説明

画像形成装置

【課題】ジャム処理を行う際の作業性を向上させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、用紙の幅方向に長い開口20が設けられた本体筐体2と、複数の駆動ローラ91と複数の従動ローラ92から構成され、駆動ローラ91と従動ローラ92との間にニップされた用紙を開口20を通して外部に排出する排出ローラ9とを備える。駆動ローラ91は、幅方向に第1の隙間SP1をあけて配置された2つの回転軸91Aに2つずつ支持されている。開口20は、第1の隙間SP1を露出させるように、幅方向の一部から開口20の短手方向の一方に向けて延びる第1拡幅部21を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートを装置本体の外部に排出する排出ローラを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成装置では、トナー像が転写されて熱定着されたシートは、排出ローラ対により装置本体内から外部へ排出されるが、その途中で詰まってしまうことがある。このようなシートを取り除くため、特許文献1には、排出ローラ対の下側のローラを支持しつつ装置本体に対して開閉可能に支持された開閉カバーを備え、この開閉カバーを開放することで、詰まったシートへのアクセスを可能とするプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−208810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記したプリンタは、排出ローラ対付近でシートが詰まるたびに毎回、開閉カバーを開閉させる必要があるため、詰まったシートの処理(ジャム処理)を行う際の作業性が良くない(作業が煩雑である)という問題があった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、ジャム処理を行う際の作業性を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、記録シートの幅方向に長い開口が設けられた装置本体と、複数の第1のローラと複数の第2のローラから構成され、第1のローラと第2のローラとの間にニップされた記録シートを開口を通して外部に排出する排出ローラとを備えている。
第1のローラは、幅方向に第1の隙間をあけて配置された複数の第1の回転軸に少なくとも1つずつ支持されている。
開口は、少なくとも1つの第1の隙間を露出させるように、幅方向の一部から開口の短手方向の一方に向けて延びる第1拡幅部を有する。
【0007】
このような構成によれば、排出ローラ付近で記録シートが詰まった場合でも、ユーザは第1拡幅部から第1の隙間に指を入れて詰まった記録シートにアクセスすることができるので、従来技術のように毎回開閉可能な部材を開閉するというような手間を省くことができる。その結果、ジャム処理を行う際の作業性を向上させることができる。
【0008】
なお、本発明では、開口全体を大きくするのではなく、幅方向に長い開口の複数の回転軸の間の隙間に対応する位置に拡幅部を設けて当該部分だけを大きくしているので、排出ローラの回転中などに誤って排出ローラや回転軸に触れてしまうことを防止することができる。また、開口全体を大きくした場合と比較して、装置本体内への塵埃の侵入を抑制することができる。
【0009】
前記した画像形成装置において、第2のローラは、第1の隙間に対応する範囲で幅方向に第2の隙間をあけて配置された複数の第2の回転軸に少なくとも1つずつ支持されていることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、第1拡幅部により露出する第1の隙間と対応する幅方向の位置に第2の回転軸が存在しないので、記録シートにアクセスするときに第2の回転軸が障害となることがない。これにより、ジャム処理を行う際の作業性をより向上させることができる。
【0011】
前記した画像形成装置において、開口は、第2の隙間を露出させるように、幅方向の一部から第1拡幅部とは反対側に向けて延びる第2拡幅部を有していてもよい。
【0012】
このような構成によれば、開口のうち、詰まった記録シートにアクセスするための部分(拡幅部)をより大きくすることができるので、ジャム処理を行う際の作業性をさらに向上させることができる。
【0013】
前記した第2拡幅部を有する画像形成装置は、装置本体が、開口の下側に開口から排出された記録シートが載置される載置部を有する場合において、第1拡幅部と第2拡幅部は、下側に位置する方が大きいことが好ましい。
