説明

画像形成装置

【課題】 印刷速度により一部の機器状態検知機能の動作可否が異なる画像形成装置において、ユーザビリティを低下させることなく、印刷品質を保つことのできる印刷モード切り替え方法提供することである。
【解決手段】 機器状態検知機能を動作させることの出来ない印刷速度で連続的に印刷される場合において、所定の面数範囲の印刷がなされた場合には、一連の印刷処理終了時に機器状態検知を行う。さらに所定の面数範囲を超えて連続して印刷が行われた場合には印刷速度を機器状態検知機能が可能な速度に低下させて印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの以上の印刷モードをもつ画像形成装置に関わるシステムに関し、更に詳細にはモードにより、印刷速度と印刷中の機器状態の確認可能な項目が異なるような画像形成装置において、ユーザビリティを損なうことなく機器状態確認を確実に実施するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(黒)の印刷色それぞれに画像形成ユニットを備えたカラープリンタでは白黒印刷とカラー印刷で印刷速度が異なることが多く、白黒原稿を印刷する場合に、C,M,Yのカラー画像形成ユニットを駆動することは各ユニットの寿命を短くなる原因となるため、白黒とカラーの両印刷モードを持つことが一般的である。このような白黒モードかカラーモードの区別を色モードということにすると、原稿の色モードの切り替えを扱った従来技術として特開平11−34438、特開2001−301240などがある。一般的に白黒モードの方がカラーモードよりも印刷速度が速いため、印刷速度または、印刷速度と部品寿命の両面において最適なモード切り替えを行う方式は有効である。しかし、低速で動作するモードでは動作可能な一部の状態検知機能が高速で動作するモードの場合には動作させることが出来ないような画像形成装置である場合には同一の色モードの中でも、印刷品質を保つために、高速で動作するモードから低速で動作するモードに切替えて状態検知機能を動作させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−34438号公報
【特許文献2】特開2001−301240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、印刷速度により一部の機器状態検知機能の動作可否が異なる場合において、適切なタイミングで印刷速度を切り換えることで、確実に機器の状態検知を実行すると同時に、ユーザビリティを低下させることなく、印刷品質を保つことのできる印刷モード切り替え方法、およびこの方法を用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
下記の構成からなる画像形成装置、
印刷を行わず、前述画像形成装置の少なくとも一部の状態検知行う状態検知機能と、
印刷を行いながら前述状態検知が可能な印刷モードAと、
印刷を行いながら前述状態検知は不可能な印刷モードBの
少なくとも2つ以上の印刷モードを持ち、
前回の前述状態検知実施から所定の枚数範囲(S501)で,前述印刷モードBで動作する一連の印刷処理が終了した場合,
前述一連の印刷処理終了時に前述状態検知を行う(S502)
前回の機器の状態検知から所定の枚数範囲で,前述印刷モードAでの印刷指示が行われた場合、印刷を行いながら機器の状態検知を行う(S601)
前述印刷モードBで動作中に前述所定枚数範囲を越えた場合(S304),
印刷モードを前述印刷モードAに切り替えるとともに機器の状態検知を行うことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、印刷中の低速モードへの切り替えの回数を減少させることが可能になり、連続印刷中において印刷時間を大きく低下させることなく機器の状態検知を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態の例におけるシステム構成の概念図の一例である。
【図2】本発明の実施形態の例におけるシステム構成の概念図の一例である。
【図3】本発明の実施形態の例におけるフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の例におけるモード切替状態検知処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態の例における印刷終了処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態の例における低速モード処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0009】
図1は、以下で説明する本発明の実施形態の一例における画像形成システムの全体構成を示す概略図である。図1において、画像形成装置10は画像読取部101を備えたMFP(Multi Function Printer)等であり、画像読取部101は画像を読取、コントローラ部に送信する。コントローラ部が受け取った画像読取部101より受け取った画像を、コントローラ部102, エンジンコントローラ部103、エンジン部104が処理し、印刷を行う。
【0010】
