説明

画像情報処理装置、画像形成処理装置、及びプログラム

【課題】追加的な情報を含んだ疑似画像形成指示を処理する。
【解決手段】画像形成指示と、付加情報を含む疑似画像形成指示と、の入力を受け入れ、前記画像形成指示に対応する前記疑似画像形成指示に含まれた前記付加情報と、前記画像形成指示とに基づいて処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報処理装置、画像形成処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、PJLコマンドを印刷スプーラ経由でプリンタに送信し、プリンタに対してプリンタ情報の出力を要求するとき、PJLコマンドを含む印字ジョブが当該印字ジョブよりも前に投入されてキューに保管された状態になっている印字ジョブよりも先に処理されるように、印字ジョブの処理順序を入れ替えることを、印刷スプーラに対して指示し、速やかにプリンタ情報をプリンタから取得でき、管理PCに対して速やかにプリンタ情報を提供できるようにする画像形成装置情報管理システムが開示されている。
【特許文献1】特開2005−165391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アプリケーションプログラムから描画命令を含むプリント指示を受けて、画像形成指示(プリントジョブ)が生成された後、このプリントジョブにパスワードなどの付加的な情報を後から含めたい要請がある。しかしながらプリントジョブのフォーマットはオペレーティングシステムのバージョンアップなどによって変更され得るため、追加的な情報を常に書き込めるとは限らない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、画像情報処理装置であって、画像形成指示の入力を受け入れる受入手段と、前記受け入れた画像形成指示に対して、付加情報を含めることができるか否かを判断する判断手段と、前記判断の結果、前記受け入れた画像形成指示に対して付加情報を含めることができない場合に、当該画像形成指示とともに処理され、付加情報を含んだ疑似画像形成指示を生成する手段と、前記受け入れた画像形成指示を出力するとともに、前記疑似画像形成指示が生成されているときには、当該疑似画像形成指示を出力する出力手段と、を含むこととしたものである。
【0005】
請求項2記載の発明は、画像形成処理装置であって、画像形成指示と、付加情報を含む疑似画像形成指示と、の入力を受け入れる受入手段と、前記画像形成指示に対応する前記疑似画像形成指示に含まれた前記付加情報と、前記画像形成指示とに基づいて処理を実行する実行手段と、を含むこととしたものである。
また請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成処理装置において、前記実行手段が、前記疑似画像形成指示を受け入れたときに、当該疑似画像形成指示に係る処理を、画像を形成する指示の実体を含む画像形成指示に優先して実行することとしたものである。
【0006】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の画像形成処理装置であって、前記画像形成指示と前記疑似画像形成指示とに共通して含まれる情報要素を比較することにより、処理の対象となった画像形成指示に対応する疑似画像形成指示があるか否かを判断する手段をさらに含み、前記実行手段は、処理の対象となった画像形成指示に対応する疑似画像形成指示があるか否かを判断した場合に、当該対応する疑似画像形成指示に基づく処理を完了してから、処理の対象となった画像形成指示に基づく処理を実行することとしたものである。
【0007】
請求項5記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、前記画像形成指示と前記疑似画像形成指示とに共通して含まれる情報要素には、利用者名、画像形成指示を生成した機器名、文書名、印刷開始時刻の情報、の少なくとも一つが含まれることとしたものである。
【0008】
請求項6記載の発明は、請求項2から5のいずれか一項に記載の画像形成処理装置であって、処理の対象となった画像形成指示に付加情報が含まれておらず、かつ、当該画像形成指示に対応する付加情報を含んだ疑似画像形成指示の入力を受け入れていないときには、対応する付加情報の入力があるまで当該処理の対象となった画像形成指示に基づく処理を中断することとしたものである。
【0009】
請求項7記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを、画像形成指示の入力を受け入れる受入手段と、前記受け入れた画像形成指示に対して、付加情報を含めることができるか否かを判断する判断手段と、前記判断の結果、前記受け入れた画像形成指示に対して付加情報を含めることができない場合に、当該画像形成指示とともに処理され、付加情報を含んだ疑似画像形成指示を生成する手段と、前記受け入れた画像形成指示を出力するとともに、前記疑似画像形成指示が生成されているときには、当該疑似画像形成指示を出力する出力手段と、として機能させることとしたものである。
