画像形成装置
【課題】定着器を通過するときにシートから蒸発する水分が付着しても結露が生じることが少なく、円滑にシートを案内でき、さらに、容易に製作できるようにすること。
【解決手段】画像形成装置は、トナー画像を形成されたシートを加熱してシートにトナー画像を定着する定着器と、トナー画像が定着されたシートを案内するワイヤ状のリブ31a〜31k,32a〜32kと、ワイヤ状のガイドを保持するホルダ88A,89Aと、を有し、ワイヤ状のガイドが、ワイヤ状のガイドの弾性を利用してホルダに固定されるようになっている。
【解決手段】画像形成装置は、トナー画像を形成されたシートを加熱してシートにトナー画像を定着する定着器と、トナー画像が定着されたシートを案内するワイヤ状のリブ31a〜31k,32a〜32kと、ワイヤ状のガイドを保持するホルダ88A,89Aと、を有し、ワイヤ状のガイドが、ワイヤ状のガイドの弾性を利用してホルダに固定されるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式によりシートにトナー画像を形成する複写機やプリンタ等の画像形成装置は、シートに形成された未定着のトナー画像をシートに定着するため、シートとトナー画像とを加熱して定着する加熱タイプの定着器を備えている。一方、シートには水分が含まれている。このため、シートが定着器に加熱されると、シートに含まれている水分は、蒸発し、定着器の下流側に隣接してシートを案内するガイド部材に付着して、結露し、水滴になることがあった。
【0003】
このような結露による水滴は、ガイド部材を通過中のシートに付着すると、特に、シートの両面に画像形成を行う場合には、シートに電荷が十分のらず、印字抜け(白抜け)が発生し、画質の低下原因になっていた。また、水滴は、シートに付着すると、シートがガイド部材に貼り付いてシート詰まりを起こす原因にもなっていた。
【0004】
そこで、結露の発生が少ないガイドシュートが特許文献1に開示されている。このガイドシュートは、シートの搬送方向沿って延びてシート搬送経路側に対し角部のない凸形状の断面形状を有し、樹脂をコーティングされたワイヤ状部材と、シート搬送経路に沿う面にワイヤ状部材が空間を介して離間配置されたホルダとを有している。ワイヤ状部材は、金属に樹脂をコーティングして形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−187821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近は、画像形成装置の小型化を進められており、ガイドシュートも小型化を求められる。さらに、定着器のシート搬送方向の下流側近くには、定着器からシートを剥離するための分離機能が付加されたガイド板が設けられていたり、シート詰まり、シートの角折れ及びシートのカールをおこさないようする搬送ローラを設けられたりしている。このため、ガイドシュートの設置スペースが狭く、ガイドシュートの小型化がより一層求められている。
【0007】
特許文献1に開示されているガイドシュートは、ワイヤ状部材をホルダに溶接して形成されている。しかし、ガイドシュートは、小型化のため、ワイヤ状部材とホルダを小さくする必要があり、ワイヤ部材をホルダに溶接するのが困難であり、製作に手間を要していた。
【0008】
また、特許文献1に開示されているワイヤ状部材は、金属のワイヤに樹脂をコーティングして形成されているため、ワイヤをホルダに溶接してからワイヤに樹脂をコーティングしないと、溶接の熱によって樹脂が溶けることがある。ところが、溶接後、ワイヤに樹脂をコーティングすると、コーティングの厚みを均一にすることが困難であり、表面がでこぼこになることがある。このため、従来のワイヤ状部材は、定着器から出てきたシートの先端がでこぼこに係合して、シートが詰まる原因になることがあった。
【0009】
また、シート詰まりが発生し易い、ガイドシュートを備えた画像形成装置は、シート詰まりを生じた分だけ、再度、シートに画像を形成しなければならないという課題を備えていた。
【0010】
本発明は、定着器を通過するときにシートから蒸発する水分が付着しても結露が生じることが少なく、円滑にシートを案内でき、さらに、容易に製作できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、トナー画像を形成されたシートを加熱してシートにトナー画像を定着する定着器と、トナー画像が定着されたシートを案内するワイヤ状のガイドと、前記ワイヤ状のガイドを保持するホルダと、を備え、前記ワイヤ状のガイドが、前記ワイヤ状のガイドの弾性を利用して前記ホルダに固定されている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置は、ワイヤ状のガイドの弾性によってワイヤ状のガイドが固定されるので容易に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図2】定着器のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるシート案内装置の外観斜視図である。
【図4】図3のシート案内装置の下ガイドユニットをシートが通過する側から見た平面図である。
【図5】図4のC−C矢視断面図であり、下ガイドユニットとリブとの関係を示した図である。
【図6】リブの端部にワイヤが露出した露出部が形成されていることを示す図である。
【図7】リブの部分詳細図である。
【図8】他のシート案内装置におけるリブと下ガイドユニットとの平面図であって、図4に相当する図である。
【図9】図8のE−E矢視断面図である。
【図10】図8のシート案内装置が、幅の異なるシートを案内するときの動作説明用の図である。
【図11】図8のシート案内装置がシートを案内するときの動作説明用のフローチャートである。
【図12】図8のシート案内装置に温湿度センサを設けた場合の図である。
【図13】図12に示す場合における、動作説明用のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置を説明する。なお、本実施の形態で示す数値は、参考数値であり、本発明を限定するものもではない。また、各構成も最良の実施形態を示すものであり、これら実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。画像形成装置50は、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの各色に対応して、第1乃至第4の画像形成部Pa,Pb,Pc,Pdが配列されている。これらの画像形成部は、潜像、現像、転写のプロセスを経て異なった色のトナー画像を転写ベルト130に順次重ねて形成するようになっている。
【0016】
画像形成部Pa,Pb,Pc,Pdは、それぞれ感光ドラム3a,3b,3c,3dを備えている。各感光ドラム3a,3b,3c,3d上には、各色のトナー画像が形成されるようになっている。感光ドラム3a,3b,3c,3d上に形成された各色のトナー画像は、各感光ドラム3a,3b,3c,3dに隣接して配置された転写ベルト130上に1次転写され、2次転写ローラ11によって、シートPに2次転写される。トナー画像が転写されたシートPは、定着器9で加熱及び加圧されてトナー画像を定着されて、画像形成装置50の外部に排出される。
【0017】
感光ドラム3a,3b,3c,3dの外周には、それぞれドラム帯電器2a,2b,2c,2d、現像器1a,1b,1c,1d、1次転写帯電器24a、24b、24c、24d及びクリーナ4a,4b,4c,4dが設けられている。画像形成装置50の上部には、不図示の光源装置およびポリゴンミラが設置されている。
【0018】
光源装置から発せられたレーザ光を、ポリゴンミラを回転して走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏向し、fθレンズにより感光ドラム3a,3b,3c,3dの母線上に集光して露光する。露光により、感光ドラム3a,3b,3c,3d上に画像信号に応じた潜像が形成される。
【0019】
現像器1a,1b,1c,1dには、現像剤としてそれぞれシアン、マゼンタ、イエロ及びブラックのトナーが、図示しない供給装置により所定量充填されている。現像器1a,1b,1c,1dは、それぞれ感光ドラム3a,3b,3c,3d上の潜像を現像して、シアントナー画像、マゼンタトナー画像、イエロートナー画像及びブラックトナー画像として可視化する。
【0020】
転写ベルト130は、ローラ13,14,15に案内されて矢印の方向に感光ドラム3aと同じ周速度をもって循環している。ローラ15は駆動ローラであり、他のローラ13,14は従動ローラである。
【0021】
感光ドラム3a上に形成された第1色のイエロートナー画像は、感光ドラム3aと転写ベルト130とのニップ部を通過する。この通過過程において、イエロートナー画像は、転写ベルト130に印加される1次転写バイアスにより形成される電界と、感光ドラム3aと転写ベルト130とのニップ圧とにより、転写ベルト130の外周面に1字転写される。同様に、第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が、順次、転写ベルト130上に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が転写ベルト130に形成される。
【0022】
