定着装置10によってトナー像は用紙Pに定着される。
【0037】
実施例に係る画像形成装置100では、画像形成ユニット12dにはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の5色目のトナーを用いる(以下、画像形成ユニット12dを異種トナー画像形成ユニット12dと称する)。なお、5色目のトナーとしては、上述した透明トナーの他、白色トナー、YMC以外の有彩色(赤など)トナーなどを用いることができる。
【0038】
また、画像形成ユニット12a、12b、12cには、順にイエロー、マゼンタ、シアンの現像剤が入っている(以下、画像形成ユニット12a、12b、12cをカラー画像形成ユニット12a、12b、12cと称する)。さらに、画像形成ユニット12eにはブラックの現像剤が入っている(以下、画像形成ユニット12eを黒画像形成ユニット12eと称する)。そして、各画像形成ユニットで形成されたそれぞれのトナー像が、中間転写ベルト7上に転写される。ここで、黒画像形成ユニット12eに配置される像担持体1が黒像担持体1e、イエロー、マゼンタ、およびシアンのカラー画像形成ユニット12a、12b、12cにそれぞれ配置される像担持体1がカラー像担持体1a、1b、1c、透明トナーを使用する異種トナー画像形成ユニット12dの像担持体1が異種トナー像担持体1dとなる。
【0039】
ここで、従来のフルカラー機における、フルカラーモードと白黒モードの選択のように、5色目を通常の4色に加えたカラー画像形成装置においても、ユーザーにより動作モードの選択がなされる。
【0040】
この5つ目の画像形成ユニットを用いた場合の動作モードとしては、4色トナーに異種トナーを加えた特殊カラーモードである5色モード(5色目+Y,M,C,K色)と、通常の白黒モード(K色のみ)と、通常の白黒モードに5色目を加えた特殊モノクロモード(5色目+K色)とを選択するものが想定される。
【0041】
従来のフルカラー機では白黒モード時に、カラー画像形成ユニットと中間転写体とを離間させることで、カラー画像形成ユニットの寿命低下と画像劣化を防ぐ。この技術は5つ目の画像形成ユニットを用いる場合においても適用することができる。具体的には、次の通りである。
【0042】
上記特殊モノクロモード時には、カラー画像形成ユニット12a、12b、12cは使用しないので、中間転写ベルト7とカラー画像形成ユニット12a、12b、12cとを離間させる。また、白黒モード時にはカラー画像形成ユニット12a、12b、12cおよび異種トナー画像形成ユニット12dは使用しないので、中間転写ベルト7とカラー画像形成ユニット12a、12b、12cおよび異種トナー画像形成ユニット12dとを離間させる。
【0043】
図2は実施例に係る画像形成装置の中間転写部の接離状態(全当接状態)を示す説明図である。この例では、中間転写ベルト7がすべての画像形成ユニット12a、12b、12c、12d、12eの像担持体1a〜1eに当接して、5色モードが実行される状態を示している。
【0044】
画像形成装置100は、各画像形成ユニット12a、12b、12c、12d、12eの像担持体1a〜1eと中間転写ベルト7との接離を行うための接離装置60を備えている。この接離装置60は、図2に示すように、中間転写ベルト7をカラー画像形成ユニット12a、12b、12cのカラー像担持体1a、1b、1cに対して同時に接離するための揺動アーム20、接離カム21、駆動モータ23、駆動制御部24を備えたカラー像担持体接離機構25と、中間転写ベルト7を異種トナー画像形成ユニット12dに対して接離するための揺動アーム30、接離カム31、駆動モータ33、駆動制御部34を備えた異種トナー像担持体接離機構35と、中間転写ベルト7を黒画像形成ユニット12eに対して接離させるための揺動アーム40、接離カム41、駆動モータ43、駆動制御部44を備えた黒トナー像担持体接離機構45と、を備えて構成されている。
【0045】
