説明

画像投影装置

【課題】画像投影装置を利用した会議等の進行の効率の低下を防止し、会議資料の作成者等、当該画像投影装置の利用者に対するユーザビリティを向上させる。
【解決手段】ホストからの投影要求に応じて、投影する画像に関する指示または決定をする投影画像決定部と、投影画像決定部の指示に応じて、画像情報の保存処理を行う画像記録部と、投影画像決定部の指示に応じて、画像の投影処理をする画像投影処理部と、を備え、投影画像決定部は、ホストからの投影動作の中断を検知すると、画像投影処理部に、画像記録部により保存している画像を投影させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数の参加者が参加する会議等では、プレゼンテーションのために使用されるプロジェクタ(画像投影装置)の重要性が増している。このプロジェクタを用いた会議においては、会議資料を説明するために、ノートPCなどの外部機器からプロジェクタに画像信号または画像データを送り投影する方法が一般的である。また、会議資料を説明する際には、複数の画像ファイルを利用する機会が多く、説明者は説明するファイルを適宜切り替えながら資料説明を行うことになる。その際、説明者は現在のファイルから別のファイルに切り替えるために、ノートPC上等で切り替え操作を実施することが多い。
【0003】
ノートPCを使って会議資料を説明する場合、このノートPCにはメールの送受信記録、他のプロジェクトに関する機密文書など、会議資料以外の情報が保管されている場合がある。そのため、ファイル切り替え操作中もプロジェクタにノートPCの画面を投影している場合は、他者に見られたくない情報を参加者に見せてしまうことがある。このような事態に対処するため、従来は、プレゼンターは説明資料以外のファイルを参加者に見せないように、ノートPCからプロジェクタに接続される投影用のケーブルを抜いて一時的に投影処理を中断し、ファイルを切り替えてから再度投影するなどしている。また、特許文献1に開示の技術では、画像投影中断時に、ユーザー操作によって予め記憶しておいた画像情報を投影することにより上記問題に対処している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、投影を中断してしまうと、プロジェクタの投影画面には何も画像が表示されず、会議の参加者は新しい投影が始まるのをただ待つしかなく、会議自体が間延びし会議参加者の集中が切れてしまうことにより、会議の効率低下を招く原因となる。また、特許文献1に開示の技術では、事前の画像の記録にユーザー指示を必要とするため、会議資料の作成者に余計な作業を課すことになり、利用勝手が悪い。また、機密情報が漏れる機会が最も多いのは、必要なファイルを突発的に探す必要が生じた場合であるが、そもそも、突発的な要求等を予測できないからこそ、会議説明者は、投影用のケーブルを抜くなど物理的な方法により、素早く効率よく機密情報を隠す行動を取るのである。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、素早く効率よく情報を隠すため投影用のケーブルを抜くなど投影の中断がなされる場合において、画像投影装置を利用した会議等の進行の効率の低下を防止し、会議資料の作成者等、当該画像投影装置の利用者に対するユーザビリティを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像投影装置は、ホストからの投影要求に応じて、投影する画像に関する指示または決定をする投影画像決定部と、前記投影画像決定部の指示に応じて、画像情報の保存処理を行う画像記録部と、前記投影画像決定部の指示に応じて、画像の投影処理をする画像投影処理部と、を備え、前記投影画像決定部は、ホストからの投影動作の中断を検知すると、前記画像投影処理部に、前記画像記録部により保存している画像を投影させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、投影の中断を検知し、自動的に記憶しておいた画像を、自動的に投影するため、当該画像投影装置を利用した会議等の進行の効率の低下を防止することができるとともに、投影中断中の画像投影のための事前のユーザー操作等も不要となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1−1】図1−1は、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCの主要部の構成を示すブロック図である。
【図1−2】図1−2は、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCの主要部の他の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1−1に示す構成例における動作について説明するシーケンス図である。
