説明

画像形成装置

【課題】 簡易な構成で、中間転写ベルトに巻き癖が発生することを抑制しつつ、飛び散りの発生を抑制することが難しかった。
【解決手段】 中間転写ベルト10を介して二次転写ローラ20に対向する位置で中間転写ベルト10と摺擦しつつ中間転写ベルト10の回転方向を規制するガイド部材13を有し、ガイド部材13は、中間転写ベルトの回転方向において、曲率半径が異なる複数の摺擦部を備えることによって、中間転写ベルトに巻き癖が発生することを抑制しつつ、飛び散りの発生を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラー画像形成装置では、高速に印刷するために、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための各色の画像形成部を独立して有し、各色の画像形成部から順次中間転写体に画像を転写し、更に中間転写体から転写材に一括して画像を転写する構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、中間転写体として無端状の中間転写ベルトを使用する画像形成装置が開示されている。二次転写部材として二次転写ローラを使用し、中間転写ベルトの内周面を支持する支持ローラの一つを二次転写ローラの対向ローラとして使用している。二次転写ローラは、中間転写ベルトを介して対向ローラに圧接させ、二次転写ローラと中間転写ベルトが接触して二次転写領域が形成される。電圧が印加された二次転写ローラと接地された対向ローラとの間で転写電界を発生させ、二次転写領域に搬送される転写材に対して、中間転写ベルト上のトナー像を静電的に転写している。
【0004】
特許文献2には、二次転写領域近傍の構成として、中間転写ベルトの内周側において、対向ローラの上流側に支持ローラを配置する構成が開示されている。この支持ローラは、省スペースに配慮した小径ローラで構成されるとともに、記録材が中間転写ベルトに沿って二次転写領域に進入するように中間転写ベルトの位置を規制する機能を持つ。これにより、二次転写領域の上流側で、転写電界が転写ベルト上のトナー像に作用してトナー像のトナーの一部が移動する現象(以下、飛び散り)を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−29057号公報
【特許文献2】特開2009−69466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、二次転写領域近傍に小径の支持ローラを配置する画像形成装置の構成においては、輸送時等、長期に渡る高温保管状態が続いた場合に、ベルトが変形する場合がある。具体的には、高温時では小径の支持ローラによって中間転写体ベルトが曲げられた状態が長く続くと、中間転写体ベルトがローラに巻き付いている部分に、小径の支持ローラの形状が記憶される。この記憶された形状のことを、中間転写ベルトの巻き癖と言う。
【0007】
ユーザの元に画像形成装置が設置されると、画像形成をする為に中間転写ベルトは回転を開始する。その際、画像形成をする為に、上記巻き癖が発生した中間転写ベルトが回転すると以下の問題が発生する。巻き癖が発生した部位が、中間転写ベルトの回転によって一次転写部に到達すると、像担持体からトナー像が一次転写される。その後、更に回転して巻き癖が発生した部位が二次転写領域に到達し、二次転写領域で記録材に対してトナー像を二次転写させる場合、記録材と中間転写体ベルトとの間に段差が生じる。この段差により転写での電界が乱れ、巻き癖の所でトナー像が乱れ、スジ状の画像不良を生じる。巻き癖を解消するには、小径の支持ローラではなく大径の支持ローラを選択すれば良いが、大径の支持ローラを使用することは、装置の大型化を招いてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、以上のような状況を鑑み、簡易な構成で、中間転写ベルトに巻き癖が発生することを抑制しつつ、飛び散りの発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するために、本願発明は以下の構成を備える。トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体からトナー像が一次転写される無端状の中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトの内周面を支持し前記中間転写ベルトを回転させる駆動部材と、前記中間転写ベルトの内周面を支持する支持部材と、前記中間転写ベルトの外面に接触し前記中間転写ベルトと二次転写領域を形成する二次転写部材と、を有し、前記二次転写領域に搬送される記録材に前記中間転写ベルトからトナー像を二次転写する画像形成装置において、前記支持部材は、前記中間転写ベルトを介して前記二次転写部材に対向する位置で前記中間転写ベルトと摺擦しつつ前記中間転写ベルトの回転方向を規制するガイド部材であり、前記ガイド部材は、前記中間転写ベルトの回転方向において、曲率半径が異なる複数の摺擦部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガイド部材が曲率半径が異なる複数の摺擦部を備えることで、中間転写ベルトに巻き癖が発生することを抑制しつつ、飛び散りの発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施例の画像形成装置を説明する図
