説明

画像形成装置

【課題】中間転写ベルトを有する画像形成装置において、2次転写時の飛び散りを抑制し、かつ、ファーストプリントアウトタイムを短縮し、かつ、装置の小型化を実現する。
【解決手段】中間転写ベルト10に1次転写されたトナー像は、駆動ローラ11以外のローラの外周を通ることなく2次転写ニップN2で、中間転写ベルト10から2次転写ローラ13に2次転写され、2次転写ローラ13は、2次転写ニップN2と1次転写ニップN1が同一平面上に位置するように配置されており、駆動ローラ11の中心11aに直交する断面をとった場合、2次転写ローラ13の中心13aが、ベルト平面10aに平行な方向において駆動ローラ11の中心11aよりも1次転写ニップN1側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やレーザプリンタなどの画像形成装置として、中間転写ベルトを有する構成が知られている。
画像形成装置は、像担持体上に形成されたトナー像を1次転写工程と2次転写工程とにより、記録材上にカラー画像(多重画像)を形成するものである。特許文献1に記載の画像形成装置では、中間転写ベルトユニットの構成として、中間転写ベルトを張架するローラが、2次転写対向部材である駆動ローラ、従動ローラ、及びテンションローラで構成されている。
この2次転写対向部材である駆動ローラは、中間転写ベルトを各色の1次転写工程へ順次搬送すると共に、転写ローラとのニップ部でトナー像を記録材に転写し、かつ該記録材を搬送する機能を持つ。また、従動ローラは、小径ローラで構成されると共に、記録材が中間転写ベルトに沿って2次転写接触部(2次転写ニップ)に進入する様に中間転写ベルトの位置を規制する機能を持つ。
これにより、省スペースな中間転写ベルトユニットを形成すると共に、2次転写ニップの上流の転写電界が転写ベルト上のトナー像に作用してトナー像がぼける画像不良(所謂、飛び散り)を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−69466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような構成においては、実際にはトナー像を搬送する経路が長い事により、プリント動作を開始してから、記録材にトナー像を転写し画像形成装置外へ排出し終わるまでに長い時間が必要とされることが懸念されていた。
具体的には、上記のような中間転写ベルト方式では、中間転写ベルト上のトナー像は、2次転写対向部材である駆動ローラによって次のように搬送される。まず、1色目の1次転写部で中間転写ベルト上に転写され、その後、順次、2色目、3色目、4色目の1次転写工程を経てテンションローラを周回して中間転写ユニット下面側へ搬送され、従動ローラを回った後に2次転写ニップへ搬送される。
すなわち、中間転写ベルト上のトナー像は、1色目の1次転写工程から中間転写ベルトを約1周まわった後に、初めて2次転写部に到達する構成となっており、トナー像を記録材まで搬送する為に多くの時間を要していた。
このため、一連の画像形成動作が行われる場合に、制御部に画像形成開始の信号が入力されてから、画像が形成された最初のシート材が機外へ排出されるまでの時間(FPOT(First Print Out Time))を短縮することが望まれる。
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、中間転写ベルトを有する画像形成装置において、2次転写時の飛び散りを抑制し、かつ、ファーストプリントアウトタイムを短縮し、かつ、装置の小型化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
トナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像が、前記像担持体との間に形成された1次転写ニップで1次転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトに1次転写されたトナー像が、前記中間転写ベルトとの間で形成される2次転写ニップで2次転写される中間転写ローラと、
前記中間転写ベルトを張架する複数の張架ローラのうちの1つのローラであって、前記中間転写ローラとの間で前記中間転写ベルトを挟持するように前記中間転写ローラに対向して設けられることで前記2次転写ニップを形成する対向ローラと、
前記中間転写ローラと3次転写ニップを形成する転写部材であって、前記中間転写ローラ上に転写されたトナー像を前記3次転写ニップで記録材に3次転写するための転写部材と、