また駆動制御部24、駆動制御部34、駆動制御部44は、制御手段70に接続されており、制御手段70は、各種条件に基づいて駆動制御部24、駆動制御部34、駆動制御部44を制御して、カラー像担持体接離機構25、異種トナー像担持体接離機構35、黒トナー像担持体接離機構45の駆動を制御する。また、制御手段70は、画像形成ユニット12a、12b、12c、12dの各現像装置2a、2b、2c、2dの動作の駆動、停止を制御すると共に、各クリーニングブレードの像担持体への接離を制御する。ここで、制御手段70は、画像形成装置100の全体制御をなす装置制御部でその機能を実現できる。
【0046】
制御手段70は、CPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピューターとして構成することができ、ROMに格納したプログラムをCPUで処理することにより制御機能を実現している。制御手段70は、画像形成装置100の入力手段(図示していない)からのオペレーターの指定により、画像形成のモード、枚数に基づいて各部を制御する。
【0047】
接離カム21は、駆動制御部24からの制御信号で駆動制御される駆動モータ23により回転駆動される。また、接離カム31は、駆動制御部34からの制御信号で駆動制御される駆動モータ33により回転駆動される。また、接離カム41は、駆動制御部44からの制御信号で駆動制御される駆動モータ43により回転駆動される。
【0048】
揺動アーム20は、その一端側の揺動支点22を中心として中間転写ユニットフレーム(不図示)に揺動可能に支持されており、他端側には、中間転写ベルト7を張架する支持ローラ50が設けられている。
【0049】
揺動アーム30は、その一端側が、揺動アーム40に設けられた揺動支点32で揺動可能に支持される。ここで、揺動アーム40が揺動するので、この揺動支点32自体も揺動することになる。揺動アーム40はその一端側の揺動支点42を中心として中間転写ユニットフレーム(不図示)に揺動可能に支持されている。
【0050】
次に像担持体接離機構の動作について説明する。図3は、5つの画像形成ユニットのうち、カラー画像形成ユニット12a、12b、12cを中間転写ベルト7から離間させた特殊モノクロモードの状態を示している。図2に示した状態から接離カム21を半回転させることにより、揺動アーム20が揺動支点22を中心として図中下側に揺動し、中間転写ベルト7がカラー画像形成ユニット12a、12b、12c内のカラー像担持体1a、1b、1cから離間する。このとき接離装置60は、第2の離間動作をなしている。
【0051】
この特殊モノクロモードでイエロー、マゼンタ、シアンのカラー画像形成ユニット12a、12b、12cの動作を停止させ、感光体摩耗を防止して、画像形成ユニットの寿命を延ばすことができる。
【0052】
図4は5つの画像形成ユニットのうち、カラー画像形成ユニット12a、12b、12cおよび異種トナー画像形成ユニット12dを中間転写ベルト7から離間させた黒単色モードの状態を示している。図3の状態から接離カム31を半回転させることにより、揺動アーム30が揺動支点32を中心として図中下側に揺動し、中間転写ベルト7が異種トナー画像形成ユニット12d内の異種トナー像担持体1dから離間する。このとき、接離装置60は、第1の離間動作をなしている。
【0053】
この結果、黒単色モードで黒色以外の画像形成ユニットの動作を停止させることが可能となり、感光体摩耗を防止して、画像形成ユニットの寿命を延ばすことができる。
【0054】
また、図5は、すべての画像形成ユニット12a、12b、12c、12d、12eを中間転写ベルト7から離間させた状態を示している。図4の状態から接離カム41を半回転させることにより、揺動アーム40が揺動支点42を中心として図中下側に揺動し、中間転写ベルト7が黒画像形成ユニット12e内の黒像担持体1eから離間する。
【0055】
なお、この動作は印刷ジョブ終了時に行い、機械停止時にすべての画像形成ユニットを中間転写ベルトから離間させるために行う。
【0056】
ここで、印刷ジョブに5色モードを必要とする原稿、特殊モノクロモードを必要とする原稿、白黒原稿が混在する場合は、ジョブ中に中間転写ベルトと感光体ドラムとの接触状態を切り替える必要がある。そして、この切り替え動作にはある程度時間が掛かるため、その分生産性が損なわれることになる。
【0057】
切り替え動作を早く行おうとして、切り替え動作中または切り替え動作直後に画像形成動作を開始すると、切り替え動作によって中間転写ベルトが振動することを原因とする、色ずれやピッチむらなどの画像欠陥による不具合を生じる。
