説明

画像形成装置

【課題】印刷を予見させる要求を受信した後に,印刷データを受信してから印刷を開始するまでの待ち時間をできるだけ短縮できる画像形成装置の提供。
【解決手段】プリンタは,PCから印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求を受け付ける。そして,この印刷を予見させる要求を受信したことを条件として,印刷設定の設定内容が印刷の準備動作を開始する開始条件を満たす場合,印刷データを受信する前に印刷の準備動作を開始し,開始条件を満たさない場合,印刷データを受信する前に印刷の準備動作を開始しない。印刷の準備動作としては,例えば,位置ずれ補正,濃度補正,定着装置のウォームアップが該当する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,印刷データを受信し,その印刷データを印刷する画像形成装置に関する。さらに詳細には,印刷データの受信前に,印刷を予見させる要求を受ける画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,外部装置から印刷データを受信し,その印刷データを印刷する画像形成装置において,印刷データの受信前に,印刷データの送信元である外部装置から,印刷を予見させる要求を受け付ける画像形成装置が知られている。印刷を予見させる要求としては,例えば画像形成装置の能力や状態の問合せがある。
【0003】
前記のように外部装置から印刷を予見させる要求を受け付ける画像形成装置を開示した文献としては,例えば特許文献1がある。特許文献1に開示された技術では,クライアントコンピュータが複数のプリンタに対して能力および状態を問い合わせる。クライアントコンピュータは,各プリンタの能力および状態を各プリンタからの応答によって取得した後,優先条件に合致するプリンタを検索する。そして,ユーザは検索されたプリンタの中から印刷を実行するプリンタを選択し,クライアントコンピュータは選択されたプリンタに印刷データを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−284938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置には,次のような問題があった。すなわち,画像形成装置は,要求に応じて能力や状態を回答し,その後に印刷データを受信する。画像形成装置は,この印刷データを印刷するにあたって,印刷の準備動作として,例えば,画像位置や濃度のずれを調整する補正処理や,定着装置を所定の温度に加熱するウォームアップを,必要に応じて行う。この準備動作が完了するまで印刷動作を開始できない。従来の画像形成装置は印刷データを受信してから準備動作を開始するため,印刷データを受信してから印刷を開始するまでの間に,準備動作を開始して終了まで待つ待ち時間が発生していた。
【0006】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,印刷を予見させる要求を受信した後に,印刷データを受信してから印刷を開始するまでの待ち時間をできるだけ短縮できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求を受信する要求受信部と,前記要求受信部が要求を受信した後,当該要求に対する回答を応答する応答部と,前記応答部による応答後に,印刷データを受信するデータ受信部と,前記データ受信部が受信した印刷データを印刷する印刷部と,前記要求受信部が印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求を受信した場合に,当該印刷設定の設定内容が準備動作を開始する開始条件を満たすか否かを判断する判断部と,前記要求受信部が前記検査要求を受信したことを条件として,前記判断部にて開始条件を満たすと判断された場合,前記データ受信部が印刷データを受信する前に,その開始条件に対応する準備動作を開始し,前記判断部にて開始条件を満たさないと判断された場合,前記データ受信部が印刷データを受信する前に,その開始条件に対応する準備動作を開始しない準備動作部と,を備える。
【0008】
本発明の画像形成装置は,印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求を受け付ける。この要求は,画像形成装置に対する印刷命令に先立って出力されることが多く,印刷を予見させる要求と言える。そして,この印刷を予見させる要求を受信したことを条件として,印刷の準備動作を開始する。印刷の準備動作としては,例えば,位置ずれ補正,濃度補正,定着装置のウォームアップが該当する。
【0009】
すなわち,本発明の画像形成装置では,印刷を予見させる要求を受けたことを契機に,印刷の準備動作を開始する。つまり,印刷ジョブを受信する前に準備動作を開始するため,従来のように印刷ジョブを受信してから準備動作を開始する場合に比べて,印刷ジョブを受信してから(準備動作を済ませて)印刷を開始するまでの待ち時間を短縮できる。
【0010】
また,印刷データに関連付けられた設定の検査要求を受信した場合は,検査結果の送信後,その印刷データが送信される可能性が高い。そのため,準備動作を開始したとしてもその準備動作が無駄になる可能性が低い。
【0011】
また,開始条件を満たさない印刷設定であった場合に準備動作を開始しないことで,無駄な準備動作を行わずに済む。なお,開始条件は,準備動作が複数ある場合には準備動作ごとに設定される。そのため,判断部は,個々の準備動作についてその準備動作に対応する開始条件を満たすか否かを判断する。
【0012】