を有する画像形成装置において、
前記中間転写ベルトに1次転写されたトナー像は、前記複数の張架ローラのうち前記対向ローラ以外のローラの外周を通ることなく前記2次転写ニップで前記中間転写ベルトから前記中間転写ローラに2次転写され、
前記中間転写ローラは、前記2次転写ニップと前記1次転写ニップが同一平面上に位置するように配置されており、
前記対向ローラの回転軸心に直交する断面をとった場合、前記中間転写ローラの回転軸心が、前記同一平面に平行な方向において前記対向ローラの回転軸心よりも前記1次転写ニップ側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、中間転写ベルトを有する画像形成装置において、2次転写時の飛び散りを抑制し、かつ、ファーストプリントアウトタイムを短縮し、かつ、装置の小型化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図2】実施例1の画像形成装置の2次転写部近傍の概略構成を示す断面図
【図3】実施例1の2次転写部及び3次転写部近傍を拡大した断面図
【図4】実施例2の2次転写部及び3次転写部近傍を拡大した断面図
【図5】実施例2の回転カムに回転力を与える駆動構成の一例を示した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0009】
以下に、実施例1について説明する。
図1は、本実施例の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
まず、図1を用いて本実施例の画像形成装置の構成及び動作について説明する。本実施例の画像形成装置は、第1(Y)〜第4(Bk)の画像形成ステーションより構成され、第1はイエロー(Y)、第2はマゼンタ(M)、第3はシアン(C)、第4はブラック(Bk)である。以下、画像形成動作についての説明を、第1ステーション(Y)を用いて説明する。なお、以下の説明において、「上」と「下」は、画像形成装置の設置状態において、鉛直方向の上下をいうものとする。
【0010】
(画像形成装置)
画像形成装置は、像担持体としてドラム状の電子写真感光体(以下、感光ドラム)1を備え、この感光ドラム1は図中矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
感光ドラム1はこの回転過程で、帯電ローラ2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで像露光手段5により像露光を受ける。これにより、目的のカラー画像のイエロー色成分像に対応した静電潜像が形成される。次いで、その静電潜像は現像位置において第1の現像器(イエロー現像器)の現像ローラ3により現像され、イエロートナー像として可視化される。
【0011】
中間転写ベルト10は、駆動ローラ11、テンションローラ12とで張架され、感光ドラム1と当接した対向部で同方向に移動する向きに、感光ドラム1と略同一の周速度で回転駆動される。ここで、駆動ローラ11及びテンションローラ12は複数の張架ローラに相当する。また、駆動ローラ11は、2次転写ローラ13との間で中間転写ベルト10を挟持するように2次転写ローラ13に対向して設けられることで2次転写ニップN2を形成する対向ローラに相当する。
感光ドラム1上(像担持体上)に形成されたイエロートナー像は、感光ドラム1と中間転写ベルト10との間の1次転写ニップN1を通過する過程で、1次転写ローラ14に印加された1次転写電圧によって、中間転写ベルト10上に転写される(1次転写)。感光ドラム1表面に残留した1次転写残トナーは、クリーニング手段4により清掃、除去された後、帯電以降の画像形成プロセスに供せられる。ここで、中間転写ベルト10は、1次転写されたトナー像を担持搬送する無端状のベルト部材である。
【0012】
以下、同様にして、第2色のマゼンタトナー像、第3色のシアントナー像、第4色のブラックトナー像が形成され、中間転写ベルト10上に順次重ねて転写されて、目的のカラー画像に対応した合成カラー画像が得られる。
中間転写ベルト10上の4色のトナー像は、中間転写ベルト10と2次転写ローラ13の間の2次転写ニップN2に到達するタイミングに合せて、2次転写ローラ13に印加された2次転写電圧によって、2次転写ローラ13に一括転写(2次転写)される。
【0013】
その後、2次転写ローラ13上のトナー像が、2次転写ローラ13と3次転写ローラ15との間の3次転写ニップN3に到達するタイミングに合わせ、給送手段20の給送カセット21に積載された最上位の記録材Pが、給送ローラ22によって送り出される。