【図2】本実施例で用いたガイド部材を説明する図
【図3】(a)本実施例における巻き癖を説明する図、(b)本実施例における巻き癖による画像不良を説明する図
【図4】本実施例における曲率半径と巻き癖量及び画像レベルの関係を表すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
図1は、インライン方式(4ドラム系)のカラー画像形成装置の構成図である。画像形成装置は、イエロー色の画像を形成する画像形成部aと、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部bと、シアン色の画像を形成する画像形成部cと、ブラック色の画像を形成する画像形成部dの4つの画像形成部を備えている。これらの4つの画像形成部は一定の間隔をおいて一列に配置されている。
【0014】
各画像形成部の構成は、形成する画像の色以外については同様であるので、画像形成部aを用いて、画像形成部について説明する。
【0015】
画像形成部aは、ドラム状の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)1aと、帯電部材1bと、現像ユニット4aと、クリーニングユニット5cと、を備える。本実施例の画像形成部aは、これらを一体化し装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0016】
電子写真感光体である感光ドラム1aは矢印方向R1に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光ドラム1aは,この回転過程で帯電部材である帯電ローラ2aにより所定の極性・電位に一様に帯電処理される。本実施例では、帯電ローラ2aにより、感光ドラム1aは負極性に帯電される。次に、露光ユニットである露光手段3aにより露光を受ける。これにより、目的のカラー画像のイエロー色成分像に対応した静電潜像が形成される。
【0017】
次いで、その静電潜像は、現像位置において第1の現像ユニット(イエロー現像器)4aにより現像され、イエロートナー像として可視化される。イエロー現像器4aの中には、負極性に帯電されたイエロートナーが収容されており、イエロー現像器4aが備える現像ローラにより、感光ドラム1aに現像されている。感光ドラム1aは、トナー像を担持する像担持体である。
【0018】
感光ドラム1aのイエロートナー像は、対向する中間転写体に1次転写される。中間転写体である中間転写ベルト10は無端状のベルトであり、複数の支持部材によって支持され、感光ドラム1と当接した対向部で同方向に移動する向きとなる矢印方向R3に、感光ドラム1と略同一の周速度で回転駆動される。中間転写ベルト10を介して感光ドラム1aと対向する位置には、一次転部材が設けられている。感光ドラム1a上に形成されたイエロートナー像は、感光ドラム1aと中間転写ベルト10が当接する一次転写ニップを通過する過程で、中間転写ベルト10上に一次転写される。その際、一次転写ニップを形成する一次転写部材である一次転写ローラ14aには、一次転写電源15aより一次転写電圧が印加されている。
【0019】
感光ドラム1aの表面に残留した一次転写残トナーは、クリーニングユニット5aにより清掃および除去される。
【0020】
以下、同様に各画像形成部(b)〜(d)において、第2色のマゼンタトナー像、第3色のシアントナー像、第4色のブラックトナー像が形成され、中間転写ベルト10上に順次重ねて転写されて、目的のカラー画像に対応した合成カラー画像が得られる。各画像形成部b〜dには、それぞれ対応する露光ユニット3b〜3dと、一次転写ローラ14b〜dが設けられている。
【0021】
中間転写ベルト10上の4色のトナー像は、中間転写ベルト10と二次転写部材である二次転写ローラ20が形成する二次転写領域を通過する過程で、給紙手段50から搬送された記録材Pの表面に二次転写される。その際、二次転写ローラ20には、二次転写電源21から二次転写電圧が印加されている。二次転写部材である二次転写ローラ20は、外径8mmのニッケルメッキ鋼棒に、抵抗値10Ω・cm、厚み5mmに調整したNBR(ニトリルゴム)の発泡スポンジ体で覆った外径18mmのローラを用いている。また二次転写ローラ20は、中間転写ベルト10の外周面に対して、50Nの加圧力で当接させており、中間転写ベルト10に対して従動回転する。