【0010】
請求項8記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを、画像形成指示と、付加情報を含む疑似画像形成指示と、の入力を受け入れる受入手段と、前記画像形成指示に対応する前記疑似画像形成指示に含まれた前記付加情報と、前記画像形成指示とに基づいて処理を実行する実行手段と、として機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、7記載の発明によると、付加情報を画像形成指示に含められない場合、当該追加的な情報を含んだ疑似画像形成指示を生成して別途、出力できる。
【0012】
請求項2、8記載の発明によると、付加情報に係る処理を行うことができる。
請求項3記載の発明によると、付加情報に係る処理を優先して行うことができる。
【0013】
請求項4記載の発明によると、画像形成指示と疑似画像形成指示とに共通して含まれる情報要素によって互いに対応する画像形成指示と疑似画像形成指示とを見いだすことができる。また請求項5記載の発明によると、情報要素に、利用者名、画像形成指示を生成した機器名、文書名、印刷開始時刻の情報、の少なくとも一つを含めることができる。
【0014】
請求項6記載の発明によると、対応する付加情報が受け入れられるまで画像形成指示に基づく処理を待機させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る画像情報処理装置1及び画像形成処理装置2を含む画像形成システムは、図1に例示するように、画像情報処理装置1、画像形成処理装置2、及び画像形成装置3を含んで構成される。
【0016】
ここに画像情報処理装置1は、制御部11,記憶部12,操作部13,表示部14,及び通信部15を含んで構成される。また、画像形成処理装置2は、制御部21,記憶部22,及び通信部23を含んで構成される。画像情報処理装置1と画像形成処理装置2とはネットワーク等の通信手段を介して、互いに通信可能に接続される。また、画像形成装置3は、画像形成処理装置2に接続されている。
【0017】
画像情報処理装置1の制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプログラム制御デバイスであり、記憶部12に格納されているプログラムに従って動作する。この制御部11は、オペレーティングシステムとして機能し、また、オペレーティングシステムを利用して動作するアプリケーションプログラムを実行する。制御部11は、アプリケーションプログラムにおいて画像形成の指示が行われると、この指示に従って画像形成指示(印刷ジョブ)を生成する。この印刷ジョブには、図2(a)に例示するように、認証された利用者名、画像情報処理装置1のマシン名(画像形成指示を生成した装置名)、画像形成指示の対象となった文書名、画像形成の指示が入力された時刻(印刷開始時刻の情報)、付加情報の有無などを含むヘッダ情報(H)とともに、描画の指示(B)が含まれている。
【0018】
制御部11は、この印刷ジョブを処理の対象として、印刷ジョブにパスワードなどの付加情報を含めることが可能であるか否かを判断する。そして可能であれば印刷ジョブに付加情報を含め、通信部15を介して画像形成処理装置2へ、当該印刷ジョブを送信する。
【0019】
また、この判断の結果、印刷ジョブに付加情報を含めることができない場合は、制御部11は、当該印刷ジョブとともに処理され、付加情報を含む疑似画像形成指示(情報ジョブと呼ぶ)を生成して、通信部15へ出力し、画像形成処理装置2へ送信させる。この情報ジョブには図2(b)に例示するように、認証された利用者名、画像情報処理装置1のマシン名(画像形成指示を生成した装置名)、画像形成指示の対象となった文書名、画像形成の指示が入力された時刻(印刷開始時刻の情報)などを含むヘッダ情報(H)とともに、付加情報(C)が含まれている。この制御部11の詳しい処理の内容については後に説明する。
【0020】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等の記憶素子を含んで構成される。この記憶部12は、制御部11によって実行されるプログラムを保持する。このプログラムは、例えばCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)やDVD−ROM(Digital Versatile Disc-Read Only Memory)などのコンピュータ可読な記録媒体に格納されて提供され、この記憶部12に格納されたものであってもよい。また、この記憶部12は制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0021】