給送ローラ22によって送り出された記録材Pは、搬送ローラ17によって3次転写ニップN3へと搬送される。記録材Pが3次転写ニップN3を通過する過程で、3次転写ローラ15に印加された3次転写電圧によって、2次転写ローラ13上のトナー像が記録材Pの表面に一括転写される(3次転写)。ここで、2次転写ローラ13は中間転写ローラに相当する。また、3次転写ローラ15は転写部材に相当する。
その後、4色のトナー像を担持した記録材Pは定着器の定着ローラ対40の定着ニップに導入され、そこで加熱及び加圧されることにより4色のトナーが溶融混色して記録材Pに固定(定着)される。ここで、定着ローラ対40は、トナー像が3次転写された記録材を挟持しながら搬送し、かつ該記録材上のトナー像を加熱する一対の回転体に相当する。
【0014】
以上の動作により、記録材Pにフルカラーのプリント画像が形成される。
また、中間転写ベルト10の表面に残留した2次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置16により清掃・除去される。尚、本実施例で用いた画像形成装置は、一例であり、特に発明を限定するものではない。
【0015】
(本実施例の特徴)
以下、本実施例の特徴である2次転写部近傍の構成について図2を用いて説明する。
図2(a),(b)は、本実施例の画像形成装置の2次転写部近傍の概略構成を示す横
断面図である。
【0016】
2次転写ローラ13は、転写対向ローラである駆動ローラ11に対して中間転写ベルト10を介して当接するとともに、3次転写ローラ15に当接して、図中の矢印の通り、時計周りに回転可能に支持されている。
そして、2次転写ローラ13の中心(回転軸心)13aは駆動ローラ11の中心(回転軸心)11aの位置よりも上方且つ、装置本体内側(装置本体内部側、1次転写ニップ側、感光ドラム1側)に配置されている。
すなわち、図2(a)において、2次転写ローラ13の中心13aを通る水平線13yと、2次転写ローラ13の中心13aを通る垂直(鉛直)線13xは、次のような位置となる。つまり、水平線13yは、駆動ローラ11の中心11aを通る水平線11yよりも上方に位置すると共に、垂直線13xは、駆動ローラ11の中心11aを通る垂直線11xよりも右側(装置本体内側)に位置している。
【0017】
ここで、本実施例では、中間転写ベルト10のうち2つのローラで張架されているベルト平面(駆動ローラ11と1次転写ニップN1との間のベルト平面、ベルト張架面、同一平面)10aが水平となるように画像形成装置が設置された状態を示している。このベルト平面10aが水平でない状態で画像形成装置が設置された場合には、2次転写ローラ13は、ベルト平面10aに直交する方向においてベルト平面10aに対して感光ドラム1と同じ側に配置されることとなる。すなわち、2次転写ローラ13は、1次転写ニップN1と2次転写ニップN2がベルト平面10a上(同一平面上)に位置するように配置されている。また、駆動ローラ11の中心11aに直交する断面をとった場合、2次転写ローラ13の中心13aが、ベルト平面10aに平行な方向において駆動ローラ11の回転軸心よりも1次転写ニップN1側に配置されている。
【0018】
したがって、4色目の1次転写が終了した中間転写ベルト10上のトナー像は、2次転写ニップN2に搬送され、2次転写ローラ13へ一括転写された後、3次転写ニップN3へすぐさま搬送され、記録材Pへと一括転写される。このとき、中間転写ベルト10に1次転写されたトナー像は、駆動ローラ11以外(対向ローラ以外)のローラ(テンションローラ12)の外周(周面部)を通ることなく2次転写ニップN2に担持搬送される。
【0019】
また、図2(a)において、3次転写ローラ15の中心15aは、2次転写ローラ13の中心13aを通る水平線13y上にあり、2次転写ローラ13と3次転写ローラ15とで形成される3次転写ニップ接線(図2(a)に破線で示す)は鉛直方向となっている。この構成は、定着ローラ対40のニップが、3次転写ニップN3を含む鉛直面上に位置することで実現される。なお、本実施例においては、画像形成装置が設置された状態で、中間転写ベルト10は、感光ドラム1の下方に配置され、かつ、定着ローラ対40は3次転写ニップN3よりも上方に配置されている。
したがって、搬送ローラ17より導入された記録材Pが3次転写ニップN3から排出される方向は、鉛直方向となるため、画像形成装置内に記録材Pの搬送経路として余分なスペースを確保する必要がなく、画像形成装置の小型化を図ることが可能となる。