具体的に,上記の画像形成装置としては,例えば,前記判断部は,前記開始条件として印刷設定の設定内容がカラー印刷か否かを判断し,前記準備動作部は,前記判断部にてカラー印刷であると判断された場合,前記準備動作としてカラー印刷用の補正処理を開始し,前記判断部にてカラー印刷ではないと判断された場合,前記補正処理を開始しないとよい。カラー印刷用の補正処理は,長時間がかかることが予想される。そのため,カラー印刷用の補正処理は,カラー印刷でなければ実行しない方が好ましい。なお,カラー印刷用の補正処理としては,例えば位置ずれ補正や濃度補正がある。
【0013】
この他,例えば,前記判断部は,前記開始条件として印刷設定のうち用紙種類の設定が厚紙か否かを判断し,前記準備動作部は,前記判断部にて厚紙であると判断された場合,前記準備動作として定着装置のウォームアップを開始し,前記判断部にて厚紙ではないと判断された場合,前記ウォームアップを開始しないとしてもよい。ウォームアップは,消費電力が大きくなることが予想される。そのため,ウォームアップが必要なければ実行しない方が好ましい。
【0014】
また,本発明の画像形成装置は,前記データ受信部が印刷データを受信した場合に,当該印刷データの印刷設定の設定内容が準備動作を実行する実行条件を満たすか否かを判断する第2判断部と,前記第2判断部にて実行条件を満たさないと判断された場合,その実行条件に対応する準備動作が実行中であるか否かを判断する実行判断部と,前記実行判断部にて準備動作が実行中であると判断された場合,その準備動作を停止する停止部とを備えるとよい。実行条件を満たさない印刷設定である場合にもかかわらず準備動作を実行している場合には,その準備動作を停止することで,無駄な準備動作を継続しなくて済む。なお,実行条件は,準備動作が複数ある場合には準備動作ごとに設定される。そのため,第2判断部は,個々の準備動作についてその準備動作に対応する実行条件を満たすか否かを判断する。
【0015】
具体的に,上記の画像形成装置としては,例えば,前記準備動作部は,前記準備動作としてカラー印刷用の補正処理を行い,前記第2判断部は,前記実行条件として印刷設定の設定内容がカラー印刷か否かを判断し,前記実行判断部は,前記第2判断部にてカラー印刷ではないと判断された場合,前記補正処理が実行中であるか否かを判断するとよい。カラー印刷用の補正処理は,長時間がかかることが予想される。そのため,カラー印刷用の補正処理が不要な場合にはカラー印刷用の補正処理を途中で停止することで,カラー印刷用の補正処理に必要な電力を節約できる。また,印刷ジョブを受信した後にカラー印刷用の補正処理が完了するのを待たなくてよいので,途中で停止しない場合に比べて,印刷ジョブの受信から印刷開始までの待ち時間を短縮できる。
【0016】
この他,例えば,前記準備動作部は,前記準備動作として定着装置のウォームアップを行い,前記第2判断部は,前記実行条件として印刷設定のうち用紙種類の設定が厚紙か否かを判断し,前記実行判断部は,前記第2判断部にて厚紙ではないと判断された場合,前記ウォームアップが実行中であるか否かを判断してもよい。ウォームアップが不要な場合にウォームアップを停止することにより,ウォームアップに必要な電力を節約できる。また,印刷ジョブを受信した後にウォームアップが完了するのを待たなくてよいので,途中で停止しない場合に比べて,印刷ジョブの受信から印刷開始までの待ち時間を短縮できる。
【0017】
また,本発明の画像形成装置は,前記要求受信部が印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求を受信したことを条件として,当該印刷設定を全て満たす印刷が可能か否かを判断する印刷判断部を備え,前記準備動作部は,前記印刷判断部にて印刷が可能と判断された場合,その印刷の準備動作を開始し,前記印刷判断部にて印刷が不可と判断された場合,その印刷の準備動作を開始しないとよい。検査の結果,印刷不可の項目が1つでもあった場合には,ユーザが印刷をキャンセルする可能性が高い。そのため,準備動作を開始しない方が好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,印刷を予見させる要求を受信した後に,印刷データを受信してから印刷を開始するまでの待ち時間をできるだけ短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態にかかるプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】プリンタの画像形成部の構成を示す図である。
【図3】プリンタとPCとのデータの送受信をタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】検査データの構成を示す図である。
【図5】プリンタの受信処理の動作手順を示すフローチャート(その1)である。
【図6】プリンタの受信処理の動作手順を示すフローチャート(その2)である。
【図7】プリンタの受信処理の動作手順を示すフローチャート(その3)である。
【図8】カラー補正が開始されたときの動作手順を示すフローチャートである。
【図9】ウォームアップが開始されたときの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】印刷データの受信が開始されたときの動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本発明にかかる印刷装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,パーソナルコンピュータ(PC)と接続するプリンタに本発明を適用したものである。
