画像彫刻方法及び装置
【課題】顔写真などの中間諧調のものや文字などの情報の彫刻によって作製する場合に、簡単なハードウェア構成で、様々な彫刻レイアウトに容易に対応できるようにする。
【解決手段】ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値である場合は、ドット制御信号をオフ(振幅がゼロ)とすることで(ステップS118)、ライン彫刻とし、これら最小値又は最大値に応じた彫刻を行う。他方、この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、一定振幅で所定周波数のドット制御信号を重畳することで(ステップS116)、ドット彫刻とし、この値に応じた彫刻を行う。
【解決手段】ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値である場合は、ドット制御信号をオフ(振幅がゼロ)とすることで(ステップS118)、ライン彫刻とし、これら最小値又は最大値に応じた彫刻を行う。他方、この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、一定振幅で所定周波数のドット制御信号を重畳することで(ステップS116)、ドット彫刻とし、この値に応じた彫刻を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免許証やカードなどの合成紙やカード面に彫刻する画像彫刻方法及び装置に関し、顔写真などの中間諧調のものや文字などの情報の彫刻によって作製する場合に、簡単なハードウェア構成で、様々な彫刻レイアウトに容易に対応できるようにすると共に、彫刻画像の品質を向上することができる画像彫刻方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、パスポート、免許証、身分証明書の偽造、変造が多発し、トラブル防止のため、顔写真の他に、文字、記号などの彫刻が要求されるようになってきている。このため、それぞれに適した彫刻方式を区別して彫刻することが必要になった。
【0003】
特許文献1や2でも指摘されているように、カード類の彫刻方式には、ライン(線)彫刻とドット彫刻がある。ライン彫刻は、彫刻する画像の明度や濃度に応じた振幅の彫刻信号を用い、該振幅に従って彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する。ドット彫刻は、このような彫刻信号に、一定振幅で所定周波数、例えば1kHz程度の方形波やのこぎり波の信号を重畳させて、該重畳がなされた信号の振幅に従って、彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する。
【0004】
一般に、文字、記号などの白と黒の2つのレベルで表わすことができる部分には、ライン彫刻が好ましい。対して、顔写真などの中間諧調を必要とする部分には、ドット彫刻が好ましい。
【0005】
前述の特許文献1や2では、カード上で、ライン彫刻の領域、又ドット彫刻の領域を分けておく。又、これらの領域に応じて透明部分あるいは半透明部分を有する彫刻区分板5、及び、この、透明あるいは半透明を検知する光検知器6によって、これら領域の境界線5aを識別している。彫刻に際しては、1水平走査毎に、該境界線5aにおいて、彫刻方式をライン彫刻からドット彫刻、あるいはこの逆に切り換えている。
【0006】
図1は、特許文献1や2で開示されている画像彫刻装置の構成図である。
【0007】
1は、図示を省略した駆動用のX軸モータによって垂直方向(この図において左右方向)に送りつつ、図示を省略したY軸モータによって水平方向(この図において手前及び奥の方向)に一定距離往復する彫刻台である。2は、彫刻に際して該彫刻台1に搭載されて彫刻される、被彫刻板のカードである。3は彫刻針(スタイラス)であり、4は彫刻針駆動装置である。
【0008】
カード2には、例えば塩化ビニールの薄板が使用され、顔写真や文字などの彫刻を施す面には、予め、黒又はブルーなどの、下地の上記薄板とは異なる色彩のフィルムを強固に固着しておく。
【0009】
5は、彫刻台1とともに上述の垂直方向に運動する彫刻区分板である。6は、該彫刻区分板5を挟んで設けられる、スリット板付き光源、及びフォトトランジスタなどよりなる、光検知器である。7は光検知器の出力によって切り換えをする電子切り換えスイッチである。
【0010】
8は、彫刻台の運動と同期した、人物の顔又は写真の画像信号、9は、彫刻台の運動と同期した、文字や記号などの画像信号であり、10は、ドット信号発生部である。該ドット信号発生部10を経た画像信号8(ドット彫刻)、及び画像信号9(ライン彫刻)は、スイッチ7によって切り換えられ、駆動装置4に送られる。
【0011】
【特許文献1】特開昭55−14212号公報
【特許文献2】特開平5−32100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の場合、彫刻区分板5及び光検知器6によって、ライン彫刻の領域、及びドット彫刻の領域の境界線5aを識別している。従って、これら彫刻区分板5及び光検知器6という、ハードウェアが必要になると共に、境界線が複数あったり、彫刻の走査のラインによって境界線が異なったりすると、これに、簡単に対応できないという欠点がある。従って、様々な彫刻レイアウトに対応することが容易でない。
【0013】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、顔写真などの中間諧調のものや文字などの情報の彫刻によって作製する場合に、簡単なハードウェア構成で、様々な彫刻レイアウトに容易に対応できるようにする画像彫刻方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の第1発明の画像彫刻方法は、彫刻針及び被彫刻板の相対運動によって、彫刻針を被彫刻板上において2次元で走査しつつ、彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する画像彫刻方法において、彫刻する画像の明度又は濃度をその値によって示す、彫刻する画像の該当するピクセル・データを、前記走査に応じて入力し、該ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値である場合は、ライン彫刻によって、これら最小値又は最大値に応じた前記彫刻を行い、他方、この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、ドット彫刻によって、この値に応じた前記彫刻を行うようにしたことにより、前記課題を解決したものである。
【0015】
又、本願の第2発明の画像彫刻装置は、彫刻針及び被彫刻板の相対運動によって、彫刻針を被彫刻板上において2次元で走査しつつ、彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する画像彫刻装置において、彫刻する画像の明度又は濃度をその値によって示す、彫刻する画像の該当するピクセル・データを、前記走査に応じて入力し、該ピクセル・データの値に応じた大きさの彫刻信号を発生する彫刻信号発生回路と、この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、ドット彫刻を行うための変調用のドット制御信号を発生するドット制御信号発生回路と、前記彫刻信号、及び該ドット制御信号を加算する加算回路と、該加算によって得られる信号の大きさに従って、前記接触の度合いを制御する彫刻針制御装置と、を備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【0016】
更に、前記画像彫刻装置において、更に、前記ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値の場合は、これら最小値又は最大値に応じた前記接触の度合いを強調するための、強調重畳信号を発生する強調回路を備え、又、前記加算回路が、前記彫刻信号及び前記ドット制御信号に加えて、該強調重畳信号を加算するものであることにより、彫刻された画像の品位を更に向上することができる。
【0017】
以下、本発明の作用について、簡単に説明する。
【0018】