本発明の実施形態は、図2に示すような画像形成装置10の変わりに画像形成装置20と画像形成装置20に接続された外部装置30からなる構成でもよい。外部装置30の例としては、汎用コンピュータや、FAX、携帯機器などが上げられる。他のここで画像読取装置101の有無は問題ではなく、画像読取装置10のような画像読取装置101をもつ装置を外部装置30と接続することでも、同様のシステムを構成できる。画像形成装置20と外部装置30はUSB等、汎用のI/FケーブルやTCP/IP等のネットワーク、電話回線等を介して接続される。外部装置30で作成されたドキュメントは画像形成装置20に送信される。画像形成装置20ではコントローラ部が外部装置30より受け取った画像をコントローラ部201, エンジンコントローラ部202、エンジン部203が処理し、印刷される。
【0011】
以下の説明では図1の構成を例として本発明の実施方法について説明する。
【0012】
コントローラ部102は画像読取装置101よりドキュメント単位またはページ単位でビットマップイメージに変換し、印刷モード指定情報とともに、エンジンコントローラ部103に通知する。エンジンコントローラ部103は指定された印刷モードに基づいて、印刷プロセス、紙搬送等を考慮し、エンジン部104を制御する。エンジン部104は感光体上に印刷すべき像を作成し、トナー付着、用紙に転写・定着を行い、印刷作業を行う。
【0013】
以下説明する本発明の実施形態例において、請求項1における印刷モードAで検知不可能な状態はトナーの残量であるとする。トナーの残量は本発明を説明するための例に過ぎず、請求項の記載を限定するものではない。エンジンコントローラ部103は印刷動作中にトナーの残量の検知を行う。エンジン部104の動作速度が一定の速度を超えると、エンジン部104がエンジンコントローラ103に通知するトナーの残量の検知結果情報は十分な精度ではなくなる。以後、十分な精度のトナーの残量検知が可能な印刷モードを低速モード、十分な精度のトナーの残量検知が保証できない印刷モードを高速モードということにする。トナーの残量検知は印刷中でなければ、トナーの残量検知のみを実施することも可能である。
【0014】
以下、図3、図4、図5に示すフローチャートに沿って画像形成装置10の動作について説明を行う。コントローラ部102はカラー、モノクロ、カラー・モノクロ混在などの印刷色の設定や、印刷用紙種類の設定、画像形成装置10の状態などから、高速モードで印刷を行うか、低速モードで印刷を行うかの判断をする(S301)。高速モードで印刷を行うと判断された場合には、コントローラ部102はエンジンコントローラ部に高速モードの指定を行い、エンジンコントローラ部103は高速モードでの印刷処理を実行する(S302)。この際にトナー残量検知が正常に終了した最後の処理から、何面印刷が実行されたかをカウントするページカウンタ(図3、図4、図5、図6中のP)がインクリメントされる(S303)。ページカウンタは高速モード・低速モードに関わらずインクリメントされ、トナー残量検知が正常に終了すると初期値に戻される。その後、ページカウンタが状態検知必要値に達しているかを判断する(S304)。S304によって、ページカウンタが状態検知必要値に達していると判断される場合、モード切替状態検知処理(S205)を実施する。ページカウンタが状態検知必要値に達していないと判断された場合には、次に印刷すべきページ情報があるかどうかを確認し(S309)、次に印刷すべきページ情報がある場合にはS301に戻り、印刷処理を継続する。S309において次に印刷すべきページ情報がないと判断される場合には印刷終了処理(S306)に入る。
【0015】
モード切替状態検知処理(S305)について、図4のフローチャートに沿って説明する。モード切替状態検知処理(図3、S305)に入ると、まず次に印刷すべきページ情報があるかを判断する(S401)。次に印刷すべきページ情報があると判断される場合、高速モードで印刷を行うか、低速モードで印刷を行うかの判断をする(S402)。高速モードで印刷を行うと判断された場合には、強制低速モード印刷処理を実施する(S403)。強制低速モード印刷処理は、通常時(ページカウンタが状態検知必要値に達していない場合)には高速モードで印刷されるべきページを、低速モードで印刷することで、印刷を行いながらトナー残量検知実施するモードである。強制低速モードでの印刷処理を終了後、トナー残量検知が異常終了した場合、S401に戻り、再度、次に印刷すべきページ情報があるか判断を行う。トナー残量検知が正常終了した場合、ページカウンタを0(初期値)に戻し(S405)、次に印刷すべきページ情報があるか判断を行う(S406)。次に印刷すべきページ情報があると判断される場合、モード切替状態検知処理を抜けて、図3,S301の判断へ進み、印刷を継続する。S406において次に印刷すべきページ情報がないと判断される場合、モード切替状態検知処理(S305)を終了し、印刷終了処理(S306)に入る。
【0016】
印刷終了処理について、図5のフローチャートに沿って説明する。印刷終了処理(図3、S306)に入ると、コントローラ部はページカウンタが状態検知推奨値に達しているかどうかを判断する(S501)。ここで状態検知必要値 > 状態検知推奨値である。ページカウンタが状態検知推奨値に達していると判断される場合、印刷を行わない状態でトナー残量検知処理を実施する(S502)。トナー残量検知処理が正常に終了したと判断されない場合、状態検知処理(S502)を再度実行する。このフローチャートは一例であり、状態検知処理が一定回数連続して失敗した場合などは、処理を中止または停止し、エラーを表示するなどの処理を行うことが好ましい。トナー残量検知処理が正常に終了したと判断された(S503)場合にはページカウンタを0(初期値)に戻し(S504)、印刷終了処理(S306)を終了する。S501において、状態検知推奨値に達していないと判断された場合、印刷終了処理(S306)を終了する。