【0058】
また、切り替え動作が、この不具合を防止するために、中間転写ベルトの振動が完全に収まった後に画像形成動作を開始するのでは、生産性がさらに著しく損なわれることになる。そこで以下、これら問題を解決するための具体的動作について説明する。
【0059】
次に制御手段70による接離装置60の制御について説明する。まず、5色モードから特殊モノクロモードへの切り替え動作について説明する。この場合、接離装置60を動作させてカラー画像形成ユニット12a、12b、12cと中間転写ベルト7とを離間するかどうかを、制御手段70は、特殊モノクロモードの連続印刷枚数に応じて制御する。
【0060】
以下、特殊モノクロモードが連続n枚目のときに、カラー画像形成ユニット12a、12b、12cと中間転写ベルト7とを離間させる場合について説明する。なお、nの数値は変更可能とし、0と自然数が相当する。n=0とした場合はカラー画像形成ユニット12a、12b、12cと中間転写ベルト7との離間は行わない。すなわち常にすべての画像形成ユニット12a、12b、12c、12d、12eと中間転写ベルト7は接触させる。逆に、n=1の場合は5色モードを必要とする原稿(以下5色原稿と表記する)の後に特殊モノクロモードで画像形成する原稿(以下特殊モノクロ原稿と表記する)が来たら必ずカラー画像形成ユニット12aと中間転写ベルト7とを離間させる。
【0061】
図6は同一ジョブ内で、5色原稿から特殊モノクロ原稿に切り替えるときの動作を示すフローチャートである。n=0の場合は接離動作を行わないので除外し、フローチャート中のnは自然数が入るものとする。
【0062】
以下、順を追って説明する。
ステップSA1:5色原稿の印刷は、画像形成ユニット12a、12b、12c、12d、12eのすべてが中間転写ベルト7と当接した図2の状態で作像を行う。
ステップSA2:次の原稿が2色原稿である場合はステップSA3に進む。5色原稿の場合はステップSA1を継続する。
ステップSA3:n=1である場合はステップSA4に進む。それ以外(n≧2)の場合はステップSA6に進む。
ステップSA4:図2に示した状態から接離カム21を作動させて、中間転写ベルト7をカラー画像形成ユニット12a、12b、12cから離間し、図3に示した状態にする(第2の離間動作)。
ステップSA5:カラー画像形成ユニット12a、12b、12cの駆動を停止し、異種トナー画像形成ユニット12dおよび黒画像形成ユニット12eで特殊モノクロ原稿の印刷を行う。
ステップSA6:図2に示した状態のまま、特殊モノクロ原稿の印刷を行う。カラー画像形成ユニット12a、12b、12cは白紙作像状態となる。このとき、カラー画像形成ユニット12a、12b、12cの現像装置の動作を停止し、カラー像担持体1a、1b、1cから残留トナーを除去するクリーニングブレードをカラー像担持体1a、1b、1cから離間させる。
ステップSA7:ステップSA6の特殊モノクロ原稿印刷がn−1枚続いた場合はステップSA4に進み、離間動作を行う。まだ連続印刷枚数に達していない場合はステップSA6に戻り、図2に示した状態での特殊モノクロ原稿印刷を継続する。
【0063】
図7は、特殊モノクロ原稿と5色原稿が混載した12枚の原稿を、上記nの値を変えて、図6のフローチャートに従って印刷した場合の、印刷開始から12枚印刷完了までに要した画像形成装置の動作時間を示している。原稿の並べによって掛かる時間は変化するが、すべての組み合わせでの時間を平均した値を示している。
【0064】
パターン1(n=1):5色原稿の次に特殊モノクロ原稿が来たときは必ず離間動作を行う。
パターン2(n=0):離間動作は行わず、すべて図2の状態で印刷する。
パターン3(n=5):特殊モノクロ原稿が4枚続いたら5枚目で離間動作を行う。
パターン4(n=3):特殊モノクロ原稿が2枚続いたら3枚目で離間動作を行う。
【0065】
図7から、パターン1では他のパターンよりも動作時間はかなり長くなり、離間動作が多いと印刷に要する時間は長くなることがわかる。離間動作がないパターン2では原稿によらず動作時間は一定である。そして、パターン3、4の結果より、nの値を増やすと、パターン2の動作時間に近づくことがわかる。n=5とすると、パターン2の動作時間とあまり変わらない。