転写ベルト130の外周面には、2次転写ローラ11が接触するように配設されている。2次転写ローラ11には、2次転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加されるようになっている。
【0023】
一方、シートPは、給紙カセット10から送り出されて、レジストローラ対12、不図示の転写前ガイドを通過し、転写ベルト130と2次転写ローラ11とのニップに所定のタイミングで給送され、同時に転写ベルト130に2次転写バイアスが印加される。この2次転写バイアスにより、転写ベルト130上に重畳転写されている合成カラートナー画像が、転写ベルト130からシートPへ合成カラートナー画像として2次転写される。
【0024】
1次転写が終了した感光ドラム3a,3b,3c,3dは、クリーナ4a,4b,4c,4dによって、転写残トナーを除去されて清浄になり、引き続き次の潜像の形成に備えられる。また、転写ベルト130上に残留したトナー及びその他の異物は、転写ベルト130の表面に当接しているクリーニングウエブ(不織布)19によって、拭い取られる。
【0025】
以上の構成において、画像形成部Pa,Pb,Pc,Pd、転写ベルト130及び2次転写ローラ11等は、画像形成手段を構成している。
【0026】
トナー画像が転写されたシートPは、定着器9へ送られて、定着器9に加熱加圧されて、トナー画像が定着される。
【0027】
また、トナー画像を定着されたシートPは、排出ローラ対40によって、排紙トレイ41に排出される。なお、シートは、排紙トレイ41上には画像形成面を上向きにされて(フェイスアップ状態)で排出される場合と、下向きにされて(フェイスダウン状態)で排出される場合とがある。
【0028】
上向きに排出されるシートPは、定着器9を出た後、搬送部42を直進して排出される。下向きに排出されるシートPは、定着器9を出た後、搬送部43,44を矢印方向にスイッチバック搬送され、表裏反転されて排出される。搬送部42,43,44の選択は、不図示の切替部材によって行なわれる。
【0029】
また、シートPは、両面にトナー画像を形成されて排出される場合もある。両面にトナー画像を形成されるシートは、一方の面にトナー画像を形成されて定着器9を通過した後、搬送部43,45を搬送される間にスイッチバック搬送され、表裏反転されて転写ベルト130と2次転写ローラ11とのニップに送り込まれる。そして、シートは他方の面にもトナー画像が形成されて排紙トレイ41に排出される。
【0030】
(定着器)
図2は、定着器のシート搬送方向に沿った断面図である。
【0031】
定着器9は、1対の加圧ローラ76と定着ローラ77とでシートを挟持しかつ回転しながら、シートを加熱加圧してシートにトナー画像を定着する加熱定着器である。定着ローラ77の代わりに後述する発熱源74を内在したフィルム筒であってもよい。
【0032】
定着ローラ77は、加圧ローラ76の上側に位置し、感光ドラム3a,3b,3c,3d(図1)側に位置している。定着ローラ77は、内部に発熱源74であるハロゲンヒータを有している。加圧ローラ76は、心金78の外周をゴム等の弾性体75で被覆して形成されている。加圧ローラ76は、定着ローラ77に圧接されて、定着ローラ77とでニップを形成している。定着ローラ77は、不図示の駆動手段により画像形成装置の本体からの回転力を受けて図2の矢印方向に回転するようになっている。回転中の定着ローラ77の表面は、不図示のサーミスタなどにより略一定の温度に維持されている。転写ベルト130からトナー画像79を転写されたシートPは、定着ローラ77と加圧ローラ76とのニップNPによって挟持搬送される。トナー画像79は、発熱源74の熱と、定着ローラ77と加圧ローラ76との間の挟持圧力とによってシートPに定着される。
【0033】
定着ローラ77は、トナー画像79の付着を防止するため、最外層として被覆樹脂層71を有している。被覆樹脂層71は、接着剤からなるプライマー層72によって芯金73に貼り付けられている。被覆樹脂層71には、シリコーンゴムやフッ素樹脂フィルム又はチューブが用いられる。好ましく用いられるフッ素樹脂材料としては、例として、パーフルオロアルコキシド(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレンと共重合体(FEP)などが挙げられる。
【0034】
そして、通常、定着器9は、被覆樹脂層71に例えばシリコーンオイルのような離型剤を塗布する離型剤塗布部91を備えている。離型剤塗布部91は、離型剤を含浸させたクリーニング用のウエブ80と、このウエブ80を捲回したウエブ供給ローラ85と、ウエブ80を巻取る巻取りローラ84と、ウエブ80を定着ローラ77に押圧するウエブ加圧ローラ81とを備えている。離型剤塗布部91は、ウエブ80を複写動作に合せて少しずつ送り、定着ローラ77の回転により、定着ローラ77に離型剤を塗布すると共に、定着ローラ77上に付着した現像剤を除去する。
【0035】
なお、クリーニングレスの定着器の場合は、離型剤塗布部91を備えておらず、定着ローラ77の表層の離型性のみにより現像剤の付着を防止している。
【0036】
したがって、本発明の画像形成装置は、定着器にクリーニングレスの定着器を使用しても良い。
【0037】
定着器9は、発熱源74から大量の熱が出て定着器9周辺の各部材を加熱し変形させたり、トナーを不必要に溶着させたりすることがあり、それらを防止するため断熱カバー83をハウジング82の上部内壁に有している。
【0038】
定着器9のシート搬送方向の下流側には、シートPを下流側に案内する下ガイドユニット88と上ガイドユニット89とが設けられ、さらに、下流側に定着後ロ−ラ対86,87が設けられている。下ガイドユニット88と上ガイドユニット89との間には、シート搬送領域90が形成されている。
【0039】
(シート案内装置)
図3は、本発明の実施の形態における画像形成装置に組み込まれているシート案内装置の外観斜視図である。シート案内装置92は、下ガイドユニット88と上ガイドユニット89によって構成されている。下ガイドユニット88は、ワイヤ状のガイドとしてのリブ31a乃至31kとリブ31a乃至31kを保持するホルダ88Aを備えている。上ガイドユニット89は、ワイヤ状のガイドとしてのリブ32a乃至32kと、リブ32a乃至32kを保持するホルダ89Aとで構成されている。
【0040】
以下、リブを総称して言うときには、符号を31,32とする。
【0041】
ホルダ88A,89Aは、シート搬送方向に対して交差して配置された長尺の部材である。ホルダ88A,89Aは、低熱容量の例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などの耐熱プラスチック製の部材である。なお、ホルダ88A,89Aは、金属製のガイド板であってもよい。
【0042】
下ガイドユニット88のシートが通過する側(下ガイドユニット88の上側)には、シート搬送方向(矢印A方向)に対して交差する方向(矢印B方向)に並んで複数のリブ31a乃至31kが設けられている。すなわち、複数のリブ31a乃至31kが複数並設されている。複数のリブ31a乃至31kは、ホルダ88Aに着脱自在に装着されて固定されている。上ガイドユニット89のシートが通過する側(上ガイドユニット89の下側)にも、シート搬送方向に対して交差する方向に並んで複数のリブ32a乃至32kが設けられている。すなわち、複数のリブ32a乃至32kが複数並設されている。ワイヤ状のガイドとしての複数のリブ32a乃至32kは、ホルダ89Aに着脱自在に装着されて固定されている。
【0043】
矢印B方向に複数配列されたリブ31,32は、定着器9から送り出されたシートPを案内するようになっている。この場合、シートは、リブ31,32との少なくとも一方に擦れながら搬送される。
【0044】
リブ31,32は、図7に示すように、線径0.5mm乃至1mm程度の弾性及び発熱性を備えたワイヤ301と、ワイヤ301に厚さ0.05mm乃至0.5mm程度のフッ素系樹脂を被覆した被覆部302とで、線状に形成されている。
【0045】
ワイヤ301には、ピアノ線が好適である。また、ワイヤ301には、発熱性を有する鉄−クロム−アルミ系や、ニッケル−クロム系の金属線を使用してもよい。さらに、リブ31,32は、ホルダ88A,89Aに1回装着すると、取り外して再度装着するようなことが少ないため、ワイヤ301に、多少弾性を備えて熱伝導性のよりすぐれた銅でできた燐青銅線を使用してもよい。なお、リブ31,32は、ワイヤ301の弾性の他に、フッ素系樹脂の被覆部302の弾性によっても、弾性を備えている。このため、リブ31,32は、ワイヤ301に燐青銅線を使用しても、多少なりとも弾性を備えて、ホルダ88A,89Aに着脱できるようになっている。
【0046】
フッ素系樹脂には、例として、パーフルオロアルコキシド(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレンと共重合体(FEP)などが挙げられる。PFA樹脂の場合の厚みは、薄すぎると被覆の耐久性がなく、厚すぎると、後述するようにリブ31,32を曲げたときに裂けやすいので、0.2mm程度が好ましい。
【0047】
リブ31,32は、ワイヤ301として金属製の線材を使用することにより、定着器9が冷えている状態からトナー画像をシートに定着可能な暖められた状態に変化するときに、リブ31,32の温度が上昇しやすくなりリブ自体で結露を防ぐことができる。また、リブ31,32は、ワイヤ301がフッ素系樹脂で被覆されているので、リブ31,32の表面の熱伝導率が下がり結露がより発生しにくくなると共に、トナーが付着しにくくなり、さらに、耐摩耗性にも優れるようになる。