【0022】
その後、4色のトナー像を担持した転写材Pは定着器30に導入され、そこで加熱および加圧されることにより4色のトナーが溶融混色して転写材Pに固定される。そして、転写材Pは機外へ排出される。
【0023】
以上の動作により、転写材P上にフルカラーのプリント画像が形成される。また、中間転写ベルト10の表面に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット16により清掃・除去される。
【0024】
次に、中間転写ベルト10と中間転写ベルト10の内周面を支持する複数の支持部材11、12、13について説明する。中間転写ベルト10及び支持部材11、12、13は、中間転写ユニットとして一体化されており、装置本体に対して着脱可能である。中間転写ベルト10は、転写後の電荷残留が少なく除電機構が不要とすることが望ましい。本実施例では、転写後の電荷残留が少なく除電機構を不要とする可能になるという理由から、体積抵抗率が10〜1011Ω・cm程度の材料で構成されるのが好ましい。本実施例の中間転写ベルト10は、厚さ100μm、体積抵抗率10Ω・cmのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を主成分とする材料で構成されている。なお、中間転写ベルト10としては、この他に、ポリアミド(PI),ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK),などの材料を用いても良い。
【0025】
支持部材11は、中間転写ベルト10を支持しつつ駆動する駆動部材であり、矢印方向R2へ回転し、中間転写ベルト10を矢印方向R3に回転移動させる。本実施例では、駆動部材11として、外径20mmのアルミ軸に厚さ0.5mmの弾性ゴム(エチレンプロピレンゴム)を被覆した駆動ローラを用いている。
【0026】
支持部材12は、中間転写ベルト10内周面に、内周面側から外周面側に向ってテンションを付与するテンションローラである。本実施例では、テンションローラ12として、外径20mmの中空のアルミ軸を用いている。テンションローラ12は、バネ12hによって総圧39.2Nで中間転写ベルト10を押圧し、中間転写ベルト10に張力を付与している。
【0027】
支持部材13は、中間転写ベルト10を介して二次転写ローラ20と対向するガイド部材である。ガイド部材13は、中間転写ベルト10を介して二次転写ローラ20に対向する位置で中間転写ベルト10と摺擦しつつ中間転写ベルト10の回転方向を規制する。ガイド部材13は、他の支持部材のように中間転写ベルト10と共に回転する構成ではなく、中間転写ユニットに固定されている構成である。
【0028】
また、ガイド部材13は、2次転写ローラ20の対向部に位置するため、材質としては、導電性を有するポリアセタール(POM)で構成され、抵抗値は10Ω・cmであり、かつ接地されている。尚、本実施例においてガイド部材13は、導電性POMをもちいているものの、特に材料を限定されるものではなく、導電性ポリエチレンテレフタラート(PET)、導電性ABSなどを用いても良い。
【0029】
ガイド部材13について、図2を用いて説明する。図2は、本実施例の画像形成装置の二次転写領域近傍を説明する概略断面図である。ガイド部材13の中間転写ベルト10との摺擦面は、連続した複数の摺擦部で形成される。具体的には、ガイド上流部Ga、ガイド下流部Gb,2次転写ニップN、ニップ出口上流部Ea、ニップ出口下流部Ebの領域に分けられる。
【0030】
ガイド上流部Ga(第一の摺擦部)は、中間転写ベルト10の回転角度を変える(屈曲させる)屈曲部の機能を持ち、ガイド部材13と中間転写ベルト10が接触する側の面は、曲率半径10mmの曲面で構成される。なお、曲率半径は巻き癖の観点より、本実施例の中間転写ベルトでは曲率半径8mm以上(所定値以上)が望ましい。巻き癖を抑制するために必要とする曲率半径の所定値は、中間転写ベルトを構成する材料によって適宜変更可能である。曲率半径は巻き癖対策の為には、大きい方が望ましいものの、曲率半径が大きすぎる場合は、装置の大型化を招いてしまう。詳細は後述する。
【0031】
ガイド下流部Gb(第二の摺擦部)は、記録材Pをガイド部材13に沿って転写ニップ部Nへ進入させる機能をもち、記録材Pの先端が接触する中間転写ベルト10の位置を規定する。ガイド部材13と中間転写ベルト10が接触する側の面は、曲率半径が非常に大きい曲面、若しくは略平面で構成される。本実施例におけるガイド下流部Gbは、略平面で構成される。