操作部13は、マウスやキーボードなどを含み、利用者からの指示操作を受け入れる。操作部13は、この指示操作の内容を制御部11に出力する。表示部14は、ディスプレイ等であり、制御部11から入力される指示に従って、情報を表示する。通信部15は、例えばネットワークインタフェースなどであり、ネットワーク等の通信手段を介して画像形成処理装置2との間で情報を送受する。
【0022】
画像形成処理装置2は、例えばプリンタサーバであり、その制御部21は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部22に格納されたプログラムに従って動作する。この制御部21は、画像情報処理装置1が出力する画像形成指示(印刷ジョブ)や疑似画像形成指示(情報ジョブ)を、通信部23を介して受け入れる。
【0023】
ここで、画像情報処理装置1が出力する印刷ジョブには、付加情報を含むものと含まないものとがある。制御部21は、付加情報を含む印刷ジョブについては、付加情報に係る処理を実行し、その後、描画処理命令を画像形成装置へ送信する。本実施の形態では、画像情報処理装置1が送信する印刷ジョブに含まれる描画処理命令は、画像形成装置3によって解釈可能な形式ではなくてもよい。すなわち制御部21が当該描画処理命令を解釈して、画像形成装置3が解釈可能なページ記述言語に書き換えて送信すればよい。
【0024】
また制御部21は、付加情報を含まない印刷ジョブについては、関連する付加情報を含んだ情報ジョブが受信されているか否かを調べ、関連する付加情報を含んだ情報ジョブが受信されていない場合は、当該情報ジョブの受信を待機する。一方、関連する付加情報を含んだ情報ジョブが受信されていれば、当該情報ジョブの処理が実行が完了するまで待機して、印刷ジョブに基づく処理を実行する。この制御部21の詳しい処理の内容についても後に述べる。
【0025】
記憶部22は、RAM等の記憶素子を含み、制御部21によって実行されるプログラムを保持している。このプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ可読な記録媒体に格納されて提供され、ここへ複写されたものであってもよい。この記憶部22は、また、通信部23が受信した印刷ジョブや、情報ジョブを、例えば受信順に蓄積して保持する。さらに記憶部22は、制御部21のワークメモリとして動作してもよい。通信部23は、例えばネットワークインタフェースなどであり、ネットワーク等の通信手段を介して画像情報処理装置1との間で情報を送受する。
【0026】
画像形成装置3は、例えばプリンタなどであり、画像形成処理装置2から入力される描画指示等に従って、用紙などの媒体上に画像を形成する。また、この画像形成装置3は、テンキーなどの操作部や液晶ディスプレイなどの表示部を備える。この画像形成装置3は、例えば画像形成処理装置2から入力される指示により、利用者に対してパスワードの入力を求め、予め指定されたパスワードに一致するパスワードの入力がされるまで、画像形成を行わないなどの処理を行う。
【0027】
次に、本実施の形態における画像情報処理装置1の制御部11による処理の内容について述べる。本実施の形態の制御部11は、アプリケーションプログラムに対して画像形成の指示操作が行われると、その時点で設定されている画像形成装置に対応する画像形成フロントエンドの処理を開始する。ここで画像形成フロントエンドは、例えば図3に例示するような指示を受け入れるための画面を提示する。この画面では、用紙サイズや、印刷部数などの設定のほか、セキュリティオプションなどとしてパスワードの入力を受け入れる。
【0028】
制御部11は、ここで入力されるパスワードなど、予め定められた情報を付加情報として記憶部12に保持し、図4に例示する処理を開始する。すなわち制御部11は、付加情報を読み出し(S1)、画像形成の指示操作に基づいてアプリケーションプログラムが生成した描画処理命令を含む、印刷ジョブに付加情報を含めることができるか否か(例えば追記可能であるか否か)を判断する(S2)。なお、印刷ジョブは、アプリケーションプログラムとオペレーティングシステムとの処理により生成されてもよいし、プリンタドライバとしてのプログラム(画像形成フロントエンドを兼ねてもよい)が生成してもよい。
【0029】
具体的な例として印刷ジョブにおいては描画処理情報の開始位置(オフセット)が定められている場合があり、描画処理情報に先立って付加情報を記録するべき場合は、このオフセットを変更させるような追記(情報のサイズが変化してしまうような追記)は行うことができない。この処理S2の判断は、例えば印刷ジョブのデータ形式のバージョンが予め定めたものとなっているか否かを判断すればよい。この判断に際しては、描画処理情報の開始位置(オフセット)が予め定めたものであるか、またはヘッダ情報のサイズが予め定めたものとなっているかなどを調べればよい。また、本実施の形態では、印刷ジョブのヘッダ情報にバージョン情報を含んでもよく、その場合は、当該バージョン情報を参照して、予め定めたバージョンと一致しているか否かを調べればよい。