【0066】
図8は、上記と同じ条件で印刷を行った際の、カラー画像形成ユニット12a、12b、12cの1枚あたりの駆動時間(トータルの動作時間を12で割った)を示している。図7の画像形成装置の動作時間と同じく、原稿の並べによって掛かる時間は変化するが、すべての組み合わせでの時間を平均した値を示している。
【0067】
図8から、パターン2では他のパターンよりも駆動時間がかなり長くなっていることがわかる。これは、離間動作を行わないために、2色印刷時にもカラー画像形成ユニットが駆動するためである。それに対し、パターン1は2色印刷時には必ず離間してカラー画像形成ユニットの駆動を止めているので、1枚あたりの駆動時間は短くなっている。パターン3、パターン4では、パターン1よりも駆動時間が長くなるものの、パターン2のように極端に駆動時間が長くなる場合は無くなる。原稿の組み合わせにより、パターン2よりもパターン3、パターン4で駆動時間が長くなる場合があるのは、離間動作とカラー画像形成ユニットの駆動停止、開始にある程度時間が掛かるためである。
【0068】
ここで、図7および図8から、上記nを1以外の自然数とすることで、5色印刷後の2色印刷時に毎回離間動作を行う場合(パターン1)のように機械動作時間が極端に長くなることがなく、かつ、離間動作を行わない場合(パターン2)のように、各画像形成ユニットの1枚あたりの駆動時間が極端に長くなることがないことがわかる。これは、5色モードから特殊モノクロモードに切り替わる際に、カラー画像形成ユニットと前記中間転写体とを離間するかどうかを、特殊モノクロモードの連続印刷枚数に応じて選択可能とすることで、印刷物の生産性を下げることなく、カラー画像形成ユニットの寿命を延ばすことができることを示している。
【0069】
次に5色モードから黒単色モードへの切り替えに付いて説明する。制御手段70は、5色モードから黒単色モードに切り替わったとき、カラー画像形成ユニット12a、12b、12cおよび異種トナー画像形成ユニット12dと中間転写ベルト7とを離間するかどうかを、前記黒単色モードの連続印刷枚数に応じて制御する。
【0070】
以下、黒単色モードが連続n枚目のときに、カラー画像形成ユニット12a、12b、12cおよび異種トナー画像形成ユニット12dと中間転写ベルト7とを離間させる制御を説明する。なお、実施例と同様に、nの数値は変更可能とし、0と自然数が当てはまる。n=0とした場合はカラー画像形成ユニット12a、12b、12cおよび異種トナー画像形成ユニット12dと中間転写ベルト7との離間は行わない。すなわち、常に像形成ユニット12a、12b、12c、12d、12eと中間転写ベルト7はすべて接触させる。逆に、n=1の場合は5色原稿の後に黒単色原稿が来たら必ずカラー画像形成ユニット12a、12b、12cおよび異種トナー画像形成ユニット12dと中間転写ベルト7とを離間させることになる。
【0071】
図9は同一ジョブ内で、5色原稿から、黒単色原稿に切り替えるときの動作を示すフローチャートである。n=0の場合は接離動作を行わないので除外し、フローチャート中のnは自然数が入るものとする。
【0072】
以下、順を追って説明する。
ステップSB1:5色原稿の印刷は、画像形成ユニット12a、12b、12c、12d、12eすべてが中間転写ベルト7と当接した図2の状態で作像を行う。
ステップSB2:次の原稿が黒単色原稿である場合はステップSB3に進む。5色原稿の場合はステップSB1を継続する。4色原稿の場合は、実施例図5のフローチャートに従う。
ステップSB3:n=1である場合はステップSB4に進む。それ以外(n≧2)の場合はステップSB6に進む。
ステップSB4:図2に示した状態から接離カム21、31を作動させて、中間転写ベルト7をカラー画像形成ユニット12a、12b、12cおよび異種トナー画像形成ユニット12dから離間し、黒画像形成ユニット12eだけが中間転写ベルト7に接触する状態にする(第1の離間動作)。
ステップSB5:カラー画像形成ユニット12a、12b、12c、異種トナー画像形成ユニット12dの駆動を停止し、黒画像形成ユニット12eで黒単色原稿の印刷を行う。
