説明

画像形成装置

【課題】潤滑剤を塗布するためにローラを用いる構成であっても、そのローラをクリーニングするための専用の部材を必要とせず、省スペースかつ低コストで安定した潤滑剤の供給を行う。
【解決手段】像担持体を用いて画像形成を行う画像形成装置について、潤滑剤を像担持体に供給塗布する潤滑剤塗布ローラを、制御手段による所定のクリーニング制御でクリーニングするようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば感光体ドラムなどの像担持体表面に潤滑剤を塗布する構成を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナー粒子を付着させ可視像を形成している。トナーにより形成された可視像は、最終的に紙等の転写媒体に転写後、熱,圧力や溶剤気体等によって転写媒体に定着され、出力画像となる。
【0003】
これらの画像形成の方式は、可視像化のためのトナー粒子を帯電させる方法により、トナー粒子とキャリア粒子の攪拌・混合による摩擦帯電を用いる、いわゆる二成分現像方式と、キャリア粒子を用いずにトナー粒子への電荷付与を行う、いわゆる一成分現像方式とに大別される。また、一成分現像方式では、現像ローラへのトナー粒子の保持に磁気力を使用するか否かにより、磁性一成分現像方式、非磁性一成分現像方式に分類される。
【0004】
これまで、高速性、画像再現性を要求される複写機やこれをベースとした複合機等では、トナー粒子帯電の安定性、立ち上がり性、画像品質の長期的安定性等の要求から、二成分現像方式が多く採用され、省スペース性、低コスト化等の要求が大きい、小型のプリンター,ファクシミリ等には、一成分現像方式が多く採用されてきていた。
【0005】
また、特に昨今、出力画像のカラー化が進み、画像の高画質化や画像品質の安定化に対する要求は、これまでにも増して強くなっている。
高画質化のため、トナーの平均粒径は小さくなり、またその粒子形状は角張った部分がなくなり、より丸い形状になってきている。
【0006】
こうした電子写真方式による画像形成装置は、現像方式の違いによらず、一般的にドラム形状やベルト形状をした像担持体(一般には感光体)を回転させつつ一様に帯電させ、レーザー光等により像担持体上に潜像パターンを形成し、これを現像装置により可視像化して、更に転写媒体上に転写を行っている。
【0007】
また、転写媒体へトナー像を転写した後の像担持体上には、転写されなかったトナー成分が残存することがある。これらの残存物が、そのまま帯電工程に搬送されると、像担持体の均等な帯電を阻害することがしばしば有るため、一般的には、転写工程を経た後に、像担持体上に残存するトナー成分等を、クリーニング工程にて除去し、像担持体表面を十分に清浄な状態とした上で、帯電が行われる。
【0008】
この様に、作像の各工程においては様々な物理的ストレスや電気的ストレスが存在するため、像担持体、帯電部材、クリーニング部材は徐々に劣化していくこととなる。
【0009】
この課題を解消すべく、これまでにも像担持体、帯電部材、クリーニング部材の劣化を低減させるために、各種潤滑剤や、潤滑成分の供給・膜形成方法について、多くの提案がなされている。
【0010】
例えば、感光体やクリーニングブレードの寿命を延ばすため、像担持体表面にステアリン酸亜鉛を主成分とする固体潤滑剤を供給し像担持体表面に潤滑皮膜を形成する技術が知られている。これによって像担持体表面の摩耗を抑え、像担持体の寿命を伸ばすことが可能となっている。
【0011】
特許文献1では、具体的な固体潤滑剤の塗布方法として、潤滑剤供給装置が示されている。この特許文献1に記載された潤滑剤供給装置は、バー状の固体潤滑剤に当接し、これを摺擦することで削り取った微粉末状の潤滑剤を感光体ベルトや中間転写ベルト(潤滑剤供給対象)に供給するブラシローラ(供給部材)を備えている。固体潤滑剤は、潤滑剤保持部材に保持されており、その潤滑剤保持部材にはバネ(付勢手段)が当接している。固体潤滑剤は、このバネの付勢力によりブラシローラへ押圧されている。ブラシローラが回転すると、これに当接している固体潤滑剤が摺擦され、これにより削り取られてブラシローラに付着した潤滑剤が、感光体ベルトや中間転写ベルトの表面に塗布される。また、この潤滑剤供給装置には、潤滑剤均しブレードが設けられている。この潤滑剤均しブレードは、感光体ベルトや中間転写ベルトの表面に塗布された潤滑剤を押し広げて、その表面に厚みの均一な潤滑剤層を形成するためのものである。
【0012】
しかしながら、バネが当接してブラシローラへ押圧される構成においては、固体潤滑剤が削れていくに従いバネが伸びていくため、必然的に押圧力は弱まっていく。その結果固体潤滑剤の削れ量は低下していき、感光体や中間転写ベルトへ供給される固体潤滑剤の量も低下するため、感光体や中間転写ベルトを十分に保護することができなくなる虞があった。
【0013】