【0030】
制御部11は、処理S2において、例えば印刷ジョブのデータ形式のバージョンが予め定めたものとなっていて、印刷ジョブに付加情報を含めることができると判断すると(Yesであると)、印刷ジョブに付加情報を含め(S3)、当該印刷ジョブを送信して(S4)、処理を終了する。
【0031】
一方、処理S2において、例えば印刷ジョブのデータ形式のバージョンが予め定めたものとなっておらず、印刷ジョブに付加情報を含めることができないと判断すると(Noであると)、制御部11は、印刷ジョブのヘッダ情報を取得し(S5)、このヘッダ情報と処理S1で読み出した付加情報とを含んだ情報ジョブを生成する(S6)。そして情報ジョブを送信し(S7)、処理S4に移行して、印刷ジョブを送信する。なお制御部11は、このように印刷ジョブとともに処理されるべき付加情報が存在する場合、印刷ジョブの例えばヘッダ情報に含まれる、付加情報の有無を表す情報を、「付加情報あり」に設定する。
【0032】
これにより、印刷ジョブに対してパスワードなどの付加情報を含めることができない場合、付加情報を含んだ擬似的な印刷ジョブ(情報ジョブ)を送信することとなる。この情報ジョブは、印刷ジョブと同様のデータ構造を備えるものであるため、画像情報処理装置1と、画像形成処理装置2との間において特別なプロトコルを改めて定義する必要はない。一方、付加情報が存在しない場合、制御部11は、印刷ジョブの例えばヘッダ情報に含まれる、付加情報の有無を表す情報を、「付加情報なし」に設定する。
【0033】
次に、本実施の形態の画像形成処理装置2における制御部21の動作について述べる。この制御部21は、印刷ジョブや情報ジョブを受信すると、図5に例示するような処理を開始し、当該受信したジョブが情報ジョブであるか否かを調べる(S11)。ここで、受信したジョブが情報ジョブであれば(Yesであれば)、当該情報ジョブを記憶部22に蓄積し(S12)、当該情報ジョブに対応する印刷ジョブが記憶部22に既に蓄積されているか否かを調べる(S13)。
【0034】
ここで、情報ジョブに対応する印刷ジョブを検索するときには、情報ジョブと印刷ジョブとに共通して含まれる情報要素を比較することによって行う。本実施の形態では、この情報要素はヘッダ情報、またはヘッダ情報の一部(例えば利用者名、画像形成指示を生成した機器名、文書名、印刷開始時刻の情報の少なくとも一つ)であってもよい。すなわち、処理S12で蓄積した情報ジョブのヘッダ情報から比較の対象となる情報要素を取り出し、当該情報要素に一致する情報要素を含む印刷ジョブを記憶部22から検索するのである。
【0035】
なお、印刷ジョブに対応する情報ジョブを検索するときも同様に、対象となった印刷ジョブのヘッダ情報から比較の対象となる情報要素を取り出し、当該情報要素に一致する情報要素を含む情報ジョブを記憶部22から検索すればよい。
【0036】
また本実施の形態では、印刷ジョブや情報ジョブは、受信順に記憶部22に蓄積されるものとしている。さらに印刷ジョブについては、処理の可否を表すフラグが関連づけられる(図6)。
【0037】
制御部21は、処理S13において対応する印刷ジョブがないと判断したときには(Noならば)、処理を終了して待機する。一方、処理S13において、対応する印刷ジョブが見いだされたときには(Yesのときには)、当該見いだした印刷ジョブについての処理可否のフラグを処理可能と設定する(S14)。
【0038】
一方、処理S11において、受信したジョブが情報ジョブでなければ(Noならば、つまり受信したジョブが印刷ジョブであれば)、制御部21は、当該受信した印刷ジョブに対応する付加情報が存在するか否かを調べる(S15)。この処理S15では、例えば印刷ジョブのヘッダ情報に含まれる、付加情報の有無の設定を調べ、「付加情報あり」の設定となっているか否かを調べればよい。
【0039】
処理S15において、付加情報が存在しないと判断される(Noである)と、制御部21は、受信した印刷ジョブについての処理可否のフラグを処理可能と設定する(S16)。
【0040】
また、処理S15において、付加情報が存在すると判断される(Yesである)と、制御部21は、印刷ジョブに付加情報が含まれているか否かを調べる(S17)。ここで、印刷ジョブに付加情報が含まれていれば、処理S16に移行して、制御部21は、受信した印刷ジョブについての処理可否のフラグを処理可能と設定する(A)。他方、処理S17において印刷ジョブに付加情報が含まれていなければ(Noならば)、制御部21は、受信した印刷ジョブに対応する情報ジョブを記憶部22から検索する(S18)。この処理S18において対応する情報ジョブが見いだせない場合は(Noならば)、制御部21は、受信した印刷ジョブについての処理可否のフラグを処理不可と設定する(S19)。つまり、この処理S19の場合は、対応する付加情報の入力があるまで当該処理の対象となった画像形成指示(印刷ジョブ)に基づく処理が中断される。
