画像形成装置
【課題】両面印刷を行うことができる画像形成装置において、印刷速度を増加させることである。
【解決手段】搬送経路R2,R3は、搬送経路R1から分岐している。切り替え部材32は、搬送経路R2,R3との分岐部分Bに設けられ、搬送経路R1から搬送されてきた用紙Pの搬送先を、搬送経路R2,R3に切り替える。ソレノイドは、切り替え部材32を動作させる。制御部30は、用紙Pが搬送経路R1から搬送経路R2に搬送されているときに、用紙Pの搬送先の搬送経路R3への切り替えをソレノイドに開始させて、切り替え部材32を用紙Pに接触させる。
【解決手段】搬送経路R2,R3は、搬送経路R1から分岐している。切り替え部材32は、搬送経路R2,R3との分岐部分Bに設けられ、搬送経路R1から搬送されてきた用紙Pの搬送先を、搬送経路R2,R3に切り替える。ソレノイドは、切り替え部材32を動作させる。制御部30は、用紙Pが搬送経路R1から搬送経路R2に搬送されているときに、用紙Pの搬送先の搬送経路R3への切り替えをソレノイドに開始させて、切り替え部材32を用紙Pに接触させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、両面印刷を行うことができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、用紙に対して両面印刷を行うものがある。該画像形成装置は、複数枚の用紙に連続して両面印刷を行う場合には、以下に説明する動作を行う。
【0003】
まず、画像形成装置は、1枚目の用紙の表面と裏面の両方に印刷し、1枚目の用紙を排紙トレイに排出する。次に、画像形成装置は、2枚目の用紙の表面に画像を印刷し、2枚目の用紙を排紙トレイへとつながる経路とは異なる反転経路に搬送する。この後、画像形成装置は、反転経路にて2枚目の用紙の表裏を反転させて、2枚目の用紙の裏面に画像を印刷し、排紙トレイに排出する。
【0004】
ところで、画像形成装置において、単位時間当たりに印刷される用紙の枚数(すなわち、印刷速度)を増加させたいという要望が存在する。そこで、印刷速度を増加させる画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置が知られている。特許文献1に記載の画像形成装置は、1枚目の用紙を排紙トレイに排出した後に、分岐爪の向きを切り替えて、2枚目の用紙を反転経路に搬送している。そして、特許文献1に記載の画像形成装置は、分岐爪の向きをセンサにより検知することにより、該分岐爪の切り替え精度を向上させている。これにより、該画像形成装置は、1枚目の用紙の後端と2枚目の用紙の前端との間隔(すなわち、用紙間隔)を狭くして、印刷速度の増加を図っている。
【0005】
以上のように、両面印刷を行うことができる画像形成装置において、種々の方法によって印刷速度の増加が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−178954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、両面印刷を行うことができる画像形成装置において、印刷速度を増加させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、第1の経路と、前記第1の経路から分岐している第2の経路及び第3の経路と、前記第2の経路と前記第3の経路との分岐部分に設けられ、前記第1の経路から搬送されてきた印刷媒体の搬送先を、該第2の経路又は該第3の経路に切り替える切り替え部材と、前記切り替え部材を動作させる駆動部と、前記印刷媒体が前記第1の経路から前記第2の経路又は前記第3の経路の一方に搬送されているときに、該印刷媒体の搬送先の該第2の経路又は該第3の経路の他方への切り替えを前記駆動部に開始させて、前記切り替え部材を該印刷媒体に接触させる制御部と、を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、両面印刷を行うことができる画像形成装置において、印刷速度を増加できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】画像形成装置の切り替え部材近傍の外観斜視図である。
【図3】切り替え部材近傍の構成図である。
【図4】切り替え部材近傍の構成図である。
【図5】切り替え部材近傍の構成図である。
【図6】用紙が分岐部分を通過するときの様子を示した図である。
【図7】用紙が分岐部分を通過するときの様子を示した図である。
【図8】用紙が分岐部分を通過するときの様子を示した図である。
【図9】用紙が分岐部分を通過するときの様子を示した図である。
【図10】用紙が搬送される際に制御部が行う動作を示したフローチャートである。
【図11】変形例に係る切り替え部材の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0012】
(画像形成装置の構成)
以下に、本発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を示した図である。以下では、図1の左右方向を前後方向と定義し、図1の上下方向を上下方向と定義し、図1の紙面垂直方向を左右方向と定義する。
【0013】
画像形成装置1は、電子写真方式によるカラープリンタであって、いわゆるタンデム式で4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の画像を合成するように構成されている。該画像形成装置1は、スキャナにより読み取った画像データに基づいて、用紙に画像を形成する機能を有し、図1に示すように、印刷部2、給紙部15、タイミングローラ対19、定着装置20、排紙ローラ対21、排紙トレイ23、搬送ローラ対24a〜24e、反転ローラ対25、制御部30、切り替え部材32、センサ33及び搬送経路R1〜R4を備えている。
【0014】
制御部30は、画像形成装置1全体を制御しており、例えば、CPUにより構成されている。
【0015】
給紙部15は、用紙(印刷媒体)Pを1枚ずつ供給する役割を果たし、用紙トレイ16及び給紙ローラ17を含む。用紙トレイ16には、印刷前の状態の用紙Pが複数枚重ねて載置される。給紙ローラ17は、用紙トレイ16に載置された用紙Pを1枚ずつ取り出す。
【0016】