これらの問題に対して特許文献2では、固体潤滑剤を保持する部材に、可動の押し当て部材を設け、それをバネ部材で加圧することによって、固体潤滑剤が削れていく経時においても、同じ加圧力を保つことができるとしている。
【0014】
一方、像担持体へのストレスはクリーニング工程から受けるものばかりではなく、帯電工程からも受け、その電気的ストレスは像担持体表面の状態を大きく変化させる。また、この電気的ストレスは、像担持体表面近傍で放電現象を伴う、接触帯電方式や近接帯電方式で顕著である。これらの帯電方式では、像担持体表面で多くの活性種や反応生成物が発生し、また、放電領域の大気中で発生した活性種や反応性生物の像担持体表面への吸着が多く生じる。
【0015】
上述したステアリン酸亜鉛を用いた潤滑剤は、像担持体表面を比較的均等に覆い良好な潤滑性及び保護性を与える。そのため、像担持体を帯電させる際に交流電圧を印加する作像プロセスで問題になっている感光体摩耗を防止するためにはステアリン酸亜鉛を使用することで容易に解決できる。
【0016】
しかし、ステアリン酸亜鉛はクリーニング性という面で大きな問題がある。通常の作像プロセスでは転写後の残トナーを感光体表面から除去する方式としてブレードクリーニング方式が採用されているが、ステアリン酸亜鉛はこのブレードをトナーがすり抜けやすい性質がある。クリーニングブレードをトナーがすり抜けると、そのトナーが直接画像に出たり、帯電部材の汚染をさらに加速してしまう虞があった。
こうして帯電部材が汚染されると、濃度ムラ等の異常画像が発生してしまう。このトナーすり抜けは、昨今の小粒経で球形のトナーであるほど発生の可能性が高い。こうしてトナーなどのすり抜けが発生すると、クリーニングブレードを摩耗させ作像装置が短寿命になってしまう虞があった。
また、ステアリン酸亜鉛は電気的ストレスを受けやすく、劣化しやすい。その結果、潤滑性がより失われ、トナーすり抜けや帯電部材の汚染をさらに加速させる虞があった。
【0017】
そこで、特許文献3では、像担持体表面にステアリン酸亜鉛を主成分とする固体潤滑剤に、無機潤滑剤の1つである窒化ホウ素を添加した各種潤滑剤を供給することで、帯電工程による像担持体表面への電気的ストレスを受けても、潤滑性が低下し難く、しかも像担持体表面全体に亘って潤滑剤の皮膜を形成して高い潤滑性を維持することができるとしている。また、トナーのクリーニング性が飛躍的に向上しており、近年の小粒経かつ円形度の高いトナーをクリーニングすることが可能としている。
【0018】
さらに、ステアリン酸亜鉛を始めとする脂肪酸金属塩に無機潤滑剤や無機微粒子を含ませた固体潤滑剤の実現手段の1つとして、圧縮成型によってバー状に固形化する製法が提案されている。
【0019】
こうした固体潤滑剤を用いて、像担持体表面に潤滑剤を安定的に供給するために、潤滑剤塗布ローラを用いることが知られている。こうした潤滑剤塗布ローラのクリーニングとしては、例えば特許文献4では、塗布ブラシについたトナーを静電的に回収するトナー回収部材を備えている。
【0020】
また、特許文献5では、潤滑剤供給兼クリーニング部材を用いることで、潤滑剤供給とクリーニングとを同時に行うようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上述した特許文献4のように、トナーを回収するためのトナー回収部材を追加で備えるようにすると、より広いスペースを必要とする上に、追加のためのコスト発生してしまう。
【0022】
また、上述した特許文献5のものは、潤滑剤供給兼クリーニング部材に+電圧を印加することでクリーニングすることについてしか考慮されていなかった。
【0023】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、潤滑剤を塗布するためにローラを用いる構成であっても、そのローラをクリーニングするための専用の部材を必要とせず、省スペースかつ低コストで安定した潤滑剤の供給ができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
かかる目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、像担持体を用いて画像形成を行う画像形成装置であって、潤滑剤を像担持体に供給塗布する潤滑剤塗布ローラと、潤滑剤塗布ローラを所定のクリーニング制御でクリーニングするよう制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、潤滑剤を塗布するためにローラを用いる構成であっても、そのローラをクリーニングするための専用の部材を必要とせず、省スペースかつ低コストで安定した潤滑剤の供給ができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態としてのカラープリンタの概略的な構成を示す縦断面図である。
【図2】感光体ドラム1周りの構成を概略的に示す図である。
【図3】制御のための構成例を示すブロック図である。