【図3】図3は、図1−2に示す構成例における動作について説明するシーケンス図である。
【図4】図4は、実施例1として、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCの動作を説明するシーケンス図である。
【図5】図5は、実施例2として、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCの動作を説明するシーケンス図である。
【図6−1】図6−1は、実施例2における投影画像間の画面変化量の算出について説明する図である。
【図6−2】図6−2は、実施例2における投影画像間の画面変化量の算出について説明する図である。
【図6−3】図6−3は、実施例2における投影画像間の画面変化量の算出について説明する図である。
【図6−4】図6−4は、実施例2における投影画像間の画面変化量の算出について説明する図である。
【図7】図7は、実施例3として、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCの動作を説明するシーケンス図である。
【図8】図8は、実施例4として、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCの動作を説明するシーケンス図である。
【図9】図9は、実施例5として、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCの動作を説明するシーケンス図である。
【図10】図10は、実施例6として、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCおよびサーバの動作を説明するシーケンス図である。
【図11】図11は、実施例7として、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCおよびサーバの動作を説明するシーケンス図である。
【図12−1】図12−1は、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCの主要部のその他の構成を示すブロック図である。
【図12−2】図12−2は、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCの主要部のその他の構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、図12−1に示す構成例における動作ついて説明するシーケンス図である。
【図14】図14は、実施例8として、実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPCの動作を説明するシーケンス図である。
【図15】図15は、画像記録部によりメモリに保存される画像とこの画像に係る情報(テーブル情報)のデータ構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1−1および図1−2は、本実施形態にかかる画像投影装置およびこの画像投影装置に接続されるPC(ホスト)の主要部の構成を示すブロック図である。
【0011】
画像投影装置10は、PC20から画像の投影要求を受け付け、投影する画像に関する指示または決定(詳細は後述)をする投影画像決定部11と、投影画像決定部11の指示に従い投影する画像をファイル化してRAM等のメモリ14に一時的に保存する画像記録部12と、投影画像決定部11の指示に従い画像投影処理を実行し、投影部15に画像を投影させる画像投影処理部13とからなる処理部を備える。
【0012】
この処理部は、その具体的なハードウェア構成としてCPUおよびメモリ(ROM,RAM)等を有し、そのメモリに格納された制御プログラムに従って動作するCPUが、投影画像決定部11、画像記録部12および画像投影処理部13として機能する。画像投影装置10には、また、ランプ、ランプから発せられた光を変調する液晶パネルなどの光変調器、およびランプから発せられた光が通過する各種光学系等を有し、スクリーンに画像を投影する投影部15、およびPC20と接続するためのI/F(インターフェース)16を備える。
【0013】
PC20と画像投影装置10を接続しPC20で作成された画像を投影するために画像投影装置10へ送る手段として、(1)RGB画像信号を送信するためのケーブルを用いる場合と、(2)ネットワーク回線(有線、無線)を利用する場合がある。画像投影装置10において、PC20からアナログの画像信号を受ける場合、例えばI/F16にA/D(Analog to Digital)変換機能をもたせ画像信号をデジタル化するが、ネットワーク回線を介してPC20から画像データを受け取る場合はA/D変換は不要である。以下、PC20から画像投影装置10へ送られる画像信号および画像データならびに画像投影装置10内で処理される画像データを、簡単のため、画像と略記する。