【0041】
さらに処理S18において、対応する情報ジョブを見出した場合は(Yesならば)、制御部21は、処理S16へ移行して、受信した印刷ジョブについての処理可否のフラグを処理可能と設定する(A)。
【0042】
制御部21は、以上の処理とともに、処理可否のフラグが「処理可能」と設定されている印刷ジョブの処理を、印刷ジョブの受信順に行う。この処理においては、付加情報がある場合には、付加情報に基づいて印刷設定やパスワード要求などのPDL(ページ記述言語)コマンド(付加コマンドと呼ぶ)を生成し、この付加コマンドを、描画処理指示等に基づいて生成した描画指示を含むPDLコマンド(実体コマンドと呼ぶ)に合成して、画像形成装置3へ送信するコマンド列を生成する。ここで付加情報が情報ジョブとして記憶部22に別途蓄積されている場合は、制御部21は処理の対象となった印刷ジョブに対応する情報ジョブを記憶部22から取り出して、情報ジョブに基づき印刷設定やパスワード要求などの付加コマンドを生成し、この付加コマンドを、印刷ジョブに基づいて生成した描画指示を含む実体コマンドに合成して、コマンド列を生成する。
【0043】
なお、付加情報がなければ、制御部21は、処理の対象となった印刷ジョブに基づいて描画指示を含む実体コマンドを生成し、当該実体コマンドを含むコマンド列を生成する。制御部21は、以上のようにして生成したコマンド列を、画像形成装置3へ送信する。
【0044】
また制御部21は、疑似画像形成指示である情報ジョブを受け入れたときに、対応する印刷ジョブの有無に関わらず、当該情報ジョブに基づいて付加コマンドを優先的に生成してもよい。すなわち、本実施の形態では制御部21は、印刷ジョブを受信順に処理することとしたが、次に処理可能な印刷ジョブを探索するに先立って、未処理の情報ジョブが記憶部22に格納されているか否かを調べ、未処理の情報ジョブが記憶部22に格納されているときには、制御部21は、当該情報ジョブを例えば受信順に処理して(つまり画像形成指示に優先して処理して)、付加コマンドを生成しておく。生成した付加コマンドは、例えば、印刷ジョブと情報ジョブとに共通して含まれる情報要素に関連づけて(つまり、対応する印刷ジョブに基づいて検索可能な状態で)記憶部22に格納しておく。
【0045】
この場合、制御部21は、例えば処理S18にて対応する情報ジョブが見いだせない場合、対応する情報ジョブに基づいて生成された、対応する付加コマンドが記憶部22に格納されているか否かを調べ、格納されていれば対応する印刷ジョブを処理可能と設定してもよい。このときは、制御部21は印刷ジョブに基づいて生成した実体コマンドに対し、記憶部22に格納されている、対応する付加コマンドを読み出して合成することになる。このように本実施の形態では、制御部21は、対応する疑似画像形成指示である情報ジョブに基づく処理を完了してから、処理の対象となった画像形成指示(印刷ジョブ)に基づく処理を実行することとしてもよい。
【0046】
本実施の形態は、以上の構成を備えてなるので、次のように動作する。利用者が画像情報処理装置1を操作してアプリケーションで開いている文書について画像形成の指示を行うと、画像情報処理装置1は、画像形成フロントエンドとしての処理を行う。画像情報処理装置1は、この画像形成フロントエンドとしての処理において、パスワードの入力など付加情報の設定を受け入れる。なお、付加情報は、この画像形成フロントエンドにて設定されなければならないものではなく、例えば事前に設定されて記憶されている情報を付加情報として用いても構わない。
【0047】
画像情報処理装置1は、画像形成が指示された文書に関して画像形成指示の情報(印刷ジョブ)を生成する。そして、当該印刷ジョブに付加情報を追記可能であるか否かを調べる。ここで、印刷ジョブのバージョンが予め定められたものでないなど、印刷ジョブに付加情報が追記不能であると判断されると、印刷ジョブの一部と共通の情報を含み、さらに付加情報を含んだ疑似画像形成指示(情報ジョブ)を生成する。そして印刷ジョブと情報ジョブとを画像形成処理装置2へ送信する。
【0048】
画像形成処理装置2では、情報ジョブや印刷ジョブを受信する。画像形成処理装置2では、印刷ジョブに付加情報がある場合に、印刷ジョブに付加情報が含まれているか、又は印刷ジョブに対応する情報ジョブが受信されているときに当該印刷ジョブを処理可能と判断する。
【0049】