【0017】
図3のS301、図4のS402において、低速モードでの印刷と判断された場合には、低速モード処理(図3,S308)に入る。低速モード処理(S308)について、図6のフローチャートに沿って説明する。低速モード処理に入るとコントローラ部102はエンジンコントローラ部に低速モードの指定を行い、エンジンコントローラ部103は低速モードでの印刷処理を実行する(S601)。低速モード印刷処理中にトナー残量検知が実行され、トナー残量検知処理が正常に終了したか否かを判断する(S602)。S602においてトナー残量検知処理が正常に終了したと判断される場合はページカウンタを0(初期値)に戻し(S603)、次に印刷すべきページ情報があるかどうかを確認する(S304)。S602においてトナー残量検知処理が異常に終了したと判断される場合はページカウンタをインクリメントし(S605)、次に印刷すべきページ情報があるかどうかの判断を行う(S604)。このフローチャートは一例であり、状態検知処理が一定回数連続して失敗した場合などは、処理を中止または停止し、エラーを表示するなどの処理を行うことが好ましい。次に印刷すべきページ情報があると判断される場合、低速モード印刷処理を抜けて、図3,S301の判断へ進み、印刷を継続する。S604において次に印刷すべきページ情報がないと判断される場合、低速モード印刷処理を(S308)を終了し、印刷終了処理(S306)に入る。
【0018】
S304におけるコントローラ部の判断条件を、「P>状態検知必要値かつ画像優先モード」という条件にすれば、請求項2記載の画像形成システムを構築することができる。また、S304におけるコントローラ部の判断条件を、「(P>状態検知必要値)、かつ(画像優先モードまたは画質優先機能)」とすれば、請求項3記載の画像形成システムを構築することができる。画質優先機能としてはE−mailやFaxなどの受信プリントなど一般的に印刷機会が一度だけの機能などが好適である。上記のような実施形態によれば、トナー残量検知が必要な場合には確実にトナー残量検知を実施可能である。またトナー残量検知が必要状態にある程度近づくと、ユーザにとってデメリットの少ない印刷終了のタイミングでトナー残量検知を実施することで、印刷速度の低下可能性を下げることが可能になる。
【0019】
以上は、本発明の説明のための実施形態の例を掲げたに過ぎない。したがって、本発明は、以上に述べた実施例に捕らわれることなく、特許請求の範囲の記載にしたがって解釈すべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を行わず、前述画像形成装置の少なくとも一部の状態検知行う状態検知機能と、
印刷を行いながら前述状態検知が可能な印刷モードAと、
印刷を行いながら前述状態検知は不可能な印刷モードBの、
少なくとも2つ以上の印刷モードを持ち、
前回の前述状態検知実施から所定の枚数範囲(S501)で,前述印刷モードBで動作する一連の印刷処理が終了した場合,
前述一連の印刷処理終了時に前述状態検知を行う(S502)
前回の機器の状態検知から所定の枚数範囲で,前述印刷モードAでの印刷指示が行われた場合、印刷を行いながら機器の状態検知を行う(S601)
前述印刷モードBで動作中に前述所定枚数範囲を越えた場合(S304),
印刷モードを前述印刷モードAに切り替えるとともに機器の状態検知を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前述印刷モードBで動作中に前述所定枚数範囲を越えた場合(S304),印刷モードを前述印刷モードAに切り替えるとともに機器(S403)の状態検知を行う画質優先モードと、
前述印刷モードBで動作中に前述所定枚数範囲を越えた場合(S304)であっても、前述印刷モードAに切り替えず、前述印刷モードBで動作中に前述所定枚数範囲を越えた場合(S304)も前述一連の印刷処理終了時に前述状態検知を行う(S502)速度優先モードとを切り替え可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前述速度優先モードであっても、少なくとも一部の機能においては必ず、前述印刷モードBで動作中に前述所定枚数範囲を越えた場合(S304),印刷モードを前述印刷モードAに切り替えるとともに機器(S403)の状態検知を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。


【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−96371(P2012−96371A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243333(P2010−243333)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】