【図4】本実施形態による電気的バイアス印加の制御例を示す図である。
【図5】本実施形態による電気的バイアス印加の他の制御例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明に係る画像形成装置を適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略を示す断面構成図である。この図に示す画像形成装置は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラープリンタであり、装置本体のほぼ中央部に4個の作像ユニット10(Y,C,M,K)を配設している。各作像ユニット10(Y,C,M,K)は、中間転写ベルト56の下部走行辺に沿って並設されている。支持ローラ52〜55に巻き掛けられた中間転写ベルト56は、図1中、反時計回りに走行駆動される。中間転写ベルト56の内側には、各作像ユニット10が備える感光体ドラム1(Y,C,M,K)に対向するように、一次転写手段としての一次転写ローラ51が設けられている。そして、左側の支持ローラ55の外側に、中間転写ベルト56をクリーニングするベルトクリーニングユニット57が配置されている。
【0029】
各作像ユニット10は、感光体ドラム1を具備して作像を行うものであり、扱うトナーの色が異なるのみで構成は同一である。
図2に、感光体ドラム1周りの構成を概略的に示す。
この図2に示すように、本実施形態としての画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体としての感光体ドラム1周りの概略的な構成として、潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布ローラ2と、クリーニングブレード4と、所定の電圧を印加する帯電ローラ5と、現像装置6とを備える。
【0030】
各作像ユニット10は、プロセスカートリッジとしてプリンタ本体に着脱可能に設けられている。
【0031】
潤滑剤塗布ローラ2には、付勢機構31により固体潤滑剤3が所定圧力で押圧されるよう設けられ、感光体ドラム1に対して潤滑剤を充分かつ安定して供給塗布することができるものである。このため、像担持体である感光体ドラム1のクリーニング不良が防止され、高品質な画像を得ることが可能となる。特に、円形度が0.95以上であるトナーを用いることによって高精細な画像の形成が可能となるが、こうしたクリーニングし難い円形度の高いトナーを用いる場合であっても感光体ドラム1を良好にクリーニングできるため、本実施形態の画像形成装置は、高精細な画像を経時的に出力することができる。
【0032】
クリーニングブレード4は、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の材料を板状に形成してなり、そのエッジが感光体ドラム1表面に当接するようにして設けられ、転写後に残留する感光体ドラム1表面のトナーを除去する。
【0033】
現像装置6は、感光体ドラム1に当接する位置に現像スリーブ7を備え、後述のように感光体ドラム1表面の静電潜像に応じた各色のトナー像を形成する。この現像装置6は、二成分現像方式であってもよく、一成分現像方式であってもよい。
【0034】
また、潤滑剤塗布ローラ2は、制御部100を介して電源400に接続され、制御部100の制御により、潤滑剤塗布ローラ2に所定の電気的バイアスを印加できるようになっている。
このように、制御部100による制御を経由して電源400が潤滑剤塗布ローラ2に接続されることで、潤滑剤塗布ローラ2に所定の電気的バイアスを印加するための電圧印加手段として機能する。
【0035】
図1に戻り、4つの作像ユニット10が並ぶタンデム作像部の下方には光書き込み装置9が設けられている。光書き込み装置9はポリゴンミラーやミラー群等を有しており、光変調されたレーザ光を各色作像ユニットの感光体ドラム1の表面に照射する。
【0036】
装置本体の最下部には、用紙(記録媒体)を積載する給紙トレイ20が配設されている。給紙トレイ20の右側には給紙トレイに積載された用紙を送り出す給紙ローラ21があり、図示しない分離手段も設けられる。給紙ローラ21の上方(用紙搬送方向の下流側)にはレジストローラ22が設けられている。レジストローラ22の上方には、二次転写手段としての二次転写ローラ61が、転写対向ローラ52に対向して設けられ、二次転写部を形成している。
【0037】
二次転写部の上側には定着装置70が設けられている。本例の定着装置70は、加熱ローラ72と定着ローラ73に掛け渡された定着ベルト73を有するものであり、これに加圧ローラ74が圧接されている。定着装置70は、二次転写部にて未定着トナー像が転写された用紙を加熱・加圧することにより定着する。定着装置70の斜め上方には排紙ローラ91が設けられ、装置上面に形成された排紙トレイ上に定着後の用紙を排出する。
【0038】