【0048】
リブ31,32は、金属製のワイヤの周りにフッ素樹脂を被覆成型して線材状に形成された後、所望の形状に折り曲げられて、切断されることによって作成される、あるいは、切断されてから所定の形状に折り曲げて形成される。ワイヤのまわりに被覆するフッ素樹脂に、フッ素樹脂の中でも射出成型が容易なフルオロカーボン系樹脂を使用すると、ワイヤ301に対する被覆の厚みを均一にすることができる。このため、被覆に、フルオロカーボン系樹脂を使用するのが好ましい。
【0049】
このようにして作成されるリブ31,32は、いろいろな形状にすることができるので、シート案内装置92のみならず、画像形成装置内のいろいろな場所に合せて形状を変えて使用することができる。
【0050】
ホルダ88A及びホルダ89Aへの、リブ31a〜31k及び32a〜32kの装着手順を、図4、図5に基づいて説明する。図4は、図3のシート案内装置の下ガイドユニット88をシートが通過する側から見た平面図である。図5は、図4のC−C矢視断面図であり、下ガイドユニット88にリブ31fを取り付けた関係を示した図である。
【0051】
なお、下ガイドユニット88と上ガイドユニット89は、シート搬送領域90を中心に天地対象の形状をしている。同様に、リブ31a乃至31kとリブ32a乃至32kも、シート搬送領域90を中心に天地対象の形状をしている。このため、ホルダ88Aへのリブ31a乃至31kの装着手順と、ホルダ89Aへのリブ32a乃至32kの装着手順は、同様である。したがって、ホルダ88Aの形状と、ホルダ88Aへのリブ31a乃至31kの装着手順との説明をし、ホルダ89Aの形状と、ホルダ89Aへのリブ32a乃至32kの装着手順との説明は、一部省略する。
【0052】
ホルダ88Aの上流側と下流側とには、溝33,34がリブの数だけ形成されている。この溝33,34は、リブ31a乃至31kが係合して、シート搬送方向に対して交差する方向に等間隔に配列するために、両端(図4の両側)を除いて等間隔に形成されている。また、溝33,34は、リブ31がシート搬送方向に対して交差する方向に倒れないようにするためも形成されている。さらに、溝33,34は、リブ31が、シート搬送方向に沿った向きになるように、あるいは斜めの向きになるように形成されている。
【0053】
ホルダ89Aにも、溝33,34と同様な溝35,36(溝36は、図示省略)が形成されている。
【0054】
ホルダ88Aのシート搬送方向の上流側と下流側とには、被係合部としての凹部37,38と、上流側と下流側との凹部37,38の間のシートが通過する側に当接面としての突起39とがリブ31の数だけ形成されている。突起39は、ホルダ88Aのシート搬送方向の中央よりやや下流側に形成されている。ホルダ89Aにも、同様に、不図示の被係合部としての凹部と突起が形成されている。なお、突起39は、各凹部37,38に対応して個々に形成されることなく、シート搬送方向に対して交差する方向に連続して形成された突条であってもよい。また、突起39は、ガイドのシートが通過する側に中高に形成された円弧面であってもよい。
【0055】
リブ31は、中間部が突起39に受け止められた状態で弾性に抗して、矢印D方向に撓められて、リブの両端部である折り曲げられた折り部51,52が凹部37,38に跨った状態で係合して、ホルダ88Aに着脱自在に装着される。リブ31は、リブ31自身の弾性力を利用して装着される。言い換えれば、リブ31は、リブ31自身の復元力により折り部51,52が凹部37,38に係合してホルダ88Aに装着される(装着可能になっている)。リブ32も同様にしてホルダ89Aに装着される(装着可能になっている)。リブ31,32は自身の弾性によって突起39と凹部37,38とで上下で挟む状態で、ホルダ88A,89Aに固定される。
【0056】
リブ31は、ホルダ88Aに対して、凹部37,38、突起39の3箇所で接触するようになっているので、定着器9からの輻射熱やシートPから受ける熱により暖められても、暖められた熱がホルダ88Aに伝わることが殆ど無い。リブ31は、金属製のワイヤ301が暖められ易く、かつワイヤ301を被覆しているPFA樹脂である被覆部302によって、熱の発散が防止されるので、リブ31は、高温に保たれて、結露の発生が少ない。リブ32も同様にして、結露の発生が少ない。
【0057】
ホルダ88Aには多数の貫通孔310(図4)が形成されている。貫通孔310は、シート搬送方向と下ガイドユニット88の配置方向とに交差する方向(ホルダ88Aの厚み方向)に形成されている。貫通孔310は、定着器9の熱により加熱されたシートPから蒸発した水分が、ホルダ88Aを通過して、画像形成装置50内に拡散するようにして、局部的な湿度上昇を抑えるために形成されている。貫通孔310は、ホルダ89Aにも形成されて、局部的な湿度上昇を抑えている。ホルダ88A,89Aに局部的な湿度上昇が発生しないようにすることによって、シート案内装置92に結露が生じることが少なくなる。
【0058】
以上、説明したように、シート案内装置92は、定着器の熱によってリブのワイヤが暖められて、フッ素系樹脂の被覆がワイヤを保温するので、リブに結露が生じることが少なく、トナー画像に損傷を与えることなくシートを円滑に案内することができる。
【0059】
また、リブ31,32がホルダ88A,89Aに着脱できるように設けられているので、リブ31,32とホルダ88A,89Aを小型にしても、容易に製作することができる。
【0060】
この場合、リブ31,32は、中間部が突起39に受け止められた状態で弾性に抗してホルダ88A,89Aの凹部37,38に係合する3点接触であるので、リブ31,32自身の弾性によって、ホルダ88A,89Aに確実に装着されようになっている。リブ31,32は自身の弾性によって突起39と凹部37,38を挟む状態で、ホルダ88A,89Aに固定される。このため、シート案内装置92は、リブ31,32にシートが接触しながら通過しても、リブ31,32は、ホルダ88A,89Aに対してぐらつくことが殆どなく、シートを確実に案内することができる。
【0061】
また、各リブ31,32は、中間部が突起39に受け止められた状態でホルダ88A,89Aに装着されるので、シートを案内する中間部分31A(図5)の高さを揃えることができる。即ち、各リブ31,32における搬送されるシートと接触する箇所である中間部分31Aのシートの厚さ方向の位置が、突起39で確実に位置決めされる。このため、シート案内装置92は、シートを円滑に案内することができる。
【0062】
さらに、リブ31,32が、ホルダ88A,89Aに対して、3点接触しているので、定着器9からの輻射熱やシートPから受ける熱により暖められても、暖められた熱はホルダ88A,89Aに伝わることが殆ど無い。このため、リブ31,32に結露が生じることが殆ど無く、シート案内装置92は、シートを濡らすことなく、円滑に案内することができる。
【0063】
また、突起39がホルダ88Aのシート搬送方向の中央よりやや下流側に形成されている。このため、互いに向き合ったリブ31,32の間隔が、シート搬送方向の上流側から下流側にかけて、徐々に狭くなっているため、シート案内装置92は、シートを円滑に案内することができる。
【0064】
また、本発明のリブ31,32は、ワイヤ301にフッ素系樹脂を被覆して被覆部302を形成した線材を所望のリブ形状に曲げ及び切断して形成されていて、その後にホルダ88A,89Aに装着されている。このため、被覆部302の厚みが均一であり、リブ31,32は、表面が滑らであり、シートの引っ掛かりによるシートの詰まりを少なくすることができる。
【0065】
なお、以上の実施形態におけるリブ31,32は、図6に示すリブ46のように、ワイヤ301の定着器側(シート搬送方向の上流側)の端部部分を被覆部302に被覆されていない露出部301aにしてもよい。
【0066】
このようにすると、露出部301aは、画像形成装置が停止して冷えた状態から始動するとき、定着器9の輻射熱を速やかに吸収することができる。したがって、リブ46は、早く暖まることになる。一般に、リブが十分に温まっていない状態で、画像形成装置が画像形成動作を開始すると、定着器を通過するシートから蒸発した水分が、冷えたリブに接触して結露を生じる。しかし、図6に示すリブ46のように、早く温まることによって、画像形成装置は、早く、画像形成動作を開始することができるようになる。
【0067】
以上説明したシート案内装置92は、定着器9からの輻射熱を利用してリブ31,32を暖めてリブ31,32に結露が生じるのを少なくしている。
【0068】
次に説明する他のシート案内装置192は、定着器9からの輻射熱によって暖められることの他に、リブ31,32に電流を流して、リブ31,32を積極的に発熱させて、リブ31,32に結露が生じるのを少なくしている。シート案内装置192において、前述のシート案内装置92と同一部分については、同一符号を付して、その部分に説明は、省略する。
【0069】
図8は、他のシート案内装置192におけるリブと下ガイドユニットとの平面図であって、前述のシート案内装置92の図4に相当する図である。図9は、図8のE−E矢視断面図である。
【0070】