搬送ローラ対24aは、給紙ローラ17が取り出した用紙Pを上方へと搬送する。タイミングローラ対19は、給紙ローラ対17及び搬送ローラ24aにより搬送されてきた用紙Pにトナー画像が印刷部2において2次転写されるように、タイミングを調整しながら用紙Pを上方へ搬送する。
【0017】
印刷部2は、給紙部15から供給されてくる用紙にトナー画像を形成し、光走査装置6(6Y,6M,6C,6K)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、従動ローラ13、2次転写ローラ14及び作像ユニット22(22Y,22M,22C,22K)を含んでいる。また、作像ユニット22(22Y,22M,22C,22K)は、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)を含んでいる。
【0018】
感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)は、円筒形状をなしている。感光体ドラム4の周面には、光走査装置6(6Y,6M,6C,6K)により静電潜像が形成された後に、図示しない現像装置により静電潜像に基づくトナー画像が現像される。静電潜像の形成及びトナー画像の現像については、一般的な処理であるので詳細な説明を省略する。
【0019】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12と従動ローラ13との間に張り渡されている。中間転写ベルト11には、感光体ドラム4に現像されたトナー画像が1次転写される。駆動ローラ12は、中間転写ベルト駆動部(図1には記載せず)により回転させられることにより、中間転写ベルト11を矢印αの方向に駆動させる。これにより、中間転写ベルト11は、トナー画像を2次転写ローラ14まで搬送する。
【0020】
2次転写ローラ14は、中間転写ベルト11と対向し、ドラム形状をなしている。そして、2次転写ローラ14は、転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト11との間を通過する用紙Pに対して、中間転写ベルト11が担持しているトナー画像を2次転写する。
【0021】
トナー画像が2次転写された用紙Pは、定着装置20に搬送される。定着装置20は、用紙に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナー画像を用紙に定着させる。搬送ローラ対24bは、定着装置20を通過した用紙Pを排紙ローラ対21に搬送する。排紙ローラ対21は、排紙トレイ23上に用紙Pを排出する。
【0022】
ここで、画像形成装置1は、用紙Pに対して両面印刷可能な構成を有している。すなわち、画像形成装置1は、用紙Pの表面に印刷を行った後に、用紙Pの表裏を反転させて、用紙Pの裏面に印刷を行うことができる。
【0023】
画像形成装置1において、搬送経路R1は、給紙部15から搬送ローラ対24bの搬送方向の下流側の分岐部分Bまでの経路を構成している。搬送経路R1は、図示しないガイドにより構成されている。搬送経路R1上には、搬送ローラ対24a、タイミングローラ対19、印刷部2、定着装置20、搬送ローラ対24bが、搬送方向の上流側から下流側へとこの順に並ぶように設けられている。そして、搬送経路R2,R3は、分岐部分Bにおいて2つに分岐している。
【0024】
搬送経路R2は、分岐部分Bから排紙ローラ対21までの経路を構成している。搬送経路R2は、図示しないガイドにより構成されている。搬送経路R2上には、排紙ローラ対21が設けられている。
【0025】
搬送経路R3は、分岐部分Bにおいて搬送経路R2よりも上側に分岐している。搬送経路R3は、図示しないガイドにより構成されている。搬送経路R3上には、反転ローラ対25が設けられている。反転ローラ対25は、搬送経路R1から搬送されてきた用紙Pを搬送経路R3内に搬送した後、用紙Pの搬送方向を反転させて、用紙Pを搬送経路R4へと搬送する。
【0026】
搬送経路R4は、搬送経路R3に接続されていると共に、印刷部2よりも用紙Pの搬送方向の上流側において搬送経路R1に接続されている。より詳細には、搬送経路R4は、反転ローラ対25において搬送経路R3から分岐している。搬送経路R4は、図示しないガイドにより構成されている。搬送経路R4上には、搬送ローラ対24c〜24eが、搬送方向の上流側から下流側へとこの順に並ぶように設けられている。搬送ローラ対24c〜24eは、用紙Pを搬送経路R1へと搬送する。
【0027】
切り替え部材32は、搬送経路R2,R3の分岐部分Bに設けられ、搬送経路R1から搬送されてきた用紙Pの搬送先を、搬送経路R2又は搬送経路R3に切り替える。以下に、切り替え部材32について図面を参照しながら説明する。図2は、画像形成装置1の切り替え部材32近傍の外観斜視図である。図3ないし図5は、切り替え部材32近傍の構成図である。
【0028】
画像形成装置1は、図2ないし図5に示すように、ガイドG1,G2、シャフト34、ねじりコイルばね35、レバー36及びソレノイド38を備えている。
【0029】
切り替え部材32は、図2に示すように、左右方向に延在する板状部材及び該板状部材に垂直に設けられている三角形状の部材により構成されている。
【0030】
ガイドG1は、図2ないし図5に示すように、搬送経路R1の下面を構成している。ガイドG2は、図2ないし図5に示すように、搬送経路R3の下面を構成している。
【0031】
シャフト34は、左右方向に延在しており、切り替え部材32の前端近傍に取り付けられている。これにより、切り替え部材32の後端は、シャフト34を中心として上下方向に遥動することができる。そして、切り替え部材32は、図4に示すように、搬送経路R1と搬送経路R2との間を塞ぐことにより、用紙Pを搬送経路R3へと導くことができると共に、図3に示すように、搬送経路R1と搬送経路R3との間を塞ぐことにより、用紙Pを搬送経路R2へと導くことができる。更に、切り替え部材32は、図5に示すように、搬送経路R1と搬送経路R3との間を塞ぐことにより、搬送経路R1へと用紙Pを逆流させることなく、搬送経路R3から搬送経路R4へと用紙Pを導くことができる。
【0032】
ねじりコイルばね35は、シャフト34に取り付けられており、右方向から平面視したときに、シャフト34を反時計回りに回転する方向に付勢する。これにより、切り替え部材32は、図3に示すように、搬送経路R1と搬送経路R3との間を塞ぐように付勢されている。