本願発明は、予め、被彫刻板のカードにおいて、ライン彫刻の領域や、ドット彫刻の領域、又これら領域の境界線を、定めないようにしている。従って、これらを定めるためのハードウェアが不要となる。様々な彫刻レイアウトに容易に対応することができる。
【0019】
本願発明は、彫刻する画像を、デジタル的な、彫刻用の画像データによって得る。該彫刻用画像データは、画像の明度又は濃度をその値によって示す、ピクセル・データからなる。該ピクセル・データの数は、該彫刻用画像の画素数分となる。又、この値によって、ライン彫刻とするか、あるいはドット彫刻とするかの彫刻方式判別を行う。
【0020】
即ち、該ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値である場合は、ライン彫刻によって、これら最小値又は最大値に応じた前記彫刻を行う。他方、この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、ドット彫刻によって、この値に応じた前記彫刻を行う。
【0021】
なお、このピクセル・データの値に応じて、後述する強調処理のような付加的な処理を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
このように、本願発明によれば、顔写真などの中間諧調のものや文字などの情報の彫刻によって作製する場合に、簡単なハードウェア構成で、様々な彫刻レイアウトに容易に対応できるようにすることができる画像彫刻方法及び装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
図2は、本願発明が適用された実施形態の画像彫刻装置及びホストPC装置の接続を示すブロック図である。
【0025】
本実施形態では、まず、ホストPC装置12により、被彫刻板のカード2に彫刻する画像の、彫刻用画像データを作成する。該彫刻用画像データは、オンライン転送、又はオフライン転送にて画像彫刻装置14に転送する。該彫刻用画像データは、画像の明度又は濃度をその値によって示す、多数のピクセル・データからなるもので、ラスタ・スキャン形式のデータである。
【0026】
なお、画像彫刻装置14は、図1を用いて前述したような、被彫刻板のカード2を搭載する彫刻台1を、垂直方向あるいは水平方向に駆動する、X軸モータ371及びY軸モータ372による送り機械機構を有している。該送り機械機構によって、彫刻針3及びカード2の相対運動がなされ、彫刻針3はカード2上において、ラスタ・スキャン方式で走査することになる。又、該走査中、後述する彫刻針制御装置361から入力される信号の大きさに応じて接触度合いを加減しつつ、彫刻針3をカード2に接触させる動作機械機構の彫刻針駆動装置4を有している。
【0027】
図3は、ホストPC装置12のハードウェア構成を示すブロック図である。又、図4は、画像彫刻装置14の制御関係のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0028】
これらの構成は、CPU(Central Processing Unit)310や、RAM(Random Access Memory)311を備えた、一般的なコンピュータ装置の構成になっている。細部については、これらの図に示すものに限定されるものではない。本実施形態における動作作用は、図示されるようなハードウェア、又該ハードウェアにおいて機能するソフトウェアによって制御され、様々な機能が提供されるものであり、これらは、電子的な処理によってなされる。なお、この図においては、該制御装置の構成が一部抽象化されて示されている。
【0029】
これらの図において、コンピュータ装置は、CPU310と、RAM311と、ROM(Read Only Memory)312と、LAN−I/F(Inter Face)313と、MODEM(modulator-demodulator)314と、種々のI/F321〜323とを有している。これらは、バス301によって相互接続されている。
【0030】
更に、これら図3や図4に示されるように、ホストPC装置12及び画像彫刻装置14において、バス301に対して、I/F322を介して、HDD(Hard Disc Drive)装置340と、CD(Compact Disc)ドライブ装置341と、FDD(Floppy(登録商標) Disc Drive)装置342とが接続されている。これらはバス302によって相互接続されている。
【0031】
又、図3に示されるように、ホストPC装置12では、バス301に対して、I/F320を介して、画面表示装置330が接続されている。又、バス303によって相互接続されている、キーボード331と、マウス332と、プリンタ装置333とは、バス301に対して、I/F321を介して接続されている。
【0032】
他方、図4に示されるように、画像彫刻装置14では、バス303によって相互接続されている、表示出力装置350と、キー入力装置351とは、バス301に対して、I/F321を介して接続されている。
【0033】
上記の表示出力装置350は、画像彫刻装置14のオペレータに対して必要な情報を表示するための表示装置である。又、キー入力装置351は、該オペレータが該表示を参照しつつ、適宜必要情報をキー入力するためのものである。
【0034】
更に、画像彫刻装置14では、図4に示すように、送り制御装置360と、彫刻針制御装置361とは、バス304によって相互に接続されている。又、これらは、該バス304又I/F323を介して、バス301に接続されている。
【0035】
送り制御装置360は、前述のX軸モータ371や、Y軸モータ372を制御し、カード2を搭載する彫刻台1の動作や位置決めを行う。例えば、彫刻針3による彫刻中に、該彫刻針3はカード2に対する相対的な、ラスタ・スキャンの動作を行う。彫刻針制御装置361は、前述の彫刻針駆動装置4に対する信号を出力し、彫刻針3による彫刻の制御を行う。これらラスタ・スキャン動作及び彫刻は、相互に同期して行われる。なお、本実施形態において、X軸モータ371及びY軸モータ372は、ステッピング・モータを用いているが、サーボ・モータであってもよいことは言うまでもない。
【0036】
以上のようなハードウェア構成において、記憶手段、又記憶装置は、RAM311、ROM312、HDD装置340、CDドライブ装置341、FDD装置342などである。このような記憶手段や記憶装置において、CPU310で実行される様々なプログラムや、本実施形態においてアクセスされる諸ファイルが保存され、電子的にアクセスができるようになっている。例えば、OSや、本実施形態に係るアプリケーション・プログラムなどは、HDD装置340に格納されていて、実行時には、RAM311に読み出されてCPU310によって実行される。
【0037】
なお、CDドライブ装置341やFDD装置342は、本願発明を適用して実施する際の、アプリケーション・プログラムのインストールや、その他のオフラインでの情報交換に用いられる。
【0038】
なお、ホストPC装置12及び画像彫刻装置14間における彫刻用画像データの転送は、それぞれのLAN−I/F313によるネットワーク接続による、オンライン接続によるものでもよい。あるいは、該転送は、それぞれのFDD装置342によった、フロッピ・ディスクの媒体を介した、オフライン接続によるものでもよい。
【0039】
図5は、本実施形態におけるホストPC装置12において実現されるレイアウト編集装置、及び彫刻用画像データ生成装置に関する構成を示すブロック図である。図6は、カード2に彫刻する画像のレイアウト編集の第1例を示す平面図である。図7は、該レイアウト編集の第2例を示す平面図である。図8は、上記彫刻用画像データ生成装置によって生成される彫刻用画像データのデータ構成図である。
【0040】
図6又図7におけるカード2は、一例として、社員証となっており、該当の社員名や、その社員番号、又その顔写真が彫刻される。該カード2おいて、領域2bは、顔写真を彫刻する領域であり、ドット彫刻の領域である。領域2c〜2eは、いずれも、文字を彫刻する領域であり、ライン彫刻の領域である。これら領域2c〜2eは、それぞれ、「社員証」である旨、会社名及びその社員の所属又氏名や社員番号、当該カード2の作成日が、彫刻される領域である。
【0041】