ステップSB6:図2に示した状態のまま、黒単色原稿の印刷を行う。カラー画像形成ユニット12a、12b、12cおよび異種トナー画像形成ユニット12dは白紙作像となる。このとき、異種トナー画像形成ユニット12dでは、現像装置2の駆動を停止すると共に、異種トナー像担持体1dの残留トナーを除去するクリーニングブレードを異種トナー像担持体1dから離間する。
ステップSB7:ステップSB6の黒単色原稿印刷がn−1枚続いた場合は、ステップSB4に進み、離間動作を行う。まだ連続印刷枚数に達していない場合はステップSB6に戻り、図2に示した状態での黒単色原稿印刷を継続する。
【0073】
黒単色原稿と5色原稿が混載した12枚の原稿を、上記nの値を変えて、図9に示したフローチャートに従って印刷したところ、結果は図示しないが、画像形成装置の動作時間は実施例の図7とほぼ同じ結果となり、カラー画像形成ユニット12a、12b、12c、異種トナー画像形成ユニット12dの1枚あたりの駆動時間は、図8とほぼ同じ結果となった。
【0074】
これは、5色モードから黒単色モードに切り替わる際に、黒色以外の画像形成ユニットと前記中間転写体とを離間するかどうかを、黒単色モードの連続印刷枚数に応じて選択可能とすることで、印刷物の生産性を下げることなく、黒色以外の画像形成ユニットの寿命を延ばすことができることを示している。
【0075】
以上のように、実施例に係る画像形成装置100によれば、5色モードから特殊モノクロモードに切り替える際に、カラー画像形成ユニットと中間転写体とを離間するかどうかを、特殊モノクロモードの連続印刷枚数に応じて選択するので、5色モードから特殊モノクロモードへの切り替えの際、切り替え後の特殊モノクロモードの印刷枚数が少ない場合は、カラー画像形成ユニットと中間転写体との離間は行わずに生産性を向上させ、特殊モノクロモードの印刷枚数が多い場合はカラー画像形成ユニットと中間転写体とを離間させカラー画像形成ユニットを停止させることで、寿命を向上させることができる。
【0076】
例えば、特殊モノクロモードの連続印刷枚数が10枚以上の場合は10枚目以降特殊モノクロモードに切り替えることとし、9枚以下の場合は切り替えないようにすることができる。この場合、特殊モノクロモードの印刷枚数が少ない(数枚程度)場合は離間動作を行わないので、動作に伴う生産性の低下を防ぐことができる。逆に特殊モノクロモードの印刷枚数が多い(例えば数百枚)場合は10枚目で離間するので、カラー画像形成ユニットの動作をそれ以降停止させることができ、不必要に何百枚も白紙作像で動作させる必要がなく、寿命低下を防止できる。
【0077】
また、特殊モノクロモードの印刷枚数が少ない場合にモード切り替え時に離間動作を行うと、その分の動作時間により生産性が低下するだけではなく、離間時は中間転写ベルトの振動を防止するためにある程度余分に画像形成ユニットを動作させる必要があるため、印刷枚数が少なく離間している時間が短い場合は、寿命低下防止の効果も失われる。そのため、特殊モノクロモードの印刷枚数が少ない場合にはモード切り替え時に離間動作を行わない方が、利点が大きい。
【0078】
さらに、特殊モノクロモードの印刷枚数が多い場合にモード切り替え時に離間動作を行わないと、枚数が多ければ多いほど、カラー画像形成ユニットは無駄に動作することになり、寿命の低下を引き起こす。これは離間動作を行い、これらのユニットを停止させることで解決できる。また、特殊モノクロモードの印刷枚数が多い場合には、全体の動作時間に対して離間動作の時間が占める割合は小さいので、生産性低下の影響は少ない。
【0079】
また5色モードから黒単色モードに切り替わった際に、黒色以外の画像形成ユニットと前記中間転写体とを離間するかどうかを、黒単色モードの連続印刷枚数に応じて選択できるようにしているので、5色モードから黒単色モードへの切り替えの際、切り替え後の黒単色モードの印刷枚数が少ない場合は、黒色以外の画像形成ユニットと中間転写体との離間は行わずに生産性を向上させ、黒単色モードの印刷枚数が多い場合は離間を行い、黒色以外の画像形成ユニットを停止させることで、寿命を向上させることができる。
【0080】