【0033】
レバー36は、シャフト34の先端に設けられており、切り替え部材32の遥動に伴って遥動する。ソレノイド38は、切り替え部材32を動作させる駆動部である。より詳細には、ソレノイド38は、後方に突出している突起を備えている。突起は、レバー36の下端に接続されている。そして、ソレノイド38は、制御部30からの制御により、突起を前方へと引き込む。これにより、レバー36は、ねじりコイルばね35の付勢力に抗して時計回りに回転する。その結果、切り替え部材32は、図4に示すように、搬送経路R1と搬送経路R2との間を塞ぐ。
【0034】
センサ33(図1参照)は、用紙Pの検知を行う。より詳細には、センサ33は、用紙Pの後端が搬送経路R1において所定位置Pa(図1参照)に到達したことを検知する。所定位置Paとは、タイミングローラ対19の搬送方向の上流側に位置している。制御部30は、センサ33からの出力に基づいて、切り替え部材32をソレノイド38に動作させて、用紙Pの搬送先を搬送経路R2又は搬送経路R3に切り替える。
【0035】
(画像形成装置の動作)
以下に、2枚の用紙P1,P2に連続して両面印刷を行う際の画像形成装置1の動作について説明する。なお、以下に説明する動作では、画像形成装置1は、用紙P1の裏面にトナー画像を形成した後に、用紙P2の表面にトナー画像を形成する。そのため、前提として、用紙P1の表面にはトナー画像がすでに形成されているものとする。図6ないし図9は、用紙P1,P2が分岐部分Bを通過するときの様子を示した図である。図10は、用紙P1,P2が搬送される際に制御部30が行う動作を示したフローチャートである。
【0036】
まず、表面にトナー画像が形成された用紙P1は、搬送経路R4を搬送ローラ対24c〜24eにより搬送されている。タイミングローラ対19は、搬送経路R4から搬送されてきた用紙P1を上方へと搬送する。印刷部2は、タイミングローラ対19が搬送してきた用紙P1の裏面に対してトナー画像を形成する。定着装置20は、用紙P1に対して加熱処理及び加圧処理を施して、用紙P1の裏面にトナー画像を定着させる。このとき、切り替え部材32は、図3に示すように、搬送経路R1と搬送経路R3との間を塞いでいる。よって、用紙P1は、搬送経路R2へと搬送される。
【0037】
制御部30は、センサ33が用紙P1の後端を検知したことを示す検知信号を取得したか否かの判定を繰り返しながら待機している(ステップS1)。ステップS1では、制御部30は、用紙P1の後端が所定位置Paを通過したか否かの判定を行っている。制御部30が検知信号を取得した場合には、本処理はステップS2に進む。制御部30が検知信号を取得していない場合には、本処理はステップS1に戻る。
【0038】
センサ33は、用紙P1の後端が所定位置Paを通過したことを検知し、検知信号を制御部30に出力する。応じて、制御部30は、検知信号を取得する。そして、制御部30は、センサ33が用紙P1の後端を検知してから所定時間の計測を開始する(ステップS2)。この後、本処理はステップS3に進む。
【0039】
制御部30は、センサ33が用紙P1の後端を検知してから所定時間が経過したか否かの判定を繰り返しながら待機している(ステップS3)。所定時間とは、用紙P1の後端が所定位置Paから所定位置Pbへと搬送されるのに必要な時間である。所定位置Pbとは、搬送ローラ対24bの搬送方向の上流側に位置している。所定時間が経過した場合には、本処理はステップS4に進む。所定時間が経過していない場合には、本処理はステップS3に戻る。
【0040】
所定時間が経過した場合には、制御部30は、用紙P1の後端が所定位置Pbに到達したと判定する。そして、制御部30は、ソレノイド38に電力を供給し、用紙P1の搬送先の切り替えをソレノイド38に開始させる(ステップS4)。すなわち、制御部30は、用紙P1が搬送経路R1から搬送経路R2へと搬送されているときに、用紙P1の搬送先の搬送経路R3への切り替えをソレノイド38に開始させる。本実施形態では、制御部30は、図6に示すように、用紙P1が搬送ローラ対24bに挟まれているときに、用紙P1の搬送先の切り替えを開始する。ここで、用紙P1が分岐部分Bを通過中であるので、切り替え部材32は、図6に示すように、用紙P1に接触して停止する。この後、用紙P1は、排紙ローラ対21及び搬送ローラ対24bにより搬送される。用紙P1の後端が搬送ローラ対24bを通過すると、切り替え部材32は、図7に示すように、用紙P1を下方に押し下げる。この後、用紙P1は、排紙ローラ対21により排紙トレイ23へと排出される。
【0041】
ステップS2〜S4が実行されている間、画像形成装置1は、用紙P2の表面にトナー画像を形成している。具体的には、用紙P2は、給紙部15からタイミングローラ対19へと搬送されている。タイミングローラ対19は、搬送経路R4から搬送されてきた用紙P2を上方へと搬送する。印刷部2は、タイミングローラ対19が搬送してきた用紙P2の表面に対してトナー画像を形成する。定着装置20は、用紙P2に対して加熱処理及び加圧処理を施して、用紙P2の表面にトナー画像を定着させる。このとき、切り替え部材32は、図4に示すように、搬送経路R1と搬送経路R2との間を塞いでいる。よって、用紙P2は、搬送経路R3へと搬送される。
【0042】
制御部30は、センサ33が用紙P2の後端を検知したことを示す検知信号を取得したか否かの判定を繰り返しながら待機している(ステップS5)。ステップS5では、用紙P2の後端が所定位置Paを通過したか否かの判定を行っている。制御部30が検知信号を取得した場合には、本処理はステップS6に進む。制御部30が検知信号を取得していない場合には、本処理はステップS5に戻る。
【0043】
センサ33は、用紙P2の後端が所定位置Paを通過したことを検知し、検知信号を制御部30に出力する。応じて、制御部30は、検知信号を取得する。そして、制御部30は、センサ33が用紙P2の後端を検知してから所定時間の計測を開始する(ステップS6)。この後、本処理はステップS7に進む。
【0044】
制御部30は、センサ33が用紙P2の後端を検知してから所定時間が経過したか否かの判定を繰り返しながら待機している(ステップS7)。所定時間が経過した場合には、本処理はステップS8に進む。所定時間が経過していない場合には、本処理はステップS7に戻る。
【0045】