【0032】
2次転写ニップN(第三の摺擦部)は、2次転写ローラ20の対向部に位置し、曲率半径15mmで構成され、2次転写ローラ20と接触部を形成する。
【0033】
ニップ出口上流部Ea(第四の摺擦部)は、中間転写ベルト10と記録材Pを分離させる機能と、中間転写ベルト10の進行角度を変える屈曲部の機能を持ち、ガイド部材13と中間転写ベルト10が接触する側の面は、2次転写ニップNと同一の曲率半径15mmの曲面で構成される。
【0034】
ニップ出口下流部Eb(第五の摺擦部)は、転写ベルトクリーニング部材16を配設するための領域を確保する機能を持ち、ベルトクリーニング部材16を配設するための領域を確保する観点からは、平面もしくは曲率半径は大きい方が好ましい。本実施例におけるニップ出口下流部Ebは、略平面で構成される。また、このニップ出口下流部Ebは、中間転写ベルト10上の濃度制御用トナーやレジストレーション用トナーを検知する検知手段の対向部であってもよい。
【0035】
次に本実施例の作用について説明をする。ガイド上流部Gaは、曲率半径が10mmで中間転写ベルト10の進行角度を変えているため、中間転写体ベルト10が巻き付く領域を広くとることが出来る。これにより、巻き付き部にかかる中間転写ベルト10の線圧も小さくなるため、巻き癖の発生を抑制することが可能となる。以下、図3(a)(b)、図4を用いて、上記曲率半径と巻き癖との関係を説明する。図3(a)は、巻き癖が発生した中間転写ベルト10を説明する概略断面図を示す。図3(b)は、巻き癖が発生した中間転写ベルト10で記録材Pにトナー像を二次転写する状態を説明する概略断面図である。
【0036】
図3(a)に示されるように、中間転写ベルト10は、長期に渡って高温保管状態が続いた場合、支持ローラの曲率形状がそのまま記憶され、巻き癖部Mが発生する。巻き癖部Mの評価条件については、画像形成装置を35℃/90%環境に10日間放置し、その後23℃/50%環境で1日間、画像形成装置を馴染ませてから評価する。これは、高温状態に一定時間放置することで、ベルトの変形量が増大した状態を保ち、そこから更に常温に戻すことで巻き癖がついた状態をベルト自身に記憶させるという、巻き癖に厳しい条件での評価である。巻き癖部Mを定量化するため、巻き癖高さを図中dのように定義する。巻き癖高さdの測定は、例えば、レーザ形状測定装置などを用いて、巻き癖M部の両端を所定の圧で張架した状態で測定する。
【0037】
図4は曲率半径と巻き癖高さ及び画像レベルの関係を表すグラフである。図4の実線で示されるように、曲率半径が小さい場合、巻き付き角度に対する巻き付き量が少ないため、巻き付き部にかかる中間転写ベルト10の線圧が大きくなる。従って、曲率半径が小さくなるにつれて、巻き癖高さdは高くなる傾向にある。その結果、図3(b)に示されるように、記録材Pが2次転写ニップNを通過する際に、記録材Pと巻き癖部Mとの間に段差を生じる。この段差によって、中間転写ベルト10の回転方向と直交する方向(以下、横方向)にスジ状の画像不良が発生する場合がある。
【0038】
図4の破線は、曲率半径と上述したスジ状の画像レベルの関係を示している。横スジ画像は、濃淡ムラが目立ちやすい、例えば、露光手段3での像形成を、ベタ画像=100%に対し25%程度とした中間調画像で評価を行った。画像レベルは5段階評価で、レベル5がもっとも悪いレベルとし、レベル1は横スジ画像の発生が無い状態を示す。また、レベル2以下であれば、テキストや写真画像等の実用画像では視認できないレベルである。その結果、曲率半径8mm以上で発生する巻き癖高さあれば、画像上問題無いレベルであることがわかる。つまり、本実施例におけるガイド上流部Gaは、曲率半径10mmであるため、横スジの画像不良は問題無いレベルとなる。
【0039】
ガイド下流部Gbは、十分大きな曲率半径(略平面)で構成され、記録材Pはガイド下流部Gbに沿って二次転写領域Nへ進入するため、十分な距離をもって上流側から記録材Pを中間転写ベルト10に当接させることが出来る。中間転写ベルト10に接触させた状態で記録材Pを二次転写領域Nに導くので、二次転写領域Nの上流で転写電界の影響を受けても既に記録材Pとトナー像がほぼ接触している状態にあるので、飛び散りの発生を抑制できる。なお、ガイド下流部Gbの曲率半径は、記録材Pを十分上流から当接可能にするため、50mm以上とすることが好ましい。よって、ガイド上流部Gaの曲率半径は、ベルトを屈曲させる為に、ガイド下流部Gbよりも小さくなっている。また記録材の先端が中間転写ベルトに接触する位置を、ガイド上流部Gaとガイド下流部Gbの境界になるように記録材を中間転写ベルトに対して搬送すると良い。このようにすることで、二次転写領域Nの上流のガイド下流部Gbの長さを十分にとることが可能になり、確実に飛び散りを抑制することが可能である。