【0014】
PC20は、CPUおよびメモリ等からなる処理部の一機能として、利用者による画像投影要求を受け付け、PC20から画像投影装置10に対し画像投影要求をする画像投影要求部21と、上記画像投影装置10のI/F16に対応し、画像投影装置10と接続するためのI/F22を備える。なお、PC20としては、一般的なパーソナルコンピュータを用いることができ、その他の構成・動作について詳細な説明は省略する。
【0015】
図1−1に示す構成例は、画像の投影タイミングを投影画像決定部11が決定するものであり、図1−2に示す構成例は、画像の投影タイミングを画像投影処理部13が決定するものである。どちらの構成を採用してもよい。図1−1に示す構成例における動作については図2を用いて、また、図1−2に示す構成例における動作については図3を用いて、以下に説明する。
【0016】
まず、図1−1に示す構成例における動作について説明する。
【0017】
PC20側にて、画像投影装置10の利用者が、PC20等を用いて作成された画像(画像ファイルや、PC画面のキャプチャ画像など)の投影要求をすると、PC20から画像が画像投影装置10に送信される。
【0018】
PC20からの画像を受け取った投影画像決定部11は、画像投影処理部13にその画像(図2:画像A)を渡しその投影を指示(画像投影要求;以下、投影要求と略記)し、さらに画像記録部12に画像Aのデータの保存を指示(画像記録要求;以下、記録要求と略記)する。これらの指示に応じて、画像投影処理部13は、投影部15に画像Aの投影をさせ、画像記録部12は、画像Aのデータをメモリ14に保存する。なお、この画像投影処理部13による画像投影処理(投影処理)および画像記録部12による画像記録処理(保存処理)は、非同期に行われる。このように非同期にすることで、画像投影処理を行うソフトウェア(画像投影処理部13に対応)と、投影画像の保存を指示するソフトウェア(投影画像決定部11に対応)間のインターフェースを無くすことができる。これにより、投影画像決定部11は通信相手である画像投影処理部13の全ての投影処理方法(投影処理能力)に関して予めプログラミングする必要がなくなり、開発コストを抑えることができる。また、非同期にすることで、本実施形態において中心的な役割を持つ投影画像決定部11による処理を、画像投影処理を行うソフトウェアを搭載した様々な画像投影装置に搭載することができるため、その適用範囲(搭載可能装置)が大幅に拡大する。
【0019】
画像投影中に、例えば利用者がPC20と画像投影装置10を接続するケーブル(以下、ケーブルと略記)を抜いた場合、PC20からの画像が途絶えたことより投影画像決定部11はケーブル断を検知し、画像記録部12に投影画像の読み出しを指示して、その応答(投影画像応答)として返される保存画像を取得する。メモリ14には、画像記録部12により先ほど「画像A」が記録されているので、投影画像決定部11は、読み出された画像Aを、画像投影処理部13に投影要求する。この投影要求を受けた画像投影処理部13は、投影部15に画像Aを投影させる。本例では、ケーブル断の直前までに保存されている画像(画像A)を、ケーブル断時に表示し続けることとなる。
【0020】
その後、再度、ケーブルが接続されて、PC20側にて投影要求がなされ、PC20から投影画像決定部11が画像(図2:画像B)を受け取った場合には、投影画像決定部11は、その画像(画像B)の投影を画像投影処理部13に指示する。以後、上記画像Aの場合と同様に動作する。本構成例では、画像の投影タイミングを、投影画像決定部11が決定している(詳細な動作は後述)。
【0021】
なお、本実施形態では、以下の諸実施例を含め、PC20または画像投影装置10からケーブルが物理的に抜かれPC20からの画像が途絶えたことより、PC20からの投影動作の中断となるケーブル断を検知するとして説明するが、PC20または画像投影装置10からケーブルが物理的に抜かれなくとも、PC20からの画像が途絶えた場合や、PC20から投影動作の中断を示す所定の指示や信号等を受けた場合もPC20からの投影動作の中断となる「ケーブル断」として、「ケーブル断」の検知以降の処理を実行するものとする。
【0022】
次に、図1−2に示す構成例における動作ついて、図3を用いて説明する。
【0023】