図9に示すように、リブ31fの折り部51,52が係合する(係合可能な)ホルダ88Aの凹部37,38には、リブ31fのワイヤ301が接触する電極193,194が設けられている。電極193,194には、スイッチ303fと電源Gとが接続されている。電極193,194とスイッチ303fと電源Gは、閉回路を形成している。なお、ホルダ88A,89Aに金属製のガイド板を使用したとき、電極193,194は、絶縁部材を介してガイド板に設けられる。
【0071】
電極193,194は、リブ31a乃至31kが係合するホルダ88Aの上流側と下流側の凹部37,38に、リブ31a乃至31kのワイヤ301が個々に接触するように複数設けられている。リブ31a乃至31kのワイヤ301は、リブの弾力によって電極193,194に接触させられている。そして、各電極193,194には、図8に示すように、閉回路を形成するスイッチ303a乃至303kと電源Gが接続されている。
【0072】
各スイッチ303a乃至303kは、スイッチ選択部としてのCPU195に選択されてON、OFFするようになっている。CPU195には、シートの幅(シート搬送方向に対して交差する方向の長さ)を検知するシートサイズ検知部196が接続されている。シートサイズ検知部196は、シート案内装置192のシート搬送方向の上流側に設けられている。
【0073】
リブ31a乃至31kの被覆部は、絶縁部を兼用しており、ホルダ88Aに対して、ワイヤを絶縁している。また、リブ31a乃至31kの定着器9側は、被覆部を設けないで、定着器9の熱によってワイヤが早目に温まるようにしてもよい。但し、ワイヤの露出した部分に他の部材が接触しないように位置関係を考慮する必要がある。
【0074】
同様に、不図示の上ガイドユニットにも、リブが個々に接触する複数の電極が設けられ、各電極は、スイッチと電源とで閉回路を形成している。そして、各スイッチは、CPU195に選択されてON,OFFするようになっている。
【0075】
なお、CPU195とシートサイズ検知部196は、下ガイドユニット88と上ガイドユニット89とに共通に使用されている。
【0076】
図10と図11とに基づいて、シート案内装置192の動作を説明する。図10は、図8のシート案内装置が、幅の異なるシートを案内するときの動作説明用の図である。図11は、図8のシート案内装置がシートを案内するときの動作説明用のフローチャートである。
【0077】
シートが定着器9に進入する前に、或いは定着器9を出てくるときにシートサイズ検知部196がシートの幅を検知する。CPU195は、シートサイズ検知部196のシートの幅情報に基づいて、シートの幅に対応するスイッチを選択してON状態にする。
【0078】
図10(A)に示すように、幅の広いシートP1の場合(S111でYES)、CPU195は、全てのスイッチ303a乃至303kを選択してONにする(S113)。スイッチがONになると、リブ31a乃至31kに電流が流れて各リブのワイヤ301が発熱する。
【0079】
また、図10(B)に示すように、幅の狭いシートP2の場合(S111でNO、S115でYES)、CPU195は、シートの幅に対応するスイッチ303d乃至303hを選択してONにする。そして、他のスイッチ303a乃至303c、303i乃至303kはOFFのままにしておく(S117)。スイッチがONになった、リブ31d乃至31hに電流が流れて各リブのワイヤ301が発熱する。
【0080】
シートが搬送されて来ないとき(S111、S115共にNO)、CPU195は、全てのスイッチ303a乃至303kをOFFのままにしておく(S119)。
【0081】
上ガイドユニットの場合も同様にして、CPU195が、シートの幅に応じて、スイッチを選択し、リブを発熱させる。
【0082】
このようにして、発熱したリブは、シートから蒸発した水分が付着しても、その水分を直ぐに蒸発させるため、結露を生じることが少ない。したがって、シート案内装置192は、前述のシート案内装置92と同様に、結露によるシートの案内に支障を生じさせることなく、シートを円滑に案内することができる。
【0083】
なお、シートの幅に応じて、電流を流すリブを選択しているのは、理由は、次の通りである。
【0084】
幅の狭いシートを案内する場合、シートが接触しないリブがある。このため、全てのリブに電流を流していると、シートが接触したリブは、シートによって熱を多少なりとも奪われて、温度が下がる。しかし、シートが接触していないリブは、シートによって熱を奪われることがなく、温度が下がらない。この状態において、後続のシートが、幅広のシートであると、その幅の広いシートは、温度が下がったリブだけでなく、温度が下がっていないリブにも案内されて、搬送される。このため、温度が下がっていないリブを通過するトナー画像の部分は、多少なりとも解けて、すじを付けられる。この結果、トナー画像の画質が低下する。
【0085】
このような、理由から、シート案内装置192は、シートの幅に対応しないリブには電流を流さないで、トナー画像にすじが生じることなくトナー画像の画質の低下を防止している。また、余計なリブに電流を流さないことによって、消費電力を少なくすることができる。さらに、シート案内装置192を不必要に温度を上昇させることが無いので、シート案内装置192の周囲の部材に耐熱性の高い、高価な部材を使用する必要が無い。
【0086】
以上の説明において、シートの幅情報は、シートサイズ検知部196の検知によって得られるようになっているが、ユーザが画像形成装置に入力したシートに関する情報から得てもよい。したがって、シートサイズ検知部196は、必ずしも必要としない。
【0087】
なお、リブは、電流を流さなくても、定着器9の輻射熱によって、暖められるようになっている。このため、画像形成装置50内の湿度が低い場合には、リブに電流を流してリブを強制的に暖めなくても、リブに付着した水分が蒸発して結露を生じることがない。
【0088】
そこで、図12に示す、温度と湿度とを測定する温度湿度測定部としての温湿度センサ197を画像形成装置50内に設けておく。温湿度センサ197が画像形成装置50内の測定湿度の値が、測定温度に応じて決定される所定の値以上になったことを検知したとき(図13のS131でYES)、CPU195は、リブに電流を流す(S133乃至S141)。なお、S133乃至S141の処理は、S111乃至S119と同様であるので説明は省略する。
【0089】
なお、温度に応じて決定される湿度の所定の値はリブに結露が生じない臨界値である。したがって、温湿度センサ197を設けることによって、結露が発生しない温湿度環境下のもとでは、電流を流さないで、余計な電力を使うことなく省エネルギとなる。
【符号の説明】
【0090】
P:シート、Pa,Pb,Pc,Pd:第1,第2,第3,第4の画像形成部(画像形成手段)、3a,3b,3c,3d:感光ドラム(画像形成手段)、9:定着器、31a〜31k:リブ(ガイド)、32a〜32k:リブ(ガイド)、37:凹部(被係合部)、39:突起(当接面)、46:リブ、50:画像形成装置、51,52:折り部、79:トナー画像、88:下ガイドユニット(ガイド部材)、88A:ホルダ、89:上ガイドユニット(ガイド部材)、89A:ホルダ、92:シート案内装置、192:シート案内装置、193,194:電極195:CPU(スイッチ選択部)、196:シートサイズ検知部、197:温湿度センサ(温度湿度測定部)、198:301:ワイヤ、301a:露出部、302:被覆部、303a〜303k:スイッチ、310:貫通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式によりシートにトナー画像を形成する複写機やプリンタ等の画像形成装置は、シートに形成された未定着のトナー画像をシートに定着するため、シートとトナー画像とを加熱して定着する加熱タイプの定着器を備えている。一方、シートには水分が含まれている。このため、シートが定着器に加熱されると、シートに含まれている水分は、蒸発し、定着器の下流側に隣接してシートを案内するガイド部材に付着して、結露し、水滴になることがあった。
【0003】
このような結露による水滴は、ガイド部材を通過中のシートに付着すると、特に、シートの両面に画像形成を行う場合には、シートに電荷が十分のらず、印字抜け(白抜け)が発生し、画質の低下原因になっていた。また、水滴は、シートに付着すると、シートがガイド部材に貼り付いてシート詰まりを起こす原因にもなっていた。
【0004】
そこで、結露の発生が少ないガイドシュートが特許文献1に開示されている。このガイドシュートは、シートの搬送方向沿って延びてシート搬送経路側に対し角部のない凸形状の断面形状を有し、樹脂をコーティングされたワイヤ状部材と、シート搬送経路に沿う面にワイヤ状部材が空間を介して離間配置されたホルダとを有している。ワイヤ状部材は、金属に樹脂をコーティングして形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−187821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近は、画像形成装置の小型化を進められており、ガイドシュートも小型化を求められる。さらに、定着器のシート搬送方向の下流側近くには、定着器からシートを剥離するための分離機能が付加されたガイド板が設けられていたり、シート詰まり、シートの角折れ及びシートのカールをおこさないようする搬送ローラを設けられたりしている。このため、ガイドシュートの設置スペースが狭く、ガイドシュートの小型化がより一層求められている。