また、上記離間を行う連続印刷枚数を任意に設定できることで、ユーザーの要望に応じて最適な制御を行うことができる。例えば、生産性を第一に考える場合は閾値をゼロまたは大きな値に設定すればよく、印刷動作時間は長くなってもいいからユニットの交換時期を長くしたい(寿命を長くしたい)場合は、閾値を比較的小さい値にすることができる。
【0081】
また、5色モードから特殊モノクロモードへの切り替えの際、カラー画像形成ユニットと中間転写ユニットとを離間しない場合においても、感光体の駆動は停止できないが、現像手段の駆動は停止させることが可能である。停止させることで、カラー画像形成ユニット内の現像手段の構成部品と現像剤の劣化を防止することができる。
【0082】
また、現像手段の駆動を停止させると、クリーニングブレードへのトナー入力が一切無くなるため、感光体とクリーニングブレードとの摩擦力が上がって、ブレードめくれが発生する可能性が高くなる。そこで、現像手段の駆動を停止する際は、クリーニングブレードを感光体から離間することでブレードめくれを防止することができる。上述した現像部の駆動を停止することと組み合わせることで、ブレードめくれの不具合を防止しながら、現像手段の構成部品と、現像剤の劣化を防止することができる。
【0083】
また、5色モードから黒単色モードへの切り替えの際、黒色以外の画像形成ユニットと中間転写ユニットとを離間しない場合においても、感光体の駆動は停止できないが、現像手段の駆動は停止させることができる。停止させることで、黒色以外の現像手段の構成部品と、黒色以外の現像剤の劣化を防止することができる。
【0084】
また、実施例に係る画像形成装置は、5種類の画像形成ユニットを並列に設けているので、中間転写体と離間するユニット、および離間しないユニットを連続して配置することで、像担持体と中間転写体との接離機構の数を最小限にすることができる。接離機構の数が少ないことで、低コスト省スペースが図れるとともに、制御を簡略化して接離動作時間の短縮と接離動作に伴う不具合を防止することができる。
【0085】
さらに、黒画像形成ユニットと異種トナー画像形成ユニットとを、連続して端部に配置しているので、像担持体接離機構の数を2つとすることができる。また、黒色のユニットを再下流に配置することで、黒色モードのファーストプリント速度、すなわち印刷開始から1枚目印刷完了までの時間を、他の装置配置よりも速くすることができる。
【0086】
さらに、5色モードから特殊モノクロモードへの切り替えの際、カラー画像形成ユニットと中間転写ユニットとの離間動作を、5色モードの黒色一次転写完了後に行うことができ、離間動作時に中間転写体が振動しても、ドラム上への画像形成および一次転写を阻害することがなく、画像不良を防止できる。
【0087】
また、5色目に透明トナーを用いると、画像光沢の制御、ウオーターマークや地紋などの特殊パターン印字、画像に凹凸を持たせる効果など、4色トナーでは表現できない画像を形成することができる。
【0088】
また、異種トナーとして白色トナーを用いると、白色ではない媒体、例えば色紙や透明シート等に白色の画像を形成することが可能となる。
【0089】
さらに、異種トナーとしてYMC以外の有彩色トナーを用いることで、色再現性を向上する効果と、トナー消費量を抑える効果がある。例えばコーポレートカラーなど、色が決まっていて色再現性を特に気にする色に関しては、専用色のトナーを用いることで、YMCの重ね合わせで再現するよりも本来の色に近づけることができる。さらに、よく使う色(例えば赤など)のトナーを5色目とした場合は、2色または3色の色で形成するよりもトナー消費量を少なくすることができ、トナーに掛かるコストを削減できる。
【0090】
また、上記特殊モノクロモードと組み合わせることで、イエロー、マゼンタ、シアンの3つのカラー画像形成ユニットを動作させずに、特殊モノクロ画像として、2色のカラー画像を印刷することができる。この場合、2つの画像形成ユニットしか使わないので、2色カラー画像を低コストで出力することが可能になる。
【0091】
そして、画像形成装置は、中間転写体を備えるので、用紙への転写が一度の処理で済み、用紙対応力の向上と色合わせの精度向上が達成できる。また、中間転写体にベルト状部材を用いることで、中間転写ユニットの形状を比較的自由に設計でき、装置内レイアウトの自由度向上が達成できる。
【符号の説明】
【0092】
1 像担持体