まず、社員情報記憶装置34は、上述の社員証を作製する対象になる社員毎の、社員名や社員番号など、少なくとも該作製に必要な情報のファイルが保存されている。顔写真画像記憶装置36は、これら社員の顔写真の画像ファイルが保存されている。これらファイルは、他のコンピュータ装置から取り込んでもよく、新規に、キー入力したり、デジタル・カメラで撮影して取り込んだりしてもよい。
【0042】
本実施形態のレイアウト編集装置30は、これら社員情報記憶装置34及び顔写真画像記憶装置36に格納されている情報を適宜参照しながら、オペレータの操作を受け付けつつ、図6や図7に示されるようなカード2のレイアウト編集を行う。該レイアウト編集において、レイアウト編集装置30は、オペレータから、領域に彫刻する内容や、その領域のカード2における位置や範囲、又、文字や画像の大きさなどを指定する入力を、キーボード331やマウス332により受け付ける。又、該レイアウト編集装置30は、このような入力を受け付けつつ、レイアウト過程にある図6や図7のようなレイアウト図を、随時、画面表示装置330に表示する。更に、完成したレイアウトを表わす情報は、レイアウト編集情報記憶装置32に保存される。
【0043】
次に、本実施形態の彫刻用画像データ生成装置40は、画像彫刻装置14において用いる彫刻用画像データを、レイアウト編集情報記憶装置32から読み出すレイアウト情報、社員毎に社員情報記憶装置34及び顔写真画像記憶装置36から読み出す情報に基づいて生成する。該生成の彫刻用画像データは、彫刻用画像データ記憶装置42に保存される。又、該保存の彫刻用画像データを画像彫刻装置14に転送する際の処理は、ホストPC装置12側においては、彫刻用画像データ転送処理部44によって行われる。
【0044】
該生成の彫刻用画像データは、各社員のカード2毎のファイルであり、図8のような、ピクセル・データ1〜Nによる構成になっている。ピクセル・データ1〜Nは、それぞれ、8ビットであって、従って、“0”〜“255”のいずれかの値をもつ。この場合、最小値が“0”であり、最大値が“255”である。又、その総数Nは、カード2の一枚分の彫刻画像の総画素数Nとなっている。
【0045】
本実施形態において、白乃至は明色のカード2に、黒乃至は暗色のフィルムが貼り付けられ、彫刻針3は該フィルムを彫刻する。従って、ピクセル・データ1〜Nの値が大になって該彫刻が深くなる程、彫刻された画像は明るくなるので、該値は明度を表わす。
【0046】
本実施形態においては、中間諧調のある顔写真などを、ドット彫刻によって彫刻する領域、例えば領域2bにおいて、ピクセル・データ1〜Nの値は、最小値の“0”又最大値の“255”を除いた、“1”〜“254”のいずれかの、その対応する画素の、明度又は濃度に応じた値とする。
【0047】
他方、文字や記号などを、ライン彫刻によって彫刻する領域、例えば領域2c〜2eにおいて、ピクセル・データ1〜Nの値は、最小値の“0”又は最大値の“255”のいずれかの、その対応する画素の、明度又は濃度に応じた値とする。本実施形態では、彫刻に際し、黒乃至は暗色となる画素であれば最小値の“0”の値となり、白乃至は明色となる画素であれば最大値の“255”の値となる。
【0048】
なお、ホストPC装置12において、レイアウト編集装置30や彫刻用画像データ生成装置40や彫刻用画像データ転送処理部44は、主として、前述の図3のハードウェア上で機能するソフトウェアによって実現されている。又、レイアウト編集情報記憶装置32、社員情報記憶装置34、顔写真画像記憶装置36、又彫刻用画像データ記憶装置42は、HDD装置340において構成される。
【0049】
次に、図9は、本実施形態における画像彫刻装置14の制御に係る構成を示すブロック図である。図10は、該画像彫刻装置14が有する彫刻制御部54の構成を示すブロック図である。更に、図11は、該彫刻制御部54で行われるドット制御信号発生処理を示すフローチャートである。図12は、同じく彫刻制御部54で行われる、強調処理を示すフローチャートである。図13は、彫刻信号発生回路64が出力する信号の大きさを示すグラフである。図14は、加算回路70から出力される信号を示すタイムチャートである。
【0050】
まず、図9に示されるように、画像彫刻装置14は、彫刻用画像データ転送処理部50と、彫刻用画像データ記憶装置52と、彫刻制御部54とを有している。ホストPC装置12側の彫刻用画像データ記憶装置42に保存されている彫刻用画像データを、画像彫刻装置14に転送する際の処理は、画像彫刻装置14側においては、彫刻用画像データ転送処理部50によって行われる。又、該転送で受けた該彫刻用画像データは、該彫刻用画像データ転送処理部50によって彫刻用画像データ記憶装置52に保存される。
【0051】
次に、図10に示されるように、彫刻制御部54は、カード送り制御回路62と、彫刻信号発生回路64と、ドット制御信号発生回路66と、強調回路68と、加算回路70とを有している。
【0052】
まず、カード送り制御回路62は、彫刻中において、該彫刻針3の、カード2に対する相対的なラスタ・スキャンの動作を制御する。即ち、該動作を行うようにX軸モータ371及びY軸モータ372が駆動されるように、該カード送り制御回路62は、送り制御装置360に対して制御信号を出力する。又、該カード送り制御回路62は、該動作と共に、1画素毎のパルス信号である同期信号を、彫刻信号発生回路64、ドット制御信号発生回路66、及び強調回路68に対して出力する。該同期信号は、X軸モータ371のエンコーダからの信号に基づいた割り込み信号でも、所定時限のタイマによる割り込み信号でもよく、特に限定されるものではない。
【0053】
次に、彫刻信号発生回路64、ドット制御信号発生回路66、及び強調回路68は、上記の同期信号が入力されるたびに、彫刻用画像データ記憶装置52からピクセル・データ信号により、ピクセル・データ1〜Nを先頭から順に1つずつ入力する(ドット制御信号発生回路66ではステップS110及びS112の処理。あるいは、強調回路68ではステップS130及びS132の処理。)。
【0054】
そうして、彫刻信号発生回路64は、図13のグラフに示されるように、該ピクセル・データの値に応じた大きさの彫刻信号を発生する。
【0055】
なお、この図13において、後述するように、最小値“0”における彫刻信号の大きさは、強調回路68が出力するマイナスLcの大きさの強調信号が加算回路70において加算されるため、該Lcの絶対値の大きさ分、矢印A1のように値L0から値L0´に実質的に小さくされ、黒色が強調される。あるいは、最大値“255”における彫刻信号の大きさは、強調回路68が出力するプラスLdの大きさの強調信号が加算回路70において加算されるため、該Ldの絶対値の大きさ分、矢印A2のように値L255から値L255´に実質的に大きくされ、白色が強調される。
【0056】
又、ドット制御信号発生回路66は、該ピクセル・データの値が、最小値“0”でも最大値“255”でもない、これら最小値及び最大値の間の“1”〜“254”のいずれかの値である場合は、ドット彫刻を行うための変調用のドット制御信号を発生する(ステップS114、S116)。該ドット制御信号は、例えば、一定振幅で所定周波数、例えば1kHz程度の方形波やのこぎり波の信号である。他方、この値が、最小値“0”又は最大値“255”である場合は、該ドット制御信号発生回路66は、該ドット制御信号の出力をオフ(その振幅がゼロの出力)とする(ステップS114、S118)。
【0057】
次に、強調回路68は、該ピクセル・データの値が、最小値“0”でも最大値“255”でもない、これら最小値及び最大値の間の“1”〜“254”のいずれかの値である場合は、特に強調処理は行わず、強調信号はゼロを出力する(ステップS136、S142)。他方、この値が、最小値“0”である場合、該強調回路68は、「黒」を強調すべく、マイナスLcの大きさの強調信号を出力する(ステップS136、S144)。あるいは、この値が、最大値“255”である場合、該強調回路68は、「白」を強調すべく、プラスLdの強調信号を出力する(ステップS136、S146)。
【0058】
以上のようにして、彫刻信号発生回路64により出力される彫刻信号、ドット制御信号発生回路66により出力されるドット制御信号、及び、強調回路68により出力される強調信号は、いずれも加算回路70に入力される。該加算回路70は、これらの彫刻信号、ドット制御信号、及び、強調信号を加算(重畳)し、該加算がなされた信号を、彫刻針制御装置361に対して出力する。すると、該彫刻針制御装置361は、該加算の信号の振幅に比例する強度にて、彫刻針3を被彫刻板のカード2に適宜接触させ、このようにしながら、彫刻針3を該カード2上において2次元で走査しつつ、該カード2を彫刻する。