PC20において利用者による画像の投影要求を受け付け、画像投影装置10において画像を投影するとともに画像を保存するまでは図2を用いて前述した動作と同様であるが、画像の投影タイミングを、画像投影処理部13が決定するところが異なる。図3の例では、画像投影処理部13は、画像投影決定部11から画像投影要求を受けることなく、画像投影処理部13が画像の投影処理を実施する。こうすることにより、画像の投影処理と記録処理との依存関係が無くなるために、画像投影決定部11および画像投影処理部13における処理が簡潔なものとなり、様々な画像投影装置10において柔軟に対応しやすくなるメリットが生まれる。この例では、投影タイミングとして一定時間間隔で画像投影処理部13が画像記録部12を介し画像を読み出し投影する方法を採用する。この方法では画像記録部12によりメモリ14に保存している画像の変化の有無に関係なく読み出すため、図1−2の例は、保存画像が変わった場合に適宜投影画像が変わる構成となっている。
【0024】
以上のように、本実施形態では、ホスト(PC20)からの投影動作が中断した際にも画像投影を続けることで、画像投影装置10の利便性を高めることができる。
【0025】
以下では、便宜的に図1−1および図2による構成例をベースに、諸実施例をさらに詳細に説明する。なお、投影タイミングを投影画像決定部11が決定するか画像投影処理部13が決定するか(あるいは、投影に係る処理の主体が投影画像決定部11か画像投影処理部13か)の違いを除いて、上記図1−2および図3による構成例においても同様に実施することができる。
【0026】
(実施例1)
ところで、利用者は、複数種類の画像情報を、PC20から投影要求することがある(一般的には、PC画面を一定間隔で投影し続けることが多いが、ファイルに分割された複数の画像を個別に投影要求することもある)。このような場合は、図4に示すように、投影要求された画像を保存するタイミングとして、一定時間経過後に発生した投影要求に対して(図4の例では、画像Cに対する画像投影要求の時点で一定時間以上経過しているものとしている)、対応する画像(図4の例では画像C)を保存し保存画像を変更する。
【0027】
ケーブルが抜かれ、ケーブル断を検知した場合は、保存画像の更新処理を中断し、この間、保存されている画像(図4の例では画像C)を投影する。そして、再度ケーブル接続された後で、発生した画像投影要求に対して、対応する画像(図4の例では画像D)を保存し保存画像を更新する画像保存処理を再開する。この構成は、画像処理を伴わないのでCPU性能(画像処理性能)が低くても対応できるため、低コスト化が実現できる。
【0028】
(実施例2)
図5に示す例は、前回画像投影要求された画像と今回画像投影要求された画像の画面変化量(下記)を見て、この画面変化量の大/小によって、保存画像を更新するかどうかを決定するようにしたものである。この構成では、図4の例に対して画像処理を必要とするためより高いCPU性能(画像処理性能)が必要となりコストは高くなるが、より好適な画像を残しておく事ができるメリットがある。
【0029】
ここで、本実施例における投影画像間の画面変化量の算出について、図6−1〜図6−4を用いて説明する。
【0030】
図6−1〜図6−3に示す例では、まず、投影画面を36分割し、分割領域毎に画像データの変化量に応じて大、中、小の3段階でレベルを付け分類している。具体的には、投影している画像(現投影画像)とこれから投影する画像(次投影画像)の各々の各分割領域について、それぞれ9個の画素情報をサンプリングする。そして、画像間で対応する分割領域中の画素情報が、9〜7箇所で異なる場合は差が大であるとし、6〜4箇所で異なる場合は差が中であるとし、3〜1箇所で異なる場合は差が小であるとする。1箇所も異ならない場合は、差なしとなる。このように、各分割領域の画像情報の変化量の大/中/小は、各分割領域内で画素情報のサンプリングを行い、画素情報で差のある箇所が何箇所存在するかによって決定する。ここでは、サンプリング数は9個としているが、処理性能が高い装置であればサンプリング数を増やしてもよい。
【0031】
以上のようにして、各分割領域に対しレベル付けを行った後、差大、差中および差小の3つのレベル毎の分割領域の数と、変化量の重みとを掛け合わせ、それぞれの和を最終的な画面変化量として求める。具体的には、画面変化量は下式で表わされる。
【0032】
画面変化量=[差大の分割領域の数]×W1+[差中の分割領域の数]×W2+[差小の分割領域の数]×W1
【0033】
ただし、W1、W2およびW3は重みであり、例えば、W1=10、W2=5、W3=3とする。そして、このようにして求めた画面変化量を一定の閾値(ここでは、画像全体を36分割した場合の閾値として108を採用する)と比較して、この閾値以上であった場合は投影画像間の差が大きいと判断する。なお、ここでは108を閾値として用いているが、この値は装置の利用者によって調整することができる。また、領域分割数、サンプリング個数も、利用者の好みで調整されてもよい。