1a、1b、1c カラー像担持体
1d 異種トナー像担持体
1e 黒像担持体
2 現像装置
3 一次転写装置
4 クリーニング装置
5 帯電装置
7 中間転写ベルト
8 二次転写装置
9 搬送装置
10 定着装置
11 画像書込部
12a、12b、12c カラー画像形成ユニット
12d 異種トナー画像形成ユニット
12e 黒画像形成ユニット
13 画像形成部
20 揺動アーム
21 接離カム
22 揺動支点
23 駆動モータ
24 駆動制御部
25 カラー像担持体接離機構
30 揺動アーム
31 接離カム
32 揺動支点
33 駆動モータ
34 駆動制御部
35 異種トナー像担持体接離機構
40 揺動アーム
41 接離カム
42 揺動支点
43 駆動モータ
44 駆動制御部
45 黒トナー像担持体接離機構
50 支持ローラ
60 接離装置
70 制御手段
100 画像形成装置
P 用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2006−171233
【特許文献2】特開2005−099436
【特許文献3】特開2006−267706
【特許文献4】特開2004−258512
【特許文献5】特開2004−219613

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色トナーによるトナー像を形成する黒像像担持体と、
カラー画像を形成するための有色トナーによる有色トナー像をそれぞれ形成するカラー像担持体と、
前記黒色トナーおよび前記有色トナーとは異なる種類のトナーによるトナー像を形成する異種トナー像像担持体と、
前記黒像担持体、カラー像担持体および異種トナー像担持体にそれぞれ対向するとともに、前記黒像担持体上に形成されたトナー像と前記複数のカラー像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像と前記異種トナー像担持体上に形成されたトナー像とを重ねて転写するための被転写体と、を備え記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記被転写体に対して前記複数のカラー像担持体および前記異種トナー像担持体を相対的に離間させる第1の離間動作と、前記被転写体に対して前記カラー像担持体を相対的に離間させる第2の離間動作と、をなす離間装置と、
記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記黒像担持体上に形成されたトナー像と前記複数のカラー像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像と前記特殊トナー担持体上に形成されたトナー像とをすべて前記被転写体に重ねて転写する特殊カラー画像モードから、前記黒像担持体上に形成されたトナー像のみを前記被転写体に転写するモノクロ画像モードへの切り替えが行われるとき、
または、
記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから、前記黒像担持体上に形成されたトナー像と前記異種トナー像担持体上に形成されたトナー像とを前記被転写体に重ねて転写する特殊モノクロ画像モードへの切り替えが行われるとき、
前記モノクロ画像モードまたは前記特殊モノクロ画像モードによって連続通紙される記録媒体の枚数に基づいて前記離間装置に前記第1の離間動作および前記第2の離間動作を行わせる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから前記モノクロ画像モードまたは前記特殊モノクロ画像モードへの切り替えが行われるときに、前記モノクロ画像モードまたは前記特殊モノクロ画像モードによって連続通紙される記録媒体の枚数が所定の閾値に達した後に、前記第1の離間動作または前記第2の離間動作を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定の閾値は、ゼロまたは任意の自然数に可変して設定できるように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから前記モノクロ画像モードへの切り替えが行われていて、前記第1の離間