【0059】
ここで、図14のタイムチャートに示されるように、該ピクセル・データの値が最小値“0”であると、最小値“0”に応じた最小の彫刻信号と、オフ(その振幅がゼロ)のドット制御信号と、マイナスの大きさの強調信号とが、加算回路70において加算され、加算されたものが該加算回路70から出力される(期間t1、t5)。該ピクセル・データの値が“1”〜“254”のいずれかの値である場合は、該値に比例する大きさの彫刻信号と、一定振幅で所定周波数のドット制御信号と、ゼロの大きさの強調信号とが、加算回路70において加算され、出力される(期間t3、t4)。該ピクセル・データの値が最大値“255”であると、最大値“255”に応じた最大の彫刻信号と、オフのドット制御信号と、プラスの大きさの強調信号とが、加算回路70において加算され、出力される(期間t2)。
【0060】
なお、図14において、一点鎖線は、彫刻信号発生回路64が出力する彫刻信号である。又、Lcは、加算回路70が黒色を強調するために出力する強調信号(この場合はマイナスの信号)の、絶対値の大きさである。Ldは、加算回路70が白色を強調するために出力する強調信号(この場合はプラスの信号)の、絶対値の大きさである。
【0061】
なお、画像彫刻装置14において、彫刻用画像データ転送処理部50や彫刻制御部54は、主として、前述の図4のハードウェア上で機能するソフトウェアによって実現されている。又、彫刻用画像データ記憶装置52は、HDD装置340において構成される。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、本願発明を効果的に適用することができる。
【0063】
例えば、図6の第1例のカード2の彫刻から、図7の第2例のカード2の彫刻に作製作業を変更する場合にも、何ら、ハードウェアやソフトウェアの設定を変更せずに対応することができる。これに対して、図1の従来例では、彫刻区分板5を取り替えたり、該彫刻区分板5や光検知器6の配置位置を調整したりして、該作製作業の変更に対応する必要があり、非常に手間がかかるものである。
【0064】
又、本実施形態によれば、カード2のレイアウトにおいて、複数のライン彫刻の領域、及び複数のドット彫刻の領域が混在する場合にも、容易に対応することが可能である。対して、このような領域混在のレイアウトへの対応は、上記の従来例では、困難、乃至は不可能である。
【0065】
なお、以上に説明した実施形態では、彫刻用画像データを構成するピクセル・データ1〜Nは、それぞれ、8ビットとしている。しかしながら、本願発明は、このようなものに限定されるものではない。例えば、16ビットとしてもよい。
【0066】
例えば、ピクセル・データ1〜Nは、それぞれ、所定ビット数としつつ、該所定ビット数の値がとり得る範囲の一部分のみを用い、該一部分範囲において、本願発明の最小値及び最大値を定義するものであってもよい。更には、この一部分範囲における更に一部分の範囲、即ち、これら最小値及び最大値の間の範囲における、更に一部分範囲の値によって、ドット彫刻の際の中間諧調を表現するようにしてもよい。このようなものについても、本願発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したとおり、本発明によれば、顔写真などの中間諧調のものや文字などの情報の彫刻によって作製する場合に、簡単なハードウェア構成で、様々な彫刻レイアウトに容易に対応できるようにすることができる画像彫刻方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】従来の画像彫刻装置の構成図。
【図2】本願発明が適用された実施形態の画像彫刻装置及びホストPC装置との接続を示すブロック図。
【図3】上記ホストPC装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【図4】前記画像彫刻装置の制御関係のハードウェア構成を示すブロック図。
【図5】前記実施形態におけるホストPC装置において実現されるレイアウト編集装置及び彫刻用画像データ生成装置に関する構成を示すブロック図。
【図6】前記実施形態におけるカードに彫刻する画像のレイアウト編集の第1例を示す平面図。
【図7】前記実施形態におけるカードに彫刻する画像のレイアウト編集の第2例を示す平面図。
【図8】前記実施形態における彫刻用画像データ生成装置によって生成される彫刻用画像データのデータ構成図。
【図9】前記実施形態における画像彫刻装置の制御に係る構成を示すブロック図。
【図10】該画像彫刻装置が有する彫刻制御部の構成を示すブロック図。
【図11】該彫刻制御部で行われるドット制御信号発生処理を示すフローチャート。
【図12】該彫刻制御部で行われる強調処理を示すフローチャート。
【図13】該彫刻制御部が有する彫刻信号発生回路が出力する信号の大きさを示すグラフ。
【図14】該彫刻制御部が有する加算回路から出力される信号を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0069】
1…彫刻台
2…カード
3…彫刻針
4…彫刻針駆動装置
5…彫刻区分板
6…光検知器
7…電子切り換えスイッチ
8、9…画像信号
12…ホストPC装置
14…画像彫刻装置
30…レイアウト編集装置
32…レイアウト編集情報記憶装置
34…社員情報記憶装置
36…顔写真画像記憶装置
40…彫刻用画像データ生成装置
42…彫刻用画像データ記憶装置
44…彫刻用画像データ転送処理部
50…彫刻用画像データ転送処理部
52…彫刻用画像データ記憶装置
54…彫刻制御部
62…カード送り制御回路
64…彫刻信号発生回路
66…ドット制御信号発生回路
68…強調回路
301〜304…バス
310…CPU
311…RAM
312…ROM
313…LAN−I/F
314…MODEM
321〜323…I/F
330…画面表示装置
331…キーボード
332…マウス
333…プリンタ装置
340…HDD装置
341…CDドライブ装置
342…FDD装置
350…表示出力装置
351…キー入力装置
360…送り制御装置
361…彫刻針制御装置
371…X軸モータ
372…Y軸モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、免許証やカードなどの合成紙やカード面に彫刻する画像彫刻方法及び装置に関し、顔写真などの中間諧調のものや文字などの情報の彫刻によって作製する場合に、簡単なハードウェア構成で、様々な彫刻レイアウトに容易に対応できるようにすると共に、彫刻画像の品質を向上することができる画像彫刻方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、パスポート、免許証、身分証明書の偽造、変造が多発し、トラブル防止のため、顔写真の他に、文字、記号などの彫刻が要求されるようになってきている。このため、それぞれに適した彫刻方式を区別して彫刻することが必要になった。
【0003】
特許文献1や2でも指摘されているように、カード類の彫刻方式には、ライン(線)彫刻とドット彫刻がある。ライン彫刻は、彫刻する画像の明度や濃度に応じた振幅の彫刻信号を用い、該振幅に従って彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する。ドット彫刻は、このような彫刻信号に、一定振幅で所定周波数、例えば1kHz程度の方形波やのこぎり波の信号を重畳させて、該重畳がなされた信号の振幅に従って、彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する。
【0004】
一般に、文字、記号などの白と黒の2つのレベルで表わすことができる部分には、ライン彫刻が好ましい。対して、顔写真などの中間諧調を必要とする部分には、ドット彫刻が好ましい。
【0005】
前述の特許文献1や2では、カード上で、ライン彫刻の領域、又ドット彫刻の領域を分けておく。又、これらの領域に応じて透明部分あるいは半透明部分を有する彫刻区分板5、及び、この、透明あるいは半透明を検知する光検知器6によって、これら領域の境界線5aを識別している。彫刻に際しては、1水平走査毎に、該境界線5aにおいて、彫刻方式をライン彫刻からドット彫刻、あるいはこの逆に切り換えている。