【0014】
開口の下側に載置部を有する構成では、開口と載置部の間(開口の下側)に記録シートを載置するためのスペースがあるので、下側の拡幅部を大きく形成しやすく、これにより、詰まった記録シートによりアクセスしやすくすることができる。また、上側の拡幅部が大きいと装置本体の高さが高くなるおそれがあるが、スペースのある下側の拡幅部を大きくすることで、装置の大型化を抑えることができる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、装置本体が、開口の下側に開口から排出された記録シートが載置される載置部を有し、さらに、開口が、第1拡幅部のみを有する場合には、第1拡幅部は、下側に向けて延びていることが好ましい。
【0016】
上記したとおり、開口の下側に載置部を有する構成では、開口の下側に記録シートを載置するためのスペースがあるので、下側に向けて延びる第1拡幅部を大きく形成することができる。これにより、詰まった記録シートによりアクセスしやすくすることができる。また、開口の下側のスペースを利用できるので、第1拡幅部が上側に向けて延びている場合と比較して、装置の大型化を抑えることができる。
【0017】
前記した各画像形成装置において、第1の隙間を挟んで配置される一方の第1のローラと他方の第1のローラは、前記短手方向にずれて配置されていてもよい。また、第1の隙間を挟んで配置される一方の第1のローラと他方の第1のローラは、排出される記録シートを所定の形状に湾曲させるため、記録シートの排出方向から見て、軸線の角度が異なるように配置されていてもよい。
【0018】
このような構成によれば、排出ローラから排出される記録シートを、排出方向から見て所定の形状に湾曲させることができるので、排出される記録シートにコシを持たせることができる。これにより、排出中の記録シートのカールを抑えたり、排出された記録シートのカールをある程度矯正したりすることが可能となる。
【0019】
前記した各画像形成装置は、前記短手方向において対向する開口の一対の縁部のうちの一方を形成する壁を有し、第1のローラおよび第2のローラのうちの一方のローラを支持する支持部材を備える構成としてもよい。
この場合、支持部材は、一対の縁部のうちの一方が他方から離間するように、装置本体に対して揺動可能に支持されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、支持部材を揺動することで、排出ローラの一方のローラを他方のローラから離間させ、かつ、詰まった記録シートにアクセスするためのアクセス口を大きくすることができるので、ジャム処理をより確実に行うことができる。
【0021】
なお、当該構成では、拡幅部を利用してジャム処理を行うか、支持部材を揺動させた後にジャム処理を行うかをユーザ自身が選択できるため、毎回開閉させる必要がある従来技術と比較すると、ジャム処理を行う際の手間を低減することができる。
【0022】
前記した各画像形成装置は、第1の回転軸が、1つの第1の隙間を挟んで2つ設けられ、さらに、装置本体内に設けられ、記録シートに画像を形成する画像形成部と、画像形成部に駆動力を付与する1つの駆動源と、画像形成部の幅方向一方側に設けられ、駆動源から駆動力を幅方向一方側の第1の回転軸に伝達可能な第1の駆動伝達手段と、画像形成部の幅方向他方側に設けられ、駆動力を幅方向他方側の第1の回転軸に伝達可能な第2の駆動伝達手段とを備える構成とすることができる。
この場合、画像形成部は、駆動源からの駆動力が幅方向一方側から入力され、当該入力された駆動力を幅方向他方側の第2の駆動伝達手段に伝達可能な第3の駆動伝達手段を有することが好ましい。
【0023】
このような構成によれば、第1の回転軸が第1の隙間をあけて2つ設けられ、駆動源が1つである構成であっても、両方の第1の回転軸に回転駆動力を伝達することができる。特に、第3の駆動伝達手段として、駆動力を伝達するための専用の駆動伝達手段を備えるのではなく、画像形成部の構成を利用しているので、画像形成部とは別に設けられた駆動力伝達手段を備える構成と比較して、部品点数の削減を図ることができるとともに、装置の大型化を抑えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、開口の拡幅部から詰まった記録シートにアクセスすることができるので、その他の操作を行う手間を省くことができ、ジャム処理を行う際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタの概略構成を示す図である。
【図2】図1のX方向から見た開口付近の正面図(a)と、排出ローラの正面図(b)である。