動作が行われていないときに、前記異種トナー像担持体上に形成された潜像を現像するための現像部の駆動と、前記複数のカラー像担持体上に形成された潜像をそれぞれ現像するための現像部の駆動と、を停止することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記異種トナー像担持体の現像部と前記複数のカラー像担持体の現像部の駆動が停止されたときに、前記異種トナー像担持体上の未転写トナーをクリーニングするために前記異種トナー像担持体に当接するクリーニングブレードを前記異種トナー像担持体から離間するとともに、前記複数のカラー像担持体上の未転写トナーをそれぞれクリーニングするために前記複数のカラー像担持体にそれぞれ当接する複数のクリーニングブレードを前記複数のカラー像担持体から離間することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから前記特殊モノクロ画像モードへの切り替えが行われていて、前記第2の離間動作が行われていないときに、前記複数のカラー像担持体上に形成された潜像をそれぞれ現像するための複数の現像部の駆動を停止することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記複数の現像部の駆動が停止されたときに、前記複数のカラー像担持体上の未転写トナーをそれぞれクリーニングするために前記複数のカラー像担持体にそれぞれ当接する複数のクリーニングブレードを前記複数のカラー像担持体から離間することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記黒像担持体は、前記被転写体の走行方向の最下流側に配置され、前記異種トナー像担持体は、前記被転写体の走行方向の下流から2番目に配設されたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、記録媒体の連続通紙が行われている場合であって、前記特殊カラー画像モードから前記特殊モノクロ画像モードへの切り替えが行われるときに、前記黒像担持体上に形成された黒色トナーによるトナー像が前記被転写体に転写された後に、前記第2の離間動作を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記離間装置は、前記被転写体に対して前記黒像担持体を相対的に接離する黒像担持体接離機構と、
前記被転写体に対して前記複数のカラー像担持体を相対的に接離するカラー像担持体接離機構と、
前記被転写体に対して前記異種トナー像担持体を相対的に接離する異種トナー像担持体接離機構と、
を備えるものであり、
前記第1の離間動作は、前記カラー像担持体接離機構と前記異種トナー像担持体接離機構とを動作させ、
前記第2の離間動作は、前記カラー像担持体接離機構を動作させるものであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記特殊トナーは、透明トナーまたは白色トナーであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記カラー画像を形成するための前記有色トナーは、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のトナーであって、
前記異種トナーは、前記黒色トナーと前記3色のトナーとは異なる有色トナーであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記被転写体は、前記黒像担持体と前記複数のカラー像担持体と前記異種トナー像担持体とがそれぞれ対向するように並設された中間転写ベルトであって、
前記中間転写ベルトに1次転写されたトナー像を記録媒体に2次転写する2次転写部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−185292(P2012−185292A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47832(P2011−47832)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】