【0021】
[プリンタの構成]
本形態のプリンタ100(印刷装置の一例)は,図1に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を備えている。また,制御部30は,用紙に画像を印刷する画像形成部10と,動作状況の表示やユーザによる入力操作の受付を行う操作パネル40と,ネットワークインターフェース37とに,電気的に接続されている。
【0022】
ROM32には,プリンタ100を制御するための制御プログラムであるファームウェアや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33およびNVRAM34は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは印刷データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0023】
CPU31(要求受信部,応答部,データ受信部,判断部,第2判断部,実行判断部,停止部,印刷判断部の一例)は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ100の各構成要素を制御する。
【0024】
ネットワークインターフェース37は,他の装置との通信を可能にするインターフェースである。プリンタ100は,ネットワークインターフェース37を介して他の装置から送信される印刷データを受信する。本形態では,プリンタ100は,ネットワークインターフェース37を介して,パーソナルコンピュータ(PC)200やサーバ300との通信が可能になっており,印刷システム900を構成している。
【0025】
また,画像形成部10(印刷部の一例)は,用紙に画像を印刷することができればよく,画像形成方式については電子写真方式であってもインクジェット方式であってもよい。また,カラー印刷が可能であってもよく,モノクロ印刷専用であってもよい。本形態では,電子写真方式であって,カラー印刷が可能なものとする。
【0026】
また,操作パネル40は,ユーザ入力を受け付ける各種のボタンと,文字情報やボタン等を表示するタッチパネル画面とを有している。各種のボタンとしては,例えば,印刷動作の開始を指示するOKボタンや,印刷動作のキャンセルを指示するキャンセルボタンがある。
【0027】
[画像形成部の構成]
続いて,プリンタ100の画像形成部10の構成について,図2を参照しつつ説明する。画像形成部10は,電子写真方式によってトナー像を形成し,そのトナー像を用紙に転写するプロセス部50と,用紙上の未定着のトナーを定着させる定着装置8とを備えている。
【0028】
プロセス部50は,カラー画像の形成が可能であり,シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)の各色に対応するプロセス部を並列に配置している。具体的には,C色の画像を形成するプロセス部50Cと,M色の画像を形成するプロセス部50Mと,Y色の画像を形成するプロセス部50Yと,K色の画像を形成するプロセス部50Kとを備えている。そして,用紙の搬送方向において,下流側からプロセス部50C,50M,50Y,50Kの順に等間隔に配置されている。なお,プロセス部の順番はこれに限定するものではない。
【0029】
また,画像形成部10は,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kに光を照射する露光装置53と,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kの転写位置に用紙を搬送する搬送ベルト7とを備えている。
【0030】
プロセス部50Kは,図2において時計回りに回転するドラム状の感光体1と,感光体1の表面を一様に帯電する帯電装置2と,静電潜像に対してトナーによる現像を行う現像装置4と,感光体1上のトナー像をシートに転写させる転写装置5と,転写後に感光体1上に残ったトナーを感光体1の表面から電気的に捕捉するクリーナ6とを有している。感光体1および転写装置5は,搬送ベルト7に対して接触して配置されている。そして,感光体1は,転写装置5に対して搬送ベルト7を挟んで対向している。プロセス部50C,50M,50Yについても,プロセス部50Kと同様の構成である。
【0031】
各プロセス部50C,50M,50Y,50Kでは,感光体1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。その後,露光装置53からの光により露光され,用紙に形成すべき画像の静電潜像が形成される。次いで,現像装置4を介して,トナーが感光体1に供給される。これにより,感光体1上の静電潜像は,トナー像として可視像化される。
【0032】
画像形成部10は,用紙を1枚ずつ取り出し,その用紙を搬送ベルト7上に搬送する。そして,プロセス部50にて形成されたトナー像をその用紙に転写する。このとき,カラー印刷では,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kにてトナー像が形成され,用紙上で各トナー像が重ね合わせられる。一方,モノクロ印刷では,プロセス部50Kのみでトナー像が形成され,用紙に転写される。その後は,トナー像が転写された用紙を定着装置8に搬送し,トナー像をその用紙に熱定着させる。そして,定着後の用紙を装置外に排出する。
【0033】
[印刷システムの構成]
続いて,プリンタ100およびPC200を有する印刷システム900の,印刷動作について,図3を参照しつつ説明する。