【0006】
図1は、特許文献1や2で開示されている画像彫刻装置の構成図である。
【0007】
1は、図示を省略した駆動用のX軸モータによって垂直方向(この図において左右方向)に送りつつ、図示を省略したY軸モータによって水平方向(この図において手前及び奥の方向)に一定距離往復する彫刻台である。2は、彫刻に際して該彫刻台1に搭載されて彫刻される、被彫刻板のカードである。3は彫刻針(スタイラス)であり、4は彫刻針駆動装置である。
【0008】
カード2には、例えば塩化ビニールの薄板が使用され、顔写真や文字などの彫刻を施す面には、予め、黒又はブルーなどの、下地の上記薄板とは異なる色彩のフィルムを強固に固着しておく。
【0009】
5は、彫刻台1とともに上述の垂直方向に運動する彫刻区分板である。6は、該彫刻区分板5を挟んで設けられる、スリット板付き光源、及びフォトトランジスタなどよりなる、光検知器である。7は光検知器の出力によって切り換えをする電子切り換えスイッチである。
【0010】
8は、彫刻台の運動と同期した、人物の顔又は写真の画像信号、9は、彫刻台の運動と同期した、文字や記号などの画像信号であり、10は、ドット信号発生部である。該ドット信号発生部10を経た画像信号8(ドット彫刻)、及び画像信号9(ライン彫刻)は、スイッチ7によって切り換えられ、駆動装置4に送られる。
【0011】
【特許文献1】特開昭55−14212号公報
【特許文献2】特開平5−32100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の場合、彫刻区分板5及び光検知器6によって、ライン彫刻の領域、及びドット彫刻の領域の境界線5aを識別している。従って、これら彫刻区分板5及び光検知器6という、ハードウェアが必要になると共に、境界線が複数あったり、彫刻の走査のラインによって境界線が異なったりすると、これに、簡単に対応できないという欠点がある。従って、様々な彫刻レイアウトに対応することが容易でない。
【0013】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、顔写真などの中間諧調のものや文字などの情報の彫刻によって作製する場合に、簡単なハードウェア構成で、様々な彫刻レイアウトに容易に対応できるようにする画像彫刻方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の第1発明の画像彫刻方法は、彫刻針及び被彫刻板の相対運動によって、彫刻針を被彫刻板上において2次元で走査しつつ、彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する画像彫刻方法において、彫刻する画像の明度又は濃度をその値によって示す、彫刻する画像の該当するピクセル・データを、前記走査に応じて入力し、該ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値である場合は、ライン彫刻によって、これら最小値又は最大値に応じた前記彫刻を行い、他方、この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、ドット彫刻によって、この値に応じた前記彫刻を行うようにしたことにより、前記課題を解決したものである。
【0015】
又、本願の第2発明の画像彫刻装置は、彫刻針及び被彫刻板の相対運動によって、彫刻針を被彫刻板上において2次元で走査しつつ、彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する画像彫刻装置において、彫刻する画像の明度又は濃度をその値によって示す、彫刻する画像の該当するピクセル・データを、前記走査に応じて入力し、該ピクセル・データの値に応じた大きさの彫刻信号を発生する彫刻信号発生回路と、この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、ドット彫刻を行うための変調用のドット制御信号を発生するドット制御信号発生回路と、前記彫刻信号、及び該ドット制御信号を加算する加算回路と、該加算によって得られる信号の大きさに従って、前記接触の度合いを制御する彫刻針制御装置と、を備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【0016】
更に、前記画像彫刻装置において、更に、前記ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値の場合は、これら最小値又は最大値に応じた前記接触の度合いを強調するための、強調重畳信号を発生する強調回路を備え、又、前記加算回路が、前記彫刻信号及び前記ドット制御信号に加えて、該強調重畳信号を加算するものであることにより、彫刻された画像の品位を更に向上することができる。
【0017】
以下、本発明の作用について、簡単に説明する。
【0018】
本願発明は、予め、被彫刻板のカードにおいて、ライン彫刻の領域や、ドット彫刻の領域、又これら領域の境界線を、定めないようにしている。従って、これらを定めるためのハードウェアが不要となる。様々な彫刻レイアウトに容易に対応することができる。
【0019】
本願発明は、彫刻する画像を、デジタル的な、彫刻用の画像データによって得る。該彫刻用画像データは、画像の明度又は濃度をその値によって示す、ピクセル・データからなる。該ピクセル・データの数は、該彫刻用画像の画素数分となる。又、この値によって、ライン彫刻とするか、あるいはドット彫刻とするかの彫刻方式判別を行う。
【0020】
即ち、該ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値である場合は、ライン彫刻によって、これら最小値又は最大値に応じた前記彫刻を行う。他方、この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、ドット彫刻によって、この値に応じた前記彫刻を行う。
【0021】
なお、このピクセル・データの値に応じて、後述する強調処理のような付加的な処理を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
このように、本願発明によれば、顔写真などの中間諧調のものや文字などの情報の彫刻によって作製する場合に、簡単なハードウェア構成で、様々な彫刻レイアウトに容易に対応できるようにすることができる画像彫刻方法及び装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
図2は、本願発明が適用された実施形態の画像彫刻装置及びホストPC装置の接続を示すブロック図である。
【0025】
本実施形態では、まず、ホストPC装置12により、被彫刻板のカード2に彫刻する画像の、彫刻用画像データを作成する。該彫刻用画像データは、オンライン転送、又はオフライン転送にて画像彫刻装置14に転送する。該彫刻用画像データは、画像の明度又は濃度をその値によって示す、多数のピクセル・データからなるもので、ラスタ・スキャン形式のデータである。
【0026】
なお、画像彫刻装置14は、図1を用いて前述したような、被彫刻板のカード2を搭載する彫刻台1を、垂直方向あるいは水平方向に駆動する、X軸モータ371及びY軸モータ372による送り機械機構を有している。該送り機械機構によって、彫刻針3及びカード2の相対運動がなされ、彫刻針3はカード2上において、ラスタ・スキャン方式で走査することになる。又、該走査中、後述する彫刻針制御装置361から入力される信号の大きさに応じて接触度合いを加減しつつ、彫刻針3をカード2に接触させる動作機械機構の彫刻針駆動装置4を有している。
【0027】
図3は、ホストPC装置12のハードウェア構成を示すブロック図である。又、図4は、画像彫刻装置14の制御関係のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0028】
これらの構成は、CPU(Central Processing Unit)310や、RAM(Random Access Memory)311を備えた、一般的なコンピュータ装置の構成になっている。細部については、これらの図に示すものに限定されるものではない。本実施形態における動作作用は、図示されるようなハードウェア、又該ハードウェアにおいて機能するソフトウェアによって制御され、様々な機能が提供されるものであり、これらは、電子的な処理によってなされる。なお、この図においては、該制御装置の構成が一部抽象化されて示されている。