【0020】
図2(b)では、3次転写ローラ15の中心15aは、水平線13yよりも上方に配置され、2次転写ローラ13と3次転写ローラ15とで形成される3次転写ニップ接線(図2(b)に破線で示す)が鉛直方向より装置本体内側へ傾いた構成となっている。この構成は、定着ローラ対40のニップが、3次転写ニップN3を含む鉛直面よりも装置本体内側に位置することで実現される。
すなわち、搬送ローラ17より導入された記録材Pは、3次転写ニップN3から装置本体内側方向へ排出される事となり、この構成においても、画像形成装置内に記録材Pの搬送経路として余分なスペースを確保する必要がなく、装置の小型化を図ることができる。
【0021】
(本実施例の作用)
次に、本実施例の作用について説明する。
図2(a)で示す様に、2次転写ローラ13の中心13aを駆動ローラ11の中心11aよりも上方且つ、装置本体内側に配置する事により、2次転写ローラ13表面を2次転写ニップN2よりも手前で中間転写ベルト10と接触させる事が出来る。すなわち中間転写ベルト10上に1次転写されたトナー像は、感光ドラム1と接触しているベルト平面10aに沿って、2次転写ローラ13と接触しつつ、トナー像搬送方向(ベルト回転方向)上流から十分な距離を経て2次転写ニップN2内に進入する事ができる。
これにより、2次転写ニップN2のトナー像搬送方向上流における転写電界が中間転写ベルト10上のトナー像に作用して、2次転写ローラ13上(中間転写ローラ上)にプレ転写してしまう様な、飛び散り現象を抑制する事ができる。
【0022】
また同時に、図2(a)に示す様に、中間転写ベルト10上のトナー像は、次のように記録材P上へ一括転写される構成となっている。すなわち、4色目の1次転写が終了した後、駆動ローラ11外周を周回することなく即座に2次転写ローラ13表面上へ一括転写され、その後、2次転写ローラ13周面上もわずか1/4周分のみを周回するのみですぐさま記録材P上へ一括転写される。このような構成により、トナー像が搬送される距離を大幅に短縮する事が可能となる。
【0023】
図3は、トナー像搬送距離、及び装置本体サイズへの影響度をわかりやすく説明するための、2次転写部及び3次転写部近傍を拡大した横断面図である。
図3(a)は、2次転写ローラ13の中心13aを駆動ローラ11の中心11aよりも上方であるが、装置本体外側へ配置している構成の一例(比較例)を示す図である。この例では、3次転写ニップ接線(図3(a)に破線で示す)と、感光ドラム1に接触する中間転写ベルト10の張架面との成す角度Aは、90°より大きくなっている。
図3(a)では、中間転写ベルト10上のトナー像は、4色目の1次転写が終了した後、駆動ローラ11周面の一部を周回した後に、2次転写ローラ13上へ一括転写されることとなる。その後、2次転写ローラ13周面上における約半周の距離を周回した後に、3次転写ニップN3へ搬送され記録材Pへ一括転写される構成となっている。
【0024】
図3(b)は、前述した本実施例を説明するための図で、3次転写ニップ接線(図3(b)に破線で示す)と、感光ドラム1に接触する中間転写ベルト10のベルト平面10aとの成す角度Bは90°となっている。
図3(b)に示す本実施例の構成では、図3(a)と比較してみてもわかるとおり、トナー像が搬送される距離が大幅に短縮されている。すなわち、本実施例では、ユーザがプリント動作を開始してから、記録材Pにトナー像を転写し、画像形成装置外へ排出し終わるまでの時間(FPOT(First Print Out Time))を短縮する事が可能となっている。
ここで、図3中における距離x,yは、図3(a)〜(c)の各構成における、3次転写ローラ15の装置本体内における位置の差分を表した数値である。
【0025】
図3(c)は、前述した本実施例を説明するための図で、3次転写ニップ接線(図3(c)に破線で示す)と、感光ドラム1に接触する中間転写ベルト10の張架面との成す角度Cは90°以下となっている。
図3(c)に示す本実施例の構成では、図3(a),(b)と比較してみてもわかるとおり、3次転写ローラ15の装置本体内における位置が距離x、及び距離yの分だけ装置本体内側へ配置されている。これにより、省スペース化が図られ、画像形成装置本体の小型化が実現可能となる。
【0026】
以上説明したように、本実施例では、3次転写工程を担う3次転写ローラ15を設け、各色の1次転写工程が終了すると、中間転写ベルト10上のトナー像は即座に2次転写工程及び3次転写工程を連続して行うように構成している。さらに、2次転写ローラ13の中心13aを駆動ローラ11の中心11aよりも上方且つ、装置本体内側に配置している。