【0034】
例えば、図6−2(A)に示すように投影画像が変化する場合、図6−2(B)に示すように領域分割と画像情報の差分判定結果が得られ、このとき画面変化量=127(≧108)であった場合、投影画像間の差が大きい(変化大)と判断される。また、図6−3(A)に示すような投影画像が変化する場合では、図6−3(B)に示すように領域分割と画像情報の差分判定結果が得られ、このとき画面変化量=60(<108)であった場合、投影画像間の差は小さい(変化小)と判断される。また、図6−4(A)に示すような投影画像が変化する場合では、図6−4(B)に示すように領域分割と画像情報の差分判定結果が得られ、このとき画面変化量=260(≧108)であったとすると、このときの投影画像間の差は大きい(変化大)と判断される。
【0035】
上記のようにして画面変化を判定することで、高速に変化を判断でき、リアルタイム性能を達成できる。なお、投影画像の分割数、変化量のレベル付けは、上記例に限るものではなく、任意に設定することができる。また、利用者によって調整できるようにしてもよい。
【0036】
(実施例3)
以上で説明した実施例1および2では、保存画像として画像を1面だけ保存していたが、図7に示す例では、複数の画像を保存しておき、直前までの保存画像をスライドショー形式にして一定間隔で順次切り変えながら表示を行うようにしている。本例における、PC20と画像投影装置10間のケーブルが接続されている間の動作は、図5を用いて前述した動作と同様であるが、ケーブル断の状態での動作が異なっている。
【0037】
ケーブル断が検知されると、投影画像決定部11は、画像記録部12に対しメモリ14に保存されている画像を確認するための保存画像確認を行い、画像記録部12から保存画像情報(保存画像数および保存画像ファイル名など保存画像を特定する情報)を取得する。図7の例では、ケーブル断時に画像Aおよび画像Cが保存されているので、画像記録部12から、保存画像数として2個、保存画像を特定する情報として画像A、画像Cが返される。
【0038】
投影画像決定部11は、まず、画像記録部12に画像Aを要求し、その応答として返された画像Aの画像投影要求を画像投影処理部13に行うことにより、投影部15から画像Aが投影される。画像Aの投影要求から一定時間が経過すると、今度は、画像記録部12に画像Cを要求し、その応答として返された画像Cの画像投影要求を画像投影処理部13に行うことにより、投影部15から画像Cが投影される。以後、一定時間が経過する毎に、画像Aおよび画像Cが交互に投影されることとなる。
【0039】
本実施例のようにスライドショー形式とすることで、同一画像を投影し続けることによる利便性の低下を防止できる。なお、画像投影装置10に搭載できるメモリ容量には上限があるため、本実施例においても、実施例2と同様に、PC20にて画像投影要求がされた際に、前述の画像の比較を行い、画像情報の差分が大きかったもののみを記録しておくようにしている。
【0040】
(実施例4)
実施例1〜3では、利用者がPC20から画像投影要求をした画像を、ケーブル断時に投影する画像として記録しておいたが、予め用意しておいた画像を投影することも可能である。本実施例では、図8に示すように、画像投影装置10において、投影画像決定部11によりケーブル断時の投影画像の登録処理を行い、画像記録部12に対し所定の画像(図8では画像B)の記録要求をして画像Bを予め保存しておく。そして、ケーブル断が検知された場合には、投影画像決定部11が投影画像として画像Bを画像記録部12に要求し、その応答として返された画像Bの画像投影要求を画像投影処理部13に行うことにより、投影部15から画像Bが投影される。ここで予め用意される画像としては、広告や、企業/スポンサーのロゴ、会議の目録(Agenda)、関連する技術情報などが適している。上記登録処理において複数の所定の画像を保存しておき、ケーブル断時に、ランダムにそれらを投影するようにしてもよい。本実施例では、スポンサー情報等を表示することで、ビジネス活用の可能性を広げることができる。
【0041】
(実施例5)
画像投影装置10の利用者が複数人いる場合、利用者を識別して、利用者毎に画像情報を保存しておき、ケーブル断の際に投影する画像を利用者に対応したものにすると、さらに利便性が向上する。本実施例(図9)では、利用者が画像投影要求をする際に利用者IDを入力し、この利用者IDで画像投影装置10にログインすることで、利用者の識別を行う。
【0042】