【0034】
印刷システム900では,PC200がユーザからのプリンタ検索指示を受け付けると,PC200から能力情報通知要求が送信される。能力情報通知要求は,プリンタに対してスペックを通知させる要求である。PC200は,相手先のプリンタが指定されている場合には,そのプリンタに対して能力情報通知要求を送信し,相手先が指定されていない場合には,通信可能なプリンタ全てに対して能力情報通知要求をブロードキャストする。
【0035】
プリンタ100は,能力情報通知要求を受信すると,自身のスペックを要求元のPC200に通知する。この能力通知では,少なくともプリンタのスペック情報を応答する。トナー不足や用紙切れ等の印刷可能状態であるか否かを決定するステータス情報は,含まれていなくてもよい。
【0036】
PC200は,能力通知を返信してきたプリンタの一覧を表示する。ユーザがその一覧から印刷に使うプリンタ100を選択すると,PC200は,そのプリンタ100に対する印刷設定画面を表示し,ユーザによる印刷設定を受け付ける。印刷設定画面は,受信した能力通知に基づいて作成され,印刷可能な設定を入力可能にする。換言すると,印刷不可の設定は入力不可にする。例えば,能力通知に片面印刷のみ可能であることが記憶されている場合には,両面印刷の設定を不可にする。ここで能力通知を返信してきたプリンタがプリンタ100だけである場合(能力通知を返信してきたプリンタが1台しかない場合)は,能力通知を返信してきたプリンタの一覧の表示をしないで,そのプリンタ100に対する印刷設定画面を表示してもよい。
【0037】
ユーザによる印刷設定が完了し,印刷命令を受け付けると,PC200はプリンタ100に対してその印刷設定に従った検査要求を送信する。検査要求には,図4に示すような検査データ90が付加される。検査要求は,例えば,PC200にプリンタ100のソフトウェアをインストールすることなしに印刷を可能にするクラウドプリントを利用する際に送信される。クラウドプリントを利用する場合,能力情報通知要求および検査要求はクラウドプリントのプロトコルであるIPP2.0等に準拠している。
【0038】
検査データ90には,印刷データに関連付けられた印刷設定の内容(本形態では,少なくとも用紙サイズ,両面印刷設定,カラー設定,解像度,用紙種類,部数を含むものとする)と,ユーザ名とが記憶される。なお,図4に示したデータ構造は,印刷設定の代表的な項目を列挙した一例であってこれに限るものではない。例えば,より詳細な印刷設定を記憶してもよい。あるいは,図4に示した項目より少ない項目から構成されるものであってもよい。なお,検査データ90には,印刷データに関する印刷設定は含まれるが,印刷データそのものは含まれない。
【0039】
プリンタ100は,検査要求を受信すると,その検査要求に付加されている検査データ90の,印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する。この解析では,プリンタ自身のスペックの他,ステータスも考慮される。そのため,スペックとしては印刷可能であってもステータスとして印刷不可であれば,印刷不可と判断する。例えば,カラー印刷が可能なプリンタであって,何れかの色でトナー不足が検出されている場合には,スペックとしてはカラー印刷可能であるが,カラー印刷が可能な状態にはならない。そのため,印刷不可となる。この他,プリンタ100に,特定のユーザの印刷を禁止する設定がある場合には,その特定のユーザからの検査要求は,印刷不可と判断する。プリンタ100は,解析結果を,検査結果通知としてPC200に送信する。
【0040】
PC200は,検査結果通知を受信した後,印刷可能であればその印刷設定に従った印刷ジョブを作成し,プリンタ100に送信する。印刷ジョブには,印刷設定と印刷対象となる印刷データとが含まれる。印刷不可であれば,印刷命令をキャンセルする。あるいは,印刷設定のやり直しをユーザに求めてもよい。あるいは,印刷設定に従った印刷が不可であるがそれでも印刷を継続するか否かをユーザに問い合わせてもよい。
【0041】
プリンタ100は,印刷ジョブを受信すると,その印刷ジョブに含まれる印刷設定に従って,その印刷ジョブに含まれる印刷データを印刷する。印刷完了後は,印刷完了通知をPC200に送信する。なお,印刷中にエラーが生じた場合には,そのエラー内容をPC200に送信する。
【0042】
[プリンタの制御]
続いて,上述の印刷システム900の印刷動作を実現するプリンタ100の受信処理(準備動作部,応答部,データ受信部,印刷部,判断部,第2判断部,実行判断部,停止部,印刷判断部の一例)について,図5から図10のフローチャートを参照しつつ説明する。受信処理は,プリンタ100が検査要求を受信したことを契機に,プリンタ100の制御部30(準備動作部の一例)によって実行される。
【0043】
受信処理では,先ず,検査データ90に記憶されている印刷設定の各項目について,印刷が可能か否かを解析する(S101)。そして,その解析結果に基づいて,印刷設定の全項目で可能となっているか否かを判断する(S102,印刷判断部の一例)。
【0044】
印刷設定の全項目で可能となっている,すなわち印刷設定を満たす印刷が可能となっている場合には(S102:YES),ユーザにとっては,設定した印刷設定を満たす印刷が可能であるので,印刷設定を変更することなく印刷を実行できることから,解析結果を送信した後にその印刷設定による印刷データが送信される可能性が高い。
【0045】