【0007】
特許文献1に開示されているガイドシュートは、ワイヤ状部材をホルダに溶接して形成されている。しかし、ガイドシュートは、小型化のため、ワイヤ状部材とホルダを小さくする必要があり、ワイヤ部材をホルダに溶接するのが困難であり、製作に手間を要していた。
【0008】
また、特許文献1に開示されているワイヤ状部材は、金属のワイヤに樹脂をコーティングして形成されているため、ワイヤをホルダに溶接してからワイヤに樹脂をコーティングしないと、溶接の熱によって樹脂が溶けることがある。ところが、溶接後、ワイヤに樹脂をコーティングすると、コーティングの厚みを均一にすることが困難であり、表面がでこぼこになることがある。このため、従来のワイヤ状部材は、定着器から出てきたシートの先端がでこぼこに係合して、シートが詰まる原因になることがあった。
【0009】
また、シート詰まりが発生し易い、ガイドシュートを備えた画像形成装置は、シート詰まりを生じた分だけ、再度、シートに画像を形成しなければならないという課題を備えていた。
【0010】
本発明は、定着器を通過するときにシートから蒸発する水分が付着しても結露が生じることが少なく、円滑にシートを案内でき、さらに、容易に製作できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、トナー画像を形成されたシートを加熱してシートにトナー画像を定着する定着器と、トナー画像が定着されたシートを案内するワイヤ状のガイドと、前記ワイヤ状のガイドを保持するホルダと、を備え、前記ワイヤ状のガイドが、前記ワイヤ状のガイドの弾性を利用して前記ホルダに固定されている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置は、ワイヤ状のガイドの弾性によってワイヤ状のガイドが固定されるので容易に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図2】定着器のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるシート案内装置の外観斜視図である。
【図4】図3のシート案内装置の下ガイドユニットをシートが通過する側から見た平面図である。
【図5】図4のC−C矢視断面図であり、下ガイドユニットとリブとの関係を示した図である。
【図6】リブの端部にワイヤが露出した露出部が形成されていることを示す図である。
【図7】リブの部分詳細図である。
【図8】他のシート案内装置におけるリブと下ガイドユニットとの平面図であって、図4に相当する図である。
【図9】図8のE−E矢視断面図である。
【図10】図8のシート案内装置が、幅の異なるシートを案内するときの動作説明用の図である。
【図11】図8のシート案内装置がシートを案内するときの動作説明用のフローチャートである。
【図12】図8のシート案内装置に温湿度センサを設けた場合の図である。
【図13】図12に示す場合における、動作説明用のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置を説明する。なお、本実施の形態で示す数値は、参考数値であり、本発明を限定するものもではない。また、各構成も最良の実施形態を示すものであり、これら実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。画像形成装置50は、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの各色に対応して、第1乃至第4の画像形成部Pa,Pb,Pc,Pdが配列されている。これらの画像形成部は、潜像、現像、転写のプロセスを経て異なった色のトナー画像を転写ベルト130に順次重ねて形成するようになっている。
【0016】
画像形成部Pa,Pb,Pc,Pdは、それぞれ感光ドラム3a,3b,3c,3dを備えている。各感光ドラム3a,3b,3c,3d上には、各色のトナー画像が形成されるようになっている。感光ドラム3a,3b,3c,3d上に形成された各色のトナー画像は、各感光ドラム3a,3b,3c,3dに隣接して配置された転写ベルト130上に1次転写され、2次転写ローラ11によって、シートPに2次転写される。トナー画像が転写されたシートPは、定着器9で加熱及び加圧されてトナー画像を定着されて、画像形成装置50の外部に排出される。
【0017】
感光ドラム3a,3b,3c,3dの外周には、それぞれドラム帯電器2a,2b,2c,2d、現像器1a,1b,1c,1d、1次転写帯電器24a、24b、24c、24d及びクリーナ4a,4b,4c,4dが設けられている。画像形成装置50の上部には、不図示の光源装置およびポリゴンミラが設置されている。
【0018】
光源装置から発せられたレーザ光を、ポリゴンミラを回転して走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏向し、fθレンズにより感光ドラム3a,3b,3c,3dの母線上に集光して露光する。露光により、感光ドラム3a,3b,3c,3d上に画像信号に応じた潜像が形成される。
【0019】
現像器1a,1b,1c,1dには、現像剤としてそれぞれシアン、マゼンタ、イエロ及びブラックのトナーが、図示しない供給装置により所定量充填されている。現像器1a,1b,1c,1dは、それぞれ感光ドラム3a,3b,3c,3d上の潜像を現像して、シアントナー画像、マゼンタトナー画像、イエロートナー画像及びブラックトナー画像として可視化する。
【0020】
転写ベルト130は、ローラ13,14,15に案内されて矢印の方向に感光ドラム3aと同じ周速度をもって循環している。ローラ15は駆動ローラであり、他のローラ13,14は従動ローラである。
【0021】
感光ドラム3a上に形成された第1色のイエロートナー画像は、感光ドラム3aと転写ベルト130とのニップ部を通過する。この通過過程において、イエロートナー画像は、転写ベルト130に印加される1次転写バイアスにより形成される電界と、感光ドラム3aと転写ベルト130とのニップ圧とにより、転写ベルト130の外周面に1字転写される。同様に、第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が、順次、転写ベルト130上に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が転写ベルト130に形成される。
【0022】
転写ベルト130の外周面には、2次転写ローラ11が接触するように配設されている。2次転写ローラ11には、2次転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加されるようになっている。
【0023】
一方、シートPは、給紙カセット10から送り出されて、レジストローラ対12、不図示の転写前ガイドを通過し、転写ベルト130と2次転写ローラ11とのニップに所定のタイミングで給送され、同時に転写ベルト130に2次転写バイアスが印加される。この2次転写バイアスにより、転写ベルト130上に重畳転写されている合成カラートナー画像が、転写ベルト130からシートPへ合成カラートナー画像として2次転写される。
【0024】
1次転写が終了した感光ドラム3a,3b,3c,3dは、クリーナ4a,4b,4c,4dによって、転写残トナーを除去されて清浄になり、引き続き次の潜像の形成に備えられる。また、転写ベルト130上に残留したトナー及びその他の異物は、転写ベルト130の表面に当接しているクリーニングウエブ(不織布)19によって、拭い取られる。
【0025】
以上の構成において、画像形成部Pa,Pb,Pc,Pd、転写ベルト130及び2次転写ローラ11等は、画像形成手段を構成している。
【0026】
トナー画像が転写されたシートPは、定着器9へ送られて、定着器9に加熱加圧されて、トナー画像が定着される。
【0027】
また、トナー画像を定着されたシートPは、排出ローラ対40によって、排紙トレイ41に排出される。なお、シートは、排紙トレイ41上には画像形成面を上向きにされて(フェイスアップ状態)で排出される場合と、下向きにされて(フェイスダウン状態)で排出される場合とがある。
【0028】
上向きに排出されるシートPは、定着器9を出た後、搬送部42を直進して排出される。下向きに排出されるシートPは、定着器9を出た後、搬送部43,44を矢印方向にスイッチバック搬送され、表裏反転されて排出される。搬送部42,43,44の選択は、不図示の切替部材によって行なわれる。
【0029】
また、シートPは、両面にトナー画像を形成されて排出される場合もある。両面にトナー画像を形成されるシートは、一方の面にトナー画像を形成されて定着器9を通過した後、搬送部43,45を搬送される間にスイッチバック搬送され、表裏反転されて転写ベルト130と2次転写ローラ11とのニップに送り込まれる。そして、シートは他方の面にもトナー画像が形成されて排紙トレイ41に排出される。
【0030】
(定着器)
図2は、定着器のシート搬送方向に沿った断面図である。
【0031】
定着器9は、1対の加圧ローラ76と定着ローラ77とでシートを挟持しかつ回転しながら、シートを加熱加圧してシートにトナー画像を定着する加熱定着器である。定着ローラ77の代わりに後述する発熱源74を内在したフィルム筒であってもよい。
【0032】