所定時間が経過した場合には、制御部30は、用紙P2の後端が所定位置Pbに到達したと判定する。そして、制御部30は、ソレノイド38への電力の供給を停止し、用紙P1の搬送先の切り替えをソレノイド38に開始させる(ステップS8)。すなわち、制御部30は、用紙P2が搬送経路R1から搬送経路R3へと搬送されているときに、用紙P1の搬送先の搬送経路R2への切り替えをソレノイド38に開始させる。本実施形態では、制御部30は、図8に示すように、用紙P2が搬送ローラ対24bに挟まれているときに、用紙P2の搬送先を切り替える。ここで、用紙P2が分岐部分Bを通過中であるので、切り替え部材32は、図8に示すように、用紙P2に接触して停止する。この後、用紙P2は、反転ローラ対25及び搬送ローラ対24bにより搬送される。用紙P2の後端が搬送ローラ対24bを通過すると、切り替え部材32は、図9に示すように、用紙P2を上方に押し上げる。この後、用紙P2は、反転ローラ対25により搬送経路R3内へと搬送される。
【0046】
搬送経路R3内に搬送された用紙P2は、反転ローラ対25,搬送ローラ対24c〜24eにより搬送経路R1へと搬送される。この後、用紙P2の裏面には、搬送経路R1上の印刷部2によりトナー画像が形成される。そして、用紙P2は、排紙トレイ23に排出される。
【0047】
(効果)
以上のように構成された画像形成装置1は、用紙P1,P2が搬送経路R2,R3の分岐部分Bを通過しているときに、用紙P1,P2の搬送先の切り替えを切り替え部材32により開始している。これにより、画像形成装置1は、用紙P1,P2の後端が分岐部分Bを通過した後に、用紙P1,P2の搬送先の切り替えを開始する従来の画像形成装置(例えば、特許文献1に記載の画像形成装置)に比べて、搬送経路の切り替え動作を早く開始している。その結果、画像形成装置1では、従来の画像形成装置に比べて、搬送経路の切り替え動作の終了も早くなる。その結果、画像形成装置1では、用紙P1と用紙P2との間隔が小さくなったとしても、切り替え部材32が用紙P2の先端に引っ掛かることが抑制される。以上より、画像形成装置1では、用紙P1と用紙P2との間隔を小さくすることにより、印刷速度を増加させることができる。
【0048】
また、画像形成装置1では、用紙P1と用紙P2の間隔を小さくすることにより、印刷速度を増加させている。そのため、画像形成装置1では、搬送ローラ対24等の搬送速度を増加させる必要がない。よって、画像形成装置1では、消費電力を増加させることなく、印刷速度を増加させることができる。更に、画像形成装置1では、搬送ローラ対24等の動作音も増加させることなく、印刷速度を増加させることができる。
【0049】
また、画像形成装置1は、用紙P1,P2を搬送ローラ対24bが挟んだ状態で、用紙P1,P2の搬送先の切り替えを開始している。よって、図6に示すように、切り替え部材32は、用紙P1に引っ掛かって、大きく下方へ下がることなく停止する。よって、用紙P1に大きなたわみが発生しない。その結果、画像形成装置1では、用紙P1に折れ等の傷が発生することが抑制される。ただし、このことは、用紙P1,P2の搬送先の切り替えの開始のタイミングが、用紙P1,P2の後端が搬送ローラ対24bを通過した後であることを妨げない。用紙P1,P2の搬送先の切り替えの開始のタイミングは、用紙P1,P2の種類(厚紙又は普通紙)や、印刷モード(カラー印刷又はモノクロ印刷)等の条件によって変更してもよい。そして、制御部30は、ステップS3,S7にて計測している所定時間を変更することによって、用紙P1,P2の搬送先の切り替えの開始のタイミングを変更すればよい。
【0050】
(変形例)
図11は、変形例に係る切り替え部材32aの外観斜視図である。切り替え部材32aは、図11に示すように、曲面により構成されていてもよい。これにより、用紙Pと切り替え部材32aとの接触面積が大きくなるので、切り替え部材32aが用紙Pに接触することにより、用紙Pに傷がつくことが抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、両面印刷を行うことができる画像形成装置において、印刷速度を増加できる点において優れている。
【符号の説明】
【0052】
B 分岐部分
R1〜R4 搬送経路
1 画像形成装置
21 排紙ローラ対
24a〜24e 搬送ローラ対
25 反転ローラ対
30 制御部
32,32a 切り替え部材
33 センサ
38 ソレノイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、両面印刷を行うことができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、用紙に対して両面印刷を行うものがある。該画像形成装置は、複数枚の用紙に連続して両面印刷を行う場合には、以下に説明する動作を行う。
【0003】
まず、画像形成装置は、1枚目の用紙の表面と裏面の両方に印刷し、1枚目の用紙を排紙トレイに排出する。次に、画像形成装置は、2枚目の用紙の表面に画像を印刷し、2枚目の用紙を排紙トレイへとつながる経路とは異なる反転経路に搬送する。この後、画像形成装置は、反転経路にて2枚目の用紙の表裏を反転させて、2枚目の用紙の裏面に画像を印刷し、排紙トレイに排出する。
【0004】
ところで、画像形成装置において、単位時間当たりに印刷される用紙の枚数(すなわち、印刷速度)を増加させたいという要望が存在する。そこで、印刷速度を増加させる画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置が知られている。特許文献1に記載の画像形成装置は、1枚目の用紙を排紙トレイに排出した後に、分岐爪の向きを切り替えて、2枚目の用紙を反転経路に搬送している。そして、特許文献1に記載の画像形成装置は、分岐爪の向きをセンサにより検知することにより、該分岐爪の切り替え精度を向上させている。これにより、該画像形成装置は、1枚目の用紙の後端と2枚目の用紙の前端との間隔(すなわち、用紙間隔)を狭くして、印刷速度の増加を図っている。
【0005】