次に、本実施形態としてのカラープリンタにおける制御のための構成について、図3を参照して説明する。
【0039】
本実施形態としてのカラープリンタは、図3に示すように、装置全体の制御を行う制御部100と、上述のように画像形成を行う各構成としての画像形成部200と、温度センサ310と、湿度センサ320と、電源400とを備える。
【0040】
このように、本実施形態のカラープリンタでは、環境条件として、温度センサ310が温度を測定し、湿度センサ320が相対湿度および絶対湿度を測定する。
電源400は、AC100Vの家庭用電源等の入力から、DC電力を装置内に安定的に供給する。
【0041】
次に、本実施形態としてのカラープリンタにおける基本的な画像形成動作について、概略的に説明する。
【0042】
上述した作像ユニット10の感光体ドラム1が図示しない駆動手段によって図1中で時計方向に回転駆動され、その感光体ドラム1の表面が帯電手段2によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体表面には、光書き込み装置9からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム1表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム1に露光される画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及び黒の色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体ドラム1表面に形成された静電潜像に現像装置6から各色トナーが付与され、トナー像として可視化される。
【0043】
また、中間転写ベルト56が図1中で反時計回りに走行駆動され、各作像ユニット10に対する一次転写ローラ51の作用により、感光体ドラム1から中間転写ベルト56に各色トナー像が順次重ね転写される。このようにして中間転写ベルト56はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
【0044】
なお、作像ユニット10のいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。モノクロプリントの場合は、4個の作像ユニットのうち、図1中で一番右側のK(黒)ユニットを用いて画像形成を行う。
【0045】
そして、トナー像を転写した後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニングブレード4によって感光体ドラム1表面から除去され、次いでその表面が除電器の作用を受けて表面電位が初期化されて次の画像形成に備える。
【0046】
一方、給紙トレイ20から用紙が給送され、レジストローラ対22によって、中間転写ベルト56上に担持されたトナー像とのタイミングを取って二次転写位置に向けて送出される。本例では二次転写ローラ61には中間転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置70を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に熔融定着される。定着された用紙は、排紙ローラ91により装置本体の上面に配置された排紙トレイに排出される。
【0047】
感光体上ドラム1上の残留トナーは、クリーニングブレード4によってクリーニングされ、また中間転写ベルト56上の残留トナーはベルトクリーニングユニット57によってクリーニングされ、これらの廃トナーは不図示の廃トナー搬送スクリュにより、プロセスカートリッジから画像形成装置内の不図示の廃トナーボトルに排出される。
【0048】
次に、本実施形態による潤滑剤塗布ローラ2のクリーニング動作について、図4を参照して説明する。
【0049】
画像形成の際、作像ユニット10の感光体ドラム1は上述のように図1、図2中で時計方向に回転駆動され、感光体ドラム1表面に静電潜像が形成された後、現像装置6により各色トナーが付与され、トナー像が形成される。
【0050】
こうして感光体ドラム1表面にトナー像が作像された部分の全てが、感光体ドラム1の回転により潤滑剤塗布ローラ2の位置を通過した後、制御部100は、図2のように接続された電源400により、電圧の正負を所定回数入れ替えるようにして潤滑剤塗布ローラ2に電気的バイアスを印加する。図4の例では、プラスバイアス→マイナスバイアスという電圧の正負入れ替えを3セット行う場合について示す。
【0051】
また、本実施形態では、図4に示すように、こうした電気的バイアスの印加を、本実施形態としてのカラープリンタにより画像形成した用紙が装置外に排出される前に行う。このことにより、上述した潤滑剤塗布ローラ2への電気的バイアスの印加動作を一連の画像形成動作の一部として行うことができ、ユーザに待ち時間を別にとらせたり別途専用に動作させたりする必要をなくすことができる。