図9の例では、利用者JがPC20にて利用者情報を入力し画像投影装置10にログインする操作をすると、PC20の画像投影要求部21から利用者識別情報(利用者ID)が送信され、さらに利用者JがPC20にて画像投影要求をすると画像投影要求部21から画像投影装置10の投影画像決定部11へ画像Aが送られる。投影画像決定部11は、画像投影処理部13に画像Aの投影要求をし(画像Aは、投影部15から投影されることとなる)、さらに、画像記録部12に、利用者Jの情報を含めて画像Aの記録要求をする。この利用者Jの情報と画像Aのデータは画像記録部12によりメモリ14に保存される。また、利用者Jの情報は投影画像決定部11においても一時保持される。
【0043】
ここでケーブル断が検知されると、投影画像決定部11は、利用者Jに対応する投影画像を画像記録部12に要求し、その応答として返された先に保存されている画像Aの画像投影要求を画像投影処理部13に行うことにより、投影部15から画像Aが投影される。この段階では、利用者Jに対して画像Aのみが保存されているので、スライドショー形式とはならず、画像Aのみが投影されることとなる。
【0044】
その後、利用者KがPC20から画像投影装置10にログインし、画像Bの投影要求をすると、上記と同様に、画像Bが投影部15から投影され、利用者Kの情報と画像Bのデータがメモリ14に保存される。さらにその後、利用者Jが再度PC20から画像投影装置10にログインし、画像Cの投影要求をすると、上記と同様に、画像Cが投影部15から投影され、利用者Jの情報と画像Cのデータがメモリ14に保存される。
【0045】
その後、ケーブル断が検知されると、投影画像決定部11は、利用者Jに対応する投影画像を画像記録部12に要求し、その応答として返された先に保存されている画像Aおよび画像Cについて画像投影要求を画像投影処理部13に順次行うことにより、投影部15から画像Aおよび画像Cがスライドショー形式で投影されることとなる。
【0046】
本実施例では、利用者毎の画像保存を行うので、複数画像を投影するスライドショー形式での画像投影を行う場合、利用者が替わっても同一利用者のみでスライドショーを作成することになり、ユーザビリティの点で特に効果が高い。
【0047】
また、異なるPC20に画像投影装置10が接続される場合などでは、PC固有の機器ID(シリアルID)などを用いて、画像投影装置10に接続されたPC毎に、対応する保存画像を投影するようにしてもよい。
【0048】
(実施例6)
本実施例(図10)は、画像記録部12により保存した画像を、電源キー押下タイミングで削除するというものである。なお、本実施例は、本体キーとして、画像投影装置10に主電源の入/切の切り替えをするための主電源キーと、メモリ14を通電状態としたまま画像投影装置10の利用開始/終了を指示する電源キーが備わっているものとする。
【0049】
主電源キー押下時にはメモリ上の画像は、電力が供給されないためハード的に自動消去されるが、本実施例における電源キー押下時ではメモリ14が通電状態となっているため、画像情報が記録されたままとなっている。そのため、電源キー押下(画像投影装置10の利用開始または利用終了)のタイミングで、保存したデータも初期化する。図10の例では、電源キー押下が検知されると、投影画像決定部11が画像記録部12に画像削除要求を送り、それに応じて、画像記録部12が保存画像を削除する。なお、各部におけるその他の処理は、他の実施例における処理と同様である。本実施例では、不要となる画像を電源キー押下タイミングで適宜削除することで、メモリを有効に活用することができる。
【0050】
(実施例7)
本実施例(図11)は、複数枚の画像を保存し続けてメモリに空きがない状態(メモリフル)となった場合に、最も必要性の低い画像を削除するというものである。画像の必要性判断には、図6を用いて説明した画像の画面変化量に基づく変化量情報(変化の大/中/小に応じた差分大/差分中/差分小など)を見て、前投影画像に対し変化の小さい画像から順に削除するようにする。保存画像の変化量情報は、投影画像決定部11から画像記録部12に画像記録要求をする際、画像データとともに送り、共に記録するようにする。または、投影画像決定部11が画像投影装置10の利用終了まで保持する。保存画像の変化量情報を画像記録部12にて記録する場合は、投影画像決定部11は、画像記録部12から保存画像の識別情報(画像B/画像C/…)とその変化量情報(差分大/差分小/…)を取得する。いずれにせよ、投影画像決定部11は、保存画像の変化量情報を基に、保存画像削除の優先順位を決定する。
【0051】