定着ローラ77は、加圧ローラ76の上側に位置し、感光ドラム3a,3b,3c,3d(図1)側に位置している。定着ローラ77は、内部に発熱源74であるハロゲンヒータを有している。加圧ローラ76は、心金78の外周をゴム等の弾性体75で被覆して形成されている。加圧ローラ76は、定着ローラ77に圧接されて、定着ローラ77とでニップを形成している。定着ローラ77は、不図示の駆動手段により画像形成装置の本体からの回転力を受けて図2の矢印方向に回転するようになっている。回転中の定着ローラ77の表面は、不図示のサーミスタなどにより略一定の温度に維持されている。転写ベルト130からトナー画像79を転写されたシートPは、定着ローラ77と加圧ローラ76とのニップNPによって挟持搬送される。トナー画像79は、発熱源74の熱と、定着ローラ77と加圧ローラ76との間の挟持圧力とによってシートPに定着される。
【0033】
定着ローラ77は、トナー画像79の付着を防止するため、最外層として被覆樹脂層71を有している。被覆樹脂層71は、接着剤からなるプライマー層72によって芯金73に貼り付けられている。被覆樹脂層71には、シリコーンゴムやフッ素樹脂フィルム又はチューブが用いられる。好ましく用いられるフッ素樹脂材料としては、例として、パーフルオロアルコキシド(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレンと共重合体(FEP)などが挙げられる。
【0034】
そして、通常、定着器9は、被覆樹脂層71に例えばシリコーンオイルのような離型剤を塗布する離型剤塗布部91を備えている。離型剤塗布部91は、離型剤を含浸させたクリーニング用のウエブ80と、このウエブ80を捲回したウエブ供給ローラ85と、ウエブ80を巻取る巻取りローラ84と、ウエブ80を定着ローラ77に押圧するウエブ加圧ローラ81とを備えている。離型剤塗布部91は、ウエブ80を複写動作に合せて少しずつ送り、定着ローラ77の回転により、定着ローラ77に離型剤を塗布すると共に、定着ローラ77上に付着した現像剤を除去する。
【0035】
なお、クリーニングレスの定着器の場合は、離型剤塗布部91を備えておらず、定着ローラ77の表層の離型性のみにより現像剤の付着を防止している。
【0036】
したがって、本発明の画像形成装置は、定着器にクリーニングレスの定着器を使用しても良い。
【0037】
定着器9は、発熱源74から大量の熱が出て定着器9周辺の各部材を加熱し変形させたり、トナーを不必要に溶着させたりすることがあり、それらを防止するため断熱カバー83をハウジング82の上部内壁に有している。
【0038】
定着器9のシート搬送方向の下流側には、シートPを下流側に案内する下ガイドユニット88と上ガイドユニット89とが設けられ、さらに、下流側に定着後ロ−ラ対86,87が設けられている。下ガイドユニット88と上ガイドユニット89との間には、シート搬送領域90が形成されている。
【0039】
(シート案内装置)
図3は、本発明の実施の形態における画像形成装置に組み込まれているシート案内装置の外観斜視図である。シート案内装置92は、下ガイドユニット88と上ガイドユニット89によって構成されている。下ガイドユニット88は、ワイヤ状のガイドとしてのリブ31a乃至31kとリブ31a乃至31kを保持するホルダ88Aを備えている。上ガイドユニット89は、ワイヤ状のガイドとしてのリブ32a乃至32kと、リブ32a乃至32kを保持するホルダ89Aとで構成されている。
【0040】
以下、リブを総称して言うときには、符号を31,32とする。
【0041】
ホルダ88A,89Aは、シート搬送方向に対して交差して配置された長尺の部材である。ホルダ88A,89Aは、低熱容量の例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などの耐熱プラスチック製の部材である。なお、ホルダ88A,89Aは、金属製のガイド板であってもよい。
【0042】
下ガイドユニット88のシートが通過する側(下ガイドユニット88の上側)には、シート搬送方向(矢印A方向)に対して交差する方向(矢印B方向)に並んで複数のリブ31a乃至31kが設けられている。すなわち、複数のリブ31a乃至31kが複数並設されている。複数のリブ31a乃至31kは、ホルダ88Aに着脱自在に装着されて固定されている。上ガイドユニット89のシートが通過する側(上ガイドユニット89の下側)にも、シート搬送方向に対して交差する方向に並んで複数のリブ32a乃至32kが設けられている。すなわち、複数のリブ32a乃至32kが複数並設されている。ワイヤ状のガイドとしての複数のリブ32a乃至32kは、ホルダ89Aに着脱自在に装着されて固定されている。
【0043】
矢印B方向に複数配列されたリブ31,32は、定着器9から送り出されたシートPを案内するようになっている。この場合、シートは、リブ31,32との少なくとも一方に擦れながら搬送される。
【0044】
リブ31,32は、図7に示すように、線径0.5mm乃至1mm程度の弾性及び発熱性を備えたワイヤ301と、ワイヤ301に厚さ0.05mm乃至0.5mm程度のフッ素系樹脂を被覆した被覆部302とで、線状に形成されている。
【0045】
ワイヤ301には、ピアノ線が好適である。また、ワイヤ301には、発熱性を有する鉄−クロム−アルミ系や、ニッケル−クロム系の金属線を使用してもよい。さらに、リブ31,32は、ホルダ88A,89Aに1回装着すると、取り外して再度装着するようなことが少ないため、ワイヤ301に、多少弾性を備えて熱伝導性のよりすぐれた銅でできた燐青銅線を使用してもよい。なお、リブ31,32は、ワイヤ301の弾性の他に、フッ素系樹脂の被覆部302の弾性によっても、弾性を備えている。このため、リブ31,32は、ワイヤ301に燐青銅線を使用しても、多少なりとも弾性を備えて、ホルダ88A,89Aに着脱できるようになっている。
【0046】
フッ素系樹脂には、例として、パーフルオロアルコキシド(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレンと共重合体(FEP)などが挙げられる。PFA樹脂の場合の厚みは、薄すぎると被覆の耐久性がなく、厚すぎると、後述するようにリブ31,32を曲げたときに裂けやすいので、0.2mm程度が好ましい。
【0047】
リブ31,32は、ワイヤ301として金属製の線材を使用することにより、定着器9が冷えている状態からトナー画像をシートに定着可能な暖められた状態に変化するときに、リブ31,32の温度が上昇しやすくなりリブ自体で結露を防ぐことができる。また、リブ31,32は、ワイヤ301がフッ素系樹脂で被覆されているので、リブ31,32の表面の熱伝導率が下がり結露がより発生しにくくなると共に、トナーが付着しにくくなり、さらに、耐摩耗性にも優れるようになる。
【0048】
リブ31,32は、金属製のワイヤの周りにフッ素樹脂を被覆成型して線材状に形成された後、所望の形状に折り曲げられて、切断されることによって作成される、あるいは、切断されてから所定の形状に折り曲げて形成される。ワイヤのまわりに被覆するフッ素樹脂に、フッ素樹脂の中でも射出成型が容易なフルオロカーボン系樹脂を使用すると、ワイヤ301に対する被覆の厚みを均一にすることができる。このため、被覆に、フルオロカーボン系樹脂を使用するのが好ましい。
【0049】
このようにして作成されるリブ31,32は、いろいろな形状にすることができるので、シート案内装置92のみならず、画像形成装置内のいろいろな場所に合せて形状を変えて使用することができる。
【0050】
ホルダ88A及びホルダ89Aへの、リブ31a〜31k及び32a〜32kの装着手順を、図4、図5に基づいて説明する。図4は、図3のシート案内装置の下ガイドユニット88をシートが通過する側から見た平面図である。図5は、図4のC−C矢視断面図であり、下ガイドユニット88にリブ31fを取り付けた関係を示した図である。
【0051】
なお、下ガイドユニット88と上ガイドユニット89は、シート搬送領域90を中心に天地対象の形状をしている。同様に、リブ31a乃至31kとリブ32a乃至32kも、シート搬送領域90を中心に天地対象の形状をしている。このため、ホルダ88Aへのリブ31a乃至31kの装着手順と、ホルダ89Aへのリブ32a乃至32kの装着手順は、同様である。したがって、ホルダ88Aの形状と、ホルダ88Aへのリブ31a乃至31kの装着手順との説明をし、ホルダ89Aの形状と、ホルダ89Aへのリブ32a乃至32kの装着手順との説明は、一部省略する。
【0052】
ホルダ88Aの上流側と下流側とには、溝33,34がリブの数だけ形成されている。この溝33,34は、リブ31a乃至31kが係合して、シート搬送方向に対して交差する方向に等間隔に配列するために、両端(図4の両側)を除いて等間隔に形成されている。また、溝33,34は、リブ31がシート搬送方向に対して交差する方向に倒れないようにするためも形成されている。さらに、溝33,34は、リブ31が、シート搬送方向に沿った向きになるように、あるいは斜めの向きになるように形成されている。
【0053】
ホルダ89Aにも、溝33,34と同様な溝35,36(溝36は、図示省略)が形成されている。
【0054】