【0040】
2次転写ニップNは、中間転写ベルト10の巻き癖による画像不良が発生しない範囲である必要があるものの、ニップ出口以外の曲率半径は大きい方が良く、一方、ニップ出口付近については、記録材Pの分離の観点より、曲率半径は小さい方が望ましい。本実施例における、2次転写ニップNは曲率半径15mmあるため、上述の観点より、巻き癖及び記録材Pの分離性能に問題は生じない。
【0041】
二次転写領域Nの下流側に位置するニップ出口上流部Eaは、中間転写ベルト10と記録材Pを分離させる機能と、中間転写ベルト10の進行角度を変える機能を持つため、記録材Pの分離性を高める観点および装置の小型化の観点から、中間転写ベルト10の巻き癖による画像不良が発生しない範囲で曲率半径は小さい方が好ましい。本実施例におけるニップ出口上流部Eaは、曲率半径15mmであるため、上述の観点より、巻き癖及び記録材Pの分離性能に問題は生じない。
【0042】
以上説明したように、本発明によれば、ガイド部材13が、中間転写ベルト10の回転方向において、曲率半径が異なる複数の摺擦部を備えることによって、二次転写領域近傍で発生する飛び散り、巻き癖、記録材の分離不良の発生を、一つの部材によって抑制することが可能である。また、ガイド部材は、中間転写ベルト10と摺擦する面でのみ機能を発揮すれば良いので、ガイド部材13の内周面側は、可能な限り小さくすることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 像担持体
10 中間転写ベルト
11 駆動ローラ
12 テンションローラ
13 ガイド部材
Ga 第一の摺擦部
Gb 第二の摺擦部
N 第三の摺擦部
Ea 第四の摺擦部
Eb 第五の摺擦部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体からトナー像が一次転写される無端状の中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトの内周面を支持し前記中間転写ベルトを回転させる駆動部材と、前記中間転写ベルトの内周面を支持する支持部材と、前記中間転写ベルトの外周面に接触し前記中間転写ベルトと二次転写領域を形成する二次転写部材と、を有し、前記二次転写領域に搬送される記録材に前記中間転写ベルトからトナー像を二次転写する画像形成装置において、
前記支持部材は、前記中間転写ベルトを介して前記二次転写部材に対向する位置で前記中間転写ベルトと摺擦しつつ前記中間転写ベルトの回転方向を規制するガイド部材であり、前記ガイド部材は、前記中間転写ベルトの回転方向において、曲率半径が異なる複数の摺擦部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の摺擦部は、前記中間転写ベルトの回転方向において、少なくとも、前記中間転写ベルトを屈曲させる第一の摺擦部と、前記二次転写領域に搬送される記録材の先端が接触する前記中間転写ベルトの位置を規定する第二の摺擦部と、を備え、前記第一の摺擦部の曲率半径は、前記第二の摺擦部の曲率半径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一の摺擦部は、所定値以上の曲率半径を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録材は、前記第二の摺擦部によって回転方向が規制される前記中間転写ベルトに沿って、前記二次転写領域に搬送されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間転写ベルトに記録材の先端が接触する位置を前記第一の摺擦部と前記第二の摺擦部の境界に対応する位置になるように、前記中間転写ベルトに向って記録材を搬送することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、前記二次転写領域に対応する前記中間転写ベルトの内周面を、前記第二の摺擦部よりも曲率半径の小さい第三の摺擦部で支持していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、前記第三の摺擦部より下流側に、前記中間転写ベルトから記録材を分離させるために前記中間転写ベルトを屈曲させる為の曲率を備える第四の摺擦部を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−113855(P2013−113855A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256706(P2011−256706)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】