図11の例は、図7を用いて説明した実施例3と同様に、複数の画像を保存し、スライドショー形式で画像投影するものであるが、投影画像決定部11から画像記録部12への画像Dに対する画像記録要求の時点でメモリフルとなった場合、画像記録要求に対する応答として画像記録部12から画像保存不可(メモリフル)が返信される。本実施例では、変化量情報(差分大/差分中/差分小)が小さい画像から優先的に削除する。従って、図11の例では、投影画像決定部11が、差分小の画像Cに対する画像削除要求を画像記録部12に送った上で、差分中の画像Dに対する画像記録要求を送る。図11の例で、ケーブル断が検知されると、そのとき画像A、B、Dが保存されているので、これらの画像がスライドショー形式で投影されることとなる。なお、スライドショーの投影順序は各画像の保存の順とする。本実施例では、メモリを最大限有効活用することができる。
【0052】
(その他の構成例)
図12−1および図12−2に示す構成例は、画像投影装置10のメモリ14に、記憶容量制限の問題があることから、画像投影装置10と外部のサーバ30(または大容量の外部記録メディア)とをそれぞれのインターフェースであるI/F17およびI/F33を介してネットワーク接続し、外部のサーバ30(または大容量の外部記録メディア)に、画像記録部12およびメモリ14として機能する画像記録部31およびメモリ32を設けることでこの問題を解決する構成例である。この図12−1および図12−2に示す構成例は、前述の図1−1および図1−2に示した構成例に対応しており、図13は、前述の図2に対応している。
【0053】
図12−1および図12−2に示す構成例および図13に示す動作例は、画像記録部12に相当する外部記録部31とメモリ14に相当するメモリ32が外部のサーバ30等に設けられ、これらが画像記録部12およびメモリ14の代わりとなる点を除いて、その他の構成およびその動作は、本明細書に記載の諸実施例と同様となる。
【0054】
(実施例8)
本実施例(図14)は、図9を用いて説明した実施例5の利用者毎の画像情報の保存処理および投影処理に加えて、利用者IDによって画像情報の保存の仕方を変えるようにしたものである。本実施例では、固有IDを持った利用者の場合のみ実施例5と同様の画像の保存処理/ケーブル断時の投影処理を行う。これに対し、共通ID(ゲストID)でログインされた場合は、予め保存しておいたゲスト用画像の投影を行い、この場合には、画像投影の際の画像記録は行わない。これにより、メモリへの保存画像の容量を抑える。もちろん、固有IDとゲストIDの場合の振る舞いを逆にし、固有IDでログインされた時だけ、ケーブル断時に固定画像を投影するようにしてもよい。
【0055】
図14の例では、投影画像決定部11が、ケーブル断時投影画像の登録処理を予め行い、画像記録部12に利用者がゲストである場合のケーブル断時投影画像(ここでは画像C)の画像記録要求を行う。固有IDをもつ利用者(図14では利用者J)がログインした場合は、図9を用いて前述した実施例と同様にケーブル接続時およびケーブル断時の動作を行っているが、ケーブル接続時にゲストIDで利用者がログインした場合は、この利用者が画像投影要求をした画像(図14では画像B)を投影画像決定部11が画像投影処理部13に投影させるのみで、画像記録は行わない。そして、続くケーブル断時には、投影画像決定部11は、利用者がゲストであるとして、予め登録されている画像(図14では画像C)を画像投影処理部13に投影させる。また、本実施例の応用例として、利用者ID毎に画像の保存数を変えるようにすることも可能である。本実施例では、より柔軟な画像再生が可能となり、利用者の利便性が向上する。
【0056】
図15に画像記録部12によりメモリに保存される画像とこの画像に係る情報(テーブル情報)のデータ構造を示す。利用者IDからは、次の利用者IDが辿れるようになっている。個々の利用者IDに関連付けられ、JPEG形式などで画像情報(図15では画像情報A〜C)が記録されている。保存される画像に係る情報として、画像情報の実体の記録場所、画像を投影する位置、解像度、カラー情報などを記録している。このようなデータ構造をとることで、投影した画像をそのまま保存し、ケーブル断時に再生するだけではなく、この画像を加工することを可能としている。例えば、複数の画像を合成して1枚の画像にすることや、カラー画像をモノクロ画像に変換することで画像容量を減らすこともできる。また、このデータ構造をとることで、画像の保存処理を効率よく実現することができる。また、外部のサーバ30等を利用する場合(前述)、ケーブル断時の再生以外に、外部のサーバ30等において、保存している画像情報からそのダイジェストを議事録として自動作成するようにすることも可能となる。
【0057】
なお、上記にて、発明を実施するための実施の形態について説明を行ったが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を損なわない範囲で変更することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 画像投影装置
11 投影画像決定部
12 画像記録部
13 画像投影処理部
14 メモリ