以上のように、両面印刷を行うことができる画像形成装置において、種々の方法によって印刷速度の増加が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−178954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、両面印刷を行うことができる画像形成装置において、印刷速度を増加させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、第1の経路と、前記第1の経路から分岐している第2の経路及び第3の経路と、前記第2の経路と前記第3の経路との分岐部分に設けられ、前記第1の経路から搬送されてきた印刷媒体の搬送先を、該第2の経路又は該第3の経路に切り替える切り替え部材と、前記切り替え部材を動作させる駆動部と、前記印刷媒体が前記第1の経路から前記第2の経路又は前記第3の経路の一方に搬送されているときに、該印刷媒体の搬送先の該第2の経路又は該第3の経路の他方への切り替えを前記駆動部に開始させて、前記切り替え部材を該印刷媒体に接触させる制御部と、を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、両面印刷を行うことができる画像形成装置において、印刷速度を増加できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】画像形成装置の切り替え部材近傍の外観斜視図である。
【図3】切り替え部材近傍の構成図である。
【図4】切り替え部材近傍の構成図である。
【図5】切り替え部材近傍の構成図である。
【図6】用紙が分岐部分を通過するときの様子を示した図である。
【図7】用紙が分岐部分を通過するときの様子を示した図である。
【図8】用紙が分岐部分を通過するときの様子を示した図である。
【図9】用紙が分岐部分を通過するときの様子を示した図である。
【図10】用紙が搬送される際に制御部が行う動作を示したフローチャートである。
【図11】変形例に係る切り替え部材の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0012】
(画像形成装置の構成)
以下に、本発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を示した図である。以下では、図1の左右方向を前後方向と定義し、図1の上下方向を上下方向と定義し、図1の紙面垂直方向を左右方向と定義する。
【0013】
画像形成装置1は、電子写真方式によるカラープリンタであって、いわゆるタンデム式で4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の画像を合成するように構成されている。該画像形成装置1は、スキャナにより読み取った画像データに基づいて、用紙に画像を形成する機能を有し、図1に示すように、印刷部2、給紙部15、タイミングローラ対19、定着装置20、排紙ローラ対21、排紙トレイ23、搬送ローラ対24a〜24e、反転ローラ対25、制御部30、切り替え部材32、センサ33及び搬送経路R1〜R4を備えている。
【0014】
制御部30は、画像形成装置1全体を制御しており、例えば、CPUにより構成されている。
【0015】
給紙部15は、用紙(印刷媒体)Pを1枚ずつ供給する役割を果たし、用紙トレイ16及び給紙ローラ17を含む。用紙トレイ16には、印刷前の状態の用紙Pが複数枚重ねて載置される。給紙ローラ17は、用紙トレイ16に載置された用紙Pを1枚ずつ取り出す。
【0016】
搬送ローラ対24aは、給紙ローラ17が取り出した用紙Pを上方へと搬送する。タイミングローラ対19は、給紙ローラ対17及び搬送ローラ24aにより搬送されてきた用紙Pにトナー画像が印刷部2において2次転写されるように、タイミングを調整しながら用紙Pを上方へ搬送する。
【0017】
印刷部2は、給紙部15から供給されてくる用紙にトナー画像を形成し、光走査装置6(6Y,6M,6C,6K)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、従動ローラ13、2次転写ローラ14及び作像ユニット22(22Y,22M,22C,22K)を含んでいる。また、作像ユニット22(22Y,22M,22C,22K)は、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)を含んでいる。
【0018】
感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)は、円筒形状をなしている。感光体ドラム4の周面には、光走査装置6(6Y,6M,6C,6K)により静電潜像が形成された後に、図示しない現像装置により静電潜像に基づくトナー画像が現像される。静電潜像の形成及びトナー画像の現像については、一般的な処理であるので詳細な説明を省略する。
【0019】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12と従動ローラ13との間に張り渡されている。中間転写ベルト11には、感光体ドラム4に現像されたトナー画像が1次転写される。駆動ローラ12は、中間転写ベルト駆動部(図1には記載せず)により回転させられることにより、中間転写ベルト11を矢印αの方向に駆動させる。これにより、中間転写ベルト11は、トナー画像を2次転写ローラ14まで搬送する。
【0020】
2次転写ローラ14は、中間転写ベルト11と対向し、ドラム形状をなしている。そして、2次転写ローラ14は、転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト11との間を通過する用紙Pに対して、中間転写ベルト11が担持しているトナー画像を2次転写する。
【0021】
トナー画像が2次転写された用紙Pは、定着装置20に搬送される。定着装置20は、用紙に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナー画像を用紙に定着させる。搬送ローラ対24bは、定着装置20を通過した用紙Pを排紙ローラ対21に搬送する。排紙ローラ対21は、排紙トレイ23上に用紙Pを排出する。
【0022】
ここで、画像形成装置1は、用紙Pに対して両面印刷可能な構成を有している。すなわち、画像形成装置1は、用紙Pの表面に印刷を行った後に、用紙Pの表裏を反転させて、用紙Pの裏面に印刷を行うことができる。
【0023】