【図3】排出ローラ付近の拡大図(a)と、支持部材を揺動させたときを示す図(b)である。
【図4】駆動伝達機構の概略構成を示す図である。
【図5】図4のA方向から見た図(a)と、B方向から見た図(b)である。
【図6】第2実施形態に係る開口付近の正面図(a)と、排出ローラの正面図(b)である。
【図7】変形例に係る排出ローラ付近の拡大図(a)と、支持部材を揺動させたときを示す図(b)である。
【図8】変形例に係る排出ローラの配置を示す正面図(a),(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の概略構成を簡単に説明し、その後、本発明の特徴部分に係るカラープリンタ1(排出ローラ9周辺)の詳細な構成について説明する。
【0027】
また、以下の説明において、方向は、カラープリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0028】
<カラープリンタの概略構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体の一例としての本体筐体2と、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、供給された用紙Sに画像を形成する画像形成部4と、画像が形成された用紙Sを外部に排出する排出ローラ9とを主に備えている。
【0029】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ3Aと、用紙Sを給紙トレイ3Aから画像形成部4に供給する給紙機構3Bとを主に備えている。給紙トレイ3Aに収容された用紙Sは、給紙機構3Bによって1枚ずつ分離されて画像形成部4に供給される。
【0030】
画像形成部4は、本体筐体2内に設けられ、4つのプロセスユニット5と、4つのLEDユニット6と、転写ユニット7と、定着ユニット8とを主に備えて構成されている。
【0031】
プロセスユニット5は、給紙トレイ3Aの上方で前後方向に並んで配置され、それぞれ、感光体ドラム5Aと、帯電器5Bと、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのいずれかのトナーが収容され、収容されたトナーを静電潜像が形成された感光体ドラム5Aに供給する公知の現像装置5Cとを主に備えている。
【0032】
LEDユニット6は、感光体ドラム5Aの下方に対向して配置され、画像データに基づいて先端(上端)に設けられた図示しない複数のLEDが明滅することで、帯電後の感光体ドラム5Aの表面を露光する。
【0033】
転写ユニット7は、プロセスユニット5の上方に設けられ、駆動ローラ7Aと、従動ローラ7Bと、駆動ローラ7Aおよび従動ローラ7Bの間に張設された無端状の中間転写ベルト7Cと、4つの1次転写ローラ7Dと、2次転写ローラ7Eとを主に備えている。各1次転写ローラ7Dは、中間転写ベルト7Cを挟んで感光体ドラム5Aと対向配置され、2次転写ローラ7Eは、中間転写ベルト7Cを挟んで駆動ローラ7Aと対向配置されている。
【0034】
定着ユニット8は、駆動ローラ7Aおよび2次転写ローラ7Eの上方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。
【0035】
このような画像形成部4では、感光体ドラム5Aの表面が、帯電器5Bにより一様に帯電された後、LEDユニット6によって露光されることで、感光体ドラム5A上に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラム5Aの表面に現像装置5Cからトナーが供給されることで、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム5A上にトナー像が形成される。
【0036】
各感光体ドラム5A上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト7C上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙部3から搬送された用紙Sが、中間転写ベルト7Cと2次転写ローラ7Eとの間を搬送されることで、中間転写ベルト7C上のトナー像が用紙Sに転写される。トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。
【0037】
排出ローラ9は、定着ユニット8の前方に設けられている。トナー像が熱定着されて定着ユニット8から搬出された用紙Sは、排出ローラ9により本体筐体2に設けられた開口20を通して外部に排出され、載置部の一例としての排紙トレイ2A上に載置される。なお、排紙トレイ2Aは、本体筐体2の上部で、後方から前方に向けて、開口20の下側付近から上方へ傾斜しながら延び、途中から略前後方向に沿って延びるように形成されている。