これにより、トナー像が搬送される距離を大幅に短縮し、ユーザがプリント動作を開始してから、記録材Pにトナー像を転写し、画像形成装置外へ排出し終わるまでの時間(FPOT)を短縮する事が可能となる。また、同時に3次転写ローラ15を装置本体内側へ配置できるので、省スペース化を図ることができ、画像形成装置本体の小型化が実現できる。さらに2次転写ローラ13を2次転写ニップN2より上流で中間転写ベルト10に接触させる事ができるので、2次転写電界が中間転写ベルト10上のトナー像に作用してプレ転写してしまう様な飛び散り現象(トナー像がぼやける画像不良)を抑制する事ができる。さらに、3次転写ニップN3と定着ニップとが成す直線と、ベルト平面10aとの成す角度を90°以下とする事により、3次転写後の記録材の排出方向を限定し、装置本体の奥行き方向に余分なスペースを設ける事なく、画像形成装置の小型化を実現できる。
【実施例2】
【0027】
以下、実施例2について、図4、図5を用いて説明する。なお、実施例1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施例では、2次転写ローラ13を駆動ローラ11及び3次転写ローラ15に対して当接離間可能(接離可能)な様に支持する構成としており、実施例1に対して、2次転写ローラ13のセット跡の発生を防止する機構を追加するものである。
【0028】
駆動ローラ11に中間転写ベルト10を介して押圧される2次転写ローラ13は、トナーの飛び散りを抑えるために、静電容量を大きくすることが望ましく、本実施例では抵抗を低く抑えた弾性層と、高抵抗薄層の表層の二層構成としている。弾性層は、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)やシリコーンゴム等からなり、表層は、ウレタン樹脂をバインダーに離型性向上を目的としてPTFEパウダーを分散したものや、離型性に優れるフッ素ゴムやアクリル樹脂等からなる高抵抗層を用いている。
【0029】
これらの材質からなる2次転写ローラ13が、駆動ローラ11及び3次転写ローラ15に長期間押圧されたまま放置された場合には、各ニップが凹んだまま変形し、所謂セット跡が発生してしまうことが懸念される。このようなセット跡が発生した状態のまま印字動作が行われた場合には、そのセット跡部にてトナー像が乱れ、トナー像が転写された記録材P上においてもトナー像が白く抜けた様な状態となって画像不良となってしまう。
【0030】
図4は、本実施例における特徴的な部位である、2次転写部及び3次転写部近傍を拡大した横断面図である。図4(a)は、2次転写ローラ13が駆動ローラ11及び3次転写ローラ15にそれぞれ当接した状態を表した図である。図4(b)は、2次転写ローラ13が駆動ローラ11及び3次転写ローラ15からそれぞれ離間した状態を表した図である。
【0031】
図4(a)に示すように、駆動ローラ11の回転軸上に回転カム31が設けられ、その周面上を移動可能な回転コロ32がスライドガイド35先端に配設されている。2次転写ローラ13の回転軸33は押圧バネ34にて駆動ローラ11の回転軸方向へ押圧されると共に、スライドガイド35に沿って移動可能に支持されている。ここで、回転カム31、回転コロ32、押圧バネ34、及びスライドガイド35は接離手段を構成している。
【0032】
図4(a)に示す状態から、駆動ローラ11の回転軸上の回転カム31が図中矢印の方向に回転することで、2次転写ローラ13は、駆動ローラ11及び3次転写ローラ15そ
れぞれから離間するように構成されている。これは、回転カム31が図4(a)に示す状態から図4(b)に示す位置で停止するまで回転する間に、回転コロ32が回転カム31周面上を回転しつつ、スライドガイド35に沿って移動する事による。
【0033】
また、3次転写ローラ15は、不図示のフレームによって駆動ローラ11に対して精度よく固定されている。これにより、2次転写ローラ13が駆動ローラ11に対して押圧されると、同時に3次転写ローラ15に対しても所定の押圧力をもって2次転写ローラ13が3次転写ローラ15に当接する構成となっている。
【0034】
図5は、回転カム31に回転力を与える駆動構成の一例を示した概略斜視図である。
不図示の駆動源によって、駆動ギア46に回転駆動力が入力され、その回転駆動力がギア45,44,43へと伝達され、駆動ローラ11の回転軸上に回転カム31と共に設けられた回転カムギア42を回転駆動させる。