【0029】
これらの図において、コンピュータ装置は、CPU310と、RAM311と、ROM(Read Only Memory)312と、LAN−I/F(Inter Face)313と、MODEM(modulator-demodulator)314と、種々のI/F321〜323とを有している。これらは、バス301によって相互接続されている。
【0030】
更に、これら図3や図4に示されるように、ホストPC装置12及び画像彫刻装置14において、バス301に対して、I/F322を介して、HDD(Hard Disc Drive)装置340と、CD(Compact Disc)ドライブ装置341と、FDD(Floppy(登録商標) Disc Drive)装置342とが接続されている。これらはバス302によって相互接続されている。
【0031】
又、図3に示されるように、ホストPC装置12では、バス301に対して、I/F320を介して、画面表示装置330が接続されている。又、バス303によって相互接続されている、キーボード331と、マウス332と、プリンタ装置333とは、バス301に対して、I/F321を介して接続されている。
【0032】
他方、図4に示されるように、画像彫刻装置14では、バス303によって相互接続されている、表示出力装置350と、キー入力装置351とは、バス301に対して、I/F321を介して接続されている。
【0033】
上記の表示出力装置350は、画像彫刻装置14のオペレータに対して必要な情報を表示するための表示装置である。又、キー入力装置351は、該オペレータが該表示を参照しつつ、適宜必要情報をキー入力するためのものである。
【0034】
更に、画像彫刻装置14では、図4に示すように、送り制御装置360と、彫刻針制御装置361とは、バス304によって相互に接続されている。又、これらは、該バス304又I/F323を介して、バス301に接続されている。
【0035】
送り制御装置360は、前述のX軸モータ371や、Y軸モータ372を制御し、カード2を搭載する彫刻台1の動作や位置決めを行う。例えば、彫刻針3による彫刻中に、該彫刻針3はカード2に対する相対的な、ラスタ・スキャンの動作を行う。彫刻針制御装置361は、前述の彫刻針駆動装置4に対する信号を出力し、彫刻針3による彫刻の制御を行う。これらラスタ・スキャン動作及び彫刻は、相互に同期して行われる。なお、本実施形態において、X軸モータ371及びY軸モータ372は、ステッピング・モータを用いているが、サーボ・モータであってもよいことは言うまでもない。
【0036】
以上のようなハードウェア構成において、記憶手段、又記憶装置は、RAM311、ROM312、HDD装置340、CDドライブ装置341、FDD装置342などである。このような記憶手段や記憶装置において、CPU310で実行される様々なプログラムや、本実施形態においてアクセスされる諸ファイルが保存され、電子的にアクセスができるようになっている。例えば、OSや、本実施形態に係るアプリケーション・プログラムなどは、HDD装置340に格納されていて、実行時には、RAM311に読み出されてCPU310によって実行される。
【0037】
なお、CDドライブ装置341やFDD装置342は、本願発明を適用して実施する際の、アプリケーション・プログラムのインストールや、その他のオフラインでの情報交換に用いられる。
【0038】
なお、ホストPC装置12及び画像彫刻装置14間における彫刻用画像データの転送は、それぞれのLAN−I/F313によるネットワーク接続による、オンライン接続によるものでもよい。あるいは、該転送は、それぞれのFDD装置342によった、フロッピ・ディスクの媒体を介した、オフライン接続によるものでもよい。
【0039】
図5は、本実施形態におけるホストPC装置12において実現されるレイアウト編集装置、及び彫刻用画像データ生成装置に関する構成を示すブロック図である。図6は、カード2に彫刻する画像のレイアウト編集の第1例を示す平面図である。図7は、該レイアウト編集の第2例を示す平面図である。図8は、上記彫刻用画像データ生成装置によって生成される彫刻用画像データのデータ構成図である。
【0040】
図6又図7におけるカード2は、一例として、社員証となっており、該当の社員名や、その社員番号、又その顔写真が彫刻される。該カード2おいて、領域2bは、顔写真を彫刻する領域であり、ドット彫刻の領域である。領域2c〜2eは、いずれも、文字を彫刻する領域であり、ライン彫刻の領域である。これら領域2c〜2eは、それぞれ、「社員証」である旨、会社名及びその社員の所属又氏名や社員番号、当該カード2の作成日が、彫刻される領域である。
【0041】
まず、社員情報記憶装置34は、上述の社員証を作製する対象になる社員毎の、社員名や社員番号など、少なくとも該作製に必要な情報のファイルが保存されている。顔写真画像記憶装置36は、これら社員の顔写真の画像ファイルが保存されている。これらファイルは、他のコンピュータ装置から取り込んでもよく、新規に、キー入力したり、デジタル・カメラで撮影して取り込んだりしてもよい。
【0042】
本実施形態のレイアウト編集装置30は、これら社員情報記憶装置34及び顔写真画像記憶装置36に格納されている情報を適宜参照しながら、オペレータの操作を受け付けつつ、図6や図7に示されるようなカード2のレイアウト編集を行う。該レイアウト編集において、レイアウト編集装置30は、オペレータから、領域に彫刻する内容や、その領域のカード2における位置や範囲、又、文字や画像の大きさなどを指定する入力を、キーボード331やマウス332により受け付ける。又、該レイアウト編集装置30は、このような入力を受け付けつつ、レイアウト過程にある図6や図7のようなレイアウト図を、随時、画面表示装置330に表示する。更に、完成したレイアウトを表わす情報は、レイアウト編集情報記憶装置32に保存される。
【0043】
次に、本実施形態の彫刻用画像データ生成装置40は、画像彫刻装置14において用いる彫刻用画像データを、レイアウト編集情報記憶装置32から読み出すレイアウト情報、社員毎に社員情報記憶装置34及び顔写真画像記憶装置36から読み出す情報に基づいて生成する。該生成の彫刻用画像データは、彫刻用画像データ記憶装置42に保存される。又、該保存の彫刻用画像データを画像彫刻装置14に転送する際の処理は、ホストPC装置12側においては、彫刻用画像データ転送処理部44によって行われる。
【0044】
該生成の彫刻用画像データは、各社員のカード2毎のファイルであり、図8のような、ピクセル・データ1〜Nによる構成になっている。ピクセル・データ1〜Nは、それぞれ、8ビットであって、従って、“0”〜“255”のいずれかの値をもつ。この場合、最小値が“0”であり、最大値が“255”である。又、その総数Nは、カード2の一枚分の彫刻画像の総画素数Nとなっている。
【0045】
本実施形態において、白乃至は明色のカード2に、黒乃至は暗色のフィルムが貼り付けられ、彫刻針3は該フィルムを彫刻する。従って、ピクセル・データ1〜Nの値が大になって該彫刻が深くなる程、彫刻された画像は明るくなるので、該値は明度を表わす。
【0046】
本実施形態においては、中間諧調のある顔写真などを、ドット彫刻によって彫刻する領域、例えば領域2bにおいて、ピクセル・データ1〜Nの値は、最小値の“0”又最大値の“255”を除いた、“1”〜“254”のいずれかの、その対応する画素の、明度又は濃度に応じた値とする。
【0047】
他方、文字や記号などを、ライン彫刻によって彫刻する領域、例えば領域2c〜2eにおいて、ピクセル・データ1〜Nの値は、最小値の“0”又は最大値の“255”のいずれかの、その対応する画素の、明度又は濃度に応じた値とする。本実施形態では、彫刻に際し、黒乃至は暗色となる画素であれば最小値の“0”の値となり、白乃至は明色となる画素であれば最大値の“255”の値となる。
【0048】
なお、ホストPC装置12において、レイアウト編集装置30や彫刻用画像データ生成装置40や彫刻用画像データ転送処理部44は、主として、前述の図3のハードウェア上で機能するソフトウェアによって実現されている。又、レイアウト編集情報記憶装置32、社員情報記憶装置34、顔写真画像記憶装置36、又彫刻用画像データ記憶装置42は、HDD装置340において構成される。