次に,検査データ90の印刷設定のうち,カラー印刷の設定がONであるか否かを判断する(S103,判断部の一例)。カラー印刷の設定がONである場合には(S103:YES),印刷の準備動作として,カラー印刷用の補正処理を開始する(S104,準備動作部の一例)。カラー印刷用の補正処理としては,例えば位置ずれ補正や濃度補正が該当する。カラー印刷用の補正処理の開始後は,S105に移行する。また,カラー印刷用の補正処理が開始されると,図8に示す処理が並列して開始される。図8のカラー用補正処理が開始されると,先ず,カラー用補正終了フラグがリセットされる(S180)。次に,カラー用補正処理が終了したか又は停止したか否かが判断される(S181)。カラー用補正処理が終了するか,又は停止するまで待機する(S181:No)。カラー用補正処理が終了するか又は停止すると(S181:Yes),カラー補正終了フラグがセットされて(S182),このフローの処理が終了する。なお,S104の実行時,プリンタ100が他の印刷データの印刷処理中であった場合には,その印刷処理の終了を待って補正処理を開始する。一方,カラー印刷の設定がOFFである場合には(S103:NO),カラー印刷用の補正処理を行う必要がない。そのため,カラー印刷用の補正処理を行わず,S105に移行する。
【0046】
すなわち,カラー印刷用の補正処理では,レジストパターン等のマークを搬送ベルト7上に形成し,そのマークを読み取って補正値を算出するといった処理が必要であり,補正処理完了までに時間がかかることが予想される。そのため,印刷を予見させる検査データ90を受信した際には,カラー印刷の設定がONである場合は,印刷ジョブを受け付ける前にカラー印刷用の補正処理を開始することで,印刷ジョブを受け付けてからカラー印刷用の補正処理が終了するのを待って印刷を開始するまでの待ち時間を短縮できる。一方で,カラー印刷の設定がOFFである場合は,不要なカラー印刷用の補正処理を行わないことで,カラー印刷用の補正処理に必要な電力と時間を節約できる。
【0047】
次に,検査データ90の印刷設定のうち,用紙種類の設定が厚紙であるか否かを判断する(S105,判断部の一例)。用紙種類の設定が厚紙である場合には(S105:YES),印刷の準備動作として,定着装置8のヒータのウォームアップを開始する(S106,準備動作部の一例)。ウォームアップの開始後は,S107に移行する。また,ウォームアップが開始されると,図9に示す処理が並列して開始される。図9のウォームアップが開始されると,ウォームアップ終了フラグがリセットされる(S183)。次に,ウォームアップが終了した又は停止したか否かを判断する(S184)。ウォームアップが終了するか又は停止するまで待機する(S184:No)。ウォームアップが終了するか又は停止すると(S184:Yes),ウォームアップ終了フラグがセットされて(S185),このフローの処理が終了する。一方,用紙種類の設定が厚紙ではない場合には(S105:NO),ウォームアップを開始せず,S107に移行する。S107では,その他の印刷の準備動作を開始する。その他の印刷の準備動作の開始後は,S108に移行する。なお,その他の準備動作が開始されると,開始された各準備動作の終了フラグがリセットされる。各準備動作が終了又は停止すると,リセットされた各終了フラグがセットされる。
【0048】
すなわち,定着装置8のヒータのウォームアップも,ヒータが所定の温度まで到達するのに時間がかかることが予想される。そのため,印刷を予見させる検査データ90を受信した際には,用紙種類の設定が厚紙である場合には,印刷ジョブを受け付ける前にウォームアップを開始することで,印刷ジョブを受信してからウォームアップが完了するのを待って印刷を開始するまでの待ち時間を短縮できる。一方で,用紙種類の設定が厚紙でない場合には,不要なウォームアップを行わないことで,ウォームアップに必要な電力と時間を節約できる。
【0049】
なお,本形態では,カラー用補正(S104),ウォームアップ(S106)の順に準備動作を行っているが,順序は不問である。また,必ずしも全ての準備動作を開始する必要はない。印刷の準備動作のうちの少なくとも1つを開始することで,印刷の早期開始の期待が高まる。具体的に,印刷の準備動作としてウォームアップと,例えば,ウォームアップよりも処理時間が長いカラー用補正処理とが実行される場合を用いて説明する。従来は,印刷データが受信された後に,ウォームアップとカラー用補正処理とが実行されて,処理時間の長いカラー用補正処理が終了するまで印刷の開始が出来なかった。これに対し本発明では,処理時間の長いカラー用補正処理が印刷を予見させる検査データを受信したタイミングで実行され,その後に印刷データが受信されると,その受信タイミングでウォームアップが実行される。カラー用補正処理が終了し,ウォームアップが終了すると印刷が開始できる。本発明では,カラー用補正処理を印刷データが受信される前から実行しているため,印刷データが受信されてから実行されるよりも早期に印刷を開始することができる。また,必ずしもS102の全項目判断,S103のカラー印刷の判断,S105の厚紙の判断を全て行う必要はなく,例えば,S103のみを行い,S102およびS105を行わない構成(つまり,図5のフローチャートにおいては,S101→S103,S104→S108,S109のだけの構成)であってもよい。
【0050】
また,検査データ90の印刷設定のうち,少なくとも1つの項目で印刷不可となっている,すなわち印刷設定を満たす印刷が不可の場合には(S102:NO),その解析結果を応答した後,ユーザが印刷命令をキャンセルする可能性が高い。この場合,ユーザが意図した印刷が不可であるので,他のプリンタが検索されてユーザが意図した印刷が行われる。また,例えば,カラー印刷の印刷設定であってカラーのトナーが不足している場合,印刷設定がモノクロ印刷に変更される可能性もある。そのため,印刷の準備動作を開始してもその準備動作が無駄になる可能性が高い。そのため,印刷の準備動作を開始することなく,S110に移行する。