【0038】
<レーザプリンタの詳細構成>
図2(a),(b)に示すように、カラープリンタ1は、本発明の特徴部分に関連する構成として、複数対の排出ローラ9と、開口20が設けられた本体筐体2と、支持部材25と、駆動源の一例としてのモータ10(図4参照)と、駆動伝達機構(符号省略)とを備えている。
【0039】
排出ローラ9は、複数の第1のローラの一例としての4つの駆動ローラ91と、複数の第2のローラの一例としての4つの従動ローラ92とから構成され、駆動ローラ91と従動ローラ92との間にニップされた用紙Sを、前記したとおり、開口20を通して本体筐体2の外部に排出する(図1参照)。
【0040】
駆動ローラ91は、上側に配置されたローラであり、本体筐体2に回転可能に支持されている。この駆動ローラ91は、後述するように、モータ10から駆動力が伝達されることで回転駆動するように構成されている。より詳細に、駆動ローラ91は、左右方向(用紙Sの幅方向)に第1の隙間SP1をあけて配置された、複数の第1の回転軸の一例としての2つの回転軸91Aに2つずつ支持されている。そして、回転軸91Aの左右方向外側の端部には、回転軸91Aおよび駆動ローラ91と一体に回転可能なギヤ91Gが固定されており、このギヤ91Gに後述する駆動伝達機構を介してモータ10から駆動力が伝達されることで、駆動ローラ91が回転駆動するようになっている。
【0041】
従動ローラ92は、駆動ローラ91の下側に配置されたローラであり、各駆動ローラ91に対して1つずつ設けられている。各従動ローラ92は、それぞれ、第2の回転軸の一例としての回転軸92Aを有しており、回転軸92Aを介して後述する支持部材25に回転可能に支持され、回転駆動する駆動ローラ91に対して従動回転するようになっている。
【0042】
4つ(複数)の回転軸92Aは、左右方向に所定の間隔をあけて配置されている。さらに述べると、左右方向中央付近に配置された2つの回転軸92Aは、前記した第1の隙間SP1に対応する範囲、より詳細には、左右方向において第1の隙間SP1と対応する位置で第1の隙間SP1よりも若干広い第2の隙間SP2をあけて配置されている。
【0043】
開口20は、本体筐体2内から外部に排出される用紙Sが通過する開口であり、左右方向に長い形状に形成されている。この開口20は、第1拡幅部21と、第2拡幅部22とを有している。
【0044】
第1拡幅部21は、開口20の上下方向(短手方向)において対向する一対の縁部(上縁部20Aおよび下縁部20B)のうちの上縁部20Aの左右方向の一部、具体的には、上縁部20Aの中央付近から、上方(短手方向の一方)に向けて延びる凹形状をなす部分である。この第1拡幅部21は、2つの回転軸91Aの間の第1の隙間SP1を外部に露出させるように形成されている。
【0045】
第2拡幅部22は、開口20の下縁部20Bの左右方向の一部、具体的には、第1拡幅部21と対応する中央付近から、第1拡幅部21とは反対側の下方に向けて延びる凹形状をなす部分である。この第2拡幅部22は、左右方向中央付近に配置された2つの回転軸92Aの間の第2の隙間SP2を外部に露出させるように形成されている。
【0046】
このように、開口20が第1拡幅部21および第2拡幅部22を有することで、排出ローラ9付近で用紙Sが詰まったとしても、ユーザは拡幅部21,22から隙間SP1,SP2に指を入れて詰まった用紙Sにアクセスすることができるようになる。これにより、詰まった用紙Sにアクセスするために毎回開閉可能な部材を開閉する操作が必要な従来技術と比較して、ジャム処理を行う際の作業性を向上させることができるようになっている。
【0047】
特に、本実施形態では、開口20が、第1拡幅部21と、第1拡幅部21とは反対側に向けて延びる第2拡幅部22とを有しているので、開口20のうち詰まった用紙Sにアクセスするための部分(拡幅部)をより大きくすることができる。これにより、ジャム処理を行う際の作業性をさらに向上させることが可能となっている。
【0048】
なお、本実施形態において、第1拡幅部21と第2拡幅部22は、下側に位置する第2拡幅部22が上側に位置する第1拡幅部21よりも大きく形成されている。これにより、本実施形態においては、開口20中央付近の上下に拡幅する部分の全体が大きく(広く)なるので、詰まった用紙Sによりアクセスしやすくなっている。
【0049】