画像形成処理装置2は、処理可能と判断した印刷ジョブを例えば受信順に処理するが、情報ジョブが受信されているときには、当該情報ジョブに関する処理を優先して行う。例えば印刷ジョブA,B,Cと、印刷ジョブCに対応する情報ジョブcとがこの順に受信され、このうち印刷ジョブCについて「付加情報あり」との設定がある場合、画像形成処理装置2は、印刷ジョブA,Bについては付加情報がないため処理可能と判断し、印刷ジョブCについては情報ジョブcが受信されているため処理可能と判断する。そして、受信順にかかわらず受信されているジョブのうち、情報ジョブである情報ジョブcを優先的に処理し、情報ジョブcに含まれる付加情報に基づく処理を行う。
【0050】
例えば付加情報がパスワードであれば、画像形成装置3においてパスワードの入力があるまで、画像形成を抑制する処理を実行するためのコマンドを生成する。また付加情報がヘッダ(印刷文書の上部に記録するべき文字列等)や、フッタ(印刷文書の下部に記録するべき文字列等)であれば、文書の該当する位置に、指定された文字列等を描画するコマンドを生成する。
【0051】
画像形成処理装置2は、印刷ジョブA,Bを順に処理し、印刷ジョブCに基づいて画像形成コマンドを生成した後、この印刷ジョブCに関する画像形成コマンドに対し、印刷ジョブCに対応する情報ジョブcに基づいて生成したコマンドを合成して、画像形成装置3へ送信する。画像形成装置3では、受信されたコマンドに基づく処理が実行される。
【0052】
なお、画像情報処理装置1側において、付加情報の有無の設定だけでなく、追記されるべきであった付加情報の種類を特定する情報を設定可能としておいてもよい。このためには、例えば印刷ジョブのフォーマットにおいて、追記(情報容量を増大させるような変更)を行うことなく、情報の書き換えで付加情報の種類を設定できるような方法としておく。この方法としては固定長ビットの値を用い、付加情報の種類に対応するビットを立てるような方法があるが、これに限られるものではない。
【0053】
画像形成処理装置2側では、印刷ジョブから、追記されるべきであった付加情報の種類を特定する情報を参照する。この場合の画像形成処理装置2では図7に例示するように、付加情報の種類に対応して、必要な付加情報を関連づけたテーブルを記憶しておく。そして、画像形成処理装置2は印刷ジョブに含まれる付加情報や、対応する情報ジョブに含まれる付加情報を調べて、必要な付加情報がすべて受信されているか否かを判断し、すべて受信されていないときには、印刷ジョブの処理を待機するようにしてもよい。
【0054】
さらに本実施の形態では、「付加情報あり」等の設定がされながら付加情報を含まず、かつ対応する情報ジョブが受信されていない印刷ジョブについては、その処理を待機することとしていたが、各印刷ジョブの受信日時(図示しない時計部などから取得する)を印刷ジョブに関連づけて記録しておき、受信から予め定めた時間が経過しても付加情報が得られない印刷ジョブについては処理を中断してもよい。また、処理を中断する代わりに、処理を中断するか待機するかを利用者に問い合わせるようにしてもよい。この問い合わせは、付加情報が得られない間、予め定めたタイミングごとに繰り返し行ってもよい。
【0055】
さらに、画像形成処理装置2では、受信から予め定めた時間が経過しても付加情報が得られない印刷ジョブがある場合、付加情報の不要な範囲で、印刷ジョブに基づく画像形成を実行(コマンドを生成して画像形成装置3へ送信する処理を実行)してもよい。
【0056】
このように付加情報を用いずに画像形成を実行する場合、パスワードなどのセキュリティオプションを無視することのないよう、印刷ジョブに付加情報の種類を特定する情報を含めておき、付加情報の種類ごとに、付加情報なしに画像形成を行っても構わないか否かを設定しておいてもよい。画像形成処理装置2はこの設定を参照して、付加情報なしに画像形成を行っても構わないと設定されているときに限り、受信から予め定めた時間が経過しても付加情報が得られない印刷ジョブについて、付加情報の不要な範囲で、当該印刷ジョブに基づく画像形成を実行する。
【0057】
なお、この場合、付加情報の種類ではなく、付加情報なしに画像形成を行っても構わないか否かを表す情報を直接、印刷ジョブに含めてもよい。この場合は、当該情報を参照して、付加情報の不要な範囲で印刷ジョブに基づく画像形成を実行するか否かを判断することになる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像情報処理装置と、画像形成処理装置との構成例、接続例を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像情報処理装置が生成する画像形成指示と疑似画像形成指示の内容例を表す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像情報処理装置において表示される画像形成フロントエンドのインタフェース例を表す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像情報処理装置における処理の例を表すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成処理装置における処理の例を表すフローチャート図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成処理装置によるジョブの記憶例を表す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像形成処理装置が保持する設定情報の例を表す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 