【0051】
S108では,S101での解析結果を,検査要求の送信元に送信する(S108,応答部の一例)。解析結果の送信後は,タイマーをスタートし(S109),印刷データを含む印刷ジョブの受信待ちとなり,図5のAから図6のAに処理が移行する。S110では,S101での解析結果を,検査要求の送信元に送信する(S110,応答部の一例)。解析結果の送信後は,タイマーをスタートし(S111),印刷データを含む印刷ジョブの受信待ちとなり,図5のBから図7のBに処理が移行する。
【0052】
次に,図6のAでは,検査データを送信したPC200からの印刷ジョブを受け付けた否かを判断する(S121)。印刷ジョブを受け付けていない場合には(S121:NO),タイマーの計時が所定時間以上となったか否かを判断する(S122)。タイマーの計時が所定時間以上でなければ(S122:NO),S121に戻って印刷ジョブの受信を待つ。なお,S122での所定時間には,例えば,2,3分程度の時間が設定される。
【0053】
タイマーの計時が所定時間以上であれば(S122:YES),ユーザによって印刷命令がキャンセルされた,あるいはユーザに印刷の意思がないと見做す。そこで,印刷の準備動作を全て停止する(S123)。また,準備動作が完了したことを示す状態にするため,準備動作に対応するフラグをセットする。さらにタイマーを停止してリセットし(S124),受信処理を終了する。
【0054】
一方,検査データを送信したPC200からの印刷ジョブを受け付けた場合には(S121:YES),印刷データの受信を開始する(S141,データ受信部の一例)。受信した印刷データは,メモリ領域に保存される。印刷データの受信が開始されると,図10に示すような処理が並列して開始される。図10に示す印刷データの受信が開始されると,印刷データ受信終了フラグをリセットする(S186)。次に,印刷データの受信が終了したか否かを判断する(S187)。印刷データの受信が終了するまで待機する(S187:No)。印刷データの受信が終了すると(S187:Yes),印刷データ受信終了フラグをセットして(S188),このフローの処理が終了する。
【0055】
S141の後,印刷ジョブの印刷設定のうち,カラー印刷の設定がONであるか否かを判断する(S142,第2判断部の一例)。カラー印刷の設定がOFFである場合には(S142:NO),カラー印刷用の補正処理が実行中であるか否かを判断する(S143,実行判断部の一例)。例えば,検査データではカラー印刷がONであっても,検査データの解析結果を受けてユーザがカラー印刷の設定をOFFに変更して印刷ジョブを送信することがある。そこで,カラー印刷用の補正処理が実行中であった場合には(S143:YES),カラー印刷用の補正が不要であることから,カラー印刷用の補正処理を停止して,カラー用補正終了フラグをセットする(S144,停止部の一例)。これにより,無駄な準備動作に起因する印刷開始タイミングの遅延を回避する。S144の後,あるいはカラー印刷用の補正処理を実行していない場合には(S143:NO),S147に移行する。カラー印刷の設定がONである場合には(S142:YES),S145に移行する。S145では,カラー印刷用の補正処理が実行済みであるか否かを判断する。カラー印刷用の補正処理が実行済みでない場合には(S145:No),カラー印刷用の補正処理が実行される(S146)。S146の後,あるいはカラー印刷用の補正処理が実行済みである場合には(S145:Yes),S147に移行する。
【0056】
次に,印刷ジョブの印刷設定のうち,用紙種類の設定が厚紙であるか否かを判断する(S147,第2判断部の一例)。用紙種類の設定が厚紙ではない場合には(S147:NO),定着装置8のヒータのウォームアップが実行中であるか否かを判断する(S148,実行判断部の一例)。ウォームアップが実行中であった場合には(S148:YES),ウォームアップを停止して,ウォームアップ終了フラグをセットする(S149,停止部の一例)。これにより,S144と同様に,無駄な準備動作に起因する印刷開始タイミングの遅延および電力の浪費を回避する。S149の後,あるいはウォームアップを実行していない場合(S148:NO),あるいは用紙種類の設定が厚紙である場合には(S147:YES),S150に移行する。
【0057】
次に,全部の印刷の準備動作が完了したか否かを判断する(S150)。カラー用補正が終了又は停止したか否かは,カラー用補正終了フラグがセットされているか否かにより判断する(カラー用補正終了フラグがセットされていればカラー用補正が完了または停止しているため,印刷を開始できる。)。ウォームアップが終了又は停止したか否かは,ウォームアップ終了フラグがセットされているか否かにより判断する(ウォームアップ終了フラグがセットされていればウォームアップが完了または停止しているため,印刷を開始できる。)。印刷データの受信が終了したか否かは,印刷データ受信終了フラグがセットされているか否かにより判断する(印刷データ受信終了フラグがセットされていれば印刷データの受信が完了しているため,印刷を開始できる。)。全部の印刷の準備動作が完了したか否かは,これらのような各種フラグが全てセットされているか否かにより判断する。全部の印刷の準備動作が完了していない場合には(S150:NO),全部の印刷の準備動作が完了するまで待機する。一方,全部の印刷の準備動作が完了している場合には(S150:YES),印刷動作を開始する(S151,印刷部の一例)。その後,タイマーを停止してリセットし(S124),受信処理を終了する。