また、カラープリンタ1のように、開口20の下側に排紙トレイ2Aを有する構成では、開口20の下側に用紙Sを載置するためのスペースがあるので、下側の第2拡幅部22を大きく形成しやすい。そのため、装置全体の大型化を抑えることができる。補足すると、上側の第1拡幅部21が下側の第2拡幅部22よりも大きい場合、本体筐体2の高さが高くなって装置全体が大型化するおそれがあるが、本実施形態のように、スペースのある下側の第2拡幅部22を大きくすることで、装置全体の大型化を抑えることが可能となっている。
【0050】
図2および図3(a)に示すように、支持部材25は、給紙部3や画像形成部4などを収容する本体筐体2とは別部品として構成された部材であり、開口20の下側の壁の一部を形成する壁部25Wを有している。図3(a)に示す状態において、壁部25Wの上端部は、開口20の下縁部20Bを構成する。また、支持部材25は、回転軸92Aを介して従動ローラ92を回転可能に支持している。
【0051】
この支持部材25は、壁部25Wの下端の揺動軸25Aを中心として、本体筐体2に対して揺動可能に支持されている。これにより、図3(b)に示すように、支持部材25を揺動させることで、開口20の下縁部20Bが上縁部20Aから離間するので、本体筐体2の開口20付近が大きく開く(アクセス口200が形成される)ことになる。また、このとき、支持部材25に支持された従動ローラ92は、駆動ローラ91から離間するので、排出ローラ9のニップが解除される。
【0052】
このような構成によれば、詰まった用紙Sに開口20(第1拡幅部21および第2拡幅部22)からアクセスしづらい場合に支持部材25を揺動させることで、大きなアクセス口200を形成することができるので、ジャム処理をより容易に、かつ、確実に行うことができる。なお、詰まった用紙Sに開口20(拡幅部21,22)からアクセスできる場合には、支持部材25を揺動させる必要はないので、従来技術と比較して、ジャム処理を行う際の手間を低減することができるようになっている。
【0053】
図4に示すように、モータ10は、給紙部3(給紙機構3B)や画像形成部4(プロセスユニット5、転写ユニット7、定着ユニット8)などに駆動力を付与する公知のモータであり、本実施形態においては、本体筐体2内の左側に1つ設けられている。
【0054】
駆動伝達機構は、モータ10の駆動力を給紙部3や画像形成部4などに伝達するための機構であり、複数のギヤや軸継手などから主に構成されている。なお、本明細書においては、給紙部3、プロセスユニット5および転写ユニット7に駆動力を伝達する具体的な手段についての説明を省略するが、このような手段は広く公知の構成を採用することができる。
【0055】
図4,5に示すように、本実施形態において、駆動伝達機構は、第1の駆動伝達手段の一例としての第1ギヤ列11と、第2の駆動伝達手段の一例としての第2ギヤ列12と、第3の駆動伝達手段の一例としての加熱ローラ81と、中間ギヤ13と、加圧ローラギヤ82Gとを主に備えている。
【0056】
第1ギヤ列11は、本体筐体2内において画像形成部4の左側(幅方向一方側)に設けられており、モータ10から駆動力を左側に配置された回転軸91Aのギヤ91Gに伝達可能な複数のギヤから構成されている。また、中間ギヤ13は、第1ギヤ列11を構成するギヤの1つと、左側の加熱ローラギヤ81Gと噛み合っている。
【0057】
加熱ローラ81は、図示しないヒータによって加熱される金属製円筒状の回転体81Aと、回転体81Aの左右両端に設けられた左右の加熱ローラギヤ81Gとを主に有している。回転体81Aは、本体筐体2に対して直接または間接的に回転可能に支持されており、モータ10から第1ギヤ列11および中間ギヤ13を介して左側の加熱ローラギヤ81Gに入力された駆動力を画像形成部4の右側に伝達可能としている。
【0058】
第2ギヤ列12は、本体筐体2内において画像形成部4の右側(幅方向他方側)に設けられた複数のギヤから構成され、右側の加熱ローラギヤ81Gから入力された駆動力を右側に配置された回転軸91Aのギヤ91Gに伝達可能としている。
【0059】
加圧ローラギヤ82Gは、加圧ローラ82の回転軸の左右両端に設けられたギヤであり、それぞれ、加熱ローラギヤ81Gと噛み合っている。
【0060】
以上のような駆動伝達機構により、左側の回転軸91Aのギヤ91G(駆動ローラ91)には、モータ10の駆動力が、第1ギヤ列11を介して伝達されることとなる。また、右側の回転軸91Aのギヤ91G(駆動ローラ91)には、モータ10の駆動力が、第1ギヤ列11、中間ギヤ13、加熱ローラ81および第2ギヤ列12を介して伝達されることとなる。
【0061】
これにより、回転軸91Aが第1の隙間SP1をあけて2つ設けられ、モータ10が1つである構成であっても、両方の回転軸91A(すべての駆動ローラ91)を回転駆動させることができるようになっている。