【0049】
次に、図9は、本実施形態における画像彫刻装置14の制御に係る構成を示すブロック図である。図10は、該画像彫刻装置14が有する彫刻制御部54の構成を示すブロック図である。更に、図11は、該彫刻制御部54で行われるドット制御信号発生処理を示すフローチャートである。図12は、同じく彫刻制御部54で行われる、強調処理を示すフローチャートである。図13は、彫刻信号発生回路64が出力する信号の大きさを示すグラフである。図14は、加算回路70から出力される信号を示すタイムチャートである。
【0050】
まず、図9に示されるように、画像彫刻装置14は、彫刻用画像データ転送処理部50と、彫刻用画像データ記憶装置52と、彫刻制御部54とを有している。ホストPC装置12側の彫刻用画像データ記憶装置42に保存されている彫刻用画像データを、画像彫刻装置14に転送する際の処理は、画像彫刻装置14側においては、彫刻用画像データ転送処理部50によって行われる。又、該転送で受けた該彫刻用画像データは、該彫刻用画像データ転送処理部50によって彫刻用画像データ記憶装置52に保存される。
【0051】
次に、図10に示されるように、彫刻制御部54は、カード送り制御回路62と、彫刻信号発生回路64と、ドット制御信号発生回路66と、強調回路68と、加算回路70とを有している。
【0052】
まず、カード送り制御回路62は、彫刻中において、該彫刻針3の、カード2に対する相対的なラスタ・スキャンの動作を制御する。即ち、該動作を行うようにX軸モータ371及びY軸モータ372が駆動されるように、該カード送り制御回路62は、送り制御装置360に対して制御信号を出力する。又、該カード送り制御回路62は、該動作と共に、1画素毎のパルス信号である同期信号を、彫刻信号発生回路64、ドット制御信号発生回路66、及び強調回路68に対して出力する。該同期信号は、X軸モータ371のエンコーダからの信号に基づいた割り込み信号でも、所定時限のタイマによる割り込み信号でもよく、特に限定されるものではない。
【0053】
次に、彫刻信号発生回路64、ドット制御信号発生回路66、及び強調回路68は、上記の同期信号が入力されるたびに、彫刻用画像データ記憶装置52からピクセル・データ信号により、ピクセル・データ1〜Nを先頭から順に1つずつ入力する(ドット制御信号発生回路66ではステップS110及びS112の処理。あるいは、強調回路68ではステップS130及びS132の処理。)。
【0054】
そうして、彫刻信号発生回路64は、図13のグラフに示されるように、該ピクセル・データの値に応じた大きさの彫刻信号を発生する。
【0055】
なお、この図13において、後述するように、最小値“0”における彫刻信号の大きさは、強調回路68が出力するマイナスLcの大きさの強調信号が加算回路70において加算されるため、該Lcの絶対値の大きさ分、矢印A1のように値L0から値L0´に実質的に小さくされ、黒色が強調される。あるいは、最大値“255”における彫刻信号の大きさは、強調回路68が出力するプラスLdの大きさの強調信号が加算回路70において加算されるため、該Ldの絶対値の大きさ分、矢印A2のように値L255から値L255´に実質的に大きくされ、白色が強調される。
【0056】
又、ドット制御信号発生回路66は、該ピクセル・データの値が、最小値“0”でも最大値“255”でもない、これら最小値及び最大値の間の“1”〜“254”のいずれかの値である場合は、ドット彫刻を行うための変調用のドット制御信号を発生する(ステップS114、S116)。該ドット制御信号は、例えば、一定振幅で所定周波数、例えば1kHz程度の方形波やのこぎり波の信号である。他方、この値が、最小値“0”又は最大値“255”である場合は、該ドット制御信号発生回路66は、該ドット制御信号の出力をオフ(その振幅がゼロの出力)とする(ステップS114、S118)。
【0057】
次に、強調回路68は、該ピクセル・データの値が、最小値“0”でも最大値“255”でもない、これら最小値及び最大値の間の“1”〜“254”のいずれかの値である場合は、特に強調処理は行わず、強調信号はゼロを出力する(ステップS136、S142)。他方、この値が、最小値“0”である場合、該強調回路68は、「黒」を強調すべく、マイナスLcの大きさの強調信号を出力する(ステップS136、S144)。あるいは、この値が、最大値“255”である場合、該強調回路68は、「白」を強調すべく、プラスLdの強調信号を出力する(ステップS136、S146)。
【0058】
以上のようにして、彫刻信号発生回路64により出力される彫刻信号、ドット制御信号発生回路66により出力されるドット制御信号、及び、強調回路68により出力される強調信号は、いずれも加算回路70に入力される。該加算回路70は、これらの彫刻信号、ドット制御信号、及び、強調信号を加算(重畳)し、該加算がなされた信号を、彫刻針制御装置361に対して出力する。すると、該彫刻針制御装置361は、該加算の信号の振幅に比例する強度にて、彫刻針3を被彫刻板のカード2に適宜接触させ、このようにしながら、彫刻針3を該カード2上において2次元で走査しつつ、該カード2を彫刻する。
【0059】
ここで、図14のタイムチャートに示されるように、該ピクセル・データの値が最小値“0”であると、最小値“0”に応じた最小の彫刻信号と、オフ(その振幅がゼロ)のドット制御信号と、マイナスの大きさの強調信号とが、加算回路70において加算され、加算されたものが該加算回路70から出力される(期間t1、t5)。該ピクセル・データの値が“1”〜“254”のいずれかの値である場合は、該値に比例する大きさの彫刻信号と、一定振幅で所定周波数のドット制御信号と、ゼロの大きさの強調信号とが、加算回路70において加算され、出力される(期間t3、t4)。該ピクセル・データの値が最大値“255”であると、最大値“255”に応じた最大の彫刻信号と、オフのドット制御信号と、プラスの大きさの強調信号とが、加算回路70において加算され、出力される(期間t2)。
【0060】
なお、図14において、一点鎖線は、彫刻信号発生回路64が出力する彫刻信号である。又、Lcは、加算回路70が黒色を強調するために出力する強調信号(この場合はマイナスの信号)の、絶対値の大きさである。Ldは、加算回路70が白色を強調するために出力する強調信号(この場合はプラスの信号)の、絶対値の大きさである。
【0061】
なお、画像彫刻装置14において、彫刻用画像データ転送処理部50や彫刻制御部54は、主として、前述の図4のハードウェア上で機能するソフトウェアによって実現されている。又、彫刻用画像データ記憶装置52は、HDD装置340において構成される。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、本願発明を効果的に適用することができる。
【0063】
例えば、図6の第1例のカード2の彫刻から、図7の第2例のカード2の彫刻に作製作業を変更する場合にも、何ら、ハードウェアやソフトウェアの設定を変更せずに対応することができる。これに対して、図1の従来例では、彫刻区分板5を取り替えたり、該彫刻区分板5や光検知器6の配置位置を調整したりして、該作製作業の変更に対応する必要があり、非常に手間がかかるものである。
【0064】
又、本実施形態によれば、カード2のレイアウトにおいて、複数のライン彫刻の領域、及び複数のドット彫刻の領域が混在する場合にも、容易に対応することが可能である。対して、このような領域混在のレイアウトへの対応は、上記の従来例では、困難、乃至は不可能である。
【0065】
なお、以上に説明した実施形態では、彫刻用画像データを構成するピクセル・データ1〜Nは、それぞれ、8ビットとしている。しかしながら、本願発明は、このようなものに限定されるものではない。例えば、16ビットとしてもよい。
【0066】
例えば、ピクセル・データ1〜Nは、それぞれ、所定ビット数としつつ、該所定ビット数の値がとり得る範囲の一部分のみを用い、該一部分範囲において、本願発明の最小値及び最大値を定義するものであってもよい。更には、この一部分範囲における更に一部分の範囲、即ち、これら最小値及び最大値の間の範囲における、更に一部分範囲の値によって、ドット彫刻の際の中間諧調を表現するようにしてもよい。このようなものについても、本願発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したとおり、本発明によれば、顔写真などの中間諧調のものや文字などの情報の彫刻によって作製する場合に、簡単なハードウェア構成で、様々な彫刻レイアウトに容易に対応できるようにすることができる画像彫刻方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】従来の画像彫刻装置の構成図。