【0058】
図7のBでは,検査データを送信したユーザからの印刷ジョブを受け付けた否かを判断する(S161)。印刷ジョブを受け付けていない場合には(S161:NO),タイマーの計時が所定時間以上となったか否かを判断する(S162)。タイマーの計時が所定時間以上でなければ(S162:NO),S161に戻って印刷ジョブの受信を待つ。なお,S162での所定時間には,例えば,2,3分程度の時間が設定される。
【0059】
タイマーの計時が所定時間以上であれば(S162:YES),ユーザによって印刷命令がキャンセルされた,あるいはユーザに印刷の意思がないと見做す。そこで,タイマーを停止してリセットし(S163),受信処理を終了する。
【0060】
一方,検査データを送信したPC200からの印刷ジョブを受け付けた場合には(S161:YES),印刷データの受信を開始する(S165,データ受信部の一例)。受信した印刷データは,メモリ領域に保存される。印刷データの受信が開始されると,図10に示すような処理が並列して開始される。
【0061】
S165の後,印刷ジョブの印刷設定のうち,カラー印刷の設定がONであるか否かを判断する(S166,第2判断部の一例)。カラー印刷の設定がOFFである場合には(S166:NO),S169に移行する。カラー印刷の設定がONである場合には(S166:YES),S167に移行する。S167では,カラー印刷用の補正処理が実行済みであるか否かを判断する。つまり,カラー用補正終了フラグがセットされているか,リセットされているかを判断する。カラー印刷用の補正処理が実行済みでない場合には(S167:No),カラー印刷用の補正処理が実行される(S168)。S168の後,あるいはカラー印刷用の補正処理が実行済みである場合には(S167:Yes),S169に移行する。
【0062】
次に,印刷ジョブの印刷設定のうち,用紙種類の設定が厚紙であるか否かを判断する(S169,第2判断部の一例)。用紙種類の設定が厚紙である場合には(S169:Yes),定着装置8のヒータのウォームアップを開始する(S170)。また,用紙種類の設定が厚紙でない場合には(S169:No),S171に移行する。S171では,その他の印刷の準備動作を開始する。その他の印刷の準備動作の開始後は,S172に移行する。
【0063】
次に,全部の印刷の準備動作が完了したか否かを判断する(S172)。全部の印刷の準備動作が完了したか否かは,全ての準備動作の終了フラグがセットされたか否かにより判断される。全ての準備動作の終了フラグがセットされていれば,全部の印刷の準備動作が完了したと判断し,1つでも準備動作の終了フラグがセットされていなければ,全部の印刷の準備動作が完了したと判断しない。全部の印刷の準備動作が完了していない場合には(S172:NO),全部の印刷の準備動作が完了するまで待機する。一方,全部の印刷の準備動作が完了している場合には(S172:YES),印刷動作を開始する(S173,印刷部の一例)。その後,タイマーを停止してリセットし(S163),受信処理を終了する。
【0064】
以上詳細に説明したように本形態のプリンタ100では,印刷を予見させる要求である検査要求を受けたことを契機に,各種の印刷の準備動作を開始する。これにより,早期に準備動作を開始することになり,その結果として印刷の早期完了が期待できる。つまり,検査データ90を受信したことを契機に,印刷データを受信する前に準備動作を開始するので,印刷データの受信後に準備動作が完了して印刷動作を開始できるようになるまでの待ち時間が,印刷データを受信したことを契機に準備動作を開始する場合に比べて,検査データを受信してから印刷データを受信するまでの時間分だけ短くなる。
【0065】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタは,印刷機能を備えるものであればよく,複合機や複写機であっても適用可能である。また,プリンタに印刷ジョブを投入する情報処理装置は,PCに限るものではなく,例えば,スマートフォン等のモバイル装置であってもよい。
【0066】
また,実施の形態では,PC200からプリンタ100に直接印刷ジョブが送信されるが,これに限るものではない。例えば,PC200からサーバ300を介してプリンタ100にジョブが送信されてもよい。
【0067】
また,実施の形態では,プリンタ100は検査要求を受信したことを契機に印刷の準備動作を開始しているが,印刷の準備動作を開始する条件はこれに限るものではない。すなわち,印刷を予見させる要求を受信したタイミングであればよく,例えば能力情報通知要求を受信したタイミングであってもよい。能力情報通知要求であっても,プリンタ100に対して印刷データが送信される可能性が高まるため,印刷の準備動作を開始してもよい。なお,能力情報通知要求は,検査要求よりも早期に受信することから,印刷データを受信してから印刷を開始するまでの待ち時間が短縮できる。一方で,能力情報通知要求を出力するタイミングは,まだプリンタを検索している段階であり,ユーザがどのプリンタを利用するか不明である。そのため,検査要求を出力するタイミングと比較して,印刷データが送信されない可能性も高い。そのため,印刷の準備動作の無駄を低減するためには,検査要求の受信を契機に準備動作を開始する方が好ましい。
【0068】
また,印刷の準備動作を開始するための印刷を予見させる要求としては,検査要求(印刷設定の検査要求の一例)や,能力情報通知要求(能力取得要求の一例)の他,例えばプリンタの検索要求や,プリンタの状態取得要求であってもよい。プリンタの検索要求は,プリンタか否かを問い合わせる要求であり,例えばPCがプリンタの一覧を表示する際に出力される。また,プリンタの状態取得要求は,プリンタのステータスを問い合わせる要求であり,例えばPCがプリンタ個々の状態を表示する際に出力される。