画像形成装置1において、搬送経路R1は、給紙部15から搬送ローラ対24bの搬送方向の下流側の分岐部分Bまでの経路を構成している。搬送経路R1は、図示しないガイドにより構成されている。搬送経路R1上には、搬送ローラ対24a、タイミングローラ対19、印刷部2、定着装置20、搬送ローラ対24bが、搬送方向の上流側から下流側へとこの順に並ぶように設けられている。そして、搬送経路R2,R3は、分岐部分Bにおいて2つに分岐している。
【0024】
搬送経路R2は、分岐部分Bから排紙ローラ対21までの経路を構成している。搬送経路R2は、図示しないガイドにより構成されている。搬送経路R2上には、排紙ローラ対21が設けられている。
【0025】
搬送経路R3は、分岐部分Bにおいて搬送経路R2よりも上側に分岐している。搬送経路R3は、図示しないガイドにより構成されている。搬送経路R3上には、反転ローラ対25が設けられている。反転ローラ対25は、搬送経路R1から搬送されてきた用紙Pを搬送経路R3内に搬送した後、用紙Pの搬送方向を反転させて、用紙Pを搬送経路R4へと搬送する。
【0026】
搬送経路R4は、搬送経路R3に接続されていると共に、印刷部2よりも用紙Pの搬送方向の上流側において搬送経路R1に接続されている。より詳細には、搬送経路R4は、反転ローラ対25において搬送経路R3から分岐している。搬送経路R4は、図示しないガイドにより構成されている。搬送経路R4上には、搬送ローラ対24c〜24eが、搬送方向の上流側から下流側へとこの順に並ぶように設けられている。搬送ローラ対24c〜24eは、用紙Pを搬送経路R1へと搬送する。
【0027】
切り替え部材32は、搬送経路R2,R3の分岐部分Bに設けられ、搬送経路R1から搬送されてきた用紙Pの搬送先を、搬送経路R2又は搬送経路R3に切り替える。以下に、切り替え部材32について図面を参照しながら説明する。図2は、画像形成装置1の切り替え部材32近傍の外観斜視図である。図3ないし図5は、切り替え部材32近傍の構成図である。
【0028】
画像形成装置1は、図2ないし図5に示すように、ガイドG1,G2、シャフト34、ねじりコイルばね35、レバー36及びソレノイド38を備えている。
【0029】
切り替え部材32は、図2に示すように、左右方向に延在する板状部材及び該板状部材に垂直に設けられている三角形状の部材により構成されている。
【0030】
ガイドG1は、図2ないし図5に示すように、搬送経路R1の下面を構成している。ガイドG2は、図2ないし図5に示すように、搬送経路R3の下面を構成している。
【0031】
シャフト34は、左右方向に延在しており、切り替え部材32の前端近傍に取り付けられている。これにより、切り替え部材32の後端は、シャフト34を中心として上下方向に遥動することができる。そして、切り替え部材32は、図4に示すように、搬送経路R1と搬送経路R2との間を塞ぐことにより、用紙Pを搬送経路R3へと導くことができると共に、図3に示すように、搬送経路R1と搬送経路R3との間を塞ぐことにより、用紙Pを搬送経路R2へと導くことができる。更に、切り替え部材32は、図5に示すように、搬送経路R1と搬送経路R3との間を塞ぐことにより、搬送経路R1へと用紙Pを逆流させることなく、搬送経路R3から搬送経路R4へと用紙Pを導くことができる。
【0032】
ねじりコイルばね35は、シャフト34に取り付けられており、右方向から平面視したときに、シャフト34を反時計回りに回転する方向に付勢する。これにより、切り替え部材32は、図3に示すように、搬送経路R1と搬送経路R3との間を塞ぐように付勢されている。
【0033】
レバー36は、シャフト34の先端に設けられており、切り替え部材32の遥動に伴って遥動する。ソレノイド38は、切り替え部材32を動作させる駆動部である。より詳細には、ソレノイド38は、後方に突出している突起を備えている。突起は、レバー36の下端に接続されている。そして、ソレノイド38は、制御部30からの制御により、突起を前方へと引き込む。これにより、レバー36は、ねじりコイルばね35の付勢力に抗して時計回りに回転する。その結果、切り替え部材32は、図4に示すように、搬送経路R1と搬送経路R2との間を塞ぐ。
【0034】
センサ33(図1参照)は、用紙Pの検知を行う。より詳細には、センサ33は、用紙Pの後端が搬送経路R1において所定位置Pa(図1参照)に到達したことを検知する。所定位置Paとは、タイミングローラ対19の搬送方向の上流側に位置している。制御部30は、センサ33からの出力に基づいて、切り替え部材32をソレノイド38に動作させて、用紙Pの搬送先を搬送経路R2又は搬送経路R3に切り替える。
【0035】
(画像形成装置の動作)
以下に、2枚の用紙P1,P2に連続して両面印刷を行う際の画像形成装置1の動作について説明する。なお、以下に説明する動作では、画像形成装置1は、用紙P1の裏面にトナー画像を形成した後に、用紙P2の表面にトナー画像を形成する。そのため、前提として、用紙P1の表面にはトナー画像がすでに形成されているものとする。図6ないし図9は、用紙P1,P2が分岐部分Bを通過するときの様子を示した図である。図10は、用紙P1,P2が搬送される際に制御部30が行う動作を示したフローチャートである。
【0036】
まず、表面にトナー画像が形成された用紙P1は、搬送経路R4を搬送ローラ対24c〜24eにより搬送されている。タイミングローラ対19は、搬送経路R4から搬送されてきた用紙P1を上方へと搬送する。印刷部2は、タイミングローラ対19が搬送してきた用紙P1の裏面に対してトナー画像を形成する。定着装置20は、用紙P1に対して加熱処理及び加圧処理を施して、用紙P1の裏面にトナー画像を定着させる。このとき、切り替え部材32は、図3に示すように、搬送経路R1と搬送経路R3との間を塞いでいる。よって、用紙P1は、搬送経路R2へと搬送される。
【0037】
制御部30は、センサ33が用紙P1の後端を検知したことを示す検知信号を取得したか否かの判定を繰り返しながら待機している(ステップS1)。ステップS1では、制御部30は、用紙P1の後端が所定位置Paを通過したか否かの判定を行っている。制御部30が検知信号を取得した場合には、本処理はステップS2に進む。制御部30が検知信号を取得していない場合には、本処理はステップS1に戻る。
【0038】
センサ33は、用紙P1の後端が所定位置Paを通過したことを検知し、検知信号を制御部30に出力する。応じて、制御部30は、検知信号を取得する。そして、制御部30は、センサ33が用紙P1の後端を検知してから所定時間の計測を開始する(ステップS2)。この後、本処理はステップS3に進む。