【0062】
また、本実施形態では、画像形成部4の左側に配置されたモータ10からの駆動力を、加熱ローラ81を利用して画像形成部4の右側に伝達しているので、駆動力を伝達するための専用の駆動伝達手段、例えば、両端にギヤが設けられたシャフトなどを備える構成と比較して、部品点数の削減を図ることが可能となっている。
【0063】
また、前記したようなシャフトなどを備える場合、そのようなシャフトを、画像形成部4を避けるように配置する必要があるため、場合によっては、本体筐体2(装置)が大型化する可能性があるが、駆動力の伝達に加熱ローラ81、すなわち、画像形成部4の構成を利用する本実施形態によれば、そのような装置の大型化を抑えることができる。
【0064】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0065】
図6(a),(b)に示すように、本実施形態の排出ローラ9は、複数の第1のローラの他の例としての4つの従動ローラ93と、複数の第2のローラの他の例としての4つの駆動ローラ94とから構成され、従動ローラ93と駆動ローラ94との間にニップされた用紙Sを開口20を通して本体筐体2の外部に排出する。
【0066】
従動ローラ93は、下側に配置されたローラであり、回転駆動する駆動ローラ94に従動回転するように構成されている。この従動ローラ93は、左右方向に第1の隙間SP1をあけて配置された、複数の第1の回転軸の他の例としての2つの回転軸93Aに2つずつ支持されている。
【0067】
駆動ローラ94は、従動ローラ93の上側に配置されたローラであり、各従動ローラ93に対して1つずつ設けられている。この駆動ローラ94は、第1の隙間SP1に対応する範囲で左右方向に第2の隙間SP2をあけて配置された、複数の第2の回転軸の他の例としての2つの回転軸94Aに2つずつ支持されている。駆動ローラ94は、各回転軸94Aの左右方向外側の端部に設けられたギヤ91Gに駆動力が伝達されることで、回転駆動するように構成されている。
【0068】
本実施形態の開口20は、本体筐体2内から外部に排出される用紙Sが通過する、本体筐体2に設けられた開口であり、左右方向に長い形状に形成されている。本実施形態において、開口20は、拡幅部として第1拡幅部23のみを有している。
【0069】
第1拡幅部23は、開口20の下縁部20Bの左右方向の一部、具体的には、下縁部20Bの中央付近から、下側に向けて延びる凹形状をなしている。そして、この第1拡幅部23は、2つの回転軸93Aの間の第1の隙間SP1を外部に露出させるように形成されている。
【0070】
以上のように、開口20が第1拡幅部23を有することで、前記した第1実施形態と同様に、第1拡幅部23から詰まった用紙Sにアクセス可能となるので、従来技術と比較して、ジャム処理を行う際の作業性を向上させることができるようになっている。
【0071】
また、図示は省略するが、本実施形態においても、開口20の下側に排紙トレイ2Aが設けられている。これにより、開口20の下側に用紙Sを載置するためのスペースがあるので、下側に向けて延びる第1拡幅部23を大きく形成することができ、詰まった用紙Sによりアクセスしやすくすることができる。また、開口20の下側のスペースを利用できることで、第1拡幅部23が開口20の上縁部20Aから上側に向けて延びる構成と比較して、装置の大型化を抑えることができる。
【0072】
また、本実施形態では、開口20の上縁部20Aに拡幅部は設けられていないが、駆動ローラ94の回転軸94Aは第1の隙間SP1に対応する範囲で左右方向に第2の隙間SP2をあけて配置されている。これにより、第1拡幅部23から用紙Sにアクセスするときに回転軸94Aが障害となることがないので、ジャム処理を行う際の作業性を向上させることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0074】
前記実施形態では、開口20の下縁部20Bを形成する壁部25Wを有し、従動ローラ92(第2のローラ)を支持する支持部材25を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図7(a)に示すように、支持部材26は、開口20の上縁部20A(および上側の壁)を形成する壁部26Wを有し、駆動ローラ91(第1のローラ)を支持するように構成されていてもよい。
【0075】