ホルダ88Aのシート搬送方向の上流側と下流側とには、被係合部としての凹部37,38と、上流側と下流側との凹部37,38の間のシートが通過する側に当接面としての突起39とがリブ31の数だけ形成されている。突起39は、ホルダ88Aのシート搬送方向の中央よりやや下流側に形成されている。ホルダ89Aにも、同様に、不図示の被係合部としての凹部と突起が形成されている。なお、突起39は、各凹部37,38に対応して個々に形成されることなく、シート搬送方向に対して交差する方向に連続して形成された突条であってもよい。また、突起39は、ガイドのシートが通過する側に中高に形成された円弧面であってもよい。
【0055】
リブ31は、中間部が突起39に受け止められた状態で弾性に抗して、矢印D方向に撓められて、リブの両端部である折り曲げられた折り部51,52が凹部37,38に跨った状態で係合して、ホルダ88Aに着脱自在に装着される。リブ31は、リブ31自身の弾性力を利用して装着される。言い換えれば、リブ31は、リブ31自身の復元力により折り部51,52が凹部37,38に係合してホルダ88Aに装着される(装着可能になっている)。リブ32も同様にしてホルダ89Aに装着される(装着可能になっている)。リブ31,32は自身の弾性によって突起39と凹部37,38とで上下で挟む状態で、ホルダ88A,89Aに固定される。
【0056】
リブ31は、ホルダ88Aに対して、凹部37,38、突起39の3箇所で接触するようになっているので、定着器9からの輻射熱やシートPから受ける熱により暖められても、暖められた熱がホルダ88Aに伝わることが殆ど無い。リブ31は、金属製のワイヤ301が暖められ易く、かつワイヤ301を被覆しているPFA樹脂である被覆部302によって、熱の発散が防止されるので、リブ31は、高温に保たれて、結露の発生が少ない。リブ32も同様にして、結露の発生が少ない。
【0057】
ホルダ88Aには多数の貫通孔310(図4)が形成されている。貫通孔310は、シート搬送方向と下ガイドユニット88の配置方向とに交差する方向(ホルダ88Aの厚み方向)に形成されている。貫通孔310は、定着器9の熱により加熱されたシートPから蒸発した水分が、ホルダ88Aを通過して、画像形成装置50内に拡散するようにして、局部的な湿度上昇を抑えるために形成されている。貫通孔310は、ホルダ89Aにも形成されて、局部的な湿度上昇を抑えている。ホルダ88A,89Aに局部的な湿度上昇が発生しないようにすることによって、シート案内装置92に結露が生じることが少なくなる。
【0058】
以上、説明したように、シート案内装置92は、定着器の熱によってリブのワイヤが暖められて、フッ素系樹脂の被覆がワイヤを保温するので、リブに結露が生じることが少なく、トナー画像に損傷を与えることなくシートを円滑に案内することができる。
【0059】
また、リブ31,32がホルダ88A,89Aに着脱できるように設けられているので、リブ31,32とホルダ88A,89Aを小型にしても、容易に製作することができる。
【0060】
この場合、リブ31,32は、中間部が突起39に受け止められた状態で弾性に抗してホルダ88A,89Aの凹部37,38に係合する3点接触であるので、リブ31,32自身の弾性によって、ホルダ88A,89Aに確実に装着されようになっている。リブ31,32は自身の弾性によって突起39と凹部37,38を挟む状態で、ホルダ88A,89Aに固定される。このため、シート案内装置92は、リブ31,32にシートが接触しながら通過しても、リブ31,32は、ホルダ88A,89Aに対してぐらつくことが殆どなく、シートを確実に案内することができる。
【0061】
また、各リブ31,32は、中間部が突起39に受け止められた状態でホルダ88A,89Aに装着されるので、シートを案内する中間部分31A(図5)の高さを揃えることができる。即ち、各リブ31,32における搬送されるシートと接触する箇所である中間部分31Aのシートの厚さ方向の位置が、突起39で確実に位置決めされる。このため、シート案内装置92は、シートを円滑に案内することができる。
【0062】
さらに、リブ31,32が、ホルダ88A,89Aに対して、3点接触しているので、定着器9からの輻射熱やシートPから受ける熱により暖められても、暖められた熱はホルダ88A,89Aに伝わることが殆ど無い。このため、リブ31,32に結露が生じることが殆ど無く、シート案内装置92は、シートを濡らすことなく、円滑に案内することができる。
【0063】
また、突起39がホルダ88Aのシート搬送方向の中央よりやや下流側に形成されている。このため、互いに向き合ったリブ31,32の間隔が、シート搬送方向の上流側から下流側にかけて、徐々に狭くなっているため、シート案内装置92は、シートを円滑に案内することができる。
【0064】
また、本発明のリブ31,32は、ワイヤ301にフッ素系樹脂を被覆して被覆部302を形成した線材を所望のリブ形状に曲げ及び切断して形成されていて、その後にホルダ88A,89Aに装着されている。このため、被覆部302の厚みが均一であり、リブ31,32は、表面が滑らであり、シートの引っ掛かりによるシートの詰まりを少なくすることができる。
【0065】
なお、以上の実施形態におけるリブ31,32は、図6に示すリブ46のように、ワイヤ301の定着器側(シート搬送方向の上流側)の端部部分を被覆部302に被覆されていない露出部301aにしてもよい。
【0066】
このようにすると、露出部301aは、画像形成装置が停止して冷えた状態から始動するとき、定着器9の輻射熱を速やかに吸収することができる。したがって、リブ46は、早く暖まることになる。一般に、リブが十分に温まっていない状態で、画像形成装置が画像形成動作を開始すると、定着器を通過するシートから蒸発した水分が、冷えたリブに接触して結露を生じる。しかし、図6に示すリブ46のように、早く温まることによって、画像形成装置は、早く、画像形成動作を開始することができるようになる。
【0067】
以上説明したシート案内装置92は、定着器9からの輻射熱を利用してリブ31,32を暖めてリブ31,32に結露が生じるのを少なくしている。
【0068】
次に説明する他のシート案内装置192は、定着器9からの輻射熱によって暖められることの他に、リブ31,32に電流を流して、リブ31,32を積極的に発熱させて、リブ31,32に結露が生じるのを少なくしている。シート案内装置192において、前述のシート案内装置92と同一部分については、同一符号を付して、その部分に説明は、省略する。
【0069】
図8は、他のシート案内装置192におけるリブと下ガイドユニットとの平面図であって、前述のシート案内装置92の図4に相当する図である。図9は、図8のE−E矢視断面図である。
【0070】
図9に示すように、リブ31fの折り部51,52が係合する(係合可能な)ホルダ88Aの凹部37,38には、リブ31fのワイヤ301が接触する電極193,194が設けられている。電極193,194には、スイッチ303fと電源Gとが接続されている。電極193,194とスイッチ303fと電源Gは、閉回路を形成している。なお、ホルダ88A,89Aに金属製のガイド板を使用したとき、電極193,194は、絶縁部材を介してガイド板に設けられる。
【0071】
電極193,194は、リブ31a乃至31kが係合するホルダ88Aの上流側と下流側の凹部37,38に、リブ31a乃至31kのワイヤ301が個々に接触するように複数設けられている。リブ31a乃至31kのワイヤ301は、リブの弾力によって電極193,194に接触させられている。そして、各電極193,194には、図8に示すように、閉回路を形成するスイッチ303a乃至303kと電源Gが接続されている。
【0072】
各スイッチ303a乃至303kは、スイッチ選択部としてのCPU195に選択されてON、OFFするようになっている。CPU195には、シートの幅(シート搬送方向に対して交差する方向の長さ)を検知するシートサイズ検知部196が接続されている。シートサイズ検知部196は、シート案内装置192のシート搬送方向の上流側に設けられている。
【0073】
リブ31a乃至31kの被覆部は、絶縁部を兼用しており、ホルダ88Aに対して、ワイヤを絶縁している。また、リブ31a乃至31kの定着器9側は、被覆部を設けないで、定着器9の熱によってワイヤが早目に温まるようにしてもよい。但し、ワイヤの露出した部分に他の部材が接触しないように位置関係を考慮する必要がある。
【0074】
同様に、不図示の上ガイドユニットにも、リブが個々に接触する複数の電極が設けられ、各電極は、スイッチと電源とで閉回路を形成している。そして、各スイッチは、CPU195に選択されてON,OFFするようになっている。
【0075】
なお、CPU195とシートサイズ検知部196は、下ガイドユニット88と上ガイドユニット89とに共通に使用されている。
【0076】
図10と図11とに基づいて、シート案内装置192の動作を説明する。図10は、図8のシート案内装置が、幅の異なるシートを案内するときの動作説明用の図である。図11は、図8のシート案内装置がシートを案内するときの動作説明用のフローチャートである。
【0077】
シートが定着器9に進入する前に、或いは定着器9を出てくるときにシートサイズ検知部196がシートの幅を検知する。CPU195は、シートサイズ検知部196のシートの幅情報に基づいて、シートの幅に対応するスイッチを選択してON状態にする。
【0078】
図10(A)に示すように、幅の広いシートP1の場合(S111でYES)、CPU195は、全てのスイッチ303a乃至303kを選択してONにする(S113)。スイッチがONになると、リブ31a乃至31kに電流が流れて各リブのワイヤ301が発熱する。
【0079】