【0039】
制御部30は、センサ33が用紙P1の後端を検知してから所定時間が経過したか否かの判定を繰り返しながら待機している(ステップS3)。所定時間とは、用紙P1の後端が所定位置Paから所定位置Pbへと搬送されるのに必要な時間である。所定位置Pbとは、搬送ローラ対24bの搬送方向の上流側に位置している。所定時間が経過した場合には、本処理はステップS4に進む。所定時間が経過していない場合には、本処理はステップS3に戻る。
【0040】
所定時間が経過した場合には、制御部30は、用紙P1の後端が所定位置Pbに到達したと判定する。そして、制御部30は、ソレノイド38に電力を供給し、用紙P1の搬送先の切り替えをソレノイド38に開始させる(ステップS4)。すなわち、制御部30は、用紙P1が搬送経路R1から搬送経路R2へと搬送されているときに、用紙P1の搬送先の搬送経路R3への切り替えをソレノイド38に開始させる。本実施形態では、制御部30は、図6に示すように、用紙P1が搬送ローラ対24bに挟まれているときに、用紙P1の搬送先の切り替えを開始する。ここで、用紙P1が分岐部分Bを通過中であるので、切り替え部材32は、図6に示すように、用紙P1に接触して停止する。この後、用紙P1は、排紙ローラ対21及び搬送ローラ対24bにより搬送される。用紙P1の後端が搬送ローラ対24bを通過すると、切り替え部材32は、図7に示すように、用紙P1を下方に押し下げる。この後、用紙P1は、排紙ローラ対21により排紙トレイ23へと排出される。
【0041】
ステップS2〜S4が実行されている間、画像形成装置1は、用紙P2の表面にトナー画像を形成している。具体的には、用紙P2は、給紙部15からタイミングローラ対19へと搬送されている。タイミングローラ対19は、搬送経路R4から搬送されてきた用紙P2を上方へと搬送する。印刷部2は、タイミングローラ対19が搬送してきた用紙P2の表面に対してトナー画像を形成する。定着装置20は、用紙P2に対して加熱処理及び加圧処理を施して、用紙P2の表面にトナー画像を定着させる。このとき、切り替え部材32は、図4に示すように、搬送経路R1と搬送経路R2との間を塞いでいる。よって、用紙P2は、搬送経路R3へと搬送される。
【0042】
制御部30は、センサ33が用紙P2の後端を検知したことを示す検知信号を取得したか否かの判定を繰り返しながら待機している(ステップS5)。ステップS5では、用紙P2の後端が所定位置Paを通過したか否かの判定を行っている。制御部30が検知信号を取得した場合には、本処理はステップS6に進む。制御部30が検知信号を取得していない場合には、本処理はステップS5に戻る。
【0043】
センサ33は、用紙P2の後端が所定位置Paを通過したことを検知し、検知信号を制御部30に出力する。応じて、制御部30は、検知信号を取得する。そして、制御部30は、センサ33が用紙P2の後端を検知してから所定時間の計測を開始する(ステップS6)。この後、本処理はステップS7に進む。
【0044】
制御部30は、センサ33が用紙P2の後端を検知してから所定時間が経過したか否かの判定を繰り返しながら待機している(ステップS7)。所定時間が経過した場合には、本処理はステップS8に進む。所定時間が経過していない場合には、本処理はステップS7に戻る。
【0045】
所定時間が経過した場合には、制御部30は、用紙P2の後端が所定位置Pbに到達したと判定する。そして、制御部30は、ソレノイド38への電力の供給を停止し、用紙P1の搬送先の切り替えをソレノイド38に開始させる(ステップS8)。すなわち、制御部30は、用紙P2が搬送経路R1から搬送経路R3へと搬送されているときに、用紙P1の搬送先の搬送経路R2への切り替えをソレノイド38に開始させる。本実施形態では、制御部30は、図8に示すように、用紙P2が搬送ローラ対24bに挟まれているときに、用紙P2の搬送先を切り替える。ここで、用紙P2が分岐部分Bを通過中であるので、切り替え部材32は、図8に示すように、用紙P2に接触して停止する。この後、用紙P2は、反転ローラ対25及び搬送ローラ対24bにより搬送される。用紙P2の後端が搬送ローラ対24bを通過すると、切り替え部材32は、図9に示すように、用紙P2を上方に押し上げる。この後、用紙P2は、反転ローラ対25により搬送経路R3内へと搬送される。
【0046】
搬送経路R3内に搬送された用紙P2は、反転ローラ対25,搬送ローラ対24c〜24eにより搬送経路R1へと搬送される。この後、用紙P2の裏面には、搬送経路R1上の印刷部2によりトナー画像が形成される。そして、用紙P2は、排紙トレイ23に排出される。
【0047】
(効果)
以上のように構成された画像形成装置1は、用紙P1,P2が搬送経路R2,R3の分岐部分Bを通過しているときに、用紙P1,P2の搬送先の切り替えを切り替え部材32により開始している。これにより、画像形成装置1は、用紙P1,P2の後端が分岐部分Bを通過した後に、用紙P1,P2の搬送先の切り替えを開始する従来の画像形成装置(例えば、特許文献1に記載の画像形成装置)に比べて、搬送経路の切り替え動作を早く開始している。その結果、画像形成装置1では、従来の画像形成装置に比べて、搬送経路の切り替え動作の終了も早くなる。その結果、画像形成装置1では、用紙P1と用紙P2との間隔が小さくなったとしても、切り替え部材32が用紙P2の先端に引っ掛かることが抑制される。以上より、画像形成装置1では、用紙P1と用紙P2との間隔を小さくすることにより、印刷速度を増加させることができる。
【0048】
また、画像形成装置1では、用紙P1と用紙P2の間隔を小さくすることにより、印刷速度を増加させている。そのため、画像形成装置1では、搬送ローラ対24等の搬送速度を増加させる必要がない。よって、画像形成装置1では、消費電力を増加させることなく、印刷速度を増加させることができる。更に、画像形成装置1では、搬送ローラ対24等の動作音も増加させることなく、印刷速度を増加させることができる。
【0049】