【0035】
回転カム31及び回転カムギア42は、駆動ローラ11の回転とは独立して回転可能に支持されており、2次転写ローラ13の当接離間動作時のみに作用する様に構成されている。ギア43の回転軸47の他端側には、ギア43と同様なギアが設けられており、図示する駆動側と同様に駆動ローラ11の回転軸上に設けられた不図示のギア及び回転カムを回転させる構成となっている。
【0036】
この当接離間動作は、画像形成動作中ではないタイミングで動作されればよく、例えば、プリントジョブ後の後回転時や、電源OFF時等に実行される。
また、本実施例では、押圧バネ34によって2次転写ローラ13が駆動ローラ11及び3次転写ローラ15に押圧される構成として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、回転カム31の動作に伴って、画像形成装置本体内の2次転写ローラ13の位置が決定、固定される構成としても良い。
【0037】
以上説明したように、本実施例では、3次転写工程を担う3次転写ローラ15を設け、且つ、2次転写ローラ13を回転カム31の回転動作に連動して駆動ローラ11及び3次転写ローラ15から当接離間可能に構成している。
これにより、2次転写ローラ13のセット跡の発生を防止する事ができ、長期保管後の画像形成装置においても、トナー像が白く抜けるような画像不良の発生を未然に防止する事が可能となる。したがって、長期保管後に画像形成装置を稼働した際の画像品質を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1…感光ドラム、10…中間転写ベルト、10a…ベルト平面、11…駆動ローラ、11a…駆動ローラ11の中心、13…2次転写ローラ、13a…2次転写ローラ13の中心、15…3次転写ローラ、N1…1次転写ニップ、N2…2次転写ニップ、N3…3次転写ニップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像が、前記像担持体との間に形成された1次転写ニップで1次転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトに1次転写されたトナー像が、前記中間転写ベルトとの間で形成される2次転写ニップで2次転写される中間転写ローラと、
前記中間転写ベルトを張架する複数の張架ローラのうちの1つのローラであって、前記中間転写ローラとの間で前記中間転写ベルトを挟持するように前記中間転写ローラに対向して設けられることで前記2次転写ニップを形成する対向ローラと、
前記中間転写ローラと3次転写ニップを形成する転写部材であって、前記中間転写ローラ上に転写されたトナー像を前記3次転写ニップで記録材に3次転写するための転写部材と、
を有する画像形成装置において、
前記中間転写ベルトに1次転写されたトナー像は、前記複数の張架ローラのうち前記対向ローラ以外のローラの外周を通ることなく前記2次転写ニップで前記中間転写ベルトから前記中間転写ローラに2次転写され、
前記中間転写ローラは、前記2次転写ニップと前記1次転写ニップが同一平面上に位置するように配置されており、
前記対向ローラの回転軸心に直交する断面をとった場合、前記中間転写ローラの回転軸心が、前記同一平面に平行な方向において前記対向ローラの回転軸心よりも前記1次転写ニップ側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナー像が3次転写された記録材を挟持しながら搬送し、かつ該記録材上のトナー像を加熱する一対の回転体を有し、
画像形成装置が設置された状態で、
前記中間転写ベルトは、前記像担持体の下方に配置され、かつ、
前記一対の回転体は前記3次転写ニップよりも上方に配置され、かつ、
前記一対の回転体のニップは、前記3次転写ニップを含む鉛直面上に位置するか又は該鉛直面よりも前記1次転写ニップ側に位置することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写ベルト及び前記転写部材に対して前記中間転写ローラを接離可能とする接離手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−41151(P2013−41151A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178435(P2011−178435)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】