【図2】本願発明が適用された実施形態の画像彫刻装置及びホストPC装置との接続を示すブロック図。
【図3】上記ホストPC装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【図4】前記画像彫刻装置の制御関係のハードウェア構成を示すブロック図。
【図5】前記実施形態におけるホストPC装置において実現されるレイアウト編集装置及び彫刻用画像データ生成装置に関する構成を示すブロック図。
【図6】前記実施形態におけるカードに彫刻する画像のレイアウト編集の第1例を示す平面図。
【図7】前記実施形態におけるカードに彫刻する画像のレイアウト編集の第2例を示す平面図。
【図8】前記実施形態における彫刻用画像データ生成装置によって生成される彫刻用画像データのデータ構成図。
【図9】前記実施形態における画像彫刻装置の制御に係る構成を示すブロック図。
【図10】該画像彫刻装置が有する彫刻制御部の構成を示すブロック図。
【図11】該彫刻制御部で行われるドット制御信号発生処理を示すフローチャート。
【図12】該彫刻制御部で行われる強調処理を示すフローチャート。
【図13】該彫刻制御部が有する彫刻信号発生回路が出力する信号の大きさを示すグラフ。
【図14】該彫刻制御部が有する加算回路から出力される信号を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0069】
1…彫刻台
2…カード
3…彫刻針
4…彫刻針駆動装置
5…彫刻区分板
6…光検知器
7…電子切り換えスイッチ
8、9…画像信号
12…ホストPC装置
14…画像彫刻装置
30…レイアウト編集装置
32…レイアウト編集情報記憶装置
34…社員情報記憶装置
36…顔写真画像記憶装置
40…彫刻用画像データ生成装置
42…彫刻用画像データ記憶装置
44…彫刻用画像データ転送処理部
50…彫刻用画像データ転送処理部
52…彫刻用画像データ記憶装置
54…彫刻制御部
62…カード送り制御回路
64…彫刻信号発生回路
66…ドット制御信号発生回路
68…強調回路
301〜304…バス
310…CPU
311…RAM
312…ROM
313…LAN−I/F
314…MODEM
321〜323…I/F
330…画面表示装置
331…キーボード
332…マウス
333…プリンタ装置
340…HDD装置
341…CDドライブ装置
342…FDD装置
350…表示出力装置
351…キー入力装置
360…送り制御装置
361…彫刻針制御装置
371…X軸モータ
372…Y軸モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
彫刻針及び被彫刻板の相対運動によって、彫刻針を被彫刻板上において2次元で走査しつつ、彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する画像彫刻方法において、
彫刻する画像の明度又は濃度をその値によって示す、彫刻する画像の該当するピクセル・データを、前記走査に応じて入力し、
該ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値である場合は、ライン彫刻によって、これら最小値又は最大値に応じた前記彫刻を行い、
他方、この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、ドット彫刻によって、この値に応じた前記彫刻を行うようにしたことを特徴とする画像彫刻方法。
【請求項2】
彫刻針及び被彫刻板の相対運動によって、彫刻針を被彫刻板上において2次元で走査しつつ、彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する画像彫刻装置において、
彫刻する画像の明度又は濃度をその値によって示す、彫刻する画像の該当するピクセル・データを、前記走査に応じて入力し、該ピクセル・データの値に応じた大きさの彫刻信号を発生する彫刻信号発生回路と、
この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、ドット彫刻を行うための変調用のドット制御信号を発生するドット制御信号発生回路と、
前記彫刻信号、及び該ドット制御信号を加算する加算回路と、
該加算によって得られる信号の大きさに従って、前記接触の度合いを制御する彫刻針制御装置と、
を備えたことを特徴とする画像彫刻装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像彫刻装置において、
更に、前記ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値の場合は、これら最小値又は最大値に応じた前記接触の度合いを強調するための、強調重畳信号を発生する強調回路を備え、
又、前記加算回路が、前記彫刻信号及び前記ドット制御信号に加えて、該強調重畳信号を加算するものであることを特徴とする画像彫刻装置。
【請求項1】
彫刻針及び被彫刻板の相対運動によって、彫刻針を被彫刻板上において2次元で走査しつつ、彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する画像彫刻方法において、
彫刻する画像の明度又は濃度をその値によって示す、彫刻する画像の該当するピクセル・データを、前記走査に応じて入力し、
該ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値である場合は、ライン彫刻によって、これら最小値又は最大値に応じた前記彫刻を行い、
他方、この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、ドット彫刻によって、この値に応じた前記彫刻を行うようにしたことを特徴とする画像彫刻方法。
【請求項2】
彫刻針及び被彫刻板の相対運動によって、彫刻針を被彫刻板上において2次元で走査しつつ、彫刻針を被彫刻板に適宜接触させて彫刻する画像彫刻装置において、
彫刻する画像の明度又は濃度をその値によって示す、彫刻する画像の該当するピクセル・データを、前記走査に応じて入力し、該ピクセル・データの値に応じた大きさの彫刻信号を発生する彫刻信号発生回路と、
この値が、これら最小値でも最大値でもない、これら最小値及び最大値の間の値である場合は、ドット彫刻を行うための変調用のドット制御信号を発生するドット制御信号発生回路と、
前記彫刻信号、及び該ドット制御信号を加算する加算回路と、
該加算によって得られる信号の大きさに従って、前記接触の度合いを制御する彫刻針制御装置と、
を備えたことを特徴とする画像彫刻装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像彫刻装置において、
更に、前記ピクセル・データの値が、そのとり得る値の最小値又は最大値の場合は、これら最小値又は最大値に応じた前記接触の度合いを強調するための、強調重畳信号を発生する強調回路を備え、
又、前記加算回路が、前記彫刻信号及び前記ドット制御信号に加えて、該強調重畳信号を加算するものであることを特徴とする画像彫刻装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−264162(P2006−264162A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86816(P2005−86816)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【出願人】(501075811)JUKI電産株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【出願人】(501075811)JUKI電産株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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