補足すると、図7(b)に示すように、支持部材26は、その後端の揺動軸26Aを中心として本体筐体2に対して揺動可能に支持されており、揺動させることで、開口20の上縁部20Aが下縁部20Bから離間して、アクセス口200を形成することができるように構成されている。また、このとき、支持部材26に支持された駆動ローラ91が従動ローラ92から離間することでニップが解除される。このような構成によっても、前記実施形態の場合と同様に、ジャム処理をより容易に、かつ、確実に行うことが可能となる。
【0076】
前記実施形態では、駆動ローラ91(第1のローラ)は回転中心が同一軸線上に配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8(a)に示すように、第1の隙間SP1を挟んで配置される、左側の駆動ローラ91(一方の第1のローラ)と、右側の駆動ローラ91(他方の第1のローラ)とは、上下方向(図示しない開口の短手方向)にずれて配置されていてもよい。
【0077】
また、図8(b)に示すように、第1の隙間SP1を挟んで配置される、左側の駆動ローラ91と、右側の駆動ローラ91とは、用紙Sの排出方向(図8の紙面に向かう方向)から見て、軸線AL,ARの角度が異なるように配置されていてもよい。
【0078】
このような駆動ローラ91(排出ローラ9)の配置によれば、図8(a),(b)に示すように、排出ローラ9から排出される用紙Sを、排出方向から見て所定の形状に湾曲させることができるので、排出される用紙Sにコシを持たせることができる。これにより、排出中の用紙Sのカールを抑えたり、排出された用紙Sのカールをある程度矯正したりすることが可能となる。
【0079】
前記第1実施形態では、第1のローラを駆動ローラ91とし、前記第2実施形態では、第2のローラを駆動ローラ94としたが、本発明において、第1のローラと第2のローラは、いずれが駆動ローラであってもよい。また、前記実施形態では、駆動ローラ91,94が上側に配置され、従動ローラ92,93が下側に配置されていたが、本発明はこれに限定されず、駆動ローラが下側に配置され、従動ローラが上に配置されていてもよい。
【0080】
前記実施形態では、対の排出ローラ9は、1つの駆動ローラ91(第1のローラ)と1つの従動ローラ92(第2のローラ)とから構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、対の排出ローラは、1つの第1のローラと2つの第2のローラとから構成されていてもよいし、2つの第1のローラと1つの第2のローラとから構成されていてもよい。
【0081】
前記実施形態では、第1の隙間が1つ(第1の回転軸が2つ)であったが、本発明はこれに限定されず、例えば、第1の隙間は2つ以上(第1の回転軸は3つ以上)であってもよい。この場合、第1拡幅部は、すべての第1の隙間を露出させるように複数設けられていてもよいし、例えば、複数の第1の隙間のうちの1つを露出させるように1つだけ設けられていてもよい。第2の隙間および第2拡幅部についても同様である。
【0082】
前記実施形態では、第1および第2の駆動力伝達手段としてギヤ列を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、摩擦車の列であってもよいし、1つのギヤや摩擦車であってもよいし、ベルトやチェーンなどであってもよい。また、第1の駆動力伝達手段と第2の駆動力伝達手段とは、前記実施形態のように同種の構成(両方ともギヤ列)であってもよいし、異種の構成(例えば、一方がギヤ列、他方が摩擦車の列など)であってもよい。
【0083】
前記実施形態では、第3の駆動力伝達手段として加熱ローラ81を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、加圧ローラ82であってもよい。また、プロセスユニット5の感光体ドラム5Aや、転写ユニット7の駆動ローラ7Aなどであってもよい。
【0084】
前記実施形態では、左右の回転軸91Aを駆動伝達機構を介して1つのモータ10(駆動源)で駆動させる構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、左右の回転軸91Aを別々の駆動源で駆動させるように構成してもよい。
【0085】
前記実施形態では、画像形成装置として、LEDユニット6(LED光)で感光体ドラム5A(感光体)を露光するカラープリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、レーザ光で感光体を露光する電子写真方式のプリンタであってもよいし、インクジェット方式のプリンタであってもよいし、感熱方式のプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。さらに、画像形成装置は、モノクロ画像だけを形成可能なものであってもよい。