画像情報処理装置、2 画像形成処理装置、3 画像形成装置、11,21 制御部、12,22 記憶部、13 操作部、14 表示部、15,23 通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成指示の入力を受け入れる受入手段と、
前記受け入れた画像形成指示に対して、付加情報を含めることができるか否かを判断する判断手段と、
前記判断の結果、前記受け入れた画像形成指示に対して付加情報を含めることができない場合に、当該画像形成指示とともに処理され、付加情報を含んだ疑似画像形成指示を生成する手段と、
前記受け入れた画像形成指示を出力するとともに、前記疑似画像形成指示が生成されているときには、当該疑似画像形成指示を出力する出力手段と、
を含むことを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項2】
画像形成指示と、付加情報を含む疑似画像形成指示と、の入力を受け入れる受入手段と、
前記画像形成指示に対応する前記疑似画像形成指示に含まれた前記付加情報と、前記画像形成指示とに基づいて処理を実行する実行手段と、
を含むことを特徴とする画像形成処理装置。
【請求項3】
前記実行手段が、前記疑似画像形成指示を受け入れたときに、当該疑似画像形成指示に係る処理を、画像を形成する指示の実体を含む画像形成指示に優先して実行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成処理装置。
【請求項4】
前記画像形成指示と前記疑似画像形成指示とに共通して含まれる情報要素を比較することにより、処理の対象となった画像形成指示に対応する疑似画像形成指示があるか否かを判断する手段をさらに含み、
前記実行手段は、処理の対象となった画像形成指示に対応する疑似画像形成指示があるか否かを判断した場合に、当該対応する疑似画像形成指示に基づく処理を完了してから、処理の対象となった画像形成指示に基づく処理を実行することを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成処理装置。
【請求項5】
前記画像形成指示と前記疑似画像形成指示とに共通して含まれる情報要素には、
利用者名、
画像形成指示を生成した機器名、
文書名、
印刷開始時刻の情報、
の少なくとも一つが含まれることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の画像形成処理装置。
【請求項6】
処理の対象となった画像形成指示に付加情報が含まれておらず、かつ、当該画像形成指示に対応する付加情報を含んだ疑似画像形成指示の入力を受け入れていないときには、対応する付加情報の入力があるまで当該処理の対象となった画像形成指示に基づく処理を中断することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の画像形成処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
画像形成指示の入力を受け入れる受入手段と、
前記受け入れた画像形成指示に対して、付加情報を含めることができるか否かを判断する判断手段と、
前記判断の結果、前記受け入れた画像形成指示に対して付加情報を含めることができない場合に、当該画像形成指示とともに処理され、付加情報を含んだ疑似画像形成指示を生成する手段と、
前記受け入れた画像形成指示を出力するとともに、前記疑似画像形成指示が生成されているときには、当該疑似画像形成指示を出力する出力手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
画像形成指示と、付加情報を含む疑似画像形成指示と、の入力を受け入れる受入手段と、
前記画像形成指示に対応する前記疑似画像形成指示に含まれた前記付加情報と、前記画像形成指示とに基づいて処理を実行する実行手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−276919(P2009−276919A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126182(P2008−126182)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】