また、図10(B)に示すように、幅の狭いシートP2の場合(S111でNO、S115でYES)、CPU195は、シートの幅に対応するスイッチ303d乃至303hを選択してONにする。そして、他のスイッチ303a乃至303c、303i乃至303kはOFFのままにしておく(S117)。スイッチがONになった、リブ31d乃至31hに電流が流れて各リブのワイヤ301が発熱する。
【0080】
シートが搬送されて来ないとき(S111、S115共にNO)、CPU195は、全てのスイッチ303a乃至303kをOFFのままにしておく(S119)。
【0081】
上ガイドユニットの場合も同様にして、CPU195が、シートの幅に応じて、スイッチを選択し、リブを発熱させる。
【0082】
このようにして、発熱したリブは、シートから蒸発した水分が付着しても、その水分を直ぐに蒸発させるため、結露を生じることが少ない。したがって、シート案内装置192は、前述のシート案内装置92と同様に、結露によるシートの案内に支障を生じさせることなく、シートを円滑に案内することができる。
【0083】
なお、シートの幅に応じて、電流を流すリブを選択しているのは、理由は、次の通りである。
【0084】
幅の狭いシートを案内する場合、シートが接触しないリブがある。このため、全てのリブに電流を流していると、シートが接触したリブは、シートによって熱を多少なりとも奪われて、温度が下がる。しかし、シートが接触していないリブは、シートによって熱を奪われることがなく、温度が下がらない。この状態において、後続のシートが、幅広のシートであると、その幅の広いシートは、温度が下がったリブだけでなく、温度が下がっていないリブにも案内されて、搬送される。このため、温度が下がっていないリブを通過するトナー画像の部分は、多少なりとも解けて、すじを付けられる。この結果、トナー画像の画質が低下する。
【0085】
このような、理由から、シート案内装置192は、シートの幅に対応しないリブには電流を流さないで、トナー画像にすじが生じることなくトナー画像の画質の低下を防止している。また、余計なリブに電流を流さないことによって、消費電力を少なくすることができる。さらに、シート案内装置192を不必要に温度を上昇させることが無いので、シート案内装置192の周囲の部材に耐熱性の高い、高価な部材を使用する必要が無い。
【0086】
以上の説明において、シートの幅情報は、シートサイズ検知部196の検知によって得られるようになっているが、ユーザが画像形成装置に入力したシートに関する情報から得てもよい。したがって、シートサイズ検知部196は、必ずしも必要としない。
【0087】
なお、リブは、電流を流さなくても、定着器9の輻射熱によって、暖められるようになっている。このため、画像形成装置50内の湿度が低い場合には、リブに電流を流してリブを強制的に暖めなくても、リブに付着した水分が蒸発して結露を生じることがない。
【0088】
そこで、図12に示す、温度と湿度とを測定する温度湿度測定部としての温湿度センサ197を画像形成装置50内に設けておく。温湿度センサ197が画像形成装置50内の測定湿度の値が、測定温度に応じて決定される所定の値以上になったことを検知したとき(図13のS131でYES)、CPU195は、リブに電流を流す(S133乃至S141)。なお、S133乃至S141の処理は、S111乃至S119と同様であるので説明は省略する。
【0089】
なお、温度に応じて決定される湿度の所定の値はリブに結露が生じない臨界値である。したがって、温湿度センサ197を設けることによって、結露が発生しない温湿度環境下のもとでは、電流を流さないで、余計な電力を使うことなく省エネルギとなる。
【符号の説明】
【0090】
P:シート、Pa,Pb,Pc,Pd:第1,第2,第3,第4の画像形成部(画像形成手段)、3a,3b,3c,3d:感光ドラム(画像形成手段)、9:定着器、31a〜31k:リブ(ガイド)、32a〜32k:リブ(ガイド)、37:凹部(被係合部)、39:突起(当接面)、46:リブ、50:画像形成装置、51,52:折り部、79:トナー画像、88:下ガイドユニット(ガイド部材)、88A:ホルダ、89:上ガイドユニット(ガイド部材)、89A:ホルダ、92:シート案内装置、192:シート案内装置、193,194:電極195:CPU(スイッチ選択部)、196:シートサイズ検知部、197:温湿度センサ(温度湿度測定部)、198:301:ワイヤ、301a:露出部、302:被覆部、303a〜303k:スイッチ、310:貫通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像を形成されたシートを加熱してシートにトナー画像を定着する定着器と、
トナー画像が定着されたシートを案内するワイヤ状のガイドと、
前記ワイヤ状のガイドを保持するホルダと、を備え、
前記ワイヤ状のガイドが、前記ワイヤ状のガイドの弾性を利用して前記ホルダに固定されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ホルダは、前記ワイヤ状のガイドの両端部が係合する被係合部と、前記被係合部の間に形成された、前記ワイヤ状のガイドの中間部が当接する当接面と、有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ワイヤ状のガイドは、自身の弾性によって前記当接面と前記被係合部を挟む状態で、前記ホルダに固定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ホルダに保持される前記ワイヤ状のガイドは、金属製の線材に樹脂を被覆して形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ホルダに保持される前記ワイヤ状のガイドの前記定着器の側の一部は、前記樹脂での被覆がされていない、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ワイヤ状のガイドは、シート搬送方向に対して交差する方向に複数並設され、
前記ホルダに設けられて、前記複数のワイヤ状のガイドの金属製の線材が個々に接触する複数の電極と、
前記各電極と電源との間に設けられた複数のスイッチと、
前記複数のスイッチの内、シートのサイズに対応するスイッチを選択してON、OFFするスイッチ選択部と、を備えた、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
温度と湿度とを測定する温度湿度測定部を備え、
前記スイッチ選択部は、前記温度湿度測定部による測定湿度が、前記温度湿度測定部による測定温度に応じて決定される所定の値以上になると、前記スイッチを選択してON、OFFする、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー画像を形成されたシートを加熱してシートにトナー画像を定着する定着器と、
トナー画像が定着されたシートを案内するワイヤ状のガイドと、
前記ワイヤ状のガイドを保持するホルダと、を備え、
前記ワイヤ状のガイドが、前記ワイヤ状のガイドの弾性を利用して前記ホルダに固定されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ホルダは、前記ワイヤ状のガイドの両端部が係合する被係合部と、前記被係合部の間に形成された、前記ワイヤ状のガイドの中間部が当接する当接面と、有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ワイヤ状のガイドは、自身の弾性によって前記当接面と前記被係合部を挟む状態で、前記ホルダに固定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ホルダに保持される前記ワイヤ状のガイドは、金属製の線材に樹脂を被覆して形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ホルダに保持される前記ワイヤ状のガイドの前記定着器の側の一部は、前記樹脂での被覆がされていない、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ワイヤ状のガイドは、シート搬送方向に対して交差する方向に複数並設され、
前記ホルダに設けられて、前記複数のワイヤ状のガイドの金属製の線材が個々に接触する複数の電極と、
前記各電極と電源との間に設けられた複数のスイッチと、
前記複数のスイッチの内、シートのサイズに対応するスイッチを選択してON、OFFするスイッチ選択部と、を備えた、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
温度と湿度とを測定する温度湿度測定部を備え、
前記スイッチ選択部は、前記温度湿度測定部による測定湿度が、前記温度湿度測定部による測定温度に応じて決定される所定の値以上になると、前記スイッチを選択してON、OFFする、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−78803(P2012−78803A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190727(P2011−190727)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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