【0052】
電気的バイアスとして印加する最大電圧は、温度センサ310により測定された温度や、湿度センサ320により測定された相対湿度および絶対湿度に基づいて、制御部100が予め定められた制御アルゴリズムにより決定する。
【0053】
また、図5に示すように、感光体ドラム1表面へのトナー像の作像中に、制御部100が潤滑剤塗布ローラ2に所定の電気的バイアスを印加する構成であってもよい。この構成例によれば、例えばトナーがマイナス帯電であれば制御部100がマイナスのバイアスを潤滑剤塗布ローラ2に印加しておくことで、トナー像の作像中に潤滑剤塗布ローラ2がトナーで汚れることを軽減でき、より安定したクリーニングを行うことができる。
【0054】
このトナー像の作像中に印加する電気的バイアスは、予め定められたものであれば各種条件に応じた任意の電圧であってよい。
【0055】
以上のように、上述した実施形態は、以下の特徴を有する。
第1の特徴として、上述した実施形態のカラープリンタは、像担持体と像担持体に対向して潤滑剤の供給を行う潤滑剤塗布ローラとを備える装置において、このローラをクリーニングし安定的に潤滑剤供給を行うためのクリーニングモードを有することを特徴とする。
【0056】
第1の特徴によれば、クリーニングモードによって塗布ローラのクリーニングが行われ、安定した潤滑剤の供給ができる。
このため、新たに部材を追加することでスペースをとられたり、そのためのコストをかける必要なく、クリーニングモードを設けることで塗布ローラのクリーニングができ、安定した潤滑剤の供給ができる。
【0057】
また、第2の特徴として、上述した実施形態のカラープリンタは、クリーニングモードを、像担持体への作像終了後(書き込み終了し、最後に書き込みした部分が塗布ローラを通過した後)に行い、かつ、画像形成装置全体としての画像形成動作終了前(排紙終了前)に終えることを特徴とする。
【0058】
像担持体への作像終了後(書き込み終了し、最後に書き込みした部分が塗布ローラを通過した後)も、画像形成装置全体としての用紙への画像形成動作は続いている。すなわち、例えば像担持体よりも下流側にある定着ユニットや紙を排出する排紙ローラなどは像担持体作像終了後も動作している。
【0059】
したがって、第2の特徴によれば、像担持体の作像終了後(書き込み終了し、最後に書き込みした部分が塗布ローラを通過した後)にクリーニングモードを行い、かつ画像形成装置全体の作像動作終了前(排紙終了前)に終えるため、ユーザへの余計なお待たせ時間を発生させることなく、クリーニングを行うことが可能となる。
【0060】
また、第3の特徴として、上述した実施形態のカラープリンタは、クリーニングモードとして、塗布ローラに電気的バイアスを印加することを特徴とする。
【0061】
トナーは帯電した粒子である。電気的バイアスの印加により静電的にトナーを移動させることが可能なため、第3の特徴により、安定したクリーニングが可能となる。
【0062】
また、第4の特徴として、上述した実施形態のカラープリンタは、塗布ローラに印加するバイアスが、電圧の正負を所定回数入れ替えた電気的バイアスであることを特徴とする。
【0063】
第4の特徴によれば、このように一時的なACバイアスを印加することにより、塗布ローラに付着しているいずれの極性のトナーも動かすことができる。このため、より確実に付着トナーを除去することができ、より安定したクリーニングを行うことができる。
【0064】
また、第5の特徴として、上述した実施形態のカラープリンタは、上述した電気的バイアスを、像担持体へのトナー像の作像終了直後のみではなく、作像中にもかけておくことを特徴とする。
【0065】
第5の特徴によれば、作像時に潤滑剤塗布ローラにトナーがつきにくいようなバイアス(例えばトナーがマイナス帯電であればマイナスのバイアスを印加しておく)に制御しておくことにより、作像中の潤滑剤塗布ローラの汚れを軽減できる。このため、より安定したクリーニングを行うことができる。
【0066】
また、第6の特徴として、上述した実施形態のカラープリンタは、印加するバイアスを、温度や湿度といった環境条件に応じて変化させることを特徴とする。
【0067】
温度や湿度といった環境条件によって、潤滑剤塗布ローラなど部材の抵抗や、トナーの帯電量は変化する。したがって、環境によってクリーニング時の電気的バイアスの最適値は異なる。
第6の特徴によれば、各環境で最もクリーニングに適したバイアスに設定することにより、安定したクリーニングを行うことができる。また必要以上のバイアスをかけることがなくなるため、余分な電力の消費も抑えることができ、省エネとすることもできる。
【0068】
また、第7の特徴として、上述した実施形態のカラープリンタは、潤滑剤塗布ローラに電気的バイアスを印加するための電源制御を、他の部分と共通とした構成であってもよい。
【0069】