【0069】
また,実施の形態では,カラー設定や用紙種類の設定によって,準備動作を開始するか否かを決定しているが,準備動作の開始条件はこれらに限るものではない。例えば,検査データ90の印刷設定のうち,解像度の設定が所定値以上の高解像度であれば,位置ずれ補正を開始するようにしてもよい。
【0070】
また,実施の形態では,印刷データを作成したユーザ毎の判断は行っていないが,特定のユーザについての判断を行ってもよい。例えば,検査データ90に含まれるユーザ名ごとに印刷履歴を管理し,検査データ90の解析結果に印刷不可の情報が含まれていたとしても印刷を行う傾向が高いユーザであるか否かを判断し,そのようなユーザからの検査要求を受信した場合には,検査データ90の印刷設定の中に印刷不可の項目があったとしても(つまり,S102がNOであったとしても),S103に移行して印刷の準備動作を開始してもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 画像形成部
30 制御部
40 操作パネル
100 プリンタ
200 PC
900 印刷システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求を受信する要求受信部と,
前記要求受信部が要求を受信した後,当該要求に対する回答を応答する応答部と,
前記応答部による応答後に,印刷データを受信するデータ受信部と,
前記データ受信部が受信した印刷データを印刷する印刷部と,
前記要求受信部が印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求を受信した場合に,当該印刷設定の設定内容が準備動作を開始する開始条件を満たすか否かを判断する判断部と,
前記要求受信部が前記検査要求を受信したことを条件として,前記判断部にて開始条件を満たすと判断された場合,前記データ受信部が印刷データを受信する前に,その開始条件に対応する準備動作を開始し,前記判断部にて開始条件を満たさないと判断された場合,前記データ受信部が印刷データを受信する前に,その開始条件に対応する準備動作を開始しない準備動作部と,
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
前記判断部は,前記開始条件として印刷設定の設定内容がカラー印刷か否かを判断し,
前記準備動作部は,前記判断部にてカラー印刷であると判断された場合,前記準備動作としてカラー印刷用の補正処理を開始し,前記判断部にてカラー印刷ではないと判断された場合,前記補正処理を開始しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
前記判断部は,前記開始条件として印刷設定のうち用紙種類の設定が厚紙か否かを判断し,
前記準備動作部は,前記判断部にて厚紙であると判断された場合,前記準備動作として定着装置のウォームアップを開始し,前記判断部にて厚紙ではないと判断された場合,前記ウォームアップを開始しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記データ受信部が印刷データを受信した場合に,当該印刷データの印刷設定の設定内容が準備動作を実行する実行条件を満たすか否かを判断する第2判断部と,
前記第2判断部にて実行条件を満たさないと判断された場合,その実行条件に対応する準備動作が実行中であるか否かを判断する実行判断部と,
前記実行判断部にて準備動作が実行中であると判断された場合,その準備動作を停止する停止部と,
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載する画像形成装置において,
前記準備動作部は,前記準備動作としてカラー印刷用の補正処理を行い,
前記第2判断部は,前記実行条件として印刷設定の設定内容がカラー印刷か否かを判断し,
前記実行判断部は,前記第2判断部にてカラー印刷ではないと判断された場合,前記補正処理が実行中であるか否かを判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載する画像形成装置において,
前記準備動作部は,前記準備動作として定着装置のウォームアップを行い,
前記第2判断部は,前記実行条件として印刷設定のうち用紙種類の設定が厚紙か否かを判断し,
前記実行判断部は,前記第2判断部にて厚紙ではないと判断された場合,前記ウォームアップが実行中であるか否かを判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記要求受信部が印刷データに関連付けられた印刷設定の検査要求を受信したことを条件として,当該印刷設定を全て満たす印刷が可能か否かを判断する印刷判断部を備え,
前記準備動作部は,前記印刷判断部にて印刷が可能と判断された場合,その印刷の準備動作を開始し,前記印刷判断部にて印刷が不可と判断された場合,その印刷の準備動作を開始しないことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−64977(P2013−64977A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106839(P2012−106839)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】