【0086】
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 カラープリンタ
2 本体筐体
2A 排紙トレイ
4 画像形成部
9 排出ローラ
10 モータ
11 第1ギヤ列
12 第2ギヤ列
20 開口
20A 上縁部
20B 下縁部
21 第1拡幅部
22 第2拡幅部
25 支持部材
25W 壁部
81 加熱ローラ
91 駆動ローラ
91A 回転軸
92 従動ローラ
92A 回転軸
S 用紙
SP1 第1の隙間
SP2 第2の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートの幅方向に長い開口が設けられた装置本体と、
複数の第1のローラと複数の第2のローラから構成され、前記第1のローラと前記第2のローラとの間にニップされた記録シートを前記開口を通して外部に排出する排出ローラと、を備えた画像形成装置であって、
前記第1のローラは、前記幅方向に第1の隙間をあけて配置された複数の第1の回転軸に少なくとも1つずつ支持され、
前記開口は、少なくとも1つの前記第1の隙間を露出させるように、前記幅方向の一部から前記開口の短手方向の一方に向けて延びる第1拡幅部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2のローラは、前記第1の隙間に対応する範囲で前記幅方向に第2の隙間をあけて配置された複数の第2の回転軸に少なくとも1つずつ支持されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記開口は、前記第2の隙間を露出させるように、前記幅方向の一部から前記第1拡幅部とは反対側に向けて延びる第2拡幅部を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置本体は、前記開口の下側に前記開口から排出された記録シートが載置される載置部を有し、
前記第1拡幅部と前記第2拡幅部は、下側に位置する方が大きいことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記装置本体は、前記開口の下側に前記開口から排出された記録シートが載置される載置部を有し、
前記開口は、前記第1拡幅部のみを有し、
前記第1拡幅部は、下側に向けて延びていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の隙間を挟んで配置される一方の前記第1のローラと他方の前記第1のローラは、前記短手方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の隙間を挟んで配置される一方の前記第1のローラと他方の前記第1のローラは、排出される記録シートを所定の形状に湾曲させるため、記録シートの排出方向から見て、軸線の角度が異なるように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記短手方向において対向する前記開口の一対の縁部のうちの一方を形成する壁を有し、前記第1のローラおよび前記第2のローラのうちの一方のローラを支持する支持部材を備え、
前記支持部材は、前記一対の縁部のうちの一方が他方から離間するように、前記装置本体に対して揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の回転軸は、1つの前記第1の隙間を挟んで2つ設けられ、
さらに、
前記装置本体内に設けられ、記録シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に駆動力を付与する1つの駆動源と、
前記画像形成部の前記幅方向一方側に設けられ、前記駆動源から駆動力を前記幅方向一方側の第1の回転軸に伝達可能な第1の駆動伝達手段と、
前記画像形成部の前記幅方向他方側に設けられ、駆動力を前記幅方向他方側の第1の回転軸に伝達可能な第2の駆動伝達手段と、を備え
前記画像形成部は、前記駆動源からの駆動力が前記幅方向一方側から入力され、当該入力された駆動力を前記幅方向他方側の前記第2の駆動伝達手段に伝達可能な第3の駆動伝達手段を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−6663(P2013−6663A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140365(P2011−140365)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】