例えば、図1で示されるような4連タンデム中間転写方式を採用する画像形成装置について、二次転写ローラ(中間転写ベルトから用紙に転写するローラ)に対してもクリーニングモードを行い、この二次転写ローラにおけるクリーニングモードとして、上述した実施形態における潤滑剤塗布ローラへの電気的バイアスと共通化された電源制御により電気的バイアスを印加する構成としてもよい。
【0070】
このように、上述した実施形態におけるクリーニングモードでの電気的バイアス印加のための電源制御を、他の部分へのクリーニングモードと共通にすることにより、新たに電源制御のための構成を追加する必要をなくすことができる。このため、省資源、省スペースかつ低コストとすることができる。
【0071】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0072】
例えば、上述した実施形態では、画像形成を行う対象である記録媒体を用紙として説明したが、画像形成可能であればこのものに限定されず、各種の透明フィルム等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
上述した本発明に係る画像形成装置は、カラープリンタに限定されず、モノクロプリンタなど、像担持体表面に潤滑剤を塗布する各種の画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 感光体ドラム(像担持体の一例)
2 潤滑剤塗布ローラ
3 固体潤滑剤
31 付勢機構
4 クリーニングブレード
5 帯電ローラ
6 現像装置
7 現像スリーブ
56 中間転写ベルト
61 二次転写ローラ
100 制御部
310 温度センサ
320 湿度センサ
400 電源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2001−305907号公報
【特許文献2】特開2007−293240号公報
【特許文献3】特開2006−350240号公報
【特許文献4】特開2009−300650号公報
【特許文献5】特開2009−300836号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を用いて画像形成を行う画像形成装置であって、
潤滑剤を前記像担持体に供給塗布する潤滑剤塗布ローラと、
前記潤滑剤塗布ローラを所定のクリーニング制御でクリーニングするよう制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記像担持体における作像された部分が該像担持体の回転により前記潤滑剤塗布ローラを通過した後、かつ、前記画像形成装置による画像形成対象である記録媒体が装置外に排出される前に、前記潤滑剤塗布ローラを前記クリーニング制御でクリーニングすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記潤滑剤塗布ローラに接続されて電気的バイアスを印加する電圧印加手段を備え、
前記制御手段は、前記クリーニング制御として、前記電圧印加手段で前記潤滑剤塗布ローラに電気的バイアスを印加することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記クリーニング制御として、前記電圧印加手段で印加する電気的バイアスにおける電圧の正負を所定回数入れ替えることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記像担持体への作像中に、前記電圧印加手段で前記潤滑剤塗布ローラに所定の電気的バイアスを印加することを特徴とする請求項3または4記載の画像形成装置。
【請求項6】
所定の環境条件を測定する測定手段を備え、
前記制御手段は、前記測定手段による測定結果に基づいて、前記電圧印加手段により電気的バイアスを印加することを特徴とする請求項3から5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体に形成されたトナー像が転写されて当該転写されたトナー像を記録媒体に転写する中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトに転写されたトナー像を記録媒体に転写させる二次転写ローラと、を備え、
前記電圧印加手段は、前記潤滑剤塗布ローラおよび前記二次転写ローラに接続されて電気的バイアスを印加し、
前記制御手段は、前記クリーニング制御として、前記電圧印加手段で前記潤滑剤塗布ローラおよび前記二次転写ローラに電気的バイアスを印加することを特徴とする請求項3から6の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−93443(P2012−93443A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238759(P2010−238759)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】