また、画像形成装置1は、用紙P1,P2を搬送ローラ対24bが挟んだ状態で、用紙P1,P2の搬送先の切り替えを開始している。よって、図6に示すように、切り替え部材32は、用紙P1に引っ掛かって、大きく下方へ下がることなく停止する。よって、用紙P1に大きなたわみが発生しない。その結果、画像形成装置1では、用紙P1に折れ等の傷が発生することが抑制される。ただし、このことは、用紙P1,P2の搬送先の切り替えの開始のタイミングが、用紙P1,P2の後端が搬送ローラ対24bを通過した後であることを妨げない。用紙P1,P2の搬送先の切り替えの開始のタイミングは、用紙P1,P2の種類(厚紙又は普通紙)や、印刷モード(カラー印刷又はモノクロ印刷)等の条件によって変更してもよい。そして、制御部30は、ステップS3,S7にて計測している所定時間を変更することによって、用紙P1,P2の搬送先の切り替えの開始のタイミングを変更すればよい。
【0050】
(変形例)
図11は、変形例に係る切り替え部材32aの外観斜視図である。切り替え部材32aは、図11に示すように、曲面により構成されていてもよい。これにより、用紙Pと切り替え部材32aとの接触面積が大きくなるので、切り替え部材32aが用紙Pに接触することにより、用紙Pに傷がつくことが抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、両面印刷を行うことができる画像形成装置において、印刷速度を増加できる点において優れている。
【符号の説明】
【0052】
B 分岐部分
R1〜R4 搬送経路
1 画像形成装置
21 排紙ローラ対
24a〜24e 搬送ローラ対
25 反転ローラ対
30 制御部
32,32a 切り替え部材
33 センサ
38 ソレノイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の経路と、
前記第1の経路から分岐している第2の経路及び第3の経路と、
前記第2の経路と前記第3の経路との分岐部分に設けられ、前記第1の経路から搬送されてきた印刷媒体の搬送先を、該第2の経路又は該第3の経路に切り替える切り替え部材と、
前記切り替え部材を動作させる駆動部と、
前記印刷媒体が前記第1の経路から前記第2の経路又は前記第3の経路の一方に搬送されているときに、該印刷媒体の搬送先の該第2の経路又は該第3の経路の他方への切り替えを前記駆動部に開始させて、前記切り替え部材を該印刷媒体に接触させる制御部と、
を備えていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の経路に設けられ、かつ、前記印刷媒体を搬送するための第1のローラ対を、
更に備えており、
前記制御部は、前記第1のローラ対により前記印刷媒体が挟まれているときに、該印刷媒体の搬送先を切り替えること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の経路に設けられ、かつ、前記印刷媒体を排出するための排出ローラ対と、
前記第1の経路に設けられ、かつ、前記印刷媒体にトナー画像を印刷する印刷部と、
前記第3の経路に接続されていると共に、前記印刷部よりも前記印刷媒体の搬送方向の上流側において前記第1の経路に接続されている第4の経路と、
前記第3の経路に設けられ、かつ、該第3の経路に搬送されてきた前記印刷媒体の搬送方向を反転させて該印刷媒体を前記第4の経路に搬送する反転ローラ対と、
を更に備えていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷媒体が前記第1の経路において所定位置に到達したことを検知する検知部を、
更に備えており、
前記制御部は、前記印刷媒体が前記所定位置に到達したことを前記検知部が検知してから所定時間経過後に、前記印刷媒体の搬送先を切り替えること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定時間を変更できること、
を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項1】
第1の経路と、
前記第1の経路から分岐している第2の経路及び第3の経路と、
前記第2の経路と前記第3の経路との分岐部分に設けられ、前記第1の経路から搬送されてきた印刷媒体の搬送先を、該第2の経路又は該第3の経路に切り替える切り替え部材と、
前記切り替え部材を動作させる駆動部と、
前記印刷媒体が前記第1の経路から前記第2の経路又は前記第3の経路の一方に搬送されているときに、該印刷媒体の搬送先の該第2の経路又は該第3の経路の他方への切り替えを前記駆動部に開始させて、前記切り替え部材を該印刷媒体に接触させる制御部と、
を備えていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の経路に設けられ、かつ、前記印刷媒体を搬送するための第1のローラ対を、
更に備えており、
前記制御部は、前記第1のローラ対により前記印刷媒体が挟まれているときに、該印刷媒体の搬送先を切り替えること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の経路に設けられ、かつ、前記印刷媒体を排出するための排出ローラ対と、
前記第1の経路に設けられ、かつ、前記印刷媒体にトナー画像を印刷する印刷部と、
前記第3の経路に接続されていると共に、前記印刷部よりも前記印刷媒体の搬送方向の上流側において前記第1の経路に接続されている第4の経路と、
前記第3の経路に設けられ、かつ、該第3の経路に搬送されてきた前記印刷媒体の搬送方向を反転させて該印刷媒体を前記第4の経路に搬送する反転ローラ対と、
を更に備えていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷媒体が前記第1の経路において所定位置に到達したことを検知する検知部を、
更に備えており、
前記制御部は、前記印刷媒体が前記所定位置に到達したことを前記検知部が検知してから所定時間経過後に、前記印刷媒体の搬送先を切り替えること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定時間を変更できること、
を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−6740(P2012−6740A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146024(P2010−146024)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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