15 投影部
16、17 I/F
20 PC
21 画像投影要求部
22 I/F
30 サーバ
31 画像記録部
32 メモリ
33 I/F
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2008−102244号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストからの投影要求に応じて、投影する画像に関する指示または決定をする投影画像決定部と、
前記投影画像決定部の指示に応じて、画像情報の保存処理を行う画像記録部と、
前記投影画像決定部の指示に応じて、画像の投影処理をする画像投影処理部と、を備え、
前記投影画像決定部は、ホストからの投影動作の中断を検知すると、前記画像投影処理部に、前記画像記録部により保存している画像を投影させることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
ホストからの投影要求に応じて、投影する画像に関する指示または決定をする投影画像決定部と、
前記投影画像決定部の指示に応じて、画像情報の保存処理を行う画像記録部と、
前記投影画像決定部の指示に応じて、画像の投影処理をする画像投影処理部と、を備え、
前記画像投影処理部は、所定の時間間隔で、前記画像記録部により保存された画像の投影処理を行うことを特徴とする画像投影装置。
【請求項3】
前記保存処理と前記投影処理とを非同期に実施することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記投影画像決定部は、一定時間経過後に発生したホストからの投影要求に対して、当該投影要求された画像の保存処理を行うことを決定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記投影画像決定部は、現投影画像および次投影画像間の画面変化の程度に応じて、保存画像を更新するかどうかを決定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項6】
前記投影画像決定部は、現投影画像および次投影画像をそれぞれ領域分割し、分割領域毎に現投影画像および次投影画像間の変化量の大きさに応じてレベル付けを行い、該レベルに基づき前記画面変化を判断することを特徴とする請求項5に記載の画像投影装置。
【請求項7】
前記投影画像決定部は、前記画像記録部に複数の画像を保存させ、前記画像投影処理部は、前記投影画像決定部の指示に従った投影処理として、または該画像投影処理部自体の投影処理として、スライドショー形式にして一定間隔で投影画像を切り変える投影処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項8】
前記投影画像決定部は、利用者IDを基に、画像記録部に利用者毎の画像を保存させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項9】
前記画像投影処理部は、前記投影画像決定部の指示に従った投影処理として、または該画像投影処理部自体の投影処理として、利用者IDを基に、利用者毎の画像の投影処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像投影装置。
【請求項10】
前記画像記録部は、画像を記憶するメモリを通電状態としたまま投影装置の利用開始/終了を指示する本体キー押下のタイミングで、保存している画像を削除することを特徴とする請求項1から請求項3または請求項8のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項11】
画像を記憶するメモリの空き容量が無くなった場合に、前記投影画像決定部は、前記画像記録部に、前投影画像との画面変化が最も小さい保存画像を削除させることを特徴とする請求項1から請求項3または請求項8のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項12】
前記投影画像決定部は、前記画像記録部に、利用者IDにより識別される特定の利用者に対する画像を予め保存させ、前記特定の利用者によるホストからの投影要求を受けた際、投影要求された画像の保存を行わないようにしたことを特徴とする請求項8に記載の画像投影装置。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−242503(P2012−242503A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110732(P2011−110732)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】